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JP5216997B2 - 光学フィルター - Google Patents
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Description

本発明は有機色素化合物を含むことを特徴とする光学フィルターに関する。特にプラズマディスプレーテレビのようなディスプレーの表面に、画像特性改善及び近赤外線リモコンを使用した電子機器による誤作動防止のため取りつけられる光学フィルターに関する。
背景技術
高品位テレビ放送の開始に伴って、プラズマディスプレー方式のテレビ受像機の需要が急増している。プラズマディスプレーは気体のプラズマ放電光を利用する映像表示機器であり、ブラウン管に匹敵する色純度を有し、フルカラー化が容易であるうえに、視野角が大きいことから、高品位テレビ放送に対応する大型映像表示機器として開発と量産化が進められている。ところが、内池平樹、『映像情報メディア学会誌』、第51巻、第4号、459乃至463頁(1997年)や野崎正平ら、『月刊ディスプレー』、第6巻、第4号、72乃至77頁(2000年)などに報告されているように、プラズマディスプレーは、原理上、励起されたネオン原子が基底状態へ戻る際に放出される波長600nm付近の、いわゆる、「ネオンオレンジ色」の発光や不用な近赤外線の輻射が避けられず、これらは、赤色発光に混ざると、色純度の良い、鮮やかな赤色表示が得られなくなったり、赤外線リモコンの誤動作を招来するという問題がある。また、蛍光灯の映り込みを防止など、ディスプレーの画像特性を改善するための色素、及び色素を用いたフィルムや光学フィルターが検討されている。
これらの問題を解決するために、近赤外域の光線の対策には、従来より、プラズマディスプレーの表示部へ近赤外線吸収剤を用いる前面部材を取り付ける方法が提案され、例えば、特開平9−241520号公報には、近赤外線吸収剤としてニッケル錯体系、アゾ系、アントラキノン系の有機色素化合物を用いる前面部材が、また、特開平10−128898号公報には、複素環系、アントラキノン系、ジチオールニッケル錯体系の有機色素化合物を用いる前面部材が提案されている。また、ディスプレーの画像特性を改善するための対策としては、例えば、特開2001−188121号公報にはスクアリウム系色素が提案されている。
ところが、これらの有機色素化合物の多くは、自然光や人工光などの環境光に対する耐光性が充分でないので、長期間用いると、光学フィルターの性能が低下し易いという問題があった。
斯かる状況に鑑み、この発明は、画像特性等の障害となる赤外線及び/又はネオン光等をカットし、ディスプレーの画像特性を改善すると共に、その性能が長期間保持される耐光性に優れた光学フィルターを提供することを課題とする。
本発明者が鋭意研究し、検索したところ、環状ジスルホニルイミドアニオンと色素カチオンとのイオン結合体を含有することを特徴とする光学フィルターは、可視乃至赤外領域に吸収極大を有し、プラズマディスプレーなどの画像表示機器へ取り付ける光学フィルターに用いると、画像表示機器から輻射される不用な光を効果的に遮断することが判明した。また、斯かる光学フィルターは耐光性に優れ、長期間でも、その性能を保持することが判明した。
すなわち、この発明は、一般式1で表される環状ジスルホニルイミドアニオンと一般式2で表される色素カチオンがイオン結合した、イオン結合体を含有することを特徴とする光学フィルターを提供することによって前記課題を解決するものである。
一般式1
Figure 0005216997
(一般式1において、R、Rはそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子を表す。nはアルキレン基の炭素原子数を表し、2〜6の整数である。)
一般式2
Figure 0005216997
(一般式2において、Yはメチン鎖を表し、そのメチン鎖は置換基及び/又は環状構造を
有していてもよい。Z及びZは互いに同じか異なる芳香環又は複素環を表し、それらの
芳香環及び複素環は置換基を有していてもよい。)
さらに、この発明は、環状ジスルホニルイミドアニオンと色素カチオンとのイオン結合体に加えて、一般式3で表されるジイモニウム塩又は、一般式4で表される骨格を有する有機金属錯体のいずれか、或いは両方を含有することを特徴とする光学フィルターを提供することによって前記課題を解決するものである。
一般式3
Figure 0005216997
(一般式3において、R乃至R16は、それぞれ独立に、水素原子又は、適宜の置換基を表し、Xは対アニオンである。)
一般式4
Figure 0005216997
(一般式4の式中R17乃至R20はそれぞれ独立に水素原子又は適宜の置換基を表し、R17とR18、R19とR20が互いに連結して芳香環を形成しても良い。YとYはそれぞれ酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を表し、Mは金属原子又は金属イオンを表す。
本発明の光学フィルターは耐光性に優れ、長期間にわたって、光吸収能力が低下せず、種々の光学フィルター用途に用いることができ、特に、プラズマディスプレーなどの映像表示機器へ取り付ける光学フィルターへ用いると、可視光域においては映像の三原色の色純度を損なうことなく、映像表示機器から輻射される不用な光を効果的に遮断するので、コントラストと画像特性に優れた高画質の映像が得られる。また、近赤外線域においても赤外線リモコンが近赤外線によって誤動作することもない。さらに、この発明で用いる光学フィルターは耐光性に優れていることから、長期間用いても、性能が低下し難い光学フィルターとなる。
実施例1で作成した化合物34を含有する近赤外用薄膜フィルターの光透過スペクトルである。
以下に本発明を詳細に説明する。既述のとおり、この発明は、一般式1で表される環状ジスルホニルイミドアニオンと一般式2で表される色素カチオンとのイオン結合体を含有することを特徴とする光学フィルターである。
一般式1
Figure 0005216997
一般式1において、R、Rはそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子を表す。ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子が挙げられ、なかでもフッ素原子が好ましく、R、Rがいずれもフッ素原子である化合物が特に好ましい。nはアルキレン基の炭素原子数を表し、2乃至6の整数であり、好ましくは2乃至5であり、さらに好ましくは、3である。
一般式2
Figure 0005216997
一般式2において、Yはメチン鎖を表し、具体的には、モノメチン鎖か、あるいは、複数のメチン基が結合し合ってなる、炭素数1乃至12のメチン鎖を表し、特に炭素数1乃至7のメチン鎖が好ましい。
斯かるメチン鎖は環状構造を有していても良く、個々の環状構造としては、二重結合及び/又はヘテロ原子を1又は複数有する、例えば、シクロブテン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、デヒドロデカリン環、ピリジン環、ジヒドロピリジン環、テトラヒドロピリジン環、フラン環、ジヒドロフラン環、チオフェン環、ジヒドロチオフェン環、ヘキサヒドロキノリン環などの単環式又は縮合多環式のものが挙げられる。
斯かるメチン鎖及び環状構造は、この発明の目的を逸脱しない範囲で、置換基を1又は複数有していてもよい。メチン鎖及び環状構造における置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−プロピニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,3−ブタジエニル基、2−ブテニル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、2−ペンテニル基、2−ペンテン−4−イニル基などの脂肪族炭化水素基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、トリクロロメチル基、ペンタクロロエチル基、ヘプタクロロプロピル基、トリブロモメチル基、ペンタブロモエチル基、ヘプタブロモプロピル基などのハロゲン化アルキル基、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、フェノキシ基などのエーテル基、アニリノ基、o−トリイジノ基、m−トリイジノ基、p−トリイジノ基、キシリジノ基、ジフェニルアミノ基、p−メトキシジフェニルアミノ基などのアミノ基、メチルスルホニル基、フェニルスルホニル基などのスルホニル基、フェニルチオ基、ナフチルチオ基などのアリールチオ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、バルビツル酸基、イミダゾリル基、ピリジル基などの複素環基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基などの脂環式炭化水素基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基などが挙げられる。
及びZは互いに同じか異なる芳香環又は複素環を表し、それらの芳香環及び複素環は置換基を1又は複数有していてもよい。Z及びZにおける芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ビフェニル環などが、また、複素環としては、例えば、窒素原子、燐原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子などの周期律表における第15族又は第16族のヘテロ原子を1又は複数含んでなる、例えば、イミダゾリン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、α−ナフトイミダゾール環、β−ナフトイミダゾール環、インドール環、イソインドール環、インドレニン環、イソインドレニン環、ベンゾインドレニン環、ピリジノインドレニン環、オキサゾリン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ピリジノオキサゾール環、α−ナフトオキサゾール環、β−ナフトオキサゾール環、セレナゾリン環、セレナゾール環、ベンゾセレナゾール環、α−ナフトセレナゾール環、β−ナフトセレナゾール環、チアゾリン環、チアゾール環、イソチアゾール環、ベンゾチアゾール環、α−ナフトチアゾール環、β−ナフトチアゾール環、テルラゾリン環、テルラゾール環、ベンゾテルラゾール環、α−ナフトテルラゾール環、β−ナフトテルラゾール環、さらには、アクリジン環、アントラセン環、イソキノリン環、イソピロール環、イミダノキサリン環、インダンジオン環、インダゾール環、インダリン環、オキサジアゾール環、カルバゾール環、キサンテン環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、クロマン環、シクロヘキサンジオン環、シクロペンタンジオン環、シンノリン環、チオジアゾール環、チオオキサゾリドン環、チオフェン環、チオナフテン環、チオバルビツール酸環、チオヒダントイン環、テトラゾール環、トリアジン環、ナフチリジン環、ピペラジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、ピラゾロン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピリリウム環、ピロリジン環、ピロリン環、ピロール環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、フタラジン環、プテリジン環、フラザン環、フラン環、プリン環、ベンゾオキサジン環、ベンゾピラン環、モルホリン環、ロダニン環などが挙げられる。
及びZにおける置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−プロピニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、2−ペンテニル基、2−ペンテン−4−イニル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基などの脂肪族炭化水素基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基などの脂環式炭化水素基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、ビフェニリル基などの芳香族炭化水素基、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、フェノキシ基などのエーテル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、アセチル基、ベンゾイルオキシ基などのエステル基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、アニリノ基、o−トリイジノ基、m−トルイジノ基、p−トルイジノ基、キシリジノ基、ジフェニルアミノ基などのアミノ基、キノリル基、ピペリジノ基、ピリジル基、モルホリノ基などの複素環基、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、トリフルオロメチルスルホニル基などのアルキルスルホニル基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、さらには、これらの組合わせからなる置換基が挙げられる。
一般式1で表される環状ジスルホニルイミドアニオンのうち、特に好ましい化合物は、一般式1におけるR、Rがフッ素原子である一般式5で表される化合物が挙げられる。
一般式5
Figure 0005216997
一般式5において、nはアルキレン基の炭素原子数を表し、一般式1のnと同じ値を表す。
一般式2で表されるメチン鎖を有する色素カチオンのなかでも、一般式6で表されるシアニン色素は、合成上、メチン鎖の共役炭素数を比較的容易に変更することができ、その吸収波長は共役炭素数の数により大きく変化することから、メチン鎖の共役炭素数を変更することにより所望する吸収波長を得ることが可能であり、さらに、高い分子吸光係数を有することから、光学フィルターにおいて所望する吸収波長を選択する上で特に好ましい。
一般式6
Figure 0005216997
一般式6においてZ及びZは、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、キノリン環、キノキサリン環などの芳香環を表し、それらの芳香環は置換基を1又は複数有していてもよい。置換基の例としては、一般式2における、Z及びZに結合する置換基と同じものが挙げられる。なお、一般式6において、Z及びZは互いに同じものであっても異なるものであってもよい。
一般式6におけるA乃至Aは炭素原子又はヘテロ原子を表し、ヘテロ原子の例としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子などの周期律表における第15族及び第16族の原子が挙げられる。なお、A乃至Aにおける炭素原子は、例えば、エチレン基やビニレン基などの2個の炭素原子を主体とする原子団であってもよい。また、一般式6におけるA及びAは互いに同じものであっても異なるものであってもよい。
一般式6におけるR及びRは脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。脂肪族炭化水素基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、2−ペンテニル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられ、芳香族炭化水素基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、ビフェニリル基などが挙げられ、斯かる脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基は、さらに、一般式2のZ及びZにおける置換基と同様の置換基を1又は複数有していてもよい。なお、一般式6におけるR及びRは、それぞれ、互いに同じものであっても異なるものであってもよい。
一般式6におけるR乃至Rは、それぞれ独立に、水素原子又は適宜の置換基を表す。置換基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などの脂肪族炭化水素基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、ビフェニリル基などの芳香族炭化水素基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、トリクロロメチル基、ペンタクロロエチル基、ヘプタクロロプロピル基、トリブロモメチル基、ペンタブロモエチル基、ヘプタブロモプロピル基などのハロゲン化アルキル基、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、フェノキシ基、ベンゾイルオキシ基などのエーテル基などが挙げられ、斯かる脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、エーテル基は、さらに、一般式2のZ及びZにおける置換基と同様の置換基を1又は複数有していてもよい。なお、一般式6において、A乃至Aがヘテロ原子である場合、R乃至Rの一部又は全部が存在しないことがある。
又、R乃至Rは、Z又はZ或いは、Z又はZにおける置換基と結合し縮合環を形成することが出来、さらに、RとR、RとRは結合し、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子などを含有する3乃至8員環を形成することが出来る。Lはメチン鎖を表し、例えば、一般式2におけるメチン鎖Yと同じものが挙げられる。
この発明で用いる環状ジスルホニルイミドアニオンと色素カチオンとのイオン結合体の例としては、例えば、化学式1乃至化学式51で表されるものが挙げられる。これらイオン結合体は、例えば、プラズマディスプレーなどの光学フィルターにおいて、550〜620nmの波長域に吸収極大を有するネオン光吸収色素として、或は、波長800〜1200nmの近赤外線領域に極大吸収を有する近赤外線吸収色素などとして極めて有用である。なお、本発明で用いられる化合物はこれらに限定されるものではない。
化学式1
Figure 0005216997
化学式2
Figure 0005216997
化学式3
Figure 0005216997
化学式4
Figure 0005216997
化学式5
Figure 0005216997
化学式6
Figure 0005216997
化学式7
Figure 0005216997
化学式8
Figure 0005216997
化学式9
Figure 0005216997
化学式10
Figure 0005216997
化学式11
Figure 0005216997
化学式12
Figure 0005216997
化学式13
Figure 0005216997
化学式14
Figure 0005216997
化学式15
Figure 0005216997
化学式16
Figure 0005216997
化学式17
Figure 0005216997
化学式18
Figure 0005216997
化学式19
Figure 0005216997
化学式20
Figure 0005216997
化学式21
Figure 0005216997
化学式22
Figure 0005216997
化学式23
Figure 0005216997
化学式24
Figure 0005216997
化学式25
Figure 0005216997
化学式26
Figure 0005216997
化学式27
Figure 0005216997
化学式28
Figure 0005216997
化学式29
Figure 0005216997
化学式30
Figure 0005216997
化学式31
Figure 0005216997
化学式32
Figure 0005216997
化学式33
Figure 0005216997
化学式34
Figure 0005216997
化学式35
Figure 0005216997
化学式36
Figure 0005216997
化学式37
Figure 0005216997
化学式38
Figure 0005216997
化学式39
Figure 0005216997
化学式40
Figure 0005216997
化学式41
Figure 0005216997
化学式42
Figure 0005216997
化学式43
Figure 0005216997
化学式44
Figure 0005216997
化学式45
Figure 0005216997
化学式46
Figure 0005216997
化学式47
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化学式48
Figure 0005216997
化学式49
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化学式50
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化学式51
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本発明の化学式1乃至化学式51で表される化合物は、いずれも、公知の方法によるか、あるいは、類縁化合物を調製するための公知の方法に準じて所望量を得ることができる。例えば、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著、「ヘテロサイクリック・コンパウンズ―シアニンダイズ・アンド・リレイテッド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds Cyanine Dyes and Related Compounds)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社、ニューヨーク、ロンドン、1964年発行、およびデー・エム・スターマー(D.M.Sturmer)著、「ヘテロサイクリック・コンパウンズースペシャル・トッピクス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds−Special topics in heterocyclic chemistry)」、第18章、第14節、482〜515頁、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社、ニューヨーク、ロンドン、1977年発行、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodds Chemistry of Carbon Compounds)」、2nd、Ed.vol.IV、partB、1977年発行、第15章、369〜422頁、エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing Company Inc)社、ニューヨーク、特開平6−313939号公報および特開平5−88293号公報等を参考にして容易に合成することができる。
さらに、本発明の光学フィルターは、上記有機色素化合物の他に、一般式3で表されるジイモニウム塩、或いは、一般式4で表される骨格を有する有機金属錯体のいずれか、又は両方を近赤外線吸収剤或いは、耐光性改善剤として含有することが出来る。
一般式3
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一般式4
Figure 0005216997
一般式3において、R乃至R16は、それぞれ独立に、水素原子又は、適宜の置換基を表す。置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの脂肪族炭化水素基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、トリクロロメチル基、ペンタクロロエチル基、ヘプタクロロプロピル基、トリブロモメチル基、ペンタブロモエチル基、ヘプタブロモプロピル基などのハロゲン化アルキル基、シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基などのシアノアルキル基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、ビフェニリル基などの芳香族炭化水素基、ヒドロキシル基、ベンジル基、フェネチ基、フェニルプロピル基、フィニル−α−メチルプロピル基、フィニル−β−メチルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルオクチル基、ナフチルメチル基、ナフチルメチル基などのアリールアルキル基、およびこれら置換基の組合せからなる置換基などが挙げられ、R乃至R16は、同一であっても異なっていてもよい。
乃至R16としては、上記置換基であれば特に限定されないが、炭素数1〜8の直鎖若しくは側鎖を有する脂肪族炭化水素基、ハロゲン化アルキル基、シアノアルキル基などが好ましく、炭素数2〜6の直鎖脂肪族炭化水素基が特に好ましい。特に好ましいものの具体例としては、例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基などが挙げられる。
さらに、R乃至R16におけるアリールアルキル基としては、フェニルアルキル基が好ましく、フェニルアルキル基におけるフェニル基は、さらに、脂肪族炭化水素基、水酸基、スルホン酸基、アルキルスルホン酸基、ニトロ基、アミノ基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基及びハロゲンなどの置換基を1種あるいは複数有していてもよい。このうち、より好ましいアリールアルキル基としては、置換基を有していないフェニルアルキル基が挙げられる。
斯かるフェニルアルキル基として、特に好ましいものとして、ベンジル基、フェネチル基が挙げられる。
一般式3において、Xは塩を形成するためのアニオンであり、一般式3を中性に保つアニオンである。斯かるアニオンは、例えば、有機酸、無機酸などが挙げられ、特に限定されない。
一般式4において、R17乃至R20はそれぞれ独立して水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、シアノ基を表し、R17とR18、R19とR20が互いに連結して芳香環を形成することができる。斯かる芳香環としてはベンゼン環またはナフタレン環が挙げられ、ベンゼン環またはナフタレン環は、置換基を有していてもよく、この置換基としては、例えば、一般式2のZ及びZにおける置換基と同じものが挙げられる。
17乃至R20における脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基としては、例えば、一般式3のR乃至R16における脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基と同じものが挙げられる。
とYはそれぞれ独立して酸素原子,硫黄原子または窒素原子を表し、特に硫黄原子が好ましい。Mは金属原子または金属イオンを表し、通常、スカンジウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、水銀などの周期律表における第3族乃至第12族の遷移金属が選択され、このうち、製造コストと取扱い易さの点で、周期律表における第9族乃至第11族のコバルト、ニッケル及び銅が好ましい。
Mが金属イオンの場合、一般式4で表される骨格を有する有機金属錯体は、有機金属錯体を中性に保つためにカチオン性の対イオンを有する。カチオン性の対イオンの例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、オクチルトリエチルアンモニウム、フェニルトリメチルアンモニウム、トリフェニルブチルアンモニウム、トリフェニルベンジルアンモニウム、テトラフェニルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩、テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、オクチルトリエチルホスホニウム、フェニルトリメチルホスホニウム、トリフェニルブチルホスホニウム、トリフェニルベンジルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウムなどの4級ホスホニウム塩を挙げることが出来る。
ジイモニウム塩としては、例えば、化学式52乃至56で表されるものが挙げられ、有機金属錯体としては、例えば、化学式57乃至化学式62で表されるものが挙げられる。
化学式52
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化学式53
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化学式54
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化学式55
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化学式56
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化学式57
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化学式58
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化学式59
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化学式60
Figure 0005216997
化学式61
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化学式62
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上記ジイモニウム塩及び、有機金属錯体は、いずれも、公知の方法によるか、あるいは、類縁化合物を調製するための公知の方法に準じて所望量を得ることができる。ジイモニウム塩は、例えば、特開2005−325292号公報を参考に製造することができるし、有機金属錯体は、「有機金属化合物 合成法および利用法」、山田明夫監修、東京化学同人、(1991年発行)を参考に製造することができる。
さて、斯かる環状ジスルホニルイミドアニオンと色素カチオンとのイオン結合体を含有するこの発明の光学フィルターについて説明すると、この発明の光学フィルターの使用部材は、少なくとも、使用部材の主体となる透明基材と、光吸収剤としての環状ジスルホニルイミドアニオンと色素カチオンとのイオン結合体によって構成される。光吸収剤としては、環状ジスルホニルイミドアニオンと色素カチオンとのイオン結合体の他に、ジイモニウム塩、有機金属錯体などを併用することができる。なお、この発明でいう「光吸収剤」とは、斯かる使用部材へ用いることによって、映像表示機器から放出される不用な光、或いは自然光、とりわけ、近赤外領域の光を実質的に遮断する、吸光性有機化合物又は吸光性有機化合物を含有する組成物を意味するものとする。本発明の光学フィルターにおいて、上記の吸光性有機化合物の含有量は、通常、光学フィルターの単位面積当たり1〜1000mg/mの範囲であり、好ましくは5〜100mg/mである。
透明基材としては、全可視領域において、光透過率が50%以上、好ましくは、70%以上の、例えば、ABS樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、さらには、ガラス、セラミックなどが挙げられ、必要に応じて、これらは適宜組み合わせて用いられる。これらのうちで、光透過率及び機械的強度の点で、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂が特に好ましい。
この発明の光学フィルターは、上記光吸収剤を斯かる透明基材へ混合した後、使用部の形状に応じた、例えば、フィルム状、シート状、パネル状などに成形するか、あるいは、使用部の形状に応じてフィルム状、シート状、パネル状などに成形しておいた透明基材の片面又は両面に光吸収剤を密着させ、光吸収剤による遮光層を形成することにより製造することができる。成形後の透明基材の厚みとしては、透明基材の材質や使用部の面積にもよるけれども、0.1μm乃至10mmであることが好ましく、0.5μm乃至100μmであることがさらに好ましい。使用の状況によっては、使用部へ透明基材を直接取り付けるのではなく、透明基材を使用部の形状に応じたガラス板などへ一旦貼合し、そのガラス板を使用部へ取り付けることがある。斯かる場合には、透明基材を厚さが比較的薄い、例えば、フィルム又はシート状に形成し、その片面へ透明基材をガラス板へ貼合するための粘着層などを形成する。
透明基材へ光吸収剤を混合する前者の方法においては、例えば、透明基材である樹脂と光吸収剤とを溶融混練し、必要に応じて、一旦ペレット状などにした後、押出成形、射出成形、プレス成形などの方法により、映像表示機器における表示部の形状に応じて成形するか、あるいは、透明基材の原料モノマーと光吸収剤とを混合し、表示部の形状に応じて注型重合させる。
一方、透明基材へ密着させて光吸収剤の層を設ける後者の方法においては、例えば、必要に応じて、バインダーを共存させて、光吸収剤を、例えば、クロロホルム、シクロヘキサノン、エチルメチルケトン、イソプロピルメチルケトンをはじめとするケトン系、ハロゲン化炭化水素系、エチレングリコールモノプロピルエーテルをはじめとするエーテル系、エステル系などの適宜有機溶剤に溶解又は分散させ、使用部の形状に応じて、例えば、フィルム状、シート状、パネル状などに成形しておいた透明基材の片面又は両面へ直接塗布するか、あるいは、同様にして調製した溶液又は分散液を透明基材におけると同様の材質のフィルム又はシートへ一旦塗布した後、そのフィルム又はシートを使用部の形状に応じて成形しておいた透明基材の片面又は両面へ貼合する。
バインダーとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、酢酸セルロース系樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロース系樹脂、ナイロン、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などが挙げられ、必要に応じて、これらは適宜組み合わせて用いられる。斯かるバインダーは、この発明の光吸収剤に対して、重量比で、通常、10乃至1,000倍、好ましくは、50乃至500倍用いられる。光吸収剤を分散液にして塗布する場合には、固状の光吸収剤を粒子径0.1乃至10μm、好ましくは、0.5乃至5μmの微粒子にして分散させる。
光吸収剤を含有する溶液や分散液を透明基材などへ塗布するには、斯界において汎用される、例えば、ディッピング法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法などが適用され、必要に応じて、これらは適宜組み合わせて適用される。
この発明の光学フィルターには、この発明の目的を逸脱しない範囲で、環状ジスルホニルイミドアニオンと色素カチオンとのイオン結合体、又は、環状ジスルホニルイミドアニオンと色素カチオンとのイオン結合体及び、ジイモニウム塩或いは、有機金属錯体からなる光吸収剤とともに、斯界において汎用される、例えば、アミニウム塩系化合物、アミノ化合物、アミノチオールニッケル錯体系化合物、アントラキノン系化合物、イモニウム系化合物、シアニン系化合物、トリアリルメタン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロソ化合物及びその金属塩、フタロシアニン系化合物、カーボンブラック、酸化インジウム錫、酸化アンチモン錫などを含有する近赤外線吸収剤、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、ヒドロキシベンゾエート化合物、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、硫酸バリウムなどを含有する紫外線吸収剤、さらには、酸化防止剤、難燃化剤、安定剤、滑剤、帯電防止剤、耐熱老化防止剤、離型剤の1又は複数を含んでいてもよい。この発明の環状ジスルホニルイミドアニオンと色素カチオンとのイオン結合体、又は、斯かる環状ジスルホニルイミドアニオンと色素カチオンとのイオン結合体及び、ジイモニウム塩或いは、有機金属錯体を含む光吸収剤は、上記のごとき近赤外線吸収剤や紫外線吸収剤と併用すると、光吸収剤に含まれる有機色素化合物の耐光性が著明に改善され、自然光、人工光などの環境光によって退色、変性、分解されるのを効果的に抑制する。
また、この発明の光学フィルターは、必要に応じて、斯界において汎用される、例えば、銀、銀−パラジウム合金、酸化インジウム、酸化インジウム−酸化錫混合物(ITO)、酸化亜鉛などを含有する電磁波遮断剤、金属酸化物、金属弗化物、金属珪化物、金属硼化物、金属炭化物、金属窒化物、金属硫化物などを含有する反射防止剤などの1又は複数と併用することを妨げない。これらの材料は、通常、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法などの方法により、透明基材上へ光吸収剤を含む遮光層とは独立した層として形成するか、あるいは、透明基材におけると同様の材質のフィルム又はシート上へ紫外線遮断層、電磁波遮断層、反射防止層などの1又は複数を形成し、そのフィルム又はシートを透明基材へ貼合する。
さらに、この発明の光学フィルターは、必要に応じて、ぎらつきを抑え、視野角を広げるためのノングレア層、表面を保護するためのハードコート層、光学フィルターを映像表示機器やガラス板などへ取り付けるための粘着層などの1又は複数を設けることを妨げない。
斯くして得られるこの発明の光学フィルターは、環状ジスルホニルイミドアニオンと色素カチオンとのイオン結合体、又は、環状ジスルホニルイミドアニオンと色素カチオンとのイオン結合体及び、ジイモニウム塩或いは、有機金属錯体を含有する光吸収剤において、遮断すべき光の波長に応じた適宜の吸収域を有するイオン結合体を選択することによって、光の三原色の色純度を損なうことなく、近赤外領域の不用な光、とりわけ、プラズマディスプレーにおける赤外線及び/又はネオン光などを選択的に遮断し、可視光領域においては光の三原色を良好に再現するので、コントラストと色再現性に優れた高画質の映像が得られ、しかも、赤外線リモコンが近赤外線によって誤動作することもない。この発明の光学フィルターを適用し得る映像表示機器としては、例えば、ブラウン管を用いる直視型テレビ、プラズマディスプレー、電界発光ディスプレーなどを用いる発光型パネル方式のテレビ、液晶ディスプレーを用いる非発光型パネル方式のテレビ、液晶プロジェクターが内蔵されたリアプロジェクション方式のテレビなどが挙げられる。これらのうちでも、この発明の光学フィルターは、原理上、不用な光を輻射し易いプラズマディスプレーや電界発光ディスプレーなどを用いる発光型パネル方式のテレビへ極めて有利に適用することができる。
以下、この発明の実施の形態につき、実験例および実施例に基づいて説明する。
実験例1:近赤外吸収色素の光安定性
本発明の光学フィルターに含有する環状ジスルホニルイミドアニオンと色素カチオンとのイオン結合体について、イオン結合体単独での薄膜条件下の光安定性を調べた。本発明のイオン結合体である化学式34、化学式37、及び、比較化合物である化学式63、化学式64を用い、それぞれの色素について、色素0.1質量%とポリメチルメタクリレート(商品名『PMMA』、シグマ アルドリッチ社製造)2.5質量%をメチルエチルケトン(以下、「MEK」と言う。)に溶解させた。その後、ポリカーボネート基盤上にスピンコート法にて薄膜フィルターを作成した。その際の薄膜吸収を測定し、吸収極大波長(λmax)における色素の吸光度(初期吸光度)を測定した。その後、商品名、『セノンウェザーメータ XL−75』(スガ試験機株式会社製造)を用いて、測定条件:180W/m 槽内温度:15℃ 湿度:60%にて所定時間露光(300KJ/m)を行った後、吸収極大波長(λmax)(化学式34のλmaxは947nm、化学式37のλmaxは865nm)における吸光度(照射後吸光度)を測定し、吸収極大波長における、「照射後吸光度/初期吸光度」の値を100分率で表したものを色素残存率として求めた。その結果を表1に示す。また、化学式34で表されるイオン結合体を含有する光学フィルターの光透過スペクトルを図1に示す。
化学式63(比較化合物1)
Figure 0005216997
化学式64(比較化合物2)
Figure 0005216997
Figure 0005216997
表1の結果から本発明の光学フィルターに含有するイオン結合体は、近赤外吸収材料として従来使用されていた比較例と比べ、約10%の安定性の向上がみられた。本発明の光学フィルターに含有するイオン結合体は、従来使用されていた材料を凌駕し、約10%の耐光性の向上が確認され、光学フィルターに使用した場合、光安定性において有効であることがわかる。
実験例2:近赤外吸収色素の光安定性 有機金属錯体併用
本発明の光学フィルターに含有する環状ジスルホニルイミドアニオンと色素カチオンとのイオン結合体について、イオン結合体と有機金属錯体を含有する光吸収剤の薄膜条件下の光安定性を調べた。本発明のイオン結合体である化学式34、化学式37、及び、比較化合物である化学式63、化学式64を用い、それぞれの色素について、色素0.1質量%、化学式57で表される、ジチオール金属錯体0.1質量%、ポリメチルメタクリレート(商品名『PMMA』、シグマ アルドリッチ社製造)2.5質量%をMEKに溶解させた。その後、ポリカーボネート基盤上にスピンコート法にて薄膜フィルターを作成した。その際の薄膜吸収を測定し、吸収極大波長(λmax)(化学式34のλmaxは947nm、化学式37のλmaxは865nm)における色素の吸光度(初期吸光度)を測定した。その後、『セノンウェザーメータ XL−75』(スガ試験機製造)を用いて、測定条件:180W/m 槽内温度:15℃ 湿度:60%にて所定時間露光(300KJ/m、600KJ/m、1200KJ/m)を行った後λmaxにおける吸光度(照射後吸光度)を測定し、吸収極大波長における、「照射後吸光度/初期吸光度」の値を100分率で表したものを色素残存率として求めた。その結果を表2に示す。
Figure 0005216997
表2の結果から、有機金属錯体 化学式57を併用すると、300KJ/m光照射した場合には、比較例と比べて、光安定性に関して大きな差はないものの、600KJ/m光照射した場合には、約6%、1200KJ/m光照射した場合には、約10%の光安定性の向上が確認され、光照射時間が長くなる(光照射量が多くなる)につれて、本発明のイオン結合体と有機金属錯体とを併用した薄膜フィルターは、比較例と比べ光安定性に優れていることが確認され、本発明の色素と有機金属錯体を含有する光学フィルターは、比較例の従来色素を含有する光学フィルターと比べて光に対し、より長期間安定であることが確認された。
実験例3:近赤外吸収色素の光安定性 ジイモニウム塩併用
本発明の光学フィルターに含有する環状ジスルホニルイミドアニオンと色素カチオンとのイオン結合体について、イオン結合体とジイモニウム塩を含有する光吸収剤の薄膜条件下の光安定性を調べた。本発明のイオン結合体である化学式34、化学式37、及び、比較化合物である化学式63、化学式64を用い、それぞれの色素について、色素0.1質量%、化学式53で表されるジイモニウム塩0.6質量%、ポリメチルメタクリレート(商品名『PMMA』、シグマ アルドリッチ社製造)2.5質量%をMEKに溶解させた。その後、ポリカーボネート基盤上にスピンコート法にて薄膜フィルターを作成した。その際の薄膜吸収を測定し、吸収極大波長(λmax)(化学式34のλmaxは947nm、化学式37のλmaxは865nm)における色素の吸光度(初期吸光度)を測定した。その後、『セノンウェザーメータ XL−75』(スガ試験機製造)を用いて、測定条件:180W/m 槽内温度:15℃ 湿度:60%にて所定時間露光(600KJ/m、2400KJ/m)を行った後λmaxにおける吸光度(照射後吸光度)を測定し、吸収極大波長における、「照射後吸光度/初期吸光度」の値を100分率で表したものを色素残存率として求めた。その結果を表3に示す。
Figure 0005216997
表3の結果から、化学式53で表されるジイモニウム塩を併用すると、600KJ/m光照射した時には、比較例と比べて、光安定性において大きな差は見られないものの、2400KJ/m光照射した時には、約9%の光安定性が確認された。本発明のイオン結合体とジイモニウム塩とを併用した薄膜フィルターは、比較例と比べて、光照射時間が長くなる(光照射量が多くなる)につれて、光に対してより安定であることが顕著に示された。本発明のイオン結合体とジイモニウム塩を含有する光学フィルターは、比較例の従来色素を含有する光学フィルターと比べて光に対し、より長期間安定であることが確認された。
実施例1:光学フィルター
飽和共重合ポリエステル系樹脂(商品名『バイロン200』、東洋紡績株式会社製造)の20質量%トルエン溶液100質量部と、化学式37で表されるイオン結合体の0.5質量%シクロヘキサノン溶液とを混合した後、トルエンを加えて、ポリエステル系樹脂の濃度を9質量%に調整した。次いで、バーコーターを用いて、この溶液をポリエチレンテレフタレート製フィルム(商品名『T100E』、ダイヤホイルヘキスト株式会社製造、厚さ100μm)の片面へ均一に塗布し、乾燥させることによって膜厚4μmのコーティング膜を有する光学フィルターを作製した。
映像の三原色の色純度を損なうことなく、映像表示機器から輻射される不用な光を効果的に遮断する本例の光学フィルターは、いずれも、プラズマディスプレーなどの映像表示機器へ有利に適用できる。
実施例2:光学フィルター
飽和共重合ポリエステル系樹脂(商品名『バイロン200』、東洋紡績株式会社製造)の20質量%トルエン溶液100質量部と、化学式37で表されるイオン結合体の0.5質量%シクロヘキサノン溶液とを混合した後、化学式52で表されるジイモニウムを0.66質量%添加し、トルエンを加えて、ポリエステル系樹脂の濃度を9質量%に調整した。次いで、バーコーターを用いて、この溶液をポリエチレンテレフタレート製フィルム(商品名『T100E』、ダイヤホイルヘキスト株式会社製造、厚さ100μm)の片面へ均一に塗布し、乾燥させることによって膜厚4μmのコーティング膜を有する光学フィルターを作製した。
映像の三原色の色純度を損なうことなく、映像表示機器から輻射される不用な光を効果的に遮断する本例の光学フィルターは、いずれも、プラズマディスプレーなどの映像表示機器へ有利に適用でき、より耐光性が向上した光学フィルターの作成が可能になった。
実施例3:光学フィルター
飽和共重合ポリエステル系樹脂(商品名『バイロン200』、東洋紡績株式会社製造)の20質量%トルエン溶液100質量部と、化学式37で表されるイオン結合体の0.5質量%シクロヘキサノン溶液とを混合した後、化学式57で表されるジチオール金属錯体を0.2質量%添加し、トルエンを加えて、ポリエステル系樹脂の濃度を9質量%に調整した。次いで、バーコーターを用いて、この溶液をポリエチレンテレフタレート製フィルム(商品名『T100E』、ダイヤホイルヘキスト株式会社製造、厚さ100μm)の片面へ均一に塗布し、乾燥させることによって膜厚4μmのコーティング膜を有する光学フィルターを作製した。
映像の三原色の色純度を損なうことなく、映像表示機器から輻射される不用な光を効果的に遮断する本例の光学フィルターは、いずれも、プラズマディスプレーなどの映像表示機器へ有利に適用でき、より耐光性が向上した光学フィルターの作成が可能になった。
産業上の利用可能性
叙述のごとく、本発明の光学フィルターは耐光性に優れ、長期間にわたって、光吸収能力が低下せず、種々の光学フィルター用途に用いることができ、例えば、プラズマディスプレーなどの映像表示機器へ取り付ける光学フィルターへ用いると、可視光域においては映像の三原色の色純度を損なうことなく、映像表示機器から輻射される不用な光を効果的に遮断するので、コントラストと色再現性に優れた高画質の映像が得られ、また近赤外域においても赤外線リモコンが近赤外線によって誤動作することもない。
斯くも顕著な効果を奏するこの発明は、斯界に貢献すること誠に多大な、意義のある発明であると言える。

Claims (4)

  1. 一般式1で表される環状ジスルホニルイミドアニオンと一般式2で表される色素カチオンとのイオン結合体を含有することを特徴とする光学フィルター。
    一般式1:
    Figure 0005216997
    (一般式1において、R、Rはそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子を表す。nはアルキレン基の炭素原子数を表し、2〜6の整数である。)
    一般式2:
    Figure 0005216997
    (一般式2において、Yはメチン鎖を表し、そのメチン鎖は置換基及び/又は環状構造を有していてもよい。Z及びZは互いに同じか異なる芳香環又は複素環を表し、それらの芳香環及び複素環は置換基を有していてもよい。)
  2. 環状ジスルホニルイミドアニオンが一般式5で表される環状ジスルホニルイミドアニオンであり、色素カチオンが一般式6で表される色素カチオンである、ことを特徴とする請求項1記載の光学フィルター。
    一般式5:
    Figure 0005216997
    (一般式5において、nはアルキレン基の炭素原子数を表し、2〜6の整数である。)
    一般式6:
    Figure 0005216997
    (一般式6において、Z及びZは互いに同じか異なる芳香環又は複素環を表し、それらの芳香環又は複素環は置換基を有していてもよい。A及びAは、それぞれ独立に、炭素原子又はヘテロ原子を表す。R及びRは脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表し、それらの脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよい。R乃至Rは、それぞれ独立に、水素原子又は適宜の置換基を表し、A及びAがヘテロ原子である場合、R乃至Rの一部又は全部が存在しない。又、R乃至Rは、Z又はZ或いはZ又はZにおける置換基と結合し縮合環を形成することが出来る。さらに、RとR、RとRは結合し、3乃至8員環を形成することが出来る。Lはメチン鎖を表し、そのメチン鎖は置換基及び/又は環状基を有していてもよい。
  3. 環状ジスルホニルイミドアニオンが化学式65で表されるアニオンである、ことを特徴とする請求項1又は2記載の光学フィルター。
    化学式65:
    Figure 0005216997
  4. 一般式3で表されるジイモニウム塩又は、一般式4で表される骨格を有する有機金属錯体のいずれか、或いは両方を含有することを特徴とする請求項1乃至3記載の光学フィルター。
    一般式3:
    Figure 0005216997
    (一般式3において、R乃至R16は、それぞれ独立に、水素原子又は、適宜の置換基を表し、Xは対アニオンである。)
    一般式4:
    Figure 0005216997
    (一般式4の式中R17乃至R20はそれぞれ独立に水素原子又は適宜の置換基を表し、R17とR18、R19とR20が互いに連結して芳香環を形成しても良い。YとYはそれぞれ酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を表し、Mは金属原子又は金属イオンを表す。)
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