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JP4120226B2 - 有毛人工皮革の製造方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新品でありながらも着古し感覚を有する有毛人工皮革商品を提供することのできる有毛人工皮革とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、新品であるが、着古したジーンズのような感覚を有し、カジュアル感を前面に出した商品が若者を中心に好まれ受け入れられている。
【0003】
これは、フィブリル化しやすい天然繊維の特性や使用する染料の染着特性などを利用し、多くは縫製後の製品をワッシャーに入れて、軽石や、コルクボールとともに回転処理させることにより、これらの軽石や縫製品どおしがワッシャー内でぶつかり、擦れ合い、縫製品の生地の縫い目付近部など凹凸部に特徴のある濃淡が現れ、着古し感が得られた商品を得ている。
【0004】
一方、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維で構成された編織物の場合、天然繊維に比べ繊維内部まで均一に染色されるため、ワッシャーで軽石や、コルクボールとともに強く揉んだとしても綿やテンセルなどのような着古し感を出すことは極めて難しいため、顔料をバインダーで生地表面に固着させた後、縫製し、その後にワッシャーで軽石や、コルクボールを用いて、同様に処理することにより同様の効果を有する縫製品がある。
【0005】
しかしながら、不織布構造を有する有毛人工皮革の場合、表面の毛羽がスクリーン紗に詰まり安定したプリントが困難であったり、ワッシャー洗いでの揉み作用による物性低下が著しく生産面と品質面での問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術と該技術による布帛等における問題点に鑑み、生産安定性と品質の両面の課題をうまく解決し、有毛不織布製品でありながら、ストーンウオッシュジーンズ感覚を有する新感覚素材、衣料とその製造方法を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
【0009】
発明の有毛人工皮革の製造方法は、顔料をバインダーで有毛不織布生機表面に固着させた後、有毛不織布を縫製品とし、しかる後、該縫製品に揉み作用を施し、有毛不織布の表面に無作為なランダム状態でバインダーで固着した顔料が存在する有毛人工皮革を得ることを特徴とする有毛人工皮革の製造方法であり、あるいは、また、本発明の有毛人工皮革の製造方法は、顔料をバインダーで有毛不織布生機の反物の表面に固着させた後、毛不織布反物に揉み作用を施し、有毛不織布の表面に無作為なランダム状態でバインダーで固着した顔料が存在する有毛人工皮革を得ることを特徴とする有毛人工皮革の製造方法である。
【0010】
上述した本発明の有毛人工皮革製造方法において、用いられる有毛不織布は、スクリム(短繊維が絡みつくことができるほどに目の粗めの織物・編物)を内填したものが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、更に詳しく本発明について説明をする。
【0012】
本発明の有毛人工皮革は、単繊維繊度が0.001デニール以上0.3デニール未満の短繊維とポリウレタン樹脂で構成された有毛不織布であり、該有毛不織布の表面には、無秩序にバインダーで固着された顔料が存在しているものである。 本発明において、「有毛不織布の表面に、無作為なランダム状態でバインダーで固着された顔料が存在している」とは、有毛不織布の表面にバインダーで固着した顔料が揉み作用を受けることによって部分的に脱落しながらも無作為なランダム状態を呈して存在している状態であり、揉み作用ごとあるいは縫製品ごとに脱落状態が異なることをいう。また、「有毛不織布」とは、短繊維ウエッブをニードルパンチ等で交絡させフェルトとした後、ポリウレタン樹脂を含浸させシートとした後、表面および裏面をサンドペーパー等でサンディングし立毛させたものであることをいう。
【0013】
本発明の有毛不織布を構成する短繊維は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートなどポリエステル系繊維やナイロン6やナイロン66に代表されるポリアミド系繊維など合成繊維類が極細繊維からなる不織布を好適に作れるので好ましい。
【0014】
不織布を構成する単繊維の繊度(単糸繊度)は0.001デニール以上0.3デニール未満の極細繊維が最終製品の表面タッチを滑らかにできるので好ましい。0.001以下では原糸物性が不十分であり、物理的な揉み作用の際に毛羽が脱落しやすい。一方、0.3デニールを越えると滑らかな表面タッチが得られず、好ましくない。
【0015】
不織布は短繊維からなるフェルトにポリウレタンを含浸させた後、バフィングで、表面に微細毛羽を形成させることで有毛不織布の生機が作られる。一般的にはその後、染色機を用い染色し製品となる。
【0016】
本発明では、染色後あるいは染色する前の生機の段階で顔料と有機系バインダーで不織布表面に塗布/固着させることが必須である。
【0017】
顔料には、フタロシアニン系など有機顔料や、カーボンブラック、酸化チタンなど無機系顔料等があるが、本発明においては、最終製品の所望の色相などに対応させて適宜のものを用いればよい。また、バインダーも、バインダー付与後の洗濯処理等の物理的揉み処理での落ちやすささの兼ね合いや、最終製品の風合いなどに対応させて、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂などの各種バインダーを適宜に選定し使用することができる。
【0018】
顔料とバインダーを不織布表面に塗布するには、ロータリープリント、スクリーンプリントなどのプリント法やロールコーティングやナイフコーティングなどのコーティング法あるいはパッドキュア法、スプレー塗布法などが適宜に用いられ得るが、均一な付与、生産安定性や設備対応の観点からは、ロータリースクリーンでの塗布が好ましい。染色後の不織布に前述プリント法で塗布する場合には、染色工程で不織布表面に遊び毛(毛羽)の付着によるプリント紗の目詰まりを防止する必要があるので、プリントする前にブラッシングと吸引等で表面に付着した遊び毛を除去したり、樹脂剤を顔料プリントする前に付与する毛羽落ち防止処置を施す必要がある。
【0019】
本発明は、染色後でも染色無しでも十分な特徴ある縫製品が得られるが、生産での工程安定性や経済性の面からは、不織布生機に直接顔料プリントすることが好ましい。その場合、生機を構成するポリウレタンに無機系、あるいは有機系の顔料を予め練り混み、任意の色付けを行う方が色の多様性の面から好ましい。
【0020】
不織布生機は、バフィングと同時に行われる毛羽除去によって、表面の遊び毛の存在が少なく、プリント紗の目詰まり発生を大幅に軽減できるものである。
【0021】
不織布表面に塗布/固着する際に使用する顔料の制約はなく、フタロシアニン系など有機系、カーボンブラックなどの無機系顔料が単独であるいは混合されて適宜に用いられる。また、全面プリントでも良く、柄付けや多色展開に制約を有すものではない。
【0022】
本発明の特徴を発現させるにおいて次に重要な点は、顔料を付与した後に物理的揉み作用を与え、表面に塗布した顔料を取り除く工程である。
【0023】
物理的揉み作用は、生地段階でもあるいは縫製品段階でのいずれで施して良く、生地の場合は揉み作用が強くまた品質面で安定性の優れる液流染色機で処理することが良く、同時に柔軟剤などの風合い調整剤と汚染防止剤など界面活性剤を適宜処理液に添加することができる。
【0024】
一方、縫製品の場合はコルクボールや軽石と水とともにワッシャー処理機に縫製品を入れ、適温にて処理することで良い。同時に柔軟剤などの風合い調整剤と汚染防止剤など界面活性剤を適宜処理液に添加することができる。
【0025】
すなわち、本発明の製造方法は、顔料をバインダーで有毛不織布表面に固着させた後、該有毛人工皮革を縫製品とし、しかる後、該縫製品に揉み作用を施し、有毛不織布の表面に無作為なランダム状態でバインダーで固着した顔料が存在する有毛人工皮革を得るか、あるいは、また、本発明の有毛人工皮革の製造方法は、料をバインダーで有毛不織布の反物の表面に固着させた後、該有毛不織布反物に揉み作用を施し、有毛不織布の表面に無秩序にバインダーで固着した顔料が存在する有毛人工皮革を得るものである。
【0026】
物理的揉み作用に耐え得るには、スクリムを挿入しない場合の不織布では、目付で100g/m2 以上であることが製品としての強力をはじめとする物理特性を維持できるので好ましい。
【0027】
本発明の有毛人工皮革とその製造方法において、好ましくは、該有毛人工皮革が、実質的に染料で着色されていないことを特徴とするものである。このようにすることにより、ジーンズ調の着古し感という効果が得られる。
【0028】
また、好ましくは、実質的に100g/m2 以上であることを特徴とする有毛人工皮革であり、あるいは、該有毛人工皮革が不織布の内層部にスクリムを配してなることを特徴とするものである。これらの構成にすることにより、ジーンズ調の着古し感という効果が得られる。
【0029】
本発明にかかる人工皮革に対し、さらに付加価値を与えることを企図し、各種プリントを行いプリント柄等をも適宜に重ねることもできる。
【0030】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
単糸(単繊維)繊度0.18デニールのポリエチレンテレフタレート短繊維フェルトに75デニール、72フィラメントからなる強撚織物をスクリムとして挿入し、さらにポリウレタン樹脂をバインダーとしてなる不織布の表面をバフ起毛した目付375g/m2 の有毛不織布の表面にカーボンブラック ニューラクチン ブラック FLPR(大日精化工業社製)0.5%バインダーとしてアクリル樹脂であるネステッカーBP−170(日華化学社製)80%にターペン8%を混合した水系混合液をロータリースクリーンを用い、60g/m2 を塗布し、120℃で乾燥した。その後ピンテンターを用い170℃で1分ベーキングした。
【0031】
次いで、通常の縫製手順に従ってズボンを縫製した。
実施例2
単糸繊度0.04デニールのポリエチレンテレフタレート短繊維フェルトポリウレタン樹脂をバインダーとしてなる不織布の表面をバフ起毛した目付240g/m2 の有毛不織布の表面にカーボンブラックを主成分とするニューラクチン ブラック FLPR(大日精化工業社製)0.5%バインダーとしてアクリル樹脂であるネステッカーBP−170(日華化学社製)80%にターペン8%を混合した水系混合液をロータリースクリーンを用い、60g/m2 を塗布し、120℃で乾燥した。その後、ピンテンターを用い170℃で1分ベーキングした。
【0032】
次いで、通常の縫製手順に従ってズボンを縫製した。
比較例1
実施例1で使用した有毛不織布を液流染色機中で130℃で45分間、分散染料(CI.N0.Disp.blue 56)を生地重量に対し4%用い染色し、ハイドロサルファイトを用いた還元洗浄、水洗、湯洗の後、100℃で乾燥した。その後、染色した不織布の表面に実施例1と同様に顔料をプリントしズボンを縫製した。
実施例3
比較例1の染色、還元洗浄乾燥の後、1%のPVA(ポリビニールアルコール)水溶液に含浸し、マングルで絞った後100℃で乾燥した。次いで実施例1と同様の顔料プリントに供して同様にズボンを縫製した。
比較例2
単糸繊度0.04デニールのポリエチレンテレフタレート短繊維フェルトポリウレタン樹脂をバインダーとしてなる不織布の表面をバフ起毛した目付95g/m2 の有毛不織布の表面にカーボンブラックを主成分とするニューラクチン ブラック FLPR(大日精化工業社製)0.5%バインダーとしてアクリル樹脂であるネステッカーBP−170(日華化学社製)80%にターペン8%を混合した水系混合液をロータリースクリーンを用い、60g/m2 を塗布し、120℃で乾燥した。その後、ピンテンターを用いて170℃で1分ベ−キングした。
【0033】
次いで、通常の縫製手順に従ってズボンを縫製した。
【0034】
実施例と比較例で作成したズボンをワッシャー型処理機に入れ、水と2g/lのラクセットKG(洛東化成社製)およびコルクボール加え80℃で60分間物理揉み処理を施し、脱水後乾燥した。これらのズボンを評価しその結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
Figure 0004120226
【0036】
かかる表1から明らかなように、実施例1〜3および比較例1は、通常の縫製品に比して、部分的に揉み作用を強く受けた表面の顔料が脱落し、その結果、有毛不織布の表面に無作為なランダム状態でにバインダーで固着された顔料が存在する人工皮革生地からなる、かつジーンズ調の着古し感を有したカジュアル感覚に優れ、物性面も問題ないズボンが得られた。
【0037】
一方、不織布の目付が小さい比較例2ではワッシャーでの物理揉み作用において、す抜け破れが発生し、製品として成り立たないものであった。また、比較例1の製品は一見問題ないものであるが、顔料プリントの際に毛羽詰まりによるプリントムラが多発し生産可能と言えるものではなかった。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、有毛不織布からなる製品でありながらジーンズ調の着古し感覚に富む、新カジュアル感覚に富んだ製品を提供することができる。

Claims (2)

  1. 顔料をバインダーで有毛不織布生機表面に固着させた後、有毛不織布を縫製品とし、しかる後、該縫製品に揉み作用を施し、有毛不織布の表面に無作為なランダム状態でバインダーで固着した顔料が存在する有毛人工皮革を得ることを特徴とする有毛人工皮革の製造方法。
  2. 顔料をバインダーで有毛不織布生機の反物の表面に固着させた後、毛不織布反物に揉み作用を施し、有毛不織布の表面に無作為なランダム状態でバインダーで固着した顔料が存在する有毛人工皮革を得ることを特徴とする有毛人工皮革の製造方法。
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