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JP4123344B2 - ハロゲン化銀乳剤粒子の形成方法及び装置 - Google Patents
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JP4123344B2 - ハロゲン化銀乳剤粒子の形成方法及び装置 - Google Patents

ハロゲン化銀乳剤粒子の形成方法及び装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀乳剤粒子の形成方法及び装置に係り、特に、静的混合装置を使用してハロゲン化銀乳剤粒子を形成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀感光材料に使用するハロゲン化銀乳剤粒子を形成する場合、大きく分けて2つのポイントとなる工程がある。1つはハロゲン化銀乳剤粒子の種粒子を形成する核形成工程であり、もう1つは核形成工程で形成された種粒子を感光材料に好適な大きさの粒子に成長させる粒子成長工程である。
【0003】
先ず、核形成工程において、例えば形の揃った平板粒子を調製するには、平板粒子の元になる種粒子の段階で粒子サイズ分布が揃った、二重双晶の発生確率を上げることが必要である。また、このような平板粒子を成長させる為には、成長方向を規制するために、成長用のホスト粒子が存在する系に、核形成で形成した成長用の種粒子を添加し、オストワルド熟成を進行させることが有効である。このような種粒子は微小サイズで単分散性に優れていることが要求される。
【0004】
このような種粒子を形成するためには、銀塩水溶液(以下「硝酸銀水溶液」の例で説明する)とハロゲン塩水溶液を非常に低濃度の状態で混合反応装置で混合して両液を反応させるならば、余程弱い攪拌又は混合条件でない限り所望の双晶の種粒子を形成することは可能であるが、低濃度条件では工業的に採算がとれない。従って、工業的に採算がとれる濃度レベルで種粒子を形成したり、種粒子を成長させたりするためには、高濃度条件での反応が必要である。
【0005】
また、核形成工程や粒子成長工程において微小なハロゲン化銀乳剤粒子を安定して形成するためには、核形成と粒子成長が同時に起こらない装置的工夫が必要であり、そのための混合装置としては、逆流を発生させない小容量の静的混合装置を使用することが望ましい。ここで、静的混合装置とは、混合場に攪拌機等の攪拌手段を有しない混合装置をいう。
【0006】
このような静的混合装置を使用したハロゲン化銀乳剤粒子の形成方法としては、特開平4−292416号公報、特開平11−217217号公報、特開2000−187293号公報等があり、これらは、高Re(レイノルズ数)の硝酸銀水溶液とハロゲン塩水溶液の2つのジェット噴流を、T字管やY字管のような非常に狭い配管の交点で衝突させることにより両液を瞬時に混合反応させ、混合反応液を短時間で排出するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の静的混合装置のように、高速乱流である両液を衝突させて混合効率を上げるためには、ジェット噴流の速度を大きくすることが必要であるが、ジェット噴流の速度を大きくすると、両液の液液摩擦による摩擦熱が発生する。ハロゲン化銀乳剤粒子の形成のための反応は発熱反応であるために、発熱反応に摩擦熱が加わると、硝酸銀水溶液とハロゲン塩水溶液との反応で形成された種粒子に、オストワルド熟成による成長が進行してしまい、微粒子で単分散性の良いハロゲン化銀乳剤粒子が形成されにくいという欠点がある。
【0008】
また、高速乱流なジェット噴流は、キャビテーションが生じ易く、キャビテーションによる気泡が集まって静的混合装置内に気液界面が形成され易く、これにより混合や反応の不均一が生じるため、微粒子で単分散性の良いハロゲン化銀乳剤粒子が形成されにくいという欠点がある。
【0009】
そこで、出願人は、従来の欠点を解消すべく、図7に示すように、第1ノズル1からハロゲン塩水溶液(又は硝酸銀水溶液)を乱流の直進流Aとして混合室2に噴出し、該直進流Aが小径な第1ノズル1からそれよりも大径な混合室2に噴出させることで混合室2に形成される渦粘性が最大になる以前の位置に、又は直進流Aの最大流速が1/10以下に減少する以前の位置に、第2ノズル3から硝酸銀水溶液(又はハロゲン塩水溶液)を直進流Aに対して略直交する直交流Bとして噴出して直進流Aに同伴させることにより、混合室2に発生する渦粘性を利用して硝酸銀水溶液とハロゲン塩水溶液の2つの溶液を瞬時に混合して反応させ、混合反応液を流出管4から排出する構成の静的混合装置5を開発した。
【0010】
このように、直進流Aと直交流Bとを混合室2に噴射し、混合室2に形成した渦粘性を利用して混合反応させる静的混合装置5は、ハロゲン塩水溶液と硝酸銀水溶液とを狭い配管の交点で衝突させる従来の静的混合装置に比べて、硝酸銀水溶液とハロゲン塩水溶液との混合時の摩擦熱の減少や、キャビテーションの発生を防止し、混合反応を効率的に行うことができ、静的混合における混合状態の最適化を図ることができる。
【0011】
しかし、かかる渦粘性を利用した静的混合装置は、従来の発想の枠を越えた斬新な装置であり、混合反応の最適条件の更なる検討により、装置上の改良を図る必要がある。
【0012】
例えば、第1ノズル1から混合室2に高速流として噴出される直進流Aは、噴出時の流速がmm長さ単位で刻々と減速するが、直進流Aと直交流Bの混合効率を上げるためには、直進流Aの流速ができるだけ減速しないうちに直交流Bを噴出することが好ましい。また、混合室2に噴出された直進流Aと直交流Bとが衝突する近傍に、図7に示すように、ハロゲン塩水溶液や硝酸銀水溶液の濃度の濃い渦6ができ易く、この渦6が滞留循環する流れを発生させるため、混合反応性能を低下させる要因になる。従って、渦粘性を利用した静的混合装置5における混合反応性能の一層の向上を図るためには、これらの点を改良する必要がある。
【0013】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたもので、硝酸銀水溶液とハロゲン塩水溶液との混合時の摩擦熱の減少や、キャビテーションの発生を防止し、混合反応を効率的に行うことができ、静的混合における混合状態を最適化することができるので、粒子サイズが小さく単分散性に優れたハロゲン化銀乳剤粒子を形成することができるハロゲン化銀乳剤粒子の形成方法及び装置を提供することを目的とする。
【0014】
また、直進流の流速が減速しないうちに直交流を噴出することができ、且つ混合室に噴出された直進流と直交流とが衝突する近傍に渦ができにくくすることで、混合反応性能を一層向上させることのできるハロゲン化銀乳剤粒子の形成方法及び装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成する為に、銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液とを混合反応させてハロゲン化銀乳剤粒子を形成するハロゲン化銀乳剤粒子の形成方法において、前記銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液のうちの一方の液を乱流の直進流として噴出する第1ノズルの途中に、第2ノズルから他方の液を前記直進流に対して略直交する直交流として噴出して前記直進流に合流させた後、前記直交流を同伴する直進流を前記第1ノズルよりも大径な混合室に噴出して前記一方の液と他方の液を静的に混合反応させると共に混合反応液を前記混合室の径よりも小径な排出口から排出することにより、前記ハロゲン化銀乳剤粒子の微粒子核を形成する核形成工程を行うことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は前記目的を達成するために、銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液とを静的混合装置で混合して反応させることによりハロゲン化銀乳剤粒子を形成するハロゲン化銀乳剤粒子の形成装置において、前記静的混合装置は、前記銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液のうちの一方の液を乱流の直進流として噴出する第1ノズルと、前記第1ノズルの途中から、前記銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液のうちの他方の液を前記直進流に対して略直交する直交流として噴出して前記直進流に合流させる第2ノズルと、前記直交流を同伴した直進流を噴出して前記一方の液と他方の液を混合反応させる混合室を有する混合器と、前記混合室で混合反応した混合反応液を該混合室から排出する排出口と、を有し、前記混合室の筒径は、前記第1ノズル、第2ノズル及び排出口の口径よりも大径に形成されていることを特徴とする。
【0017】
ここで、本発明において、「他方の液を直進流に対して略直交する直交流として噴出する」とは、直交流が直進流に対して完全に直交しなくても、直交する速度ベクトル成分を主成分とするものであればよいことを意味する。
【0018】
また、本発明において、直進流は基本的に1本であるが、直交流は複数本であってもよい。例えば、ハロゲン塩水溶液の1本の直進流に対して銀塩濃度或いは銀塩の種類(硝酸銀、沃化銀等)等の異なる複数種類の銀塩水溶液を複数本の直交流として噴出するようにしてもよい。この場合、直交流のノズル位置を複数設けて複数種類の銀塩水溶液を噴出するようにしても良く、或いは1つのノズル位置から複数種類の銀塩水溶液を、反応初期、反応中期、反応終期に分けて順番に噴出するようにしてもよい。従って、直進流の第1ノズルは基本的に1本であるが、直交流の第2ノズルは複数本あってもよい。
【0019】
本発明は、従来の静的混合装置のように、銀塩水溶液の高速乱流とハロゲン塩水溶液の高速乱流とをT字管やY字管のような非常に狭い配管の交点で衝突させて、その衝突場において瞬時に混合反応させるというよりも、乱流場での混合性評価として知られている渦粘性に着目し、静的混合装置内でハロゲン塩水溶液(又は銀塩水溶液)の直進流と、銀塩水溶液(又はハロゲン塩水溶液)を直交流として混合室に添加し、直進流に同伴されることで形成される渦粘性を利用することで、両液を瞬時に混合反応させるように構成したものである。
【0020】
特に本発明は、第1ノズルの途中で第2ノズルから液を混合させたので、直進流を低速化することができる。従って、直進流による液液摩擦の摩擦熱の発生を抑制することができ、形成された粒子のオストワルド熟成による成長を抑制することができる。また、本発明は、第1ノズルの途中で第2ノズルから液を混合させたので、直交流を無駄なく直進流に同伴させることができる。更には、直進流の流速が減速しないうちに直交流を噴出することができ、且つ混合室においてハロゲン塩水溶液や硝酸銀水溶液の濃度分布ができるのを防止することができる。
【0021】
即ち、静的混合装置は、銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液のうちの一方の液を乱流の直進流として噴出する第1ノズルの途中に、第2ノズルから他方の液を直進流に対して略直交する直交流として噴出して前記直進流に合流させることにより、直進流の流速が減速しないうちに直交流を噴出すると共に、第1ノズルで合流した直進流と直交流とを混合室に噴出することにより、混合室においてハロゲン塩水溶液や硝酸銀水溶液の濃度分布ができないようにした。そして、直交流を同伴する直進流を、第1ノズルから該第1ノズルの口径よりも大きな筒径の混合室に噴出することにより、混合室に渦粘性を発生させて銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液とを混合反応させる。更に、混合反応液を混合室の径よりも小径な排出口から排出することにより、混合室におけるキャビテーションの発生を防止した。第1ノズルから混合室に噴出される直進流と直交流とが合流したジェット流は、その流れの幅よりも広い場所に噴出されることで乱流による渦粘性が発生し、混合効果を顕著に上げることが可能であるが、前述したT字管やY字管のように管径が変化しない場合には、このような効果を期待できない。
【0022】
直交流を同伴する直進流を、第1ノズルから該第1ノズルの口径よりも大きな筒径の混合室に噴出することにより、混合室に渦粘性が発生することや、渦粘性による混合性能の確認は、流動解析ソフトとして既に日本で市販されているアールフロー社製の数値解析ソフト、R−Flowを用いて予めシミュレーションすることで確認することができる。
【0023】
本発明の好ましい態様としては、直進流を薄膜状に形成すると共に、直進流の薄膜面に対して略直交するように薄膜状の直交流を噴出するのが良い。これにより、直進流が作る同伴界面積や直交流が作る被同伴界面積を大きくすることができ、直進流が直交流を精度良く同伴して混合室に噴出することができる。
【0024】
また、本発明の好ましい態様としては、第2ノズルから噴出される直交流の噴出流速は、第1ノズルを流れる直進流の流速の同等以下になることが良い。これにより、直進流が直交流を同伴し易くする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るハロゲン化銀乳剤粒子の形成方法及び装置の好ましい実施の形態について詳説する。また、本実施の形態では、1本の直進流と1本の直交流の例で説明する。
【0026】
図1は、本発明のハロゲン化銀乳剤粒子の形成装置を備えたハロゲン化銀感光材料の製造ライン10を概念的に示した図である。
【0027】
ハロゲン化銀感光材料の製造ライン10は、ハロゲン化銀乳剤粒子の微粒子核を形成する核形成工程と、核形成工程で形成された微粒子核を、成長用のハロゲン化銀乳剤粒子に接触させて微粒子核を成長させる核成長工程とから構成される。そして、核形成工程に本発明のハロゲン化銀乳剤粒子の形成装置である静的混合装置12が配設され、核成長工程に加熱用ジャケット14を備えた成長用タンク16が配設される。
【0028】
静的混合装置12では、硝酸銀水溶液Xとハロゲン塩水溶液Yとが瞬時に混合反応されてハロゲン化銀乳剤粒子の微粒子核を含む混合反応液Zが形成され、直ちに成長用タンク16に送られる。核成長用タンク16に送られた微粒子核は、成長用のハロゲン化銀乳剤粒子の溶液中で攪拌機18で攪拌されながらオストワルド熟成して成長する。この核成長工程での成長用のハロゲン化銀乳剤粒子の形成にも核形成工程で使用したと同じ静的混合装置を用いることが好ましい。
【0029】
図2は、本発明における静的混合装置12の構造を示した概念図である。
【0030】
図2に示すように、静的混合装置12は、ハロゲン塩水溶液Yを乱流の直進流Aとして噴出する第1ノズル34と、第1ノズル34の途中に硝酸銀水溶液Xを直進流Aに対して略直交する直交流Bとして噴出して直進流Aに合流させる第2ノズル36と、直交流Bを同伴した直進流Aを噴出して硝酸銀水溶液Xとハロゲン塩水溶液Yとを混合反応させる混合室20を有する混合器22と、混合室20で混合反応した混合反応液を該混合室20から排出する排出管管26とで構成される。尚、また、第1ノズル34からハロゲン塩水溶液Yを噴出し、第2ノズル36から硝酸銀水溶液Xを噴出するようにしたが、両液を逆にしてもよい。更に、排出管26の接続位置は、混合器22の他端側近傍であれば、混合器22の側面部に接続してもよい。
【0031】
第1及び第2ノズル34、36は、混合器22の一端側開口に接続したブロック状のオリフィス材23に、直進流Aのための第1のオリフィス30と直交流Bのための第2のオリフィス32を一体的に穿設加工して形成される。そして、ハロゲン塩水溶液Yを第1のオリフィス30に導入する第1の導管24をオリフィス材23に接続すると共に、硝酸銀水溶液Xを第2のオリフィス32に導入する第2の導管28をオリフィス材23に接続する。ブロック状のオリフィス材23に、第1及び第2のオリフィス30、32を穿設加工する方法としては、金属、セラミックス、ガラス等の材料に100μm程度の孔を精密に開ける加工方法として公知のマイクロ切削加工、マイクロ研削加工、噴射加工、マイクロ放電加工、LIGA法、レーザー加工、SPM加工等を好適に使用できる。この場合、第1のオリフィス30はオリフィス長W(図4参照)の全長を通してオリフィス径が同じでもよいが、第1ノズル34に第2ノズル36連通する構造は、第1ノズル34を構成する第1のオリフィス30のオリフィス長Wを例えば5mm程度に長くする必要がある。従って、第1のオリフィス30の圧損抵抗を小さくするには、第1のオリフィス30をオリフィス出口に向かってオリフィス径が拡径するようにすることが好ましい。これにより、圧損抵抗を小さくできるだけでなく、拡径した位置に第2のオリフィス32を連通させるようにすれば、穿設加工も容易になる。
【0032】
オリフィス材23の材質としては、加工性が良く、硬度がダイヤモンドに近い材質のものが好ましい。従って、ダイヤモンド以外の材質としては、種々の金属や金属合金に焼入れ、窒化処理、焼結処理等の硬化処理したものを好適に使用することができる。また、セラミックスも硬度が高く、ダイヤモンドよりも加工性が優れているので好適に使用できる。尚、本実施の形態では、第1ノズル34及び第2ノズル36の絞り構造としてオリフィスの例で説明するが、乱流の液体を噴射する機能を有するものであれば、オリフィスに限らず他の方法を用いることができる。
【0033】
また、第1の導管24と第2の導管28には、図示しない加圧手段が設けられ、ハロゲン塩水溶液Yと硝酸銀水溶液Xとが第1及び第2ノズル34、36に加圧供給される。液体に高圧力をかける加圧手段としては、種々の手段が知られており何れの手段も使用可能であるが、比較的入手し易く安価な手段としてはプランジャーポンプや増圧ポンプのような往復ポンプを使用することが好ましい。また、往復ポンプほど高圧を発生することはできないが、ロータリポンプの中にも高圧発生型のものがあるので、このようなポンプを使用することもできる。
【0034】
そして、ハロゲン塩水溶液Yが乱流の直進流Aとして噴出される第1ノズル34の途中に、第2ノズル36から硝酸銀水溶液Xが直進流Aに対して略直交する直交流Bとして混合室20に噴出されて合流させた後、直交流Bを同伴する直進流Aを第1ノズル34よりも大径な混合室20に噴出してハロゲン塩水溶液Yと硝酸銀水溶液Xとを混合反応させると共に混合反応液を混合室20の径よりも小径な排出管26から排出する。
【0035】
かかる混合反応は、図3に模式的に示すように、乱流の高速な直進流Aに同伴される同伴流に、直進流Aに対して略直交方向から噴出される直交流Bを合流させて第1ノズル34から混合室20に噴出させることにより、乱流の直進流Aと直交流Bとが混ざり合って発生する大きな渦粘性を利用することで高性能な混合効率を得るものであり、静的混合装置12の上記した混合室20、第1及び第2ノズル34、36、排出管26は次の関係を有するように形成される。
【0036】
即ち、図2のように、混合室20に渦粘性が形成されることが必要であり、混合室20の筒径D1 が第1ノズル34のオリフィス径D2 、第2ノズル36のオリフィス径D3 よりも大径に形成される。特に、直交流Bを同伴した直進流Aを混合室20に噴出する第1ノズル34の口径は重要であり、第1ノズル34のオリフィス径D2 に対する混合室20の筒径D1 の寸法比は、1.1倍〜50倍の範囲が好ましく、更に好ましくは1.1倍〜20倍の範囲である。
【0037】
また、最大の渦粘性Cを混合室20に形成するために必要な混合室20の長さLを確保する必要があるが、あまり長すぎると混合反応液Zが混合室20で滞留や逆流が生じ易くなり、ハロゲン化銀粒子の粒子サイズの微粒子化や単分散性に悪影響を及ぼす。従って、混合室20の長さLは第1ノズル34から渦粘性Cの最大位置であるポイントP(図3参照)までの距離の2倍〜5倍が好ましく、更に好ましくは2倍〜3倍がよい。
【0038】
更に、小径な第1や第2ノズル34、36からそれよりも大径な混合室20に高速流で液体が噴出されると、キャビテーションを起こし易く、このキャビテーションにより混合室20に気液界面が形成されて混合効率を低下させる。従って、渦粘性Cを利用して混合効率を上げるためには、混合室20に気液界面が形成されないようにすることが必要である。従って、図2のように、排出管26の口径D4 を第3のオリフィス38で絞って混合室20の筒径D1 よりも小さくし、混合室20の圧力を上げた状態で混合することが必要である。これにより、キャビテーションを解消できるので、混合効率が一層向上する。尚、排出管26内の混合に寄与しない部分での滞留時間を極力短くする為、混合室20内の出口を絞るとともに、少なくとも混合室20の筒径D1 よりも小さな内径の排出管26を極力短くして成長用タンク16に接続するとよい。
【0039】
ちなみに、渦粘性Cを形成する混合室20がない場合や第1ノズル34と第2ノズル36の位置関係が適切でない場合には、直進流Aは途中から添加された直交流Bを伴って混合される以前に混合場から持ち出されるか、完全に混合するためには非常に長い混合場が必要になり、最初に混合されたものと最後に混合されたものの時間間隔が長くなり、ハロゲン化銀乳剤粒子の粒子サイズ分布が大きくなる。
【0040】
また、ハロゲン塩水溶液Yを乱流の直進流Aとして噴出する第1ノズル34の途中に、第2ノズル36から硝酸銀水溶液Xを直進流Aに対して略直交する直交流Bとして噴出して直進流Aに合流されるように形成される。この場合、直交流Bが直進流Aに対して90の角度で完全に直交しなくても、直交する速度ベクトル成分を主成分とするものであればよい。このように渦粘性を利用した混合反応では、混合室20に形成される渦粘性Cが最大になる以前の位置で、又は直進流Aの最大流速が1/10に減少する以前の位置で、直進流Aに対して直交流Bを噴出させることが重要であり、渦粘性Cが最大になる混合室20の位置は、流動解析ソフトとして既に日本で市販されて流動解析ソフトとして良く知られているアールフロー社製の数値解析ソフト、R−Flowを用いて予めシミュレーションすることで把握することができる。この場合、図3から分かるように、渦粘性Cが最大になる位置はピンポイントではなく領域を有するので、渦粘性Cの最大位置を渦粘性Cの略中心部であるポイントPとすればよい。従って、ポイントP以前に第2ノズル36を位置決めすればよく、図7のように第2ノズル36の位置を混合器22の側方に配置することも可能であるが、第1ノズル34と第2ノズル36の究極の位置関係として、第2ノズル36を第1ノズル34の途中に連通させるようにしたものである。これにより、混合室20に形成される渦粘性Cが最大になる以前の位置で、直進流Aに対して直交流Bを噴出させるための条件を満足するだけでなく、直進流Aの流速が減速しないうちに直交流Bを噴出でき、且つ混合室20においてハロゲン塩水溶液Yや硝酸銀水溶液Xの濃度分布が発生しないようにできる。従って、ハロゲン塩水溶液Yと硝酸銀水溶液Xとの混合反応性能をより一層向上させることができる。
【0041】
また、直交流Bが直進流Aに合流させて直進流Aに同伴させ易くするためには、直交流Bの噴出流速は直進流Aの噴出流速の同等以下であることが好ましく、具体的には直進流Aが第1ノズルを流れる流速に対する直交流Bの噴出流速の流速比は、0.05倍〜0.4倍、更に好ましくは0.1〜0.3倍がよい。
【0042】
また、直進流Aや直交流Bの噴出流形状は糸線状の細い噴出流形状でもよいが、直進流Aや直交流Bの噴出流形状を薄膜状にして、直進流Aの薄膜面に対して略直交するように薄膜状の直交流Bを噴出することが好ましい。これにより、直進流Aが作る同伴界面積や直交流Bが作る被同伴界面積を大きくすることができ、直進流Aが直交流Bを同伴し易くなる。
【0043】
図5は直進流Aや直交流Bの噴出流形状を糸線状にする場合のオリフィス形状であり、直線状の第1のオリフィス30の途中に、直線状の第2のオリフィス32が連通される。一方、図6は直進流Aや直交流Bの噴出流形状を薄膜状にする場合のオリフィス形状であり、スリット状の第1のオリフィス30の途中に、スリット状の第2のオリフィス32が連通される。尚、図5及び図6における(a)はオリフィス先端側から見た図、(b)はオリフィスの縦断面図、(c)はオリフィスの横断面図である。
【0044】
尚、図6に示したスリット状のオリフィスのように、管路の断面が円形でない場合のレイノルズ数に関しては『化学工学通論』(疋田晴夫著、朝倉書店)に、次のように取り扱えることが示されている。すなわち、Sを「断面積」、lpを「流体が接触している固体壁周辺の長さ」とした時、相当直径Deは、De=4S/lpで定義される。スリット状のオリフィスは閉溝構造であることから、短辺をa、長辺をbとすれば、lp=2(a+b)で示される。従って、相当直径Deは、以下の式(1)で示される。
【0045】
【数1】
De=4(ab)/2(a+b)=2ab/(a+b)…式(1)
本発明で表現する乱流を計算する場合、円相当直径として式(1)で計算されたDeが使用される。
【0046】
次に、上記の如く構成された静的混合装置12を使用してハロゲン化銀乳剤粒子を製造する方法を説明する。
【0047】
ハロゲン塩水溶液Yが第1ノズル34から乱流の直進流Aとして混合室20に噴出される途中に、硝酸銀水溶液Xが第2ノズル36から直交流Bとして噴出される。これにより、第1ノズル34において直進流Aと直交流Bが合流し、直進流Aが直交流Bを同伴するように第1ノズル34から混合室20に噴出され、混合室20には直進流Aと直交流Bとの渦粘性Cが発生し、この渦粘性Cにより効率良く混合反応される。混合室20で混合反応した混合反応液Zは、混合室20の筒径よりも口径の小さな第3のオリフィス38を有する排出管26から排出される。
【0048】
このように、本発明のハロゲン化銀乳剤粒子の製造方法では、直進流Aが直交流Bを同伴するように第1ノズル34から混合室20に噴出して混合室20に直進流Aと直交流Bとがオーバーラップした渦粘性Cを発生させるので、従来のT字管やY字管のような非常に狭い配管の交点で衝突させる場合に比べて混合反応性を向上できる。
【0049】
また、ハロゲン塩水溶液Yが乱流の直進流Aとして噴出される第1ノズル34の途中に、第2ノズル36から硝酸銀水溶液Xが直進流Aに対して略直交する直交流Bとして混合室20に噴出されて合流させるので、直進流Aの流速が減速しないうちに直交流Bを噴出することができると共に、混合室20においてハロゲン塩水溶液Yや硝酸銀水溶液Xの濃度分布が発生しないようにできる。このような第1ノズル34の途中に第2ノズル36を連通させた構造をオリフィス材23に形成する場合、ダイヤモンドを穿孔加工して形成することも可能であるが、加工費用が非常に高価になったり、所望のオリフィス径に形成することが難しい。しかし、本発明は、図7で説明した直進流A及び直交流Bをそれぞれ混合室20に噴出する場合に比べて第1ノズル34から混合室20に噴出する流速を大幅に減速しても良好な混合性能を維持できる。従って、ダイヤモンドのオリフィス材23を形成する必要がなく、上記したように硬度処理を行った種々の金属や金属合金、更にはセラミックスのように加工性が良く、材料費も安価なオリフィス材23を使用することが可能となり、オリフィス材23の材質の選択余地を拡げることができる。
【0050】
更に、直進流Aや直交流Bの噴出流速を減速できるので、第1ノズル34の途中に第2ノズル36を連通させる構造であっても、直進流Aと直交流Bとの液液摩擦による発熱も抑制できる。従って、オストワルド熟成が進行しにくい。
【0051】
また、本発明では、直進流Aを薄膜状に形成すると共に、直進流Aの薄膜面に対して略直交するように薄膜状の直交流Bを噴出するので、直進流Aが作る同伴界面積や直交流Bが作る被同伴界面積を大きくすることができ、直進流Aが直交流Bを精度良く同伴することができる。
【0052】
【実施例】
(実施例1)
実施例1は、図2に示した静的混合装置を用いて行った試験である。
【0053】
即ち、静的混合装置12は、筒径が3mm、長さが20mmの混合室20が形成された混合器22の一端側にオリフィス材23を設け、このオリフィス材23に乱流な直進流Aを発生させるための長さWが5mmで径が0.4mmφの第1のオリフィス30を穿設して第1ノズル34を形成すると共に、第1のオリフィス30のオリフィス出口から1.5mm手前の位置に、径が0.6mmφの第2のオリフィス32を連通するように穿設して第2ノズル36を形成した。また、混合器22の第1及び第2ノズル34、36の反対側に1.2mmφの第3のオリフィス38を有する排出管26を接続した。そして、1.0mol/Lの硝酸銀水溶液Xが約60m/秒の流速で流れる第1ノルズ34の途中に、第2ノズル36から1.0mol/Lの臭化カリウム水溶液(保護コロイドとして2%のゼラチンを含有)を約25m/秒の流速で噴出した。
【0054】
一方、比較例は、図7に示した直進流Aと直交流Bをそれぞれ混合室20に噴出する静的混合装置を用いて行った試験である。
【0055】
比較例は、筒径が3mm、長さが20mmの混合室20が形成された混合器22の一端側に0.2mmφのオリフィスを有する第1ノズル1を設け、第1ノズル1から1.0mol/Lの硝酸銀水溶液Xを乱流な直進流Aとして混合室20に約200m/秒の流速で噴出した。この第1ノズル1の出口から10mm離れた混合室20の位置に、直交流Bであるハロゲン塩水溶液Yを噴出するための第2ノズル3を設け、第2ノズル3から1.0mol/Lの臭化カリウム水溶液(保護コロイドとして2%のゼラチンを含有)を約25m/秒の流速で噴出した。また。混合器22のノズル部反対側に1.2mmφの流出管4を接続した。
【0056】
実施例と比較例の静的混合装置で形成したハロゲン化銀乳剤粒子を液体窒素で急速に凍結させ、電子顕微鏡により粒子サイズを測定した。
【0057】
その結果、実施例の静的混合装置で形成したハロゲン化銀乳剤粒子の平均粒子サイズは、8.2nmで非常に単分散であった。一方、比較例の静的混合装置で形成したハロゲン化銀乳剤粒子の平均粒子サイズは、8.6nmで、単分散性も実施例よりもやや悪かった。
【0058】
また、実施例は、第1ノズル34及び第2ノズル36に導入した硝酸銀水溶液Xとハロゲン塩水溶液Yの液温は20℃で、排出管26での液温は22℃であり2℃上昇した。これに対し、比較例は第1ノズル1及び第2ノズル3に供給した硝酸銀水溶液Xとハロゲン塩水溶液Yの液温は20℃で、流出管4での液温は26℃であり6℃上昇した。これにより、実施例の方が、液液摩擦による発熱を抑制できることが分かった。
【0059】
更に、実施例及び比較例について、上記した数値解析ソフト、R−Flowを用いて原因解析を行った。解析項目としては、噴出流速、噴出圧力、渦粘性、混合状態の解析を行った。本解析に用いた方法は、メッシュ作成には動的領域分割法、解析アルゴリズムとしてSIMPLE、乱流モデルとしてk−ε法を用いた。
【0060】
その結果、実施例及び比較例ともに、混合室20に渦粘性Cが発生することは同じであったが、実施例の場合には混合室20に渦6が発生しないのに対し、比較例では図7に示したように渦6が発生することが確認された。
【0061】
また、実施例の場合には、第1ノズル34からの噴出流速を、比較例の約1/3弱まで減速しても、混合室20における混合状態は比較例と同等であった。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のハロゲン化銀乳剤粒子の形成方法及び装置によれば、銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液との混合時の摩擦熱の減少や、キャビテーションの発生を防止し、混合反応を効率的に行うことができ、静的混合における混合状態を最適化することができるので、粒子サイズが小さく単分散性に優れたハロゲン化銀乳剤粒子を形成することができる。
【0063】
また、直進流の流速が減速しないうちに直交流を噴出し、且つ混合室に噴出された直進流と直交流とが衝突する近傍に渦ができにくくしたので、混合反応性能を一層向上させることができる。従って、第1ノズルや第2ノズルを形成する材質としてダイヤモンドのように高価で加工性の悪いものから、低価で加工性の良いものに変えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のハロゲン化銀乳剤粒子の形成装置を備えたハロゲン化銀感光材料の製造ラインの概念図
【図2】本発明のハロゲン化銀乳剤粒子の形成装置における静的混合装置の概念図
【図3】静的混合装置の混合室に形成された渦粘性を説明する模式図
【図4】第1のオリフィスを説明する断面図
【図5】糸線状の噴出流形状を形成するオリフィスの形状を説明する説明図
【図6】薄膜状でスリット状の噴出流形状を形成するオリフィスの形状を説明する説明図
【図7】直進流と直交流とを混合室に噴出して渦粘性を形成するタイプの静的混合装置の概念図
【符号の説明】
10…ハロゲン化銀感光材料の製造ライン、12…静的混合装置、16…成長用タンク、20…混合室、22…混合器、24…第1の導管、26…排出管、28…第2の導管、30…第1のオリフィス、32…第2のオリフィス、34…第1ノズル、36…第2ノズル、38…第3のオリフィス、A…直進流、B…直交流、C…渦粘性、X…硝酸銀水溶液、Y…ハロゲン塩水溶液

Claims (4)

  1. 銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液とを混合反応させてハロゲン化銀乳剤粒子を形成するハロゲン化銀乳剤粒子の形成方法において、
    前記銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液のうちの一方の液を乱流の直進流として噴出する第1ノズルの途中に、第2ノズルから他方の液を前記直進流に対して略直交する直交流として噴出して前記直進流に合流させた後、前記直交流を同伴する直進流を前記第1ノズルよりも大径な混合室に噴出して前記一方の液と他方の液を静的に混合反応させると共に混合反応液を前記混合室の径よりも小径な排出口から排出することにより、前記ハロゲン化銀乳剤粒子の微粒子核を形成する核形成工程を行うことを特徴とするハロゲン化銀乳剤粒子形成方法。
  2. 前記直進流を薄膜状に形成すると共に、前記直進流の薄膜面に対して略直交するように薄膜状の直交流を噴出することを特徴とする請求項1のハロゲン化銀乳剤粒子の形成方法。
  3. 前記第2ノズルから噴出される前記直交流の噴出流速は、前記第1ノズルを流れる前記直進流の流速の同等以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のハロゲン化銀乳剤粒子の形成方法。
  4. 銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液とを静的混合装置で混合して反応させることによりハロゲン化銀乳剤粒子を形成するハロゲン化銀乳剤粒子の形成装置において、
    前記静的混合装置は、前記銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液のうちの一方の液を乱流の直進流として噴出する第1ノズルと、前記第1ノズルの途中から、前記銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液のうちの他方の液を前記直進流に対して略直交する直交流として噴出して前記直進流に合流させる第2ノズルと、前記直交流を同伴した直進流を噴出して前記一方の液と他方の液を混合反応させる混合室を有する混合器と、前記混合室で混合反応した混合反応液を該混合室から排出する排出口と、を有し、前記混合室の筒径は、前記第1ノズル、第2ノズル及び排出口の口径よりも大径に形成されていることを特徴とするハロゲン化銀乳剤粒子の形成装置。
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