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JP4123666B2 - 半導体セラミック粉末および積層型半導体セラミック電子部品 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は半導体セラミック粉末および積層型半導体セラミック電子部品に関し、特に、チタン酸バリウム系の半導体セラミック粉末、および、これを焼結して形成した半導体セラミック層を備え、正の抵抗温度係数を有する積層型半導体セラミック電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、チタン酸バリウム系の半導体セラミックは、常温では比抵抗が低く、ある温度(キュリー温度)を超えると急激に抵抗が上昇するという、正の抵抗温度特性(PTC特性)を有しており、温度制御、過電流保護、定温度発熱などの用途に広く用いられている。中でも、回路用として用いられている過電流保護用の電子部品において、室温での低抵抗化が要望されている。特に、USB対応のパソコン周辺機器においては、小型で低抵抗、高耐圧の半導体セラミック電子部品が切に望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、上述のPTC特性を有するチタン酸バリウム系の半導体セラミックは、チタン酸バリウム粉体に、または、炭酸バリウムおよび二酸化チタンの混合粉に、半導体化剤としての金属イオンまたは金属酸化物を混合させ、その粉体より成形した成形物を焼結させることにより、作製されていた。しかしながら、半導体セラミックを作製する際に、チタン酸バリウム粉体を十分に半導体化させずに焼結体を作製したために室温での抵抗が高くなったり、または、室温での抵抗を低くする目的で焼結の温度を高くしたために室温での抵抗は低くなるもののキュリー点以上での抵抗の変化率が低くなったりする場合がある。さらに、チタン酸バリウム粉体を十分に半導体化させるために粉体を高温で焼成したために、セラミック電子部品を作製したときに焼結が進まず室温での抵抗が高くなるなどの問題があった。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、室温での抵抗が低くキュリー温度以上での抵抗の変化率が高い半導体セラミックを得ることができる半導体セラミック粉末を提供することである。
また、この発明の他の目的は、室温での抵抗が低くキュリー温度以上での抵抗の変化率が高い半導体セラミック層を備える積層半導体セラミック電子部品を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、ある限定された物性を有するチタン酸バリウム系の半導体セラミック粉末を用いることによって、小型化かつ低抵抗で、十分な抵抗の変化率を有し、さらには、耐電圧の高い積層型半導体セラミック電子部品が得られることを見出し、この発明を完成するに至った。
すなわち、この発明にかかる半導体セラミック粉末は、チタン酸バリウム粉体100wt%に対して、チタン酸バリウム粉体のTi3+の濃度が0.0003wt%以上であり、Baサイト/Tiサイト比が1.000以上で1.010以下であり、一次粒子径が1.0μm以下であり、ドナー元素が固溶している、半導体セラミック粉末である。なお、以下、Ba/Ti比と表しているものは、Baサイト/Tiサイト比を意味する。
この発明にかかる積層型半導体セラミック電子部品は、交互に積層される複数の半導体セラミック層および複数の内部電極を備える積層型半導体セラミック電子部品であって、半導体セラミック層は、この発明にかかる半導体セラミック粉末を焼結して形成される、正の抵抗温度特性を有する積層型半導体セラミック電子部品である。なお、内部電極は、たとえばニッケルを含有する。
【0006】
チタン酸バリウム粉体の一次粒子径が1.0μmよりも大きいと、焼結が進まず室温での抵抗が高くなり、また、室温での抵抗を下げようとしてより高い温度で焼成すると室温での抵抗は下がるもののキュリー温度以上での抵抗の変化率は低くなってしまう。
また、チタン酸バリウム粉体100wt%に対して、チタン酸バリウム粉体のTi3+の濃度が0.0003wt%未満であると、室温での抵抗が高く、キュリー温度以上での抵抗の変化率が低くなってしまう。
さらに、チタン酸バリウム粉体のBa/Ti比が1.000未満または1.010を超えると、Ti3+がチタン酸バリウム内に十分に存在しかつ平均粒径が1.0μm以下であっても、室温での抵抗が高く、キュリー温度以上での抵抗の変化率が低くなってしまう。
また、チタン酸バリウム粉体の一次粒子径が1.0μmよりも大きいと、半導体セラミック層を薄くすることができず、さらに焼結する際に高温で焼成しなければならない。
【0007】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明にかかる積層型半導体セラミック電子部品の一例を示す図解図である。図1に示す積層型半導体セラミック電子部品10は積層体12を含む。積層体12では、複数の半導体セラミック層14と複数の内部電極16とが交互に重ね合わされている。この場合、1つおきの内部電極16は積層体12の1つの側面にまで形成され、残りの内部電極16は積層体12の他の1つの側面にまで形成される。さらに、積層体12の1つの側面および他の1つの側面には、外部電極18aおよび18bがそれぞれ形成される。この場合、一方の外部電極18aは1つおきの内部電極16に接続され、他方の外部電極18bは残りの内部電極16に接続される。
【0009】
上述の積層型半導体セラミック電子部品10の半導体セラミック層14は、チタン酸バリウム系の半導体セラミック粉末を焼結して形成される。このチタン酸バリウム系の半導体セラミック粉末としては、チタン酸バリウム粉体100wt%に対して、チタン酸バリウム粉体のTi3+の濃度が0.0003wt%以上であり、Ba/Ti比が1.000以上で1.010以下であり、一次粒子径が1.0μm以下であり、ドナー元素が固溶している、半導体セラミック粉末が用いられる。
このチタン酸バリウム系の半導体セラミック粉末において、必要に応じて、Baの一部がCaやSrなどのアルカリ土類金属およびPbなどで置換されてもよく、また、Tiの一部がSn,ZrおよびHfなどのチタン族の元素で置換されてもよい。
また、このチタン酸バリウム系の半導体セラミック粉末に含まれる半導体化剤は、ドナー元素と呼ばれるものであるが、このようなドナー元素としては、La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Yなどの希土類元素や、Nb,Ta,Bi,Sb,Wなどの遷移金属を用いることができる。
また、このほかにも、このチタン酸バリウム系の半導体セラミック粉末には、必要に応じて、SiO2 やMnなどが添加されてもよい。
上記の半導体セラミック層14を形成するために用いられるチタン酸バリウム系の半導体セラミック粉末は、チタン酸バリウム粉体中にTi3+が重量比で0.0003wt%以上存在し、ドナーが固溶したものであるが、このようなチタン酸バリウム系の半導体セラミック粉末の合成方法については、特に限定するものではないが、たとえば水熱法、加水分解法、共沈法、固相法、ゾルゲル法を用いることができ、必要に応じて仮焼が施される。
また、上述の内部電極16に含まれる導電成分としては、Ni系金属、Mo系金属、Cr系金属、または、これらの合金などを用いることができるが、半導体セラミック層14との間での確実なオーミック接触を可能とする点から、特にNi系金属を用いることが好ましい。
次に、この発明を実施例に基づいてさらに詳細かつ具体的に説明する。
【0010】
【実施例】
出発原料として、BaCO3 、TiO2 、硝酸サマリウム(Sm)溶液を用い、各元素のモル比として、Sm/Ti=0.0012となるように秤量を行い、純水およびPSZ製の直径5mmの玉石を用いて5時間ボールミルによる混合を行った。なお、上記の調合(秤量)時においては、種々のBa/Ti比となるように秤量を行っている。その後、蒸発乾燥を行い、得られた混合粉を1000〜1400℃で2時間仮焼した。この仮焼粉(チタン酸バリウム粉体)に対して、分散剤および純水を混合して5〜80時間粉砕した後、バインダーなどを添加して、スラリーとした後、ドクターブレード法により成形し、グリーンシートを得た。このグリーンシート上にNi電極ペーストをスクリーン印刷して内部電極とした。さらに、内部電極がグリーンシートの一端側および他端側で交互に露出するように複数のグリーンシートを積層し、加圧圧着後、切断して積層体とした。なお、この積層体には、その上下に内部電極を印刷していないダミーのグリーンシートを重ねて圧着している。
次に、この積層体を大気中で脱バインダー処理した後、水素/窒素=3/100の強還元雰囲気中にて2時間焼成を行った。その後、オーミック銀ペーストを塗布して大気中で500〜1000℃で1時間再酸化処理を施し、外部電極を形成して、積層型半導体セラミック電子部品(試料)とした。
【0011】
そして、各試料について、仮焼粉の平均粒径(μm)、仮焼粉のTi3+の濃度(wt%)、室温抵抗(Ω)および抵抗変化率(桁)を測定した。
この場合、仮焼粉の平均粒径は、SEMにより撮影した写真の粒子をデジタイザーを用いて直接測定し、その測定値を対数正規分布により算出した。したがって、この仮焼粉の平均粒径は、仮焼により凝集した二次粒子径ではなく一次粒子径を表している。
また、仮焼粉のTi3+の濃度の測定は、仮焼粉を酸溶解し、溶出したTi3+をFe3+で置換して生成したFe2+を吸光光度計で測定した値である。
さらに、室温抵抗は、デジタルボルトメーターを用いて4端子法で測定した。また、抵抗変化率は、室温(25℃)から250℃までにおける最大抵抗値を室温抵抗値で除し、その常用対数で算出した。
これらの測定結果などを表1に示す。
【0012】
【表1】
Figure 0004123666
【0013】
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜4では、仮焼粉(チタン酸バリウム粉体)の平均粒径が1.0μm以下で、Ti3+の濃度が0.0003wt%以上で、Ba/Ti比が1.000以上で1.010以下であり、得られた積層型半導体セラミック電子部品(試料)について、室温抵抗が0.2Ω以下で、抵抗変化率が2.7桁以上の特性が得られている。
これに対して、比較例1のようにチタン酸バリウム粉体の平均粒径が0.3μmと微粒であってもTi3+が検出できないようなチタン酸バリウム粉体を用いて作製した積層型半導体セラミック電子部品(試料)については、室温抵抗が0.50Ωと高く、抵抗変化率も2.5桁と低くなる。
また、比較例2および3のようにTi3+が十分にチタン酸バリウム粉体内に存在してもチタン酸バリウム粉体の平均粒径が1.0μmを超えると、室温抵抗が高く、抵抗変化率も低くなる。
さらに、比較例4および5のようにBa/Ti比が1.000未満または1.010を超えると、Ti3+がチタン酸バリウム粉体内に十分に存在しかつ平均粒径が1.0μm以下であっても、室温抵抗は1Ω以上と高く、抵抗変化率は2.2以下と低くなる。
【0014】
【発明の効果】
この発明によれば、室温での抵抗が低くキュリー温度以上での抵抗の変化率が高い半導体セラミックを得ることができる。
また、この発明にかかる半導体セラミック粉末を用いれば、室温での抵抗が低くキュリー温度以上での抵抗の変化率が高い半導体セラミック層を備える積層半導体セラミック電子部品が得られる。そのため、この発明にかかる積層半導体セラミック電子部品では、小型かつ低抵抗で高い抵抗変化率を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明にかかる積層型半導体セラミック電子部品の一例を示す図解図である。
【符号の説明】
10 積層型半導体セラミック電子部品
12 積層体
14 半導体セラミック層
16 内部電極
18a、18b 外部電極

Claims (3)

  1. チタン酸バリウム粉体100wt%に対して、前記チタン酸バリウム粉体のTi3+の濃度が0.0003wt%以上であり、Baサイト/Tiサイト比が1.000以上で1.010以下であり、一次粒子径が1.0μm以下であり、ドナー元素が固溶している、半導体セラミック粉末。
  2. 交互に積層される複数の半導体セラミック層および複数の内部電極を備える積層型半導体セラミック電子部品であって、
    前記半導体セラミック層は、請求項1に記載の半導体セラミック粉末を焼結して形成される、正の抵抗温度特性を有する積層型半導体セラミック電子部品。
  3. 前記内部電極はニッケルを含有する、請求項2に記載の積層型半導体セラミック電子部品。
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