JP4124512B2 - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記す)の製造方法に係わるものであり、特に障壁と蛍光体の焼成工程におけるガラス基板の伸縮による寸法誤差を補償したPDPの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にPDPは、2枚の対向するガラス基板にそれぞれ規則的に配列した一対の電極を設け、その間にNe、Xe等を主体とするガスを封入した構造になっている。そして、これらの電極間に電圧を印加し、電極周辺の微小なセル内で放電を発生させることにより、各セルを発光させて表示を行うようにしている。情報表示をするためには、規則的に並んだセルを選択的に放電発光させる。このPDPには、電極が放電空間に露出している直流型(DC型)と絶縁層で覆われている交流型(AC型)の2タイプがあり、双方とも表示機能や駆動方法の違いによって、さらにリフレッシュ駆動方式とメモリー駆動方式とに分類される。
【0003】
図1にAC型PDPの一構成例を示してある。この図は前面板と背面板を離した状態で示したもので、図示のように2枚のガラス基板1,2が互いに平行に且つ対向して配設されており、両者は背面板となるガラス基板2上に互いに平行に設けられた障壁3により一定の間隔に保持されるようになっている。前面板となるガラス基板1の背面側には透明電極である維持電極4と金属電極であるバス電極5とで構成される複合電極が互いに平行に形成され、これを覆って誘電体層6が形成されており、さらにその上に保護層7(MgO層)が形成されている。また、背面板となるガラス基板2の前面側には前記複合電極と直交するように障壁3の間に位置してアドレス電極8が互いに平行に形成されており、その上に誘電体層9が形成され、さらに障壁3の壁面とセル底面を覆うようにして蛍光体10が設けられている。このAC型PDPは面放電型であって、前面板上の複合電極間に交流電圧を印加し、空間に漏れた電界で放電させる構造である。この場合、交流をかけているために電界の向きは周波数に対応して変化する。そしてこの放電により生じる紫外線により蛍光体10を発光させ、前面板を透過する光を観察者が視認するようになっている。
【0004】
上記の如きPDPにおける背面板は、ガラス基板2の上にアドレス電極8を形成し、必要に応じてそれを覆うように誘電体層9を形成した後、障壁3を形成してその障壁3の間に蛍光体10を設けることで製造される。アドレス電極8の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法、厚膜法等によってガラス基板2上に電極材料の膜を形成し、これをフォトリソグラフィー法によってパターニングする方法と、厚膜ペーストを用いたスクリーン印刷によりパターニングする方法とが知られている。また、誘電体層9はスクリーン印刷、フィルムラミネート等により形成される。そして、障壁3はスクリーン印刷による重ね刷り、或いはサンドブラスト法等によって形成され、蛍光体10による蛍光面はスクリーン印刷等により障壁3の間に赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の蛍光体ペーストを選択的に充填するか、若しくは感光性の蛍光体ペーストを用いたフォトリソグラフィー法により形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、背面板を作成するには、電極形成、誘電体形成、障壁形成、蛍光面形成の工程を順に行うが、各工程の最後に500〜600℃の焼成が行われる。ところで、通常のPDPにおいてはガラス基板にソーダライムガラスが用いられており、一般にこのガラス板は焼成温度である500〜600℃にさらされると伸縮を引き起こす。この伸縮量は僅かではあるが、精度が高くなってきた最近のPDPでは無視できないものとなってきた。特に、障壁までを形成した背面板に蛍光面を形成するに際して、障壁のパターン寸法と蛍光体のパターン寸法とが微妙に合わず、良好な蛍光面が形成できないという問題点が出てきた。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、精度の高い蛍光面の形成を可能としたPDPの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係る第1の製造方法は、サンドブラスト用マスクを介してのサンドブラスト加工で障壁をパターニングして焼成した後、その障壁間に感光性の蛍光体ペーストを用いたフォトリソグラフィー法により蛍光体を充填する工程を含むPDPの製造方法において、障壁を焼成した時のガラス基板の伸縮量の分だけ、サンドブラスト用マスクを形成する際に用いるフォトマスクの線幅及びピッチと蛍光体ペースト層をパターン露光する際に用いるフォトマスクの線幅及びピッチとの間に補正値を設けることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る第2の製造方法は、サンドブラスト用マスクを介してのサンドブラスト加工で障壁をパターニングして焼成し、さらに障壁の欠損箇所を修正してから再度焼成した後、その障壁間に感光性の蛍光体ペーストを用いたフォトリソグラフィー法により蛍光体を充填する工程を含むPDPの製造方法において、障壁を焼成した時のガラス基板の伸縮量と障壁を修正して焼成した時のガラス基板の伸縮量の合計分だけ、サンドブラスト用マスクをパターン露光で形成する際に用いるフォトマスクの線幅及びピッチと蛍光体ペースト層をパターン露光する際に用いるフォトマスクの線幅及びピッチとの間に補正値を設けることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図1に示したタイプのAC型PDPにおける背面板を作製する場合を例に挙げて本発明の実施形態について説明する。
【0010】
まず、背面板となるガラス基板を準備する。そして、そのガラス基板の表面には、必要により低融点ガラスからなる薄膜の下地層を形成する。この下地層は、ガラス基板からのアルカリ成分等の拡散を防止するため、或いは電極、誘電体及び障壁を形成する時のガラス基板との密着力を向上させるために形成しておくことが好ましい。その上に、Ag、Ni、Cu等の金属及びこれらの合金を低融点ガラスフリット、低温で焼成可能なバインダー樹脂に分散させた電極ペースト材料を用いてスクリーン印刷法、フォトリソグラフィー法、充填法、サンドブラスト法等によりアドレス電極を形成し、必要により低融点ガラスからなる誘電体層を形成する。誘電体層は、駆動させる時の安定性のために形成しておくことが好ましい。誘電体層の材料としては、酸化鉛ガラスや酸化ビスマスを主成分とする低融点ガラスが好適に用いられる。
【0011】
このようにガラス基板上に下地層、電極、誘電体層を形成した後、その上に障壁を形成する。障壁の形成方法としては、(a)スクリーン印刷により障壁材料ペーストをパターン状に重ね刷りしてから焼成する方法、(b)障壁材料ペーストの塗布或いは障壁材料シートからの転写により形成した障壁形成層の上に耐サンドブラスト性を有するマスクを形成し、そのマスクを介してサンドブラスト加工を施すことで障壁形成層の不要部分を除去してから焼成する方法、(c)レジスト等により形成してなる雌型の空間内に障壁材料ペーストを充填し、雌型を除去してから焼成する方法、などが代表的である。これらの方法で使用する障壁材料としては、PbOを主成分とする低融点ガラスフリット、焼成時の形状を安定させるための耐火物フィラー、バインダー樹脂等を混合したガラスペーストが用いられる。
【0012】
低融点ガラスとしては、主成分としてPbOを50%以上含み、ガラスの分相を防止する効果を持たせたり、軟化点を調整したり、熱膨張係数をガラス基板に合わせたりするために、Al2 O3 ,B2 O3 ,SiO2 ,MgO,CaO,SrO,BaO等を含有するものが一般に用いられる。耐火物フィラーとしては、500〜600℃程度の焼成温度で軟化しないものが広く使用でき、安価に入手できるものとして、アルミナ、マグネシア、カルシア、コージュライト、シリカ、ムライト、ジルコン、ジルコニア等のセラミック粉体が好適に用いられる。
【0013】
無機成分中の低融点ガラスの含有率は50〜80重量%が好ましい。多すぎると焼成による形状保持性に難が生じる。また、脱バインダー性を損ない、緻密性が悪化するため好ましくない。逆に少なすぎると、耐火物フィラーの間隙を充分に埋めることができず、緻密性が悪化すると同時に焼成後の機械的強度が低下し、パネル封着の際に欠けを生じる。
【0014】
バインダー樹脂は、低温で燃焼/分解/気化し、炭化物が障壁中に残存しないことが必要であり、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等のセルロース系樹脂、又はメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ノルマルブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、2−エチルメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の重合体若しくは共重合体からなるアクリル系樹脂が好ましく用いられる。これらのバインダー樹脂は、無機成分に対して1.0〜20重量%程度加えるのが好ましい。
【0015】
さらに添加剤として、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、酸化防止剤等が必要に応じて用いられる。このうち可塑剤は障壁材料をフィルム化した際の柔軟性を向上させるために添加するのが好ましく、例えば、フタル酸エステル類、セバチン酸エステル類、リン酸エステル類、アジピン酸エステル類、グリコール酸エステル類、クエン酸エステル類等が一般的に用いられる。可塑剤の添加量は無機成分に対して5〜30重量%が好ましい。ただし、可塑剤の添加率が高過ぎると樹脂の柔軟性が増し、サンドブラストによる研削速度が遅くなるので、サンドブラスト法により障壁を形成する場合は、可塑剤が焼失する温度でかつガラスフリットが完全に融着してしまわない温度にて仮焼成してからサンドブラスト処理することが好ましい。
【0016】
障壁材料ペーストに使用される溶剤としては、用いるバインダー樹脂に対して良溶媒であることが好ましく、テルピオネール、ブチルカルビトールアセテート等が好適に使用される。溶剤の選定は、溶剤の揮発性と、使用するバインダー樹脂の溶解性を主に考慮して選定される。バインダー樹脂に対する溶剤の溶解性が低いと、固形分比が同一でも塗工液の粘度が高くなってしまい、塗布適性が悪化するという問題を生じる。溶剤の含有率は、少な過ぎるとリブ材料ペーストの粘度が高くなりすぎ、ペースト内の気泡を抜くことが困難となる、レベリング不良により塗布面の平滑性が悪くなる、等の問題が生じるため好ましくない。逆に多過ぎる場合には、分散粒子の沈降が早くなりリブ材料の組成を安定化することが困難になる、乾燥に多大のエネルギーと時間を要する、等の問題が生じるため好ましくなく、好適には5〜40重量%である。
【0017】
障壁材料ペーストの製造方法は、少なくとも低融点ガラス粉末と耐火物フィラーとバインダー樹脂と溶剤とを含む混合物を、ボールミルにより分散調合する。すなわち、バインダー樹脂を溶剤で溶解し必要に応じて添加剤を加えた溶液(ビヒクル)中に無機成分(低融点ガラス粉末と耐火物フィラー)を混合してなる混合物を作製した後、この混合物をボールミルにかけて分散調合するが、不純物の混入を避けるために、セラミックボールを用い、さらに好ましくは内壁がセラミックやプラスチックで被覆されたボールミルを使用する。その後、さらに3本ロールミルで混練する。そして、必要により分散調合した後、真空攪拌機を用いて減圧脱泡する。
【0018】
上記の如く障壁を形成した後、障壁パターンの検査を行い、もし障壁に欠損箇所があれば、その欠損箇所を修正してから再度焼成を行って障壁の形成を完了する。このように障壁の形成を終えてから、その障壁間に図1に示す如く蛍光体を設けて反射型の蛍光面を形成する。
【0019】
反射型の蛍光面を形成する方法として、スクリーン印刷により3色の蛍光体ペーストをセル空間内に選択的に充填し、しかる後に焼成する方法がある。この方法によれば、塗布工程とパターニング工程を同時に行えるのでプロセス的にも簡便であり、生産性が高いという利点があるが、大面積、高精細な蛍光面を形成する場合、版の伸び等により精度を維持するのが難しい。そこで、好ましい方法として、感光性の蛍光体ペーストを用いたフォトリソグラフィー法がある。具体的には、感光性の蛍光体ペーストを少なくともセル空間間にコーティングして乾燥させる工程と、フォトマスクを介しての露光とこれに続く現像を行って所定のセル空間内に蛍光体ペーストを残す工程とを必要な色数だけ繰り返し行った後、焼成工程を経て蛍光面を完成させるものである。
【0020】
感光性の蛍光体ペーストとしては、有機高分子結合体、光重合性単量体、光重合開始剤、蛍光体粉、有機溶剤を混練したものが用いられる。
【0021】
有機高分子結合体は、水現像を可能とするために、該組成物を被膜化した時に水に対して可溶性又は易分散性を示すものを選択するのが好ましい。このようなものとしては、ヒドロキシプロピルセルロースが溶剤に対する溶解性及び現像性の点で優れている。この有機高分子結合体の分子量は10,000〜2,000,000 、好ましくは30,000〜100,000 の範囲のものがよく、10,000未満であると、基板に対する密着性が低下し、また2,000,000 を越えると、焼成した時に有機高分子結合体の熱分解除去が困難となるので好ましくない。
【0022】
光重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートなどのポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類のジアクリレート又はジメタクリレート類、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ペンタエリトリトールジアクリレート、ペンタエリトリトールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ジメチルプロパンジアクリレート、2,2−ジメチルプロパンジメタクリレートなどを挙げることができる。これらのうち1種又は2種以上を選択して混合使用することができる。
【0023】
光重合開始剤としては、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オンを少なくとも50重量%使用する以外に、エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、ジアミノアントラキノンなどのアントラキノン類、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、イソブチルベンゾインエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル類、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどのチオキサントン類、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1,1−ジクロロアセトフェノンなどを併用することができる。これらは1種又は2種以上を混合使用することができる。
【0024】
発光色が赤色の蛍光体粉としては、Y2 O3 :Eu、Y2 SiO5 :Eu、Y3 Al5 O12:Eu、Zn3 (PO4 )2 :Mn、YBO3 :Eu、(Y,Gd)BO3 :Eu、GdBO3 :Eu、ScBO3 :Eu、LuBO3 :Eu等が例示され、発光色が緑色の蛍光体粉としては、Zn2 SiO4 :Mn、BaAl12O19:Mn、SrAl13O19:Mn、CaAl12O19:Mn、YBO3 :Tb、BaMgAl14O23:Mn、LuBO3 :Tb、GdBO3 :Tb、ScBO3 :Tb、Sr6 Si3 O3 Cl4 :Eu等が例示され、発光色が青色の蛍光体粉としては、Y2 SiO5 :Ce、CaWO4 :Pb、BaMgAl10O17:Eu、BaMgAl14O23:Eu等が例示される。
【0025】
有機溶剤としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブタノール、メトキシブチルアセテート、テレピオネールなどを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。これらの有機溶剤のうち、感光性蛍光体ペーストの長期安定性を与えるものとして特に3−メチル−3−メトキシブタノールを挙げることができる。これらの有機溶剤に代えて水などの蒸発速度の速い溶媒を用いた場合には、乾燥速度が速いため、塗布された感光性蛍光体ペースト層の表面にスクリーンメッシュの跡が凹凸をなして残ったり、スクリーンメッシュへの目詰りを引き起こしたりするので、蒸発速度の遅い有機溶媒を選択使用することが好ましい。したがって感光性蛍光体ペーストに使用する有機溶剤としては単位時間当たりの酢酸ブチルの蒸発量を100としたときの比蒸発速度が25以下であることが望ましい。
【0026】
感光性蛍光体ペーストの配合割合は、有機高分子結合体100重量部に対し、光重合性単量体は30〜200重量部、好ましくは30〜120重量部、光重合開始剤は全組成物に対し0.01〜25重量部、さらに好ましくは0.1〜15重量部使用することが必要である。有機溶剤は有機高分子結合体100重量部に対し、250〜700重量部、好ましくは300〜500重量部、また蛍光体粉は有機高分子結合体、光重合性単量体、光重合開始剤及び有機溶剤の総量100重量部に対し、100〜150重量部である。
【0027】
光重合性単量体が30重量部未満では、光硬化不足となり、現像時に画像部が溶出して画像が形成できないし、また発光特性が低下する。200重量部を越えると微細な画像の解像性が低下し、スティッキングが起こりやすくなるので好ましくない。
【0028】
光重合性開始剤が0.01重量部未満では、通常の露出量での光硬化が不十分で、現像時に画像が溶出して画像が形成できない。また、光重合開始剤は溶媒に対する溶解度が小さいため25重量部を越えて使用したときには、当該組成物を被膜とした際に、光重合開始剤が不均一分散した状態となり、微細な画像が形成できないばかりでなく、光の透過性を低下させることにもなり好ましくない。前記2−ベンジル−2−ジオチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オンは光重合開始剤中少なくとも50重量%以上使用しないと、本発明の目的が達成されない。
【0029】
蛍光体粉が100重量部未満では十分な発光特性が得られないばかりでなく、焼成したときに十分な強度が保てない。150重量部を越えると蛍光体によるUV吸収が多くなりすぎて光重合開始剤の作用が阻害されて現像時に画像が溶出し画像形成ができない。
【0030】
有機溶剤が250重量部未満では、感光性蛍光体ペースト組成物を調製したときの粘度が高くなり過ぎて蛍光体を被膜形成できない。また700重量部を越えた場合には、粘度が低くなり過ぎて感光性蛍光体ペースト組成物中の蛍光体が沈降分離してしまい好ましくない。
【0031】
これらの各成分を混練して得られる感光性蛍光体ペースト組成物を調製したときの粘度は25℃において50〜4,000Pの範囲、特に200〜2,000Pの範囲にあることが好ましい。50P未満では感光性蛍光体ペースト組成物中の蛍光体が沈降分離してしまい好ましくないし、4,000Pを越えたときには、粘度があまり高すぎて被膜形成できない。
【0032】
感光性蛍光体ペーストには、さらに必要に応じてヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、ベンゾキノン、カテコールなどの熱重合禁止剤、可視化させるための染料、顔料さらに消泡剤などを添加使用することもできる。
【0033】
以上説明したように、障壁と蛍光面を形成する過程においては、少なくとも2回の焼成工程を繰り返すことになる。すなわち、障壁の修正が必要ない場合は2回の焼成工程を行い、障壁の修正を行った場合には3回の焼成工程を行う。そして、焼成工程を経る毎にガラス基板は伸縮を繰り返すので、この伸縮量を見込んだ寸法で障壁と蛍光体をパターニングしておき、焼成工程が終わった時点での障壁のパターン寸法と蛍光体のパターン寸法の両方を最適値とする。
【0034】
【実施例】
(比較例1)
まず、厚さ2.8mmのフロートガラス板(旭硝子製「PD200」)をガラス基板に採用した。そして、そのガラス基板上にアドレス電極を形成した後、それを覆って暗色の誘電体層を形成した。具体的には、ガラスペーストをスクリーン印刷により基板上に塗布し、平滑な表面を得るため印刷後に室温で10分間レベリングを行ってから、100℃で15分間乾燥を行った。さらに、ローラーハース炉にてピーク温度570℃、キープ10分間の焼成を行い、乾燥塗膜に含まれる有機物を分解した。
【0035】
次いで、誘電体層上に障壁を形成した。ここでは、下記組成の障壁材料ペーストをブレードコーターにより厚さ250μmで塗布し、150℃にて50分間乾燥させて膜厚180μmの障壁形成層を形成した後、この障壁形成層をサンドブラスト加工して不要部分を除去することで障壁を形成した。
【0036】
<障壁材料ペーストの組成>
ガラス粉体:松浪硝子工業製「MB−008」 60重量部
フィラー:岩谷化学工業製「α−アルミナRA−40」 10重量部
バインダー:ダウコーニング製「エトセルSTD100」 2重量部
顔料:TiO2 10重量部
溶剤:ターピネオール 18重量部
【0037】
障壁形成層のサンドブラスト処理は次のようにして行った。まず基板を80℃に加熱し、障壁形成層の上にドライフィルムレジスト(東京応化工業製の「BF−703」)をラミネートしてから、フォトマスクとして線幅50μm、ピッチ150μmのラインパターンマスクを使用し、このマスクを介して紫外線により露光を行った。露光条件は365nmで測定した時に強度10mW/cm2 、照射量200mJ/cm2 である。露光後、炭酸ナトリウム0.4wt%水溶液により液温30℃でスプレー現像を行って線幅50μm、ピッチ150μmのサンドブラスト用マスクを形成した。そして、このサンドブラスト用マスクを介してサンドブラスト加工を行うことにより障壁形成層の不要部分の除去を行った。具体的には、研磨材としてアルミナ♯800を用い、研磨材噴射量100g/min、噴射圧力3kgf/cm2 、基板とノズルの距離100mm、スキャン速度100mm/secの条件でサンドブラスト加工を行った。サンドブラスト処理を終了後、水酸化ナトリウム2wt%水溶液を使用し、30℃にてスプレー剥離してレジストを剥離した。その後、ピーク温度570℃、保持時間10分の条件で焼成工程を行って障壁を形成した。
【0038】
このように誘電体層の上に障壁を形成した後、障壁で規定されるセル空間内にG,B,R各色の蛍光体ペーストを選択的に充填した。
【0039】
手順としては、まず緑色の発光色を持つ蛍光体粉を含有する感光性蛍光体ペーストをブレードコーターにより全面塗布し、オーブンにより80℃で1時間の条件で乾燥させ、セル空間の中央で窪んだ蛍光体ペースト層を形成した。この感光性蛍光体ペーストには次のものを使用した。すなわち、Zn2 SiO4 :Mn(化成オプトニクス製「PI−G1S」)からなる蛍光体粉510重量部、平均分子量6万のヒドロキシプロピルセルロース100重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート100重量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン10重量部、メチルヒドロキノン0.5重量部、3−メチル−3−メトキシブタノール300重量部を3本ロールミルで混練して調製した感光性蛍光体ペーストを使用した。この組成物の粘度は、剪断速度10S-1において25℃で300Pであった。
【0040】
次に、フォトマスクとして線幅100μm、ピッチ450μmのラインパターンマスクを使用し、このマスクを介して蛍光体ペースト層をパターン露光した。露光条件は365nmで測定した時に強度5mW/cm2 、照射量480mJ/cm2 である。次いで、純水を用いて1.5kgf/cm2 の噴射圧でスプレー現像を行い、所定のセル空間内に緑色の蛍光体ペースト層を残してから、オーブンにより80℃で10分間の条件で乾燥させた。
【0041】
そして、青色、赤色の発光色を持つ蛍光体粉を含有する感光性蛍光体ペーストについてもそれぞれ同様に蛍光体ペースト層の形成を行い、所定の配置でセル空間内に3色の蛍光体ペースト層を形成した。青色の蛍光体粉末にはBaMgAl10O17:Eu(化成オプトニクス製「KX−501A」)を、赤色の蛍光体粉末には(Y,Gd)BO3 :Eu(化成オプトニクス製「KX−504A」)を使用し、緑色の蛍光体粉末の場合と同様にしてそれぞれの感光性蛍光体ペーストを調製した。
【0042】
続いて、450℃で10分間の焼成工程により蛍光体ペースト層の有機分を焼失させた。これによりR,G,B各色の蛍光体がそれぞれ所定のセル空間内にパターニングされた背面板を得ることができた。
【0043】
このようにして作製した背面板における最終的な障壁のトータルピッチを1とすると、図2に示すように、障壁のパターニング前では1.000030であったものがその焼成後に1.000010となり、さらに、蛍光体のパターニング前では1.000010であったものがその焼成後に1となった。このため、得られた背面板では、障壁のパターンと蛍光体のパターンが僅かにずれていた。
【0044】
(実施例1)
障壁形成時のサンドブラスト用マスクを形成するためのフォトマスクとして、線幅50×(1+30/100万)μm、ピッチ150(1+30/100万)μmのラインパターンマスクを使用し、且つ蛍光体ペースト層をパターン露光するフォトマスクとして、線幅100×(1+10/100万)μm、ピッチ450(1+10/100万)μmのラインパターンマスクを使用した以外は比較例1と同様にして背面板を作製した。
【0045】
このようにして背面板を作製したところ、2回の焼成工程にてそれぞれガラス基板が収縮したが、障壁のパターン寸法と蛍光体のパターン寸法とがきちんと合った良好な蛍光面が形成できた。
【0046】
(比較例2)
比較例1において、障壁をパターニングして焼成した後、障壁の欠損箇所を修正するのと同様な作業を行ってから再度焼成を行った。この時の焼成温度は550℃である。それ以外は比較例1と同様にして背面板を作製した。
【0047】
このようにして作製した背面板における最終的な障壁のトータルピッチを1とすると、図3に示すように、障壁のパターニング前では1.000045であったものがその最初の焼成後に1.000025となり、障壁の修正を経てからの2回目の焼成後には1.000010となり、さらに、蛍光体のパターニング前では1.000010であったものがその焼成後に1となった。このため、得られた背面板では、障壁のパターンと蛍光体のパターンが僅かにずれていた。
【0048】
(実施例2)
障壁形成時のサンドブラスト用マスクを形成するためのフォトマスクとして、線幅50×(1+45/100万)μm、ピッチ150(1+45/100万)μmのラインパターンマスクを使用し、且つ蛍光体ペースト層をパターン露光するフォトマスクとして、線幅100×(1+10/100万)μm、ピッチ450(1+10/100万)μmのラインパターンマスクを使用した以外は比較例2と同様にして背面板を作製した。
【0049】
このようにして背面板を作製したところ、3回の焼成工程にてそれぞれガラス基板が収縮したが、障壁のパターン寸法と蛍光体のパターン寸法とがきちんと合った良好な蛍光面が形成できた。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、サンドブラスト加工で障壁をパターニングして焼成する工程とその障壁間に感光性の蛍光体ペーストを用いたフォトリソグラフィー法により蛍光体を充填する工程を含むPDの製造方法において、障壁を焼成した時のガラス基板の伸縮量の分だけ、或いは、障壁を焼成した時のガラス基板の伸縮量と障壁を修正して焼成した時のガラス基板の伸縮量の合計分だけ、サンドブラスト用マスクをパターン露光で形成する際に用いるフォトマスクの線幅及びピッチと蛍光体ペースト層をパターン露光する際に用いるフォトマスクの線幅及びピッチとの間に補正値を設けたので、焼成工程でのガラス基板の伸縮に伴う蛍光面のずれを生じないことから、障壁のパターンと蛍光体のパターンが正確に合った精度の高い蛍光面を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】AC型プラズマディスプレイパネルの一構成例をその前面板と背面板を離間した状態で示す構造図である。
【図2】障壁を焼成した時のガラス基板の収縮を説明するための図である。
【図3】障壁を焼成してから修正を経て再度焼成した時のガラス基板の収縮を説明するための図である。
【符号の説明】
1 前面板
2 背面板
3 障壁
4 維持電極
5 バス電極
6 誘電体層
7 保護層
8 アドレス電極
9 誘電体層
10 蛍光体
Claims (2)
- サンドブラスト用マスクを介してのサンドブラスト加工で障壁をパターニングして焼成した後、その障壁間に感光性の蛍光体ペーストを用いたフォトリソグラフィー法により蛍光体を充填する工程を含むプラズマディスプレイパネルの製造方法において、障壁を焼成した時のガラス基板の伸縮量の分だけ、サンドブラスト用マスクを形成する際に用いるフォトマスクの線幅及びピッチと蛍光体ペースト層をパターン露光する際に用いるフォトマスクの線幅及びピッチとの間に補正値を設けることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
- サンドブラスト用マスクを介してのサンドブラスト加工で障壁をパターニングして焼成し、さらに障壁の欠損箇所を修正してから再度焼成した後、その障壁間に感光性の蛍光体ペーストを用いたフォトリソグラフィー法により蛍光体を充填する工程を含むプラズマディスプレイパネルの製造方法において、障壁を焼成した時のガラス基板の伸縮量と障壁を修正して焼成した時のガラス基板の伸縮量の合計分だけ、サンドブラスト用マスクをパターン露光で形成する際に用いるフォトマスクの線幅及びピッチと蛍光体ペースト層をパターン露光する際に用いるフォトマスクの線幅及びピッチとの間に補正値を設けることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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