JP4136202B2 - 可変動弁装置の異常検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関の運転状態に応じて吸排気系の少なくとも一方のバルブ特性を可変とする可変動弁装置についてその異常の有無を検出する可変動弁装置の異常検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の各異なった運転条件下においてもその機関特性を最大限に維持すべく、同機関の運転状態に応じて機関バルブのバルブタイミングやバルブリフト量等、そのバルブ特性を可変とする可変動弁装置が従来より知られている。
【0003】
例えば、特開平8−177434号公報に記載の可変動弁装置にあっては、互いにプロフィールの異なる低速型及び高速型の2種のカムを備え、これらカムを機関の運転状態に応じて選択的に切換利用することで、それらカムに基づき開閉駆動される機関バルブのリフト量を可変としている。
【0004】
また、同公報に記載の可変動弁装置にあっては、同一のカムを用いる場合であっても、機関出力軸(クランクシャフト)に対するカムシャフトの相対回転位相を同機関の運転状態に応じて適宜変更することで、機関バルブの開閉タイミングをも同時に可変としている。
【0005】
一方、上記公報に記載の装置には、可変動弁装置、特に上記機関バルブのリフト量を可変とする装置にあって、例えばカムの切換機構が高速用カムのまま固着してしまったような場合に、これを故障として検出する手段(故障検出手段)についても併せて記載されている。ちなみに、吸気バルブ側に設けられた可変動弁装置にあってカムの切換機構がこうして高速用カムのまま固着される場合には、機関の特に低負荷運転域でのバルブオーバーラップが異常に大きくなって吸気の吹き返しが起こるなど、機関性能の維持が難しくなる。
【0006】
そこで、同公報に記載の装置では、上記切換機構が油圧制御されるものであることに着目して同切換機構内に供給される油圧を検出する油圧センサを設ける、あるいは機関バルブのリフト量を直接検出するセンサ(リフトセンサ)を設けるなどして、こうした異常(故障)の発生を検出するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、カムの切換機構が高速用カムのまま固着してしまったような異常であれ、上記油圧センサあるいはリフトセンサを用いることで、確かにその旨を検出することはできる。
【0008】
しかし、同異常検出のためとはいえ、これら油圧センサやリフトセンサを別途に設けざるを得ないことは、搭載性やそれ自身の小型化が望まれる車載エンジン等の内燃機関にあって望ましくないばかりか、経済的な面でも不利となる。
【0009】
また、上記公報にもあるように、これらのセンサが別途に必要とされる場合には、それらセンサ自身の故障の有無を診断するための新たな診断処理をも併せて実行する必要がある。
【0010】
なお、同公報には、上記可変動弁装置の異常の検出を吸入空気流量に基づいて行ってもよい旨の記載もあるが、例えばある1つの気筒での同装置の異常がこうした吸入空気流量あるいは吸気負圧に与える影響は一般に小さく、その検出精度の面での問題が無視できないものとなる。
【0011】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、上述した可変動弁装置の異常の有無をより簡易に、しかも精度よく検出することのできる可変動弁装置の異常検出装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
まず、請求項1記載の発明では、内燃機関の運転状態に応じて同機関の吸気系及び排気系のバルブ特性をそれぞれ可変とする吸気系の可変動弁装置及び排気系の可変動弁装置についてそれらの異常の有無を検出する可変動弁装置の異常検出装置において、前記機関の失火の発生を検出する失火検出手段と、該失火検出手段により検出される失火の発生頻度を前記機関の各運転領域の別に監視し、該監視する運転領域別の失火発生頻度に基づいて前記可変動弁装置の異常の有無を検出する異常検出手段とを備え、前記各可変動弁装置は、前記機関の高速運転に対応したバルブ特性と低速運転に対応したバルブ特性とを同機関の運転状態に応じて切り替えるものであり、前記異常検出手段は、前記監視する運転領域別の失火発生頻度に基づき、低速低負荷運転領域のみでの失火発生頻度が高いことを条件に前記排気系の可変動弁装置にあって前記高速運転に対応したバルブ特性から前記低速運転に対応したバルブ特性への切換異常が生じている旨を検出し、低速低負荷運転領域及び中速中負荷運転領域での失火発生頻度が高いことを条件に前記吸気系の可変動弁装置にあって前記高速運転に対応したバルブ特性から前記低速運転に対応したバルブ特性への切換異常が生じている旨を検出するものであることをその要旨とする。
【0013】
機関バルブのリフト量を可変とする可変動弁装置にあってカムの切換機構が高速用カムのまま固着してしまったようなとき、すなわち高速運転に対応したバルブ特性から低速運転に対応したバルブ特性への切換異常が生じているようなときに、機関が低負荷運転されるようなことがあると、前述のようにバルブオーバーラップが異常に大きくなって吸気の吹き返しが起こる。また、こうしてバルブオーバーラップが大きくなる場合には、機関燃焼室内部でのEGR(排気還流)量も多くなり、失火の発生する確率も高くなる。そして、このような現象は、機関バルブの開閉タイミングを可変とする可変動弁装置にあってこれが例えば高速運転に対応した開閉タイミングに固定されてしまうような場合にも、概ね同様に生ずる。
【0014】
そこで請求項1記載の発明の上記構成によるように、機関における失火の発生を検出するとともに、該検出される失火の発生頻度を監視することとすれば、それがただ1つの気筒に関するものであれ、こうした可変動弁装置の異常の有無についてこれを高い精度で検出することができるようになる。なお、車載エンジン等の内燃機関にあっては、こうした失火検出も通常の処理として行われることが多いため、同構成によれば、何ら特別なセンサ等を設けることなく可変動弁装置の異常検出を行うことができるようにもなる。また、請求項1記載の同発明において、上記失火検出手段の構成は任意であり、これが何らかのセンサ等を別途に必要とするものであったとしても、その検出される失火の発生頻度を監視する同構成によれば、上記可変動弁装置の異常の有無についてこれを高い精度で検出することができる。
【0016】
また、上述のように、可変動弁装置の異常に起因する失火の発生頻度は通常、機関の運転領域毎に異なったものとなる。換言すれば、機関の各運転領域の別に失火の発生頻度を監視することとすれば、可変動弁装置において検出対象とする異常、すなわち上記高速運転に対応したバルブ特性から低速運転に対応したバルブ特性への切換異常等の有無もより的確に検出することができるようになる。
【0018】
ここで、上記高速運転に対応したバルブ特性から低速運転に対応したバルブ特性への切換異常が生じている場合、この異常が吸気系の可変動弁装置において生じている場合には、上記機関燃焼室内部でのEGR量もより多くなることから、機関の低負荷運転領域から中負荷運転領域にわたる比較的広い運転領域において失火の発生頻度が増すようになる。一方、上記異常が排気系の可変動弁装置において生じている場合には、上記機関燃焼室内部でのEGR量は比較的少なくなり、機関の低負荷運転領域のみにおいて失火の発生頻度が高まるようになる。
【0020】
したがって、請求項1記載の発明によれば、機関の高速運転に対応したバルブ特性と低速運転に対応したバルブ特性とを同機関の運転状態に応じて切り換える可変動弁装置について、吸気系あるいは排気系の同装置の一方に高速運転に対応したバルブ特性から低速運転に対応したバルブ特性への切換異常が生じている場合であれ、これを的確に識別検出することができるようになる。
【0021】
請求項2記載の発明では、内燃機関の運転状態に応じて同機関の吸気系及び排気系のバルブ特性をそれぞれ可変とする吸気系の可変動弁装置及び排気系の可変動弁装置についてそれらの異常の有無を検出する可変動弁装置の異常検出装置において、前記機関の失火の発生を検出する失火検出手段と、該失火検出手段により検出される失火の発生頻度を前記機関の各運転領域の別に監視し、該監視する運転領域別の失火発生頻度に基づいて前記可変動弁装置の異常の有無を検出する異常検出手段とを備え、前記各可変動弁装置は、前記機関の高速運転に対応したバルブ特性と低速運転に対応したバルブ特性とを同機関の運転状態に応じて切り換えるものであり、前記異常検出手段は、前記監視する運転領域別の失火発生頻度に基づき、低速低負荷運転領域のみでの失火発生頻度が所定の第1の値よりも高く且つ同第1の値よりも大きい第2の値よりも低いことを条件に前記排気系の1つの気筒の可変動弁装置にあって前記高速運転に対応したバルブ特性から前記低速運転に対応したバルブ特性への切換異常が生じている旨を検出し、同低速低負荷運転領域のみでの失火発生頻度が前記第2の値よりも高いことを条件に前記排気系の複数の気筒の可変動弁装置にあって前記高速運転に対応したバルブ特性から前記低速運転に対応したバルブ特性への切換異常が生じている旨を検出し、低速低負荷運転領域及び中速中負荷運転領域での失火発生頻度が前記第1の値よりも高く且つ前記第2の値よりも低いことを条件に前記吸気系の1つの気筒の可変動弁装置にあって前記高速運転に対応したバルブ特性から前記低速運転に対応したバルブ特性への切換異常が生じている旨を検出し、低速低負荷運転領域での失火発生頻度が前記第2の値よりも高いこと及び中速中負荷運転領域での失火発生頻度が前記第1の値よりも高く且つ前記第2の値よりも低いことを条件に前記吸気系及び排気系の各1つの気筒の可変動弁装置にあって前記高速運転に対応したバルブ特性から前記低速運転に対応したバルブ特性への切換異常が生じている旨を検出し、低速低負荷運転領域での失火発生頻度が前記第1の値よりも高く且つ中速中負荷運転領域での失火発生頻度が前記第2の値よりも高いことを条件に前記吸気系の複数の気筒の可変動弁装置にあって前記高速運転に対応したバルブ特性から前記低速運転に対応したバルブ特性への切換異常が生じている旨を検出するものであることをその要旨とする。
【0022】
また、上記失火の発生頻度が所定以上に増大するような場合、2つの気筒等、複数の気筒において、上記可変動弁装置の異常に起因する失火が発生している可能性がある。すなわち、失火発生頻度についての上記第1の値がある1つの気筒での同可変動弁装置の異常に起因する失火発生を判別するためのしきい値となるとき、この失火発生頻度については、複数の気筒での同可変動弁装置の異常に起因する失火発生を判別するためのしきい値として、該第1の値よりも所定値だけ大きい上記第2の値を定めることができる。そしてこの場合には、更に次のことがいえるようになる。
【0023】
(イ)低速低負荷運転領域のみでの失火発生頻度が上記第1の値よりも高く且つ上記第2の値よりも低いときには、排気系の1つの気筒の可変動弁装置にあって高速運転に対応したバルブ特性から低速運転に対応したバルブ特性への切換異常が生じている可能性がある。
【0024】
(ロ)低速低負荷運転領域のみでの失火発生頻度が上記第2の値よりも高いときには、排気系の複数の気筒の可変動弁装置にあって高速運転に対応したバルブ特性から低速運転に対応したバルブ特性への切換異常が生じている可能性がある。
【0025】
(ハ)低速低負荷運転領域及び中速中負荷運転領域での失火発生頻度が上記第1の値よりも高く且つ上記第2の値よりも低いときには、吸気系の1つの気筒の可変動弁装置にあって高速運転に対応したバルブ特性から低速運転に対応したバルブ特性への切換異常が生じている可能性がある。
【0026】
(ニ)低速低負荷運転領域での失火発生頻度が上記第2の値よりも高く、また中速中負荷運転領域での失火発生頻度が上記第1の値よりも高く且つ上記第2の値よりも低いときには、吸気系及び排気系の各1つの気筒の可変動弁装置にあって高速運転に対応したバルブ特性から低速運転に対応したバルブ特性への切換異常が生じている可能性がある。
【0027】
(ホ)低速低負荷運転領域での失火発生頻度が上記第1の値よりも高く且つ中速中負荷運転領域での失火発生頻度が上記第2の値よりも高いときには、吸気系の複数の気筒の可変動弁装置にあって高速運転に対応したバルブ特性から低速運転に対応したバルブ特性への切換異常が生じている可能性がある。
【0028】
したがって、これら(イ)〜(ロ)についての検出を併せ実行する請求項2記載の発明の上記構成によれば、内燃機関の吸気系及び排気系の双方に配設される可変動弁装置について、その上記切換異常の有無、並びに異常内容をより的確に識別検出することができるようになる。
【0031】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下に、本発明にかかる可変動弁装置の異常検出装置を具体化した第1の実施形態について説明する。なお、本実施形態にかかる可変動弁装置は、カム切換式可変動弁機構を有し、該機構によるカムの切換に応じて機関バルブのリフト量を主に可変とする装置として構成されている。
【0032】
まず、本実施形態にかかる可変動弁装置が設けられた内燃機関の概略構成について、図1に基づき説明する。なお、この内燃機関1はガソリンを燃料とし、シリンダヘッド3に2本のカムシャフトが設けられたDOHC方式の内燃機関である。また、この内燃機関1は、4つの気筒が直列に配置された直列4気筒式であるとともに、各気筒には吸気バルブおよび排気バルブがそれぞれ2つずつ設けられた4バルブ式となっている。また、同図1では便宜上、内燃機関1の吸気系と排気系とに対称的に設けられて、基本的に同等の機能を有する部材については同一の符号を付し、特に吸気系の部材にはその末尾に「i」を、排気系の部材にはその末尾に「e」を添付することで区別する。さらに以下の説明において、これら部材の符号についてその末尾の識別子i,eを省略する場合には、特に断りがない限り、吸気系、排気系の両方の部材を示すものとする。
【0033】
さて、内燃機関1は、大きくはシリンダブロック2と、その上部に設けられたシリンダヘッド3と、シリンダブロック2内に形成されたシリンダボア4内を往復動するピストン5とを備えている。また、ピストン5は、コネクティングロッド6を介してクランクシャフト7と連結されている。このクランクシャフト7は、ピストン5が往復動することで回転される。
【0034】
クランクシャフト7には、クランクプーリ23が一体回転可能に接続されている。さらに、同シャフト7には、円盤形状を呈したロータ8が一体回転可能に取り付けられている。このロータ8の外周部には、所定数の凸部が形成されている。また、このロータ8の近傍には、クランク角センサ9が設けられている。このクランク角センサ9は、ロータ8の凸部を電磁ピックアップにより検出し、パルス状の信号を出力する。このクランク角センサ9から出力される信号に基づき、後述する電子制御装置(以下「ECU」という)10は、クランクシャフト7の回転数、すなわち機関回転数NEと同シャフト7の回転位相と、後述する失火検出率とを算出する。
【0035】
また、シリンダヘッド3およびシリンダボア4の内壁と、ピストン5の上端面によって、混合気を燃焼させるための燃焼室11が区画形成される。この燃焼室11の上部中央には、同室11内の混合気に点火するための点火プラグ35が設けられている。さらに、この燃焼室11には、同室11に混合気を供給するための吸気ポート12iと同室11から燃焼ガスを排出するための排気ポート12eとが接続されている。燃焼室11にあってこれら吸気・排気ポート12i,12eとの接続部には、それぞれ吸気バルブ13iと排気バルブ13eとが配設されている。これら吸気バルブ13iおよび排気バルブ13eは、シリンダヘッド3に摺動可能に支持されている。また、これらバルブ13i,13eの摺動にともない、各ポート12i,12eと燃焼室11とは連通あるいは遮断される。
【0036】
一方、吸気ポート12iおよび排気ポート12eには、それぞれ吸気管14iおよび排気管14eが接続されている。吸気管14iには、燃焼室11に燃料を噴射供給するためのインジェクタ15が、吸気ポート12iと燃焼室11との接続部近傍に設けられている。また、吸気管14iにあってインジェクタ15の上流側には、燃焼室11に導入される吸入空気の量を調整するためのスロットルバルブ16が設けられている。このスロットルバルブ16は、アクセルペダル17の踏み込みに基づいて開閉駆動される。
【0037】
さらに、この吸気管14iの先端は、同管14i内に導入される空気を清浄化するエアクリーナ18に接続されている。このエアクリーナ18の下流には、吸気管14i内を流れる空気の量、すなわち吸入空気量を検出するエアフローメータ19が設けられている。なお、この吸入空気量によって、内燃機関1の負荷状態を把握することが可能である。本実施形態では、この吸入空気量を機関1回転あたりの量GN(g/rev)として検出する。
【0038】
続いて、上記内燃機関1にあって、吸気バルブ13iおよび排気バルブ13eを開閉駆動させる動弁系の構成について、同じく図1に基づき説明する。
シリンダヘッド3の上部にあって、吸気・排気バルブ13i,13eの上方には、それぞれ吸気側カムシャフト20iおよび排気側カムシャフト20eが回転可能に支持されている。これらカムシャフト20i,20eは、それぞれ吸気側カムプーリ21iおよび排気側カムプーリ21eと一体回転可能に接続されている。これらのカムプーリ21は、タイミングベルト22を介して上記クランクプーリ23と1/2の減速比にて駆動連結されている。その結果、クランクシャフト7が2回転する毎に各カムシャフト20は1回転される構成となっている。
【0039】
カムシャフト20には、各気筒毎に2つのカム、すなわち低速用カム29および高速用カム31が一体回転可能に装着されている。低速用カム29に対して高速用カム31は、それによって開閉駆動される機関バルブ13のリフト量や開弁期間の少なくとも一方が大きくなるように、そのカムプロフィールが設定されている。本実施形態では、リフト量と開弁時期とが共に大きくなるように同高速用カム31のカムプロフィールを設定している。
【0040】
これら各カムシャフト20iおよび20eの下方には、それぞれ吸気側ロッカシャフト24iおよび排気側ロッカシャフト24eが設けられている。これら各ロッカシャフト24i,24eには、各気筒毎にロッカアーム25を中心として構成されるカム切換式可変動弁機構50が回動可能に装着されている。ロッカアーム25は、一対の機関バルブ13の頭部と当接している。そして、各機関バルブ13に設けられたバルブスプリング28の付勢力によって、これらのロッカアーム25はカムシャフト20に設けられたカム29,31に向けて付勢されている。そしてカムシャフト20の回転にともない、ロッカアーム25はカムのリフト部にて押圧され、ロッカシャフト24を中心として揺動される。このロッカアーム25の揺動にともない各バルブ13は開閉駆動される。なお以下では、ロッカアーム25にあってロッカシャフト24に支持される側を基端側、バルブ13の頭部と当接する側を先端側とよぶこととする。
【0041】
次に、上記ロッカアーム25を中心として構成されるカム切換式可変動弁機構50の構造について、図2〜図4に基づき詳細に説明する。
なお、図2はカム切換式可変動弁機構50の平面構造を、図3および図4は同機構50に設けられた油圧式ロック機構の断面構造を示している。
【0042】
ロッカアーム25は、図2に示されるように、ほぼ平面矩形状に形成されており、前述したようにその基端側がロッカシャフト24によって支持されている。ロッカアーム25の先端側からは、2本のアーム51が斜め前方に延伸されて形成されており、その先端部は前記バルブ13(図1)の頭部と当接可能となっている。
【0043】
ロッカアーム25の上面には、ローラフォロワ52が回動可能に支持されている。このローラフォロワ52は、前記低速用カム29と転接可能となっている。さらに、ロッカアーム25の上面にあって前記ローラフォロワ52の側方(図2中右側)には、断面円形状を呈するガイド穴53が垂直下方に形成されている。このガイド穴53内には、図3および図4に示すように、略円柱形状をした可動カムフォロワ54が摺動可能に挿入されている。この可動カムフォロワ54は、頭部に設けられた断面矩形状を呈するスリッパ55と、前記ガイド穴53内に挿入可能なように円柱形状をなす脚部56から構成されている。スリッパ55の上端面は、図3,図4に示される態様で円弧面となっており、前記高速用カム31と摺接可能となっている。また、スリッパ55の下端面とロッカアーム25の上面との間には、ロストモーションスプリング57が配設されている。可動カムフォロワ54は、このロストモーションスプリング57によって高速用カム31(図1,図2)側に付勢されている。なお、このロストモーションスプリング57のばね力は、前記バルブスプリング28(図1)のばね力よりも十分に小さく設定されている。
【0044】
一方、図3,図4に示すように、ロッカアーム25の下方には、ガイド穴53と直交する断面円形状のシリンダ穴58が同ロッカアーム25の先端側から形成されている。このシリンダ穴58内には、略円柱形状をなす油圧ピストン59が挿入されており、図3に示す位置と図4に示す位置との間を摺動可能となっている。
【0045】
この油圧ピストン59の斜視構造を図5に示す。油圧ピストン59の先端から中央にかけて、断面矩形状をなす係合溝60が形成されており、同溝60を挟んで一対の側辺61が設けられている。係合溝60の内底部は平面となっており、前記可動カムフォロワ54の脚部56(図3,図4)の底面を当接支持可能な支持部62となっている。一方、同溝60の先端側63の内底部は切り欠かれており、側辺61のみが突出された格好となっている。なお、図3(b)及び図4(b)に上記可動カムフォロワ54の脚部56についてその断面構造を併せ示すように、同脚部56には係合溝60の側壁と対向する面に平面が形成されており、脚部56はその平面部を通じて同溝60内に挿入可能となっている。
【0046】
すなわち、油圧ピストン59が図3(a),(b)に示す位置に位置した際には、可動カムフォロワ54の脚部56は係合溝60の切り欠き部に位置し、同カムフォロワ54はガイド穴53内を自由に摺動可能となる。一方、油圧ピストン59が図4(a),(b)に示す位置に位置した際には、可動カムフォロワ54の脚部56はその底面が係合溝60の支持部62に当接支持され、同可動カムフォロワ54の摺動は制限される。
【0047】
さらにこの係合溝60内には、ばね受け部材64が配設されるとともに、このばね受け部材64と油圧ピストン59との間には、図3および図4に示される態様でコイルスプリング65が配設されている。このコイルスプリング65は、ばね受け部材64を可動カムフォロワ54側に付勢すると共に、油圧ピストン59を上記シリンダ穴58の内底面側、すなわちロッカアーム25の基端側に付勢している。
【0048】
ここで、シリンダ穴58の内底面と油圧ピストン59の基端側端面との間に形成された空間は油圧室66となっている。この油圧室66は、ロッカアーム25内に形成された油通路67と連通している。なお、この油通路67は、ロッカシャフト24内に、その軸心に沿って形成されたロッカシャフト油通路68(図2)と連通している。
【0049】
すなわち、このように構成されたカム切換式可変動弁機構50において、上記油圧室66内に供給される潤滑油の圧力がある程度以上高くなると、油圧ピストン59はコイルスプリング65の付勢力に抗して図3に示す位置から図4に示す位置に移動し、ロッカアーム25内での可動カムフォロワ54の摺動を制限する。こうして摺動が制限された可動カムフォロワ54は、高速用カム31(図1,図2)の回転、押圧に基づきロッカアーム25と一体となって揺動するようになる。
【0050】
一方、油圧室66内に供給される潤滑油の圧力が低くなると、油圧ピストン59はコイルスプリング65の付勢力により図4に示す位置から図3に示す位置に移動し、可動カムフォロワ54はロッカアーム25内で自由に摺動可能となる。このとき可動カムフォロワ54はロッカアーム25とは切り離されて、いわば空揺動されるかたちとなり、ロッカアーム25は低速用カム29(図1,図2)の回転、押圧に基づき揺動するようになる。
【0051】
本実施形態にあっては、上記シリンダ穴58に設けられた油圧ピストン59、コイルスプリング65、及び油圧室66によって、上記可動カムフォロワ54のガイド穴53内での摺動を制限あるいは制限解除する油圧式ロック機構(以下、単に「ロック機構」という)が構成されている。
【0052】
次に、上述のように構成される可変動弁装置の制御様態について説明する。
低速運転時には、 ECU10は、上記油圧室66からオイルを排除すべく図示しない適宜の油圧切り換え弁を作動させ、油圧室66内の油圧を低下させる。
【0053】
こうして油圧室66内の油圧が低下すると、油圧ピストン59はコイルスプリング65の付勢力によってロッカアーム25の基底側に押し付けられ、図3に示す位置に位置するようになる。このときの可動カムフォロワ54の下端部は、油圧ピストン59の係合溝60の底面が切り欠かれた部分に位置するため、その上下方向の摺動が許容される。
【0054】
なお、先述した可動カムフォロワ54を上記高速用カム31に向けて付勢するロストモーションスプリング57の付勢力は、機関バルブ13のコイルスプリング65の付勢力に対して十分に小さく設定されている。そのため、この時の高速用カム31は単に可動カムフォロワ54を摺動させるだけで、その押圧はロッカアーム25に対してはほとんど伝達されない。したがって、このときのロッカアーム25はローラフォロワ52を介して伝達される低速用カム29の押圧に基づき揺動されるようになり、機関バルブ13も低速用カム29によって開閉駆動されるようになる。
【0055】
一方、高速運転時には、 ECU10は、油圧室66にオイルを供給すべく上記油圧切り換え弁を作動させ、油圧室66内の油圧を高めるようにする。
こうして油圧室66内の油圧が高まると、油圧ピストン59はコイルスプリング65の付勢力に抗してロッカアーム25の先端側に移動するようになる。そして、油圧ピストン59が図4に示す位置まで移動すると、可動カムフォロワ54の下端部は、油圧ピストン59の係合溝60の支持部62に位置するようになる。このとき可動カムフォロワ54が押し下げられると、その下端面と係合溝60の支持部62とが当接するようになる。
【0056】
そして、このときの高速用カム31の押圧は、可動カムフォロワ54及び油圧ピストン59の当接を通じてロッカアーム25にも直接的に伝達されるようになる。すなわち、このときの可動カムフォロワ54とロッカアーム25とは締結された状態となり、一体となって回転するようになる。そしてこの場合には、ロッカアーム25は高速用カム31によって回転されるようになり、機関バルブ13も高速用カム31によって開閉駆動されるようになる。
【0057】
図6は、上述の高速用カム31及び低速用カム29を用いたときの、機関バルブ13のリフト特性を表したグラフである。ここで、図6(a)は、吸排気系共に低速用カム29を用いた場合のリフト特性を、図6(b)は、吸排気系共に高速用カム31を用いた場合のリフト特性をそれぞれ示す。また、このグラフにおいて、横軸はクランク角を、縦軸はリフト量を示す。高速用カム31によるリフト量は、低速用カム29によるリフト量より多いために、図の曲線と横軸で囲まれた面積で表される吸気量も大きなものとなっている。
【0058】
ところで、何らかの理由により、高速用カム31又は低速用カム29への切換の指令がECU10より送られても、油圧ピストン59がシリンダ穴58を自由に動くことができず、指令が実行されないことがある。特に、この実施形態のように、カム特性の異なる複数のカムの押圧をそれぞれ受けて機関バルブ13を開閉駆動する複数のカムフォロワを備え、これら各カムフォロワを一体となるよう係合することで上記機関バルブ13のバルブ特性を内燃機関の高速運転に対応したバルブ特性へと切り換え、上記係合した各カムフォロワをそれぞれ分離することで低速運転に対応したバルブ特性へと切り換える方式の可変動弁装置では、上記油圧ピストン59の固着等によって、高速運転に対応したバルブ特性から低速運転に対応したバルブ特性への切り換え不良が発生するおそれがある。
【0059】
図7は、上述のカムの切り換え不良が生じたときの機関バルブ13のリフト特性を示すグラフである。この図7では、図7(a)に示す低速カム使用時のバルブリフト特性に対し、特に、図7(b)には吸気系の高速用カム31iがロックされた状態を、図7(c)には排気系の高速用カム31eがロックされたときの特性をそれぞれ示している。これらのグラフを比較して明らかなように、高速用カム31のロック状態が、吸気系で生じているか、排気系で生じているかによって、内燃機関1の燃焼室11内での吸排気態様も異なったものとなる。すなわち、吸気系の高速用カム31iがロックされた場合は、排気系の高速用カム31eがロックされた場合と比べて早いタイミングでオーバーラップVOが生じている。よって、燃焼ガスは排気系ばかりでなく吸気系へも流入するようになる。こうした吸気側への吹き返しが生ずると、吸気行程において燃焼室に導入されるガスの中に多くの燃焼ガスが含まれているようになり、残留ガスの流量が増大する。すなわち内部EGR量が増大する。このため、吸気系の高速用カム31iがロックされた場合には排気系の場合に比べて気筒内に残留ガスが多く存在することとなり、低速低負荷運転時ばかりか中速中負荷運転時においても失火の頻度が増大する。一方、排気系の高速用カムeがロックされた場合には低速低負荷運転時のみで失火の頻度が増大する。
【0060】
この点を考慮して、内燃機関の運転時の失火検出を利用することにより失火検出許可(可能)回数に対する実際の失火検出回数で定義される失火検出率の特定運転領域での増加態様に注目し、吸気系又は排気系において少なくとも1つの高速用カム31がロックされていることを検出する本実施形態の検出原理について、図8及び図9を用いて説明する。
【0061】
図8に例示するように、本実施形態では、機関運転領域を3つの領域に分類する。すなわち、回転数NEが1500(rpm)より小さく、吸入空気量GNが0.2(g/rev)より小さい低速低負荷領域を領域1として分類し、回転数NEが1500(rpm)以上で3000(rpm)より小さく、吸入空気量GNが0.2(g/rev)以上で0.4(g/rev)より小さい中速中負荷領域を領域2として分類し、それ以外の領域を領域3として分類する。
【0062】
一方、上述した理由により、吸気系の高速用カム31iがロックされているか、排気系の高速用カム31eがロックされているかにより、上記失火検出率には図9に示すような差異が生ずる。すなわち、排気系の高速用カム31eがロックされている場合(EXカムHiロック)には、領域1のみで失火検出率が増加するのに対し、吸気系の高速用カムiがロックされている場合(INカムHiロック)には、領域1及び領域2において失火検出率が増大する。
【0063】
以下に、この性質を考慮してカム切り換え不良を検出する本実施形態の異常検出装置の具体的な検出動作について述べる。
図10から図12は、本実施形態における可変動弁装置の異常検出に際してECU10が実行する異常検出処理の処理手順を示すフローチャートである。ECU10は、内燃機関の運転中、このルーチンの処理を所定クランク角毎に周期的に繰り返し実行する。
【0064】
このルーチンが実行されると、まずステップS100において、失火検出条件が成立しているか否かが判断される。この失火検出条件としては、フューエルカット中でないこと等がある。そして、同条件が成立していない旨判断される場合は、一旦このルーチンを終了する。
【0065】
一方、失火検出条件が成立していると判断されると、予め用意されている失火検出許可カウンタのカウント数に「1」を加える(インクリメントする)。なお、このルーチンの始動時には、同カウント数は「0」に設定されており、また同カウント数が「1001」に達すると「1」として設定され直される。
【0066】
続く一連のステップS102〜S109により、クランク角センサ9を通じて検出される回転数NE及びエアフローメータ19を通じて検出される吸入空気量GNに基づき、当該機関1の運転領域が上記いずれの領域に属するかを判別し、その判別結果に基づいて、それら運転領域を記憶し、かつそれら運転領域別に予め用意されている失火検出許可カウンタを個別にインクリメントする。すなわち、ステップS102,S105において上記運転領域の判別が行われるとともに、ステップS103,S106又はS108において該判別された運転領域の記憶が行われる。そして、この運転領域が「領域1」と判別されている場合にはステップS104において領域1失火検出許可カウンタのインクリメントが行われ、「領域2」と判別されている場合にはステップS107において領域2失火検出許可カウンタのインクリメントが行われ、「領域3」と判別されている場合にはステップS109において領域3失火検出許可カウンタのインクリメントが行われる。なお、これら領域1,領域2及び領域3の各失火検出許可カウンタのカウント数も始動時には「0」に設定されており、また、ステップS101において上記失火検出許可カウンタのカウント数が「1001」に達したときに「0」にリセットされるように設定されている。
【0067】
続くステップS110(図11)においては、クランク角センサ9を通じて検出される回転数NEの変動に基づいて失火判定が行われる。本実施形態においては、失火判定の対象となる爆発行程でのクランク角速度と一定期間前の所定時期に測定された同クランク角速度との差ΔNEが、所定の失火スレッシュレベル値を越えていた場合に失火した旨判定される。
【0068】
この失火判定により、失火していないと判定されるとステップS117へ移行する。一方、失火が検出された場合には、ステップS111における失火回数のカウントにおいて、予め用意されている失火カウンタのカウント数を1増加させる(インクリメントする)。なお、同カウント数も始動時には「0」に設定されており、また、ステップS101において上記失火検出許可カウンタのカウント数が「1001」に達したときに「0」にリセットされるように設定されている。
【0069】
そして、上記ステップS111において失火カウンタがインクリメントされた後には、ステップS112〜S116において、上記いずれの運転領域で失火が検出されたのかを上記ステップS103,S106,S108において記憶された領域を参照することにより判断し、この判断結果に基づいてそれら運転領域別に予め用意されている失火カウンタを個別にインクリメントする。すなわち、「領域1」と判断される場合にはステップS113において領域1失火カウンタのインクリメントが行われ、「領域2」と判断される場合にはステップS115において領域2失火カウンタのインクリメントが行われ、「領域3」と判断される場合にはステップS116において領域3失火カウンタのインクリメントが行われる。なお、これら「領域1」,「領域2」及び「領域3」の各失火カウンタのカウント数も始動時には「0」に設定されており、また、ステップS101において上記失火検出許可カウンタのカウント数が「1001」に達したときに「0」にリセットされるように設定されている。
【0070】
次に、ステップS117において、失火許可カウンタのカウント数が「1000」に達しているかが判断され、達していない場合には、このルーチンを一旦終了する。一方、同カウント数が「1000」に達している場合には、ステップS118に移行し、失火回数(失火カウンタのカウント数)が「60」を越えているか否かを判断する。失火回数が「60」以下である場合には、ステップS120(図12)に移行し、「60」を越えている場合には、ステップS119において失火異常と判定された後、ステップS120に移行する。
【0071】
ステップS120においては、本実施形態の上述した異常検出原理に基づく可変動弁装置の異常を判定するために十分なカウント数を各領域の失火検出許可カウンタが有しているか否かを判断する。本実施形態においては、同カウント数が各領域において「200」を越えているか否かが判断される。そして、一つでも「200」以下のカウント数を有するカウンタが存在する場合には、一旦このルーチンを終了する。
【0072】
ここで、本実施形態の原理を直接適用しない「領域3」のカウント数に対しても十分な値を要求するのは、「領域1」及び「領域2」に特有な失火異常を判定するためには、それ以外の領域との失火検出率の差を考慮する必要があるからである。
【0073】
さて、ステップS120において、本実施形態の上記原理を適用するために十分な条件が整っていると判断された場合には、ステップS121において、「領域3」の失火検出率が「5%」より小さいか否かが判断され、この条件が満たされている場合には、ステップS122において、「領域1」の失火検出率が「15%」より大きいか否かが判断される。これらS121及びS122の各ステップは、本実施形態の原理を適用した、高速用カム31のロックに起因した失火異常を判定するための条件となるものであり、どちらかのステップで条件が満たされていない場合には、このルーチンは一旦終了される。
【0074】
また、上記ステップS122の条件が満たされていると判断された場合には、ステップS123において「領域2」の失火検出率が「15%」より大きいか否かが更に判断される。そして、「領域2」の失火検出率が「15%」より大きい旨判断される場合には「領域1」及び「領域2」において失火検出率が増大していることから、上述した理由により吸気系の高速用カム31iがロックされている(INカムHiロック異常)と判定される(ステップS124)。他方、「領域2」の失火検出率が「15%」以下の場合には、「領域1」のみで失火検出率が増大していることから、上述した理由により排気系の高速用カム31eがロックされている(EXカムHiロック異常)と判定される(ステップS125)。これらステップS124又はS125の判定が終了するとこのルーチンは一旦終了される。
【0075】
以上説明した態様にて可変動弁装置の異常検出が行われる本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)検出される失火の発生頻度(失火検出率)を監視することとしたことで、ただ1つの気筒に関してであれ、可変動弁装置の異常の有無についてこれを高い精度で検出することができる。
【0076】
(2)機関の各運転領域の別に失火の発生頻度(失火検出率)を監視することとしたことで、可変動弁装置の異常検出かかる精度をより向上させることができる。
【0077】
(3)また、失火の発生頻度をこれら機関の吸気系及び排気系のそれぞれに可変動弁装置が設けられる場合であれ、それら可変動弁装置の異常の有無を好適に識別検出することができる。
【0078】
(4)上記失火検出は、通常の処理として行われることが多いため、何ら特別なセンサ等を設けることなく可変動弁装置の異常検出をおこなうことができる。(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態について、第1の実施形態との違いを説明する。
【0079】
上記失火の発生頻度(失火検出率)が所定以上に増大するような場合、2つの気筒等、複数の気筒において、上記高速用カム31のロックに起因する失火が発生している可能性がある。すなわち、失火検出率についての上記「15%」といった値がある1つの気筒での同高速用カム31のロックに起因する失火発生を判別するためのしきい値となるとき、この失火検出率については、複数の気筒での同高速用カム31のロックに起因する失火発生を判別するためのしきい値として、「25%」といった値を定めることができることが発明者等によって確認されている。そしてこの場合には、前述した異常検出原理に基づき、更に図13に示す次のことがいえるようになる。
【0080】
(イ)前記「領域1」のみでの失火検出率が上記「15%」よりも大きく且つ上記「25%」以下ときには、排気系の1つの気筒の可変動弁装置にあって高速用カム31eから低速用カム29eへの切換異常(1気筒EXカムHiロック異常)が生じている可能性がある。
【0081】
(ロ)前記「領域1」のみでの失火検出率が上記「25%」よりも大きいときには、排気系の複数の気筒の可変動弁装置にあって高速用カム31eから低速用カム29eへの切換異常(2気筒EXカムHiロック異常)が生じている可能性がある。
【0082】
(ハ)前記「領域1」及び「領域2」での失火検出率が上記「15%」よりも大きく且つ上記「25%」以下のときには、吸気系の1つの気筒の可変動弁装置にあって高速用カム31iから低速用カム29iへの切換異常(1気筒INカムHiロック異常)が生じている可能性がある。
【0083】
(ニ)「領域1」での失火検出率が上記「25%」よりも大きく、また前記「領域2」での失火検出率が上記「15%」よりも大きく且つ上記「25%」以下のときには、吸気系及び排気系の各1つの気筒の可変動弁装置にあって高速用カム31から低速用カム29への切換異常(INカム1気筒EXカム1気筒Hiロック異常)が生じている可能性がある。
【0084】
(ホ)前記「領域1」での失火検出率が上記「15%」よりも大きく且つ前記「領域2」での失火検出率が上記「25%」よりも大きいときには、吸気系の複数の気筒の可変動弁装置にあって高速用カム31iから低速用カム29iへの切換異常(2気筒INカムHiロック異常)が生じている可能性がある。
【0085】
図14は、こうした拡張原理に基づいて、前記可変動弁装置の異常検出を行う本実施形態の異常検出処理手順を示すフローチャートである。ただしこの図14において、ステップS100からステップS123までの処理(図10〜図12)は、第1の実施形態での処理と同様であるため、それら重複する処理についての図示は割愛している。さて、この異常検出処理において、ステップS123(図12)の処理で、「領域2」の失火検出率が「15%」以下である旨判断される場合には、吸気系の高速用カム31iがロックされている可能性がないことから、ステップS135において「領域1」の失火検出率が「25%」より大きいか否かが判断される。そして、「領域1」の失火検出率が「25%」より大きい場合には、2気筒以上の排気系の高速用カム31eがロックされている(EXカム2気筒Hiロック異常)と判定され(ステップS136)、「領域1」の失火検出率が「25%」以下である場合には、1気筒の排気系の高速用カム31eがロックされている(EXカム1気筒Hiロック異常)と判定される(ステップ137)。
【0086】
一方、上記ステップS123において、「領域2」の失火検出率が「15%」より大きいと判断されると、ステップS130において、「領域2」の失火検出率が「25%」より大きいか否かが更に判断され、大きい場合には2気筒以上の吸気系の高速用カム31iがロックされている(INカム2気筒Hiロック異常)と判定される(ステップS131)。
【0087】
また、上記ステップS130において、「領域2」の失火検出率が「25%」以下であると判断された場合には、ステップS132において「領域1」の失火検出率が「25%」より大きいか否かが更に判断され、大きい場合には吸気系の高速用カム31i及び排気系の高速用カム31eがロックされている(INカム・EXカム1気筒Hiロック異常)と判定される(ステップS133)。他方、「領域1」の失火検出率が「25%」以下である場合には、1気筒の吸気系の高速用カム31iがロックされている(INカム1気筒Hiロック異常)と判定される(ステップS134)。
【0088】
そして、上記S131,S133,S134,S136,S137の各ステップの終了後にこのルーチンを一旦終了する。
以上説明した態様で可変動弁装置の異常検出が行われる本実施形態によれば、第1の実施形態による前記(1)〜(4)の効果に加えて、更に以下のような効果を得られるようになる。
【0089】
(5)内燃機関1の吸気系及び排気系の双方に配設される可変動弁装置について、その上記切換異常の有無、並びに異常内容をより的確に識別することができるようになる。
【0090】
なお、以上説明した本実施形態の内燃機関の可変動弁装置の異常検出装置は、次のように変更して実施してもよい。
・上記各実施形態では吸入空気量の測定手段としてエアフローメータ19を用いたが、吸気圧センサを用いて機関負荷を求める等任意の方法及び手段を用いることができる。
・上記各実施形態で設定した運転領域及びそれらの運転領域での基準となる失火検出率については、機関の種類やその設置される状況等に応じて任意の値に設定することができる。
・上記各実施形態では、高速用のカムと低速用のカムの特性を生かした領域を設定して失火検出を行い、その発生頻度(失火検出率)に基づいて当該可変動弁装置の異常検出を行った。他に例えば、3段階のカム切り換え特性を備える可変動弁装置についても、それらの特性を生かした領域を設定して失火の検出を行うことで、その異常の有無を検出することはできる。
・上記各実施形態では、失火の発生頻度が増大した内燃機関の運転領域に応じてカム切換不良にかかる異常が発生した可変動弁装置が吸気側のものか排気側のものかを判定するようにしているが、必ずしもこうした吸気側/排気側の判定を行わずともよい。また、吸気系、排気系のいずれか一方のみに設けられた可変動弁装置についても、同様に異常検出の対象とすることができる。
・上記各実施形態では、内燃機関の特定運転領域における失火の発生頻度(失火検出)の増大に基づき可変動弁装置の異常を検出するようにしているが、いかなる運転領域であれ、単に機関運転中の失火の発生頻度を監視することとしても、可変動弁装置の異常の有無をある程度検出することはできる。
・上記各実施形態では、単に失火の発生頻度(失火検出率)を監視していたが、各気筒で爆発のタイミングが異なることを利用して、各気筒ごとに失火の発生頻度を検出してもよい。これにより、どの気筒の可変動弁装置で異常が発生したかを知ることができるようにもなる。
・上記各実施形態では、クランクシャフト7の回転変動に基づいて失火検出を行うこととしたが、該失火検出を行うための手段は任意である。他に例えば、イオン電流等に基づいて失火検出を行うものであってもよく、その場合であれ、その検出される失火の発生頻度を監視することで、上記可変動弁装置の異常の有無を高い精度で検出することができる。
・異常検出の対象となる可変動弁装置としては、上述した機関バルブのリフト量を可変とする装置には限られない。他に、機関バルブの開閉タイミングを可変とする装置にも本発明は同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の可変動弁装置の異常検出装置の第1の実施形態についてその全体構造を示す概略図。
【図2】 カム切換式可変動弁機構の平面構造を示す平面図。
【図3】 同機構のロック機構の構造を示す断面図。
【図4】 同じくロック機構の構造を示す断面図。
【図5】 油圧ピストンの形状を示す斜視図。
【図6】 低速用カム及び高速用カムによるバルブリフト特性を示すグラフ。
【図7】 カムの切り換え不良が生じているときのバルブリフト特性を示すグラフ。
【図8】 第1の実施形態で参照する機関運転領域の分割態様を示すグラフ。
【図9】 同第1の実施形態による異常判定態様を示すグラフ。
【図10】 同第1の実施形態による異常検出処理手順を示すフローチャート。
【図11】 同第1の実施形態による異常検出処理手順を示すフローチャート。
【図12】 同第1の実施形態による異常検出処理手順を示すフローチャート。
【図13】 本発明の可変動弁装置の第2の実施形態についてその異常判定態様を示すグラフ。
【図14】 同第2の実施形態による異常検出処理手順についてその一部を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…内燃機関、2…シリンダブロック、3…シリンダヘッド、4…シリンダボア、5…ピストン、6…コネクティングロッド、7…クランクシャフト、8…ロータ、9…クランク角センサ、10…電子制御装置(ECU)、11…燃焼室、12i…吸気ポート、12e…排気ポート、13…機関バルブ、14i…吸気管、14e…排気管、15…インジェクタ、16…スロットルバルブ、17…アクセルペダル、18…エアクリーナ、19…エアフローメータ、20…カムシャフト、21…カムプーリ、22…タイミングベルト、23…クランクプーリ、24…ロッカシャフト、25…ロッカアーム、28…バルブスプリング、29…低速用カム、31…高速用カム、35…点火プラグ、50…カム切換式可変動弁機構。
Claims (2)
- 内燃機関の運転状態に応じて同機関の吸気系及び排気系のバルブ特性をそれぞれ可変とする吸気系の可変動弁装置及び排気系の可変動弁装置についてそれらの異常の有無を検出する可変動弁装置の異常検出装置において、
前記機関の失火の発生を検出する失火検出手段と、該失火検出手段により検出される失火の発生頻度を前記機関の各運転領域の別に監視し、該監視する運転領域別の失火発生頻度に基づいて前記可変動弁装置の異常の有無を検出する異常検出手段とを備え、
前記各可変動弁装置は、前記機関の高速運転に対応したバルブ特性と低速運転に対応したバルブ特性とを同機関の運転状態に応じて切り替えるものであり、
前記異常検出手段は、前記監視する運転領域別の失火発生頻度に基づき、低速低負荷運転領域のみでの失火発生頻度が高いことを条件に前記排気系の可変動弁装置にあって前記高速運転に対応したバルブ特性から前記低速運転に対応したバルブ特性への切換異常が生じている旨を検出し、低速低負荷運転領域及び中速中負荷運転領域での失火発生頻度が高いことを条件に前記吸気系の可変動弁装置にあって前記高速運転に対応したバルブ特性から前記低速運転に対応したバルブ特性への切換異常が生じている旨を検出するものである
ことを特徴とする可変動弁装置の異常検出装置。 - 内燃機関の運転状態に応じて同機関の吸気系及び排気系のバルブ特性をそれぞれ可変とする吸気系の可変動弁装置及び排気系の可変動弁装置についてそれらの異常の有無を検出する可変動弁装置の異常検出装置において、
前記機関の失火の発生を検出する失火検出手段と、該失火検出手段により検出される失火の発生頻度を前記機関の各運転領域の別に監視し、該監視する運転領域別の失火発生頻度に基づいて前記可変動弁装置の異常の有無を検出する異常検出手段とを備え、
前記各可変動弁装置は、前記機関の高速運転に対応したバルブ特性と低速運転に対応したバルブ特性とを同機関の運転状態に応じて切り替えるものであり、
前記異常検出手段は、前記監視する運転領域別の失火発生頻度に基づき、低速低負荷運転領域のみでの失火発生頻度が所定の第1の値よりも高く且つ同第1の値よりも大きい第2の値よりも低いことを条件に前記排気系の1つの気筒の可変動弁装置にあって前記高速運転に対応したバルブ特性から前記低速運転に対応したバルブ特性への切換異常が生じている旨を検出し、同低速低負荷運転領域のみでの失火発生頻度が前記第2の値よりも高いことを条件に前記排気系の複数の気筒の可変動弁装置にあって前記高速運転に対応したバルブ特性から前記低速運転に対応したバルブ特性への切換異常が生じている旨を検出し、低速低負荷運転領域及び中速中負荷運転領域での失火発生頻度が前記第1の値よりも高く且つ前記第2の値よりも低いことを条件に前記吸気系の1つの気筒の可変動弁装置にあって前記高速運転に対応したバルブ特性から前記低速運転に対応したバルブ特性への切換異常が生じている旨を検出し、低速低負荷運転領域での失火発生頻度が前記第2の値よりも高いこと及び中速中負荷運転領域での失火発生頻度が前記第1の値よりも高く且つ前記第2の値よりも低いことを条件に前記吸気系及び排気系の各1つの気筒の可変動弁装置にあって前記高速運転に対応したバルブ特性から前記低速運転に対応したバルブ特性への切換異常が生じている旨を検出し、低速低負荷運転領域での失火発生頻度が前記第1の値よりも高く且つ中速中負荷運転領域での失火発生頻度が前記第2の値よりも高いことを条件に前記吸気系の複数の気筒の可変動弁装置にあって前記高速運転に対応したバルブ特性から前記低速運転に対応したバルブ特性への切換異常が生じている旨を検出するものである
ことを特徴とする可変動弁装置の異常検出装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP19740299A JP4136202B2 (ja) | 1999-07-12 | 1999-07-12 | 可変動弁装置の異常検出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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| JP19740299A JP4136202B2 (ja) | 1999-07-12 | 1999-07-12 | 可変動弁装置の異常検出装置 |
Publications (2)
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