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JP4136340B2 - 注射剤 - Google Patents
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JP4136340B2 - 注射剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗潰瘍作用を有するベンズイミダゾール化合物を含有する注射剤およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
抗潰瘍作用を有する2−[(2−ピリジル)メチルスルフィニル]ベンズイミダゾール系化合物を含有する注射剤としては、例えば以下の注射剤が報告されている。
【0003】
1)特開平2−138213号公報(EP 0356143)には、抗潰瘍作用ベンズイミダゾール化合物と、エタノール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールのうち少なくとも一種とを含有する注射剤が開示されている。この文献には、前記ベンズイミダゾール化合物の凍結乾燥品を、酸性物質とポリエチレングリコールとの混合液で溶解された注射液であり、さらにマンニトールなどの糖類や、N−メチルグルカミンを含む注射液も開示されている。さらに、上記文献の実施例4には、ランソプラゾール1gを注射用蒸留水に分散し、1N−水酸化ナトリウム3mlを添加して溶解し、水を添加して50mlとして滅菌濾過し、バイアルに分注して凍結乾燥し、凍結乾燥品を、N−メチルグルカミン、塩酸およびポリエチレングリコールなどを含む溶解液で溶解したことが記載されている。
【0004】
しかし、前記注射剤では、エタノール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールから選択されたアルコールを含む専用の溶解液を必要とするとともに、過剰量のアルカリ(水酸化ナトリウム)を使用している。
【0005】
2)特開平6−92853号公報(WO94/02141)には、抗潰瘍作用を有する2−[(2−ピリジル)メチルスルフィニル]ベンズイミダゾール系化合物またはその塩と、非水溶媒を含有しない水性溶媒とで構成され、pHが9.5以上11.5以下である注射剤が開示されている。この文献の実施例には、オメプラゾールナトリウム塩21.3g(オメプラゾールとして20g)に1N水酸化ナトリウム2.3mlを添加し、注射用水を添加してpHを11.5に調整し、無菌濾過し、アルカリ水性溶液をバイアルに充填して凍結乾燥し、生理食塩水で溶解し、オメプラゾール注射剤を得たことが記載されている。
【0006】
しかし、非水溶媒を含有しない水性溶媒を使用する注射剤においても、過剰量のアルカリ(水酸化ナトリウム)を使用している。そのため、凍結乾燥注射剤を用いて注射液を調整するためには、2−[(2−ピリジル)メチルスルフィニル]ベンズイミダゾール系化合物を湿潤させるために練合し、次いで溶解するなど煩雑な操作が必要である。練合することにより、使用する器具同士の接触による異物の発生が危惧され、また複雑な溶解操作のため、溶解時間が長時間となり、高アルカリ水溶液が空気中の二酸化炭素と接触してpHの低下を引き起こし、注射剤としての品質が悪化する可能性がある。さらに、過剰量のアルカリを使用することにより、注射剤の疼痛性または局所刺激性の発現に繋がる可能性もある。そのため、注射剤の専用溶解液の添付が不要である注射剤であって、アルカリの使用量が可能な限り少なく、かつ、練合操作、複雑な溶解操作を必要としない注射剤が強く要望されている。また、注射剤の製造時、および注射剤の再溶解時に、pHの低下を抑え、品質が悪化しない注射剤が強く望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、注射剤の専用溶解液の添付が不要であり、生理食塩水や輸液で溶解及び希釈可能な注射剤およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、簡単な操作で溶解可能な注射剤およびその製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、アルカリの使用量を低減し、疼痛性または局所刺激性を抑制できるとともに、pH低下の虞のない高品質の注射剤及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、抗潰瘍作用を有する2−[(2−ピリジル)メチルスルフィニル]ベンズイミダゾール系化合物に対し、モル比で約1:1の強アルカリとを使用することにより、専用溶解液の添付が不要であり、練合操作、複雑な溶解操作を必要としない注射剤が得られることを初めて見出し、これらの知見に基づいてさらに研究し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、式(I)
【0012】
【化3】
Figure 0004136340
【0013】
〔式中、環Aは置換基を有していてもよいベンゼン環、
は水素原子、置換基を有していてもよいアラルキル基、アシル基またはアシルオキシ基、
、RおよびRは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよいアミノ基、
Xは窒素原子またはCH、および
Yは窒素原子またはCHを示す〕
で表される化合物[以下、単に化合物(I)と略記することもある]と強アルカリとN−メチルグルカミンとを含有する注射剤であって、前記式(I)で表される化合物1モルに対して強アルカリを0.90〜1.10当量の割合で含有し、非水溶媒を実質的に含まない溶媒で溶解又は希釈可能な注射剤に関する。
より具体的には、式(Ia)
【化4】
Figure 0004136340
[式中、R は水素原子、R はC 1−3 アルキル基又はC 1−3 アルコキシ基、R はハロゲン化されているか又はC 1−3 アルコキシ基で置換されていてもよいC 1−3 アルコキシ基、R は水素原子又はC 1−3 アルキル基、R は、水素原子、ハロゲン化されていてもよいC 1−3 アルコキシ基又はピロリル基である]
で表される化合物と強アルカリとN−メチルグルカミンとを含有する注射剤であって、強アルカリがアルカリ金属化合物又はアルギニンであり、前記式(Ia)で表される化合物1モルに対して強アルカリを0.90〜1.10当量の割合で含有し、非水溶媒を実質的に含まない溶媒で溶解又は希釈可能であり、非水溶媒を実質的に含まない注射剤に関する。
【0014】
前記式(I)において、環Aは、ハロゲン原子、ハロゲン化されていてもよいC1-4アルキル基、ハロゲン化されていてもよいC1-4アルコキシ基および5又は6員複素環基から選ばれた置換基を有していてもよいベンゼン環;R1は水素原子;R2はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルコキシ−C1-6アルコキシ基又はジ−C1-6アルキルアミノ基、特にC1-3アルキル基;R3は水素原子、C1-6アルコキシ−C1-6アルコキシ基又はハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基、特にハロゲン化されていてもよいC1-3アルコキシ基;R4は水素原子又はC1-6アルキル基(例えば、C1-3アルキル基)、特に水素原子;X及びYは窒素原子であってもよい。
【0015】
さらに、前記式(I)で表される化合物は、下記式(Ia)で表される化合物であってもよい。
【0016】
【化4】
Figure 0004136340
【0017】
[式中、R1は水素原子、R2はC1-3アルキル基又はC1-3アルコキシ基、R3はハロゲン化されているか又はC1-3アルコキシ基で置換されていてもよいC1-3アルコキシ基、R4は水素原子又はC1-3アルキル基、R5は、水素原子、ハロゲン化されていてもよいC1-3アルコキシ基又はピロリル基である]
式(Ia)において、R1は水素原子、R2はC1-3アルキル基、R3はハロゲン化されていてもよいC1-3アルコキシ基、R4は水素原子、R5は水素原子又はハロゲン化されていてもよいC1-3アルコキシ基であってもよい。
【0018】
本発明の注射剤は、非水溶媒(又は水溶性有機溶媒)を用いることなく、通常、非水溶媒を実質的に含まない溶媒(媒体が実質的に水である溶媒)で溶解又は希釈可能であり、容易に注射液を調製できる。
【0019】
前記強アルカリは、アルカリ金属化合物(例えば、水酸化ナトリウム)であってもよい。化合物(I)1モルに対する強アルカリの当量比は、0.90〜1.10程度であってもよい。
【0020】
なお、本発明の注射剤は、化合物(I)15mgに対して生理食塩水又は注射用蒸留水を2.5mlの割合で用いて溶解したとき、pHが10.4〜12.0程度であってもよく、化合物(I)15mgに対して生理食塩水を2.5mlの割合で用いて溶解したとき、前記生理食塩水に対する溶解液の浸透圧比が0.3〜5程度であってもよい。
【0021】
本発明の注射剤は、凍結乾燥製剤であってもよく、このような凍結乾燥製剤は非水溶媒を実質的に含まない溶媒で溶解又は希釈可能である。
【0022】
本発明の注射剤は、さらにN−メチルグルカミンを含有してもよい。N−メチルグルカミンの割合は、化合物(I)1mgに対し、0.1〜1mg程度であってもよい。注射剤は、さらに糖類(例えば、マンニトールなどの糖アルコールなど)を含有してもよい。糖類の割合は、化合物(I)1mgに対し、0.1〜20mgであってもよい。このような成分を含む注射剤は、例えば、化合物(I)を含み、非水溶媒を実質的に含まない溶媒で溶解又は希釈可能な注射剤であって、化合物(I)1mgに対して、N−メチルグルカミン0.1〜0.8mg、糖アルコール1〜10mgを含んでいてもよい。
【0023】
さらに、注射剤は、例えば、化合物(I)を含み、非水溶媒を実質的に含まない溶媒で溶解又は希釈可能な注射剤であって、化合物(I)15mgに対して、N−メチルグルカミンを4〜6mg、マンニトールを25〜35mg、および水酸化ナトリウムを1.5〜1.8mgの割合で含む注射剤、例えば、化合物(I)30mg、水酸化ナトリウム3.45mg、N−メチルグルカミン10mgおよびマンニトール60mgを含有する注射剤、化合物(I)15mg、水酸化ナトリウム1.73mg、N−メチルグルカミン5mgおよびマンニトール30mgを含有する注射剤などであってもよい。
【0024】
本発明の注射剤は、通常、非水溶媒(又は水溶性有機溶媒)を実質的に含まず、媒体が実質的に水である溶媒で溶解又は希釈可能である。さらに、本発明の注射剤は、凍結乾燥製剤(凍結乾燥した注射剤)、例えば、化合物(I)とアルカリ金属水酸化物とを、モル比1:0.90〜1.10の割合で含むとともに、化合物(I)1mgに対して、N−メチルグルカミン0.1〜0.8mg、および糖アルコール1〜10mgを含む凍結乾燥製剤であってもよい。このような凍結乾燥製剤であっても、注射用水(注射用蒸留水)、電解質液(生理食塩水など)などを含む輸液、栄養輸液などから選択された少なくとも1つの液体又は溶媒により溶解可能であり、容易に注射液を調製できる。
【0025】
本発明の注射剤は、化合物(I)と強アルカリとN−メチルグルカミンとを含有し、化合物(I)と、0.15〜0.25当量/Lの強アルカリ水溶液とを、前者1モルに対して後者0.90〜1.10当量の割合で用い、化合物(I)を強アルカリ水溶液に溶解させることにより製造できる。そのため、本発明はこの製造方法で得られた注射剤も包含する。この方法において、強アルカリ水溶液は水酸化ナトリウム水溶液であってもよい。
【0026】
このように、本発明では、強アルカリの使用量を低減しつつ化合物(I)の溶解性を向上できる。そのため、本発明は、非水溶媒(又は水溶性有機溶媒)を用いることなく、化合物(I)と強アルカリとN−メチルグルカミンとを含有する注射剤の疼痛性及び局所刺激性を改善する方法であって、化合物(I)と強アルカリとを、前者1モルに対して後者0.90〜1.10当量の割合で用いて注射剤を調製することにより、注射剤の疼痛性及び局所刺激性を改善する方法、化合物(I)と強アルカリとN−メチルグルカミンとを含有する注射剤において、化合物(I)と強アルカリとを、前者1モルに対して後者0.90〜1.10当量の割合で用いて凍結乾燥製剤を調製することにより、非水溶媒(又は水溶性有機溶媒)を用いることなく、注射用水、輸液および栄養輸液から選択された少なくとも1つの液体に対する前記凍結乾燥製剤の溶解性を改善する方法も開示する。
【0027】
本発明は、注射剤をヒトに投与し、消化性潰瘍;胃炎;逆流性食道炎;NUD(Non Ulcer Dyspepsia);胃癌;胃MALTリンパ腫;上部消化管出血、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍;手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍;又はヘリコバクター・ピロリ菌に起因する疾患を予防又は治療する方法として有用である。
【0028】
さらに、本発明は、前記式(I)で表される化合物1モルに対して強アルカリを0.90〜1.10当量の割合で含有する注射剤の使用であって、消化性潰瘍;胃炎;逆流性食道炎;NUD(Non Ulcer Dyspepsia);胃癌;胃MALTリンパ腫;上部消化管出血、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍;手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍;又はヘリコバクター・ピロリ菌に起因する疾患の予防又は治療のための使用も開示する。また、化合物(I)と強アルカリとN−メチルグルカミンとを含有する注射剤の製造において、前記化合物(I)1モルに対して強アルカリを0.90〜1.10当量の割合で含有する注射剤(例えば、凍結乾燥製剤又は凍結乾燥注射剤)を製造するための強アルカリの使用も開示する。
本発明はさらに、式(I)で表される化合物と強アルカリとN−メチルグルカミンとを含有する注射剤の製造法であって、前記式(I)で表される化合物1モルに対して強アルカリ0.90〜1.10当量を使用し、前記式(I)で表される化合物を強アルカリ水溶液に溶解させる工程を有することを特徴とする注射剤の製造法、さらに凍結乾燥工程を有する上記製造法、さらには上記製造法で得られる注射剤も包含する。
【0029】
本明細書において、「注射剤」とは、最終の形態での注射液に限らず、用時に溶解液を用いて最終注射液を調製可能な注射液前駆体(例えば、液状注射剤(濃厚又は濃縮注射剤)又は固形状注射剤(凍結乾燥注射剤など))をも含む意味に用いる。また、化合物(I)と強アルカリとのモル比とは、化合物(I)1モルに対する強アルカリの当量比を意味する。さらに、「式(I)で表される化合物の塩」とは、式(I)(Ia)において置換基R〜Rの酸性基及び/又は塩基性基に対する塩を意味する。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の注射剤は、化合物(I)と、当量比で約1:1の強アルカリとを含有する。すなわち、注射剤は、化合物(I)1モルに対して強アルカリを約1当量の割合で含有する。
【0031】
上記化合物(I)中、環Aで示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」の「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、カルボキシ基、アシル基、アシルオキシ基、5ないし10員複素環基などが挙げられ、これらの置換基はベンゼン環に1ないし3個程度置換していてもよい。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。これらの置換基のうち、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基などが好ましい。
【0032】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素原子などが挙げられる。なかでもフッ素原子が好ましい。
【0033】
「置換基を有していてもよいアルキル基」の「アルキル基」としては、例えばC1-7アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル基など)が挙げられる。「置換基を有していてもよいアルキル基」の「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C1-6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル基等)、カルバモイル基などが例示でき、これらの置換基の数は1ないし3個程度であってもよい。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。
【0034】
「置換基を有していてもよいアルコキシ基」の「アルコキシ基」としては、例えばC1-6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシ等)などが挙げられる。「置換基を有していてもよいアルコキシ基」の「置換基」としては、前記「置換基を有していてもよいアルキル基」の「置換基」と同様のものが例示でき、置換基の置換数も同様である。
【0035】
「アリール基」としては、例えばC6-14アリール基(例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−アンスリル基等)などが挙げられる。
【0036】
「アリールオキシ基」としては、例えばC6-14アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ基等)などが挙げられる。
【0037】
「アシル基」としては、例えばホルミル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、カルバモイル、アルキルカルバモイル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル基などが挙げられる。
【0038】
「アルキルカルボニル基」としては、C1-6アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニル基等)などが挙げられる。
【0039】
「アルコキシカルボニル基」としては、例えばC1-6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル基等)などが挙げられる。
【0040】
「アルキルカルバモイル基」としては、N−C1-6アルキル−カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル基等)、N,N−ジC1-6アルキル−カルバモイル基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル基等)などが挙げられる。
【0041】
「アルキルスルフィニル基」としては、例えばC1-7アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル基等)が挙げられる。
【0042】
「アルキルスルホニル基」としては、例えばC1-7アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル基等)が挙げられる。
【0043】
「アシルオキシ基」としては、例えばアルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルキルカルバモイルオキシ基、アルキルスルフィニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基などが挙げられる。
【0044】
「アルキルカルボニルオキシ基」としては、C1-6アルキル−カルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ基等)などが挙げられる。
【0045】
「アルコキシカルボニルオキシ基」としては、例えばC1-6アルコキシ−カルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、プロポキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ基等)などが挙げられる。
【0046】
「アルキルカルバモイルオキシ基」としては、C1-6アルキル−カルバモイルオキシ基(例えば、メチルカルバモイルオキシ、エチルカルバモイルオキシ基等)などが挙げられる。
【0047】
「アルキルスルフィニルオキシ基」としては、例えばC1-7アルキルスルフィニルオキシ基(例えば、メチルスルフィニルオキシ、エチルスルフィニルオキシ、プロピルスルフィニルオキシ、イソプロピルスルフィニルオキシ基等)が挙げられる。
【0048】
「アルキルスルホニルオキシ基」としては、例えばC1-7アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ、プロピルスルホニルオキシ、イソプロピルスルホニルオキシ基等)が挙げられる。
【0049】
「5ないし10員複素環基」としては、例えば、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1個以上(例えば1〜3個)を含む5ないし10員(好ましくは5または6員)複素環基が挙げられ、具体例としては、2−または3−チエニル基、2−,3−または4−ピリジル基、2−または3−フリル基、1−,2−または3−ピロリル基、2−,3−,4−,5−または8−キノリル基、1−,3−,4−または5−イソキノリル基、1−,2−または3−インドリル基などが挙げられる。このうち好ましくは1−,2−または3−ピロリル基などの5または6員複素環基である。
【0050】
好ましくは、環Aは、ハロゲン原子、ハロゲン化されていてもよいC1-4アルキル基、ハロゲン化されていてもよいC1-4アルコキシ基および5又は6員複素環基から選ばれる置換基を1又は2個有していてもよいベンゼン環である。
【0051】
下記式
【0052】
【化5】
Figure 0004136340
【0053】
〔式中、各記号は前記と同意義を示す〕で表される基として好ましくは、式
【0054】
【化6】
Figure 0004136340
【0055】
〔式中、R5は水素原子、ハロゲン化されていてもよいC1-4アルキル基、ハロゲン化されていてもよいアルコキシ基または5または6員複素環基、R1は前記と同意義を示す〕で表される基である。
【0056】
5は、好ましくは(1)水素原子、(2)ハロゲン化されていてもよいC1-3アルコキシ基、または(3)ピロリル基(例えば、1−,2−または3−ピロリル基)である。R5は、通常、水素原子又はハロゲン化されていてもよいC1-3アルコキシ基である。
【0057】
1で示される「置換基を有していてもよいアラルキル基」の「アラルキル基」としては、例えば、C7-16アラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチルなどのC6-10アリール−C1-6アルキル基等)などが挙げられる。「置換基を有していてもよいアラルキル基」の「置換基」としては、前記「置換基を有していてもよいアルキル基」の「置換基」と同様の置換基が例示でき、置換基の数は1ないし4個程度である。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。
【0058】
1で示される「アシル基」としては、例えば前記環Aの置換基として詳述した「アシル基」が挙げられる。
【0059】
1で示される「アシルオキシ基」としては、例えば前記環Aの置換基として詳述した「アシルオキシ基」が挙げられる。
【0060】
好ましいR1は水素原子である。
【0061】
2、R3またはR4で示される「置換基を有していてもよいアルキル基」としては、前記環Aの置換基として詳述した「置換基を有していてもよいアルキル基」が挙げられる。
【0062】
2、R3またはR4で示される「置換基を有していてもよいアルコキシ基」としては、前記環Aの置換基として詳述した「置換基を有していてもよいアルコキシ基」が挙げられる。
【0063】
2、R3またはR4で示される「置換基を有していてもよいアミノ基」としては、例えば、アミノ基、モノ−C1-6アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ等)、モノ−C6-14アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ、1−ナフチルアミノ、2−ナフチルアミノ等)、ジ−C1-6アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等)、ジ−C6-14アリールアミノ基(例えば、ジフェニルアミノ等)などが挙げられる。
【0064】
好ましいR2は、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルコキシ−C1-6アルコキシ基、ジ−C1-6アルキルアミノ基である。さらに好ましいR2はC1-3アルキル基又はC1-3アルコキシ基である。
【0065】
好ましいR3は、水素原子、C1-6アルコキシ−C1-6アルコキシ基またはハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基である。さらに好ましいR3はハロゲン化されているか又はC1-3アルコキシ基で置換されていてもよいC1-3アルコキシ基である。
【0066】
好ましいR4は、水素原子またはC1-6アルキル基である。さらに好ましいR4は水素原子またはC1-3アルキル基(特に水素原子)である。
【0067】
好ましいXは窒素原子である。
【0068】
好ましいYは窒素原子である。
【0069】
化合物(I)の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0070】
2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール、
2−[[(3,5−ジメチル−4−メトキシ−2−ピリジニル)メチル]スルフィニル]−5−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール、
2−[[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチル−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩、
5−ジフルオロメトキシ−2−[[(3,4−ジメトキシ−2−ピリジニル)メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールなど。
【0071】
これらの化合物のうち、2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールが好ましい。
【0072】
なお、前記化合物(I)は、ラセミ体であってもよく、R−体、S−体などの光学活性体であってもよい。例えば、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールなどの光学活性体であってもよい。
【0073】
式(I)で表される化合物の塩としては、薬学的に許容される塩が好ましく、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、塩基性アミノ酸との塩などが挙げられる。
【0074】
無機塩基との塩の好適な例としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩などが挙げられる。
【0075】
有機塩基との塩の好適な例としては、例えば、アルキルアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミンなど)、複素環式アミン(ピリジン、ピコリンなど)、アルカノールアミン(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
【0076】
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
【0077】
これらの塩のうち好ましくは、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩である。とりわけナトリウム塩が好ましい。
【0078】
化合物(I)は、自体公知の方法により製造でき、例えば、特開昭61−50978号公報、USP 4,628,098、特開平10−195068号公報、WO 98/21201等に記載の方法またはこれらに準じた方法により製造される。なお、光学活性な化合物(I)は、光学分割法(分別再結晶法、キラルカラム法、ジアステレオマー法、微生物又は酵素を用いる方法など)、不斉酸化などの方法で得ることができる。
【0079】
「強アルカリ」としては、水酸化物などの塩基であっても、炭酸塩や酢酸塩などの塩の形であっても、強塩基性を示すものであればよい。前記塩基としては、水溶液中の電離度の大きな化合物、例えば、電離度が約0.5以上の化合物が含まれる。また、塩は、多くが強電解質であるが、水溶液において、pHが約11以上、特にpHが約11.5以上の塩基性物質が好ましい。このような強アルカリとしては、例えば、アルカリ金属化合物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩など)、アルギニン等の強塩基性物質が挙げられる。これらの強アルカリは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましい強アルカリは、アルカリ金属化合物、例えば、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、特に水酸化ナトリウムである。
【0080】
「強アルカリ」の配合量は、化合物(I)1モルに対して、約1当量、好ましくは0.80〜1.20当量、さらに好ましくは0.90〜1.10(例えば、0.95〜1.08)当量、特に0.97〜1.08(例えば、1.0〜1.08)当量程度である。
【0081】
本発明では、強アルカリの使用量を低減できるとともに、実質的に非水溶媒(又は水溶性有機溶剤)を用いることなく、注射剤の溶解性を高めることができる。そのため、本発明は、前記組成の注射剤を製造するための強アルカリの使用も開示する。
【0082】
本発明の注射剤は、さらにN−メチルグルカミンを含有していてもよい。「N−メチルグルカミン」の配合量は、化合物(I)1mgに対し、約0.1〜1mg、好ましくは約0.1〜0.8mg、さらに好ましくは約0.2〜0.6mg、特に約0.3〜0.5mg(例えば、0.3〜0.4mg)である。
N−メチルグルカミンを配合することにより、N−メチルグルカミンの緩衝能によりpH低下を抑制でき、不純物の析出などによる製剤の劣化を防止できる。さらに、N−メチルグルカミンの配合により、pH約9〜11程度、さらに濃度によりpH約8〜11程度まで高いpHを維持できる。
【0083】
本発明の「注射剤」は、さらに糖類を含有していてもよい。「糖類」としては、例えば、単糖類(例えば、グルコース、ガラストース、リボース、キシロース、マンノース、マルトトリオース、マルトテトラオース等)、二糖類(蔗糖、乳糖、セロビオース、麦芽糖等)、三糖類(例えば、ラフィノース等)、糖アルコール(例えば、ソルビトール、イノシトール、マンニトール等)、多糖類(例えば、デキストラン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、硫酸デキストリン等)およびその塩(例えば、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等)、環状糖類(例えば、シクロデキストリン、分岐シクロデキストリン等)などが挙げられる。これらの糖類のうち好ましくは糖アルコールである。特に好ましくはマンニトールである。
【0084】
「糖類」の配合量は、化合物(I)1mgに対し、約0.1〜20mg、好ましくは約0.5〜10mg(例えば、1〜10mg)、さらに好ましくは約1〜5mg(例えば、約1〜3.3mg)である。
【0085】
本発明の注射剤は、さらに添加物を含有していてもよい。
【0086】
「添加物」としては、例えば、水溶性無機酸(例えば、塩酸、硫酸、炭酸、リン酸など)、水溶性無機酸のアルカリ金属塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等)、水溶性無機酸のアルカリ土類金属塩(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等)、水溶性有機酸(例えば、クエン酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、酢酸、蓚酸、安息香酸、タンニン酸、グルコン酸、フマル酸、ソルビン酸、エリソルビン酸、メシル酸、メフェナム酸等)、水溶性有機酸のアルカリ金属塩(例えば、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム等)、水溶性有機酸のアルカリ土類金属塩(例えば、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸マグネシウム等)、中性アミノ酸(例えば、グリシン、アラニン等)、酸性アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸等)、酸性アミノ酸の塩(例えば、アスパラギン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム等)、塩基性アミノ酸の塩(例えば、塩酸リジン、塩酸アルギニン等)などが挙げられる。
【0087】
また、必要に応じ、本発明の「注射剤」は、緩衝液(例えば、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム等)、等張化剤(例えば、グルコース、塩化ナトリウム等)、安定化剤(例えば、亜硫酸水素ナトリウム等)、無痛化剤(例えば、グルコース、ベンジルアルコール、塩酸メピバカイン、塩酸キシロカイン、塩酸プロカイン、塩酸カルボカイン等)、防腐剤(例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピルなどのパラオキシ安息香酸エステル、チメロサール、クロロブタノール、ベンジルアルコール等)などを用いることもできる。
【0088】
本発明の注射剤の具体例としては、化合物(I)、強アルカリ(アルカリ金属水酸化物など)、N−メチルグルカミンおよび糖類を含有する注射剤が例示できる。好ましい注射剤は、化合物(I)、水酸化ナトリウム、N−メチルグルカミンおよびマンニトールで構成された注射剤である。このような注射剤において、各成分の割合は、化合物(I)15mgに対して、N−メチルグルカミン約4〜6mg、糖アルコール(マンニトールなど)約25〜35mg、および水酸化ナトリウム約1.5〜1.8mgであってもよい。より具体的には、注射剤は、化合物(I)30mg、水酸化ナトリウム3.45mg、N−メチルグルカミン10mgおよびマンニトール60mgを含有する注射剤(以下、製剤(I)と略記する場合がある)、化合物(I)15mg、水酸化ナトリウム1.73mg、N−メチルグルカミン5mgおよびマンニトール30mgを含有する注射剤(以下、製剤(II)と略記する場合がある)であってもよい。
【0089】
本発明の注射剤は、液剤の形態(例えば、水性注射液の形態)であってもよく、半固形状(例えば、濃厚な水性注射剤など)や固形状であってもよい。本発明の好ましい注射剤は、凍結乾燥製剤(凍結乾燥注射剤)である。また、本発明の注射剤には、用時に溶解液又は希釈液で溶解又は希釈した注射液も含まれる。
【0090】
本発明の注射剤(特に凍結乾燥製剤)は、非水溶媒(プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの水溶性有機溶媒)を実質的に含まない溶解液又は希釈液(注射用蒸留水などの注射用水、輸液(生理食塩水などの電解質液など)などの水性溶解液又は希釈液)で溶解又は希釈可能であり、注射液を容易に調製できる。そのため、本発明の注射剤は、通常、非水溶媒(プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの水溶性有機溶媒)を実質的に含まない。また、水性注射剤(注射液など)において、溶媒が実質的に水(蒸留水など)であっても、化合物(I)の溶解性を損なうことがない。さらに、非水溶媒を用いることなく、強アルカリの使用量を低減できるので、注射剤の疼痛性及び局所刺激性を抑制できるとともに、注射剤のpHの低下を抑制できる。そのため、本発明は、注射剤の疼痛性及び局所刺激性を改善する方法、前記注射剤(特に凍結乾燥製剤)の溶解性を改善する方法も開示する。
【0091】
本発明の注射剤は、化合物(I)15mgに対して生理食塩水又は注射用蒸留水を2.5mlの割合で用いて溶解したとき、pHは、10.4〜12.0、好ましくは10.5〜11.5、より好ましくは10.6〜11.3程度である。換言すると、製剤(I)を5mLの生理食塩液又は注射用水で再溶解した溶液、及び製剤(II)を2.5mLの生理食塩液もしくは注射用水で再溶解した溶液のpHは、通常、上記pH値を示す。製剤(I)はさらに約1Lまでの生理食塩液で希釈したとき、約pH9〜pH11である。
【0092】
なお、N−メチルグルカミンの水溶液は、約pH9〜pH11で充分な緩衝能を有しており、化合物(I)を配合する注射剤の製造、および注射剤の再溶解において、化合物(I)を含む溶液のpH低下を抑制し、品質の悪化を防止できる。
【0093】
さらに、化合物(I)15mgに対して生理食塩水を2.5mlの割合で用いて溶解したとき、前記生理食塩水に対する溶解液の浸透圧比は、例えば、約0.3〜5、好ましくは約0.5〜3、より好ましくは約1〜2である。換言すれば、製剤(I)を5mLの生理食塩液で溶解後の浸透圧比(0.9%生理食塩液の浸透圧を1とした比)、および製剤(II)を2.5mLの生理食塩液で溶解後の浸透圧比は、通常、上記浸透圧比を示す。
【0094】
本発明の注射剤は、化合物(I)を強アルカリ水溶液(水酸化ナトリウム水溶液など)に溶解させ、バイアルまたはアンプルに充填後、必要に応じて、凍結乾燥することにより製造できる。N−メチルグルカミン、糖類および添加物などを配合する場合、化合物(I)、N−メチルグルカミン、糖類および添加物などを強アルカリ水溶液(水酸化ナトリウム水溶液など)に溶解させ、バイアルまたはアンプルに充填後、必要に応じ、凍結乾燥することにより注射剤を得ることができる。特に、化合物(I)と、特定の濃度の強アルカリ水溶液(水酸化ナトリウム水溶液など)とを、前者1モルに対して強アルカリ(水酸化ナトリウムなど)約1当量の割合で用い、化合物(I)を強アルカリ水溶液に溶解させることにより、注射剤を製造できる。
【0095】
「強アルカリ水溶液」の濃度は、約0.15〜0.25当量/L、好ましくは約0.17〜0.23当量/L、特に約0.18〜0.22当量/L(例えば、約0.19〜0.21mol/L)である。換言すれば、強アルカリとして、例えば、水酸化ナトリウムを使用する場合、「水酸化ナトリウム水溶液」の濃度は、約0.15〜0.25mol/L、好ましくは約0.18〜0.22mol/Lである。水酸化ナトリウムの濃度が、0.1mol/L未満の場合、充分な溶解度が得られず、化合物(I)が完全に溶解しないため、調製液は白濁し、0.25mol/Lを超えると、化合物(I)を溶解させるために充分な練合操作およびその後の注射用水での希釈が必要となり、非常に複雑な溶解操作が必要となる。なお、強アルカリとして、例えば水酸化ナトリウム以外の強アルカリを使用する場合も上記の方法に準じて本発明の注射剤を製造できる。
【0096】
強アルカリ水溶液への化合物(I)の「溶解」は自体公知の方法に従って行えばよい。
【0097】
「凍結乾燥」は、自体公知の方法に従って行えばよく、一般に−25℃以下の温度で凍結後、乾燥庫内真空度を約13.3Pa以下に保ちながら、棚温を25℃ないし40℃に到達するまで昇温させつつ乾燥する方法が望ましい。
【0098】
「バイアル」としては、注射剤に使用可能なガラス材質であるのが好ましく、好ましい「バイアル」は、USP TYPE I、II、IIIなど、特にTYPE Iである。また、通常よりもアルカリ溶出量を低減させたガラスバイアル、環状ポリオレフィンなどのプラスチック製バイアル〔例、CZバイアル(大協精工(株))〕なども使用される。バイアルの形状および大きさに特に制限はない。バイアルの容量は、好ましくは100mL以下、さらに好ましくは40mL以下、特に好ましくは20mL以下である。バイアルの具体例としては、例えば、17Pバイアル、9Pバイアル、5Pバイアル、3.5Pバイアルが挙げられる。
【0099】
「アンプル」としては、注射剤に使用可能なガラス材質であるのが好ましく、その形状および大きさには、特に制限はない。好ましいアンプルの容量は30mL以下、さらに好ましくは20mL以下、特に好ましくは10mL以下である。アンプルの具体例としては、10Pアンプル、5Pアンプル、3Pアンプルなどが挙げられる。
【0100】
本発明の注射剤の再溶解において、内容物による発泡が激しく澄明となるのに時間を要する場合には、シリコンコーティングしたバイアルまたはアンプルを使用し、再溶解時間を短縮することができる。コーティングに使用されるシリコーンとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどのシリコーンオイル;メチルワニスシリコーン、メチルフェニルワニスシリコーンなどのワニスシリコーンが挙げられ、好ましいシリコーンの一例としては、KM−740〔信越化学工業(株)〕が挙げられる。
【0101】
本発明の注射剤が水性注射剤である場合、バイアルまたはアンプルから目的とする一定量を注射用シリンジなどで抜き取ることにより用いられる。本発明の注射剤が凍結乾燥製剤である場合、使用時に再溶解して用いられる。
【0102】
「再溶解に用いる溶媒」としては、高濃度で使用した場合に毒性が危惧されるポリエチレングリコールなどの非水溶媒を含む溶液を用いる必要がなく、例えば、注射用水(注射用蒸留水)、輸液[電解質液(生理食塩水、リンゲル液など)、栄養輸液(糖液(例えば、5%(w/v)グルコース溶液などのグルコース溶液など)、蛋白アミノ酸注射液、ビタミン注射液など)、電解液や栄養輸液(糖液など)を組み合わせた代用血液、脂肪を乳化した脂肪乳剤など]の一種またはこれら二種以上の混合溶媒が挙げられる。溶媒には、必要に応じ、pH調整剤(例えば、酸性物質、弱アルカリ性物質等)などを加えてもよい。なお、本発明の注射剤は、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの有機溶媒で再溶解してもよく、有機溶媒に溶解後、さらに上記「再溶解に用いる溶媒」として例示した溶媒などに希釈して用いることもできる。
【0103】
上記「電解質液」は、電解質を注射用水に溶解した液であり、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、炭酸マグネシウムなどの一種または二種以上を含む溶液、乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液などが挙げられる。好ましい電解質液は塩化ナトリウムを含む溶液であり、特に好ましくは生理食塩液〔0.9%(w/v)塩化ナトリウム溶液〕である。
【0104】
上記「糖液」は、糖類を注射用水に溶解した液であり、例えば、グルコース、果糖、ソルビトール、マンニトール、デキストランなどの一種または二種以上を含む溶液などが挙げられる。好ましい糖液は、5〜70%(w/v)のグルコース溶液、特に好ましくは5%(w/v)グルコース溶液および10%(w/v)グルコース溶液などである。
【0105】
上記「蛋白アミノ酸注射液」は、アミノ酸を注射用水に溶解した液であり、例えば、グリシン、アスパラギン酸、リジン等などの一種または二種以上を含む溶液などが挙げられる。
【0106】
上記「ビタミン注射液」は、ビタミン類を注射用水に溶解した液であり、例えば、ビタミンB1、ビタミンCなどの一種または二種以上を含む溶液などが挙げられる。
【0107】
好ましい「再溶解に用いる溶媒」は、注射用水、生理食塩液、グルコース溶液(例えば、5%(w/v)グルコース溶液など)である。
【0108】
化合物(I)は優れた抗潰瘍作用、胃酸分泌抑制作用、粘膜保護作用、抗ヘリコバクター・ピロリ作用等を有し、また毒性は低い。
【0109】
本発明の注射剤は、哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト動物、例えば、サル、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなど)において、消化性潰瘍(例えば、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、ゾリンジャー・エリソン(Zollinger-Ellison)症候群など)、胃炎、逆流性食道炎、NUD(Non Ulcer Dyspepsia)、胃癌(インターロイキン−1の遺伝子多形によるインターロイキン−1βの産生促進に伴う胃癌を含む)、胃MALTリンパ腫、ヘリコバクター・ピロリに起因する疾患、消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍および出血性胃炎による上部消化管出血、侵襲ストレス(手術後に集中管理を必要とする大手術や集中治療を必要とする脳血管障害、頭部外傷、多臓器不全、広範囲熱傷から起こるストレス)による上部消化管出血、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍などの治療および予防にも有用である。さらには、ヘリコバクター・ピロリの除菌、上記上部消化管出血の抑制、および手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍の治療および予防、麻酔前投与などにも有用である。本発明の注射剤は、これらの疾患の治療および予防などを目的として、非経口投与(例えば、点滴投与、静脈投与、筋肉内投与、皮下投与など)できる。
【0110】
本発明の注射剤の活性成分である化合物(1)は、さらに他の活性成分(例えば、1ないし3種の活性成分)と併用してもよい。
【0111】
「他の活性成分」としては、例えば、抗ヘリコバクター・ピロリ活性物質、イミダゾール系化合物、ビスマス塩、キノロン系化合物などが挙げられる。このうち、抗ヘリコバクター・ピロリ活性物質、イミダゾール系化合物などが好ましい。「抗ヘリコバクター・ピロリ活性物質」としては、例えば、ペニシリン系抗生物質(例えば、アモキシシリン、ベンジルペニシリン、ピペラシリン、メシリナムなど)、セフェム系抗生物質(例えば、セフィキシム、セファクロルなど)、マクロライド系抗生物質(例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのエリスロマイシン系抗生物質)、テトラサイクリン系抗生物質(例えば、テトラサイクリン、ミノサイクリン、ストレプトマイシンなど)、アミノグリコシド系抗生物質(例えば、ゲンタマイシン、アミカシンなど)、イミペネムなどが挙げられる。中でもペニシリン系抗生物質、マクロライド系抗生物質などが好ましい。「イミダゾール系化合物」としては、例えば、メトロニダゾール、ミコナゾールなどが挙げられる。「ビスマス塩」としては、例えば、ビスマス酢酸塩、ビスマスクエン酸塩などが挙げられる。「キノロン系化合物」としては、例えば、オフロキサシン、シプロキサシンなどが挙げられる。とりわけ、ヘリコバクター・ピロリ除菌のためには、本発明の注射剤と、ペニシリン系抗生物質(例えば、アモキシシリンなど)及び/又はエリスロマイシン系抗生物質(例えば、クラリスロマイシンなど)とを併用して用いるのが好ましい。
【0112】
一日の投与量は、症状の程度;投与対象の年齢、性別、体重;投与の時期、間隔;有効成分の種類などによって異なり、特に限定されないが、例えば抗消化性潰瘍剤として、成人(60kg)に対し非経口投与する場合、有効成分(化合物(I))として約0.1〜2mg/kg体重、好ましくは0.2〜1mg/kg体重である。1日1〜3回に分けて投与する。投与される化合物(I)の注射液中の濃度は、約0.001〜40mg/mL、好ましくは約0.01〜30mg/mL、特に好ましくは約0.03〜10mg/mLである。
【0113】
本発明の注射剤は、化合物(I)の溶解度低下がなくなり、高濃度で使用した場合に毒性が危惧されるポリエチレングリコールなどの非水溶媒を使用する必要がない。従って、非水溶媒を含有する溶解液を添付する必要がなく、使用時に病院にて種々の輸液で溶解および希釈することが可能である。また、本発明の注射剤は優れた安定性を有する。
【0114】
また、本発明の注射剤の製造法により、必要最低量の水酸化ナトリウムで注射剤を製造できるようになり、疼痛性および局所刺激性が抑制された注射剤が得られる。さらに凍結乾燥製剤が簡便に製造できるようなったため、空気中の二酸化炭素との接触によるpH低下が起こらず、高品質の注射剤が得られる。さらに、N−メチルグルカミンを配合すれば、注射剤の製造時および再溶解後のpH低下が抑制でき、品質の悪化が防止されたより高品質の注射剤を提供できる。
【0115】
【実施例】
以下に、実施例および実験例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
【0116】
実施例1
2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(以下、化合物Aと略記)(0.509g)を、モル比で同等量の0.2mol/L 水酸化ナトリウム水溶液(7.32mL)で速やかに溶解させ、注射用水を加え、全量を33.95mLに調整した。得られた液(1mLおよび2mL)をバイアルに充填し、〔表1〕の処方1および処方2の注射剤を製造した。各製剤の溶状は、無色澄明であった。
【0117】
【表1】
Figure 0004136340
【0118】
実施例2
〔表2〕の調製液処方に従い、化合物Aをモル比で同等量の0.2mol/L水酸化ナトリウム水溶液で溶解させ、次いでマンニトール、N−メチルグルカミンおよび注射用水を加え溶解後、0.22μmのデュラポア製フィルター〔日本ミリポア(株)〕で無菌ろ過を行い、注射剤用調製液Aを調製した。
【0119】
得られた注射剤用調製液A(1mLおよび2mL)を、5Pバイアルおよび9Pバイアルにそれぞれ充填し、〔表3〕の処方1および処方2の水性注射剤を製造した。
【0120】
化合物Aは、モル比で同等量の0.2mol/L 水酸化ナトリウム水溶液で速やかに溶解することができ、得られた液は、無色澄明であった。
【0121】
【表2】
Figure 0004136340
【0122】
【表3】
Figure 0004136340
【0123】
実施例3
実施例2で得られた注射剤用調製液A(1mLおよび2mL)を、5Pバイアルおよび17Pバイアルにそれぞれ充填し、−40℃に凍結し、乾燥庫内真空度を13.3Paに保ちながら、棚温を0℃および30℃に昇温して凍結乾燥し、〔表4〕の処方3および処方4の凍結乾燥注射剤を製造した。
【0124】
【表4】
Figure 0004136340
【0125】
実験例1
〔表5〕の処方1および処方2に従い、化合物Aを0.2mol/L 水酸化ナトリウム水溶液で速やかに溶解し、次いでマンニトール、N−メチルグルカミンおよび注射用水を加え溶解後、0.22μmのデュラポア製フィルター〔日本ミリポア(株)〕で無菌ろ過を行った。得られた液(1mLおよび2mL)を、9Pバイアルおよび17Pバイアルに充填し、実施例3記載の方法と同様の方法で凍結乾燥し、処方1および処方2の凍結乾燥注射剤を製造した。得られた処方1および処方2の凍結乾燥注射剤の品質を〔表6〕に示す。
【0126】
この表6より、処方1の凍結乾燥注射剤を生理食塩液(2.5mL)で再溶解した場合、および処方2の凍結乾燥注射剤を生理食塩液(5mL)で再溶解した場合においても、注射剤として十分満足するものであることがわかる。
【0127】
【表5】
Figure 0004136340
【0128】
【表6】
Figure 0004136340
【0129】
実験例2
〔表5〕の処方2に従い、化合物Aを0.2mol/L 水酸化ナトリウム水溶液で速やかに溶解し、次いでマンニトール、N−メチルグルカミンおよび注射用水を加え溶解後、0.22μmのデュラポア製フィルター〔日本ミリポア(株)〕で無菌ろ過を行った。得られた液(2mL)を、17Pバイアルに充填し、−40℃に凍結し、乾燥庫内真空度を13.3Paに保ちながら、棚温を30℃に昇温して凍結乾燥し、凍結乾燥注射剤を製造した。
【0130】
得られた凍結乾燥注射剤を40℃、75%RHで保存し、安定性を調べた。結果を〔表7〕に示す。
【0131】
この表7より、〔表5〕の処方2の凍結乾燥注射剤は、40℃、75%RHで6ヶ月まで安定であり、注射剤としての品質を十分満足するものであることがわかる。また、バイアルに半量を充填して製造した〔表5〕の処方1の凍結乾燥注射剤についても、同様に安定であることは明白である。
【0132】
【表7】
Figure 0004136340
【0133】
実験例3
実験例1で得られた処方2の凍結乾燥注射剤を、(1)生理食塩液(5mL)で再溶解後、さらに生理食塩液(100mL)に希釈した場合、および(2)5%ブドウ糖液(5mL)で再溶解後、さらに5%ブドウ糖液(100mL)で希釈した場合について、各経時的安定性を、25℃、白色蛍光灯1000ルクス照射下で調べた。結果を〔表8〕に示す。
【0134】
この表8より、生理食塩液および5%ブドウ糖液で再溶解し、さらに生理食塩液および5%ブドウ糖液で希釈した場合、共に8時間まで安定であり、注射剤としての品質を十分満足するものであることがわかる。
【0135】
【表8】
Figure 0004136340
【0136】
実験例4
〔表9〕の処方に従い、化合物Aを、0.2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(化合物A1モルに対し、水酸化ナトリウム1.06モル)で溶解させ、次いでマンニトール、N−メチルグルカミンおよび注射用水を加え溶解後、0.22μmのデュラポア製フィルター〔日本ミリポア(株)〕で無菌ろ過を行った。得られた各液(2mL)を、バイアルに充填し、凍結乾燥し、凍結乾燥注射剤を製造した。得られた各凍結乾燥注射剤の外観、および各凍結乾燥注射剤を生理食塩液(5mL)で再溶解した後の溶状を〔表10〕に示す。
【0137】
この表10より、化合物A30mgに対して、マンニトールを30mg〜100mgおよびN−メチルグルカミンを10mg〜20mgの比率で配合した注射剤は、特に優れた注射剤であることがわかる。
【0138】
【表9】
Figure 0004136340
【0139】
【表10】
Figure 0004136340
【0140】
実験例5
0.1%および1.0%濃度のN−メチルグルカミン溶液を、各100mL調製した。各調製液のpHは、1mol/L 水酸化ナトリウムで約pH11に調整した。各調製液を攪拌しながら、1mol/Lの塩酸を、0.1% N−メチルグルカミン溶液には0.1mLずつ添加し、1.0%N−メチルグルカミン溶液には0.5mLずつ添加して、各調製液のpHを測定した。結果を〔図1〕に示す。
【0141】
図1より、0.1%および1.0% N−メチルグルカミン溶液共に、少なくとも約pH9〜11の範囲で緩衝能を持つことがわかる。さらには、1%N−メチルグルカミン溶液では、約pH8〜11の広範囲で緩衝能を持つことがわかる。
【0142】
実験例6
実験例2で得られた凍結乾燥注射剤を、生理食塩液5mLで再溶解し、pHが約11となることを確認した。また再溶解に使用した生理食塩液と同一の生理食塩液5mLに0.1mol/Lの水酸化ナトリウムを添加して約pH11に調整した。各調製液を攪拌しながら、0.1mol/Lの塩酸を少量ずつ添加し、再溶解液のpHを測定した。結果を〔図2〕に示す。
【0143】
図2より、N−メチルグルカミンを配合する実験例2の凍結乾燥注射剤は、約pH9〜11の範囲で、緩衝能を有することがわかる。本発明の注射剤は、pH9〜11においてpH低下を抑制し、品質の悪化を防止できることがわかる。
【0144】
【発明の効果】
本発明の注射剤は、化合物(I)の溶解度低下がなくなり、高濃度で使用した場合に毒性が危惧されるポリエチレングリコールなどの非水性溶媒を使用する必要がない。従って、非水性溶媒を含有する溶解液を添付する必要がなく、使用時に病院にて種々の輸液で溶解および希釈することが可能である。また、本発明の注射剤は優れた安定性を有する。
【0145】
また、本発明の注射剤の製造法により、必要最低量の水酸化ナトリウムで注射剤を製造できるようになり、疼痛性および局所刺激性が抑制された注射剤が得られる。さらに凍結乾燥製剤が簡便に製造できるようなったため、空気中の二酸化炭素との接触によるpH低下が起こらず、高品質の注射剤が得られる。
【0146】
また、本発明の注射剤は、製造のための調製時、および使用のための再溶解時に、pH低下を抑制し、品質の悪化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は実験例5の結果を示すグラフである。
【図2】 図2は実験例6の結果を示すグラフである。

Claims (27)

  1. (Ia)
    Figure 0004136340
    式中、R は水素原子、R はC 1−3 アルキル基又はC 1−3 アルコキシ基、R はハロゲン化されているか又はC 1−3 アルコキシ基で置換されていてもよいC 1−3 アルコキシ基、R は水素原子又はC 1−3 アルキル基、R は、水素原子、ハロゲン化されていてもよいC 1−3 アルコキシ基又はピロリル基である
    で表される化合物と強アルカリとN−メチルグルカミンとを含有する注射剤であって、強アルカリがアルカリ金属化合物又はアルギニンであり、前記式(Ia)で表される化合物1モルに対して強アルカリを0.90〜1.10当量の割合で含有し、非水溶媒を実質的に含まない溶媒で溶解又は希釈可能であり、非水溶媒を実質的に含まない注射剤。
  2. (Ia)において、Rは水素原子、RはC1−3アルキル基、Rはハロゲン化されていてもよいC1−3アルコキシ基、Rは水素原子、Rは水素原子又はハロゲン化されていてもよいC1−3アルコキシ基である請求項記載の注射剤。
  3. 強アルカリが、アルカリ金属化合物である請求項1記載の注射剤。
  4. 強アルカリが水酸化ナトリウムである請求項1記載の注射剤。
  5. (Ia)で表される化合物15mgに対して生理食塩水又は注射用蒸留水を2.5mlの割合で用いて溶解したとき、pHが10.4〜12.0である請求項1記載の注射剤。
  6. (Ia)で表される化合物15mgに対して生理食塩水を2.5mlの割合で用いて溶解したとき、前記生理食塩水に対する溶解液の浸透圧比が0.3〜5である請求項1記載の注射剤。
  7. 凍結乾燥製剤である請求項1記載の注射剤。
  8. N−メチルグルカミンの割合が、式(Ia)で表される化合物1mgに対し、0.1〜1mgである請求項1記載の注射剤。
  9. さらに糖類を含有する請求項1記載の注射剤。
  10. 糖類が糖アルコールである請求項記載の注射剤。
  11. 糖類がマンニトールである請求項記載の注射剤。
  12. 糖類の割合が、式(Ia)で表される化合物1mgに対し、0.1〜20mgである請求項記載の注射剤。
  13. (Ia)で表される化合物を含み、非水溶媒を実質的に含まない溶媒で溶解又は希釈可能な注射剤であって、式(Ia)で表される化合物1mgに対して、N−メチルグルカミン0.1〜0.8mg、糖アルコール1〜10mgを含む請求項1記載の注射剤。
  14. (Ia)で表される化合物を含み、非水溶媒を実質的に含まない溶媒で溶解又は希釈可能な注射剤であって、式(Ia)で表される化合物15mgに対して、N−メチルグルカミンを4〜6mg、マンニトールを25〜35mg、および水酸化ナトリウムを1.5〜1.8mgの割合で含む請求項1記載の注射剤。
  15. (Ia)で表される化合物30mg、水酸化ナトリウム3.45mg、N−メチルグルカミン10mgおよびマンニトール60mgを含有する請求項1記載の注射剤。
  16. (Ia)で表される化合物15mg、水酸化ナトリウム1.73mg、N−メチルグルカミン5mgおよびマンニトール30mgを含有する請求項1記載の注射剤。
  17. 注射用水および輸液から選択された少なくとも1つの液体により溶解可能な凍結乾燥製剤であって、請求項1記載の式(Ia)で表される化合物とアルカリ金属水酸化物とを、モル比1:0.90〜1.10の割合で含むとともに、式(Ia)で表される化合物1mgに対して、N−メチルグルカミン0.1〜0.8mg、および糖アルコール1〜10mgを含む凍結乾燥製剤。
  18. 請求項1記載の式(Ia)で表される化合物と強アルカリとしてのアルカリ金属化合物又はアルギニンとN−メチルグルカミンとを含有する注射剤の製造方法であって、前記式(Ia)で表される化合物と、0.15〜0.25当量/Lの強アルカリ水溶液とを、前者1モルに対して後者0.90〜1.10当量の割合で用い、式(Ia)で表される化合物を強アルカリ水溶液に溶解させる注射剤の製造方法。
  19. 強アルカリ水溶液が水酸化ナトリウム水溶液である請求項18記載の製造方法。
  20. 請求項18記載の製造法で得られる注射剤。
  21. 非水溶媒を用いることなく、請求項1記載の式(Ia)で表される化合物と強アルカリとしてのアルカリ金属化合物又はアルギニンとN−メチルグルカミンとを含有する注射剤の疼痛性及び局所刺激性を改善する方法であって、前記式(Ia)で表される化合物と強アルカリとを、前者1モルに対して後者0.90〜1.10当量の割合で用いて注射剤を調製することにより、注射剤の疼痛性及び局所刺激性を改善する方法。
  22. 請求項1記載の式(Ia)で表される化合物と強アルカリとしてのアルカリ金属化合物又はアルギニンとN−メチルグルカミンとを含有する注射剤において、請求項1記載の式(Ia)で表される化合物と強アルカリとを、前者1モルに対して後者0.90〜1.10当量の割合で用いて凍結乾燥製剤を調製することにより、非水溶媒を用いることなく、注射用水および輸液から選択された少なくとも1つの液体に対する前記凍結乾燥製剤の溶解性を改善する方法。
  23. 請求項1記載の式(Ia)で表される化合物と強アルカリとしてのアルカリ金属化合物又はアルギニンとN−メチルグルカミンとを含有する注射剤の製造において、請求項1記載の式(Ia)で表される化合物1モルに対して強アルカリを0.90〜1.10当量の割合で含有する注射剤を製造するための強アルカリの使用。
  24. 注射剤が凍結乾燥製剤である請求項23記載の使用。
  25. 請求項1記載の式(Ia)で表される化合物と強アルカリとしてのアルカリ金属化合物又はアルギニンとN−メチルグルカミンとを含有する注射剤の製造法であって、前記式(Ia)で表される化合物1モルに対して強アルカリ0.90〜1.10当量を使用し、前記式(Ia)で表される化合物を強アルカリ水溶液に溶解させる工程を有することを特徴とする注射剤の製造法。
  26. さらに凍結乾燥工程を有する請求項25記載の製造法。
  27. 請求項25又は26に記載の製造法で得られる注射剤。
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