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JP4146071B2 - エネルギーサブトラクション方法および装置並びに記録媒体 - Google Patents
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JP4146071B2 - エネルギーサブトラクション方法および装置並びに記録媒体 - Google Patents

エネルギーサブトラクション方法および装置並びに記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、同一被写体の放射線画像を担持する複数の画像信号に対してエネルギーサブトラクション処理を行うエネルギーサブトラクション方法および装置並びにエネルギーサブトラクション方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本出願人により、人体等の被写体の放射線画像を一旦シート状の蓄積性蛍光体に撮影記録し、蓄積性蛍光体シートをレーザ光等の励起光で走査して輝尽発光光を生ぜしめ、得られた輝尽発光光を光電的に読み取ってデジタルの画像信号を得、この画像信号に基づいて被写体の放射線画像を写真感光材料等の記録材料、CRT等に可視像として出力させる放射線画像記録再生システムが提案されている。
【0003】
一方、従来より放射線画像のエネルギーサブトラクション処理が公知となっている(特開平7−287330号等)。このエネルギーサブトラクション処理とは、同一の被写体に対して相異なるエネルギー分布を有する放射線を照射し、あるいは被写体透過後の放射線をエネルギー分布状態を変えて2つの放射線検出手段(例えば上記蓄積性蛍光体シート)に照射して2つの放射線画像間を得、その後この2つの放射線画像の各画素を対応させて、画像信号間で適当な重み付け係数を乗算した上で引き算(サブトラクト)を行って、特定の構造物の画像を表す差信号を得る方法である。このようにして得た差信号を用いれば、特定構造物のみが抽出された放射線画像を再生することができる。
【0004】
上記蓄積性蛍光体シートを利用する放射線画像記録再生システムにおいては、シートに記録されている放射線画像が直接電気的画像信号の形で読み取られるから、このシステムによればエネルギーサブトラクション処理を容易に行うことが可能となる。この蓄積性蛍光体シートを用いてエネルギーサブトラクション処理を行うためには、例えば2枚の蓄積性蛍光体シートに特定の構造物に対応する部分の画像情報が異なるように画像記録(撮影)を行えばよく、具体的には、エネルギー分布の異なる2種類の放射線を用いて撮影を2回行う2ショット法と、例えば被写体を透過した放射線を、重ねられた2枚の蓄積性蛍光体シート(それらは互いに接していても、離れていてもよい)に同時に曝射することによって、両シートに互いにエネルギー分布が異なる放射線を照射するようにした1ショット法が知られている。なお、2ショット法を用いる場合、シートの数が増えればその数に応じた回数の撮影が行われる。例えば、3枚の蓄積性蛍光体シートを使用する場合、撮影は3回行われる。したがって、本発明においてはこのように多数回の撮影を行う方法を多数ショット法(2ショット法を含む)と称する。
【0005】
このような蓄積性蛍光体シートを用いたエネルギーサブトラクション方法において、例えば人物を被写体とした場合に両シートに互いにエネルギー分布が異なる放射線(高圧放射線、低圧放射線)を照射することにより2つの画像信号を得、各画像信号に適当な重み付けを行って差信号を得ることにより、人体の軟部および骨部のみがそれぞれ抽出された放射線画像を得ることができる。具体的には、以下のようにして演算が行われる。低圧放射線が照射されたシートをIP1、高圧放射線が照射されたシートをIP2、シートIP1,IP2に照射された放射線量の対数値(対数放射線量)をL,Hとすると、L,Hは下記の式(1)、(2)により表される。
【0006】
【数1】
Figure 0004146071
なお、対数放射線量L,Hとしては、シートIP1,IP2から得られた画像信号を用いることができる。
【0007】
ここで、物質は放射線エネルギーに依存した放射線減弱係数を有する。一方、被写体に照射された放射線が単色ではなく、あるエネルギー範囲に分布している場合、検出される(例えば蓄積性蛍光体シートに照射される)放射線のエネルギー分布が、被写体に含まれる物質(人体であれば骨部、軟部)の厚さに依存して変化するビームハードニングという現象が生じる。そこで、物質の放射線減弱係数を検出される放射線のエネルギー分布で重み付け平均したものを平均減弱係数と定義する。したがって、平均減弱係数は物質の厚さに応じて異なるものとなる。
【0008】
【数2】
Figure 0004146071
となり、骨部の厚さを含まない軟部のみが抽出された軟部画像を表す差信号を得ることができる。
【0009】
【数3】
Figure 0004146071
となり、軟部の厚さを含まない骨部のみが抽出された骨部画像を表す差信号を得ることができる。
【0010】
なお、上記式(3)、(4)においては、L,Hに乗算された平均減弱係数が重み付け係数となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記式(3)、(4)において重み付け係数として用いられる平均減弱係数は、例えば低圧放射線が照射されたシートから得られた画像信号に基づいて推測する等により求めていることから、エネルギーサブトラクション処理を行う際には、全ての画素において同一の平均減弱係数が重み付け係数として用いられる。しかしながら、被写体内の物質(人体であれば軟部、骨部)の厚さは部位に応じて異なり、また、上述したように平均減弱係数は被写体内の物質の厚さに応じて異なるものである。したがって、例えば被写体を人体とした場合、軟部、骨部の厚さが部位に応じて一定であることはなく、全ての画素において同一の平均減弱係数を重み付け係数として用いたのでは、不要な構造物を完全に除去することができず、軟部画像においては骨部が、骨部画像においては軟部が残ってしまうという問題がある。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、被写体に含まれる特定の構造物を適切に抽出できるエネルギーサブトラクション方法および装置並びにエネルギーサブトラクション方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
放射線画像を得た際の放射線量の対数値の差あるいは放射線量の比の対数値と、対数値の差あるいは比の対数値を得た2つの放射線画像についての平均減弱係数との間には、後述するように一定の関係があり、この関係を前もって求めおくことにより、放射線量の対数値の差あるいは放射線量の比の対数値が分かれば、対数値の差あるいは比の対数値を得た2つの放射線画像についての平均減弱係数を求めることができるものである。本発明はこの点に着目してなされたものである。
【0014】
すなわち、本発明によるエネルギーサブトラクション方法は、同一被写体を透過したそれぞれエネルギー分布が互いに異なるX線、γ線等の放射線により得られた、少なくとも一部の画像情報が互いに異なる複数の放射線画像を表す複数の画像信号に対して、相対応する画素についての信号間で前記各画像信号に所定の重み付け係数を乗じて減算を行って、前記被写体の特定構造物の画像を表す差信号を得るエネルギーサブトラクション方法において、
前記複数の放射線画像を得た際の各放射線画像間の各画素における放射線量の対数値の差、または該各放射線画像間の各画素における放射線量の比の対数値に基づいて、前記各画素毎に前記所定の重み付け係数を設定することを特徴とするものである。
【0015】
放射線画像を表す画像信号を得るには、被写体を透過したエネルギー分布が互いに異なる放射線を、蓄積性蛍光体シートあるいは半導体センサ等の放射線検出手段に照射し、この放射線検出手段において、照射された放射線量に応じた画像信号を検出することにより行えばよい。なお、放射線検出手段が半導体センサである場合には半導体センサから出力される信号を画像信号とすればよく、放射線検出手段が蓄積性蛍光体シートである場合には、上記放射線記録再生システムのように、蓄積性蛍光体シートに励起光を照射して輝尽発光光を発生させ、この輝尽発光光を光電的に読み取ることにより画像信号を得ればよい。なお、被写体の撮影は1ショット法および多数ショット法のいずれであってもよい。
【0016】
所定の重み付け係数は、上記式(3)、(4)に示す平均減弱係数に相当するものであり、1つの放射線画像について被写体に含まれる特定の構造物の種類に応じた数の平均減弱係数が設定される。例えば、放射線画像を3つ、特定の構造物を人体の軟部および骨部とした場合、1つの放射線画像について軟部および骨部の2つの平均減弱係数が得られることから、3×2=6種類の平均減弱係数が得られる。
【0017】
放射線画像を得た際の放射線量とは、被写体を撮影する際に被写体を透過して放射線検出手段に照射された放射線量のことをいう。なお、放射線量は放射線検出手段に照射される放射線を直接検出することにより得ることができるが、放射線画像の個々の画素毎に放射線量を検出することは非常に困難である。一方、放射線検出手段において得られる画像信号は、照射される放射線量が多いほどその信号値が大きくなることから、画像信号の信号値と放射線量とは互いに対応付けることができるものである。したがって、放射線検出手段において得られた画像信号(何ら画像処理が施されていないもの)を放射線量とみなし、これを平均減弱係数の設定に用いることが好ましい。
【0018】
「各放射線画像間における放射線量の対数値の差」と「放射線量の比の対数値」とは、放射線量をI1,I2とした場合lnI1−lnI2=ln(I1/S2)の関係があることから、同一の値となる。
【0019】
対数値の差または比と所定の重み付け係数との関係としては、これらの関係を表したテーブルやこれらの関係を表す関数式などを用いることができる。なお、関係がテーブルである場合にはテーブルを参照して、関係が関数式である場合にはこの関数式による演算を行って、所定の重み付け係数が設定される。
【0020】
対数値の差または比と所定の重み付け係数との関係は、撮影時に使用する放射線源の電圧、放射線源の種類、放射線検出手段の感度等の撮影条件に応じて異なるものとなる。したがって、種々の撮影条件に応じた複数のテーブルまたは関数を予め用意しておき、撮影条件に基づいてテーブルまたは関数を切り替えて所定の重み付け係数を設定することが好ましい。
【0021】
本発明によるエネルギーサブトラクション装置は、同一被写体を透過したそれぞれエネルギー分布が互いに異なる放射線により得られた、少なくとも一部の画像情報が互いに異なる複数の放射線画像を表す複数の画像信号に対して、相対応する画素についての信号間で前記各画像信号に所定の重み付け係数を乗じて減算を行って、前記被写体の特定構造物の画像を表す差信号を得るエネルギーサブトラクション装置において、
前記複数の放射線画像を得た際の各放射線画像間の各画素における放射線量の対数値の差、または該各放射線画像間の各画素における放射線量の比の対数値に基づいて、前記各画素毎に前記所定の重み付け係数を設定する設定手段を備えたことを特徴とするものである。
【0022】
なお、本発明によるエネルギーサブトラクション装置においては、予め算出された前記対数値の差または前記比の対数値と前記所定の重み付け係数との関係を表すテーブルまたは関数を記憶した記憶手段をさらに備え、
前記設定手段を、該記憶手段に記憶されたテーブルまたは関数を参照して、前記所定の重み付け係数を設定する手段とすることが好ましい。
【0023】
この場合、前記記憶手段を、前記放射線画像を得る際の撮影条件に応じて設定された前記関係を表すテーブルまたは関数が複数記憶されてなるものとし、
前記設定手段を、前記放射線画像を得た際の撮影条件に基づいて前記テーブルまたは関数の選択を受け付け、該選択されたテーブルまたは関数を参照して、前記所定の重み付け係数を設定する手段とすることが好ましい。
【0024】
なお、本発明によるエネルギーサブトラクション方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムとしてコンピュータ読取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、放射線画像間における放射線量の対数値の差、または放射線量の比の対数値と平均減弱係数すなわち重み付け係数との間には一定の関係があるという事実に鑑み、対数値の差または比の対数値に基づいて、各画素毎に所定の重み付け係数を設定するようにしたものである。ここで、各放射線画像における各画素毎の放射線量は被写体に含まれる特定構造物の厚さに応じて異なることから、放射線量の対数値の差または比の対数値に基づいて設定された各画素毎の所定の重み付け係数は、特定構造物の厚さに応じた値を有するものとなる。したがって、設定された所定の重み付け係数を各画像信号に乗じて減算を行うことにより、被写体に含まれる構造物の厚さに拘わらず、不要な構造物を略完全に除去することができ、その結果、特定構造物が適切に抽出された画像を表す差信号を得ることができる。
【0026】
また、放射線量の対数値の差または比の対数値と所定の重み付け係数との関係を表すテーブルまたは関数を予め求めておくことにより、このテーブルまたは関数を参照すれば所定の重み付け係数を簡易に設定することができる。したがって、差信号の算出を効率よく行うことができる。
【0027】
さらに、撮影条件に応じた複数のテーブルまたは関数を用意し、撮影条件に応じてこれらのテーブルまたは関数を切り替えて所定の重み付け係数を設定することにより、撮影条件に拘わらず、特定構造物を適切に抽出することができることとなる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0029】
図1は2枚の蓄積性蛍光体シートIP1,IP2に、同一の被写体1を透過した放射線2を、それぞれエネルギーを変えて照射するいわゆる1ショットエネルギーサブトラクションを行うための撮影装置を示す図である。図1に示すように、放射線源3に近い方に第1の蓄積性蛍光体シートIP1を配置し、それと若干の距離を置いて第2の蓄積性蛍光体シートIP2を配置し、これら両シートIP1,IP2の間に、銅板からなる放射線エネルギー変換用フィルター5を配置して、放射線源3を駆動させる。これにより、第1の蓄積性蛍光体シートIP1には、いわゆる軟線も含む低圧の放射線2により、一方第2の蓄積性蛍光体シートIP2には、軟線が除かれた高圧の放射線2により被写体1の放射線画像が蓄積記録される。このとき蓄積性蛍光体シートIP1とIP2とで被写体1の位置関係は同じとする。これにより、2枚の蓄積性蛍光体シートIP1,IP2には、被写体1の少なくとも一部の画像情報が互いに異なる放射線画像が蓄積記録される。
【0030】
図2は本実施形態によるエネルギーサブトラクション装置を適用した放射線画像読取装置の構成を示す概略図である。上述したように放射線画像が蓄積記録されたシートIP1,IP2のうち、まず蓄積性蛍光体シートIP1をエンドレスベルト9により矢印Yの方向に移動させながら、レーザ光源10からのレーザ光(励起光)11を走査ミラー12によって偏向させ、シートIP1上をX方向に主走査させる。この励起光走査により蓄積性蛍光体シートIP1からは、蓄積記録されている放射線画像情報に応じた光量の輝尽発光光13が発散する。輝尽発光光13は、透明なアクリル板を成形して作られた光ガイド14の一端面からこの光ガイド14の内部に入射し、その中を全反射を繰返しながら進行して、フォトマルチプライヤ(光電子増倍管)15に受光される。このフォトマルチプライヤ15からは、輝尽発光光13の発光量に対応した、つまり上記画像情報を示すアナログの出力信号Q1が出力される。
【0031】
この出力信号Q1は対数変換器16により対数変換され、次いでA/D変換器17に入力されて、デジタルの画像信号S1に変換される。次に、全く同様にして、もう1枚の蓄積性蛍光体シートIP2に記録された画像情報が読み出されて出力信号Q2が得られ、出力信号Q2が対数変換器16により対数変換され、さらにA/D変換器17においてデジタルの画像信号S2に変換される。
【0032】
画像信号S1,S2はサブトラクション手段18に入力され、ここでエネルギーサブトラクション処理が行われて被写体中の軟部および骨部の放射線画像を表す差信号SS,SBが得られる。このエネルギーサブトラクション処理を行う際の画像信号S1,S2に対する重み付け係数は、記憶手段20に記憶されたテーブルTを参照して設定手段19において設定される。以下、この重み付け係数の設定について説明する。
【0033】
サブトラクション手段18においては、下記の式(5)、(6)に示すようにエネルギーサブトラクション処理が行われ、軟部のみが抽出された軟部画像を表す差信号SSおよび骨部のみが抽出された骨部画像を表す差信号SBが得られる。
【0034】
【数4】
Figure 0004146071
上記式(5)、(6)においては、画像信号S1,S2に乗算された平均減弱係数が重み付け係数となる。
【0035】
ここで、物質は放射線エネルギーに依存した放射線減弱係数を有する。一方、被写体に照射された放射線が単色ではなく、あるエネルギー範囲に分布している場合、蓄積性蛍光体シートIP1,IP2に照射される放射線のエネルギー分布が、被写体に含まれる物質(骨部、軟部)の厚さに依存して変化するビームハードニングという現象が生じる。そこで、本実施形態においては、物質の放射線減弱係数を検出された、すなわち蓄積性蛍光体シートに照射された放射線のエネルギー分布で重み付け平均したものを平均減弱係数と定義する。したがって、平均減弱係数は物質の厚さに応じて異なるものとなる。
【0036】
ところで、平均減弱係数が放射線エネルギーに対して滑らかに減少する特性を有する複数の物質(例えば人体の骨部と軟部)については、各物質を透過した放射線の放射線エネルギーと平均減弱係数との関係を簡単な式で近似することができる。例えば、人体の骨部および軟部のそれぞれについての放射線エネルギーと平均減弱係数との間には図3(a)に示す関係がある。ここで、骨部の平均減弱係数に対して定数pを乗算し、さらに定数q(q>0)を加算することにより、図3(b)および下記の式(7)に示すように軟部の平均減弱係数を骨部の平均減弱係数を用いて近似的に表すことができる。なお、本実施形態において、平均減弱係数の添え字の「S」は軟部を、「B」は骨部を表すものとする。
【0037】
【数5】
Figure 0004146071
逆に軟部の平均減弱係数に対して定数p′を乗算し、さらに定数q′(q>0)を加算することにより、下記の式(8)に示すように骨部の平均減弱係数を軟部の平均減弱係数を用いて近似的に表すことができる。
【0038】
【数6】
Figure 0004146071
ここで、放射線源3のエネルギー放射分布をS(E)、シートIP1,IP2の放射線エネルギーに対する感度をD(E)とすると、シートIP1,IP2に照射される放射線のエネルギー分布I1(E),I2(E)は下記の式(9)、(10)により表すことができる。
【0039】
【数7】
Figure 0004146071
式(9)、(10)において、A(E)=S(E)D(E)、B(E)=S(E)exp[−μIP(E)tIP−μCu(E)tCu]D(E)と置換すると、蓄積性蛍光体シートIP1,IP2に照射される放射線量I1,I2は下記の式(11),(12)に示すものとなる。
【0040】
【数8】
Figure 0004146071
なお、積分は放射線の全エネルギー域に対して行われるものである。
【0041】
上述したように、平均減弱係数は物質の放射線減弱係数を検出される放射線のエネルギー分布で重み付け平均したものと定義される。したがって、シートIP1における軟部および骨部の平均減弱係数は、下記の式(13)、(14)により表される。
【0042】
【数9】
Figure 0004146071
一方、シートIP2における軟部および骨部の平均減弱係数は、下記の式(15)、(16)により表される。
【0043】
【数10】
Figure 0004146071
上記式(7)の関係が成立するとき、上記式(11)、(12)より、放射線量I1,I2の対数値ln(I1),ln(I2)(以下対数線量とする)の差は下記の式(17)に示すものとなる。
【0044】
【数11】
Figure 0004146071
式(17)に示すように、tS,tBの2変数により表されていた対数線量ln(I1),ln(I2)が、その差ln(I1)−ln(I2)を求めることにより、ptS+tBという1変数で表されることが分かる。ここで、簡便のためt=ptS+tBとすると、式(17)は下記の式(18)に書き換えることができる。
【0045】
【数12】
Figure 0004146071
一方、シートIP1の平均減弱係数について考えると、上記式(13)、(14)に式(7)の関係を適用して整理することにより、式(13)、(14)を下記の式(19)、(20)に書き換えることができる。
【0046】
【数13】
Figure 0004146071
また、シートIP2の平均減弱係数について考えると、上記式(15)、(16)に式(7)の関係を適用することにより、式(15)、(16)を下記の式(21)、(22)に書き換えることができる。
【0047】
【数14】
Figure 0004146071
シートIP1,IP2の放射線量IP1,IP2の差は、物体の厚さが大きくなると小さくなることから、上記式(18)はtに関する単調減少関数であると推測できる。また、図3に示すように、放射線エネルギーに対して平均減弱係数が単調減少する場合、物体の厚さが大きくなって物体を透過後の放射線が高圧側に偏ると平均減弱係数も減少するため、上記式(19)〜(22)もtに関する単調減少関数であると推測できる。ここで、ある変数を媒介として単調減少する関数の値は1対1に対応する。したがって、上記式(18)と式(19)〜(22)とは双方がtを媒介として単調減少することから、1対1に対応する。よって、対数線量差と平均減弱係数との間には下記の式(23)〜(26)に示すように、ある関数FS,FB,FS′,FB′を介在した関係が成立することとなる。
【0048】
【数15】
Figure 0004146071
したがって、上記関数FS,FB,FS′,FB′を予め実験的に求めておけば、対数線量差に基づいて平均減弱係数を求めることができることとなる。図4は実験的に軟部および骨部の厚さを種々変化させた際のシートIP1,IP2に照射される放射線の対数線量差とシートIP1における平均減弱係数とのプロット結果を示す図である。図4に示すように、対数線量差と平均減弱係数とはある関数により表される曲線上に位置することが分かる。
【0049】
本実施形態においては、上記関数FS,FB,FS′,FB′により表される対数線量差と平均減弱係数(シートIP1,IP2のそれぞれについての軟部および骨部の平均減弱係数)との関係(4種類)をテーブルTとして予め求めておいてこれを記憶手段20に記憶しておき、このテーブルTを参照して、上記式(5)、(6)に示すようにサブトラクション手段18において差信号SS,SBを算出する際の平均減弱係数すなわち重み付け係数を設定手段19において設定する。
【0050】
なお、シートIP1,IP2の個々の画素位置における放射線量は直接検出することはできない。一方、シートIP1,IP2から得られる画像信号S1,S2の信号値は放射線量が多いほどその値が大きくなることから、画像信号S1,S2と放射線郎I1,I2とは互いに対応付けることができる。したがって、本実施形態では対数変換されかつA/D変換された画像信号S1,S2を放射線量I1,I2として使用する。ここで、画像信号S1,S2は対数変換されているため、画像信号S1,S2の差信号は対数線量差ln(I1)−ln(I2)に対応するものとなる。したがって、テーブルTは、差信号S1−S2と平均減弱係数との関係を表すものとして記憶手段20に記憶されている。
【0051】
次いで、本実施形態の動作について説明する。図5は本実施形態の動作を示すフローチャートである。シートIP1,IP2から読み出された出力信号Q1,Q2は対数変換器16において対数変換され(ステップS1)、A/D変換器17においてA/D変換されてデジタルの画像信号S1,S2が得られる(ステップS2)。画像信号S1,S2は設定手段19に入力され、ここで、上述したように対数線量差ln(I1)−ln(I2)に対応する差信号S1−S2が相対応する画素毎に算出され、この差信号S1−S2に基づいてテーブルTを参照して、シートIP1、IP2のそれぞれについての軟部および骨部の平均減弱係数が重み付け係数として各画素毎に設定される(ステップS3)。重み付け係数はサブトラクション手段18に入力され、この重み付け係数により画像信号S1,S2を重み付けて上記式(5)、(6)に示す演算を行って、被写体中の軟部および骨部の放射線画像を表す差信号SS,SBを得(ステップS4)、処理を終了する。得られたSS,SBは、不図示の再生手段(プリンタ、CRTなど)において再生され、診断に供される。
【0052】
このように本実施形態においては、シートIP1,IP2における放射線量の対数値の差すなわち対数線量差と平均減弱係数との間には一定の関係があるという事実に鑑み、対数線量差に基づいて、各画素毎に平均減弱係数すなわちエネルギーサブトラクション処理を行う際の重み付け係数を設定するようにしたものである。ここで、各画素毎の放射線量は被写体に含まれる軟部および骨部の厚さに応じて異なることから、放射線量の対数値の差に基づいて設定された各画素毎の平均減弱係数は、軟部および骨部の厚さに応じた値を有するものとなる。したがって、設定された平均減弱係数を各画像信号S1,S2に対する重み付け係数として用いてエネルギーサブトラクション処理を行うことにより、被写体に含まれる軟部および骨部の厚さに拘わらず、軟部および骨部が適切に抽出された画像を表す差信号SS,SBを得ることができる。
【0053】
また、上記実施形態においては、対数線量差と平均減弱係数との関係を表すテーブルTを予め求めているため、重み付け係数を簡易に設定することができ、これにより、差信号SS,SBの算出を効率よく行うことができる。
【0054】
なお、上記実施形態においては、放射線量I1,I2の対数線量差ln(I1)−ln(I2)に基づいて平均減弱係数を設定しているが、lnI1−lnI2=ln(I1/I2)の関係があることから、放射線量I1,I2の比I1/I2の対数値ln(I1/I2)に基づいて平均減弱係数を設定してもよい。
【0055】
また、上記実施形態においては、対数線量差と平均減弱係数との関係をテーブルTとして求めているが、上記関数FS,FB,FS′,FB′を記憶手段20に記憶しておき、対数線量差ln(I1)−ln(I2)から各関数FS,FB,FS′,FB′を用いて平均減弱係数を算出するようにしてもよい。
【0056】
ここで、対数線量差と平均減弱係数との関係は、撮影時に使用する放射線源3の電圧、放射線源3の種類、シートIP1,IP2の感度等の撮影条件に応じて異なるものとなる。したがって、図6に示すように、種々の撮影条件に応じた複数のテーブルT1,T2,…を予め用意して記憶手段20に記憶しておき、キーボード、マウス等からなる入力手段21からの撮影条件の入力を受け付け、入力された撮影条件に応じて、その撮影条件に適したテーブルTを選択して平均減弱係数を設定するようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態としては蓄積性蛍光体シートIP1,IP2を放射線検出手段として用いて画像信号S1,S2を得ているが、X線フイルム、半導体センサ等の他の放射線検出手段を用いてもよい。
【0058】
さらに、上記実施形態においては、1回の撮影によりサブトラクションすべき2つの画像信号S1,S2を同時に得るいわゆる1ショット法について説明したが、これに限定されるものではなく、2枚以上の蓄積性蛍光体シートにエネルギー分布が異なる2種類以上の放射線を用いて撮影を行ういわゆる多数ショット法により得られた画像信号をエネルギーサブトラクション処理する場合についても、本願発明を適用できるものである。なお、多数ショット法を用いた場合、多数の画像信号が得られるが、そのうちの2つの画像信号を用いてエネルギーサブトラクション処理が行われる。
【0059】
また、上記実施形態においては、被写体を人体として、人体の軟部および骨部を表す放射線画像を得るようにしているが、例えば工業製品の製造分野においては、ある製品について耐久試験の前後に撮影された放射線画像を表す画像信号に対してエネルギーサブトラクション処理を行って、構造の変化を検出することが行われてる。また、食品の製造分野においては、正常な食品と出荷する食品の放射線画像を表す画像信号に対してエネルギーサブトラクション処理を行って、製造された食品の異物検査を行う場合がある。本発明は、このように医療用途以外のエネルギーサブトラクション処理にも適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるエネルギーサブトラクション方法の実施形態における蓄積性蛍光体シートへの放射線画像の記録を説明するための図
【図2】本発明の実施形態によるエネルギーサブトラクション装置を適用した放射線画像読取装置の構成を示す概略図
【図3】放射線エネルギーと平均減弱係数との関係を示す図
【図4】対数線量差と平均減弱係数との関係を示す図
【図5】本実施形態の動作を示すフローチャート
【図6】本発明の他の実施形態によるエネルギーサブトラクション装置を適用した放射線画像読取装置の構成を示す概略図
【符号の説明】
1 被写体
2 放射線
3 放射線源
IP1,IP2 蓄積性蛍光体シート
10 レーザ光源
11 レーザ光
12 走査ミラー
13 輝尽発光光
14 光ガイド
15 フォトマルチプライヤ
16 対数変換器
17 A/D変換器
18 サブトラクション手段
19 設定手段
20 記憶手段
21 入力手段

Claims (9)

  1. 同一被写体を透過したそれぞれエネルギー分布が互いに異なる放射線により得られた、少なくとも一部の画像情報が互いに異なる複数の放射線画像を表す複数の画像信号に対して、相対応する画素についての信号間で前記各画像信号に所定の重み付け係数を乗じて減算を行って、前記被写体の特定構造物の画像を表す差信号を得るエネルギーサブトラクション方法において、
    前記複数の放射線画像を得た際の各放射線画像間の各画素における放射線量の対数値の差、または該各放射線画像間の各画素における放射線量の比の対数値に基づいて、前記各画素毎に前記所定の重み付け係数を設定することを特徴とするエネルギーサブトラクション方法。
  2. 予め算出された前記対数値の差または前記比の対数値と前記所定の重み付け係数との関係を表すテーブルまたは関数を参照して、前記所定の重み付け係数を設定することを特徴とする請求項1記載のエネルギーサブトラクション方法。
  3. 前記放射線画像を得る際の撮影条件に応じて設定された前記関係を表すテーブルまたは関数を複数用意し、前記放射線画像を得た際の撮影条件に基づいて前記テーブルまたは関数の選択を受け付け、該選択されたテーブルまたは関数を参照して、前記所定の重み付け係数を設定することを特徴とする請求項2記載のエネルギーサブトラクション方法。
  4. 同一被写体を透過したそれぞれエネルギー分布が互いに異なる放射線により得られた、少なくとも一部の画像情報が互いに異なる複数の放射線画像を表す複数の画像信号に対して、相対応する画素についての信号間で前記各画像信号に所定の重み付け係数を乗じて減算を行って、前記被写体の特定構造物の画像を表す差信号を得るエネルギーサブトラクション装置において、
    前記複数の放射線画像を得た際の各放射線画像間の各画素における放射線量の対数値の差、または該各放射線画像間の各画素における放射線量の比の対数値に基づいて、前記各画素毎に前記所定の重み付け係数を設定する設定手段を備えたことを特徴とするエネルギーサブトラクション装置。
  5. 予め算出された前記対数値の差または前記比の対数値と前記所定の重み付け係数との関係を表すテーブルまたは関数を記憶した記憶手段をさらに備え、
    前記設定手段は、該記憶手段に記憶されたテーブルまたは関数を参照して、前記所定の重み付け係数を設定する手段であることを特徴とする請求項4記載のエネルギーサブトラクション装置。
  6. 前記記憶手段は、前記放射線画像を得る際の撮影条件に応じて設定された前記関係を表すテーブルまたは関数が複数記憶されてなり、
    前記設定手段は、前記放射線画像を得た際の撮影条件に基づいて前記テーブルまたは関数の選択を受け付け、該選択されたテーブルまたは関数を参照して、前記所定の重み付け係数を設定する手段であることを特徴とする請求項5記載のエネルギーサブトラクション装置。
  7. 同一被写体を透過したそれぞれエネルギー分布が互いに異なる放射線により得られた、少なくとも一部の画像情報が互いに異なる複数の放射線画像を表す複数の画像信号に対して、相対応する画素についての信号間で前記各画像信号に所定の重み付け係数を乗じて減算を行って、前記被写体の特定構造物の画像を表す差信号を得るエネルギーサブトラクション方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体において、
    前記プログラムは、前記複数の放射線画像を得た際の各放射線画像間の各画素における放射線量の対数値の差、または該各放射線画像間の各画素における放射線量の比の対数値に基づいて、前記各画素毎に前記所定の重み付け係数を設定する手順を有することを特徴とするコンピュータ読取り可能な記録媒体。
  8. 前記所定の重み付け係数を設定する手順は、予め算出された前記対数値の差または前記比の対数値と前記所定の重み付け係数との関係を表すテーブルまたは関数を参照して、前記所定の重み付け係数を設定する手順であることを特徴とする請求項7記載のコンピュータ読取り可能な記録媒体。
  9. 前記放射線画像を得る際の撮影条件に応じて設定された前記関係を表すテーブルまたは関数を複数用意した場合、前記所定の重み付け係数を設定する手順は、前記放射線画像を得た際の撮影条件に基づいて前記テーブルまたは関数の選択を受け付け、該選択されたテーブルまたは関数を参照して、前記所定の重み付け係数を設定する手順であることを特徴とする請求項8記載のコンピュータ読取り可能な記録媒体。
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