JP4147755B2 - 発光装置とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、LEDディスプレイ、バックライト光源、表示器、信号機、照光式スイッチ及び各種インジケータなどに利用される発光装置に係り、特にLEDチップからの発光を波長変換して発光可能な蛍光物質を有する発光装置に関する。
【0002】
【従来技術】
今日、青色光が高輝度に発光可能な半導体発光素子である窒化物半導体(InxGayAl1−x−yN、0≦x≦1、0≦y≦1)を利用したLEDチップが開発された。窒化物半導体を利用した発光素子は、他のGaAs、AlInGaP等の材料を利用した赤から黄緑色を発光する発光素子と比較して出力が高い、温度による色シフトが少ないなどの特徴を持っているものの、現在までのところ、緑色以上の波長を有する長波長域で高出力を得られにくいという傾向がある。他方、青色発光LEDチップから放出された青色光の少なくとも一部を吸収して、黄色が発光可能な蛍光物質であるYAG:Ce蛍光体などを前記LEDチップ上に配置させることによって白色系が発光可能な発光装置をも本出願人が開発し、出願(国際公開番号WO98/5078号)した。
【0003】
この発光装置は、例えば、1チップ2端子構造の比較的簡単な構成にも係わらず、リード電極に電気的に接続させたLEDチップからの光と、LEDチップを被覆する透光性樹脂中に含有されたYAG:Ceなど蛍光物質からの光とが混色された白色光を、凸レンズを介して発光する。
【0004】
また、この発光装置は蛍光物質の使用量を調節させることで、発光装置から放出される混色光のうち、青味がかった白色から黄色味がかった白色などの光を任意に放出させることができる。更に、顔料を添加して選択的に他の波長として例えば黄色光や赤色光を得ることも考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、発光装置の利用分野の広がりと共に、発光のバラツキが極めて少なく高輝度に発光可能な発光装置が求められている。また、焼成された蛍光体粒子は破砕形状を有している。このような表面が粗く堅い無機物が発光素子の周囲に接触すると、該発光素子に悪影響を及ぼすこととなり、発光装置の信頼性が劣化してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点を解決し、信頼性が高く、より光学特性の優れた発光装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る発光装置は、発光素子と、該発光素子から発光された波長の少なくとも一部を吸収して異なる波長を発光することが可能な蛍光物質と、これらの蛍光物質が含有された透光性部材からなる色変換層とを有し、前記発光素子が前記色変換層により封止されてなる発光装置において、前記蛍光物質は多面体を有する蛍光体粒子からなり、該蛍光体粒子は表面が前記透光性部材と異なる有機物被膜により包囲されマイクロカプセル化されており、前記蛍光体粒子と前記有機物被膜とにより構成される蛍光体マイクロカプセルにおける、前記蛍光体粒子の含有量は1〜50%であり、前記蛍光体マイクロカプセルは前記発光素子周辺に沈降されていることを特徴とする。本発明において、蛍光体粒子がマイクロカプセル化されて得られた蛍光体マイクロカプセルは、表面が滑らかで且つ柔軟性を有する。これにより隣接する発光素子に悪影響を与えることなく、好ましい状態で分散することができる。また、各蛍光体粒子の間に一定の距離を保持することができるため、発光素子からの光を全ての蛍光体粒子に照射させることができ、各蛍光体粒子の作用を最大限に活用することができる。これにより、必要最小限の含有量でもって所望の光を高輝度に発光することが可能となる。
【0008】
また、前記有機被膜は、前記蛍光体粒子よりも比重が軽い部材からなること
が好ましく、これにより前記透光性部材中での前記蛍光体マイクロカプセルの分散性を更に良好とすることができる。
【0009】
また、前記蛍光体粒子と前記有機物被膜により構成される蛍光体マイクロカプセルにおいて、前記蛍光体粒子の含有量は1%〜50%であることが好ましく、これにより蛍光体粒子の表面全てを前記有機物被膜により覆うことができ、前記蛍光体粒子が良好に保護されると共に、前記蛍光体粒子の表面励起作用を効率よく利用でき、更に輝度が向上される。
【0010】
また、前記蛍光体粒子は、中心粒径が15μm〜50μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは20μm〜50μmである。これにより発光効率が向上され、輝度の高い発光装置が得られる。また、光学特性に影響を与える傾向にある密に凝集した凝集体が形成されるのを抑制することができ、良好な色調で且つ高輝度に発光することが可能な発光装置が得られる。また、前記蛍光体粒子は、前記中心粒径の粒子径を有する蛍光体粒子の割合が20%〜50%の範囲であることを特徴とする。このように前記中心粒径の頻度値は20%〜50%の範囲が好ましく、これにより色ムラが抑制され良好なコントラストを有する発光が得られる。本来、熱硬化性樹脂等の透光性部材中において、蛍光体粒子は粒径が大きくなるほど発光素子周辺に蜜に充填しやすいが、本発明の構成によって、粒径の大きな蛍光体粒子を該蛍光体粒子の特性を最大限に生かせる状態で配置させることができる。
【0011】
さらに、前記透光性部材はフィラーを有しており、前記フィラーは前記蛍光体マイクロカプセル間に配置されていることを特徴とする。このように前記封止部材において、前記蛍光体マイクロカプセル間にフィラーを配置させると、より色ムラが抑制されより均一な発光が得られる。
【0012】
また、前記発光素子の主発光ピークは400nm〜530nmであると共に、前記蛍光体は、Y、Lu、Sc、La、Gd及びSmからなる群から選ばれた少なくとも1つの元素とAl、Ga及びInからなる群から選ばれた少なくとも1つの元素とを含み且つCeで付活されたガーネット系蛍光体、Eu及び/又はCrで付活された窒素含有CaO−Al2O3−SiO2蛍光体から選択される一種を用いてもよい。これにより、発光素子の発光波長に対応して所望の発光色の発光を得ることができ、簡便で高輝度に信頼性の高い混色発光可能な発光装置とすることができる。
【0013】
また、前記透光性部材からなる発光面は曲面を有することが好ましい。これによって発光素子の光が前記透光性部材から外部へ取り出される際、前記透光性部材と外部の空気層との界面で光が拡散され、大粒径蛍光物質を用いることにより生じやすい色ムラを抑制することができる。また発光面での光の取り出し効率が向上され、更に高出力に発光させることが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本願発明者は種々の実験の結果、色変換型発光装置の発光のバラツキ及び歩留まりの低下は、透光性部材中での蛍光体粒子の配置状態に関係することが主な原因であることを見出し本発明を成すに至った。
【0015】
蛍光物質の比重は、液状樹脂の数倍に達する。特に熱硬化性樹脂は、加熱硬化後粘度が大きく低下するため、発光素子を蛍光物質含有の液状樹脂で覆い熱硬化させると樹脂中の蛍光物質はほとんど発光素子周辺に密に集結して沈降してしまうのが現状である。特に、色調の調整のため蛍光物質の含有量を多くすると、ある程度の嵩を有して発光素子周辺に沈降する。このため、発光素子からの光を最も効率よく吸収できるのは発光素子周辺の最表面に位置する蛍光物質のみと考えられ、ほとんどの蛍光物質は本来の作用を行うことができず、単に光のエネルギーを低下させ光を隠蔽してしまい発光出力の低下を引き起こすと考えられる。このように閉じ込められた光により発光素子周辺の光密度は高くなり、これにより隣接する樹脂が劣化され色ムラの起因となる。
【0016】
また、蛍光体粒子の表面には空気が覆っており、液状樹脂と混ざりにくく、大小の蛍光体が凝集した凝集体となる傾向がある。このような凝集体を形成する各蛍光体に取り込まれ変換された光は、凝集体間で反射、光散乱され外部に放出される。そのため、見かけの光変換効率は一次粒子のときよりも向上されているが、これらの蛍光凝集体が大きすぎると、蛍光体の発光の色ムラの原因となるだけでなく、空気層を取り込み蛍光体からの光を閉じ込める等、光学特性に大きく影響を与えるため所望の色調が得られないと考えられる。このような凝集体は分散剤を用いることによって、ある程度改善できるが、投光性が求められる発光装置では難しく変色が起こる等の種々の不具合が生ずる場合がある。一方、凝集体を分散させるために機械的分散処理を長時間行うと、蛍光体の分散性は向上するものの、蛍光体の表面結晶の摩砕に起因すると思われる発光輝度の低下を引き起こす傾向がある。
【0017】
また、透光性部材である樹脂は、熱により収縮反応を起こす。このため、前記透光性部材に含有され且つ発光素子表面に沈殿してしまった蛍光体粒子は、発光装置に熱が加わることにより隣接する発光素子に押しつけられ前記発光素子表面の保護膜等を破壊し発光装置の信頼性の低下を引き起こす恐れがある。
【0018】
そこで本発明は、蛍光体粒子の表面に有機被膜が形成された蛍光体マイクロカプセルを使用し、発光素子からの光を効率よく励起し、発光輝度、及び歩留まりの向上を図るものである。
【0019】
以下、図面を参照にして、本発明の実施の形態である発光装置について説明する。図1は、本発明の形態であるSMD型発光ダイオードの模式的断面図である。凹部を有し、該凹部底面から一対のリード電極2,3の表面が露出されるようにインサート成形されてなるパッケージ1を用い、前記凹部底面に発光素子が電気的に接続されている。前記発光素子は、サファイア基板上に窒化ガリウムであるバッファ層を介して窒化物半導体(AlxGayInzN、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、X+Y+Z=1)からなるpn接合が形成されている。このように設置された発光素子4を封止するように、前記凹部内に透光性部材であるエポキシ樹脂にアクリル樹脂にてマイクロカプセル化された蛍光体粒子が含有されてなる封止部材が充填されている。以下、本発明の実施の形態における各構成について詳述する。
【0020】
(発光素子)
本発明において発光素子1は特に限定されないが、蛍光物質を用いた場合、前記蛍光物質を励起可能な発光波長を発光できる発光層を有する半導体発光素子が好ましい。このような半導体発光素子としてZnSeやGaNなど種々の半導体を挙げることができるが、蛍光物質を効率良く励起できる短波長が発光可能な窒化物半導体(InXAlYGa1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が好適に挙げられる。半導体の構造としては、MIS接合、PIN接合やpn接合などを有するホモ構造、ヘテロ構造あるいはダブルへテロ構成のものが挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。また、半導体活性層を量子効果が生ずる薄膜に形成させた単一量子井戸構造や多重量子井戸構造とすることもできる。
【0021】
窒化物半導体を使用した場合、半導体用基板にはサファイヤ、スピネル、SiC、Si、ZnO等の材料が好適に用いられる。結晶性の良い窒化物半導体を量産性よく形成させるためにはサファイヤ基板を用いることが好ましい。このサファイヤ基板上にMOCVD法などを用いて窒化物半導体を形成させることができる。サファイア基板上にGaN、AlN、GaAIN等のバッファー層を形成しその上にpn接合を有する窒化物半導体を形成させる。
【0022】
窒化物半導体を使用したpn接合を有する発光素子例として、バッファ層上に、n型窒化ガリウムで形成した第1のコンタクト層、n型窒化アルミニウム・ガリウムで形成させた第1のクラッド層、窒化インジウム・ガリウムで形成した活性層、p型窒化アルミニウム・ガリウムで形成した第2のクラッド層、p型窒化ガリウムで形成した第2のコンタクト層を順に積層させたダブルへテロ構成などが挙げられる。
【0023】
窒化物半導体は、不純物をドープしない状態でn型導電性を示す。発光効率を向上させるなど所望のn型窒化物半導体を形成させる場合は、n型ドーパントとしてSi、Ge、Se、Te、C等を適宜導入することが好ましい。一方、p型窒化物半導体を形成させる場合は、p型ドーパントであるZn、Mg、Be、Ca、Sr、Ba等をドープさせる。窒化物半導体は、p型ドーパントをドープしただけではp型化しにくいためp型ドーパント導入後に、炉による加熱やプラズマ照射等により低抵抗化させることが好ましい。電極形成後、半導体ウエハーからチップ状にカットさせることで窒化物半導体からなる発光素子を形成させることができる。
【0024】
本発明の発光ダイオードにおいて、白色系を発光させるには、蛍光物質からの発光波長との補色関係や透光性樹脂の劣化等を考慮して、発光素子の発光波長は400nm以上530nm以下が好ましく、420nm以上490nm以下がより好ましい。発光素子と蛍光物質との励起、発光効率をそれぞれより向上させるためには、450nm以上475nm以下がさらに好ましい。
【0025】
なお、金属パッケージを用いる場合、紫外線による構成部材の劣化を抑制することができる。よって、本発明の発光装置に400nmより短い紫外線領域、具体的には320nm〜400nmの波長を主発光波長とする発光素子を用い、前記発光素子からの光の一部を吸収して他の波長を発光することが可能な蛍光物質と組み合わせることで、色ムラの少ない色変換型発光装置が得られる。ここで、前記蛍光物質を発光装置にバインダーする際には、比較的紫外線に強い樹脂や無機物であるガラス等を用いることが好ましい。
【0026】
(蛍光体粒子)
本発明の発光装置に用いられる蛍光体粒子は、窒化物系半導体を発光層とする半導体発光素子から発光された光を励起させて発光できるセリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム酸化物系蛍光物質をベースとしたものである。具体的なイットリウム・アルミニウム酸化物系蛍光物質としては、YAlO3:Ce、Y3Al5O12Y:Ce(YAG:Ce)やY4Al2O9:Ce、更にはこれらの混合物などが挙げられる。イットリウム・アルミニウム酸化物系蛍光物質にBa、Sr、Mg、Ca、Znの少なくとも一種が含有されていてもよい。また、Siを含有させることによって、結晶成長の反応を抑制し蛍光物質の粒子を揃えることができる。本明細書において、Ceで付活されたイットリウム・アルミニウム酸化物系蛍光物質は特に広義に解釈するものとし、イットリウムの一部あるいは全体を、Lu、Sc、La、Gd及びSmからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素に置換され、あるいは、アルミニウムの一部あるいは全体をBa、Tl、Ga、Inの何れが又は両方で置換され蛍光作用を有する蛍光体を含む広い意味に使用する。更に詳しくは、一般式(YzGd1−z)3Al5O12:Ce(但し、0<z≦1)で示されるフォトルミネッセンス蛍光体や一般式(Re1−aSma)3Re‘5O12:Ce(但し、0≦a<1、0≦b≦1、Reは、Y、Gd、La、Scから選択される少なくとも一種、Re’は、Al、Ga、Inから選択される少なくとも一種である。)で示されるフォトルミネッセンス蛍光体である。この蛍光物質は、ガーネット構造のため、熱、光及び水分に強く、励起スペクトルのピークを450nm付近にさせることができる。また、発光ピークも、580nm付近にあり700nmまですそを引くブロードな発光スペクトルを持つ。
【0027】
またフォトルミネセンス蛍光体は、結晶中にGd(ガドリニウム)を含有することにより、460nm以上の長波長域の励起発光効率を高くすることができる。Gdの含有量の増加により、発光ピーク波長が長波長に移動し全体の発光波長も長波長側にシフトする。すなわち、赤みの強い発光色が必要な場合、Gdの置換量を多くすることで達成できる。一方、Gdが増加すると共に、青色光によるフォトルミネセンスの発光輝度は低下する傾向にある。さらに、所望に応じてCeに加えTb、Cu、Ag、Au、Fe、Cr、Nd、Dy、Co、Ni、Ti、Euらを含有させることもできる。しかも、ガーネット構造を持ったイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体の組成のうち、Alの一部をGaで置換することで発光波長が短波長側にシフトする。また、組成のYの一部をGdで置換することで、発光波長が長波長側にシフトする。Yの一部をGdで置換する場合、Gdへの置換を1割未満にし、且つCeの含有(置換)を0.03から1.0にすることが好ましい。Gdへの置換が2割未満では緑色成分が大きく赤色成分が少なくなるが、Ceの含有量を増やすことで赤色成分を補え、輝度を低下させることなく所望の色調を得ることができる。このような組成にすると温度特性が良好となり発光ダイオードの信頼性を向上させることができる。また、赤色成分を多く有するように調整されたフォトルミネセンス蛍光体を使用すると、ピンク等の中間色を発光することが可能な発光装置を形成することができる。
【0028】
このようなフォトルミネセンス蛍光体は、Y、Gd、Al、及びCeの原料として酸化物、又は高温で容易に酸化物になる化合物を使用し、それらを化学量論比で十分に混合して原料を得る。又は、Y、Gd、Ceの希土類元素を化学量論比で酸に溶解した溶解液を蓚酸で共沈したものを焼成して得られる共沈酸化物と、酸化アルミニウムとを混合して混合原料を得る。これにフラックスとしてフッ化バリウムやフッ化アンモニウム等のフッ化物を適量混合して坩堝に詰め、空気中1350〜1450°Cの温度範囲で2〜5時間焼成して焼成品を得、つぎに焼成品を水中でボールミルして、洗浄、分離、乾燥、最後に篩を通すことで得ることができる。本願発明の発光装置において、このようなフォトルミネセンス蛍光体は、2種類以上のセリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット蛍光体や他の蛍光体を混合させてもよい。
【0029】
また、本発明で用いられる蛍光体粒子の粒径は10μm〜50μmの範囲が好ましく、より好ましくは15μm〜30μmである。これにより、光の隠蔽を抑制し集積型窒化物半導体発光素子の輝度を向上させることができる。また上記の粒径範囲の蛍光体は、光の吸収率及び変換効率が高く且つ励起波長の幅が広い。このように、光学的に優れた特徴を有する大粒径蛍光体を含有させることにより、発光素子の主波長周辺の光をも良好に変換し発光することができ、集積型窒化物半導体発光素子の量産性が向上される。これに対し、15μmより小さい粒径を有する蛍光体は、比較的凝集体を形成しやすく、液状樹脂中において密になって沈降する傾向にあり、光の透過効率を減少させてしまう。
【0030】
ここで本発明において、粒径とは、体積基準粒度分布曲線により得られる値である。前記体積基準粒度分布曲線は、レーザ回折・散乱法により粒度分布を測定し得られるもので、具体的には、気温25℃、湿度70%の環境下において、濃度が0.05%であるヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液に各物質を分散させ、レーザ回折式粒度分布測定装置(SALD−2000A)により、粒径範囲0.03μm〜700μmにて測定し得られたものである。この体積基準粒度分布曲線において積算値が50%のときの粒径値を中心粒径と定義すると、本発明で用いられる蛍光体の中心粒径は15μm〜50μmの範囲であることが好ましい。また、この中心粒径値を有する蛍光物質が頻度高く含有されていることが好ましく、頻度値は20%〜50%が好ましい。このように粒径のバラツキが小さい蛍光物質を用いることにより色ムラが抑制され良好な色調を有する発光装置が得られる。
【0031】
他にも青色、青緑色や緑色を吸収して赤色が発光可能な蛍光体である、Eu及び/又はCrで付活されたサファイヤ(酸化アルミニウム)蛍光体やEu及び/又はCrで付活された窒素含有CaO−Al2O3−SiO2蛍光体(オキシナイトライド蛍光硝子)などが挙げられる。これらの蛍光体を利用して発光素子からの光と蛍光体からの光の混色により白色光を得ることもできる。
【0032】
Eu及び/又はCrで付活された窒素含有CaO−Al2O3−SiO2蛍光体は、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化珪素及び酸化カルシウムなどの原料に希土類原料を所定に混合した粉末を窒素雰囲気下において1300℃から1900℃(より好ましくは1500℃から1750℃)において溶融し成形させる。成形品をボールミルして洗浄、分離、乾燥、最後に篩を通して蛍光体を形成させることができる。これにより450nmにピークをもった励起スペクトルと約650nmにピークがある青色光により赤色発光が発光可能なEu及び/又はCrで付活されたCa-Al-Si-O-N系オキシナイトライド蛍光硝子とすることができる。
【0033】
なお、Eu及び/又はCrで付活されたCa-Al-Si-O-N系オキシナイトライド蛍光硝子の窒素含有量を増減することによって発光スペクトルのピークを575nmから690nmに連続的にシフトすることができる。同様に、励起スペクトルも連続的にシフトさせることができる。そのため、Mg、Znなどの不純物がドープされたGaNやInGaNを発光層に含む窒化ガリウム系化合物半導体からの光と、約580nmの蛍光体の光の合成光により白色系を発光させることができる。特に、約490nmの光が高輝度に発光可能なInGaNを発光層に含む窒化ガリウム系化合物半導体からなる発光素子との組合せに理想的に発光を得ることもできる。
【0034】
また、上述のCeで付活されたYAG系蛍光体とEu及び/又はCrで付活された窒素含有Ca-Al-Si-O-N系オキシナイトライド蛍光硝子とを組み合わせることにより青色系が発光可能な発光素子を利用してRGB(赤色、緑色、青色)成分を高輝度に含む極めて演色性の高い発光ダイオードを形成させることもできる。このため、所望の顔料を添加するだけで任意の中間色も極めて簡単に形成させることができる。本発明においては何れの蛍光体も無機蛍光体であり、有機の光散乱剤やSiO2などを利用して高コントラストと優れた量産性が両立した発光ダイオードを形成させることができる。
【0035】
(蛍光体マイクロカプセル)
本発明において、上記蛍光体は、周囲に配置される透光性部材と異なる部材からなる有機被膜により包囲され、蛍光体マイクロカプセルとして用いられる。ここで、蛍光体マイクロカプセルの製造方法について述べる。
【0036】
被膜物質として、ゲル化または硬化し得る性質の親水性コロイド、例えばゼラチン、寒天、アルブミン、アルギン酸塩、カゼイン、ペクチン、フィプリノゲンなどの稀薄水ゾルをゲル化温度以上において調整し、これに被覆されるべき蛍光体を懸濁させる。本実施の形態では、被膜物質として耐光性及び耐熱性の強いアクリル樹脂を用いている。つぎに、単純コラセルベーション法をとる場合は、コアセルベーション化剤として、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、蓚酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウムなどの塩類水溶液、またはコロイドの溶解が減じるような水溶性溶媒、即ちメタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、ジオキサンなどを添加し、また複合コアセルベーション法を取る場合は、コアセルベーション化剤として、高分子物質、例えばアラビアゴム、ポリビニルビロリドンなどを添加する。コアセルベーション化剤添加後、系の温度をコアセルベーション相のゲル化温度以下に冷却して、液中の被膜物質を不溶性で核となる蛍光体の表面にゲル化させそこに固定する。このゲルの膜を更にアルデヒド類で硬化した後、乾燥すると目的とするマイクロカプセルに包まれた蛍光体が得られる。このように、マイクロカプセル化された蛍光体粒子は、表面に膜を有することにより、前記蛍光体粒子の光吸収率及び表面励起効率が高められ、高い色変換効率と支持することができる。また、柔軟性を有する蛍光体マイクロカプセルが発光素子の周囲を覆うため、信頼性が向上されるとともに、良好な光学特性が得られる。
【0037】
(透光性部材)
本発明に好適に用いられる透光性部材の具体的材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂など耐候性に優れた透明樹脂やガラスなどが好適に用いられる。これらの透光性部材に、前記蛍光体粒子が前記透光性部材と異なる有機被膜により包囲された蛍光体マイクロカプセルが含有されている。前記透光性部材と前記有機被膜部材は異なることが好ましい。同部材を用いると、加熱等により前記透光性部材と蛍光体マイクロカプセル表面の前記有機被膜部材とが同化してしまい、前記蛍光体マイクロカプセル中の蛍光体粒子を好ましい状態に配置することが困難となる。
【0038】
また、前記透光性部材に、前記蛍光体マイクロカプセルと共にフィラー及び/又は顔料を含有させても良い。これらの透光性部材をモールド部材としてLEDチップ上に配置させる他、ダイボンド部材として利用することもできる。また、他の透明な部材を介して配置させても良い。
【0039】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示すような表面実装型の発光装置を形成する。LEDチップは、発光層として単色性発光ピークが可視光である475nmのIn0.2Ga0.8N半導体を有する窒化物半導体素子を用いる。より具体的にLEDチップは、洗浄させたサファイヤ基板上にTMG(トリメチルガリウム)ガス、TMI(トリメチルインジウム)ガス、窒素ガス及びドーパントガスをキャリアガスと共に流し、MOCVD法で窒化物半導体を成膜させることにより形成させることができる。ドーパントガスとしてSiH4とCp2Mgを切り替えることによってn型窒化物半導体やp型窒化物半導体となる層を形成させる
【0040】
LEDチップの素子構造としてはサファイア基板上に、アンドープの窒化物半導体であるn型GaN層、Siドープのn型電極が形成されn型コンタクト層となるGaN層、アンドープの窒化物半導体であるn型GaN層、次に発光層を構成するバリア層となるGaN層、井戸層を構成するInGaN層、バリア層となるGaN層を1セットとしGaN層に挟まれたInGaN層を5層積層させた多重量子井戸構造としてある。発光層上にはMgがドープされたp型クラッド層としてAlGaN層、Mgがドープされたp型コンタクト層であるGaN層を順次積層させた構成としてある。(なお、サファイヤ基板上には低温でGaN層を形成させバッファ層とさせてある。また、p型半導体は、成膜後400℃以上でアニールさせてある。)
【0041】
エッチングによりサファイア基板上の窒化物半導体に同一面側で、pn各コンタクト層表面を露出させる。各コンタクト層上に、スパッタリング法を用いて正負各台座電極をそれぞれ形成させた。なお、p型窒化物半導体上の全面には金属薄膜を透光性電極として形成させた後に、透光性電極の一部に台座電極を形成させてある。出来上がった半導体ウエハーにスクライブラインを引いた後、外力により分割させ半導体発光素子であるLEDチップを形成させる。
【0042】
次に、正及び負からなる一対のリード電極がインサートされて閉じられた金型内に、パッケージ成形体の下面側にあるゲートから溶融された成形樹脂を流し込み硬化してパッケージを形成する。前記パッケージは、発光素子を収納可能な凹部を有し、該凹部底面から正及び負のリード電極が一方の主面が露出されるように一体成形されている。尚、このパッケージにおいて、正及び負のリード電極のアウタリード部は、パッケージの接合面の両端部でその接合面に沿って内側に折り曲げられてなり、その内側に折り曲げられた部分ではんだ付けされるように構成されている。
【0043】
このように形成されたパッケージの凹部底面に前記LEDチップをエポキシ樹脂にてLEDチップをダイボンドする。ここでダイボンドに用いられる接合部材は特に限定されず、Au−Sn合金や導電性材料が含有された樹脂又はガラス等を用いることができる。含有される導電性材料はAgが好ましく、含有量が80%〜90%であるAgペーストを用いると放熱性に優れて且つ接合後の応力が小さい発光装置が得られる。次に、ダイボンドされたLEDチップの各電極と、パッケージ凹部底面から露出された各リード電極とをそれぞれAuワイヤにて電気的導通を取る。本実施例ではワイヤーにて電気的接続を取ったが、各電極とリード電極とを対向させるフリップチップ実装をすることも可能である。
【0044】
一方、蛍光体として、Y、Gd、Ceの希土類元素を化学量論比で酸に溶解した溶解液を蓚酸で共沈させる。これを焼成して得られる共沈酸化物と、酸化アルミニウムと混合して混合原料を得る。これにフラックスとしてフッ化バリウムを混合して坩堝に詰め、空気中1400°Cの温度で3時間焼成して焼成品を得られる。焼成品を水中でボールミルして、洗浄、分離、乾燥、最後に篩を通して中心粒径が22μmである(Y0.995Gd0.005)2.750Al5O12:Ce0.250蛍光体粒子を形成する。
【0045】
このようにして得られた蛍光体粒子をアクリル樹脂にて被膜し、蛍光体粒子の含有量が20%で且つ粒径値が前記蛍光体粒子の5倍である蛍光体マイクロカプセルを形成する。
【0046】
次に、透光性樹脂として液状で室温粘度が50Pであるエポキシ樹脂を用い、上記のようにして作成した蛍光体マイクロカプセルと前記エポキシ樹脂との重量比が5.4:100となるよう混合する。この色変換部材をLEDチップが配置された金属パッケージの凹部に流し込み120℃×4時間で硬化成形させる。
【0047】
次に、パッケージ内の水分を十分に排除した後、中央部にガラス窓部を有するコバール製リッドにて封止し低抵抗シーム溶接を行う。
【0048】
このようにして得られた色変換型発光装置500個に対し、光度及び色調の測定を行うと、各発光装置間において収束した色調が得られ且つ高い光度を有する発光装置が得られる。また、高温保管試験(100℃)、高温高湿保管試験(80℃、85%RH)、低温保管試験(−40℃)において、出力の低下はほとんどみられず、高い信頼性を有するといえる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、発光素子と、該発光素子から発光された波長の少なくとも一部を吸収して異なる波長を発光することが可能な蛍光物質と、これらの蛍光物質が含有された透光性部材からなる色変換層とを有し、前記発光素子が前記色変換層により封止されてなる発光装置において、前記蛍光物質は多面体を有する蛍光体粒子からなり、該蛍光体粒子は表面が前記透光性部材と異なる有機物被膜により包囲されマイクロカプセル化されていることを特徴とする。前記透光性部材中に多数の前記蛍光体マイクロカプセルが均一に分散しており、各蛍光体マイクロカプセル間をほぼ等間隔となるように配置させることにより、歩留まり良く、収束した色調を有し且つ光度の高い発光装置が得られる。
【0050】
また、蛍光体粒子は、粒径が大きくなるほど表面に凸凹を有し信頼性及び光学特性に悪影響を及ぼしやすい。本発明は、上記構成により、輝度の高い大粒径蛍光体粒子を透光性部材中に好ましい分散状態にて配置させることができ、高輝度で且つ色ムラの抑制された発光装置を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の発光装置を示す模式的平面図及び模式的断面図である。
【符号の説明】
1・・・パッケージ
2、3・・・リード電極
4・・・発光素子
5・・・ダイボンド部材
6・・・ワイヤ
7・・・蛍光体粒子
8・・・蛍光体マイクロカプセル
9・・・透光性部材
Claims (4)
- 発光素子と、該発光素子から発光された波長の少なくとも一部を吸収して異なる波長を発光することが可能な蛍光物質と、これらの蛍光物質が含有された透光性部材からなる色変換層とを有し、前記発光素子が前記色変換層により封止されてなる発光装置において、
前記蛍光物質は多面体を有する蛍光体粒子からなり、該蛍光体粒子は表面が前記透光性部材と異なる有機物被膜により包囲されマイクロカプセル化されており、
前記蛍光体粒子と前記有機物被膜とにより構成される蛍光体マイクロカプセルにおける、前記蛍光体粒子の含有量は1〜50%であり、前記蛍光体マイクロカプセルは前記発光素子周辺に沈降されていることを特徴とする発光装置。 - 前記蛍光体粒子は、中心粒径が15μm〜50μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
- 前記蛍光体粒子は、前記中心粒径の粒子径を有する蛍光体粒子の割合が20%〜50%の範囲であることを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
- 前記透光性部材はフィラーを有しており、前記フィラーは前記蛍光体マイクロカプセル間に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光装置。
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