JP4150130B2 - アルミニウムろう付用フラックス組成物、その塗膜およびろう付方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム材をろう付接合する際に使用するフラックス組成物に関する。尚、本明細書においては、アルミニウムとは、断わりのない限り純アルミニウムおよびアルミニウム合金を含む。
【0002】
【従来の技術とその問題点】
アルミニウムのろう付には、ブレージングシートが多用されており、これは例えば、3003合金(以下4ケタの番号はJISで定められているものである)や3N03合金等の心材の片面あるいは両面に4343合金や4045合金等のろう材をクラッドさせたものが用いられている。これらをろう付する際には、ろう付部にフラックスを塗布する必要があり、従来フラックスを水に混合させた懸濁液をスプレー等で塗布・乾燥後にろう付作業(工程)を行うのが通常であった。しかしながらスプレーでの塗布では、必要箇所以外にもフラックスが飛び散り、作業環境・衛生面ですこぶる好ましいものではなかった。また、水を使用した場合には、完全に乾燥させた状態では容易にフラックスが剥離、脱落するためろう付前の長時間の保存や運搬、および加工・組立等が不可能であった。一方完全に乾燥していない状態でろう付を行った場合には、ろう付雰囲気中の水分量が多くなり、ろう付性を低下させたり、ろう付部の欠陥の原因になる恐れがあった。さらには、水を媒体とした場合ブレージングシートとの密着性が低く、容易に塗りムラが生じ、フラックスの多く付着している部分は、過剰のフラックスが灰色あるいは白色のシミを形成する恐れがあり、他方フラックスの少ない部分では、ろう付性が低下する恐れがあった。
【0003】
これらの問題点を解決すべく、特開平6−285682等に開示されているように水溶性の樹脂をバインダーとして添加する方法もあるが、ろう付の際にバインダーとフラックス間で反応が起こり、ろう付部が黒変化する等意匠的に製品価値がすこぶる低いものであった。また、これらの水溶性の樹脂を使用しても、十分な成膜性はなく、容易に剥離・脱落するためフラックス塗布後の加工・組立等が実質的に不可能であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意創意工夫を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、次の組成物、塗膜およびろう付方法よりなる。
1.弗化物系フラックス100重量部に対し、ブチルゴムおよび/または石油樹脂1〜50重量部、有機溶剤30〜600重量部からなるアルミニウムろう付用フラックス組成物
2.上記のフラックス組成物をアルミニウム製ブレージングシートの表面の少なくとも一部以上に塗布後、乾燥して得られる塗膜。
3.弗化物系フラックス100重量部に対し、ブチルゴムおよび/または石油樹脂1〜50重量部、有機溶剤30〜600重量部からなるアルミニウムろう付用フラックス組成物をアルミニウム製ブレージングシートの表面の少なくとも一部以上に塗布、乾燥後、他のアルミニウム材とろう付を行うことを特徴とするアルミニウム材のろう付方法。
【0005】
以下、さらに本発明の実施の形態を詳述する。
【0006】
本発明に使用する弗化物系フラックスは、AlF3−KF、KAlF4−K3AlF6、K3AlF6およびKAlF4等のフッ化物系フラックス等が例示されるが、K3AlF6とKAlF4の混合物である市販品の「ノコロック(商品名)」(アルキャン社製)が特に好適である。
【0007】
フラックス組成物中で、バインダーの作用を担う樹脂としては、イソブチレンとイソプレンの共重合体であるブチルゴム(分子量25万〜55万のものが好ましい)および/または石油樹脂が使用できる。その配合量はフラックス100重量部に対し、1〜50重量部が適当で、より好ましくは2〜30重量部である。1重量部未満では、フラックス組成物の粘度が低く、アルミニウム材に塗布した際にダレが生じ、アルミニウム材との密着性が悪くなるので好ましくない。一方50重量部を超えても過剰で、コストアップになる恐れがある。尚、石油樹脂としては、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂およびC5C9共重合石油樹脂の1種以上が使用でき、特に好ましくはC5C9共重合石油樹脂を使用するのが好ましい。またこれらの石油樹脂の好ましい分子量は600〜2000程度である。
【0008】
本発明で用いる有機溶剤は、ブチルゴムおよび/または石油樹脂が可溶であれば、特に限定されず、トルエン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等を単独、あるいは2種以上を混合して用いることができる。有機溶剤の量は要求される粘度等により適宜決定されるが、通常フラックス100重量部に対し30〜600重量部、好ましくは50〜450重量部程度である。有機溶剤が30重量部未満では、組成物全体の粘度が高すぎ、均一に混合することが困難となる恐れがある。一方600重量部を超えると粘度が低くなりすぎて塗膜のダレおよび溶液中での分離が生じる恐れがある。
【0009】
本発明に用いるフラックス組成物には、公知の添加物等を添加しても差し支えなく、例えば、酸化防止剤、腐食抑制剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤、分散剤、タックファイヤー、カップリング剤、静電付与剤(導電性向上剤)等を必要に応じて添加できる。特にカップリング剤は、塗膜の付着性を向上させるために有効であり、0.01〜2.0重量部程度(フラックス100重量部に対し)の添加が有効である。また、静電塗布する場合には、静電付与剤の添加が有効であり、0.1〜30重量部程度含有することが好ましい。
【0010】
本発明のフラックス組成物は、アルミニウム製ブレージングシートの表面の少なくとも一部以上、すなわちろう付しようとする部分に必要量塗布して使用することができ、乾燥後の平均膜厚は好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは1.5〜20μmである。平均膜厚が0.5μm未満の場合は、フラックス不足によって十分なろう付性が望められず、50μmを超えると過剰で、フラックス残分による外観不良、およびコストアップになる恐れがある。
【0011】
塗布の方法は、公知の方法が採用でき、はけ塗り、スプレー塗装、静電塗装法、ロールコーター、バーコーター、ドクターブレード等で塗布することができる。これらの方法以外にも単にフラックス組成物にアルミニウム製ブレージングシートを浸漬する等の方法でもよい。
【0012】
フラックス組成物の塗布後の乾燥は、通常室温乾燥、必要に応じて30〜150℃程度の温度で乾燥させればよい。ろう付の方法は、特に限定されず、公知の方法が採用できるが、炉中ろう付による方法が好ましい。ろう付けの温度は組成にもよるが、通常450℃〜630℃程度である。雰囲気については、真空、Ar、窒素等の雰囲気が好ましい。
【0013】
本発明のフラックス組成物は、アルミニウム製ブレージングシートに適用することができ、例えばヒーターコア、エバポレータ、コンデンサ等の熱交換器を構成するフィン・ピン・パイプ・チューブ・プレート等のろう付接合に使用することができる。また、熱交換器に限定されることはなく、各種機械部品、構造部品、スポーツ用品、OA機器、日用品等に適用可能である。
【0014】
【効果】
1.本発明のフラックス組成物は、アルミニウム製ブレージングシートへの密着性が良好で、乾燥後の塗膜は容易に剥離・脱落が起こらない。従って該フラックス組成物の塗布後に加工や切断作業を容易に行うことができる。
2.本発明のフラックス組成物に用いるブチルゴムおよび石油樹脂は、ろう付を行う際の昇温中に熱分解するため、ろう付後のろう付部(フィレット)の外観が良好であり、黒変化や白色残さを生じない。
3.本発明のフラックス組成物は、適切な有機溶剤の選定により室温でも乾燥させることができ、余分なコストがかからず、乾燥後も良好な塗膜状態であるので、粉塵等が発生せず、作業環境が良好である。
4.本発明のフラックス組成物は、溶剤の配合量等により適度な粘度に調整できるので、複雑形状の部品や凹凸屈曲等のある部材へも塗布可能である。
5.本発明のろう付方法は、特別な装置や機器が不要であるので、既存の設備で実施可能である。
6.静電付与剤を含有する本発明フラックス組成物は、静電塗布が可能となり、粉塵等の発生なく、効率よく被塗物に密着させることができる。
【0015】
【実施例】
表1および表2の配合にて混合し、フラックス組成物を作製した。作製したフラックス組成物を刷毛で(ただし実施例11は、液体静電塗装法で)、3003/4045ブレージングシート(60×50×2mm)の片面に(乾燥後平均膜厚5μm)塗布後、希釈用有機溶剤(トルエン)を完全に蒸発させるために、105℃5分間加熱した。得られた塗板を下記の評価に供した。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
上記で作製した各塗板を加熱あるいはろう付けを行い次の評価を行った。
・残炭:上記塗板をそのまま(オープン状態)、あるいはアルミ箔で包み(クローズ状態)窒素ガス雰囲気(窒素ガスフロー4Nm3/h)の炉にて500℃および530℃で5分間保持して冷却した後、炉から取り出しろう付部表面を目視にて観察を行った。
【0021】
A→10点 まったく黒変化していない。
【0022】
B→7〜9.9点 若干黒点部があるが、気にならない。
【0023】
C→3〜6.9点 明らかに黒変部があるが、全体の半分未満である。
【0024】
D→1〜2.9点 全体の半分以上が黒っぽい。
【0025】
E→1点未満 全体が黒っぽく商品価値がない。
・臭気:残炭試験の加熱中に炉から出てくるガスの臭いをかいで評価した。
【0026】
A→ほとんど臭わないか、気にならない。
【0027】
B→臭いが認識できるが、作業には影響ない。
【0028】
C→異様な臭気があり、やや気になる。
【0029】
D→不快臭であり、作業しにくい。
【0030】
E→悪臭で、作業できない。
・フィレット形成(外観):上記で作製した塗板の塗布面中央に3003アルミニウム板を垂直に立て、ステンレスワイヤーで仮留めした後、窒素ガス雰囲気(窒素ガスフロー4Nm3/h)の炉にて600℃で3分間保持してろう付けを行った。冷却した後、炉から取り出しろう付部のフィレットの形成状況を目視にて観察を行った。
【0031】
A→フィレットの形成具合良好(ろう付部周辺に均一にフィレットが形成されている。)
B→フィレットは形成されているが、やや不均一である。
【0032】
C→フィレットは形成されているが、かなり不均一である。
【0033】
D→フィレットが十分に形成されておらず、切れがある。
【0034】
E→ろう付できていない。
【0035】
以上の結果より、本発明のフラックス組成物を使用したろう付は、上記すべての評価に満足するものである。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1及び比較例2の塗装板の残炭状態を示す写真である。
Claims (7)
- 弗化物系フラックス100重量部に対し、ブチルゴムおよび/または石油樹脂1〜50重量部、有機溶剤30〜600重量部からなるアルミニウムろう付用フラックス組成物。
- さらにカップリング剤0.01〜2.0重量部含有する請求項1記載のアルミニウムろう付用フラックス組成物。
- さらに静電付与剤0.1〜30重量部含有する請求項1〜2記載のアルミニウムろう付用フラックス組成物。
- 弗化物系フラックスがA1F3−KF、KA1F4−K3A1F6、K3A1F6およびKA1F4から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1〜3記載のアルミニウムろう付用フラックス組成物。
- 請求項1〜4記載のフラックス組成物をアルミニウム製ブレージングシートの表面の少なくとも一部以上に塗布後、乾燥して得られる塗膜。
- 請求項1〜4記載のフラックス組成物を表面の少なくとも一部以上に塗布したアルミニウム製ブレージングシート。
- 弗化物系フラックス100重量部に対し、ブチルゴムおよび/または石油樹脂1〜50重量部、有機溶剤30〜600重量部からなるアルミニウムろう付用フラックス組成物をアルミニウム製ブレージングシートの表面の少なくとも一部以上に塗布、乾燥後、他のアルミニウム材とろう付を行うことを特徴とするアルミニウム材のろう付方法。
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