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JP4154378B2 - 磁気ディスク装置 - Google Patents
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本発明は、磁気ディスク装置に係り、特に情報の記録再生動作を行う磁気ヘッドと情報を記憶する記録媒体の間の相対移動方向と、記録媒体上に記録形成される磁化反転領域とがなす角(以下、スキュー角と称する)が0度ではないときに生じるイレーズバンド幅の左右非対称に起因によるヘッドオフトラック特性の悪化の防止に関する。
図2に、ヘッドによってディスクに記録した記録状態を磁気力顕微鏡によって観察した結果を示す。ここでは、下地として書かれたデータ3の上にデータ1を記録している。図2に表れているように、記録したデータ1のトラック幅の両サイドにはイレーズバンド2(情報が記録されないが下地を消去するエリア)が存在する。通常、目標トラックに位置決めされた状態(フォロイング状態)の時には隣接トラックを消去することはないが、他のトラックからシークしてきた直後に振動(セトリング振動)が十分制定していないうちに記録動作を行ったり、または外部衝撃によって大きなオフセットが生じた状態で記録してしまった時、イレーズバンド2が隣接トラックの情報を消去してしまう。そのようなデータ誤消去を防ぐため、現在の磁気ディスク装置では、通常、時々刻々と得られる位置信号をもとに、装置で定めたライトインヒビットスライス値より大きなオフセットが目標記録トラックに対して生じてしまった場合は記録動作を行わないようにする。
図3に、現在の磁気ディスク装置の主流方式であるロータリアクチュエータ方式を示す。ロータリアクチュエータ方式においては、ヘッド5を支持するアクチュエータ6が図中点Aを中心に回転することにより、情報を記憶するディスク4上の内外周のトラックを移動する構造となっている。図4に示すように、ロータリアクチュエータ方式においては、情報の記録再生動作を行う磁気ヘッド5と情報を記憶するディスク4の間の相対移動方向と、ヘッド4の素子位置とロータリアクチュエータ回転中心Aを結ぶ直線方向がなす角φが、内周から外周に移動するにつれて変化する。そのため、図5に示すように、ディスク走行方向と、ディスク上に記録形成される磁化9の反転領域とがなす角θ(以下、スキュー角と称する)が内周から外周に移動するにつれて変化する。スキュー角の存在によりイレーズバンドが非対称になることが報告されている[K. Wiesen et al., IEEE Trans. Magn., Vol.29, pp.4002, 1993]。
スキュー角が0度の状態で、自己トラック、および両側隣接トラックを記録したときのディスク上の記録状態の模式図を図6に示す。ここでは、まず自己トラックを記録し、次に内周側隣接トラックを、そして最後に外周側隣接トラックを記録したものとする。実効的に記録されたトラック幅を図6中に示したようにTww、左右のイレーズバンド幅(内周側も外周側も等しい)をEBとした時、自己トラックの左端と右端で消去される領域の幅に差はない。
一方、スキュー角が0度ではない有限の値をとる時を想定し、図6と同様に自己トラック、および両側隣接トラックを記録したときのディスク上の記録状態の模式図を図7に示す。ここでも図6と同様に、まず自己トラックを記録し、次に内周側隣接トラックを、そして最後に外周側隣接トラックを記録したものとする。実効的な記録トラック幅をTww(s)とし、内周側イレーズバンド幅をEB(s)in、外周側イレーズバンド幅をEB(s)outとする。図7には、内周側イレーズバンドEB(s)inがEB(s)outよりも大きい時の状態を示した。図7に示すように、自己トラックの両側の隣接トラックをTww(s)+EB(s)outだけ離れたトラックピッチの位置に記録すると、外周側隣接トラックのイレーズバンドが自己トラックのデータトラック領域と接しており、これよりも小さなトラックピッチに対して外周側隣接によって自己データが破壊される。しかし、同じ距離をおいて記録した内周側隣接トラックはまだ自己トラックのデータトラック領域を破壊するまでには至らない。このことから、記録するトラックの内周側イレーズバンドと外周側イレーズバンドとが非対称であると、トラックピッチの縮小にしたがって隣接するトラックの片側から記録データが破壊されることがわかる。
上記記録状態をもととして、イレーズバンドの非対称性の有無で747曲線[J. K. Lee et al., IEEE Trans. Magn., Vol.26, pp.2475, 1990]は影響を受ける。
論文[F. Tomiyama et al., IEEE Trans. Magn., Vol.34, pp.1970, 1998]にて開示されたアルゴリズムを用いて、747曲線のイレーズバンド非対称性依存を計算した例を図8に示す。イレーズバンドの非対称性の存在により、 トラックピッチの小さな領域でOff-Track Capabilityが減少することがわかる。これは、左右の大きな方のイレーズバンドが隣接トラックに攻込んで隣接トラックに記録された情報の一部を消し始めることに起因する。
イレーズバンドに対する非対称性のために、左右の大きな方のイレーズバンドが隣接トラックデータを消去してOff-Track Capabilityが減少したとしても、従来のように左右のライトインヒビットスライス値を同じにしている状況下では、ライトインヒビットスライス値をただひたすら小さくし、データ保護の観点から厳しくするするしかなかった。しかし、ライトインヒビットスライス値を小さく設定することは、少々の外乱による位置決め精度の一時的な悪化によってたびたびライト動作を禁止するため、回転待ちの頻度が増加し、装置のパフォーマンスが低下することにつながるおそれがある。装置パフォーマンス確保の観点から、ライトインヒビットスライス値の縮小は、必要最小限にする必要がある。
上記考え方はライトインヒビットスライス値のみならず、シーク完了スライスレベルにおいても同様のことが成り立つ。ここでシーク完了スライスレベルとは、図9に示すように、シーク時に目標トラックに対して接近していく時、あらかじめ定めたシーク完了スライスレベルと目標トラック位置に対するヘッドの距離を比較し、シーク完了スライスレベルよりも小さな距離になったらシーク完了と判定するようなスライスレベルのことである。ライトインヒビットスライス値と同様に、内周から外周へのシークと外周から内周へのシークとで同じ時刻に対して同じ振幅の残留振動であったとしても、イレーズバンド非対称が存在する場合は、隣接データに対して破壊されやすさに差が生じる。そのため、両方のシークに対してデータ破壊が起こりやすい方に合わせてシーク完了条件を小さく設定する必要があった。シーク完了スライスレベルを小さくすることはシークタイムを大きくすることにつながるため、装置パフォーマンスが低下するおそれがある。
ライトインヒビットスライス値の時と同様に、装置パフォーマンスの観点からはシーク完了スライスレベルを縮小することは最低限にする必要がある。
K. Wiesen et al., IEEE Trans. Magn., Vol.29, pp.4002, 1993
前記背景を考え、本発明は、スキュー角起因で生じるイレーズバンド非対称があってもヘッドオフトラック特性を劣化させることなく、かつ装置パフォーマンスを低下させないことを課題とする。
内周側イレーズバンドが外周側イレーズバンドよりも大きい個所では、外周側隣接トラックが自己トラックを消去しやすくなるために、内周側へのオフセットに対するライトインヒビットスライスを外周側へのオフセットに対するライトインヒビットスライスよりも小さくする。
また、逆に外周側イレーズバンドが内周側イレーズバンドよりも大きい個所では、上述の課題解決手段における記述において、内周と外周を反対に読み替えることにより対応する。
同様に、シーク完了スライスレベルを内周から外周へのシークと外周から内周へのシークの時とで異なる値とし、隣接トラックを消去しやすい側のシーク条件を厳しくすることで対応することも可能である。
本発明の実施により、隣接トラックを誤消去することなく、目標トラックへのアクセス時間を低減することができる。
(実施例1)
本実施例ではロータリアクチュエータ方式の磁気ディスク装置を用いる。この磁気ディスク装置は、ヘッド5を支持するアクチュエータ6が図中点Aを中心に回転することにより、情報を記憶するディスク4上を移動する構造となっている。ロータリアクチュエータ方式であるので、情報の記録再生動作を行う磁気ヘッド5と情報を記憶するディスク4の間の相対移動方向と、ヘッド4の素子位置とロータリアクチュエータ回転中心Aを結ぶ直線方向がなす角φが、内周から外周に移動するにつれて変化する。図1に本発明の第一の実施例を示すフローチャートを示す。コントローラからの目標記録トラックでの記録命令を受けた後、目標トラックにおいて内周側のイレーズバンドが外周側イレーズバンドよりも大きいかどうかを判定する。この判定は、例えば内外周のイレーズバンド非対称性の情報をテーブル化して記憶しておくことにより行う。内周側イレーズバンドが外周側イレーズバンドよりも大きい場合、内周側オフセットに対するライトインヒビットスライスレベルSinと、外周側オフセットに対するライトインヒビットスライスレベルSoutを
Sin<Sout (式1)
となるように設定する。その上で目標トラックにシークを行い、シーク動作が完了したら記録動作を行う。これは、内周側の大きなイレーズバンドによって内周側隣接トラックのデータが破壊されないようにするために行う設定である。ライトインヒビットスライスが小さいと、セトリング残留振動や異常振動等の時にしっかりとデータ保護をすることができるが、記録動作を開始するまでに要する時間は長くなる。本実施例のように上記式1を仮定すれば、最悪を想定して内外周両側オフセットへのライトインヒビットスライスをともに小さくすることに比べて、装置全体での平均アクセスタイムを向上させることができる。上記内容は、逆に外周側イレーズバンドが内周側イレーズバンドよりも大きい場合にも上記「内周」と「外周」を入れ替えて読み替えるだけで同様に成り立つ。
(実施例2)
実施例1における内周側イレーズバンドと外周側イレーズバンドの大きさの比較をする判別ルーチンは、記録する目標トラックにおけるスキュー角の大きさよりも外周側隣接トラックにおけるスキュー角の大きさよりも大きいか小さいか、という判別に変更してもよい。すなわち、図4から容易に推測できるように、通常、スキュー角の半径依存性は連続的に変化するからである。大きいときには、内周側オフセットに対するライトインヒビットスライスを外周側オフセットに対するライトインヒビットスライスよりも小さくすればよい。逆に、小さいときには、外周側オフセットに対するライトインヒビットスライスを内周側オフセットに対するライトインヒビットスライスよりも小さくすればよい。
(実施例3)
目標トラックに対するオフセット量を位置信号より得て所定のシーク完了スライスレベルと比較することでシーク完了の判定をするアルゴリズムを有する磁気ディスク装置において、図9のようなセトリング応答波形を示すとした時、シーク完了スライスレベルより位置誤差が小さくなると記録動作を行うことが可能となる。これは逆に言うと、シーク完了スライスレベル分だけの位置誤差をもって記録してしまうということを意味する。実施例1等と同様に、スキュー角が0度ではないトラック等の内周側と外周側のイレーズバンドの大きさが等しくないトラックでは、大きな方のイレーズバンドが隣接トラックを消し込みやすいので、大きな方のイレーズバンド側のシーク完了スライスレベルを反対側のスライスレベルよりも小さくしておくことでデータを保護し、かつ内外周の両オフセットに対するシーク完了スライスレベルを大きな方のイレーズバンドに合わせて両方とも同一の厳しい値に設定するよりも、平均的なシーク時間は短縮される。
(実施例4)
目標トラックに対して記録命令がヘッドに達した時刻にヘッドが目標トラックに対して内周側にあるトラック数だけ離れた位置にあるとし、それから目標トラックに向かってシークを開始するとする。通常、目標トラックにするシークに関して、同じトラック数を横切るシークについては、内周から外周へのシークも外周から内周へのシークも機構的な要因によってはシークタイムに差は生じない。
ただし、シークで横切るトラック数が異なると、シーク距離の違いやベアリング特性の差により、シークタイムに差が生じる。スキュー角が0度ではないトラックを目標記録トラックとする時、同じトラック数を横切る内周から外周へのシークと外周から内周へのシークに対し、イレーズバンド非対称による隣接データ消し込みが生じやすい方向のシークタイムを反対方向のシークタイムよりも大きくしておくことで、消し込みがおきやすい方向のシークに対してはセトリング振動がよく制定するまで待ってから記録動作を行うことができるため、両方向のシークタイムとも同じにして消し込みが双方でおきないように厳しく設定する時と比較して、オフトラック特性の劣化を起こさないで平均シーク時間を短縮することができる。
(実施例5)
記録動作を行いながら図10に示すような回転衝撃を磁気ディスク装置に印可した時、装置内部でヘッドは円板に対して、装置への角加速度印可方向と逆方向に移動オフセットする。そのため装置内部ではそのオフセットを補正するべく、検出した位置信号をもとに、ヘッド位置を元に戻すようなはたらきがなされる。
スキュー角が0度ではないトラックを目標記録トラックとする時、角加速度印可によりライトインヒビットスライス程度を超えるオフセットが生じたとすると、イレーズバンド非対称による隣接トラックデータ消し込みが生じやすい方向のオフセットに対して消し込みを起こさせないために、あらかじめ装置に組み込んだ加速度センサ等で衝撃を検知した時点でその方向のオフセットに対してはオフセットがよく制定してから記録が始められるように、記録可能とするまでの時間を大きくすることで安全がはかれ、かつ両方のオフセット方向に対してその時間をオフセットに厳しい方の時間に合わせて待つよりは良好なパフォーマンスが得られる。
本発明の一実施例を示すフローチャート。 ヘッドを用いたディスク上のデータ記録状態を示す図。 ロータリアクチュエータ方式の磁気ディスク装置の構成を示す図。 図3における磁気ディスクとヘッドの関係を示す概略図。 スキュー角を定義する図。 スキュー角0度におけるデータの記録状態の模式図。 スキュー角が0度を超える状態でのデータの記録状態の模式図。 イレーズバンドの非対称の有無による747曲線の計算結果。 シーク時の位置誤差の時間応答と、シーク完了スライスレベルの説明図。 本発明における磁気ディスク装置を表す図。
符号の説明
1・・記録したデータ、2・・イレーズバンド、3・・下地データ、4・・ディスク、
5・・ヘッド、6・・ロータリアクチュエータ、7・・内周側トラック、
8・・外周側トラック、9・・記録磁化の向き、10・・記録ヘッドコア。

Claims (2)

  1. 目標トラックに対するオフセット量を位置信号より得て所定のシーク完了スライスレベルと比較することでシーク完了の判定をするアルゴリズムを有する磁気ディスク装置に関し、各トラックに対して設定するシーク完了スライスレベルのテーブルを有し、記録時にはそのテーブルを参照してシーク完了スライスレベルを設定することを特徴とする磁気ディスク装置。
  2. 目標トラックに対するオフセット量を位置信号より得て所定のシーク完了スライスレベルと比較することでシーク完了の判定をするアルゴリズムを有する磁気ディスク装置に関し、スキュー角が0度ではないトラックを目標記録トラックとする時、内周から外周へのシーク時のシーク完了スライスレベルと外周から内周へのシーク完了スライスレベルを異なる値に設定することを特徴とする磁気ディスク装置。
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