JP4154666B2 - 機能性シートまたは機能性シート複合体の製造方法 - Google Patents
機能性シートまたは機能性シート複合体の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機能性シートあるいは機能性シート複合体の製造方法に関し、より詳しくは、シートの厚み精度、均質性および経済性に優れた機能性シートあるいは機能性シート複合体の製造方法を提供することに関する。
【従来の技術】
【0002】
近年、IT関連の急速な進展に伴い関連の電子機器や電池あるいはキャパシター等の部材として、電子機器よりの電磁波の漏洩を抑える電磁波遮断性シート、電子機器の発熱を抑える熱伝導性シート、電子機器の帯電による半導体素子等の破損を抑えるための導電性シート、電池やキャパシターの電極や集電材に用いられる導電性シート等の機能性シートの需要が高まってきている。
【0003】
上記した機能性シートは、一般には熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー、ゴム等の各種樹脂よりなる母材に機能性を付与するための機能性添加剤を配合した組成物をシート状に成型することにより生産される。該機能性シートとして、導電性シートが特開平8−274489号公報、特開平10−138267号公報、特開2001−11243号公報、特開2002−100377号公報、特開2002−292805号公報等に、電磁波遮断性シートが、特開平10−256772号公報、特開平11−144931号公報、特開平11−317594号公報、特開2000−4097号公報、特開2000−100614号公報、特開2001−207143号公報、特開2002−167474号公報、特開20002−359492号公報等に、熱伝導性シートが、特開2001−291810号公報、特開2002−167511号公報、特開2002−206030号公報等に、電磁波遮断性と熱伝導性の両方の特性を具備した機能性シートが、特開平11−340677号公報、特開2001−168573号公報、特開2001−291810号公報等に開示されている。該開示されている機能性シートは、プレス成型法、押し出し成型法、射出成型法、カレンダー成型法、溶液成型法等により形成されている。
【0004】
上記した機能性シートは上記した市場の要求に答えるには、該シートに上記したような機能を付与するための機能性付与剤を大量に配合する必要がある。一方、前記した電子機器や電池あるいはキャパシター等の分野において小型化や高性能化の動きに連動し、上記した機能性シートに関しても厚み精度、均質性および価格等に対する市場要求が厳しくなってきており、従来公知の成型法では市場要求に答えられなくなってきている。特に、プレス成型法、押し出し成型法、射出成型法、カレンダー成型法等の母材に機能性を付与するための機能性付与剤を配合した組成物をそのままの形で成型する方法は成型性が著しく低下し、市場要求を満足する厚み精度で成型することは困難であり、該組成物を溶媒に溶解した溶液を用いて成型する溶液成型法で対応する必要がでてきている。
【0005】
前記した公知の機能性シートの製造方法において、溶液成型法は特開平8−274489号公報、特開2000−4097号公報、特開2001−168573号公報、特開2001−207143号公報、特開2001−291810号公報において開示されているが、汎用のドクターブレード法で実施されているとの記載があるのみである。一般に、該溶液成型法としては重合体を溶剤に溶解した溶液をダイスより薄膜として押し出し、エンドレスのベルト上に塗布し乾燥あるいは凝固させた後に剥離することにより実施されている。例えば、乾燥法については、特開2001−151902号公報、特開2002−283369号公報等に、凝固法が特許第3183297号公報、特開2001−151910号公報等に、また乾燥と凝固を組み合わせた方法が特許第3196684号公報等において開示されている。さらに、上記したエンドレスのベルト上に塗布する方法の欠点である溶液の塗布、乾燥および/または凝固、剥離の繰り返しによる金属製のベルトの腐食や傷によるピンホール発生に起因したフイルム表面欠点を改善する方法として、樹脂溶液を二軸延伸ポリエステルフイルム上に塗布し、その後、乾燥工程を経てポリエステルフイルムより塗膜を剥離することにより耐熱樹脂よりなるフイルムを製造する製造方法が特開2000−233439号公報において開示されている。
【0006】
しかしながら、上記した製造方法はいずれもが、薄膜形成にダイスが使用されており、製膜に用いる樹脂溶液の溶液粘度が適正な範囲でないと適用できなく、かつ得られたフイルムの厚み精度にも限界があるという課題を有している。また、乾燥および/または凝固の工程が形成された薄膜の片側がベルトやポリエステルフイルムにより支持されているため、薄膜の該支持面とその反対面では乾燥や凝固の挙動が異なり、得られるフイルムの表裏の特性や構造に差異が発生するという課題を有している。さらに、ダイスや押し出し機という高価な装置が必要であり、経済的に不利である。また、該押し出し機やダイスの使用は、製造するフイルムの銘柄変更の折に、該装置の樹脂溶液の置換や洗浄に多量の溶液や溶剤が必要であり、やはり経済的に不利であると共に、多様な市場ニーズに答えるのに必要な銘柄切換えが不便であるという課題を有しており、これらの課題を解決した機能性シートあるいは機能性シート複合体の製造方法の開発が強く嘱望されていた。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−274489号公報
【特許文献2】
特開平10−138267号公報
【特許文献3】
特開平2001−11243号公報
【特許文献4】
特開2002−100377号公報
【特許文献5】
特開2002−292805号公報
【特許文献6】
特開平10−256772号公報
【特許文献7】
特開平11−144931号公報
【特許文献8】
特開平11−317594号公報
【特許文献9】
特開2000−4097号公報
【特許文献10】
特開2000−100614号公報
【特許文献11】
特開2001−207143号公報
【特許文献12】
特開2002−167474号公報
【特許文献13】
特開2002−359492号公報
【特許文献14】
特開2001−291810号公報
【特許文献15】
特開2002−167511号公報
【特許文献16】
特開2002−206030号公報
【特許文献17】
特開平11−340677号公報
【特許文献18】
特開2001−168573号公報
【特許文献19】
特開2001−291810号公報
【特許文献20】
特開2001−151902号公報
【特許文献21】
特開2002−283369号公報
【特許文献22】
特許3183297号公報
【特許文献23】
特開2001−151910号公報
【特許文献24】
特許3196684号公報
【特許文献25】
特開2000−233439号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、上記した課題を解決したシートの厚み精度、均質性および経済性に優れた機能性シートまたは機能性シート複合体が得られる製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の機能性シートまたは機能性シート複合体の製造方法は、機能性樹脂組成物の溶液を少なくとも2枚の支持体の間に挟みロールまたはスリットまたはプレスを介して機能性樹脂組成物の溶液を薄膜化した積層体を凝固浴および/または乾燥槽に導き、機能性樹脂組成物を凝固することにより形成されてなることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる機能性樹脂とは、機能性添加剤と母材となる樹脂との混合物であり、シートにした場合に特定の機能を発揮する樹脂である。
本発明に用いられる母材となる樹脂は、シート形成能を有するものであれば限定無く任意であり、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、プラストマー、エラストマーおよびゴム等の各種樹脂が挙げられる。後述のごとく本発明においては、機能性添加剤を多量に配合する必要があることより、該配合組成物であってもシート形成能があり、かつ該形成された機能性シートに柔軟性が付与されことが望まれることより、プラストマー、エラストマーおよびゴム等のガラス転移温度が30℃以下の柔軟性樹脂を用いるのが好ましい実施態様である。
【0011】
本発明において用いられる機能性添加剤は、母材の樹脂シートが有していない新たな機能を付与することのできるものであれば限定なく任意であるが、請求項3に記載のごとく、導電性、電磁波遮断性、および/または熱伝導性の機能を付与することのできるものであることが好ましい実施態様である。該機能性添加剤の種類は限定なく任意である。例えば、導電性を付与する機能性添加剤としては、例えばPAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、コイル状炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンウィスカー等の繊維状カーボン、ファーネスブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、黒鉛等の炭素材、ニッケル、ステンレス、銅、銀等の金属の繊維、粉末、フレーク、金属メッキ繊維、金属コーティング繊維、金属蒸着繊維等の金属表面処理繊維、導電性ポリマー等が挙げられる。カーボンブラック、繊維状カーボン、および/または黒鉛を機能性添加剤として使用するのが好ましい実施態様である。電磁波遮断性を付与する機能性添加剤としては、電磁波を吸収、反射および減衰させる等の機能を有するものであれば限定されず任意であり、例えば前記した導電性を付与する機能性添加剤、軟磁性粉、ニッケル系フェライトやマンガン系フェライト等の各種フェライト、酸化亜鉛ウィスカー等の磁性材料等が挙げられる。熱伝導性を付与する機能性添加剤としては、熱伝導性の高い材料であれば限定されず任意であるが、例えばベリリア、マグネシア、アルミナ、チタニア、酸化鉄、酸化亜鉛、ジルコニア、マイカ等の酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等の窒化物、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ホウ素等の炭化物、アルミニウム、鉄、銅、銀、金等の金属および黒鉛等が挙げられる。
【0012】
上記した機能性添加剤は単独で用いても、2種以上を複合して用いても良い。付与する機能も単独であっても2種以上の複合であっても構わない。また、本発明においては、前記した機能性添加剤以外にも、着色剤、光学特性調整剤、親水化剤、難燃化剤等の各種機能化剤、補強性充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、離型剤、チクソトロピー性付与剤、充填剤用分散剤等の各種充填剤および架橋開始剤、架橋助剤、架橋調整剤等の反応調整剤等を配合することも何ら制限をされない。また、機能性シート複合体の場合には、例えば、機能性シートと基材シートとの接着性を高めるための接着性改良剤等を配合することも何ら制限されない。
【0013】
本発明における上記した機能性添加剤の配合割合は、特に制限はなく、市場要求の特性を付与するに必要な量に適宜設定することができるが、請求項3に記載のごとく機能性樹脂組成物に対して5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましい。配合量が多くなるに従い、本発明方法の特徴がより顕著に発現させることができる。
【0014】
本発明において、機能性樹脂組成物の溶液を形成させる溶媒は、母材の樹脂を溶解させることができるものであれば限定されなく任意である。例えば、非極性樹脂の場合は、脂肪族および/または芳香族炭化水素系溶媒等の溶媒が、極性樹脂の場合はメチルエチルケトンやメチルイソブチルケトン等の極性溶媒等が挙げられる。
【0015】
本発明においては、機能性樹脂組成物溶液の組成物濃度は任意である。樹脂や機能性添加剤の種類や配合割合により異なるが、組成物として10〜90重量%の範囲が好ましい実施態様として推奨される。本発明方法は、従来公知のダイスより溶液を押し出す方法に比べ、高粘度の機能性樹脂溶液を用いても厚み精度の高い機能性シートあるいは機能性シート複合体を形成させることができという特徴があり、機能性樹脂溶液の樹脂組成物の濃度を高めることができ、この点でも経済性が高くなるというメリットがある。
【0016】
本発明においては、前記した機能性添加剤等の配合剤の配合方法は限定なく任意である。機能性樹脂組成物を調製する混練時、機能性樹脂組成物を溶媒に溶解する溶解時であっても良いし、機能性樹脂組成物を溶解した溶液に添加しても良い。また、該配合においては、配合物を樹脂に対して均一に分散する必要があるが、該分散方法も限定なく任意であり、例えば、固形で行う場合は、1軸押出し機、2軸押出し機、ロール、ミキサー、ブラベンダー、ニーダー等で、溶液状で行う場合は、攪拌法、3本ロール法、ビーズミル法等を適宜組み合わせて行うことができる。
【0017】
本発明においては、本発明の機能性シートあるいは機能性シート複合体は、請求項1に記載のごとく少なくとも二枚の支持体の間に挟んだ機能性樹脂溶液を対向ロール、圧延装置あるいはプレス装置等を介して支持体/機能性樹脂組成物の溶液/支持体のサンドイッチ状の複合積層体に形成するにより機能性樹脂組成物の溶液が薄膜化される。得られた薄膜化された機能性樹脂組成物の溶液を含むサンドイッチ状の積層体を凝固浴および乾燥槽に導き、薄膜化された機能性樹脂組成物の溶液を凝固させることを特徴とするものである。対向ロール、圧延装置およびプレス装置等の構成および配置はさまざまな組合わせをとることができる。望ましくは、少なくとも二枚の支持体の間に挟んだ機能性樹脂組成物の溶液を、少なくとも一対の対向ロールにはさみ、向かい合ったロールを反対方向に回転させ、支持体/機能性樹脂組成物の溶液/支持体のサンドイッチ状の積層体を形成する方式である。得られた支持体/機能性樹脂組成物の溶液/支持体のサンドイッチ状の積層体は、ガイドロール等を経て凝固浴および/または乾燥槽に導かれ、薄膜化された機能性樹脂組成物の溶液は凝固される。
【0018】
上記支持体としてはPETフィルムに代表されるポリエステル系フィルムやPPフィルムなどのポリオレフィン系フィルム等のプラスチックフィルムを用いることが出来る。また、金属シートでもかまわない。さらに支持体として透液性を有する多孔質フィルムや布帛、不織布をそのまま、あるいは上記プラスチックフィルム支持体と併用してもよい。
【0019】
本発明においては、請求項2に記載のごとく、上記した方法において支持体が多孔質体であることが好ましい実施態様である。支持体として前記した多孔質体を用いることにより、機能性シートの表裏の均一化を図ることができる。
【0020】
本発明においては、前記した方法により形成された薄膜状の機能性樹脂組成物の溶液は前記したように凝固浴および/または乾燥槽に導かれて凝固される。すなわち、薄膜化された機能性樹脂組成物の溶液の凝固は凝固液と接触させて行っても良いし、乾燥で行っても良いし、また両者を併用して行っても良い。凝固浴で凝固液と接触させる方法に於ける凝固液の組成は限定なく任意であるが、前記した樹脂を溶解する溶媒と相溶するが樹脂を溶解しない溶媒(非溶媒ともいう)あるいは前記した溶媒と非溶媒との混合物が挙げられる。例えば、溶媒が非極性の場合は極性の、溶媒が極性の場合は非極性の非溶媒を用いるのが好適である。
【0021】
本発明においては、凝固浴は上記した液体状でなく気体状で行うこともできる。例えば、空気中および制御された雰囲気下暴露により凝固させることができる。本方法における雰囲気の成分は限定無く任意であるが、前記した液状の凝固浴と同様の非溶媒の蒸気を用いることができる。
【0022】
本発明においては乾燥槽において凝固する場合は、乾燥を緊張下、定張下に機能性シートの収縮を制限して行うことが望ましい。自由収縮で乾燥させた場合には、部分収縮がおこるため厚み斑となったり、さらにシートの平面性が損なわれる場合がある。収縮を制限しつつ乾燥するには、例えばテンター乾燥機や金属枠に挟んでの乾燥などを行うことができる。乾燥に懸かる他の条件は特に制限されるものではなく、空気、窒素などの加熱気体や常温気体を用いた乾燥方法や、ヒーターや赤外線ランプを用いた乾燥方法等が挙げられる。
【0023】
本発明において機能性樹脂組成物の溶液の凝固を凝固浴での凝固と乾燥槽での凝固とを併用する場合、その順序は任意である。好ましくは、凝固液と接触させる工程を先にして、その後に乾燥槽に導く方法の方が、残留溶媒や付着した凝固液を効率よく除去できるので好ましい実施態様である。該併用方法における凝固浴および乾燥槽それぞれでの機能性樹脂組成物の溶液の凝固割合は限定なく任意である。凝固浴では部分的に凝固させ溶媒をある程度残した状態で乾燥槽に導き乾燥槽で該溶媒を蒸発させて凝固を完了させても良いし、凝固浴中でほぼ凝固を完了させ、乾燥槽では残存溶媒と付着した凝固液の蒸発を行う方法であっても構わない。
【0024】
本発明においては、支持体の剥離に関しても制限はないが、凝固の効率を向上させる点より、少なくとも片側は凝固浴の途中から乾燥槽に入るまでに行うのが好ましい実施態様である。また、機能性シートを得る場合に必要な、もう一方の支持体の剥離場所は限定なく任意であり、凝固浴中で2枚同時に剥離しても良いし、時間をずらして剥離しても構わない。樹脂がゴムの場合は、機械的特性が向上した架橋処理後に行うのが好ましい実施態様である。
【0025】
シート状に成形する工程、凝固工程および乾燥工程等は連続的に行ってもよく、また、バッチ式で行ってもよい。さらに各工程の間に、その他の特別な工程を加えてもよい。
【0026】
本発明においては、得られる機能性シートの形態は制限なく、無孔体であっても多孔質体であってもかまわない。これらの形態の制御は、機能性樹脂溶液の機能性樹脂組成、孔径調整剤、溶媒の種類、樹脂濃度、成形時の膜厚み、凝固液の種類および凝固および乾燥条件等により行うことができる。該組成や条件の設定は任意であり、市場要求の特性の製品が得られる組成や条件を適宜設定することで対応するのが好ましい実施態様である。ポリアルキレングリコール等の凝固遅延剤等の配合剤を添加する等も何ら制限を受けない。
【0027】
本発明における機能性シート複合体とは、機能性シートより剛直あるいは機械的特性の優れた基材を機能性シートと複合化し、機能性シートの加工や施工の時取り扱い性を改善するための形態である。従って、該基材は機能性シートより剛直あるいは機械的特性の優れた材料よりなるシートやフィルムが挙げられる。該基材の材質は前記特性を満足すれば限定なく任意であり、プラスチック、セラミックス、金属およびそれらの複合体が挙げられる。該基材の厚みも任意である。3〜200μmが好適である。該基材の複合は機能性シートの片面および両面のいずれであっても構わない。また、該機能性シート複合体の機能性シートと基材との接着力も任意であり、簡単に剥離できるものであっても強固に一体化したものであっても構わない。該機能性シートの使用形態により適宜選択すれば良い。
【0028】
本発明において、機能性シート複合体を得る方法は任意であり、例えば、前記した方法において、支持体として用いたフイルムや布帛、不織布をそのまま基材として剥離することなく最終製品としても良いし、前期した方法で得た機能性シートより支持体を剥離することにより得た機能性シートに、新たに基材フィルムやシートを積層しても良い。
【0029】
本発明において、前記した機能性シート複合体の基材フィルムやシートの種類は限定なく任意である。市場ニーズに応じて適宜選択できる。該基材フィルムやシートは、各種の表面処理した物を用いることも何ら制限を受けない。例えば、機能性シートと基材とが強固に接着した一体化タイプの場合は、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、火炎処理等の活性線処理やポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアクリル系のポリマーやこれらの混合物等よりなる接着性向上剤層を積層する等の表面処理法が挙げられる。また、機能性シートと基材とが剥離できる剥離タイプの場合は、シリコーン系やフッ素系の剥離性向上剤層を積層する等の表面処理法を挙げることができる。
【0030】
本発明の機能性シートの厚みは、限定なく市場要求に従って任意に設定できるが、機能性シートおよび機能性シート複合体共に機能性シートの厚みとして10〜1000μmが好適である。
【0031】
本発明においては、樹脂としてゴムを用いた場合は架橋処理するのが好ましい実施態様である。該架橋方法は限定なく任意である。加熱処理により熱架橋させても良く、紫外線、電子線、γ線等の活性線を照射して架橋させても良い。前記したようにこれらの架橋処理における各種助剤を添加することも何ら制限されない。なお、例示した架橋処理方法においては、後者の活性線を照射する方法の中の電子線やγ線を照射する方法は架橋開始剤等の添加剤の配合をしなくても良いので該添加剤残渣による機能性シートの品質低下が回避されるので特に好ましい方法として推奨される。本架橋処理により機能性シートの機械的特性が向上する。
【0032】
本発明においては、上記した方法により形成された機能性シートあるいは機能性シート複合体をプレス機やカレンダー装置を用いて、該シートを厚み方向に圧縮処理をすることにより機能性シートあるいは機能性シート複合体のシートの密度を高め、該シートの機能性等の特性をを向上させる等の手段を取り入れることも何ら制限を受けない。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例中で示される特性は、以下の方法で測定、評価したものである。
(1)機能性シートの厚み精度(厚み変動率%)
厚み測定はマイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いた。厚み斑は得られた20mm×100mmのシートの厚みを約10mm間隔で10点測定し、最大厚みと最小厚みの差を平均厚みで割って%で表示した。
(2)機能性シート表裏の均質性
シートの表裏の面を目視で観察し、表面の光沢や粗さが表裏の面で明らかに違いがあるものは不良とし、表裏の面で明らかな違いがないものは良とした。
【0034】
(実施例1)
導電性カーボンブラックと黒鉛の混合物よりなる導電化剤をエチレンプロピレンゴムに20重量部に対して100重量部の割合で配合した未架橋のエチレンプロピレンゴムコンパンドを70重量%の濃度でトルエンに溶解した溶液を、2本の対向ロールの間にセットした2枚の厚み100μmの搾孔加工したポリエチレンテレフタレートフィルム(以下多孔質PETフィルムともいう)の支持体の間に挟み、2本のロールにおいて、向かい合ったロールを反対方向に回転させ、導電性ゴム組成物よりなる機能性樹脂組成物の溶液を圧延しながら多孔質PETフィルムの支持体ごと送り出し、凝固浴に導いた。凝固液はメチルエチルケトンを用いた。このとき、対向ロール間のギャップを調整し、機能性樹脂組成物の溶液の厚みが一定になるようにした。凝固浴の途中で片側の多孔質PETフィルムの支持体を剥離し、機能性樹脂組成物の溶液/多孔質PETフィルムの積層体を凝固液に接触させてさらに凝固を進行させ機能性樹脂溶液薄膜中のトルエン量が溶液供給時の約20重量%となるまで凝固浴中で凝固させた所で凝固浴より取り出した。次いで、該機能性シート複合体を緊張下で熱風乾燥槽に導き乾燥をし凝固を完了させた。図1に、製造方法の模式図を示した。次いで該機能性シート複合体を電子線照射装置に導き、連続的に電子線を照射してエチレンプロピレンゴム組成物の架橋処理を行い、機能性シート複合体を得た。なお、多孔質PETフィルムの支持体は2枚とも片面にシリコーン系の剥離性向上剤を積層したものを用いて、該積層面が機能性樹脂組成物の溶液と接するようにして供給した。また、機能性シート厚みは平均厚みで350μmになるように設定した。得られた機能性シート複合体の評価結果を表1に示す。なお、本実施例で得られた機能性シート複合体の表面抵抗値は1.5×10-1Ω/□であった。
【0035】
(比較例1)
実施例1において、エチレンプロピレンゴムコンパンド濃度を50重量%とした機能性樹脂組成物の溶液をダイスより、厚み100μmの二軸延伸ポリエステルフイルム(以下無孔PETフィルムともいう)上に押し出し機能性樹脂組成物の溶液の薄膜を形成し、次いで凝固液と接触させるように変更する以外は、実施例1と同様にして比較例1の機能性シート複合体を得た。なお、機能性シートの厚みは平均厚みで350μmになるように設定した。得られた機能性シート複合体の評価結果を表1に示す。
【0036】
(実施例2)
実施例1の方法で得られた機能性シート複合体より、多孔質PETフィルムの支持体を連続的に剥離することにより機能性シートを得た。得られた機能性シートの評価結果を表1に示す。
【0037】
(比較例2)
比較例1で得られた機能性シート複合体より、多孔質PETフィルムの支持体を連続的に剥離することにより機能性シートを得た。得られた機能性シートの評価結果を表1に示す。
【0038】
(実施例3)
実施例1の方法において、機能性樹脂組成物の溶液として、ポリスチレンとポリイソプレンとのブロック共重合体よりなる熱可塑性エラストマー100重量部に対して窒化ホウ素粉末よりなる熱伝導性の機能性添加剤300重量部の割合で配合した熱伝導性の優れた機能性樹脂組成物を80重量%の濃度のトルエン溶液とする以外は、実施例1と同様にして凝固浴と乾燥槽を通過さ、次いで支持体を剥離することにより、厚み200μmの熱伝導性の優れた機能性シート複合体を得た。得られた機能性シート複合体の評価結果を表1に示す。なお、本実施例3で得られた機能性シート複合体の熱伝導度は3.0℃/Wであった。
【0039】
(比較例3)
実施例3において、機能性樹脂組成物の溶液の機能性樹脂組成物の濃度40重量%としダイスより、シリコーン系の離型剤を積層した厚み100μmの無孔PETフイルム上に押し出して機能性樹脂組成物の溶液の薄膜を形成し、次いで凝固液と接触させるように変更する以外は、実施例3と同様にして比較例3の機能性シート複合体を得た。得られた機能性シート複合体の評価結果を表1に示す。
【0040】
(実施例4)
鉄アルミ合金よりなる扁平状の軟磁性体粉末をポリウレタンのジメチルホルムアミド溶液に均一に分散させた機能性樹脂組成物の溶液を二本の対向ロールの間にある二枚の厚みが100μmの無孔PETフィルムの支持体の間に挟み、二本のロールにおいて、向かい合ったロールを反対方向に回転させ、ドープを圧延しながら無孔PETフィルムの支持体ごと送り出し、乾燥槽に導いた。このとき、対向ロール間のギャップを調整し、機能性樹脂組成物の溶液の厚みが一定になるようにした。支持体の無孔PETフイルムは、一方のフィルムは片面にシリコーン系の離型性向上剤を積層したもの、もう一方のフィルムは片面にフッ素系の離型性向上剤を積層したものを用い、それぞれの積層面が機能性樹脂の溶液と接するように供給した。乾燥槽は熱風式の乾燥槽を用いた。前記した複合体が乾燥炉に入る前にフッ素系の剥離性向上剤を積層した方の無孔PETフイルムを剥離し残りの積層体を乾燥槽に供給した。図2に、製造法の模式図を示した。乾燥は緊張下で行った。次いで得られた該機能性シート/支持体からなる積層体をカレンダー装置に導き30トンの圧力でプレスし、引き続き支持体の無孔PETフイルムを剥離することにより実施例4の機能性シート得た。得られた機能性シートの平均厚みは350μmであった。得られた機能性シートの評価結果を表1に示す。なお、前記した機能性樹脂組成物の溶液の組成は、磁性粉末:ポリウレタン樹脂:ジメチルホルムアミド=100:10:20(重量比)とした。本実施例で得られた機能性シートの100KHzから1GHz間の電磁波の減衰率は10dB以上であった。
【0041】
(実施例5)
実施例1の方法において、機能性樹脂組成物の溶液にアクリレート系の接着性改良剤を添加することと、無孔PETフィルムの支持体の一方をプラズマ処理品に変更し、該プラズマ処理面を機能性樹脂組成物の溶液と接するように変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施例5の機能性シート複合体を得た。なお、凝固浴中で剥離する支持体はシリコーン系剥離剤を積層した方とした。得られた機能性シート複合体の評価結果を表1に示す。なお、本実施例5で得られた機能性シート複合体は、実施例1の機能性シート複合体と同様に導電性の優れたものであり、かつ機能性シートと支持体として用いた無孔PETフィルムとは強固に接着されていた。
【0042】
実施例1〜5で得られた機能性シートまたは機能性シート複合体は、厚み精度に優れている。また、実施例2および4の機能性シートはシートの表裏の構造の均一性が優れている。また、その製造方法は、装置が簡便で経済性にも優れたものである。一方、比較例1〜3で得られた機能性シートあるいは機能性シート複合体は厚み精度が劣っている。また、比較例2の機能性シートはシートの表裏の構造の均一性に劣っている。さらに、比較例1〜3は実施例1〜5とは異なり、機能性樹脂組成物溶液を押し出す、押出し機やダイスが必要であり装置の投資コストが高く経済的にも劣ったものであった。実施例1、2および5の機能性シートおよび機能性シート複合体は導電性に優れており、かつ柔軟性があり、さらに前記した特徴を有しており、実施例1および5の機能性シート複合体は、例えば、携帯電話等の各種の小型の電子機器の導電性のシール材や緩衝材等として、実施例2の機能性シートは、例えば、電気二重層コンデンサー用の集電材等として好適に使用できる。一方、実施例2の機能性シート複合体は熱伝導性が高く、かつ前記したような特徴を有しているので、例えば、前記したような小型の電子機器の放熱性のシール材や緩衝材等として、また、実施例4の機能性シートは電磁波シールド性に優れているので電磁波シールド性のシール材や緩衝材等して好適に使用することができる。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の機能性シートあるいは機能性シート複合体の製造方法により、厚み精度が良く、かつ均質性のある機能性シートを経済的に提供することができる。また、得られ機能性シートあるいは機能性シート複合体は高度な機能を有しており、かつ経済性に優れているので各種用途において好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による機能性シート複合体の製造方法の模式図
【図2】本発明による機能性シート複合体の製造方法の模式図
【符号の説明】
1:機能性樹脂組成物の溶液供給配管
2:機能性樹脂組成物の溶液
3:支持体1
4:支持体2
5:支持体1送り出しロール
6:支持体2送り出しロール
7:対向ロール
8:支持体/機能性樹脂組成物の溶液/支持体からなる積層体
9:支持体2巻き上げロール
10:凝固浴
11:乾燥槽
Claims (4)
- 機能性樹脂組成物の溶液を少なくとも2枚の支持体の間に挟みロールまたはスリットまたはプレスを介して機能性樹脂組成物の溶液を薄膜化した積層体を凝固浴および/または乾燥槽に導き、機能性樹脂組成物を凝固することにより形成することを特徴とする機能性シートまたは機能性シート複合体の製造方法。
- 機能性樹脂組成物が少なくとも樹脂および機能性添加剤よりなり、該機能性添加剤の配合量が機能性樹脂組成物の5重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の機能性シートまたは機能性シート複合体の製造方法。
- 機能性添加剤が導電性、電磁波遮断性、および/または熱伝導性の機能を付与する機能性添加剤であることを特徴とする請求項2に記載の機能性シートあるいは機能性シート複合体の製造方法。
- 支持体が多孔質体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の機能性シートまたは機能性シート複合体の製造方法。
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