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JP4172239B2 - 光電変換素子 - Google Patents
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JP4172239B2 - 光電変換素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、色素増感太陽電池等に用いる光電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
グレッツェルらが提唱した新しいタイプの色素増感太陽電池は、従来の色素増感太陽電池に比べ、飛躍的に高い変換効率(7%台)を示して注目を浴びた。色素増感太陽電池は、光を捕集した色素が生成する励起電子を半導体に注入させることによって光電変換を実現している。したがって、光捕集力を高めるために増感色素を半導体に多量に担持させること、さらに増感色素からできるだけ早く半導体へ電子を注入させることが重要である。グレッツェル・セルとも言われるこの新しい色素増感太陽電池は、超微粒子の酸化チタンからなる多孔質膜に増感色素であるルテニウム錯体を担持させることで、この課題を解決している(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
【非特許文献1】
グレッツェル(Gratzel)、外1名、「ネイチャー(Nature)」、(英国)、1991年10月24日、第353巻、p.737−740
このグレッツェル・セルは、酸化チタンの超微粒子を分散したペーストを透明電極に塗布し、増感色素を担持させ、対電極との間に電解質を充填するだけで組み立てることができる。従来の太陽電池と比べ、簡便な装置で製造が可能であり、次世代太陽電池の一つとして注目されている。
【0004】
現在、グレッツェル・セルの課題の一つは耐久性であり、特に電解質の漏液対策は必須である。すなわち、酸化チタンが被着された透明電極と対電極との間に配置された電解質を長期にわたり保持しなければならない。本発明者等は、すでに半導体層が被着された電極と対電極との間にセパレータなどの多孔質支持体を配置し、この多孔質支持体内に電解質を充満させることで、電解質を両電極間に長期にわたり保持できることを提案した(特許文献1参照。)。また、電解質をゲル化することにより漏液対策を施した例もある(特許文献2、特許文献3、特許文献4参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−345126号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平9−27352号公報
【0007】
【特許文献3】
特開平11−126917号公報
【0008】
【特許文献4】
特開2001−160427号公報
しかし、上記特許文献1〜4に記載の対策だけでは漏液対策は十分ではない。これらに記載のように、両電極間に電解質を保持するだけではなく、物理的及び化学的な刺激をセルに加えても、電解質がセルから液漏れしないような封止対策が不可欠である。セルの封止の要点は、電解質組成を考慮した封止材の選定と、封止構造にある。従来、電解質と接する封止材にシリコーン樹脂を用い、その外側にエポキシ樹脂を配した封止構造が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。また、耐久性及び耐薬品性に優れたガラスフリットを封止材に使用することも提案されている(例えば、特許文献6、特許文献7参照。)。
【0009】
【特許文献5】
欧州特許第855726号明細書
【0010】
【特許文献6】
特開2000−348783号公報
【0011】
【特許文献7】
特開2001−185244号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ガラスフリットは優れた封止材ではあるが、これらの封止材は十分に硬化及び緻密化させないと、封止効果が発揮されないという問題がある。本発明者等は、この点について鋭意検討した結果、電解質注入孔の部分の封止が最も重要であることを見出した。すなわち、電解質注入孔以外の部分の封止は、封止材の硬化及び緻密化を完了させた後に、電解質を注入させることが製法上可能であり、封止強度を十分に発揮させることができる。しかしながら、電解質注入孔の部分は、電解質と封止材が接触した状態で封止せざるを得ず、封止材の十分な硬化及び緻密化が困難となる。その結果、電解質注入孔の封止材の強度が不十分となり、電解質の漏液の原因となる。したがって、電解質注入孔の部分で封止材と電解質とを直接接触させずに封止できるような封止構造が必要となる。
【0013】
本発明は、電解質注入孔の封止部と電解質とを直接接触させない封止構造として、耐漏液性に優れた光電変換素子を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の光電変換素子は、増感色素を担持した半導体層が被着された第1の電極と、前記第1の電極の半導体層と対峙する第2の電極と、前記第1の電極の半導体層と前記第2の電極との間に配置された電解質とを有する光電変換素子であって、
前記電解質は、電解質注入孔を有する電解質室に充填されており、
前記電解質注入孔は、封止部により外部から遮断され、
前記電解質注入孔は、前記電解質と前記封止部との間に電解質が満たされていない空隙部を備えていることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
本発明の実施形態における光電変換素子は、増感色素を担持した半導体層が被着された第1の電極と、前記第1の電極の半導体層と対峙する第2の電極と、前記第1の電極の半導体層と前記第2の電極との間に配置された電解質とを有する光電変換素子である。また、前記電解質は電解質注入孔を有する電解質室に充填されており、前記電解質注入孔は封止部により外部から遮断され、前記電解質注入孔は前記電解質と前記封止部との間に電解質が満たされていない空隙部を備えている。また前記封止部は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ホットメルト樹脂、ガラスフリット、紫外線硬化樹脂からなる群から選択された少なくとも1種類から形成されている。
【0017】
電解質注入孔が、電解質と封止部との間に電解質が満たされていない空隙部を備えていることにより、電解質注入孔を封止する際に封止材を電解質と接触させることなく硬化及び緻密化することができるため封止部の強度が増大し、耐漏液性に優れた光電変換素子を提供できる。
【0018】
また、前記電解質室は、主電解質室と副電解質室からなり、前記電解質注入孔が前記副電解質室に設けられていることが好ましい。これにより、たとえ電解質注入孔の空隙部の空気が電解質室に流入しても、その空気(気泡)は主電解質室には流入しないからである。
【0019】
また、前記電解質注入孔の封止部は第1封止部と第2封止部から形成され、前記第2封止部は前記第1封止部の外側に配置されていることが好ましい。第1封止部は電解質注入孔に基本的液密性を付与し、第2封止部は第1封止部の機械的、物理的、化学的強度を補強する役割を果たす。
【0020】
また、前記第1封止部はシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ホットメルト樹脂、ガラスフリットからなる群から選択された少なくとも1種類から形成されていることが好ましい。電解質注入孔の第1封止部は電解質を注入後に形成されるので、短時間で封止部を形成する必要があるからである。また、前記第2封止部はシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ホットメルト樹脂、ガラスフリット、紫外線硬化樹脂から選択される少なくとも1種類から形成されていることが好ましい。これらは、機械的、物理的、化学的強度に優れているからである。
【0021】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明の光電変換素子の一実施形態を示す概要断面図である。図2は、本発明の光電変換素子の一実施形態を示す概要平面図であり、図1の入射光23側から見た図である。図1及び図2において、光電変換素子1は、基板3の一方の表面に形成された電極5(第1の電極)を備えている。この電極5の一方の表面には増感色素が担持された半導体層7が形成されている。
【0022】
更に、この増感色素が担持された半導体層7に対峙して対電極19(第2の電極)が存在する。対電極19は別の基板21の一方の表面に形成されている。半導体層7と対電極19との間には主電解質室9が配置され、電極5と対電極19との間には主電解質室9に電解質を導入するために、主電解質室9と連結している副電解質室11が配置されている。主電解質室9と副電解質室11は、電解質と接触する第1封止部13aと、第1封止部13aの外側に配置されている第2封止部15aとで形成されている。主電解質室9と副電解質室11に電解質を注入するための電解質注入孔17は、対電極19の基板21から副電解質室11へ穿孔されている。電解質注入孔17は、第1封止部13bにより封止され、更に第1封止部13bを覆い隠すように第2封止部15bが配置されている。
【0023】
また、電解質注入孔17は、電解質と第1封止部13bとの間に電解質が満たされていない空隙部17aを備えている
本発明者らは、前記従来の問題を解決するために鋭意努力した結果、電解質注入孔17に、電解質と第1封止部13bとの間に電解質が満たされていない空隙部17aを設けることにより、半導体層7と対電極19との間に電解質層を隙間なく配置し、且つ十分に電解質層を封止することができることを見出した。
【0024】
すなわち、電解質の漏液を抑制するためには、電解質注入孔17の封止が最重要である。十分な封止強度を得るためには、十分な封止材の硬化及び緻密化が必要である。したがって、電解質注入孔17の封止では、封止材を電解質に直接接触させることなく硬化及び緻密化させることが必要である。本実施形態では、電解質と封止材が直接接触しないようにするために、電解質注入孔17において、電解質と第1封止部13b(封止材)との間に空隙部17aを設けた。これにより、電解質注入孔17の封止材が完全に硬化及び緻密化するまで電解質に接触することがないため、電解質注入孔17の封止部の液密性を向上させることができる。また、この空隙部17aがあれば、光電変換素子を高温条件下にさらしても、この空隙部17aが電解質層の膨張を緩和させるダンパーとしての役割を果たし、封止材の劣化を抑制できる効果が期待される。
【0025】
また、本実施形態では、主電解質室9とは別に副電解質室11を設けているため、主電解質室9の電解質層に気泡が入ることはない。副電解質室11の形状は、主電解質室9へ電解質を流すことができる主電解質室9との連結部を有するものであればよく、またその容積は、副電解質室11と電解質注入孔17との連結部分にある空隙部17aが副電解質室11内で膨張・収縮できる程度であればよい。
【0026】
第1封止部13aは主電解質室9と副電解質室11の壁の役割を果たし、電解質と直接接触している。第1封止部13aの素材は、機械的又は物理的な強度が優れているよりも、電解質と接触しても化学的に安定であるものの方が好ましい。よって、第1封止部13aの素材は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ホットメルト樹脂、ガラスフリットなどであることが好ましい。特に、電解質溶媒としてニトリル系溶媒、カーボネート系溶媒を使用する場合、第1封止部13aの素材としてこれらの溶媒と相溶性の低いシリコーン樹脂やホットメルト樹脂(例えば、アイオノマー樹脂)が好ましい。更に、基板3と基板21にガラスを使用する場合には、第1封止部13aの素材として、化学的安定性、封止材の緻密性、基板との密着性等に優れたガラスフリットが特に好ましい。
【0027】
第2封止部15aは第1封止部13aの外側に配置され、電解質と接触していない。第2封止部15aの役割は、第1封止部13aの強度を補うことと、その劣化を抑制することである。よって、第2封止部15aの封止材は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ホットメルト樹脂、ガラスフリットなどであることが好ましい。特に、エポキシ樹脂は接着強度、低透湿性に優れているので好ましい。また、このエポキシ樹脂には、基板3や基板21の素材である、例えばガラスや合成樹脂フィルムの弾性率や熱膨張率などを考慮してフィラーを混合してもよい。
【0028】
電解質注入孔17を封止する第1封止部13bは、電解質の注入後に封止するので、短時間で注入孔を封止できるような、例えばシリコーン粘着テープ、速乾性エポキシ樹脂、ホットメルト樹脂などを使用するのが好ましい。また、電解質注入孔17を封止する第2封止部15bは、その第1封止部13bを覆い隠すように配置され、その素材としてはエポキシ樹脂や紫外線硬化樹脂などを使用するのが好ましい。
【0029】
基板3の材質としては透光性を有する材料であれば特にその種類は限定されないが、通常、ガラスや透明フィルムが使用される。透明フィルムは可撓性を有するので、柔軟性を必要とする用途に適する。また、基板3の光透過率は高い程よい。好ましい光透過率としては50%以上であり、より好ましくは80%以上である。
【0030】
基板21は、基板3と同じガラスや透明フィルムの他に、金属などを使用することができる。基板21は不透明でもよいが、セルの両側の基板から光を入射させることができる点で、透明であることが好ましい。
【0031】
基板3の一方の面に成膜される電極5は、光電変換素子1の負極として機能し、金属そのもので形成されるか、又はフィルム上に導電材層を積層して形成される。好ましい導電材としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等の金属、又は炭素、又はインジウム−錫複合酸化物、アンチモンをドープした酸化錫、フッ素をドープした酸化錫等の導電性の金属酸化物が挙げられる。
【0032】
電極5の表面抵抗は低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲としては、50Ω/□以下であり、より好ましくは30Ω/□以下である。下限値に特に制限はないが、通常0.1Ω/□以上である。
【0033】
電極5の光透過率は高い程よい。好ましい光透過率の範囲としては、50%以上であり、より好ましくは80%以上である。電極5の膜厚は、0.1〜10μmの範囲内にあることが好ましい。この範囲内であれば、均一な膜厚の電極膜を形成することができ、また、光透過性が低下せず、十分な光を半導体層7に入射させることができるからである。透明な電極5を使用する場合、光は増感色素が担持された半導体層7が被着される基板3側から入射させることが好ましい。
【0034】
本実施形態の光電変換素子における半導体層7自体は、従来の光電変換素子で使用されている半導体層と同じものを使用することができる。半導体層7は増感色素を担持させることにより、光電変換効率の高い光電変換素子を得ることができる。
【0035】
半導体層7を形成する材料としては、Cd、Zn、In、Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、Hg、Ti、Ag、Mn、Fe、V、Sn、Zr、Sr、Ga、Si、Crなどの金属元素の酸化物、SrTiO3、CaTiO3のようなペロブスカイト、又はCdS、ZnS、In23、PbS、Mo2S、WS2、Sb23、Bi23、ZnCdS2、Cu2Sなどの硫化物、CdSe、In2Se3、WSe2、HgS、PbSe、CdTeなどの金属カルコゲナイド、その他GaAs、Si、Se、Cd23、Zn23、InP、AgBr、PbI2、HgI2、BiI3、又は前記半導体材料から選ばれる少なくとも1種類以上を含む複合体、例えば、CdS/TiO2、CdS/AgI、Ag2S/AgI、CdS/ZnO、CdS/HgS、CdS/PbS、ZnO/ZnS、ZnO/ZnSe、CdS/HgS、CdSx/CdSe1-x、CdSx/Te1-x、CdSex/Te1-x、ZnS/CdSe、ZnSe/CdSe、CdS/ZnS、TiO2/Cd32、CdS/CdSeCdyZn1-yS、CdS/HgS/CdSなどが挙げられる。中でもTiO2が、グレッツェル・セルにおいて電解液中への光溶解の回避と高い光電変換特性を実現できる点で好ましい。
【0036】
半導体層7は、半導体粒子の分散塗料を、例えば、ドクターブレードやバーコータなどを使う塗布方法、スプレー法、ディップコーティング法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、スピンコート法などにより、電極5の表面に塗布し、その後、加熱処理や加圧処理により形成することができる。
【0037】
半導体層7の形成に用いられる半導体粒子の粒径は、一般的に5〜1000nmの範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、半導体層7の空孔径が適切な孔径になり、電解質溶液中の酸化還元物質の移動がスムーズとなり、光電流の低下が発生することがない。また、半導体層7の表面積を大きくできるため、充分な増感色素の担持量を得ることができ、その結果、大きな光電流が得られる。半導体粒子の粒径の特に好ましい範囲は、10〜100nmである。
【0038】
半導体層7の膜厚は、0.1〜100μmの範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、十分な光電変換効果が得られ、また、可視光及び近赤外光に対する透過性が悪化することもない。半導体層7の膜厚の一層好ましい範囲は、1〜50μmであり、特に好ましい範囲は5〜30μmである。
【0039】
半導体層7に担持させるために使用される増感色素としては、従来の色素増感性光電変換素子で常用される色素であれば全て使用できる。このような色素は、例えば、RuL2(H2O)2タイプのルテニウム−シス−ジアクア−ビピリジル錯体又はルテニウム−トリス(RuL3)、ルテニウム−ビス(RuL2)、オスニウム−トリス(OsL3)、オスニウム−ビス(OsL2)タイプの遷移金属錯体、又は亜鉛−テトラ(4−カルボキシフェニル)ポルフィリン、鉄−ヘキサシアニド錯体、フタロシアニンなどが挙げられる。有機色素としては、9−フェニルキサンテン系色素、クマリン系色素、アクリジン系色素、トリフェニルメタン系色素、テトラフェニルメタン系色素、キノン系色素、アゾ系色素、インジゴ系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素などが挙げられる。この中でもルテニウム−ビス(RuL2)誘導体は、可視光域で広い吸収スペクトルを有するため、特に好ましい。
【0040】
半導体層7へ増感色素を担持させる方法は、例えば、増感色素を溶かした溶液に半導体層7を備えた基板3を浸漬させる方法が挙げられる。この溶液の溶媒としては、水、アルコール、トルエン、ジメチルホルムアミドなどの増感色素を溶解可能なものであれば全て使用できる。また、浸漬方法として、増感色素溶液に半導体層7を備えた基板3を一定時間浸漬させている時に、加熱還流したり、超音波を印加することもできる。半導体層7への色素担持後、担持せずに半導体層7に残ってしまった増感色素を取り除くために、アルコールで洗浄又は加熱還流するのが好ましい。
【0041】
半導体粒子への増感色素の担持量としては、1×10-8〜1×10-6mol/cm2の範囲内にあることが好ましい。この範囲内であれば、経済的且つ十分に光電変換効率向上の効果を得ることができるからである。
【0042】
本実施形態の光電変換素子1における電解質層で使用される電解質としては、酸化体と還元体からなる一対の酸化還元系構成物質が溶媒中に含まれていれば特にその種類は限定されないが、酸化体と還元体が同一電荷を持つ酸化還元系構成物質が好ましい。この明細書における酸化還元系構成物質とは、酸化還元反応において可逆的に酸化体及び還元体の形で存在する一対の物質を意味する。本実施形態で使用できる酸化還元系構成物質としては、例えば、塩素化合物−塩素、ヨウ素化合物−ヨウ素、臭素化合物−臭素、タリウムイオン(III)−タリウムイオン(I)、水銀イオン(II)−水銀イオン(I)、ルテニウムイオン(III)−ルテニウムイオン(II)、銅イオン(II)−銅イオン(I)、鉄イオン(III)−鉄イオン(II)、バナジウムイオン(III)−バナジウムイオン(II)、マンガン酸イオン−過マンガン酸イオン、フェリシアン化物−フェロシアン化物、キノン−ヒドロキノン、フマル酸−コハク酸などが挙げられる。中でも、ヨウ素化合物−ヨウ素が好ましく、ヨウ素化合物としてはヨウ化リチウム、ヨウ化カリウム等の金属ヨウ化物、テトラアルキルアンモニウムヨージド、ピリジニウムヨージド等のヨウ化4級アンモニウム塩化合物、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム等のヨウ化ジイミダゾリウム化合物が特に好ましい。
【0043】
電解質を溶解するために使用される溶媒は、酸化還元系構成物質を溶解することができ、イオン伝導性に優れた化合物が好ましい。溶媒としては水性溶媒及び有機溶媒のいずれも使用できるが、酸化還元系構成物質をより安定化するため、有機溶媒が好ましい。例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン等のエステル化合物、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソシラン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン等のエーテル化合物、3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−メチルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物、スルフォラン、ジジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド等の非プロトン性極性化合物などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いることもできるし、また、2種類以上を混合して併用することもできる。中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−メチルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物が特に好ましい。
【0044】
なお、本実施形態において用いる電解質は、上記の電解質溶液、即ち電解液に限定されるものではなく、上記電解質溶液をポリマー支持体などで保持してゲル化したゲル状電解質や、常温溶融塩タイプの電解質なども用いることができる。
【0045】
対電極19は光電変換素子1の正極として機能し、前記増感色素が担持された半導体層7が被着される側の電極5と同様に形成できる。本実施形態における光電変換素子1の対電極19としては、光電変換素子1の正極として効率よく作用するために、電解質の還元体に電子を与える触媒作用を有する素材を使用することが好ましい。このような素材は、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等の金属、又はグラファイト、白金を担持したカーボン、又はインジウム−錫複合酸化物、アンチモンをドープした酸化錫、フッ素をドープした酸化錫等の導電性の金属酸化物などである。これらの中で、白金やグラファイトなどが特に好ましい。対電極19が配設される基板21は、対電極19の被着面側に透明導電膜(図示せず。)を有することもできる。この透明導電膜は、例えば電極5と同じ材料から成膜することができる。この場合、対電極19も透明であることが好ましい。
【0046】
なお、図1において、光電変換素子1は外部端子26を備えている。
【0047】
【実施例】
次に、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0048】
(実施例1)
三洋化成社製の界面活性剤"ノニポール100"(商品名)を0.01g/dm3含む水と、アセチルアセトンとの混合液(混合体積比=20/1)中に、日本アエロジル社製の酸化チタン粒子"P25"(商品名、平均粒径20nm)を濃度約38質量%となるように分散させてスラリー液を調製した。次に、このスラリー液を旭硝子社製の厚さ1mmの導電性ガラス"F−SnO2"(商品名、フッ素がドープされたSnO2を表面にコーティングして導電性を付与した透明導電膜付きガラス基板、表面抵抗10Ω/□)の上に塗布して乾燥後、得られた乾燥物を500℃で30分間空気中で加熱し、導電性ガラス上に厚さ10μmの酸化チタン膜を形成して第1の電極5とした。得られた酸化チタン膜の大きさは縦10mm、横10mmであった。
【0049】
上記によって作製した第1の電極5に、ガラスフリット100質量部、アクリル樹脂0.5質量部、ターピネオール50質量部からなるガラスフリットペーストを、ディスペンサーを用いて図3に示すようなパターンで線引きした。その後、120℃で30分間乾燥してターピネオールを除去した後、380℃で30分間加熱し、アクリル樹脂を酸化除去(脱バインダー)した。次いで、450℃で20分間加熱することによって気泡を含まないガラスフリットからなる第1封止部13aを形成した。
【0050】
対電極19(第2の電極)は旭硝子社製の前記導電性ガラス"F−SnO2"に白金を20nmの厚さでスパッタリングして形成した。対電極上の第1封止部13aは、図4に示すような第1の電極5と左右対称のパターンで同様の工程によって形成され、その後、電解質注入孔17及び色素担持の際に用いられる孔25を穿孔した。
【0051】
次に、第1の電極5と対電極19との第1封止部13aを向かい合わせて重ねた後、455℃で20分間加熱することによって第1封止部13aを一体化して、主電解質室9及び副電解質室11を形成した。電極間距離が30μmとなるように、金属箔をスペーサとして挟み、第1封止部13aが完全に硬化及び緻密化して一体化した後、スペーサを取り外した。
【0052】
次いで、Ru(4,4'−ジカルボキシル−2,2'−ビピリジン)2(NCS)2で表される増感色素を3×10-4mol/dm3含むエタノール溶液を準備し、電解質注入孔17及び色素担持の際に用いられる孔25を循環ポンプを介してシリコンゴムチューブなどによって接続し、色素溶液を20時間循環させ、増感色素を酸化チタンに担持させた。その後、無水エタノールで洗浄した後、乾燥させた。
【0053】
その後、色素担持の際に用いられる孔25をシリコン粘着剤付きポリイミドテープで塞ぎ、これを覆うようにエポキシ接着剤で補強、封止した。次に、電解質注入孔17が下になるようにしてビーカーに入れ、電解質注入孔17よりも高い位置まで電解液を満たしてデシケータに入れ、電解液が沸騰するまで減圧にし、その後常圧に戻すことによって電解液を注入した。このような方法で注入した電解液は主電解質室9及び副電解質室11を全て満たした。ただし、電解質注入孔17の内部には電解液を満たさず、空隙部17aとした。
【0054】
電解質溶液としては、0.5mol/dm3のヨウ化リチウムと0.05mol/dm3のヨウ素、0.5mol/dm3の4−tert−ブチルピリジンを含む3−メトキシプロピオニトリルを用いた。
【0055】
副電解質室11が全て電解液で満たされたセルは、温度上昇による内圧上昇が大きくなって信頼性が劣るため、ダンパーとしてエアースペースが必要になる。電解質注入孔17に真空ポンプからのゴムチューブなどを当て、副電解質室11中の約半分の量の電解液を除去した。その後、孔25と同様の方法で電解質注入孔17を封止した。
【0056】
次に、ガラスフリットからなる第1封止部13aの外側をエポキシ接着剤で補強して第2封止部15aを形成した。エポキシ接着剤が電極間の隙間に入り込むように、減圧して電極間の隙間の空気を取り除き、その後常圧に戻してエポキシ接着剤を隙間に充填することを繰り返した。エポキシ接着剤の硬化後、電極にニッケル箔を銀ペーストで固定し、速乾性エポキシ接着剤で補強して、外部端子26を形成して、本実施例の光電変換素子を作製した。
【0057】
(実施例2)
ハーキュレス社製のエチルセルロース“N300”(商品名)をエタノールに溶かした1質量%のバインダー溶液を調製した。このバインダー溶液24gに日本アエロジル社製の前記酸化チタン“P25”6gを投入し、遊星型ボールミルにかけて、酸化チタンの分散液を調製した。分散液中の酸化チタンの含有量は、20質量%になるように調製した。この分散液を王子トービ社製のインジウム−錫複合酸化物(ITO)が被着されたポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(厚さ125μm、表面抵抗10Ω/□のITO/PENフィルム)に摺り切りで塗布し、温風で乾燥してITO/PENフィルム上に酸化チタン膜を形成した。次に、プレス機で酸化チタン膜に100MPaの圧力を加えて、縦10mm、横10mm、厚さ15μmの酸化チタン膜を形成した。圧力を加えるとき、プレス機のプレス面にフッ素樹脂コートを施し、酸化チタン膜とプレス面との離型性を良くした。
【0058】
この酸化チタン膜を備えたITO/PENフィルムを、[Ru(4,4'−ジカルボキシル−2,2'−ビピリジン)2(NCS)2]ビス―テトラブチルアンモニウムで表される増感色素を3×10-4mol/dm3含むアセトニトリル/t−ブチルアルコール混合溶液(混合体積比=50/50)に10時間浸漬して色素担持処理を行なった。
【0059】
増感色素を担持した酸化チタン膜を備えたITO/PENフィルム(第1の電極5)に、シリコーン接着剤をディスペンサーを用いて図3に示すようなパターンで線引きした。次に、王子トービ社製の前記ITO/PENフィルムのITO側に膜厚20nmで白金をスパッタリングで被着させ、電解質注入孔17となる孔をあけて図4に示すように対電極19(第2の電極)とした。酸化チタン膜の上に短絡防止且つ電解液保持の役割を果たすポリブチレンテレフタレート(PBT)製の不織布を配置後、対電極19を第1の電極5と向かい合わせになるようにしてシリコーン接着剤に接触させた。シリコーン接着剤を硬化させるために、4日以上室温、室湿で放置させる間、光電変換素子を2枚の厚板ガラスで挟んで固定した。
【0060】
シリコーン接着剤の硬化後(第1封止部13aの形成後)、電解液を第1の電極5と対電極19との間に減圧注入法で注入した。ただし、電解質注入孔17の内部には電解液を満たさず、空隙部17aとした。電解液としては、実施例1と同一の電解液を使用した。電解液の注入後、副電解質室11中の約半分の量の電解液を除去した。電解質注入孔17の周囲に付着した電解液をアルコールでよく拭いた後、シリコーン粘着剤付きポリイミドテープで電解質注入孔17を塞ぎ、紫外線硬化樹脂でこれを覆った。更に、素子全体をハネウェル社製のポリクロロ三フッ化エチレンフィルム"アクラー"(商品名)で外部端子が取り出せるようにラミネート加工を施して、素子全体の低透湿性と強度の補強を行って第2封止部15aを形成した。以上のようにして、本実施例の光電変換素子を作製した。
【0061】
(実施例3)
三洋化成社製の前記界面活性剤"ノニポール100"を0.01g/dm3含む水と、アセチルアセトンとの混合液(混合体積比=20/1)中に、日本アエロジル社製の前記酸化チタン粒子"P25"を濃度約38質量%となるように分散させてスラリー液を調製した。次に、このスラリー液を旭硝子社製の厚さ1mmの前記導電性ガラス"F−SnO2"の上に塗布して乾燥後、得られた乾燥物を500℃で30分間空気中で加熱し、導電性ガラス上に厚さ10μmの酸化チタン膜を形成して第1の電極5とした。得られた酸化チタン膜の大きさは縦10mm、横10mmであった。
【0062】
上記第1の電極5を、[Ru(4,4'−ジカルボキシル−2,2'−ビピリジン)2(NCS)2]ビス−テトラブチルアンモニウムで表される増感色素を3×10-4mol/dm3含むアセトニトリル/t−ブチルアルコール混合溶液(混合体積比=50/50)に10時間浸漬して色素担持処理を行った。
【0063】
増感色素を担持した第1の電極5に、電解液を封止するための第1封止部13aとしてシリコーン接着剤を、酸化チタン膜を取り囲むようにディスペンサーで線引きした。次に、旭硝子社製の前記導電性ガラス"F−SnO2"に膜厚20nmで白金をスパッタリングで被着させ、電解質注入孔17となる孔をあけて対電極19(第2の電極)とした。第1の電極5の酸化チタン膜と対電極19とを向かい合わせになるようにしてシリコーン接着剤で接着した。シリコーン接着剤を硬化させるために、4日以上室温、室湿で放置させる間、光電変換素子を2枚の厚板ガラスで挟んで固定した。シリコーン接着剤の硬化後(第1封止部13aの形成後)、シリコーン接着剤を取り囲むように、エポキシ接着剤で補強、封止した。
【0064】
実施例1と同一の電解液を第1の電極5と対電極19との間に減圧注入法で注入した。電解液の注入後、電解質注入孔17の部分の電解液を除去し、電解質注入孔17の部分に空隙部17aを作った。電解質注入孔17の周囲に付着した電解液をアルコールでよく拭いた後、シリコーン粘着剤付きポリイミドテープで電解質注入孔17を塞ぎ、エポキシ樹脂でこれを覆って補強、封止した。
【0065】
このようにして得られた本実施例の光電変換素子を60℃の温度に設定した乾燥機の中に放置して耐漏液性を評価した。その結果、150日に渡って電解液の漏液は目視にて認められず、光電変換効率は4.2%と一定値を保持できた。なお、光電変換素子の変換効率は、擬似太陽光(AM1.5、100mW/cm2)をサンプルセル(受光面積1cm2)に照射して測定した。
【0066】
(比較例1)
電解質注入孔17に空隙部17aを作らずに、電解質注入孔17を電解液で満たした状態でシリコーン粘着剤付きポリイミドテープで封止したこと以外は、実施例3と同様にして光電変換素子を作製した。
【0067】
このようにして得られた本比較例の光電変換素子を60℃の温度に設定した乾燥機の中に放置した。90日経過後、電解質注入孔17の部分から漏液が目視にて確認され、光電変換効率は4.1%から2.7%へと直線的に低下した。
【0068】
【発明の効果】
以上のように本発明は、電解質注入孔の封止部と電解質とを直接接触させない封止構造として、耐漏液性に優れた光電変換素子を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における光電変換素子の概要断面図である。
【図2】本発明の実施形態における光電変換素子の概要平面図である。
【図3】本発明の実施形態における光電変換素子の第1の電極の概要平面図である。
【図4】本発明の実施形態における光電変換素子の対電極の概要平面図である。
【符号の説明】
1 光電変換素子
3 基板
5 電極
7 半導体層
9 主電解質室
11 副電解質室
13a、13b 第1封止部
15a、15b 第2封止部
17 電解質注入孔
17a 空隙部
19 対電極
21 基板
23 入射光
25 色素担持の際に用いられる孔
26 外部端子

Claims (3)

  1. 増感色素を担持した半導体層が被着された第1の電極と、前記第1の電極の半導体層と対峙する第2の電極と、前記第1の電極の半導体層と前記第2の電極との間に配置された電解質とを有する光電変換素子であって、
    前記電解質は、電解質注入孔を有する電解質室に充填されており、
    前記電解質注入孔は、封止部により外部から遮断され、
    前記電解質注入孔は、前記電解質と前記封止部との間に電解質が満たされていない空隙部を備えていると共に、
    前記封止部は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ホットメルト樹脂、ガラスフリット、紫外線硬化樹脂からなる群から選択された少なくとも1種類から形成されていることを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記電解質室が、主電解質室と副電解質室からなり、前記電解質注入孔が前記副電解質室に設けられている請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記電解質注入孔の封止部が第1封止部と、第1封止部の外側に配置されている第2封止部から形成されており、前記第1封止部はシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ホットメルト樹脂、ガラスフリットからなる群から選択された少なくとも1種類から形成され、前記第2封止部はシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ホットメルト樹脂、ガラスフリット、紫外線硬化樹脂から選択される少なくとも1種類から形成されている請求項1又は2に記載の光電変換素子。
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