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JP4176006B2 - 木質系繊維成形体およびその製造方法 - Google Patents
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JP4176006B2 - 木質系繊維成形体およびその製造方法 - Google Patents

木質系繊維成形体およびその製造方法 Download PDF

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本発明は木質系繊維材料から構成される成形体に関し、特に木材から用材を取り除いた残材、木造建物の解体クズ等を構成材料として再利用した成形体、該成形体の製造方法および前記成形体を用いる土木工法、植栽工法に関する。
従来、木材の用材を取った残材、又は木造建物の解体クズは単体で杭、柵又は壁材等の小材に使用する他はクズを発酵させて肥料土とするか、焼却または廃棄をしていた。近年、数個の小断面木材をボルト等を用いて機械的接着、又は樹脂を挟み圧力接着して比較的大断面にした集成材にして柱や板材にして用材とする方法が知られている。一方、木材をチップ状にして樹脂を混入することで板材にして空気層を含む壁材として利用する方法もある。さらに最近は廃木材をチップ化して有効利用する方法が活発に開発されてきている。チップそのものを固形燃料にする他、メタン又は水素を発生させて燃料とする方法もある。さらに木材チップを炭化させて水、空気の濾過材又は壁材に混入して脱臭、防カビを求める製品もある。
また、歩行時における衝撃を吸収する足の保護、景観を求めた歩道の舗装等のため、木材チップをアスファルトまたは樹脂に混ぜてクッション性のある木質チップ舗装に利用する方法もある。近年、また別の利用方法として木材チップそのものをバラで庭園の植栽まわりの地山に散布してマルチングによる防草効果を促進させる利用方法が普及している。
さらに木材から用材を取り除いた残材、間伐材等を構成材料として再利用して成形するボードに関連して、木材チップを蒸気圧着し、ボードとして地山に貼り付けて防草効果及び斜面保護を促進するものがある。
また、木材チップに蒸気を直接噴射することにより加熱・加圧し、自己融着又は成形用接着剤により接着させて成形したボードを遊歩道に敷設される舗装材及び雑草の生長を阻止するマルチング材として利用するものがある(例えば特許文献1参照)。
特開2002−103521号公報
一般的には、用材以外の木材の利用製品としては木材チップを樹脂で固めるような比較的硬い部材にして利用してきた。柔らかい部材にして利用する方法として、木材のセルロースを利用した紙類があるが、比較的薄いため農業、建設資材に利用しようとすると厚みを確保できないという不具合があった。柔軟性のあるものの例として、やし繊維、ジュート(麻)を全体に蒸気圧着して木質マットを製作するものがある。これは園芸用・建設用資材として地山の斜面保護のために利用されている。
しかしながら、やし繊維、ジュート等の原料を入手するには大半を輸入に頼らざるを得ないという問題点がある。
なお、その他の柔軟なシート状成形体として、ジュート、稲わら、イグサを編んで作る成形体、例えば麻袋、ゴザ、畳等があるが、織り機等を要するため加工の手間が多くかかる。さらに、折り機を大きくするとか重ねないと厚みを増すことは困難である。また、廃木材を利用して柔軟なシート状成形体とする方法もあるが、廃木材を圧着したのみでは、全体を圧着することになり成形体が板状になるために硬化してしまい柔軟性を損なうことになる。
また、入手し易い廃木材をできるだけ複雑な加工手間を掛けずに利用し、全体的に柔軟性のあるボードを成形し、地山・盛土の特に斜面保護・洗掘、流出防止のために敷設することは今まで非常に困難であった。さらに、前記従来技術(特許文献1)では、第1及び第2板部材にシート用接着剤を塗布した後に、シート上に第1及び第2板部材の積層体を積層し、常温又は加熱し、さらに加圧して接着させて樹皮ボードを成形するため、複数の工程・原材料を必要とし、コストが高くなるという問題があった。また、樹皮ボードに柔軟性を与えるために硬質な第2板部材上にクッション性に富む第1板部材を積層させる構造をしているため、樹皮ボード表面に垂直方向からの衝撃を効率良く吸収できるが、ボード平面に対して全方向から衝撃を吸収できない。そのため、ボード自体を全体として自由に湾曲させることが難しく、全体的な柔軟性を得ることができないという問題があった。
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、木質系繊維材料を構成材料として再利用して簡易に製造でき、全体的に柔軟性を有する農業用・土木建設用の木質繊維成形体、その製造方法および前記成形体を用いる土木工法、植栽工法を提供することを課題とする。
請求項1記載の発明は、自然繊維長が30mm〜80mmである多数の木質繊維4を積層し、積層した木質繊維4の上方向、又は上下方向からそれぞれ木質繊維4の前記自然繊維長の1/2又はそれ以下の長さの網目寸法Lを有し、該網目がそれぞれの木質繊維4の少なくとも2カ所で接触する網状体3,3’を用いてプレス成形し、該網状体3,3’の当接する木質繊維4に圧着部2を形成し、該圧着部2に囲まれる部分に積層状の木質繊維4の原型に近い状態の空気層を有する木質繊維層1を形成させる柔軟性木質繊維形成体(木質マット10)の製造方法である。
ここで網目寸法Lとは網状鉄鋼板3の網目の間隔をいう。より具体的には網状圧着部2とそれに隣接する他の網状圧着部2との間の空隙の大きさを表す距離をいう。略正方形状の網目を有する網状鉄鋼板3を使用する場合は、縦横方向の網目寸法Lが同一の値となる。しかし、これに限定されることはなく、使用する網状鉄鋼板3の有する網目の形状(例えば、矩形、三角形等)によって縦横方向の網目寸法Lは異なる値をとっても良い。但し、異なる値を設定する場合は、縦横方向の網目寸法Lの値を比較した結果、大きい値の方の網目寸法Lに基づいて前記ふるい目のサイズを選定する必要がある。
また、自然繊維長とはヒノキ等の丸太から樹皮を剥ぎ取り、この樹皮を粉砕し、所定の目のふるいにかけて残った樹皮の主繊維が有する繊維長をいう。従って、特定の長さを意味しているわけでなく、ふるい目から落ちない繊維であれば、例えば、螺旋状、曲面状に湾曲していてもよく、いかなる形状のものも自然繊維長の定義に含まれる。なお、木質繊維4の原料として樹皮を採用した場合について説明したが、木材を繊維方向に沿ってリボン状に切削した木材片でも同様に網目寸法L、自然繊維長を定義できる。
請求項記載の発明は、自然繊維長が30mm〜80mmである木質繊維4を多数積層して形成され、各木質繊維4の少なくとも2カ所で接触し、前記自然繊維長の1/2又はそれ以下の長さの網目寸法を有する圧着部2と、該網目状の圧着部2に囲まれる部分に形成される積層状の多数の原型に近い状態の空気層を有する木質繊維4からなる木質繊維層1により構成させる柔軟性木質繊維形成体である。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の柔軟性木質繊維成形体(木質マット10)を地山切り取り後の地山又は盛土して将来地山とすべき造成地領域に配置する土木工法である。
請求項4記載の発明は、請求項2記載の柔軟性木質繊維成形体(木質マット10)を植栽用地又は圃場に配置する植栽工法である。
請求項1、2記載の発明によれば、木質マット10の圧着部2を構成する木質繊維4が最も加圧されて圧縮されて硬化し、木質繊維層1を構成する木質繊維4はあまり加圧されないため、それほど硬化せずに原型(プレス前に原料が積層された状態)に近い状態で残る。そのため、圧着部2が溝状に凹み、その部分を中心に木質マット10を湾曲させることができ、木質マット10は全体としての柔軟性を有する。また、圧着部2の圧着部分が溝状に凹むことにより折り曲げる際に薄く曲げやすい構造となる。さらに、主繊維に絡みついてふるい上に残ったわずかな網目に届かない短い繊維であっても、プレスする際に主繊維に絡みついて圧縮される。
また、木質繊維層1は、網状鉄網板3、3’に囲まれて、あまり加圧されなかった木質繊維4によって構成され、そこにある各木質繊維4はそれぞれ密に接着しないで、比較的ゆるい結合状態にあり、繊維自体の柔軟性が残っているため、クッション性が高い。一方、比較的自然繊維長が長い木質繊維4の繊維長は網目寸法より長くなり、1本の木質繊維4は少なくとも2箇所以上の接点で網状鉄鋼板3、3’と接触して、プレスされて圧着部2内部で硬化されるため、マット平面において全方向に引っ張り力を与えてもほぐれ難い構造になっている。
木質繊維層1の各区画内において木質繊維4は自然に撓みをもった状態で木質マット10に固定されるため、木質繊維4は原型に近い状態で繊維質が潰れずに残っており、空隙部を多く残しており、空気層を有しているので、繊維自体に柔軟性、保温保湿性がある。さらに本発明に係わる木質マット10に含まれる原材料の木質繊維4の密度は比較的精度よく管理できるため、当該木質マット10を製品として利用しても完成品の製品管理を容易に行うことができ、さらに本発明の木質マット10は容易に運搬できる。
請求項1、2記載の発明によれば、圧着部2により保持され、囲まれる木質繊維4の原型に近い状態の空気層を有する木質繊維層1は、繊維自体に柔軟性、保温保湿性があり、木質マット10に含まれる原材料の木質繊維4の密度は比較的精度よく管理できるため、当該木質マット10を製品として利用しても完成品の製品管理を容易に行うことができ、さらに本発明の木質マット10は柔軟性があり、湾曲し易く、施工性と運搬容易性に優れている。
請求項3、4記載の発明によれば、木質系繊維材料を構成材料として再利用して簡易にかつ低コストで木質繊維成形体(木質マット10)を製造でき、柔軟性が高く取り扱いが容易で、地山・盛土の斜面保護・洗掘防止、土木工法、又は緑化工法等の用途に利用でき、補強材、保温材、保湿材又は防音材等の建築資材としても有効に利用できる木質繊維成形体及びその製造方法を提供できる。
本発明の実施の形態の木質繊維成形体について図面と共に説明する。
図1に本実施例の木質繊維成形体である木質マット10の斜視図を示す。本実施例の上記木質繊維成形体では、樹皮はそのまま又は少し短く粉砕して再利用するか木材から用材を取り除いた残材、間伐材等を繊維方向に削り出してリボン状にしたものを叩解(繊維を叩いてほぐす)して再利用する。また、樹皮と木材の削りだしたものは混ぜても良い。なお本明細書では木質繊維とは樹皮又は木の削りだしたもの又はこれらの両方をいうものとする。
まず、ホットプレス装置の下面側に図2に示す所定の寸法の網目を有する網状鉄網板3’を配置し、その網状鉄鋼板3’を囲むように箱枠(図示せず)を置く。次に、該箱枠中に前記木質繊維4を積層しながらランダムに敷きつめ、木質繊維4の自然繊維長の少なくとも2点を上方から押さえる網状鉄鋼板3でプレスすることにより木質マット10を成形する。このとき網状鉄鋼板3と網状鉄鋼板3’の網目が上下方向で一致するように配置してプレスする。前記木質繊維4の中にはリグニン、タンニンが含有されており、加圧することにより自己接着するが、水を噴霧して蒸気を加えながら加熱・加圧する方がさらに好ましい。また、予めわずかな量の樹脂等の接着剤を木質繊維4に被覆させ、前記接着剤をバインダーにして補強接着する形態であってもよい。この樹脂は生分解性樹脂であるとさらに良い。
図1に示すように、こうして得られた木質マット10は溝状の凹面からなる網状鉄鋼板により形成される圧着部2と当該圧着部2に囲まれる正方形状のわずかに圧着された木質繊維層1とからなる構成である。
木質繊維層1と網状鉄鋼板圧着部2(以下網状圧着部2と称する。)の個数は成形しようとする木質マット10の網目寸法Lにより決定される。また、木質繊維層1の厚みは原料の木質繊維4の積層量に依存し、網状圧着部2の厚みは、原料の木質繊維4の積層量とプレスする際に用いた網状鉄網板3、3’の厚みに依存している。例えば、比較的薄い木質マット10を成形する際は、ホットプレス装置の上面下面の両面側に網状鉄鋼板3、3’を用いる必要はなく、片面のみに使用する形態であっても良い。片面より上下両面に溝があったほうがより柔軟性が高い。
このようにプレスして成形された木質マット10においては、網状圧着部2を構成する木質繊維4が最も加圧されて圧縮され、硬化する。一方、木質繊維層1を構成する木質繊維4はあまり加圧されないため、それほど硬化せずに原型(プレス前に原料が積層された状態)に近い状態で残る。
従って、網状圧着部2が溝状に凹み、その部分を中心に木質マット10を湾曲させることができ、木質マット10は全体としての柔軟性を有する。また、網状圧着部2の圧着部分が溝状に凹むことにより折り曲げる際に薄く曲げやすい構造となる。さらに、主繊維に絡みついてふるい上に残ったわずかな網目に届かない短い繊維であっても、プレスする際に主繊維に絡みついて圧縮される。
木質繊維層1は、網状鉄網板3、3’に囲まれてあまり加圧されなかった木質繊維4によって構成され、そこにある各木質繊維4はそれぞれ密に接着しないで、比較的ゆるい結合状態にあり、繊維自体の柔軟性が残っているため、クッション性が高い。
一方、比較的自然繊維長が長い木質繊維4をふるいに掛けて、選別して原料にしているため、繊維長が網目寸法Lより長くなり、1本の木質繊維4は少なくとも2箇所以上の接点で網状鉄鋼板3、3’(図2)と接触して、プレスされて網状圧着部2内部で硬化されるため、マット平面において全方向に引っ張り力を与えてもほぐれ難い構造になっている。
網状圧着部2は木質マット10の表裏面において溝状の凹面を有している。この溝の形状は網状鉄鋼板3、3’の形状に依存している。網状圧着部2は正確に重なり合う位置に配置された上下の2つの網状鉄鋼板3、3’が木質マット10を挟み、木質マット10に対して垂直に上下方向からプレスすることによって成形される。一般に木材繊維質にはリグニン、タンニン等が含有されており、加圧されることにより自己接着するが、蒸気を加えて熱プレスしても良い。なお、網状鉄鋼板3、3’のプレス面は湾曲面又は球面等であってもよく、木質繊維4を圧着できるプレス面を有する形状であれば、どのような形状であってもよい。また、上下プレス板の間に網状圧着部2を設置しなくても、上下プレス機(図示せず)のプレス接触面自体に所定の網目寸法Lで網目状の凸部を設ける形態であっても良い。
以下、図2を参照して木質繊維層1および網状圧着部2の具体的構造について説明する。
図2は、木質マット10の成形時における木質繊維4と網状鉄鋼板3の位置関係を表す概念図であり、図3は木質繊維4と網状圧着部2の関係を示す概略断面図である。
図2、図3に示すように、木質繊維4は網状鉄鋼板3の網目寸法Lよりも自然繊維長が長いものを主な原料として利用しているため、1つの木質繊維層1の区画内において、大方の繊維片が少なくとも2箇所以上の圧着箇所Sを有することになる。木質繊維層1の各区画内において木質繊維4は自然に撓みをもった状態で木質マット10に固定されるため、木質繊維4は原型に近い状態で繊維質が潰れずに残っており、空隙部を多く残しており、空気層を有している。
従って、本実施例の特徴的な構造により繊維自体に柔軟性、保温保湿性を持たせ、木質繊維4のみを原料とするか、生分解性樹脂をバインダーとして混入した場合は木質繊維4が腐敗した後も肥料として再利用できる木質マット10を提供できる。
また、本実施例に係わる木質マット10に含まれる原材料の木質繊維4の密度は比較的精度よく管理できるため、当該木質マット10を製品として利用しても完成品の製品管理を容易に行うことができる。また本実施例に係わる木質マット10は容易に運搬できる。
次に、本実施例に関わる木質マット10を地山に施工する場合は、それが移動しない程度に図4に示すアンカー6で木質マット10を地山に固定する。図10に示すように地山の斜面等に木質マット10を設ける場合、木質マット10の上部の重量を勘案して滑落を止め得る数を算出する。そして、アンカー6を地山に固定する。アンカー6を木質マット10を介して地山に貫入する位置は、木質マット10が地上で移動しなければ良く、特に限定されない。このアンカー6は半永久的に腐食しない材質、たとえば亜鉛被膜を有する鋼製の材料、プラスチックなどの樹脂製の材料を用いる事が望ましい。
ここで本実施例に係わる木質マット10の具体的な製作方法を一例を挙げて説明する。木材製材所からヒノキ等の丸太の樹皮を剥ぎ取り、この樹皮を粉砕し、例えば4mm目のふるいにかけて残った比較的長い樹皮(例えば、30〜80mmが主な構成のもの)を使用する。本実施例は樹皮に限らず木材を繊維方向に沿ってリボン状に切削した木材片でも使用可能である。
図2に示すように上下プレス板の下面に網状鉄鋼板3、3’(例えば、線径2.6mm網目22mmを使用した。この網目寸法に限定されないが主構成の自然繊維長の1/2以下になるように設定する。線径は作製しようとするマット厚と網目大きさに関係し、それらが厚く、大きくなる程、太くなる。)にワセリン(剥離材)を薄く塗っておき、その網状鉄鋼板3を囲むように箱枠を置き、その中に前記樹皮等を粉砕したものをランダムに敷きつめる(例えば、100mm厚)。
この時、上部から生け花に使う剣山のごとく針を垂直に点在させた板で積層した木質繊維を押さえ針を貫入させる。このようにすると積層体の上部の一部の繊維が積層体の上下へ貫くように所々に配置され、後述する木質繊維積層体の上下の一体性がさらに増す。さらに木質繊維の積層した天端をならして、その上から網目にワセリンを塗った網状鉄鋼板3を、下面網状鉄鋼板3’の網目とその網目が重なるように下面の網目に対して垂直延長線上の位置に置く。その後、箱枠(図示せず)を上方に抜き取り、ホットプレス装置(例えば、約140℃〜190℃)で樹皮等を粉砕したものをプレスして木質マット10(仕上がり厚、例えば、約10mm)が成形される。
成形された木質マット10において、上下面の略同一座標位置に網の目状に溝状の筋(網状圧着部2)が凹んで残る。図1の木質マット10の斜視図において木質マット10自体の左辺側と右辺側を上方に引き上げる方向に持ち上げると、木質マット10の中心部は重力により木質マット10の設置面に接触した状態を維持するが、木質マット10の中心から左右方向に離れた前記溝状の筋(網状圧着部2)は適度に湾曲する。従って、本実施例のこの構造により木質マット10全体としての柔軟性も高めることができる。
なお、熱プレスする際にそのまま樹皮等の木質繊維4を熱プレスしても良いが、接着性を高めるために蒸気噴霧させてもよい。さらに網状鉄鋼板3、3’は本実施例では平坦な面であるが、少々曲がって凸凹した面があるものを使用しても問題はない。
また、本実施例では網状鉄鋼板3、3’を構成する網線は連続した棒状の部材であるが、これに限定されず途中切れているような不連続な棒状部材であっても良い。
なお、本実施例では木質繊維4の自己接着性を利用して、熱プレスするだけでマット状の成形体を得たが、網目部分のみに接着剤、例えば樹脂を噴霧、浸透させる等してマット平面の全方向に対する引張り強度を増すこともできる。また、樹脂等のコーティング剤を木質マット10全体に噴霧してケバ立ちを押さえることもできる。このような構成により全体としてはゴム質樹脂又は柔軟性樹脂をバインダーとして混入し、そのバインダー自体の接着性能に全面依存し、成形するマットに比べ必要樹脂量を少なく抑えることができる。
また、本実施例では樹皮を使用したが、木材の繊維方向に削る方式の木材粉砕機により長繊維リボンチップを作り叩解し、柔軟にして樹皮と同様木質マット10を製作できる他、草刈等で発生した草葉、枝であっても繊維質を有していれば原料の木質繊維4として利用可能である。
さらに追加実施例として前記の木質繊維成形体に加工を与える形態を述べる。前記実施例で示した木質マット10は網状に自己接着させた物であるが、リグニン、タンニンによる自己接着力は比較的弱く、木質マット10への使用目的によっては引っ張り強度が必要なものもある。例えば平坦地に近い場合の地山の被覆材として使用すれば引っ張り強度はさほど必要ないが、斜面を被覆してアンカー6で固定する場合は少なくとも人が上がって滑落しない程度の強度は必要である。このような場合、前記実施例で述べた木質繊維成形体を網状鉄鋼板3、3’でプレスする際、網状鉄鋼板3の木質繊維成形体と接する部分に故意に高さの高いプレス面と高さの低いプレス面を交互に設け、高さの低いプレス面は木質繊維4を圧縮するよう平坦性を持たせ、高さの高いプレス面は木質繊維4に突き刺さるように鋭利にする。
図5に鋭利な高さの高いプレス面と高さの低いプレス面を交互に配置した網状鉄鋼板3−1と木質繊維成形体(木質マット10)、下面網状鉄鋼板3’の網状圧着部2の位置関係を表す概念図を示す。本実施例では30mm四角の切り抜きを網状に持つ厚さ9mmの板の片面(木質繊維4と接触する部分)にグラインダーを切削して5mm間隔に高さの高いプレス面と高さの低いプレス面を交互に設けた。さらにこれの高さの高いプレス面の先端を切り抜き壁と平行に研磨して鋭利な先端を作った。前記2つのプレス面の高さ方向の落差は4mmとした。この網状鉄鋼板の切り抜き四角の大きさ、厚みの大きさ、前記落差は木質繊維4の長さ、成形後の木質繊維成形体(木質マット10)の厚みに依存して変えることができる。
図5に示すようにプレスする際の木質繊維積層体に接触する反対側(下側)の一面に配置する網状鉄鋼板3’としては、30mm四角の切り抜きを上面側の網状鉄鋼板3−1と網目が同じ位置になるよう切り抜いた厚み3mmのフラットな下面側の網状鉄鋼板3’を用意した。これを木質繊維積層体を上面側網状鉄鋼板3−1と同一垂直位置に配置されるよう挟み、前述と同様にプレスする。このときプレスした際に鋭利な高さの高いプレス面がつぶれないように上下側の網状鉄鋼板3−1、3’間に間隔材(本実施例では10mmのサイコロ状鉄材(図示せず))を外側に置いた。図6、図7に示すように網状鉄鋼板3−1、3’をプレスすると木質繊維積層体は表裏略同一場所に網状の圧着部(単に溝ということがある)2と溝底に穴のあいた部分である溝底穴2−1を交互に持ち、溝底穴2−1で点線状に圧着部2が切れた状態となる。図6は網状体鉄鋼板3−1の高さの低いプレス面3−1−a(図5で示す上の網状鉄鋼板3−1のa−aで切断した断面)とプレス後の木質繊維4の網状圧着部2の局部断面と図7は網状鉄鋼板3−1の高さの高いプレス面3−1−bの鋭利な断面(図5で示す上の網状鉄鋼板3−1のb−bで切断した断面)とプレス後の木質繊維4の網状圧着部2の局部断面であり、溝底で木質繊維4がせん断され穴が空いている状態を示す。本実施例では、ここまでを一次プレスで行う。
図8は前記網状鉄鋼板3−1、3’により形成される溝底穴2−1の上部に接着剤を含んだスポンジ状のものを局部的に備えた固定用板7を配置した断面図であり、図9は木質繊維4の成形体に形成された溝底穴2−1へ接着剤を入れ、接着剤が浸透し固着して得られる接着剤入り溝2−2の断面を示す。比較的厚手の木質繊維4の成形体で自己接着が弱い場合、及び使用目的によって引っ張り強度を強化したい場合に網状鉄鋼体3−1に高低2段のプレス面を設け溝2と溝底穴2−1を作り、溝底穴2−1に局部的に接着剤を注入させ、該接着剤入り溝2−2の位置で木質マット10を固着させる。接着剤は液体から固着する性質を有するものならなんでも良いが、比較的硬化後も柔軟性があるものが良い。接着剤として生分解性樹脂を用いた場合、現在はまだ材料が高価であるがバインダーとして全体に用いるより本発明によると網状にできた溝2と、溝底穴2−1にだけ浸透させるため、使用量が少なくて済み経済的である。前記接着剤は合成樹脂に限らずでんぷん糊や膠やカゼインのような液体から固着する有機物も含むものとする。
製作例として説明すると高低2段のプレス面を持つ網状体3−1で木質繊維4の成形体を一次プレスして表面に溝2と溝底穴2−1を有する木質マット10を得て、次に接着剤を含ませたスポンジ状の固定用板7を溝底穴2−1の位置に配置して、固定用板7を軽く二次プレスすると圧力により固定用板7が溝底穴2−1に入るよう圧縮され、含んだ接着剤が固定用板7から溝2及び溝底穴2−1に圧力を持って押し出される。接着剤は穴を埋め、木質繊維層1へ浸透する。
溝底穴2−1はせん断してできたものであり、溝2に比べて比較的疎な状態であるので接着剤が浸透しやすい。この接着剤が硬化すると木質繊維層1を厚み方向に縫う形で接着剤で固着させる。接着剤を注入させる方法はこれに限らず注射器状のもので個々に注入しても良いし、網状体3−1の位置で切り抜いた切板を木質繊維層1に重ね上から接着剤を流し重力、遠心力、圧力で局部的に浸透させても良い。溝2及び溝底穴2−1に局部的に接着剤を注入することにより、木質繊維層1を縫う形となり、ほぐれ難い構造となる他、木質繊維4から得られる成形体の一体性が増し、引っ張り強度も高くなる。
本実施例に係わる木質繊維成形体(木質マット10)を任意の造成地領域に配置させる土木・緑化工法について例を挙げて説明する。
図10、図11に示すように、任意の規格面積で道路、鉄道の路肩、造成地、公園その他の地山切取り後の地山または盛土部分等の斜面(図10参照)に本実施例の木質マット10を張り付け、半永久的なアンカー6で固定する。木質マット10の施工順序として、まず、地山を掻きならし、平坦に整地する。地山に凹凸がある場合は、木質マット10を地山に密着させるために目潰しとして目の小さい土を外部から持ち込んで散布すればよい。
そして、本実施例に係わる木質マット10と地山との間に空隙ができないように張り付ける。図4のように木質マット10は一定規格の大きさのものを単位マットとして使用し、これを敷き詰めるように並べると、施工性を良くすることができる。この単位マットは広さを小さくしておくことが望ましい。何らかの原因で当該単位マットの一部が地山と剥離しても、当該マットが他のマットを引っ張り、多数のマットが地山と剥離してしまうような不具合を最小限にとどめることができるからである。
地山に施工された本実施例に係わる木質マット10は、それが移動しない程度にアンカー6で地山に固定する。また、図10に示すように地山の斜面に木質マット10を設ける場合、木質マット10の上部の重量を勘案して滑落を止め得る数のアンカー数を算出して地山に固定する。このアンカー6は半永久的に腐食しない物、たとえば亜鉛皮膜した鋼材製の物、プラスチックなどの樹脂製の材料を用いる事が望ましい。具体的には木質マット10の重量及び人間がその上に上がっても、ずれない程度の数のアンカー6を木質マット10に打ち込み固定する。アンカー6の配置は当該マット周辺外隣部の重ね合わせ目の部位、木質マット10の端部に重点的に配置するようにする。
本実施例の木質マット10によれば、全体としての柔軟性があるため、地山面などにアンカー6で密着させて貼り付けることにより斜面の保護・洗掘防止等の養生材として使用することができ、比較的簡単に折れ曲がることができるため折り畳むことで運搬、施工が著しく省力化できる。また、当該木質マット10に芝の種、肥料を混入して斜面に貼り付けることにより安定した植生工事を行うことができる。従来の合成樹脂製の流失防止工事に比べて本実施例の木質マット10は還元型で環境負荷が少なく腐食して土に帰ることができるという利点がある土木工法である。また、さらに国内の廃材等の木材を利用できるため、輸入に頼らずに材料が無尽に入手でき、コストの掛からない補強材、保護剤、芝等の植生養生材となる他、断熱材、油吸着剤、管の保温材、クッション材等の建設工法に利用できる。
さらに本実施例に係わる木質マット10を植栽工法にも応用できる。一般に木材チップをバラで植栽、農作物周りに敷き詰めて雑草防止のマルチング材等に使用されているが、図11の植栽帯の断面で示すように本実施例に係わる木質マット10をアンカー6等で緑地に固定して張り付けるとバラ状態に比べて、風で飛散したり、雨で流出することなく安定した効果が得られる。従って、従来のバラ状でマルチングに利用する場合は流出の恐れがあるため平坦地にしか使えなかったが、本実施例の木質マット10は特に斜面に有効なマルチング材となる(図示しない)。
次に斜面の多い山の造林に木質マット10を利用する例を示す。造林において檜や杉の苗を山に植付け通常は5〜6年はその苗の周りに生える雑草によって成長が妨げられるため、下刈りを毎年雑草刈り取る必要がある。これが現場では、作業員の高齢化、木材単価の下落で相当な負担となり、山が荒れる原因となっていた。本木質マット10のプレスにおいて網状の圧着部2の形成をそのままに全体に強めにプレスして密度を上げる。
木質繊維材料として腐敗速度が遅い檜や檜樹皮を使用する。さらに必要により環境負荷の少ない防腐剤等でコーティングする等して腐敗速度の遅くした柔軟性のある木質マット10を製作し、造林植栽木の周りにアンカー6で貼り付けておくと流出したり飛散しない安定的なマルチング効果により雑草繁殖を数年抑え下刈り手間を軽減でき後には土に還元する。
また、農作物のマルチングに本実施例の木質マット10を利用すると、上記本実施例の木質マット10の特徴的な構造によりマルチングによる雑草の除去、保水効果および保温効果を効率的に促進できる。このように作物を保護するとともに、数年後は畑にすき込むことで肥料にもなる。従って、従来の問題点である収穫後の合成樹脂製のマルチングシートの処分の困難性をコストを全くかけずに解消できるという利点がある。
本発明は木質系繊維材料から構成される成形体に関し、特に木材から用材を取り除いた残材、間伐材、木造建物の解体クズ等を構成材料として再利用した柔軟な木質繊維成形体およびその製造方法、有効利用工法に利用できる。
本実施例である木質マットの斜視図を示す。 図1の木質マットの成形時における木質繊維と網状鉄鋼板の位置関係を示す概念斜視図である。 図1の木質マット内の木質繊維と溝状圧着部の位置関係を示す断面概念図である。 図1の木質マットを地山面に敷設するアンカーの配置状態を表す一例である。 網状鉄鋼板に木質マットと接する部分に鋭利な凸を付けた場合の配置関係を示す概念斜視図である。 木質マットに網状鉄鋼板の凹部でプレスした後の木質マットの局部断面図。 木質マットに網状鉄鋼板の鋭利な凸部をプレスした後の木質マットの局部断面図。 木質マットにできた溝と接着剤を含ませたスポンジの位置を示す局部断面図。 木質マットにできた溝と穴に接着剤を浸透させた局部断面図を示す。 図1の木質マット10を道路の地山の斜面に敷設した一例である。 図1の木質マット10を平面の植栽地に敷設した一例である。
符号の説明
1 木質繊維層 2 網状圧着部
2−1 溝底穴(網状圧着部)2−2 接着剤入り圧着部
3 網状鉄鋼板 3’下面側網状鉄鋼板
4 木質繊維単体 6 アンカー
7 固定板 10 木質マット

Claims (4)

  1. 自然繊維長が30mm〜80mmである多数の木質繊維(4)を積層し、積層した木質繊維(4)の上方向、又は上下方向からそれぞれ木質繊維(4)の前記自然繊維長の1/2又はそれ以下の長さの網目寸法を有し、該網目がそれぞれの木質繊維(4)の少なくとも2カ所で接触する網状体(3,3’)を用いてプレス成形し、該網状体(3,3’)の当接する木質繊維(4)に圧着部(2)を形成し、該圧着部(2)に囲まれる部分に積層状の木質繊維(4)の原型に近い状態の空気層を有する木質繊維層(1)を形成させることを特徴とする柔軟性木質繊維形成体の製造方法。
  2. 自然繊維長が30mm〜80mmである木質繊維(4)を多数積層して形成され、各木質繊維(4)の少なくとも2カ所で接触し、前記自然繊維長の1/2又はそれ以下の長さの網目寸法を有する圧着部(2)と、該網目状の圧着部(2)に囲まれる部分に形成される積層状の多数の原型に近い状態の空気層を有する木質繊維(4)からなる木質繊維層(1)により構成させることを特徴とする柔軟性木質繊維形成体。
  3. 請求項2記載の柔軟性木質繊維成形体を地山切り取り後の地山又は盛土して将来地山とすべき造成地領域に配置することを特徴とする土木工法。
  4. 請求項2記載の柔軟性木質繊維成形体を植栽用地又は圃場に配置することを特徴とする植栽工法。
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