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JP4176362B2 - 半導体装置の作製方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はゲッタリング技術を用いた半導体装置の作製方法に関する。特に本発明は、半導体膜の結晶化を助長する金属元素を添加して作製される結晶構造を有する半導体膜を用いた半導体装置の作製方法に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【0003】
【従来の技術】
結晶構造を有する半導体膜を用いた代表的な半導体素子として薄膜トランジスタ(以下、TFTと記す)が知られている。TFTはガラスなどの絶縁基板上に集積回路を形成する技術として注目され、駆動回路一体型液晶表示装置などが実用化されつつある。従来の技術において、結晶構造を有する半導体膜は、プラズマCVD法や減圧CVD法で堆積した非晶質半導体膜を、加熱処理やレーザーアニール法(レーザー光の照射により半導体膜を結晶化させる技術)により作製されている。
【0004】
こうして作製される結晶構造を有する半導体膜は多数の結晶粒の集合体であり、その結晶方位は任意な方向に配向して制御不能であるため、TFTの特性を制限する要因となっている。このような問題点に対し、特開平7−183540号公報で開示される技術は、ニッケルなど半導体膜の結晶化を助長する金属元素を添加し、結晶構造を有する半導体膜を作製するものであり、結晶化に必要とする加熱温度を低下させる効果ばかりでなく、結晶方位の配向性を単一方向に高めることが可能である。このような結晶構造を有する半導体膜でTFTを形成すると、電界効果移動度の向上のみでなく、サブスレッショルド係数(S値)が小さくなり、飛躍的に電気的特性を向上させることが可能となっている。
【0005】
しかし、結晶化を助長する金属元素を添加する故に、結晶構造を有する半導体膜の膜中或いは膜表面には、当該金属元素が残存し、得られる素子の特性をばらつかせるなどの問題がある。その一例は、TFTにおいてオフ電流が増加し、個々の素子間でばらつくなどの問題がある。即ち、結晶化を助長する金属元素は、一旦、結晶構造を有する半導体膜が形成されてしまえば、かえって不要な存在となってしまう。
【0006】
リンを用いたゲッタリングは、結晶構造を有する半導体膜のうち特定の領域から結晶化を助長する金属元素を除去するための手法として有効に活用されている。例えば、TFTのソース・ドレイン領域にリンを添加して450〜700℃の熱処理を行うことで、チャネル形成領域から当該金属元素を容易に除去することが可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
リンはイオンドープ法(PH3などをプラズマで解離して、イオンを電界で加速して半導体中に注入する方法であり、基本的にイオンの質量分離を行わない方法を指す)で結晶構造を有する半導体膜に注入するが、ゲッタリングのために必要なリン濃度は1×1020/cm3以上である。イオンドープ法によるリンの添加は、結晶構造を有する半導体膜の非晶質化をもたらすが、リン濃度の増加はその後のアニールによる再結晶化の妨げとなり問題となっている。また、高濃度のリンの添加は、ドーピングに必要な処理時間の増大をもたらし、ドーピング工程におけるスループットを低下させるので問題となっている。
【0008】
さらに、pチャネル型TFTのソース・ドレイン領域に添加したリンに対し、その導電型を反転させるために必要な硼素の濃度は1.5〜3倍が必要であり、再結晶化の困難さに伴って、ソース・ドレイン領域の高抵抗化をもたらし問題となっている。
【0009】
本発明はこのような問題を解決するための手段であり、半導体膜の結晶化を助長する金属元素を用いて結晶構造を有する半導体膜を得た後、該膜中に残存する当該金属元素を効果的に除去する技術を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
ゲッタリング技術は単結晶シリコンウエハーを用いる集積回路の製造技術において主要な技術として位置付けられている。ゲッタリングは半導体中に取り込まれた金属不純物が、何らかのエネルギーでゲッタリングサイトに偏析して、素子の能動領域の不純物濃度を低減させる技術として知られている。それは、エクストリンシックゲッタリング(Extrinsic Gettering)とイントリンシックゲッタリング(Intrinsic Gettering)の二つに大別されている。エクストリンシックゲッタリングは外部から歪場や化学作用を与えてゲッタリング効果をもたらすものである。高濃度のリンを単結晶シリコンウエハーの裏面から拡散させるリンゲッタはこれに当たり、前述のリンを用いたゲッタリングもエクストリンシックゲッタリングの一種と見なすことができる。
【0011】
一方、イントリンシックゲッタリングは単結晶シリコンウエハーの内部に生成された酸素が関与する格子欠陥の歪場を利用したものとして知られている。本発明は、このような格子欠陥、或いは格子歪みを利用したイントリンシックゲッタリングに着目したものであり、厚さ10〜100nm程度の結晶構造を有する半導体膜に適用するために以下の手段を採用するものである。
【0012】
本発明は、窒化珪素膜上に金属元素を用いて結晶構造を有する第1の半導体膜を形成する工程と、エッチングストッパーとなる膜(バリア層)を形成する工程と、希ガス元素を含む第2の半導体膜(ゲッタリングサイト)を形成する工程と、ゲッタリングサイトに金属元素をゲッタリングさせる工程と、前記第2の半導体膜を除去する工程とを有している。
【0013】
また、希ガス元素を含む第2の半導体膜(ゲッタリングサイト)を形成する工程は、半導体からなるターゲットを用い、希ガス元素を含む雰囲気中でのグロー放電によるスパッタ法で非晶質構造を有する半導体膜を形成すればよい。また、半導体に対して一導電型を付与する不純物元素(リンや砒素、ボロン等)を含む半導体ターゲット(比抵抗値が0.01〜1000Ω・cm)を用いてもよい。また、この不純物元素(リンや砒素、ボロン等)を含む半導体ターゲットの比抵抗値が0.01〜1Ω・cmであれば、DC電源を用いるスパッタ装置での成膜も可能である。
【0014】
また、希ガス元素はHe、Ne、Ar、Kr、Xeから選ばれた一種または複数種であり、これらのイオンを半導体膜中に含有させることにより、ダングリングボンドや格子歪みを形成してゲッタリングサイトを形成することができる。
【0015】
また、希ガス元素を含む第2の半導体膜(ゲッタリングサイト)を形成する他の手段としては、希ガス元素を含む原料ガスを用いたプラズマCVD法や減圧熱CVD法で希ガス元素を含む第2の半導体膜を成膜してもよい。ただし、膜剥がれが生じないように成膜条件を調節する。
【0016】
また、他の手段としては、イオンドープ法またはイオン注入法で希ガス元素を添加させて希ガス元素を含む第2の半導体膜を形成してもよい。
【0017】
また、スパッタ法やプラズマCVD法や減圧熱CVD法等を用い、成膜段階で希ガス元素を含む第2の半導体膜を得た後、さらに第2の半導体膜に対して希ガス元素、H、H2、O、O2、P、Bから選ばれた一種または複数種を添加してもよい。このように複数の元素を添加することにより相乗的にゲッタリング効果が得られる。中でもO、O2は効果的であり、成膜条件または成膜後の添加により、第2の半導体膜中におけるSIMS分析での酸素濃度を5×1018/cm3以上、好ましくは1×1019/cm3〜1×1022/cm3の濃度範囲とするとゲッタリング効果が増大する。なお、希ガス元素はほとんど拡散しないが、希ガス元素に加えて添加する他の元素が拡散しやすい場合、第2の半導体膜の膜厚を厚めに調節して、添加した他の元素が後の熱処理で第1の半導体膜に拡散しないようにすることが好ましい。また、第2の半導体膜だけでなく、バリア層も他の元素の拡散を防止する機能を有する。
【0018】
また、本発明は、結晶構造を有する第1の半導体膜と接する下地絶縁膜として、膜厚10nm以下の窒化珪素膜からなる絶縁膜を用いてゲッタリング効果を増大させることを特徴としている。なお、この下地絶縁膜はブロッキング効果をも有している。
【0019】
本明細書で開示する発明の構成は、
絶縁膜上に非晶質構造を有する第1の半導体膜を形成する第1工程と、
前記非晶質構造を有する第1の半導体膜に金属元素を添加する第2工程と、
前記第1の半導体膜を結晶化させて結晶構造を有する第1の半導体膜を形成する第3工程と、
前記結晶構造を有する第1の半導体膜の表面にバリア層を形成する第4の工程と、
前記バリア層上に希ガス元素を含む第2の半導体膜を形成する第5工程と、
前記第2の半導体膜に前記金属元素をゲッタリングして結晶構造を有する第1の半導体膜中の前記金属元素を除去または低減する第6工程と、
前記第2の半導体膜を除去する第7工程とを有することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0020】
また、上記構成において、ゲッタリング効果を増大させるために前記下地絶縁膜は、窒化珪素膜とすることが好ましい。
【0021】
また、上記構成において、ゲッタリング効果を増大させるために前記第1の半導体膜に含まれる酸素濃度を5×1018/cm3以下とすることが好ましい。
【0022】
また、上記構成において、ゲッタリング効果を増大させるために前記第2の半導体膜に含まれる酸素濃度を5×1018/cm3よりも高くすることが好ましい。
【0023】
また、上記構成において、ゲッタリング効果を増大させるために前記第2の半導体膜に含まれる酸素濃度は、前記第1の半導体膜に含まれる酸素濃度より高くすることを特徴としている。
【0024】
また、上記各構成において、前記第3工程は、加熱処理、強光を照射する処理、またはレーザー光(波長400nm以下のエキシマレーザー光や、YAGレーザーの第2高調波、第3高調波)を照射する処理の内、いすれか一の処理、もしくはこれらを組み合わせた処理であることを特徴としている。
【0025】
また、上記各構成において、前記バリア層を形成する第4の工程は、レーザー光の照射により前記結晶構造を有する半導体膜の表面を酸化した後、さらにオゾンを含む溶液で前記結晶構造を有する半導体膜の表面を酸化する工程とすればよい。または、上記各構成において、前記バリア層を形成する第4の工程は、オゾンを含む溶液で前記結晶構造を有する半導体膜の表面を酸化する工程、もしくは酸素雰囲気下の紫外線の照射で前記結晶構造を有する半導体膜の表面を酸化する工程とすればよい。また、前記バリア層を形成する第4の工程は、酸素プラズマ処理により前記結晶構造を有する半導体膜の表面を酸化する工程としてもよい。
【0026】
本明細書中、バリア層とは、ゲッタリング工程において金属元素が通過可能な膜質または膜厚を有し、且つ、ゲッタリングサイトとなる層の除去工程においてエッチングストッパーとなる層を指している。
【0027】
また、上記各構成において、前記第2の半導体膜は、希ガス元素を含む雰囲気中で半導体をターゲットとするスパッタ法により形成することを特徴としている。
【0028】
また、上記各構成において、前記第2の半導体膜は、希ガス元素を含む雰囲気中でリンまたはボロンを含む半導体をターゲットとするスパッタ法により形成することを特徴としている。
【0029】
また、上記各構成において、前記第2の半導体膜の内部応力は、圧縮応力であることを特徴としている。
【0030】
また、上記各構成において、前記第6工程は、熱処理、あるいは前記非晶質構造を有する半導体膜に強光を照射する処理を用いればよい。また、前記第6工程は、熱処理を行い、且つ、前記非晶質構造を有する半導体膜に強光を照射する処理であってもよい。
【0031】
また、上記各構成において、前記強光は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、または高圧水銀ランプから射出された光であることを特徴としている。
【0032】
また、上記各構成において、上記構成において、前記金属元素はFe、Ni、Co、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Auから選ばれた一種または複数種であることを特徴としている。
【0033】
また、本発明は上記構成に限定されず、第2の半導体膜の上層のみに希ガス元素を含むゲッタリングサイトを形成してもよい。また、希ガス元素を含んでいない第2の半導体膜を形成し、該膜上に希ガス元素を含む第3の半導体膜を形成してゲッタリングサイトを形成してもよい。
【0034】
また、窒化珪素膜からなる絶縁膜上にニッケル元素をスパッタ法等で散布した後、第1の半導体膜を形成し、バリア層を設け、希ガス元素を含む第2の半導体膜を形成した後、熱処理または強光によって第1の半導体膜の結晶化およびゲッタリングを同時に行ってもよい。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について、以下に説明する。
【0036】
本発明は、絶縁表面上に結晶化を助長する金属元素を用いて結晶構造を有する半導体膜を形成するプロセスと、結晶構造を有する半導体膜上にバリア層を形成するプロセスと、バリア層上に希ガス元素を含む半導体膜(ゲッタリングサイト)を形成するプロセスと、加熱処理するプロセスとを有しており、該加熱処理により結晶構造を有する半導体膜に含まれる金属元素が移動してバリア層を通り抜け、ゲッタリングサイト(希ガス元素のイオンを含む半導体膜)に捕獲され、結晶構造を有する半導体膜から金属元素を除去または低減することである。なお、加熱処理とは、炉を用いた熱処理であってもよいし、ランプ光源から強光を照射する処理であってもよいし、熱処理と同時に強光を照射してもよい。
【0037】
また、本発明の特徴の一つは、上記希ガス元素を含む半導体膜(ゲッタリングサイト)における膜中の酸素濃度を5×1018/cm3以上としてゲッタリング効果を増大させることである。
【0038】
また、上記希ガス元素を含む半導体膜は、希ガス元素を含む雰囲気下で半導体ターゲット、或いは半導体に対して一導電型を付与する不純物元素(リンや砒素、ボロン等)を含む半導体ターゲット(比抵抗値が0.01〜1000Ω・cm)を用いたスパッタ法で成膜することが好ましい。例えば、RF電源を用いたマグネトロンスパッタ装置でボロンを含むシリコンターゲット(比抵抗値が10Ω)で成膜する。
【0039】
また、本発明の特徴の一つは、第1の半導体膜と接する下地絶縁膜として、膜厚10nm以下の窒化珪素膜からなる絶縁膜を用いてゲッタリング効果を増大させることである。なお、この下地絶縁膜はブロッキング効果をも有している。
【0040】
また、本発明は、加熱処理により結晶構造を有する半導体膜から金属元素を除去または低減した後、希ガス元素を含む半導体膜とバリア層とを除去する。こうして得られる結晶構造を有する半導体膜を所望の形状にパターニングしてTFTの活性層に用いる。
【0041】
以下に本発明を用いた代表的なTFTの作製手順を簡略に図1を用いて示す。
【0042】
図1(A)中、100は、絶縁表面を有する基板、101はブロッキング層となる絶縁膜、102は非晶質構造を有する半導体膜である。
【0043】
図1(A)において、基板100はガラス基板、石英基板、セラミック基板などを用いることができる。また、シリコン基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いても良い。また、本工程の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよい。
【0044】
まず、図1(A)に示すように基板100上に酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜(SiOxy)等の絶縁膜から成る下地絶縁膜101を形成する。代表的な一例は下地絶縁膜101として2層構造から成り、SiH4、NH3、及びN2Oを反応ガスとして成膜される第1酸化窒化シリコン膜を50〜100nm、SiH4、及びN2Oを反応ガスとして成膜される第2酸化窒化シリコン膜を100〜150nmの厚さに積層形成する構造が採用される。また、下地絶縁膜101の一層として膜厚10nm以下の窒化シリコン膜(SiN膜)、或いは第2酸化窒化シリコン膜(SiNxy膜(X≫Y))を用いることが好ましい。ゲッタリングの際、ニッケルは酸素濃度の高い領域に移動しやすい傾向があるため、半導体膜と接する下地絶縁膜を窒化シリコン膜とすることは極めて有効である。また、第1酸化窒化シリコン膜、第2酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜とを順次積層した3層構造を用いてもよい。
【0045】
次いで、下地絶縁膜上に非晶質構造を有する第1の半導体膜102を形成する。第1の半導体膜102は、シリコンを主成分とする半導体材料を用いる。代表的には、非晶質シリコン膜又は非晶質シリコンゲルマニウム膜などが適用され、プラズマCVD法や減圧CVD法、或いはスパッタ法で10〜100nmの厚さに形成する。後の結晶化で良質な結晶構造を有する半導体膜を得るためには、非晶質構造を有する第1の半導体膜102の膜中に含まれる酸素、窒素などの不純物濃度を5×1018/cm3(二次イオン質量分析法(SIMS)にて測定した原子濃度)以下に低減させておくと良い。これらの不純物は後の結晶化を妨害する要因となり、また、結晶化後においても捕獲中心や再結合中心の密度を増加させる要因となる。そのために、高純度の材料ガスを用いることはもとより、反応室内の鏡面処理(電界研磨処理)やオイルフリーの真空排気系を備えた超高真空対応のCVD装置を用いることが望ましい。
【0046】
次いで、非晶質構造を有する第1の半導体膜102を結晶化させる技術としてここでは特開平8-78329号公報記載の技術を用いて結晶化させる。同公報記載の技術は、非晶質シリコン膜(アモルファスシリコン膜とも呼ばれる)に対して結晶化を助長する金属元素を選択的に添加し、加熱処理を行うことで添加領域を起点として広がる結晶構造を有する半導体膜を形成するものである。まず、非晶質構造を有する第1の半導体膜102の表面に、結晶化を促進する触媒作用のある金属元素(本実施例では、ニッケル)を重量換算で1〜100ppm含む酢酸ニッケル塩溶液をスピナーで塗布してニッケル含有層103を形成する。(図1(B))塗布によるニッケル含有層103の形成方法以外の他の手段として、スパッタ法、蒸着法、またはプラズマ処理により極薄い膜を形成する手段を用いてもよい。また、ここでは、全面に塗布する例を示したが、マスクを形成して選択的にニッケル含有層を形成してもよい。
【0047】
次いで、加熱処理を行い、結晶化を行う。この場合、結晶化は半導体の結晶化を助長する金属元素が接した半導体膜の部分でシリサイドが形成され、それを核として結晶化が進行する。こうして、図1(C)に示す結晶構造を有する第1の半導体膜104が形成される。なお、結晶化後での第1の半導体膜104に含まれる酸素濃度は、5×1018/cm3以下とすることが望ましい。ここでは、脱水素化のための熱処理(450℃、1時間)の後、結晶化のための熱処理(550℃〜650℃で4〜24時間)を行う。また、強光の照射により結晶化を行う場合は、赤外光、可視光、または紫外光のいずれか一またはそれらの組み合わせを用いることが可能であるが、代表的には、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、または高圧水銀ランプから射出された光を用いる。ランプ光源は、1〜60秒、好ましくは30〜60秒点灯させ、それを1回〜10回繰り返し、半導体膜が瞬間的に600〜1000℃程度にまで加熱すればよい。なお、必要であれば、強光を照射する前に非晶質構造を有する第1の半導体膜102に含有する水素を放出させる熱処理を行ってもよい。また、熱処理と強光の照射とを同時に行って結晶化を行ってもよい。生産性を考慮すると、結晶化は強光の照射により結晶化を行うことが望ましい。
【0048】
このようにして得られる第1の半導体膜104には、金属元素(ここではニッケル)が残存している。それは膜中において一様に分布していないにしろ、平均的な濃度とすれば、1×1019/cm3を越える濃度で残存している。勿論、このような状態でもTFTをはじめ各種半導体素子を形成することが可能であるが、以降に示す方法で当該元素を除去する。
【0049】
次いで、半導体膜表面の自然酸化膜を希フッ酸等で除去した後、結晶化率(膜の全体積における結晶成分の割合)を高め、結晶粒内に残される欠陥を補修するために、結晶構造を有する第1の半導体膜104に対してレーザー光を照射することが好ましい。レーザー光を照射した場合、表面に薄い酸化膜(図示しない)が形成される。このレーザー光には波長400nm以下のエキシマレーザー光や、YAGレーザーの第2高調波、第3高調波を用いる。また、連続発振の気体レーザもしくは固体レーザを用いてもよい。固体レーザとしては、Cr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti又はTmがドーピングされたYAG、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶を使ったレーザが適用される。当該レーザの基本波はドーピングする材料によって異なり、1μm前後の基本波を有するレーザ光が得られる。基本波に対する高調波は、非線形光学素子を用いることで得ることができる。ここでは、繰り返し周波数10〜1000Hz程度のパルスレーザー光を用い、当該レーザ光を光学系にて100〜400mJ/cm2に集光し、90〜95%のオーバーラップ率をもって結晶質半導体膜に対するレーザ処理を行っても良い。また、レーザー光に代えてランプ光源からの強光を照射してもよいし、同時にレーザー光と強光とを照射してもよい。
【0050】
なお、連続発振のレーザーを用いる場合には、出力10Wの連続発振のYVO4レーザから射出されたレーザ光を非線形光学素子により高調波に変換する。代表的には、Nd:YVO4レーザー(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を適用すればよい。また、共振器の中にYVO4結晶と非線形光学素子を入れて、高調波を射出する方法もある。そして、好ましくは光学系により照射面にて矩形状または楕円形状のレーザ光に成形して、被処理体に照射する。このときのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、10〜2000cm/s程度の速度でレーザ光に対して相対的に半導体膜を移動させて照射すればよい。
【0051】
上記結晶化後のレーザー光の照射により形成された酸化膜では、不十分であるため、さらに、オゾン含有水溶液(代表的にはオゾン水)で酸化膜(ケミカルオキサイドと呼ばれる)を形成して合計1〜10nmの酸化膜からなるバリア層105を形成し、このバリア層105上に希ガス元素を含む第2の半導体膜106を形成する。(図1(D))なお、ここでは、結晶構造を有する第1の半導体膜104に対してレーザー光を照射した場合に形成される酸化膜もバリア層の一部と見なしている。このバリア層105は、後の工程で第2の半導体膜106のみを選択的に除去する際にエッチングストッパーとして機能する。また、オゾン含有水溶液に代えて、硫酸、塩酸、硝酸などと過酸化水素水を混合させた水溶液で処理しても同様にケミカルオキサイドを形成することができる。また、他のバリア層105の形成方法としては、酸素雰囲気下の紫外線の照射でオゾンを発生させて前記結晶構造を有する半導体膜の表面を酸化して形成してもよい。また、他のバリア層105の形成方法としては、プラズマCVD法やスパッタ法や蒸着法などで1〜10nm程度の酸化膜を堆積してバリア層としても良い。また、他のバリア層105の形成方法としては、クリーンオーブンを用い、200〜350℃程度に加熱して薄い酸化膜を形成しても良い。なお、上記方法のいずれか一の方法、またはそれらの方法を組み合わせて形成されたバリア層105は、後のゲッタリングで第1の半導体膜中のニッケルが第2の半導体膜に移動可能な膜質または膜厚とすることが必要である。
【0052】
ここでは、希ガス元素を含む第2の半導体膜106をスパッタ法にて形成し、ゲッタリングサイトを形成する。希ガス元素としてはヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)から選ばれた一種または複数種を用いる。中でも安価なガスであるアルゴン(Ar)が好ましい。ここでは希ガス元素を含む雰囲気でシリコンからなるターゲットを用い、第2の半導体膜を形成する。膜中に不活性気体である希ガス元素イオンを含有させる意味は二つある。一つはダングリングボンドを形成し半導体膜に歪みを与えることであり、他の一つは半導体膜の格子間に歪みを与えることである。半導体膜の格子間に歪みを与えるにはアルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)などシリコンより原子半径の大きな元素を用いた時に顕著に得られる。また、膜中に希ガス元素を含有させることにより、格子歪だけでなく、不対結合手も形成させてゲッタリング作用に寄与する。
【0053】
図12に成膜圧力を0.2Pa、0.4Pa、0.6Pa、0.8Pa、1.0Pa、1.2Paで各々0.2μmの厚さで順に成膜し、成膜された膜中のArの濃度を測定した結果を示す。なお、圧力以外の成膜条件は、Bドープシリコンターゲット(比抵抗約10Ω・cm、ターゲットサイズ直径30.5cm)、ガス(Ar)流量を50(sccm)、成膜パワーを3kW、基板温度を150℃としている。なお、ここでは円板形状のターゲットを用いた装置の例を示したが、柱状(または円柱状)のターゲットとして基板を移動させながら成膜するスパッタ装置を用いてもよい。
【0054】
図12より、成膜圧力が低ければ低いほど、膜中のAr濃度が高くなりゲッタリングサイトとして好適な膜が成膜できることがわかる。この理由として、スパッタの成膜圧力が低い方が反応室内のArガスと反跳原子(ターゲット表面で反射されるAr原子)との衝突確率が小さくなるため、反跳原子が基板に入射しやすくなることがあげられる。従って、以上の実験結果よりRF電源を用いるスパッタ装置を用いた場合、成膜の圧力を0.2〜1.0Paと振って図12に示した条件を適宜採用すれば、希ガス元素を1×1019/cm3〜1×1022/cm3、好ましくは、1×1020/cm3〜1×1021/cm3、より好ましくは5×1020/cm3の濃度で含み、ゲッタリング効果が得られる半導体膜をスパッタ法で成膜することができる。
【0055】
なお、図13にAr濃度と第2の半導体膜における内部応力の関係を示した。図13より、膜中のArの濃度が高ければ高いほど圧縮応力を示している。例えば、スパッタの成膜圧力0.2Paで成膜した非晶質シリコン膜は、原子濃度3×1020/cm3でArを含んでおり、圧縮応力(約−9.47×109(dynes/cm2))を示している。従って、後の熱処理によって膜剥がれが生じない範囲でArの濃度を設定し、各膜の応力を調節することが望ましい。
【0056】
一般的に内部応力は、引張応力と圧縮応力とがある。基板に対して薄膜が収縮しようとするときには、基板はそれを妨げる方向に引っ張るため薄膜を内側にして変形し、これを引張応力と呼んでいる。一方、薄膜が伸張しようとするときには、基板は押し縮められ薄膜を外側にして形成するので、これを圧縮応力と呼んでいる。
【0057】
また、スパッタ法で成膜した非晶質シリコン膜中の希ガス元素(Ar)の濃度とRF電力(またはRF電力密度)との関係を得た。以下に実験手順を示す。
【0058】
RF電源を用いるスパッタ装置でガラス基板上に希ガス元素を含む非晶質シリコン膜を成膜した。シリコンターゲット(抵抗率10Ωcm)を用い、周波数を1kHz〜30MHz、好ましくは10〜20MHzとし、成膜室にArを50sccm流し、成膜圧力を0.1Pa〜5Paここでは0.4Paとし、基板温度を300℃以下、ここでは150℃とし、0.2μmの厚さで成膜する度にRF電力を順次変えて積層した。なお、電極サイズは、直径30.5cmである。なお、RF電力密度は、RF電力を電極面積で割った値を指している。ガラス基板上にRF電力を、0.4kW、0.5kW、1kW、3kWとし、各条件毎に0.2μmの厚さで順に成膜し、成膜された膜中のArの原子濃度を二次イオン質量分析法(SIMS)にて測定した。
【0059】
得られた結果を図28に示す。図28において縦軸はArの原子濃度、横軸は試料表面からの深さを示している。加えて、図28には縦軸を二次イオン強度とし、横軸を試料表面からの深さとしたシリコンのイオン強度も示した。
【0060】
図28より、RF電力(またはRF電力密度)が低ければ低いほど、膜中におけるArの原子濃度が高くなりゲッタリングサイトとして好適な膜が成膜できることがわかる。また、RF電力(またはRF電力密度)を低くすると、内部応力を小さくすることができるため、膜剥がれを生じにくくすることができる。
【0061】
これらの実験結果より、好適なゲッタリングサイト(希ガス元素を含む非晶質シリコン膜)は、成膜圧力、RF電力(またはRF電力密度)などを適宜設定して形成すればよい。
【0062】
また、一導電型の不純物元素であるリンを含むターゲットを用いて第2の半導体膜を形成した場合、希ガス元素によるゲッタリングに加え、リンのクーロン力を利用してゲッタリングを行うことができる。
【0063】
また、ゲッタリングの際、ニッケルは酸素濃度の高い領域に移動しやすい傾向があるため、第2の半導体膜106に含まれる酸素濃度は、第1の半導体膜に含まれる酸素濃度より高い濃度、例えば5×1018/cm3以上とすることが望ましい。
【0064】
また、図1(D)のスパッタ法による成膜において、第1の半導体膜にも希ガス元素が添加された場合、添加された部分がゲッタリングサイトとして働くため、ゲッタリング効果が低減してしまうことが懸念される。従って、第1の半導体膜には希ガス元素が添加されないようにスパッタ条件を適宜調節することが望ましい。また、スパッタ法による成膜の際、バリア層は、希ガス元素が添加されるのを防ぐ働きをするため、バリア層の膜厚および膜質が重要である。本発明者らの実験により、結晶化率を高め、結晶粒内に残される欠陥を補修するためにレーザー光を照射した際に形成される酸化膜を形成し、さらにオゾン含有水溶液で酸化膜を形成して得られる合計10nm以下の酸化膜がバリア層として好ましい。一方、レーザー光を照射した際に形成される酸化膜を除去した後、オゾン含有水溶液での酸化膜のみでバリア層を形成した場合は、スパッタ法による成膜において希ガス元素が第1の半導体膜にも微量に添加されてしまいバリア層としては不十分であった。
【0065】
次いで、加熱処理を行い、第1の半導体膜中における金属元素(ニッケル)の濃度を低減、あるいは除去するゲッタリングを行う。(図1(E))ゲッタリングを行う加熱処理としては、強光を照射する処理または熱処理を行えばよい。このゲッタリングにより、図1(E)中の矢印の方向(即ち、基板側から第2の半導体膜表面に向かう方向)に金属元素が移動し、バリア層105で覆われた第1の半導体膜104に含まれる金属元素の除去、または金属元素の濃度の低減が行われる。金属元素がゲッタリングの際に移動する距離は、少なくとも第1の半導体膜の厚さ程度の距離であればよく、比較的短時間でゲッタリングを完遂することができる。ここでは、ニッケルが第1の半導体膜104に偏析しないよう全て第2の半導体膜106に移動させ、第1の半導体膜104に含まれるニッケルがほとんど存在しない、即ち膜中のニッケル濃度が1×1018/cm3以下、望ましくは1×1017/cm3以下になるように十分ゲッタリングする。
【0066】
なお、このゲッタリングの加熱処理の条件、或いは第2の半導体膜の膜厚によっては、第2の半導体膜が一部結晶化される場合もある。第2の半導体膜が結晶化してしまうとダングリングボンドや格子歪みや不対結合手が減少してゲッタリング効果の低減を招くことから、好ましくは、第2の半導体膜が結晶化しない加熱処理の条件、或いは第2の半導体膜の膜厚とする。いずれにせよ、第2の半導体膜、即ち希ガス元素を含有する非晶質シリコン膜は、希ガス元素を含まない非晶質シリコン膜と比べて結晶化が生じにくいため、ゲッタリングサイトとして最適である。
【0067】
また、このゲッタリングの加熱処理の条件によっては、ゲッタリングと同時に第1の半導体膜の結晶化率を高め、結晶粒内に残される欠陥を補修する、即ち結晶性の改善を行うことができる。
【0068】
本明細書において、ゲッタリングとは、被ゲッタリング領域(ここでは第1の半導体膜)にある金属元素が熱エネルギーにより放出され、拡散によりゲッタリングサイトに移動することを指している。従って、ゲッタリングは処理温度に依存し、より高温であるほど短時間でゲッタリングが進むことになる。
【0069】
強光を照射する処理を用いる場合は、加熱用のランプ光源を1〜60秒、好ましくは30〜60秒点灯させ、それを1〜10回、好ましくは2〜6回繰り返す。ランプ光源の発光強度は任意なものとするが、瞬間的には600〜1000℃、好ましくは700〜750℃程度に半導体膜が加熱されるようにする。
【0070】
図14にゲッタリングサイト、即ち第2の半導体膜の膜厚と表面のニッケル/シリコン濃度比との関係を示す。ニッケル/シリコン濃度比は、TXRF(Total Refrection X-Ray Fluorescence:全反射蛍光X線分光)により表面におけるニッケル濃度とシリコン濃度を測定し、シリコン濃度に対するニッケル濃度の比を算出したものである。図14より第2の半導体膜の膜厚が50nm以下だとバラツキが大きく、シリコン濃度に対してニッケル濃度の高い箇所が表面に存在していることを示している。従って、膜厚が50nmである第1の半導体膜に対して、第2の半導体膜の膜厚は少なくとも50nm以上であることが望ましい。ただし、膜厚バラツキの少ない膜が成膜可能であるなら、10nm程度であっても十分金属元素を低減することは可能である。また、第2の半導体膜における膜厚の上限は、特に限定されないが、第2の半導体膜の膜厚が厚くなればなるほど、第2の半導体膜の成膜にかかる時間とゲッタリング後に除去する時間が増加することを考慮にいれて適宜決定すればよい。
【0071】
また、熱処理で行う場合は、窒素雰囲気中で450〜800℃、1〜24時間、例えば550℃にて14時間の熱処理を行えばよい。また、熱処理に加えて強光を照射してもよい。
【0072】
次いで、バリア層105をエッチングストッパーとして、106で示した第2の半導体膜のみを選択的に除去した後、バリア層105を除去し、第1の半導体膜104を公知のパターニング技術を用いて所望の形状の半導体層107を形成する。(図1(F))第2の半導体膜のみを選択的にエッチングする方法としては、ClF3によるプラズマを用いないドライエッチング、或いはヒドラジンや、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド(化学式 (CH34NOH)を含む水溶液などアルカリ溶液によるウエットエッチングで行うことができる。また、第2の半導体膜を除去した後、バリア層の表面をTXRFでニッケル濃度を測定したところ、ニッケルが高濃度で検出されるため、バリア層は除去することが望ましく、フッ酸を含むエッチャントにより除去すれば良い。また、バリア層を除去した後、レジストからなるマスクを形成する前に、オゾン水で表面に薄い酸化膜を形成することが望ましい。
【0073】
次いで、半導体層の表面をフッ酸を含むエッチャントで洗浄した後、ゲート絶縁膜108となる珪素を主成分とする絶縁膜を形成する。この表面洗浄とゲート絶縁膜の形成は、大気にふれさせずに連続的に行うことが望ましい。
【0074】
次いで、ゲート絶縁膜108の表面を洗浄した後、ゲート電極109を形成する。次いで、半導体にn型を付与する不純物元素(P、As等)、ここではリンを適宜添加して、ソース領域110及びドレイン領域111を形成する。添加した後、不純物元素を活性化するために加熱処理、強光の照射、またはレーザー光の照射を行う。また、活性化と同時にゲート絶縁膜へのプラズマダメージやゲート絶縁膜と半導体層との界面へのプラズマダメージを回復することができる。特に、室温〜300℃の雰囲気中において、表面または裏面からYAGレーザーの第2高調波を照射して不純物元素を活性化させることは非常に有効である。YAGレーザーはメンテナンスが少ないため好ましい活性化手段である。
【0075】
以降の工程は、層間絶縁膜113を形成し、水素化を行って、ソース領域、ドレイン領域に達するコンタクトホールを形成し、ソース電極114、ドレイン電極115を形成してTFT(nチャネル型TFT)を完成させる。(図1(G))
【0076】
こうして得られたTFTのチャネル形成領域112に含まれる金属元素の濃度は1×1017/cm3未満とすることができる。
【0077】
また、本発明は図1(G)のTFT構造に限定されず、必要があればチャネル形成領域とドレイン領域(またはソース領域)との間にLDD領域を有する低濃度ドレイン(LDD:Lightly Doped Drain)構造としてもよい。この構造はチャネル形成領域と、高濃度に不純物元素を添加して形成するソース領域またはドレイン領域との間に低濃度に不純物元素を添加した領域を設けたものであり、この領域をLDD領域と呼んでいる。さらにゲート絶縁膜を介してLDD領域をゲート電極と重ねて配置させた、いわゆるGOLD(Gate-drain Overlapped LDD)構造としてもよい。
【0078】
また、ここではnチャネル型TFTを用いて説明したが、n型不純物元素に代えてp型不純物元素を用いることによってpチャネル型TFTを形成することができることは言うまでもない。
【0079】
また、ここではトップゲート型TFTを例として説明したが、TFT構造に関係なく本発明を適用することが可能であり、例えばボトムゲート型(逆スタガ型)TFTや順スタガ型TFTに適用することが可能である。
【0080】
以上の構成でなる本発明について、以下に示す実施例でもってさらに詳細な説明を行うこととする。
【0081】
(実施例)
[実施例1]
本発明の実施例を図2〜図4を用いて説明する。ここでは、同一基板上に画素部と、画素部の周辺に設ける駆動回路のTFT(nチャネル型TFT及びpチャネル型TFT)を同時に作製する方法について詳細に説明する。
【0082】
まず、上記実施の形態で示した方法でガラス基板1100上に下地絶縁膜1100を形成し、結晶構造を有する第1の半導体膜を得た後、所望の形状にエッチング処理して島状に分離された半導体層1102〜1106を形成する。
【0083】
なお、半導体層1102〜1106を形成するまでの詳細な説明は、上記実施の形態に示してあるので簡略して以下に説明する。
【0084】
本実施例では、ガラス基板上に設ける下地絶縁膜1101として2層構造を用いるが、前記絶縁膜の単層膜または2層以上積層させた構造を用いても良い。下地絶縁膜1101の一層目としては、プラズマCVD法を用い、SiH4、NH3、及びN2Oを反応ガスとして成膜される第1酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、O=27%、N=24%、H=17%)を膜厚50nmで形成する。次いで、下地絶縁膜1101のニ層目としては、プラズマCVD法を用い、SiH4及びN2Oを反応ガスとして成膜される第2酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)を膜厚100nmで形成する。
【0085】
次いで、下地絶縁膜1101上にプラズマCVD法を用いた非晶質シリコン膜を50nmの膜厚で形成する。次いで、重量換算で10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液をスピナーで塗布する。塗布に代えてスパッタ法でニッケル元素を全面に散布する方法を用いてもよい。次いで、合計21本のタングステンハロゲンランプを用いたマルチタスク型のランプアニール装置で700℃、110秒の強光の照射を行って結晶構造を有するシリコン膜を得た。なお、ランプアニール装置で700℃以下であれば、半導体膜が瞬間的に加熱されるのみであり、基板1100の形状における変化量はほとんどない。
【0086】
次いで、結晶化率を高め、結晶粒内に残される欠陥を補修するためのレーザー光(XeCl:波長308nm)の照射を行う。レーザー光には波長400nm以下のエキシマレーザ光や、YAGレーザの第2高調波、第3高調波を用いる。いずれにしても、繰り返し周波数10〜1000Hz程度のパルスレーザー光を用い、当該レーザー光を光学系にて100〜400mJ/cm2に集光し、90〜95%のオーバーラップ率をもって照射し、シリコン膜表面を走査させればよい。なお、ここでのレーザー光の照射は、酸化膜を形成して後のスパッタ法による成膜の際、結晶構造を有するシリコン膜への希ガス元素の添加を防止する上でも、ゲッタリング効果を増大させる上でも非常に重要である。次いで、レーザー光の照射により形成された酸化膜に加え、オゾン水で表面を120秒処理して合計1〜5nmの酸化膜からなるバリア層を形成する。
【0087】
次いで、バリア層上にスパッタ法にてゲッタリングサイトとなるアルゴン元素を含む非晶質シリコン膜を膜厚150nmで形成する。本実施例のスパッタ法による成膜条件は、成膜圧力を0.3Paとし、ガス(Ar)流量を50(sccm)とし、成膜パワーを3kWとし、基板温度を150℃とする。なお、上記条件での非晶質シリコン膜に含まれるアルゴン元素の原子濃度は、3×1020/cm3〜6×1020/cm3、酸素の原子濃度は1×1019/cm3〜3×1019/cm3である。その後、ランプアニール装置を用いて650℃、3分の熱処理を行いゲッタリングする。
【0088】
次いで、バリア層をエッチングストッパーとして、ゲッタリングサイトであるアルゴン元素を含む非晶質シリコン膜を選択的に除去した後、バリア層を希フッ酸で選択的に除去する。なお、ゲッタリングの際、ニッケルは酸素濃度の高い領域に移動しやすい傾向があるため、酸化膜からなるバリア層をゲッタリング後に除去することが望ましい。
【0089】
次いで、得られた結晶構造を有するシリコン膜(ポリシリコン膜とも呼ばれる)の表面にオゾン水で薄い酸化膜を形成した後、レジストからなるマスクを形成し、所望の形状にエッチング処理して島状に分離された半導体層を形成する。半導体層を形成した後、レジストからなるマスクを除去する。
【0090】
また、半導体層を形成した後、TFTのしきい値(Vth)を制御するためにp型あるいはn型を付与する不純物元素を添加してもよい。なお、半導体に対してp型を付与する不純物元素には、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)など周期律第13族元素が知られている。なお、半導体に対してn型を付与する不純物元素としては周期律15族に属する元素、典型的にはリン(P)または砒素(As)が知られている。
【0091】
次いで、フッ酸を含むエッチャントで酸化膜を除去すると同時にシリコン膜の表面を洗浄した後、ゲート絶縁膜1107となる珪素を主成分とする絶縁膜を形成する。本実施例では、プラズマCVD法により115nmの厚さで酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)で形成する。
【0092】
次いで、図2(A)に示すように、ゲート絶縁膜1107上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜1108aと、膜厚100〜400nmの第2の導電膜1108bと、膜厚20〜100nmの第3の導電膜1108cを積層形成する。本実施例では、ゲート絶縁膜1107上に膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500nmのアルミニウムとチタンの合金(Al−Ti)膜、膜厚30nmのチタン膜を順次積層した。
【0093】
第1〜第3の導電膜を形成する導電性材料としてはTa、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成する。また、第1〜第3の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜を用いてもよい。例えば、第1の導電膜のタングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、第2の導電膜のアルミニウムとチタンの合金(Al−Ti)膜に代えてアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜を用いてもよいし、第3の導電膜のチタン膜に代えて窒化チタン膜を用いてもよい。また、3層構造に限定されず、例えば、窒化タンタル膜とタングステン膜との2層構造であってもよい。
【0094】
なお、第1の導電層としては、比較的に電気抵抗値の低い材料であるWを用い、第2の導電層として、耐熱性の高い2wt%のSiを含むアルミニウム(Al−Si)を用い、第3の導電層としてTiを用いて、さらに第2の導電層の耐熱性を高めることが好ましい。ただし、第3の導電層としてTiを用いる場合、後の工程(熱活性化処理など)で350℃以上の熱処理を行うと、Ti/Al−Si界面で合金化してしまい、高抵抗となってしまうため、後の工程で350℃以上の熱処理を行う場合には、第3の導電層としてTiNを用いることが好ましい。また、後の工程でレーザー光を照射する場合(レーザー活性化処理など)、窒化物はレーザー光を吸収しやすく、照射面にダメージを与えてしまう恐れがあるため、第3の導電層としてTiNを用い、さらに第4の導電層としてTiを用いることによってレーザー光によるダメージを保護することができる。
【0095】
次に、図2(B)に示すように光露光工程によりレジストからなるマスク1110〜1115を形成し、ゲート電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。第1のエッチング処理では第1及び第2のエッチング条件で行う。エッチングにはICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用いると良い。ICPエッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することによって所望のテーパー形状に膜をエッチングすることができる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4、CCl4などを代表とする塩素系ガスまたはCF4、SF6、NF3などを代表とするフッ素系ガス、またはO2を適宜用いることができる。
【0096】
用いるエッチング用ガスに限定はないが、ここではBCl3とCl2とO2とを用いることが適している。それぞれのガス流量比を65/10/5(sccm)とし、1.2Paの圧力でコイル型の電極に450WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して117秒のエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも300WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。この第1のエッチング条件によりAl膜及びTi膜をエッチングして第2の導電層および第3の導電層の端部をテーパー形状とする。
【0097】
この後、第2のエッチング条件に変え、エッチング用ガスにCF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を25/25/10(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではAl膜、Ti膜、及びW膜とも同程度にエッチングされる。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。
【0098】
この第1のエッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとすることにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により第1の導電層、第2の導電層、及び第3の導電層の端部がテーパー形状となる。このテーパー部の角度は15〜45°となる。こうして、第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層と第3の導電層とから成る第1の形状の導電層1117〜1122(第1の導電層1117a〜1122aと第2の導電層1117b〜1122bと第3の導電層1117c〜1122c)を形成する。1116はゲート絶縁膜であり、第1の形状の導電層1117〜1122で覆われない領域は20〜50nm程度エッチングされ薄くなった領域が形成される。
【0099】
次に、レジストからなるマスク1110〜1115を除去せずに図2(C)に示すように第2のエッチング処理を行う。エッチング用ガスにBCl3とCl2を用い、それぞれのガス流量比を20/60(sccm)とし、1.2Paの圧力でコイル型の電極に600WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行う。基板側(試料ステージ)には100WのRF(13.56MHz)電力を投入する。この第3のエッチング条件により第2導電層及び第3導電層をエッチングする。こうして、上記第3のエッチング条件によりチタンを微量に含むアルミニウム膜及びチタン膜を異方性エッチングして第2の形状の導電層1124〜1129(第1の導電層1124a〜1129aと第2の導電層1124b〜1129bと第3の導電層1124c〜1129c)を形成する。1123はゲート絶縁膜であり、第2の形状の導電層1124〜1129で覆われない領域は若干エッチングされ薄くなった領域が形成される。また、図2(B)および図2(C)では、第1の導電層のテーパー部の長さは同一として図示しているが、実際は、配線幅の依存性があるため、配線幅によって第1の導電層のテーパー部の長さが変化する。
【0100】
また、本実施例では第1のエッチング処理(第1のエッチング条件、第2のエッチング条件)と、第2のエッチング処理(第3のエッチング条件)とを大気に触れることなく連続的に行ってもよいし、特に限定されず、エッチング後にチャンバーから取出し、反応ガスなどを排気した後、再度チャンバーに配置して異なる条件でエッチングを順次行ってもよい。
【0101】
そして、レジストからなるマスクを除去せずに第1のドーピング処理を行い、半導体層にn型を付与する不純物元素を添加する。ドーピング処理はイオンドープ法、もしくはイオン注入法で行えば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量を1.5×1014atoms/cm2とし、加速電圧を60〜100keVとして行う。n型を付与する不純物元素として、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いる。この場合、第2形状の導電層1124〜1128がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に第1の不純物領域1130〜1134が形成される。第1の不純物領域1130〜1134には1×1016〜1×1017/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加する。
【0102】
なお、本実施例ではレジストからなるマスクを除去せずに第1のドーピング処理を行ったが、レジストからなるマスクを除去した後、第1のドーピング処理を行ってもよい。
【0103】
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、図3(A)に示すようにレジストからなるマスク1135、1136を形成し第2のドーピング処理を行う。マスク1135は駆動回路のnチャネル型TFTの一つを形成する半導体層のチャネル形成領域及びその周辺の領域を保護するマスクであり、マスク1136は画素部のTFTを形成する半導体層のチャネル形成領域及びその周辺の領域を保護するマスクである。また、図3(A)では、便宜上、第1の導電層のテーパー部の長さは同一として図示しているが、実際は、配線幅によって第1の導電層のテーパー部の長さが変化している。従って、同一基板上に配線幅の異なる配線が複数設けられている場合、ドーピングされる領域の幅もそれぞれ異なる。
【0104】
第2のドーピング処理におけるイオンドープ法の条件はドーズ量を1.5×1015atoms/cm2とし、加速電圧を60〜100keVとしてリン(P)をドーピングする。ここでは、第2形状の導電層1124〜1128及びゲート絶縁膜1123の膜厚の差を利用して各半導体層に不純物領域を行う。勿論、マスク1135、1136で覆われた領域にはリン(P)は添加されない。こうして、第2の不純物領域1180〜1182と第3の不純物領域1137〜1141が形成される。第3の不純物領域1137〜1141には1×1020〜1×1021/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加されている。また、第2の不純物領域はゲート絶縁膜の膜厚差により第3の不純物領域よりも低濃度に形成され、1×1018〜1×1019/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加されることになる。
【0105】
次いで、レジストからなるマスク1135、1136を除去した後、新たにレジストからなるマスク1142〜1144を形成して図3(B)に示すように第3のドーピング処理を行う。この第3のドーピング処理により、pチャネル型TFTを形成する半導体層にp型の導電型を付与する不純物元素が添加された第4の不純物領域1147及び第5の不純物領域1145、1146を形成する。第4の不純物領域は第2形状の導電層と重なる領域に形成されるものであり、1×1018〜1×1020/cm3の濃度範囲でp型を付与する不純物元素が添加されるようにする。また、第5の不純物領域1145、1146には1×1020〜1×1021/cm3の濃度範囲でp型を付与する不純物元素が添加されるようにする。尚、第5の不純物領域1146には先の工程でリン(P)が添加された領域であるが、p型を付与する不純物元素の濃度がその1.5〜3倍添加されていて導電型はp型となっている。
【0106】
なお、第5の不純物領域1148、1149及び第4の不純物領域1150は画素部において保持容量を形成する半導体層に形成される。
【0107】
以上までの工程でそれぞれの半導体層にn型またはp型の導電型を有する不純物領域が形成される。第2の形状の導電層1124〜1127はゲート電極となる。また、第2の形状の導電層1128は画素部において保持容量を形成する一方の電極となる。さらに、第2の形状の導電層1129は画素部においてソース配線を形成する。
【0108】
また、導電層1124〜1127及び不純物領域(第1の不純物領域〜第5の不純物領域)が形成できるのであれば特に上記工程順序に限定されず、各エッチング順序、各ドーピング順序を適宜変更してもよい。
【0109】
次いで、ほぼ全面を覆う絶縁膜(図示しない)を形成する。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚50nmの酸化シリコン膜を形成した。勿論、この絶縁膜は酸化シリコン膜に限定されるものでなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0110】
次いで、それぞれの半導体層に添加された不純物元素を活性化処理する工程を行う。この活性化工程は、ランプ光源を用いたラピッドサーマルアニール法(RTA法)、或いはYAGレーザーまたはエキシマレーザーを裏面から照射する方法、或いは炉を用いた熱処理、或いはこれらの方法のうち、いずれかと組み合わせた方法によって行う。ただし、本実施例では、第2の導電層としてアルミニウムを主成分とする材料を用いているので、活性化工程において第2の導電層が耐え得る熱処理条件とすることが重要である。
【0111】
上記活性化処理と同時に、結晶化の際に触媒として使用したニッケルが高濃度のリンを含む第3の不純物領域1137、1139、1140、及び第5の不純物領域1146、1149ゲッタリングされ、主にチャネル形成領域となる半導体層中のニッケル濃度が低減される。その結果、チャネル形成領域を有するTFTはオフ電流値が下がり、結晶性が良いことから高い電界効果移動度が得られ、良好な特性を達成することができる。なお、本実施例では半導体層を形成する段階で上記実施の形態に示した方法により1度目のゲッタリングが行われているので、ここでのリンによるゲッタリングは2度目のゲッタリングとなる。また、1度目のゲッタリングで十分ゲッタリングができている場合には、特に2度目のゲッタリングを行う必要はない。
【0112】
また、本実施例では、上記活性化の前に絶縁膜を形成した例を示したが、上記活性化を行った後、絶縁膜を形成する工程としてもよい。
【0113】
次いで、水素を含む酸化窒化シリコン膜または窒化シリコン膜からなる第1の層間絶縁膜1151を形成して熱処理(300〜550℃で1〜12時間の熱処理)を行い、半導体層を水素化する工程を行う。(図3(C))この工程は第1の層間絶縁膜1151に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。層間絶縁膜1151と半導体層との間に存在する酸化シリコン膜からなる絶縁膜(図示しない)の存在に関係なく半導体層を水素化することができる。ただし、本実施例では、第2の導電層としてアルミニウムを主成分とする材料を用いているので、水素化する工程において第2の導電層が耐え得る熱処理条件とすることが重要である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行っても良い。
【0114】
次いで、第1の層間絶縁膜1151上に有機絶縁物材料から成る第2の層間絶縁膜1152を形成する。本実施例では膜厚1.6μmのアクリル樹脂膜を形成する。次いで、ソース配線1129に達するコンタクトホールと各不純物領域に達するコンタクトホールを形成する。本実施例では複数のエッチング処理を順次行う。本実施例では第1の層間絶縁膜をエッチングストッパーとして第2の層間絶縁膜をエッチングした後、絶縁膜(図示しない)をエッチングストッパーとして第1の層間絶縁膜をエッチングしてから絶縁膜(図示しない)をエッチングした。
【0115】
その後、Al、Ti、Mo、Wなどを用いて配線及び画素電極を形成する。これらの電極及び画素電極の材料は、AlまたはAgを主成分とする膜、またはそれらの積層膜等の反射性の優れた材料を用いることが望ましい。こうして、ソースまたはドレイン配線1153〜1158、ゲート配線1160、接続配線1159、画素電極1161が形成される。
【0116】
以上の様にして、nチャネル型TFT401、pチャネル型TFT402、nチャネル型TFT403を有する駆動回路406と、nチャネル型TFT404、保持容量405とを有する画素部407を同一基板上に形成することができる。本明細書中ではこのような基板を便宜上アクティブマトリクス基板と呼ぶ。
【0117】
駆動回路406のnチャネル型TFT401(第2のnチャネル型TFT)はチャネル形成領域1162、ゲート電極を形成する第2の形状の導電層1124と一部が重なる第2の不純物領域1163とソース領域またはドレイン領域として機能する第3の不純物領域1164を有している。pチャネル型TFT402にはチャネル形成領域1165、ゲート電極を形成する第2の形状の導電層1125と一部が重なる第4不純物領域1166とソース領域またはドレイン領域として機能する第4の不純物領域1167を有している。nチャネル型TFT403(第2のnチャネル型TFT)にはチャネル形成領域1168、ゲート電極を形成する第2の形状の導電層1126と一部が重なる第2の不純物領域1169とソース領域またはドレイン領域として機能する第3の不純物領域1170を有している。このようなnチャネル型TFT及びpチャネル型TFTによりシフトレジスタ回路、バッファ回路、レベルシフタ回路、ラッチ回路などを形成することができる。特に、駆動電圧が高いバッファ回路には、ホットキャリア効果による劣化を防ぐ目的から、nチャネル型TFT401または403の構造が適している。
【0118】
画素部407の画素TFT404(第1のnチャネル型TFT)にはチャネル形成領域1171、ゲート電極を形成する第2の形状の導電層1127の外側に形成される第1の不純物領域1172とソース領域またはドレイン領域として機能する第3の不純物領域1173を有している。また、保持容量405の一方の電極として機能する半導体層には第4の不純物領域1176、第5の不純物領域1177が形成されている。保持容量405は、絶縁膜(ゲート絶縁膜と同一膜)を誘電体として、第2形状の電極1129と、半導体層1106とで形成されている。
【0119】
また、図29に本実施例を実施して作製した画素TFTの電気特性(I−V特性)を示す。なお、図29のデータは、第1の不純物領域1172のチャネル長方向における長さが2μm、ゲート絶縁膜の膜厚110nm、チャネル形成領域1171がL/W=4.5μm/4μmのシングルゲートでの測定結果である。図29においては、ゲッタリングを行っているため、オフ電流値が1×10-12(A)以下にまで低減されており、さらにその他の電気特性においてはゲッタリング時の熱処理(または強光の照射)によって優れた値が得られている。一方、図30には、比較例としてゲッタリングを行わずに同じ構造の画素TFTを作製し、その電気特性(I−V特性)を示した。図30においては、ゲッタリングを行っていないため、オフ電流値が図29よりも高い値を示している。また、ゲッタリングを行わない場合には、オフ電流値が高く、さらにオフ電流値のバラツキが生じる。一方、本発明のゲッタリングを行えば、オフ電流値が低く、且つ、バラツキの少ないTFTを得ることができる。
【0120】
また、画素電極を透明導電膜で形成すると、フォトマスクは1枚増えるものの、透過型の表示装置を形成することができる。
【0121】
[実施例2]
実施例1では、ゲート電極構造を3層構造とした例を示したが、ゲート電極構造を2層構造とした例を示す。なお、本実施例は、ゲート電極以外は実施例1と同一であるため、異なっている点のみを説明する。
【0122】
本実施例では、本実施例では、膜厚30nmのTaN膜からなる第1の導電膜と、膜厚370nmのW膜からなる第2の導電膜を積層形成する。TaN膜はスパッタ法で形成し、Taのターゲットを用い、窒素を含む雰囲気内でスパッタする。また、W膜は、Wのターゲットを用いたスパッタ法で形成する。
【0123】
本実施例では、実施例1と同様に、ICPエッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することによって所望のテーパー形状に膜をエッチングすることができる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4、CCl4などを代表とする塩素系ガスまたはCF4、SF6、NF3などを代表とするフッ素系ガス、またはO2を適宜用いることができる。
【0124】
実施例1と同様に第1のエッチング処理では第1及び第2のエッチング条件で行う。第1のエッチング条件として、エッチング用ガスにCF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を25/25/10(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。第1のエッチング条件でのWに対するエッチング速度は200.39nm/min、TaNに対するエッチング速度は80.32nm/minであり、TaNに対するWの選択比は約2.5である。また、この第1のエッチング条件によって、Wのテーパー角は、約26°となる。
【0125】
この後、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング条件に変え、エッチング用ガスにCF4とCl2とを用い、それぞれのガス流量比を30/30(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。第2のエッチング条件でのWに対するエッチング速度は58.97nm/min、TaNに対するエッチング速度は66.43nm/minである。
【0126】
上記第1のエッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとすることにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部がテーパー形状となる。このテーパー部の角度は15〜45°とすればよい。
【0127】
また、実施例1と同様に第2のエッチング処理を行う。ここでは、エッチング用ガスにSF6とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を24/12/24(sccm)とし、1.3Paの圧力でコイル型の電極に700WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを25秒行った。基板側(試料ステージ)にも10WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。第2のエッチング処理でのWに対するエッチング速度は227.3nm/min、TaNに対するエッチング速度は32.1nm/minであり、TaNに対するWの選択比は7.1であり、ゲート絶縁膜である酸化窒シリコン膜(SiON)に対するエッチング速度は33.7nm/minである。この第2のエッチング処理によりWのテーパー角は70°となった。
【0128】
実施例1に比べ、本実施例により形成されるゲート電極は、W膜とTaN膜との積層で形成されているため、電気抵抗値が高いものの、耐熱性が高いため、活性化や水素化の処理条件に左右されないという利点を有している。
【0129】
[実施例3]
本実施例では、実施例1で作製したアクティブマトリクス基板から、アクティブマトリクス型液晶表示装置を作製する工程を以下に説明する。説明には図5を用いる。
【0130】
まず、実施例1に従い、図4の状態のアクティブマトリクス基板を得た後、図4のアクティブマトリクス基板上に配向膜を形成しラビング処理を行う。なお、本実施例では配向膜を形成する前に、アクリル樹脂膜等の有機樹脂膜をパターニングすることによって基板間隔を保持するための柱状のスペーサを所望の位置に形成した。また、柱状のスペーサに代えて、球状のスペーサを基板全面に散布してもよい。
【0131】
次いで、対向基板を用意する。この対向基板には、着色層、遮光層が各画素に対応して配置されたカラーフィルタが設けられている。また、駆動回路の部分にも遮光層を設けた。このカラーフィルタと遮光層とを覆う平坦化膜を設けた。次いで、平坦化膜上に透明導電膜からなる対向電極を画素部に形成し、対向基板の全面に配向膜を形成し、ラビング処理を施した。
【0132】
そして、画素部と駆動回路が形成されたアクティブマトリクス基板と対向基板とをシール材で貼り合わせる。シール材にはフィラーが混入されていて、このフィラーと柱状スペーサによって均一な間隔を持って2枚の基板が貼り合わせられる。その後、両基板の間に液晶材料を注入し、封止剤(図示せず)によって完全に封止する。液晶材料には公知の液晶材料を用いれば良い。このようにしてアクティブマトリクス型液晶表示装置が完成する。そして、必要があれば、アクティブマトリクス基板または対向基板を所望の形状に分断する。さらに、公知の技術を用いて偏光板等を適宜設けた。そして、公知の技術を用いてFPCを貼りつけた。
【0133】
こうして得られた液晶モジュールの構成を図5の上面図を用いて説明する。
【0134】
アクティブマトリクス基板801の中央には、画素部804が配置されている。画素部804の上側には、ソース信号線を駆動するためのソース信号線駆動回路802が配置されている。画素部804の左右には、ゲート信号線を駆動するためのゲート信号線駆動回路803が配置されている。本実施例に示した例では、ゲート信号線駆動回路803は画素部に対して左右対称配置としているが、これは片側のみの配置でも良く、液晶モジュールの基板サイズ等を考慮して、設計者が適宜選択すれば良い。ただし、回路の動作信頼性や駆動効率等を考えると、図5に示した左右対称配置が望ましい。
【0135】
各駆動回路への信号の入力は、フレキシブルプリント基板(Flexible Print Circuit:FPC)805から行われる。FPC805は、基板801の所定の場所まで配置された配線に達するように、層間絶縁膜および樹脂膜にコンタクトホールを開口し、接続電極809を形成した後、異方性導電膜等を介して圧着される。本実施例においては、接続電極はITOを用いて形成した。
【0136】
駆動回路、画素部の周辺には、基板外周に沿ってシール剤807が塗布され、あらかじめアクティブマトリクス基板上に形成されたスペーサ810によって一定のギャップ(基板801と対向基板806との間隔)を保った状態で、対向基板806が貼り付けられる。その後、シール剤807が塗布されていない部分より液晶素子が注入され、封止剤808によって密閉される。以上の工程により、液晶モジュールが完成する。
【0137】
また、ここでは全ての駆動回路を基板上に形成した例を示したが、駆動回路の一部に数個のICを用いてもよい。
【0138】
[実施例4]
実施例1では画素電極が反射性を有する金属材料で形成された反射型の表示装置の例を示したが、本実施例では画素電極を透光性を有する導電膜で形成した透過型の表示装置の例を示す。
【0139】
層間絶縁膜を形成する工程までは実施例1と同じであるので、ここでは省略する。実施例1に従って層間絶縁膜を形成した後、透光性を有する導電膜からなる画素電極601を形成する。透光性を有する導電膜としては、ITO(酸化インジウム酸化スズ合金)、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In23―ZnO)、酸化亜鉛(ZnO)等を用いればよい。
【0140】
その後、層間絶縁膜600にコンタクトホールを形成する。次いで、画素電極と重なる接続電極602を形成する。この接続電極602は、コンタクトホールを通じてドレイン領域と接続されている。また、この接続電極と同時に他のTFTのソース電極またはドレイン電極も形成する。
【0141】
また、ここでは全ての駆動回路を基板上に形成した例を示したが、駆動回路の一部に数個のICを用いてもよい。
【0142】
以上のようにしてアクティブマトリクス基板が形成される。このアクティブマトリクス基板を用い、実施例3に従って液晶モジュールを作製し、バックライト604、導光板605を設け、カバー606で覆えば、図6にその断面図の一部を示したようなアクティブマトリクス型液晶表示装置が完成する。なお、カバーと液晶モジュールは接着剤や有機樹脂を用いて貼り合わせる。また、基板と対向基板を貼り合わせる際、枠で囲んで有機樹脂を枠と基板との間に充填して接着してもよい。また、透過型であるので偏光板603は、アクティブマトリクス基板と対向基板の両方に貼り付ける。
【0143】
[実施例5]
本実施例では、EL(Electro Luminescence)素子を備えた発光表示装置を作製する例を図7に示す。
【0144】
図7(A)は、ELモジュールをを示す上面図、図7(B)は図7(A)をA−A’で切断した断面図である。絶縁表面を有する基板900(例えば、ガラス基板、結晶化ガラス基板、もしくはプラスチック基板等)に、画素部902、ソース側駆動回路901、及びゲート側駆動回路903を形成する。これらの画素部や駆動回路は、上記実施例に従えば得ることができる。また、918はシール材、919はDLC膜、窒化珪素膜、または酸化窒化珪素膜などからなる保護膜であり、画素部および駆動回路部はシール材918で覆われ、そのシール材は保護膜919で覆われている。さらに、接着材を用いてカバー材920で封止されている。熱や外力などによる変形に耐えるためカバー材920は基板900と同じ材質のもの、例えばガラス基板を用いることが望ましく、サンドブラスト法などにより図7に示す凹部形状(深さ3〜10μm)に加工する。さらに加工して乾燥剤921が設置できる凹部(深さ50〜200μm)を形成することが望ましい。また、多面取りでELモジュールを製造する場合、基板とカバー材とを貼り合わせた後、CO2レーザー等を用いて端面が一致するように分断してもよい。
【0145】
また、ここでは図示しないが、用いる金属層(ここでは陰極など)の反射により背景が映り込むことを防ぐために、位相差板(λ/4板)や偏光板からなる円偏光板と呼ばれる円偏光手段を基板900上に設けてもよい。
【0146】
なお、908はソース側駆動回路901及びゲート側駆動回路903に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)909からビデオ信号やクロック信号を受け取る。また、本実施例の発光装置は、デジタル駆動であってもよく、アナログ駆動であってもよく、ビデオ信号はデジタル信号であってもよいし、アナログ信号であってもよい。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基盤(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。また、これらの画素部や駆動回路と同一基板上に複雑な集積回路(メモリ、CPU、コントローラ、D/Aコンバータ等)を形成することも可能であるが、少ないマスク数での作製は困難である。従って、メモリ、CPU、コントローラ、D/Aコンバータ等を備えたICチップを、COG(chip on glass)方式やTAB(tape automated bonding)方式やワイヤボンディング方法で実装することが好ましい。
【0147】
次に、断面構造について図7(B)を用いて説明する。基板900上に絶縁膜910が設けられ、絶縁膜910の上方には画素部902、ゲート側駆動回路903が形成されており、画素部902は電流制御用TFT911とそのドレインに電気的に接続された画素電極912を含む複数の画素により形成される。また、ゲート側駆動回路903はnチャネル型TFT913とpチャネル型TFT914とを組み合わせたCMOS回路を用いて形成される。
【0148】
これらのTFT(911、913、914を含む)は、上記実施例に従って作製すればよい。
【0149】
画素電極912はEL素子の陽極として機能する。また、画素電極912の両端にはバンク915が形成され、画素電極912上にはEL層916およびEL素子の陰極917が形成される。
【0150】
EL層916としては、発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせてEL層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。例えば、低分子系有機EL材料や中分子系有機EL材料や高分子系有機EL材料を用いればよい。また、EL層として一重項励起により発光(蛍光)する発光材料(シングレット化合物)からなる薄膜、または三重項励起により発光(リン光)する発光材料(トリプレット化合物)からなる薄膜を用いることができる。また、電荷輸送層や電荷注入層として炭化珪素等の無機材料を用いることも可能である。これらの有機EL材料や無機材料は公知の材料を用いることができる。
【0151】
陰極917は全画素に共通の配線としても機能し、接続配線908を経由してFPC909に電気的に接続されている。さらに、画素部902及びゲート側駆動回路903に含まれる素子は全て陰極917、シール材918、及び保護膜919で覆われている。
【0152】
なお、シール材918としては、できるだけ可視光に対して透明もしくは半透明な材料を用いるのが好ましい。また、シール材918はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。
【0153】
また、シール材918を用いて発光素子を完全に覆った後、すくなくとも図7に示すようにDLC膜等からなる保護膜919をシール材918の表面(露呈面)に設けることが好ましい。また、基板の裏面を含む全面に保護膜を設けてもよい。ここで、外部入力端子(FPC)が設けられる部分に保護膜が成膜されないように注意することが必要である。マスクを用いて保護膜が成膜されないようにしてもよいし、CVD装置で用いるマスキングテープなどで外部入力端子部分を覆うことで保護膜が成膜されないようにしてもよい。
【0154】
以上のような構造でEL素子をシール材918及び保護膜で封入することにより、EL素子を外部から完全に遮断することができ、外部から水分や酸素等のEL層の酸化による劣化を促す物質が侵入することを防ぐことができる。従って、信頼性の高い発光装置を得ることができる。
【0155】
また、画素電極を陰極とし、EL層と陽極を積層して図7とは逆方向に発光する構成としてもよい。図8にその一例を示す。なお、上面図は同一であるので省略する。
【0156】
図8に示した断面構造について以下に説明する。基板1000としては、ガラス基板や石英基板の他にも、半導体基板または金属基板も使用することができる。基板1000上に絶縁膜1010が設けられ、絶縁膜1010の上方には画素部1002、ゲート側駆動回路1003が形成されており、画素部1002はnチャネル型TFTである電流制御用TFT1011とそのドレインに電気的に接続された画素電極1012を含む複数の画素により形成される。また、ゲート側駆動回路1003はnチャネル型TFT1013とpチャネル型TFT1014とを組み合わせたCMOS回路を用いて形成される。
【0157】
画素電極1012はEL素子の陰極として機能する。また、画素電極1012の両端にはバンク1015が形成され、画素電極1012上にはEL層1016およびEL素子の陽極1017が形成される。
【0158】
陽極1017は全画素に共通の配線としても機能し、接続配線1008を経由してFPC1009に電気的に接続されている。さらに、画素部1002及びゲート側駆動回路1003に含まれる素子は全て陽極1017、シール材1018、及びDLC等からなる保護膜1019で覆われている。また、カバー材1021と基板1000とを接着剤で貼り合わせた。また、カバー材には凹部を設け、乾燥剤1021を設置する。
【0159】
なお、シール材1018としては、できるだけ可視光に対して透明もしくは半透明な材料を用いるのが好ましい。また、シール材1018はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。
【0160】
また、図8では、画素電極を陰極とし、EL層と陽極を積層したため、発光方向は図8に示す矢印の方向となっている。
【0161】
また、仕事関数の大きい金属からなる画素電極を陽極とし、有機化合物層と、該有機化合物層上に薄い金属膜(仕事関数の小さい金属、例えば、Li、Mg、Csなど)と透明導電膜の積層からなる陰極を積層して図7とは逆方向に発光する構成としてもよい。なお、画素電極を陽極とする場合には、電流制御用TFTをpチャネル型TFTとすることが望ましい。
【0162】
なお、本実施例は実施例1または実施の形態と組み合わせることが可能である。
【0163】
[実施例6]
本発明を実施して形成された駆動回路や画素部は様々なモジュール(アクティブマトリクス型液晶モジュール、アクティブマトリクス型ELモジュール、アクティブマトリクス型ECモジュール)を完成させることができる。即ち、本発明を実施することによって、それらを組み込んだ全ての電子機器が完成される。
【0164】
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、プロジェクタ、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの一例を図9〜図11に示す。
【0165】
図9(A)はパーソナルコンピュータであり、本体2001、画像入力部2002、表示部2003、キーボード2004等を含む。
【0166】
図9(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示部2102、音声入力部2103、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106等を含む。
【0167】
図9(C)はモバイルコンピュータ(モービルコンピュータ)であり、本体2201、カメラ部2202、受像部2203、操作スイッチ2204、表示部2205等を含む。
【0168】
図9(D)はゴーグル型ディスプレイであり、本体2301、表示部2302、アーム部2303等を含む。
【0169】
図9(E)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであり、本体2401、表示部2402、スピーカ部2403、記録媒体2404、操作スイッチ2405等を含む。なお、このプレーヤーは記録媒体としてDVD(Digtial Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネットを行うことができる。
【0170】
図9(F)はデジタルカメラであり、本体2501、表示部2502、接眼部2503、操作スイッチ2504、受像部(図示しない)等を含む。
【0171】
図10(A)はフロント型プロジェクターであり、投射装置2601、スクリーン2602等を含む。実施例4を投射装置2601の一部を構成する液晶モジュール2808に適用し、装置全体を完成させることができる。
【0172】
図10(B)はリア型プロジェクターであり、本体2701、投射装置2702、ミラー2703、スクリーン2704等を含む。実施例4を投射装置2702の一部を構成する液晶モジュール2808に適用し、装置全体を完成させることができる。
【0173】
なお、図10(C)は、図10(A)及び図10(B)中における投射装置2601、2702の構造の一例を示した図である。投射装置2601、2702は、光源光学系2801、ミラー2802、2804〜2806、ダイクロイックミラー2803、プリズム2807、液晶モジュール2808、位相差板2809、投射光学系2810で構成される。投射光学系2810は、投射レンズを含む光学系で構成される。本実施例は三板式の例を示したが、特に限定されず、例えば単板式であってもよい。また、図10(C)中において矢印で示した光路に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するためのフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0174】
また、図10(D)は、図10(C)中における光源光学系2801の構造の一例を示した図である。本実施例では、光源光学系2801は、リフレクター2811、光源2812、レンズアレイ2813、2814、偏光変換素子2815、集光レンズ2816で構成される。なお、図10(D)に示した光源光学系は一例であって特に限定されない。例えば、光源光学系に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0175】
ただし、図10に示したプロジェクターにおいては、透過型の電気光学装置を用いた場合を示しており、反射型の電気光学装置及びELモジュールでの適用例は図示していない。
【0176】
図11(A)は携帯電話であり、本体2901、音声出力部2902、音声入力部2903、表示部2904、操作スイッチ2905、アンテナ2906、画像入力部(CCD、イメージセンサ等)2907等を含む。
【0177】
図11(B)は携帯書籍(電子書籍)であり、本体3001、表示部3002、3003、記憶媒体3004、操作スイッチ3005、アンテナ3006等を含む。
【0178】
図11(C)はディスプレイであり、本体3101、支持台3102、表示部3103等を含む。
【0179】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器の作製方法に適用することが可能である。また、本実施例の電子機器は実施例1〜5のどのような組み合わせからなる構成を用いても実現することができる。
【0180】
[実施例7]
本実施例では、以下に示す手順で実験を行い、スパッタ法で成膜した非晶質シリコン膜中の希ガス元素の濃度と成膜圧力の関係を得た。
【0181】
RF電源を用いるスパッタ装置でガラス基板上に希ガス元素を含む非晶質シリコン膜を成膜した。シリコンターゲットを用い、ガス(Ar)流量を50(sccm)、成膜パワーを3kW、基板温度を150℃とし、0.2μmの厚さ毎に成膜圧力を変化させた。なお、成膜圧力は排気側のコンダクタンスバルブによって調節する。ガラス基板上に成膜圧力をそれぞれ0.2Pa、0.4Pa、0.6Pa、0.8Pa、1.0Pa、1.2Paとし、各条件毎に0.2μmの厚さで順に成膜し、成膜された膜中のArの原子濃度を二次イオン質量分析法(SIMS)にて測定した。得られた結果を図12に示す。図12において縦軸はArの原子濃度、横軸は試料表面からの深さを示している。加えて、図12には縦軸を二次イオン強度とし、横軸を試料表面からの深さとしたシリコンのイオン強度も示した。
【0182】
図12より、成膜圧力が低ければ低いほど、膜中におけるArの原子濃度が高くなりゲッタリングサイトとして好適な膜が成膜できることがわかる。成膜圧力が低ければ低いほど、膜中におけるArの原子濃度が高くなる理由としては、スパッタの成膜圧力が低い方が反応室内のArガスと反跳原子(ターゲット表面で反射されるAr原子)との衝突確率が小さくなるため、反跳原子が基板に入射しやすくなることがあげられる。
【0183】
従って、上記実施の形態におけるゲッタリングサイト(アルゴンを含む非晶質シリコン膜)は、図12を用いて成膜圧力を適宜設定して形成すればよい。
【0184】
なお、本発明者らの実験結果では、膜中におけるArの原子濃度が高く、且つ基板内分布が最も良好な条件は、成膜圧力0.3Paであった。
【0185】
〔実施例8〕
本実施例では、実施例7で得られた試料及び図12を用い、膜の内部応力をそれぞれ測定し、スパッタ法で成膜した膜中の希ガス元素の原子濃度と膜の内部応力との関係を図13に示した。
【0186】
図12より、成膜圧力0.2Paでの膜中のArの平均原子濃度を算出し、膜中の内部応力を測定してプロットした。以下、同様に成膜圧力0.4Pa、0.8Pa、1.2Paでの膜中のArの平均原子濃度を算出し、膜中の内部応力を測定してプロットした。こうして得られたグラフが図13である。
【0187】
図13より、膜中におけるArの原子濃度が高ければ高いほど高い圧縮応力を示している。
【0188】
従って、上記実施の形態においては図13を用い、後の熱処理によって膜剥がれが生じない範囲でArの原子濃度を設定し、希ガス元素を含む非晶質シリコン膜の内部応力および該膜上に積層する膜の内部応力を調節することが望ましい。
【0189】
〔実施例9〕
本実施例では、以下に示す手順で実験を行い、ゲッタリングサイト、即ち第2の半導体膜の膜厚と表面のニッケル/シリコン濃度比との関係を得た。
【0190】
試料は、ガラス基板上に酸化窒化シリコン膜からなる下地絶縁膜(膜厚150nm)と非晶質シリコン膜を大気に触れさせずに積層形成し、ニッケルを用いて結晶化させて結晶構造を有する半導体膜を得たものを用いる。ここでは、膜厚50nmの非晶質シリコン膜上に重量換算で10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液をスピナーで塗布した後、炉によって脱水素化のための熱処理(500℃、1時間)を行い、さらに、550℃、4時間の熱処理を行って結晶構造を有するシリコン膜を得た。この段階でTXRF(Total Refrection X-Ray Fluorescence:全反射蛍光X線分光)により表面におけるニッケル濃度とシリコン濃度を測定し、シリコン濃度に対するニッケル濃度の比(ニッケル/シリコン濃度比)を算出したところ、1.5×10-4〜2×10-4となった。
【0191】
次いで、結晶化率を高め、結晶粒内に残される欠陥を補修するためのレーザー光(XeCl)の照射を行った。このレーザー光の照射により結晶構造を有するシリコン膜上に薄い酸化膜を形成した。さらに、この段階でもTXRFによりニッケル/シリコン濃度比を算出したところ、2×10-3〜8×10-3となった。これはレーザー光の照射により形成されたリッジなどの表面状態による散乱の効果が大きくなったことと、表面付近にニッケルが偏析したことによるものだと考えられる。
【0192】
次いで、レーザー光の照射により形成された酸化膜に加え、オゾン水で表面を120秒処理して合計1〜5nmの酸化膜からなるバリア層を形成した。次いで、バリア層上にスパッタ法にてゲッタリングサイトとなる希ガス元素を含むシリコン膜を形成する。ここではArの流量を50(sccm)、成膜圧力を0.2Pa、パワー3kW、基板温度150℃とし、ゲッタリングサイトの膜厚依存性を調べるため膜厚を5nm〜150nmで条件を振って、それぞれ合計21本のタングステンハロゲンランプを用いたマルチタスク型のランプアニール装置で650℃、3分の光の照射を行ってゲッタリングした。このランプアニール装置は、パイロメーターを用いて基板下部から温度をモニター可能となっており、このパイロメーターに表示される値を、本明細書におけるランプアニール装置での加熱温度としている。なお、上記条件でのゲッタリングサイトに含まれるアルゴン元素の原子濃度は、3×1020/cm3〜6×1020/cm3、酸素の原子濃度は1×1019/cm3〜3×1019/cm3である。
【0193】
上記各照射条件でゲッタリングを行った後、ゲッタリングサイト及びバリア層を除去してTXRFによりニッケル/シリコン濃度比を算出し、その値とゲッタリングサイトの膜厚との関係を図14に示した。
【0194】
図14より、ゲッタリングサイトの膜厚が厚ければ厚いほどニッケル/シリコン濃度比が低く、ゲッタリング効果が増大している。
【0195】
従って、上記実施の形態におけるゲッタリングサイトの膜厚は、図14を用いて適宜設定すればよい。
【0196】
また、図14より、ゲッタリングサイトの膜厚が50nmより薄いと成膜された膜のバラツキが大きく、シリコン濃度に対してニッケル濃度の高い箇所が表面に存在していることを示している。従って、膜厚が50nmである結晶構造を有するシリコン膜に対して、ゲッタリングサイト(希ガス元素を含む非晶質シリコン膜)の膜厚は少なくとも50nm以上であることが望ましい。
【0197】
また、上記ゲッタリングサイトを除去する前のゲッタリングサイトの表面状態を光学顕微鏡で観察した写真図を図15に示した。なお、図15(A)はゲッタリングサイトの膜厚を20nmとした表面状態を示し、図15(B)はゲッタリングサイトの膜厚を50nmとした表面状態を示し、図15(C)はゲッタリングサイトの膜厚を150nmとした表面状態を示している。図15に示したように、ゲッタリングの際に行われた光の照射(650℃、3分)により、ゲッタリングサイトの表面に結晶核が発生していることが観察された。膜厚が薄いほど結晶核が大きく成長している傾向が見られることから、ゲッタリングサイトの膜厚を増加させることは、単純にゲッタリングサイトの体積が大きくなるだけでなく、結晶化していないゲッタリングサイトの体積が大きくなることがゲッタリング効果の増大に寄与していると考えられる。
【0198】
また、ゲッタリングサイトの膜厚を150nmとし、ゲッタリングの際に行われる光の照射条件をそれぞれ650℃、3分の処理、650℃、5分の処理、700℃、3分の処理で行い、ゲッタリングサイトの表面を比較したところ、処理時間が長く、温度が高いほど結晶核が大きく成長している傾向が見られた。
【0199】
〔実施例10〕
本実施例は、以下に示す手順で実験を行い、ゲッタリング前後での結晶構造を有するシリコン膜の結晶性を調べた。
【0200】
試料は、実施例9と同一の手順でガラス基板上に下地絶縁膜、結晶構造を有するシリコン膜、酸化膜からなるバリア層、ゲッタリングサイトを順次形成したものを用いる。ゲッタリングサイトを形成した後、ランプアニール装置を用いて500℃、40秒の熱処理を行った後、さらにランプアニール装置を用いて600℃、3分の熱処理、700℃、3分の熱処理をそれぞれ行いゲッタリングした。その後、ゲッタリングサイト及びバリア層を除去し、それぞれの熱処理における結晶構造を有するシリコン膜のラマン光学特性を測定した。こうして得られたラマンシフトを図16に示し、ラマン半値半幅を図17に示す。なお、図16で0℃の位置にプロットされたデータは、ランプアニール装置を用いて500℃、40秒の熱処理のみを行ったものである。図16及び図17より、ランプアニール装置を用いてゲッタリングを行った温度が高ければ高いほどラマンシフトが高くなっており、ゲッタリングと同時に結晶構造を有するシリコン膜の結晶性が向上していることが読み取れる。
【0201】
従って、上記実施の形態におけるゲッタリングでは、ゲッタリングと同時に結晶構造を有するシリコン膜の結晶性が向上していると考えられる。
【0202】
〔実施例11〕
本実施例では、以下に示す手順で実験を行い、ゲッタリングの加熱処理としてランプアニール装置を用いた場合における最適温度を得た。
【0203】
試料は、石英基板上に設けられた膜厚50nmの非晶質シリコン膜上に重量換算で10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液をスピナーで塗布した後、合計21本のタングステンハロゲンランプを用いたマルチタスク型のランプアニール装置で700℃、110秒の光の照射を行って結晶構造を有するシリコン膜を得たものを用いる。次いで、結晶化率を高め、結晶粒内に残される欠陥を補修するためのレーザー光(XeCl)の照射を行った。次いで、レーザー光の照射により形成された酸化膜に加え、オゾン水で表面を120秒処理して合計1〜5nmの酸化膜からなるバリア層を形成した。次いで、バリア層上にスパッタ法にてゲッタリングサイトとなる希ガス元素を含むシリコン膜を形成する。ここではゲッタリングサイトをスパッタ法により成膜圧力0.3Paで得られた膜厚150nmを有し、アルゴンを含む非晶質シリコン膜とした。なお、上記条件でのゲッタリングサイトに含まれるアルゴン元素の原子濃度は、3×1020/cm3〜6×1020/cm3、酸素の原子濃度は1×1019/cm3〜3×1019/cm3である。その後、ランプアニール装置を用いて500℃、40秒の熱処理を行った後、さらに500〜750℃、3分の熱処理を行いゲッタリングした。
【0204】
各温度でのゲッタリングの効果は、ゲッタリングサイト及びバリア層を除去した後、結晶構造を有するシリコン膜表面をFPMで処理して形成されたエッチピットの数を光学顕微鏡で見ながらカウントして得たエッチピット密度でそれぞれ比較を行った。図18にエッチピット密度の実験結果を示す。
【0205】
なお、添加したニッケルの大部分はニッケルシリサイドとして結晶構造を有するシリコン膜に残存するが、これはFPM(フッ酸、過酸化水素水、純水の混合液)によりエッチングされることが知られている。従って、被ゲッタリング領域(ここでは結晶構造を有するシリコン膜)をFPMで処理してエッチピットの有無を確認することにより、ゲッタリングの効果を確認することができる。この場合、エッチピットの数が少ない程、ゲッタリングの効果が高いことを意味する。
【0206】
図18より、最もゲッタリングの効果が高い温度範囲は、650℃〜700℃であることが読みとれる。なお、700℃以下でゲッタリングを行った試料の基板の形状における変化量はほとんどなかったが、750℃で行った試料は、基板の形状における変化量が大きかった。
【0207】
従って、上記実施の形態におけるゲッタリングにランプアニール装置を用いる場合、処理温度は、図18を用いて適宜設定すればよい。
【0208】
〔実施例12〕
本実施例では、以下に示す手順で実験を行い、ゲッタリングにおけるニッケル元素及びアルゴン元素の濃度分布の変化を調べた。
【0209】
試料は、ガラス基板上に酸化窒化シリコン膜からなる下地絶縁膜(膜厚150nm)を形成した後、実施例11と同一の手順で、結晶構造を有するシリコン膜(膜厚50nm)と酸化膜からなるバリア層(膜厚1〜5nm)とを得た後、ゲッタリングサイトをスパッタ法により成膜圧力0.3Paで得られた膜厚150nmを有し、アルゴンを含む非晶質シリコン膜としたものを用いる。なお、上記条件でのゲッタリングサイトに含まれるアルゴン元素の原子濃度は、3×1020/cm3〜6×1020/cm3、酸素の原子濃度は1×1019/cm3〜3×1019/cm3である。
【0210】
ゲッタリングサイトを形成した後、ランプアニール装置を用いて行われる光の照射条件をそれぞれ550℃、3分の処理、650℃、3分の処理、750℃、3分の処理としてゲッタリングを行い、その後、SIMS分析によりニッケルの原子濃度とアルゴンの原子濃度をそれぞれ測定した。
【0211】
図19は、550℃、3分の処理を行った後のニッケル原子濃度分布を示し、図20は、アルゴン原子濃度を示している。図19より、結晶構造を有するシリコン膜に含まれていたニッケルの一部がゲッタリングサイトに拡散している、即ちゲッタリングが行われていることが見て取れる。しかし、図19から分かるように550℃、3分の処理ではゲッタリングは不十分であり、結晶構造を有するシリコン膜にニッケル原子濃度が1×1017/cm3〜1×1018/cm3で存在している。
【0212】
図21は、650℃、3分の処理を行った後のニッケル原子濃度分布を示し、図22は、アルゴン原子濃度を示している。図21より、拡散したニッケルはゲッタリングサイトに濃度範囲1×1018/cm3〜3×1018/cm3で含有され、結晶構造を有するシリコン膜に含まれていたニッケルが検出下限値5×1016/cm3程度にまで低減され、650℃、3分の処理では十分ゲッタリングが行われたことが読み取れる。
【0213】
図23は、750℃、3分の処理を行った後のニッケル原子濃度分布を示し、図24は、アルゴン原子濃度を示している。図23より、650℃と同様に十分ゲッタリングが行われたことが読み取れる。また、図20及び図22と比較して図24は、ゲッタリングサイトに含有されていたアルゴンの原子濃度が低減されていることが読み取れる。これは、750℃、3分の処理によりゲッタリングサイト中に含まれていたアルゴンが膜の外に放出されたことが原因であると考えられる。
【0214】
従って、図19〜図24の結果から、上記実施の形態におけるゲッタリングによって、実際に結晶構造を有するシリコン膜中のニッケルがゲッタリングサイトに移動していることが確認できた。
【0215】
〔実施例13〕
本実施例では、ゲッタリングサイトとなるアルゴンを含む非晶質シリコン膜をスパッタ法により形成する際、バリア層をレーザー光による酸化膜に加えオゾン水による酸化膜で形成した場合において、結晶構造を有するシリコン膜にアルゴンが添加されていないことを確認する実験を以下に示す手順で行った。
【0216】
試料は、石英基板上に酸化窒化シリコン膜からなる下地絶縁膜(膜厚150nm)を形成した後、実施例11と同一の手順で、結晶構造を有するシリコン膜を得たものを用いる。次いで、結晶化率を高め、結晶粒内に残される欠陥を補修するためのレーザー光(XeCl)の照射を行った。次いで、レーザー光の照射により形成された酸化膜に加え、オゾン水で表面を120秒処理して合計1〜5nmの酸化膜からなるバリア層を形成した。次いで、スパッタ法により成膜圧力0.3Paでアルゴンを含む非晶質シリコン膜(膜厚50nm)を形成した。そして、アルゴンを含む非晶質シリコン膜を除去した段階でバリア層、即ち酸化膜表面のアルゴン/シリコン濃度比とニッケル/シリコン濃度比とをTXRFにより測定し、さらに希フッ酸(1/100希釈)で30秒、1分、2分、4分の処理をそれぞれ行い、その都度TXRFにより測定した。これらの測定結果を図25に示した。なお、希フッ酸で1分処理した段階で酸化膜が除去されていることを確認した。図25より、酸化膜表面にアルゴンが多く添加されていることが分かる。一方、結晶構造を有するシリコン膜にはアルゴンが検出されなかった。即ち、バリア層は、スパッタ法での成膜の際、結晶構造を有するシリコン膜にアルゴンが添加されることを防止したことが確認できた。
【0217】
また、図25中に示したニッケル/シリコン濃度比は、ほぼ一定の値(1.4×10-3〜3×10-3)を示した。これらの試料は、ゲッタリングを行っていないため、結晶構造を有するシリコン膜中に高濃度のニッケルが含まれていることが読み取れる。
【0218】
また、比較のため、上記バリア層に代えて、レーザー光で形成された酸化膜を除去した後、オゾン水で表面を120秒処理してバリア層を形成した試料を作製し、同様の実験を行い、TXRFでアルゴン/シリコン濃度比を測定したところ、僅かに結晶構造を有するシリコン膜にアルゴンが検出された。
【0219】
以上の実験結果から、上記実施の形態におけるバリア層をレーザー光による酸化膜とオゾン水で処理した酸化膜とで形成することによって、結晶構造を有するシリコン膜にアルゴンが添加されることを防止でき、最適であると考えられる。
【0220】
〔実施例14〕
本実施例では、ゲッタリングサイトを形成する前にレーザー光を照射する場合と照射しない場合とでゲッタリングを行い、両者を比較する実験を以下に示す手順で行った。
【0221】
試料は、実施例13と同一の手順で、石英基板上に酸化窒化シリコン膜からなる下地絶縁膜(膜厚150nm)を形成した後、結晶構造を有するシリコン膜を得たものを用いる。次いで、結晶化率を高め、結晶粒内に残される欠陥を補修するためのレーザー光(XeCl)の照射を行った試料とレーザー光の照射を行わなかった試料とを用意した。次いで、両方の試料においてオゾン水で表面を120秒処理して酸化膜からなるバリア層を形成した。次いで、両方の試料においてスパッタ法により成膜圧力0.3Paでアルゴンを含む非晶質シリコン膜(膜厚50nm)を形成した。ゲッタリングサイトとなるアルゴンを含む非晶質シリコン膜を形成した後、ランプアニール装置を用いて行われる光の照射条件をそれぞれ650℃、3分の処理、650℃、5分の処理、750℃、3分の処理、750℃、5分の処理としてゲッタリングを行い、ゲッタリングサイト表面のニッケル/シリコン濃度比をTXRFによりそれぞれ測定した。測定した実験結果を図26に示す。図26よりレーザー有りの試料の方が、レーザー無しの試料よりもニッケル/シリコン濃度比が約一桁高く、結晶構造を有するシリコン膜中のニッケルが多くゲッタリングサイトに移動していることが読み取れる。
【0222】
続いて、ゲッタリングサイトとバリア層を除去した後、結晶構造を有するシリコン膜表面のニッケル/シリコン濃度比をTXRFによりそれぞれ測定した。測定した実験結果を図27に示す。図27においてもレーザー有りの試料の方が、レーザー無しの試料よりもニッケル/シリコン濃度比が約一桁以上低く、結晶構造を有するシリコン膜中のニッケルが多くゲッタリングサイトに移動したことが読み取れる。また、ランプアニール装置を用いて行われる温度が高い700℃のほうが結晶構造を有するシリコン膜表面のニッケル/シリコン濃度比が低減されている。また、ランプアニール装置を用いて行われる処理時間が長い5分のほうが結晶構造を有するシリコン膜表面のニッケル/シリコン濃度比が低減されている。
【0223】
これらの実験結果から、レーザー光を照射したほうが、ゲッタリング効果が増大しており、最適であると考えられる。
【0224】
また、比較のため、レーザー光の照射しなかった試料に対してゲッタリングサイト除去後にレーザー光を照射して結晶構造を有するシリコン膜表面のニッケル/シリコン濃度比をTXRFにより測定した。その結果を図27に示したが、ゲッタリング後にレーザー光を照射した場合、レーザー光の照射する前の試料と比べてさらにニッケル/シリコン濃度比が約一桁高くなってしまった。
【0225】
これらの実験結果から、ゲッタリング前にレーザー光を照射したほうが、ゲッタリング効果が増大しており、最適であると考えられる。
【0226】
従って、上記実施の形態におけるゲッタリングは、レーザー光(XeCl)を照射して酸化膜を形成し、さらにオゾン水で処理した酸化膜とで形成した後、ゲッタリングサイトを形成してゲッタリングを行う工程順序が最適であると考えられる。
【0227】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明における希ガス元素を含む半導体膜を積層した後に加熱するゲッタリングは、結晶構造を有する半導体膜中に残存する金属元素をゲッタリングさせる効果が極めて高い。これは、触媒作用のある金属元素を用いて作製される結晶構造を有する半導体膜の高純度化に寄与するばかりでなく、結晶構造を有する半導体膜を用いる半導体装置の生産性の向上にも寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態を示す図である。
【図2】 アクティブマトリクス基板の作製工程を示す図である。
【図3】 アクティブマトリクス基板の作製工程を示す図である。
【図4】 アクティブマトリクス基板の作製工程を示す図である。
【図5】 液晶モジュールの外観を示す上面図である。
【図6】 液晶表示装置の断面図の一例を示す図である。
【図7】 ELモジュールの上面および断面を示す図である。
【図8】 ELモジュールの断面を示す図である。
【図9】 電子機器の一例を示す図である。
【図10】 電子機器の一例を示す図である。
【図11】 電子機器の一例を示す図である。
【図12】 スパッタ成膜圧力とAr濃度の関係を示す濃度プロファイルである。
【図13】 ゲッタリングサイトにおける内部応力とAr濃度の関係を示すグラフである。
【図14】 ゲッタリングサイトの膜厚依存性を示すグラフである。
【図15】 ゲッタリング後の表面状態を示す写真図である。
【図16】 ゲッタリング有無によるラマンシフトの違いを示すグラフである。
【図17】 ゲッタリング有無による半値半幅の違いを示すグラフである。
【図18】 ゲッタリング温度とエッチピット密度の関係を示すグラフである。
【図19】 ゲッタリング(550℃、3分)後のニッケル濃度プロファイルである。
【図20】 ゲッタリング(550℃、3分)後のアルゴン濃度、酸素濃度プロファイルである。
【図21】 ゲッタリング(650℃、3分)後のニッケル濃度プロファイルである。
【図22】 ゲッタリング(650℃、3分)後のアルゴン濃度、酸素濃度プロファイルである。
【図23】 ゲッタリング(750℃、3分)後のニッケル濃度プロファイルである。
【図24】 ゲッタリング(750℃、3分)後のアルゴン濃度、酸素濃度プロファイルである。
【図25】 酸化膜のエッチング時間によるAr濃度およびNi濃度の変化を示すグラフである。
【図26】 ゲッタリング後のゲッタリングサイトにおける表面濃度比を示すグラフである。
【図27】 ゲッタリング後の結晶構造を有するシリコン膜における表面濃度比を示すグラフである。
【図28】 スパッタ法(RF方式)によって成膜されたシリコン膜中のAr濃度を示すSIMSデータ(RF電力依存性)である。
【図29】 実施例1に従い作製した画素TFTの電気特性(I−V特性)
【図30】 ゲッタリングを行わずに作製した画素TFTの電気特性(比較例)

Claims (14)

  1. 絶縁膜上に非晶質シリコンにより第1の半導体膜を形成し、
    記第1の半導体膜にニッケルを添加し、
    前記第1の半導体膜を結晶化させて結晶構造を有する第1の半導体膜を形成し、
    前記結晶構造を有する第1の半導体膜の表面にバリア層を形成し、
    前記バリア層上にアルゴンを含む非晶質シリコンにより第2の半導体膜を形成し、
    前記第2の半導体膜に前記ニッケルをゲッタリングして結晶構造を有する第1の半導体膜中の前記ニッケルを除去または低減し、
    前記第2の半導体膜を除去することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  2. 請求項1において、前記絶縁膜は窒化珪素膜であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  3. 請求項1または請求項2において、前記第2の半導体膜に含まれる酸素濃度は、前記第1の半導体膜に含まれる酸素濃度より高いことを特徴とする半導体装置の作製方法。
  4. 請求項3において、前記第1の半導体膜に含まれる酸素濃度は、5×1018/cm 未満とすることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  5. 請求項3または4において、前記第2の半導体膜に含まれる酸素濃度は、5×1018/cm 以上とすることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一において、前記第2の半導体膜は、アルゴンを含む雰囲気中で半導体をターゲットとするスパッタ法により形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  7. 請求項1乃至5のいずれか一において、前記第2の半導体膜は、アルゴンを含む雰囲気中でリンまたはボロンを含む半導体をターゲットとするスパッタ法により形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一において、加熱処理により、前記第2の半導体膜に前記ニッケルをゲッタリングして結晶構造を有する第1の半導体膜中の前記ニッケルを除去または低減することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  9. 請求項1乃至7のいずれか一において、前記半導体膜に強光を照射する処理により、前記第2の半導体膜に前記ニッケルをゲッタリングして結晶構造を有する第1の半導体膜中の前記ニッケルを除去または低減することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  10. 請求項1乃至7のいずれか一において、加熱処理を行い、且つ、前記半導体膜に強光を照射する処理により、前記第2の半導体膜に前記ニッケルをゲッタリングして結晶構造を有する第1の半導体膜中の前記ニッケルを除去または低減することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  11. 請求項9または請求項10において、前記強光は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、または高圧水銀ランプから射出された光であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  12. 請求項1乃至11のいずれか一において、前記バリア層は、オゾンを含む溶液で前記結晶構造を有する半導体膜の表面を酸化して形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  13. 請求項1乃至11のいずれか一において、前記バリア層は、酸素雰囲気下の紫外線の照射で前記結晶構造を有する半導体膜の表面を酸化して形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  14. 請求項1乃至11のいずれか一において、前記バリア層は、レーザー光の照射により前記結晶構造を有する半導体膜の表面を酸化した後、さらにオゾンを含む溶液で前記結晶構造を有する半導体膜の表面を酸化して形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
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