本発明は薄膜トランジスタ(以下TFTと記載)で構成された回路を有する半導体装置の作製方法に関する。尚本明細書において半導体装置とは、半導体特性を利用して機能する装置全般を指し、また本発明により作製される半導体装置は、TFTを用いて構成される半導体集積回路(マイクロプロセッサ、信号処理回路又は高周波回路等)を有する液晶表示装置、発光表示装置及び電子機器を範疇に含んでいる。
液晶表示装置及び発光表示装置(例えば有機EL表示装置)等の駆動回路及び画素部にはTFTが用いられる場合が多い。TFTの活性層に結晶質珪素膜を用いると、高い電界効果移動度を実現することができる。電界効果移動度はTFTの応答特性に直接影響するため、TFTを駆動回路として有する液晶表示装置の表示能力に直接影響する。従って品質のよい結晶質半導体膜を形成する必要がある。
ニッケルなどの金属元素を添加して非晶質珪素膜を結晶化させると、金属元素が触媒となって結晶化が促進され、また結晶化に必要な温度が低下することが知られている。またこのように形成された結晶質珪素膜にレーザーを照射すると結晶化がさらに進むことが分かっている。しかし金属元素がTFTの活性層である結晶質珪素膜に残存していると、TFTの電気的特性がばらつくことがある。従って結晶化後に金属元素を結晶性珪素膜から除去する必要がある。そこで本出願人は、結晶質珪素膜上にバリア層及び希ガス元素を含んだ半導体膜をこの順に形成し、半導体膜を金属元素のゲッタリング層として作用させることにより、結晶質珪素膜に含まれる金属元素を除去又は低減させる方法を開発した(例えば特許文献1参照)。
特開2002−324808号公報
上記した結晶質珪素膜に含まれる金属元素を除去又は低減させる方法において、ゲッタリング後にゲッタリング層及びバリア層をエッチングにより除去すると、結晶質珪素膜の表面にピンホールが形成されることがある。この理由は以下に示す第1または第2のいずれかと推定される。
まず第1の理由を、図16の各断面図を参照して説明する。図16(A)に示すように下地膜1001上の結晶質珪素膜1002にレーザーを照射すると、表面に凹凸が形成され、突起が形成される。この突起の部分に金属元素が集中し、金属とSiの合金1009が形成される。次いで酸化膜からなるバリア層1004を形成するが、合金1009が形成されている部分にはバリア層1004が形成されない。次いでバリア層1004の上に半導体膜からなるゲッタリング層1006を形成し、熱処理を行う。これにより結晶質珪素膜1002に含まれる金属元素の大部分はゲッタリング層1006にゲッタリングされる。このときゲッタリング層1006の表層は酸化されて酸化膜1008を形成する。
次いで図16(B)に示すようにゲッタリング層1006をエッチングストッパーとしてエッチングを行うことにより、酸化膜1008を除去する。次いで図16(C)に示すようにバリア層1004をエッチングストッパーとしてエッチングを行うことにより、ゲッタリング層1006を除去する。このとき結晶質珪素膜1002のうち合金1009が形成されている部分上にはバリア層1004が形成されていないため、ゲッタリング層1006と共に結晶質珪素膜1002もエッチングされ、ピンホール1010が形成される。
次に第2の理由を、図17を参照して説明する。図17(A)に示すように下地膜1001上の結晶質珪素膜1002にレーザーを照射すると、部分的に突起が形成される。この突起の部分に金属元素が集中し、金属とSiの合金1009が形成される。次いでバリア層1004及び半導体膜からなるゲッタリング層1006をこの順に形成する。このときバリア層1004は突起上にも形成される。
そして図17(B)に示すように熱処理を行う。これにより結晶質珪素膜1002に含まれる金属元素の大部分をゲッタリング層1006にゲッタリングさせる。このときゲッタリング層1006の表層は酸化されて酸化膜1008を形成する。また合金1009を形成していた金属元素はゲッタリング層1006に移り、ゲッタリング層1006中に半導体と金属の合金1011を形成する。
次いで図17(C)に示すようにゲッタリング層1006をエッチングストッパーとしてエッチングを行うことにより、酸化膜1008を除去する。このとき合金1011もエッチングされるため、バリア層1004のうち合金1011の下に位置する部分もエッチングされて除去される。
次いで図17(D)に示すようにバリア層1004をエッチングストッパーとしてエッチングを行うことにより、ゲッタリング層1006を除去する。このとき結晶質珪素膜1002のうち合金1009があった部分は、上にバリア層1004がないためゲッタリング層1006とともにエッチングされ、ピンホール1010が形成される。
このようにして結晶質珪素膜等の結晶性半導体膜にピンホールが形成されるとTFT等の特性に影響が出る。このため結晶質半導体膜にピンホールが残らないようにするのが望ましい。
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、結晶質半導体膜表面のピンホールの数を低減することができる半導体装置の作製方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明にかかる第1の半導体装置の作製方法は、
絶縁表面を有する基板の上方に珪素を含む非晶質半導体膜を形成する工程と、
前記非晶質半導体膜に該非晶質半導体膜の結晶化を促進する金属元素を添加する工程と、
前記非晶質半導体膜に第1の熱処理を行うことにより、該非晶質半導体膜を結晶化して結晶化半導体膜を形成する工程と、
前記結晶化半導体膜に第1のレーザー光を照射することにより、前記結晶化半導体膜をさらに結晶化させる工程と、
前記結晶化半導体膜上に、該結晶化半導体膜を保護するバリア層を形成する工程と、
前記バリア層上に、希ガス元素を含んだ半導体からなるゲッタリング層を形成する工程と、
前記金属元素を前記ゲッタリング層にゲッタリングすることにより、前記結晶化半導体膜に含まれる前記金属元素を除去又は低減する工程と、
前記バリア層をストッパーとしてエッチングを行うことにより、前記ゲッタリング層を除去する工程と、
前記バリア層を除去する工程と、
前記結晶化半導体膜に、前記第1のレーザー光よりエネルギー密度が低い第2のレーザー光を照射する工程と
を具備することを特徴とする。
この半導体装置の作製方法によれば、結晶化半導体膜に第1のレーザー光よりエネルギー密度が低い第2のレーザー光を照射しているため、金属元素のゲッタリングシンクとして機能するゲッタリング層を除去する際に結晶化半導体膜にピンホールが形成されても、このピンホールを埋めることができる。従って作製された半導体装置において結晶化半導体膜に残存するピンホールの数を低減することができる。
第1の半導体装置の作製方法において、バリア層を形成する工程は、オゾンを含む溶液で結晶化半導体膜の表面を酸化する工程であってもよい。
本発明に係る第2の半導体装置の作製方法は、
絶縁表面を有する基板の上方に珪素を含む非晶質半導体膜を形成する工程と、
前記非晶質半導体膜に該非晶質半導体膜の結晶化を促進する金属元素を添加する工程と、
前記非晶質半導体膜に第1の熱処理を行うことにより、該非晶質半導体膜を結晶化して結晶化半導体膜を形成する工程と、
前記結晶化半導体膜の表面に形成された酸化膜をエッチングにより除去する工程と、
前記結晶化半導体膜に第1のレーザー光を照射することにより、前記結晶化半導体膜をさらに結晶化させる工程と、
前記結晶化半導体膜に、前記第1のレーザー光よりエネルギー密度が低い第2のレーザー光を照射する工程と、
前記結晶化半導体膜上に、該結晶化半導体膜を保護するバリア層を形成する工程と、
前記バリア層上に、希ガス元素を含んだ半導体からなるゲッタリング層を形成する工程と、
前記金属元素を前記ゲッタリング層に移動させてゲッタリングする工程と、
前記バリア層をストッパーとしてエッチングを行うことにより、前記ゲッタリング層を除去する工程と、
前記バリア層を除去する工程と、
前記結晶化半導体膜に前記第1のレーザー光よりエネルギー密度が低い第3のレーザー光を照射する工程と
を具備することを特徴とする。
この第2の半導体装置の作製方法によれば、第1の半導体装置の作製方法と同一の効果を得ることができる。
また非晶質半導体膜を熱処理して結晶化半導体膜を形成する際に、結晶化半導体膜の表面に酸化膜が形成される場合がある。この酸化膜をエッチングにより除去すると、結晶化半導体膜の表面にピンホールが形成される場合がある。これに対して第2の半導体装置の作製方法では、結晶化半導体膜に第1のレーザー光を照射した後に第2のレーザー光を照射している。このため酸化膜をエッチングする際に結晶化半導体膜の表面にピンホールが形成された場合であっても、このピンホールを埋めることができる。
本発明に係る第3の半導体装置の作製方法は、
絶縁表面を有する基板の上方に珪素を含む非晶質半導体膜を形成する工程と、
前記非晶質半導体膜に該非晶質半導体膜の結晶化を促進する金属元素を添加する工程と、
前記非晶質半導体膜に第1の熱処理を行うことにより、該非晶質半導体膜を結晶化して結晶化半導体膜を形成する工程と、
前記結晶化半導体膜に第1のレーザー光を照射することにより、前記結晶化半導体膜をさらに結晶化させる工程と、
前記結晶化半導体膜上に、該結晶化半導体膜を保護するバリア層を形成する工程と、
前記バリア層上に、希ガス元素を含んだ半導体からなるゲッタリング層を形成する工程と、
前記金属元素を前記ゲッタリング層にゲッタリングすることにより、前記結晶化半導体膜に含まれる前記金属元素を除去又は低減する工程と、
前記バリア層をストッパーとしてエッチングを行うことにより、前記ゲッタリング層を除去する工程と、
前記バリア層を除去する工程と、
前記結晶化半導体膜に、前記第1のレーザー光よりエネルギー密度が低い第2のレーザー光を照射する工程と
前記結晶化半導体膜上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
を具備する。
本発明に係る第4の半導体装置の作製方法は、
絶縁表面を有する基板の上方にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上に珪素を含む非晶質半導体膜を形成する工程と、
前記非晶質半導体膜に該非晶質半導体膜の結晶化を促進する金属元素を添加する工程と、
前記非晶質半導体膜に第1の熱処理を行うことにより、該非晶質半導体膜を結晶化して結晶化半導体膜を形成する工程と、
前記結晶化半導体膜に第1のレーザー光を照射することにより、前記結晶化半導体膜をさらに結晶化させる工程と、
前記結晶化半導体膜上に、該結晶化半導体膜を保護するバリア層を形成する工程と、
前記バリア層上に、希ガス元素を含んだ半導体からなるゲッタリング層を形成する工程と、
前記金属元素を前記ゲッタリング層にゲッタリングすることにより、前記結晶化半導体膜に含まれる前記金属元素を除去又は低減する工程と、
前記バリア層をストッパーとしてエッチングを行うことにより、前記ゲッタリング層を除去する工程と、
前記バリア層を除去する工程と、
前記結晶化半導体膜に、前記第1のレーザー光よりエネルギー密度が低い第2のレーザー光を照射する工程と
を具備する。
上記したいずれかの半導体装置の作製方法において、ゲッタリングする工程は、非晶質半導体膜及びゲッタリング層に第2の熱処理を行う工程であってもよく、ゲッタリング層及び非晶質半導体膜に強光を照射する工程であってもよい。またゲッタリング層及び非晶質半導体膜に熱処理を行い、かつ強光を照射する工程であってもよい。
上記したいずれかの半導体装置の作製方法において、金属元素は、Fe、Ni、Co、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Auから選ばれた一種又は複数種であるのが好ましい。
また上記したいずれかの半導体装置の作製方法において、ゲッタリング層に含まれる希ガス元素は、He、Ne、Ar、Kr、Xeから選ばれた一種又は複数種であるのが好ましい。
以上説明したように本発明によれば、金属元素のゲッタリングシンクとして機能するゲッタリング層を除去する際に結晶化半導体膜にピンホールが形成されても、このピンホールを埋めることができる。従って作製された半導体装置において結晶化半導体膜に残存するピンホールの数を低減することができる。
発明を実施するための形態
(第1の実施形態)
以下、図1〜図5を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。本実施形態にかかる半導体装置の作製方法は、絶縁表面上に非晶質半導体膜を形成する工程と、該非晶質半導体膜に結晶化を助長する金属元素(例えばニッケル)を添加する工程と、非晶質半導体膜を加熱処理して結晶化させることにより結晶化半導体膜を形成する工程と、該結晶化半導体膜の結晶性を高めるために第1のレーザー光を照射する工程と、結晶化半導体膜上にバリア層である酸化膜を形成する工程と、ゲッタリング層をバリア層上に形成する工程と、結晶化半導体膜、バリア層及びゲッタリング層を加熱処理することで結晶化半導体膜中の金属元素をゲッタリング層にゲッタリングさせる工程と、ゲッタリング層及びバリア層を除去する工程と、結晶化半導体膜上に第1のレーザー光よりエネルギー密度が低い(例えば30mJ/cm2〜60mJ/cm2ほどエネルギー密度が低い)第2のレーザー光を不活性気体雰囲気、真空または大気で照射して結晶化半導体膜上のピンホールを埋める工程とを有している。
まず図1(A)に示すように基板1上に下地絶縁膜2を形成する。ここで基板1としては、ガラス基板、石英基板、セラミック基板などを用いることができる。またシリコン基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いても良い。また、後述するすべての工程の処理温度に熱的に耐えうるプラスチック基板を用いてもよい。
下地絶縁膜2は基板1に含まれる元素(例えばアルカリ金属)がこの上層に形成される半導体膜中に拡散しないために設けられる。下地絶縁膜2としては酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜(SiOxNy)等の絶縁膜を用いる。例えば以下に示す第1及び第2層を積層した絶縁膜が例示される。第1層はSiH4、NH3、及びN2Oを反応ガスとして成膜される第1酸化窒化シリコン膜であり、その膜厚は50〜100nmである。第2層はSiH4、及びN2Oを反応ガスとして成膜される第2酸化窒化シリコン膜であり、その膜厚は100〜150nmである。また、下地絶縁膜2を一層構造としてもよい。この場合下地絶縁膜2としては窒化シリコン膜(SiN膜)、又は上記したプロセスで形成される第2酸化窒化シリコン膜(SiNxOy膜(X≫Y))を用いることが好ましい。ゲッタリングの際、金属元素(例えばニッケル)は酸素濃度の高い領域に移動しやすい傾向があるため、下地絶縁膜2を窒化シリコン膜とすることは好ましいことである。また、第1酸化窒化シリコン膜、第2酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜とを順次積層した3層構造の絶縁膜を下地絶縁膜2としてもよい。
次いで、下地絶縁膜2上に非晶質構造を有する半導体膜(以下、非晶質半導体膜と記載)3を例えばスパッタリング法により形成する。非晶質半導体膜3はシリコンを主成分とする半導体材料から形成される。例えば、非晶質半導体膜3は非晶質シリコン膜又は非晶質シリコンゲルマニウム膜などであり、プラズマCVD法や減圧CVD法、或いはスパッタ法によって10〜100nmの厚さに形成される。後の結晶化工程で良質な結晶構造を得るためには、非晶質半導体膜3の膜中に含まれる酸素、窒素などの不純物濃度を5×1018/cm3(二次イオン質量分析法(SIMS)にて測定した原子濃度)以下に低減させておくと良い。これらの不純物は後の結晶化を妨害する要因となり、また、結晶化後においても捕獲中心や再結合中心の密度を増加させる要因となる。そのために、高純度の材料ガスを用いることはもとより、反応室内を鏡面処理(電界研磨処理)したり、オイルフリーの真空排気系を備えた超高真空対応のCVD装置を用いることが望ましい。
次いで、非晶質半導体膜3を結晶化させる。ここでは特開平8-78329号公報記載の技術を用いる。同公報記載の技術は、非晶質シリコン膜(アモルファスシリコン膜とも呼ばれる)に対して結晶化を助長する金属元素を選択的に添加し、加熱処理を行うことで添加領域を起点として非晶質シリコン膜を結晶化させるものである。詳細は以下の通りである。
まず、図1(B)に示すように非晶質半導体膜3の表面に金属含有層4を形成する。金属含有層4は、半導体膜の結晶化を促進する触媒作用を有する金属元素(例えばFe、Ni、Co、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Auから選ばれた一種又は複数種)を含有している。金属元素がNiである場合、金属含有層4は、例えばニッケルを重量換算で1〜100ppm含む酢酸ニッケル塩溶液をスピナーで塗布することにより形成される。なお金属含有層4の形成方法は、塗布以外に、スパッタ法、蒸着法、またはプラズマ処理により極薄い膜を形成する方法がある。また、ここでは、全面に塗布する例を示したが、マスクを形成して選択的に金属含有層を形成してもよい。また金属含有層4は非晶質半導体膜3を形成する前、すなわち非晶質半導体膜3の下に形成されてもよい。
次いで図1(C)に示すように、基板1、下地絶縁膜2、非晶質半導体膜3及び金属含有層4を加熱処理する。すると半導体中に金属元素と半導体との合金が形成され、この合金を核として結晶化が進行する。これにより非晶質半導体膜3が結晶化し、結晶構造を有する半導体膜(以下、結晶化半導体膜と記載)5aが形成される。なお、結晶化半導体膜5aに含まれる酸素濃度は、5×1018/cm3以下とすることが望ましい。ここでは、脱水素化のための熱処理(450℃、1時間)の後、結晶化のための熱処理(550℃〜650℃で4〜24時間)を行う。
また、加熱処理の代わりに強光の照射を行うことにより、非晶質半導体膜3の結晶化を行うこともできる。この場合、赤外光、可視光、または紫外光のいずれか一またはそれらの組み合わせを用いることが可能であるが、代表的には、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、または高圧水銀ランプから射出された光を用いる。ランプ光源を1〜60秒、好ましくは30〜60秒点灯させ、それを1回〜10回、好ましくは2〜6回繰り返す。ランプ光源の発光強度は任意なものとするが、半導体膜が瞬間的に600〜1000℃程度にまで加熱されるようにする。なお、必要であれば、強光を照射する前に非晶質構造を有する非晶質半導体膜3に含有する水素を放出させる熱処理を行ってもよい。また、加熱処理と強光の照射の双方を行うことにより結晶化を行ってもよい。
なお上記した加熱処理または強光照射する処理において結晶化半導体膜5aの表面に図示しない酸化膜が形成されるが、この酸化膜は次の工程を行う前にエッチングにより除去されるのが好ましい。
次いで図1(D)に示すように、結晶化半導体膜5aの結晶化率(膜の全体積における結晶成分の割合)を高め、結晶粒内に残される欠陥を補修するために、結晶化半導体膜5aに対して第1のレーザー光を大気または酸素雰囲気で照射する。なお第1のレーザー光を照射した場合、図1(D)の拡大図に示すように、結晶化半導体膜45aの表面に凹凸が形成される。そして凸部の先端部には金属が凝集し、半導体と金属の合金(例えばNiSi)5bが形成される。なお図示していないが結晶化半導体膜5aの表層は酸化されるが、この酸化膜は後述するバリア層の一部として機能する。
第1のレーザー光としては、パルス発振型または連続発振型である波長400nm以下のエキシマレーザー、YAGレーザー、YVO4レーザー、YLFレーザー、YAlO3レーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライドレーザー、サファイアレーザーなどを用いることができる。また、これらレーザー光に代えて紫外光ランプから発する光を用いてもよい。
上記したレーザーを用いる場合には、レーザー発振器から放射されたレーザー光を光学系で線状に集光し、半導体膜に照射すればよい。結晶化の条件は実施者が適宣選択するものであるが、パルス発振型のエキシマレーザーを用いる場合は、例えばパルス発振周波数30Hzとし、レーザーエネルギー密度を100〜500mJ/cm2とする。また、パルス発振型のYAGレーザーやYVO4レーザーを用いる場合には、その第2高調波または第3高調波を用いパルス発振周波数1〜10kHzとし、レーザーエネルギー密度を300〜600mJ/cm2とすると良い。本実施形態におけるレーザーエネルギー密度は390mJ/cm2である。そして幅100〜1000μm、例えば400μmで線状に集光したレーザー光を基板全面に渡って照射する。この時、レーザー光の重ね合わせ率(オーバーラップ率)を80〜98%にするのが好ましい。
また連続発振型のレーザー(例えば連続発信型のYVO4レーザー)を用いる場合、出力10Wの連続発振のYVO4レーザーから射出されたレーザー光を非線形光学素子により高調波(第2高調波〜第4高調波)に変換する。その他、共振器の中にYVO4結晶と非線形光学素子を入れて、高調波を射出する方法もある。そして、好ましくは光学系により照射面にて矩形状または楕円形状のレーザー光に成形して、非晶質半導体膜3に照射する。このときのエネルギー密度は0.001〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、0.5〜2000cm/s程度の速度でレーザー光に対して相対的に半導体膜を移動させて照射すればよい。
このようにして得られる結晶化半導体膜5aには金属元素(ここではニッケル)が残存している。金属元素は膜中において一様に分布していないにしろ、平均的には1×1019/cm3を越える濃度で残存している場合が多い。勿論、このような状態でもTFTをはじめ各種半導体素子を形成することが可能であるが、本実施形態では、以下に示す方法で当該元素を除去する。
まず図1(E)に示すように、オゾン含有水溶液(代表的にはオゾン水)で結晶化半導体膜5aの表面を処理することにより、結晶化半導体膜5aの表面に酸化膜(ケミカルオキサイドと呼ばれる)を形成する。これにより合計1〜10nmの酸化膜からなるバリア層6が形成される。バリア層6は、後の工程でゲッタリング層のみを選択的に除去する際にエッチングストッパーとして機能する。
ここでオゾン含有水溶液に代えて、硫酸、塩酸、硝酸などと過酸化水素水を混合させた水溶液で処理しても同様にバリア層6(ケミカルオキサイド)を形成することができる。また、酸素雰囲気下で紫外線を照射してオゾンを発生させ、このオゾンにより結晶化半導体膜5aの表面を酸化することによりバリア層6を形成してもよい。
また、プラズマCVD法やスパッタ法や蒸着法などで1〜10nm程度の酸化膜をバリア層6として堆積しても良い。バリア層6の形成にプラズマCVD法やスパッタ法や蒸着法などを用いる場合は、結晶化半導体膜5aの表面を洗浄し、自然酸化膜やレーザー光の照射により形成された酸化膜などを除去した後で形成することが望ましい。
バリア層6の形成にプラズマCVD法を用いる場合、原料ガスとしてはシラン系ガス(モノシラン、ジシラン、トリシラン等)と窒素酸化物系ガス(NOxで表記されるガス)を用いる。例えば、原料ガスとしてモノシラン(SiH4)と亜酸化窒素(N2O)、或いはTEOSガスとN2O、或いはTEOSガスとN2OとO2を用い、10nm以下、好ましくは5nm以下の酸化窒化シリコン膜を形成する。この酸化窒化シリコン膜は、オゾン含有水溶液(代表的にはオゾン水)で得られる酸化膜(ケミカルオキサイドと呼ばれる)や、酸素雰囲気下の紫外線の照射で得られる酸化膜と比較して、結晶化半導体膜5aとの密着性が高く、後の工程(ゲッタリング層の形成)でピーリングが発生しにくい。プラズマCVD法を用いる場合は、密着性を高くするために、バリア層の形成前にアルゴンプラズマ処理を行ってもよい。
また、他のバリア層6の形成方法としては、クリーンオーブンを用い、200〜350℃程度に加熱して薄い酸化膜を形成する方法もある。バリア層6は、上記方法のいずれか一の方法、またはそれらの方法を組み合わせて形成されたものであれば特に限定されないが、後のゲッタリングで結晶化半導体膜5a中の金属元素(例えばニッケル)がゲッタリング層に移動可能な膜質または膜厚とすることが必要である。なお上記膜厚範囲の酸化窒化シリコン膜であれば、金属元素はバリア層を通過してゲッタリングサイトに移動することができる。
次いで図2(A)に示すようにバリア層6上に希ガス元素を含むゲッタリング層7をゲッタリングサイトとして形成する。ここでは、スパッタリング法により希ガス元素を含む半導体膜をゲッタリング層7として形成する。なお前述した非晶質半導体膜3には希ガス元素が添加されないようにスパッタリング条件を適宜調節することが望ましいが、ゲッタリング層7を形成するときには希ガス元素が添加されるようにスパッタリング条件を適宜調節する。希ガス元素としてはヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)から選ばれた一種または複数種を用いる。中でも安価なガスであるアルゴン(Ar)が好ましい。ここでは希ガス元素を含む雰囲気でシリコンからなるターゲットをスパッタリングし、ゲッタリング層7を形成する。ゲッタリング層7中に不活性気体である希ガス元素イオンを含有させる意味は二つある。一つはダングリングボンドを形成し、ゲッタリング層7を構成する半導体膜に歪みを与えることであり、他の一つは半導体膜の格子間に歪みを与えることである。半導体膜の格子間に歪みを与えるにはアルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)など半導体膜を構成する元素(例えばシリコン)より原子半径の大きな元素を用いるのが好ましい。また、半導体膜中に希ガス元素を含有させると、格子歪が生じるのみでなく、不対結合手も形成されるため、半導体膜のゲッタリング能力はさらに向上する
なお一導電型の不純物元素であるリンを含むターゲットを用いてゲッタリング層7を形成した場合、希ガス元素によるゲッタリングに加え、リンのクーロン力を利用してゲッタリングを行うことができる。
また、ゲッタリングの際、金属元素(例えばニッケル)は酸素濃度の高い領域に移動しやすい傾向があるため、ゲッタリング層7に含まれる酸素濃度は、非晶質半導体膜3に含まれる酸素濃度より高い濃度、例えば5×1018/cm3以上とすることが望ましい。
次いで図2(B)に示すように結晶化半導体膜5a、バリア層6およびゲッタリング層7に熱処理(例えば加熱処理または強光を照射する処理)を行って金属元素(例えばニッケル)のゲッタリングを行い、結晶化半導体膜5a中における金属元素を低濃度化したり、又は除去する。すなわち加熱または強光を照射することにより、図2(B)中の矢印の方向(即ち、結晶化半導体膜5aからバリア層6を通過してゲッタリング層7に向かう方向)に金属元素が移動し、結晶化半導体膜5aに含まれる金属元素が除去され、または金属元素の濃度が低減する。金属元素がゲッタリングされるためには、少なくとも結晶化半導体膜5aの厚さ程度の距離ほど金属元素が移動すればよいため、比較的短時間でゲッタリングを完遂することができる。ここでは、結晶化半導体膜5aに金属元素がほとんど残留しないように、即ち膜中のニッケル濃度が1×1018/cm3以下、望ましくは1×1017/cm3以下になるように、十分ゲッタリングする。
本明細書においてゲッタリングとは、被ゲッタリング領域(ここでは結晶化半導体膜5a)にある金属元素が熱エネルギーにより放出され、拡散によりゲッタリングサイトに移動することを指している。従って、ゲッタリングは処理温度に依存し、より高温であるほど短時間でゲッタリングが進むことになる。このゲッタリングの熱処理条件によっては、ゲッタリングと同時に結晶化半導体膜5aの結晶化率を高め、結晶粒内に残される欠陥を補修すること、即ち結晶性の改善を行うことができる。
このゲッタリングの熱処理として強光を照射する処理を行う場合は、加熱用のランプ光源を1〜60秒、好ましくは30〜60秒点灯させ、それを1〜10回、好ましくは2〜6回繰り返す。ランプ光源の発光強度は任意なものとするが、瞬間的には600〜1000℃、好ましくは700〜750℃程度に半導体膜が加熱されるようにする。
また、ゲッタリングの熱処理を加熱処理で行う場合は、窒素雰囲気中で450〜800℃、1〜24時間、例えば550℃にて14時間の熱処理を行えばよい。また、この熱処理に加えて強光を照射してもよい。
なおこの熱処理によってゲッタリング層7の表層が酸化され、酸化膜7aが形成される。
次いで図2(C)に示すように、酸化膜7aをエッチングにより除去する。次いでバリア層6をエッチングストッパーとしてエッチングを行い、ゲッタリング層7のみを選択的に除去する。このとき結晶化半導体膜5aの表層のうち半導体と金属の合金(例えばNiSi)5bが形成されていた部分もエッチングされ、ピンホール8が形成される。この理由は、図16および図17を参照して説明したとおりである。
なおゲッタリング層7のみを選択的にエッチングする方法としては、ClF3によるプラズマを用いたドライエッチング、或いはヒドラジンや、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド(化学式 (CH3)4NOH)を含む水溶液などアルカリ溶液によるウエットエッチングがある。
次いで図2(D)に示すように酸化膜からなるバリア層6を、例えばフッ酸を含むエッチャントにより除去する。
次いで図2(E)に示すように、結晶化半導体膜5aに対して第2のレーザー光を大気雰囲気中、窒素雰囲気または真空で照射する。第2のレーザー光のエネルギー密度は、図1(D)に示す工程で用いた第1のレーザー光より低くする。第1のレーザー光と第2のレーザー光のエネルギー密度差は例えば30mJ/cm2以上80mJ/cm2以下にするのが好ましいが、この好ましいエネルギー密度差は結晶化半導体膜5aの厚さ等によって異なる。このレーザー光(第2のレーザー光)には波長400nm以下のエキシマレーザー光や、YAGレーザーの第2高調波、第3高調波を用いる。また、エキシマレーザー光に代えて紫外光ランプから発する光を用いてもよい。
第2のレーザー光を結晶化半導体膜5aに照射することにより、結晶化半導体膜5aの表層において、ピンホール8の周囲からピンホール8に半導体元素が移動し、ピンホール8が埋められる。
図3の各写真は結晶化半導体膜5aの表面を拡大したSEM写真(倍率5000倍)である。図3(A)は第2のレーザー光を照射する前の結晶化半導体膜5a表面のSEM写真であり、図3(B)〜(E)それぞれはエネルギー密度が369.5mJ/cm2、351.7mJ/cm2、328.3mJ/cm2、309.0mJ/cm2の第2のレーザー光を照射した後の結晶化半導体膜5a表面のSEM写真である。また表1に、それぞれの条件で処理した後の結晶性シリコン膜表面に存在するピンホールの単位面積あたりの数を示す。ピンホールの数は、SEMを用いて一画面に含まれるピンホールを数えることにより測定した。なおここでの単位面積は、上記した倍率において一画面で表示される領域(例えば3021μm2)である。また第1のレーザー光のエネルギー密度は389mJ/cm2である。
図3(A)の写真に示すように、第2のレーザー光を照射しない場合、結晶性シリコン膜5aの表面には複数のピンホールが存在した。その数は表1に示すように単位面積あたり5個(ピンホール密度は1.7E-3個/μm2)であった。これに対し、図3(B)〜(E)の各写真に示すように、第2のレーザ光を照射するとピンホールの数が少なくなった。また表1に示すように第2のレーザ光のエネルギー密度が369.5mJ/cm2の場合、ピンホールの数は単位面積あたり1個(ピンホール密度は3.3E-4個/μm2)と非照射の場合と比べて1/5になった。また第2のレーザー光のエネルギー密度が351.7mJ/cm2以下になると、ピンホールはほとんど存在しなくなった。
図3に示した各写真及び表1から明らかなように、第2のレーザー光を照射することにより結晶化半導体膜5aの表面からピンホールを除去することができる。ピンホールがなくなるメリットは非常に大きい。例えば結晶化半導体膜5a上に形成する膜のカバレージ(例えばTFTのゲート絶縁膜)がよくなる。これにより、結晶化半導体膜5aでTFTのソース及びドレインを形成した場合、ゲート・リーク電流が少なくなる。またゲート絶縁膜の耐圧不良が少なくなる。このようにTFTの信頼性を向上させることができる。
また、ゲッタリング層7を形成する際に結晶化半導体膜5aに希ガス元素が添加されてしまっていた場合、第2のレーザー光を照射することによって結晶化半導体膜5a中の希ガス元素を除去または低減することもできる。
(第2の実施形態)
次に図4を参照しつつ第2の実施形態を説明する。本実施形態において第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
まず図4(A)に示すように、基板1の上に下地絶縁膜2を形成し、さらにその上に非晶質半導体膜(図示せず)を形成する。次いで非晶質半導体膜の表面に金属含有層(図示せず)を形成し、加熱処理することにより非晶質半導体膜を結晶化して結晶化半導体膜5aを形成する。これらの工程は第1の実施形態の図1(A)〜図1(C)に示した工程と略同一である。
ここで熱処理は酸素が含まれる雰囲気中(例えば大気中)で行われるため、結晶化半導体膜5aの表層には酸化膜5cが形成される。
このため図4(B)に示すように、例えばフッ酸を含むエッチャントを用いてエッチングを行うことにより、酸化膜5cを除去する必要がある。このとき結晶化半導体膜5aの表面にはピンホールが形成される場合がある。
次いで結晶化半導体膜5aの表面に第1のレーザー光を照射して結晶化半導体膜5aの結晶化率を向上させた後、第2のレーザー光を結晶化半導体膜5aに照射することにより、ピンホールを埋める。ここで第1のレーザー光及び第2のレーザー光の照射条件は、第1の実施形態における第2のレーザー光の照射条件と略同一である。ただし第2のレーザー光のエネルギー密度は第1の実施形態と異なっていてもよい。
次いで図4(C)に示すようにバリア層6及びゲッタリング層7を形成し、加熱処理をおこなうことにより結晶化半導体膜5aに含まれる金属元素のゲッタリングを行う。これらの処理の詳細は、第1の実施形態において図1(E)〜図2(B)に示した処理と略同一である。なお加熱処理によりゲッタリング層7の表面には酸化膜7aが形成される。
次いで図4(D)に示すように酸化膜7a、ゲッタリング層7及びバリア層6aを除去する。次いで結晶化半導体膜5aに第3のレーザー光(第1の実施形態における第2のレーザー光に相当)を照射することにより、結晶化半導体膜5aに形成されたピンホールを埋める。これらの処理は第1の実施形態において図2(C)〜(E)に示した処理と略同一である。
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同一の効果を得ることができる。また結晶化半導体膜5aから酸化膜5cを除去する際にピンホールが形成されたとしても、第1のレーザー光を照射した後に続いて第2のレーザー光を照射するため、ピンホールは埋められる。このため結晶化半導体膜5a上に形成する膜のカバレージ(例えばTFTのゲート絶縁膜)がよくなる。結晶化半導体膜5aでTFTのソース及びドレインを形成した場合、ゲート・リーク電流が少なくなる。またゲート絶縁膜の耐圧不良が少なくなる。このようにTFTの信頼性を向上させることができる。
(実験)
第2のレーザー光を照射することによりピンホールが埋められることを示すために、本発明者らは以下に示す実験を行って試料を作製した。
まず、ガラス基板の上方に下地絶縁膜を形成し、その上にプラズマCVD法により非晶質シリコン膜を形成した試料を用意した。次いで、ニッケルを重量換算で10ppm含む溶液を塗布した後、500℃、1時間の熱処理を行い、さらに550℃、4時間の熱処理を行って結晶化させて結晶性シリコン膜を形成した。次いで、結晶性シリコン膜を1%フッ酸液で3分間処理した。この処理時間は結晶性シリコン膜から表面酸化膜を除去するために必要な時間と比べて長い。このため表面酸化膜が除去されるとともに、結晶性シリコン膜の表面にピンホールが形成される。
次いで大気雰囲気で第1のレーザー光(エキシマレーザー)を結晶性シリコン膜に照射した。ここでの第1のレーザー光のエネルギー密度は419.2mJ/cm2とした。次いで第2のレーザー光(エキシマレーザー)を大気雰囲気中で結晶性シリコン膜に30Hzで照射した。なお第2のレーザー光のエネルギー密度を変えることにより複数の試料を作製した。また比較として第2のレーザー光を照射しない試料も作製した。
次いで作製した試料表面のSEM写真を倍率5000倍で撮像した。また単位面積に含まれるピンホールの数を数えた。単位面積の定義及びピンホールの数え方は第1の実施形態と同じである。
表2にピンホールの数と第2のレーザー光のエネルギー密度との関係を示す。また図5は表2のデータをグラフにしたものである。
表2及び図5のグラフから明らかなように、第2のレーザー光を照射しない状態においては結晶性シリコン膜の表面にはピンホールは単位面積あたり7個(ピンホール密度は2.3E-3個/μm2)と数多く存在していた。これに対し、第2のレーザー光を照射するとピンホールはほとんど存在しないか、存在していても単位面積あたり2個(ピンホール密度は6.6E-4個/μm2)と非常に少なくなった。この実験からも、第2のレーザー光を結晶性シリコン膜に照射することにより結晶性シリコン膜の表面からピンホールが除去されることがわかる。
各試料のSEM写真を図6に示す。第2のレーザー光を照射しない場合(図6(I))、試料の表面にはピンホールが存在している。第2のレーザー光のエネルギー密度が408.1mJ/cm2(図6(A))、389.8mJ/cm2(図6(C))、379.3mJ/cm2(図6(D))、及び338.7mJ/cm2(図6(H))それぞれの場合においてもピンホールが存在している。ただしこれらの試料を、撮像した領域より広い範囲で見た場合では、ピンホールの数は少なくなっていた。そして第2のレーザー光のエネルギー密度が399.4mJ/cm2(図6(B))、370.3mJ/cm2(図6(E))、361.7mJ/cm2(図6(F))、及び348.9mJ/cm2(図6(G))それぞれの場合では試料の表面にピンホールがほぼ存在しない。
(第3の実施形態)
次に図7を参照しつつ第3の実施形態を説明する。本実施形態は、第1又は第2の実施形態により形成された結晶化半導体膜5aを用いてTFTを形成する方法である。以下、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
まず図7(A)に示すように基板1の上に下地絶縁膜2を形成し、さらにその上に結晶化半導体膜5aを形成する。ここで結晶化半導体膜5aは、第1の実施形態において図1(D)〜図2(E)に示した処理が加えられているため、金属元素が存在しないか、金属元素の量が低減されている。また結晶化半導体膜5aの表面にはピンホールが存在しない。
次いで図7(B)に示すように、結晶化半導体膜5aの上にフォトレジスト膜(図示せず)を塗布し、このフォトレジスト膜を露光及び現像することによりレジストパターンを形成する。次いでこのレジストパターンをマスクとして結晶化半導体膜5aをエッチングすることにより、所望の形状の結晶化半導体層10を形成する。このとき、フォトレジスト膜を塗布する前に、オゾン水で結晶化半導体膜5aの表面を処理することで、結晶化半導体膜5a表面に薄い酸化膜を形成することが望ましい。
次いで図7(C)に示すように、結晶化半導体層10の表面をフッ酸含有エッチャントで洗浄した後、結晶化半導体層10上にゲート絶縁膜12を形成する。ゲート絶縁膜12は珪素を主成分とする絶縁膜で形成される。これら表面洗浄工程とゲート絶縁膜12の形成工程は、大気にふれさせずに連続的に行うことが望ましい。
次いで、ゲート絶縁膜12の表面を洗浄した後、ゲート絶縁膜12上を含む全面上にAl、Cu、Wなどを主成分とする金属膜を形成する。次いでこの金属膜上にフォトレジスト膜(図示せず)を塗布し、このフォトレジスト膜を露光及び現像することによりレジストパターンを形成する。次いでこのレジストパターンをマスクとして金属膜をエッチングすることにより、ゲート絶縁膜12上にゲート電極13を形成する。次いで、ゲート電極13をマスクとして結晶化半導体膜5aにn型不純物イオン(P、As等のイオン、ここではPイオン)を導入して、ソース領域14及びドレイン領域15を形成する。そしてn型不純物を活性化するために加熱処理、強光の照射、またはレーザー光の照射を行う。このとき活性化と同時にゲート絶縁膜12と結晶化半導体層10との界面、及びゲート絶縁膜12それぞれへのプラズマダメージを回復することができる。特に、室温〜300℃の雰囲気中において、表面または裏面からYAGレーザーの第2高調波を照射して不純物元素を活性化させることは非常に有効である。YAGレーザーはメンテナンスが簡単であるため好ましい活性化手段である。
次いでゲート絶縁膜12及びゲート電極13を含む全面上に層間絶縁膜16を形成し、水素化を行う。次いで層間絶縁膜16の上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして層間絶縁膜16をエッチングすることにより、ソース領域14上及びドレイン領域15上それぞれに位置するコンタクトホールを形成する。次いで層間絶縁膜16上及びコンタクトホール中に導電膜(例えばAl合金配線)を形成し、この導電膜をパターニングすることにより、ソース電極17、ドレイン電極18を形成する。以上の工程によりTFT(nチャネル型TFT)が形成される。
このようにTFTを形成した場合、チャネル形成領域19に含まれる金属元素の濃度を1×1017/cm3未満とすることができる。またTFTの半導体表面におけるピンホールの数は飛躍的に低減しているため、TFTの特性を向上させることができる。
なお本発明は図7(C)に示したTFT構造に限定されず、他の構造を有するTFTに適用することも可能である。例えばチャネル形成領域とドレイン領域(またはソース領域)との間にLDD領域を有する低濃度ドレイン(LDD:Lightly Doped Drain)構造としてもよい。この構造はソース領域とチャネル領域の間、及びドレイン領域とチャネル形成領域の間それぞれに低濃度に不純物元素を添加した領域(以下LDD領域と記載)を設けたものである。またゲート絶縁膜を介してLDD領域をゲート電極と重ねて配置させた、いわゆるGOLD(Gate-drain Overlapped LDD)構造としてもよい。
また本実施形態ではnチャネル型TFTを用いて説明したが、n型不純物元素に代えてp型不純物元素を用いることによってpチャネル型TFTを形成することができることは言うまでもない。
また本実施形態ではトップゲート型TFTを例として説明したが、例えば順スタガ型TFTに適用することが可能である。
また、結晶化半導体膜5aをパターニングする前に第2のレーザー光の照射を行わず、パターニングにより所望の形状の結晶化半導体層10を形成し、さらにパターニングの際に形成された酸化膜を除去した後に、大気雰囲気中、不活性気体雰囲気または真空中で第2のレーザー光の照射を行い結晶化半導体層10の表面のピンホールを埋めてもよい。
(第4の実施形態)
次に図8を参照しつつ第3の実施形態を説明する。本実施形態は、逆スタガ型(ボトムゲート型)TFTを作製する方法である。以下第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
まず図8(A)に示すように基板1上にAl、Cu、Wなどを主成分とする金属膜を形成する。次いでこの金属膜上にフォトレジスト膜(図示せず)を塗布し、このフォトレジスト膜を露光及び現像することによりレジストパターンを形成する。次いでこのレジストパターンをマスクとして金属膜をエッチングすることにより、基板1上にゲート電極21を形成する。
次いでゲート電極21上を含む全面上にゲート絶縁膜22を形成する。ゲート絶縁膜22は珪素を主成分とする絶縁膜で形成される。
次いでゲート絶縁膜22上に非晶質半導体膜を形成する。次いで非晶質半導体膜を結晶化させて結晶化半導体膜5aを形成し、更に第1のレーザー光を照射することにより結晶化半導体膜5aの結晶化率を上げる。なお非晶質半導体膜の結晶化方法は第1の実施形態と略同一である。
次いで図8(B)に示すようにバリア層6を形成し、さらにその上にゲッタリング層7を形成し、加熱処理を行うことにより結晶化半導体膜5aに含まれる金属元素のゲッタリングを行う。これらの処理の詳細は、第1の実施形態において図1(E)〜図2(B)に示した処理と略同一である。なお加熱処理によりゲッタリング層7の表面には酸化膜7aが形成される。
次いで図8(C)に示すように酸化膜7a、ゲッタリング層7及びバリア層6aを除去する。次いで結晶化半導体膜5aに第2のレーザー光を照射することにより、結晶化半導体膜5aに形成されたピンホールを埋める。これらの処理は第1の実施形態において図2(C)〜図2(E)に示した処理と略同一である。
次いで図8(D)に示すように結晶化半導体膜5aの上にフォトレジスト膜(図示せず)を塗布し、このフォトレジスト膜を露光及び現像することによりレジストパターンを形成する。次いでこのレジストパターンをマスクとして結晶化半導体膜5aをエッチングすることにより、所望の形状の結晶化半導体層24を形成する。
次いで結晶化半導体層24の上にフォトレジスト膜を塗布し、このフォトレジスト膜を露光及び現像することによりレジストパターン23を形成する。次いでレジストパターン23をマスクとして結晶化半導体層24にn型不純物イオン(P、As等のイオン、ここではPイオン)を導入して、ソース領域24a及びドレイン領域24bを形成する。そしてn型不純物を活性化するために加熱処理、強光の照射、またはレーザー光の照射を行う。
次いで図8(E)に示すように、結晶化半導体層24を含む全面上に層間絶縁膜25を形成する。次いで層間絶縁膜25の上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして層間絶縁膜25をエッチングすることにより、ソース領域24a上及びドレイン領域24b上それぞれに位置するコンタクトホール25a,25bを形成する。次いで層間絶縁膜25上及びコンタクトホール中に導電膜(例えばAl合金膜)を形成し、この導電膜をパターニングすることにより、ソース電極26a、ドレイン電極26bを形成する。以上の工程により逆スタガ型TFT(nチャネル型TFT)が形成される。
本実施形態においても第3の実施形態と同一の効果を得ることができる。
(実施例)
[実施例1]本発明の実施例1を、図9〜図11を参照しつつ説明する。本実施例は、同一基板の上方に画素部と、画素部の周辺に設ける駆動回路のTFT(nチャネル型TFT及びpチャネル型TFT)を同時に作製する方法である。
まず図9(A)に示すように、上記第2の実施の形態で示した方法で、ガラス基板100上に下地絶縁膜101及び島状に分離されたポリシリコン層102〜106をこの順に形成する。なお、ポリシリコン層102〜106は第2の実施形態における結晶化半導体層10と同一であるため、これらを形成するまでの工程に関しては、上記第2の実施形態で示してあるので簡略して以下に説明する。
まずガラス基板100上に下地絶縁膜101を形成する。本実施例では下地絶縁膜101として2層構造を用いるが、絶縁膜の単層膜または3層以上積層させた構造を用いても良い。下地絶縁膜101は例えば以下のように形成される。まず下地絶縁膜101の1層目として、SiH4、NH3、及びN2Oを反応ガスとしたプラズマCVD法により第1酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、O=27%、N=24%、H=17%)を膜厚50nmに形成する。次いで、下地絶縁膜101の2層目として、SiH4およびN2Oを反応ガスとしたプラズマCVD法により第2酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)を膜厚100nmに形成する。
次いで下地絶縁膜101上に非晶質半導体膜の一例である非晶質シリコン膜を、プラズマCVD法により50nmの膜厚に形成する。次いで、重量換算で10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液をスピナーで塗布する。塗布に代えてスパッタ法でニッケル元素を全面に散布する方法を用いてもよい。
次いで加熱処理により非晶質シリコン膜を結晶化させ、結晶化半導体膜の一例であるポリシリコン膜を形成する。この加熱処理は、電気炉による熱処理または強光の照射を用いればよい。電気炉による熱処理は、例えば500℃〜650℃で4〜24時間ほど行えばよい。ここでは脱水素化のための熱処理(500℃、1時間)の後、結晶化のための熱処理(550℃、4時間)を行ってポリシリコン膜を得る。なお、電気炉の代わりにランプアニール装置を用いて熱処理を行ってもよい。
次いでポリシリコン膜の結晶化率を高め、結晶粒内に残される欠陥を補修するため、第1のレーザー光(XeCl:波長308nm)を大気中、または酸素雰囲気中で照射する。第1のレーザー光には波長400nm以下のエキシマレーザ光、もしくはYAGレーザの第2高調波、第3高調波を用いる。いずれにしても、繰り返し周波数10〜1000Hz程度のパルスレーザー光を光学系にて100〜500mJ/cm2に集光し、90〜95%のオーバーラップ率をもってシリコン膜表面を走査させつつ照射すればよい。ここでは、繰り返し周波数30Hz、エネルギー密度410mJ/cm2で第1のレーザー光の照射を大気中で行なう。なお第1のレーザー光の照射は、シリコン膜中の希ガス元素(ここではアルゴン)を除去または低減する上で非常に重要である。次いで、オゾン水で表面を120秒処理して合計1〜5nmの酸化膜を形成することにより、この酸化膜および第1のレーザー光の照射により形成された酸化膜から構成されるバリア層(図示せず)を形成する。
次いで、バリア層上にスパッタリング法にてゲッタリングサイトとなるアルゴン元素を含む非晶質シリコン膜を膜厚150nmに形成する。ここでの成膜条件は、例えばチャンバー内の圧力が0.3Pa、ガス(Ar)流量が50(sccm)、成膜パワーが3kW、基板温度が150℃である。なお、上記条件での非晶質シリコン膜に含まれるアルゴン元素の原子濃度は3×1020/cm3〜5×1020/cm3、酸素の原子濃度は1×1019/cm3〜3×1019/cm3である。その後、ランプアニール装置を用いて650℃、3分の熱処理を行うことにより、ポリシリコン膜中の金属原子を非晶質シリコン膜にゲッタリングする。
次いで、バリア層をエッチングストッパーとしたエッチングにより、ゲッタリングサイトであるアルゴン元素を含む非晶質シリコン膜を選択的に除去した後、バリア層を希フッ酸で選択的に除去する。
次いで、第2のレーザー光の照射を大気雰囲気中、窒素雰囲気中又は真空中で行い、ポリシリコン膜表面に形成されたピンホールを埋める。この第2のレーザー光には波長400nm以下のエキシマレーザー光、又はYAGレーザーの第2高調波、第3高調波を用いる。なお第2のレーザー光に代えて紫外光ランプから発する光を用いてもよい。このとき第2のレーザー光のエネルギー密度を、第1のレーザー光のエネルギー密度より小さくし、好ましくは30〜80mJ/cm2小さくする。ここではエネルギー密度360mJ/cm2で第2のレーザー光の照射を行なう。
なお本実施例では第2のレーザー光の照射を全面に行ったが、必要な領域のみに選択的に第2のレーザー光を照射してもよい。
次いで、得られたポリシリコン膜の表面をオゾン水で処理することによりポリシリコン膜表面に薄い酸化膜を形成する。次いでレジストからなるマスクを形成し、このマスクを用いて所望の形状にエッチング処理することにより島状に分離されたポリシリコン層102〜106を形成する。これらポリシリコン層を形成した後にマスクを除去する。
なおポリシリコン層102〜106を形成した後、TFTのしきい値(Vth)を制御するためにp型不純物元素あるいはn型不純物元素を添加してもよい。p型不純物元素は、例えばボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)など周期律第13族元素であり、n型不純物元素は、例えばリン(P)または砒素(As)など周期律15族元素である。
次いで、フッ酸を含むエッチャントで酸化膜を除去すると同時にポリシリコン層102〜106の表面を洗浄した後、ゲート絶縁膜107を形成する。本実施例では、プラズマCVD法により形成された厚さ115nmの酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)を、ゲート絶縁膜107として用いる。
次いで、ゲート絶縁膜107上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜108aと、膜厚100〜400nmの第2の導電膜108bと、膜厚20〜100nmの第3の導電膜108cをこの順に積層し、ゲート電極となる導電層を形成する。本実施例では、第1の導電膜108aとしてゲート絶縁膜107上に膜厚50nmのタングステン膜を、第2の導電膜108bとして膜厚500nmのアルミニウムとチタンの合金(Al−Ti)膜を、第3の導電膜108cとして膜厚30nmのチタン膜を、それぞれ用いる。
なお上記した材料以外にも、第1〜第3の導電膜108a〜108cを形成する導電性材料としては、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料を用いることができる。例えば、第1の導電膜108aではタングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよい。第2の導電膜108bでは、アルミニウムとチタンの合金(Al−Ti)膜に代えてアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜を用いてもよい。第3の導電膜108cではチタン膜に代えて窒化チタン膜を用いてもよい。
また、ゲート電極となる導電層は3層構造に限定されず、例えば、窒化タンタル膜とタングステン膜との2層構造であってもよい。また、ゲート電極となる導電層としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される単層の半導体膜を用いてもよい。
次に、図9(B)に示すように、第3の導電膜108cの上にフォトレジスト膜を塗布し、このフォトレジスト膜を露光および現像することにより、レジスト膜からなるマスク110〜115を形成する。次いでマスク110〜115を用いて、ゲート電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理をドライエッチングで行う。
この第1のエッチング処理では、エッチング用のプラズマとしてICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)が好適である。この場合、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することによって所望のテーパー形状に膜をエッチングすることができる。
なお第1のエッチング処理では、例えば第1のエッチングを行った後、続いて第2のエッチングが行われる。
第1のエッチングでは、エッチング用ガスとして、Cl2、BCl3、SiCl4、CCl4などを代表とする塩素系ガスまたはCF4、SF6、NF3などを代表とするフッ素系ガス、またはO2を適宜用いる。用いるエッチング用ガスに限定はないが、ここではBCl3とCl2とO2とを用いることが適している。それぞれのガス流量は例えば65/10/5(sccm)である。そして1.2Paの圧力でコイル型の電極に450WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して117秒ほどエッチングを行う。このとき基板側(試料ステージ)にも300WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。この第1のエッチングにより第2の導電膜108b及び第3の導電膜108cをエッチングし、また第1の導電膜108aの端部をテーパー形状とする。
また第2のエッチングでは、エッチング用ガスにCF4とCl2とO2が用いられる。これらのガス流量はそれぞれ25/25/10(sccm)である。そして1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成し、約30秒ほどエッチング処理を行う。このとき基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件では、第1〜第3の導電膜108a〜108cそれぞれが同程度にエッチングされる。なお、ゲート絶縁膜107上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度ほどエッチング時間を増加させるとよい。
この第1のエッチング処理により、ゲート絶縁膜107上には第1〜第3の導電層から成る第1の形状の導電層117〜122(詳細には第1の導電層117a〜122a、第2の導電層117b〜122bおよび第3の導電層117c〜122c)が形成される。またゲート絶縁膜107のうち第1の形状の導電層117〜122で覆われない領域は20〜50nm程度エッチングされ薄くなる。
なお上記した第1のエッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適切な形状にし、かつ基板側に適切なバイアス電圧を印加することで、第1の形状の導電層117〜122の端部を適切なテーパー形状にすることができる。例えば上記した条件ではテーパー部の角度は15〜45°となる。
次いで図9(C)に示すように、マスク110〜115をそのまま用いて第2のエッチング処理を行う。第2のエッチング処理において、エッチング用ガスにはBCl3とCl2が用いられる。それぞれのガス流量は20/60(sccm)である。そして1.2Paの圧力でコイル型の電極に600WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成し、エッチングを行う。このとき基板側(試料ステージ)には100WのRF(13.56MHz)電力を投入する。この第2のエッチング処理により、チタンを微量に含むアルミニウムからなる第2の導電層117b〜122b、及びチタンからなる第3の導電層117c〜122cそれぞれが異方性エッチングされ、第2の形状の導電層124〜129(詳細には第1の導電層124a〜129a、第2の導電層124b〜129b及び第3の導電層124c〜129c)が形成される。このときゲート絶縁膜107のうち、第2の形状の導電層124〜129で覆われない領域は若干エッチングされ、薄くなる。
なお図9(B)および図9(C)では、第1の導電層のテーパー部の長さを、すべての第1の導電層において同一の長さとして図示しているが、実際は、配線幅への依存性がある。このため配線幅によって第1の導電層124a〜129aそれぞれのテーパー部の長さが変化する。
そして、マスク110〜115をそのまま残して第1のドーピング処理を行い、ポリシリコン層102〜106にn型を付与する不純物元素を添加する。ドーピング処理は例えばプラズマドーピング法やイオン注入法で行えば良い。イオン注入条件で行う場合、注入条件は、例えばドーズ量を1.5×1014atoms/cm2とし、加速電圧を60〜100keVとする。n型を付与する不純物元素としては、例えばリン(P)または砒素(As)を用いる。この第1のドーピング処理では第2の形状の導電層124〜128もマスクとなるため、ポリシリコン層102〜106に、それぞれ第1の不純物領域130〜134が2つずつ自己整合的に形成される。第1の不純物領域130〜134には1×1016〜1×1017/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素が添加される。
なお、本実施例ではマスク110〜115を除去せずに第1のドーピング処理を行ったが、マスク110〜115を除去した後に第1のドーピング処理を行ってもよい。
次いでマスク110〜115を除去した後、図10(A)に示すように全面上にフォトレジスト膜を塗布し、このフォトレジスト膜を露光および現像することによりマスク135,136を形成する。マスク135は駆動回路のpチャネル型TFTの一つを構成するポリシリコン層103のうちチャネル形成領域及びその周辺の領域を保護するマスクであり、マスク136は画素部のTFTを形成するポリシリコン層105のうちチャネル形成領域及びその周辺の領域を保護するマスクである。
次いでマスク135,136を用いて第2のドーピング処理を行い、マスクによって覆われていないポリシリコン層102、104,106それぞれに不純物領域を形成する。ドーピング処理は例えばプラズマドーピング法やイオン注入法で行えば良い。イオン注入条件で行う場合、注入条件は、加速電圧を60〜100kVとする。
このときポリシリコン層102,104,106それぞれにおいて、第2の形状の導電層124〜128が上方に存在する領域と存在しない領域とでは、上層の膜厚に差があるためドーズ量が異なる。このためポリシリコン層102,104,106には、それぞれ第2の形状の導電層124〜128の下方に位置する低濃度の第2の不純物領域180,181,182が2つずつ形成されると同時に、第2の不純物領域の外側に隣接する第3の不純物領域137,139,141が形成される。またポリシリコン層103,105のうちマスク135,136で覆われていない部分にも不純物が導入され、第3の不純物領域138,140が2つずつ形成される。具体的には、第3の不純物領域137〜141には1×1020〜1×1021/cm3の濃度範囲でn型不純物元素が添加されている。また、第2の不純物領域180〜182には1×1018〜1×1019/cm3の濃度範囲でn型不純物元素を添加されている。
なお図10(A)では、便宜上、第1の導電層124a〜129aのテーパー部の長さを、すべて同一としているが、実際は、配線幅によって第1の導電層124a〜129aは、それぞれテーパー部の長さが異なる場合がある。この場合、第2の不純物領域180,181,182の幅も互いに異なり、また第3の不純物領域137,139,141の幅も互いに異なる。
次いで図10(B)に示すようにマスク135、136を除去した後、新たにフォトレジスト膜を塗布し、このフォトレジスト膜を露光及び現像することによりマスク142〜144を形成する。マスク142,143,144はそれぞれポリシリコン層102,104,105の上方に形成される。またpチャネル型TFTが形成されるポリシリコン層103,106の上方にはマスクが形成されていない。
次いでマスク142〜144を用いて第3のドーピング処理を、例えばプラズマドーピング法やイオン注入法を用いて行う。この第3のドーピング処理により、pチャネル型TFTを形成するポリシリコン層103,106のうち第2の形状の導電層125,128に覆われていない部分に、p型不純物元素が添加される。
これによりポリシリコン層103には第4の不純物領域147及び第5の不純物領域145、146が形成され、ポリシリコン層106には第4の不純物領域150及び第5の不純物領域148,149が形成される。第4の不純物領域147,150には1×1018〜1×1020/cm3の濃度範囲でp型不純物元素が添加されている。また、第5の不純物領域145、146,148,149には図9(C)及び図10(A)で示した工程においてn型を付与するリン(P)が添加されているが、p型不純物元素の濃度がその1.5〜3倍添加されている(例えば1×1020〜1×1021/cm3)ため、導電型はp型となっている。なお第5の不純物領域のうち、領域145,148はそれぞれ領域146,149よりn型,p型それぞれの不純物元素の濃度が低い。
なおポリシリコン層106は画素部において保持容量を形成する半導体層となる。
以上までの工程で、ポリシリコン層102〜106それぞれにはn型またはp型の導電型を有する不純物領域が形成される。また第2の形状の導電層124〜127はゲート電極となり、第2の形状の導電層128は画素部において保持容量を形成する一方の電極となる。さらに、第2の形状の導電層129は画素部においてソース配線を形成する。
なお各第2の形状の導電層及び各不純物領域(第1の不純物領域〜第5の不純物領域)が形成できるのであれば特に作製工程は上記した順序に限定されず、各エッチングの順序、各ドーピングの順序を適宜変更してもよい。
次いで図10(C)に示すようにマスク142〜144を除去した後、ほぼ全面を覆う絶縁膜(図示せず)を形成する。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚50nmの酸化シリコン膜を形成した。勿論、この絶縁膜は酸化シリコン膜に限定されるものでなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
次いで、それぞれのポリシリコン層102〜106に添加された不純物元素を活性化する工程を行う。この活性化工程は、ランプ光源を用いたラピッドサーマルアニール法(RTA法)、或いはYAGレーザーまたはエキシマレーザーを裏面から照射する方法、或いは炉を用いた熱処理、或いはこれらの方法を複数組み合わせた方法による処理である。ただし、本実施例では、第2の形状の導電層124〜129を構成する第2の導電層124a〜129a(図9C参照)にアルミニウムを主成分とする材料を用いているので、活性化工程を、第2の導電層124a〜129aが熱的に耐え得る熱処理条件とすることが必要である。
上記した活性化処理により、不純物元素が活性化すると同時に、ポリシリコン層102〜106を結晶化する際に触媒として使用した金属元素が、高濃度のリンを含む第3の不純物領域137,139,140(図10(A)参照)、及び第5の不純物領域146,149(図10(B)参照)にゲッタリングされ、ポリシリコン層102〜106のうち主にチャネル形成領域となる部分中のニッケル濃度が低減する。その結果、チャネル形成領域の結晶性がよくなり、TFTのオフ電流値は下がり、また結晶性が良いことから高い電界効果移動度が得られる。このように良好な特性を有するTFTを得ることができる。
なお、本実施例ではポリシリコン膜を形成する段階で上記第1の実施形態に示した方法により予めゲッタリングが行われているので、ここでの不純物領域によるゲッタリングは2度目のゲッタリングとなる。
本実施例では、上記活性化処理の前に絶縁膜(図示せず)を形成した例を示したが、上記活性化を行った後、絶縁膜を形成する工程としてもよい。
次いで、窒化シリコン膜からなる第1の層間絶縁膜151を形成する。次いで熱処理(300〜550℃で1〜12時間の熱処理)を行い、ポリシリコン層102〜106を水素化する工程を行う。この工程は、第1の層間絶縁膜151に含まれる水素によりポリシリコン層102〜106のダングリングボンドを終端する工程であり、酸化シリコン膜からなる絶縁膜(図示しない)の有無に関係なくポリシリコン層102〜106を水素化することができる。ただし、本実施例では、第2の形状の導電層124〜129を構成する第2の導電層124a〜129a(図9C参照)にアルミニウムを主成分とする材料を用いているので、水素化する工程において第2の導電層124a〜129aが熱的に耐え得る熱処理条件とすることが重要である。なお水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素により水素化する処理)を行っても良い。
次いで図11に示すように、第1の層間絶縁膜151上に第2の層間絶縁膜152を形成する。第2の層間絶縁膜152は有機絶縁材料から構成されてもよいし無機絶縁材料から構成されてもよい。本実施例では、シロキサン材料を出発材料として形成された珪素、酸素、水素からなる無機シロキサン系の絶縁性材料、又はこの無機シロキサン系の絶縁性材料のうち珪素と結合する水素がメチルやフェニルのような有機基によって置換された有機シロキサン系の絶縁性材料を用いる。なお膜厚1.6μmのアクリル樹脂膜であってもよい。
次いで、第2の層間絶縁膜152上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして第2の層間絶縁膜152及び第1の層間絶縁膜151をエッチングすることにより、第2の形状の導電層129(すなわち画素部のソース配線)上に位置するコンタクトホール、及びポリシリコン層102〜106に形成された第3の不純物領域137〜141それぞれの上に位置するコンタクトホールを形成する。本実施例では複数のエッチング処理を順次行う。すなわち第1の層間絶縁膜をエッチングストッパーとして第2の層間絶縁膜をエッチングした後、上記した図示しない絶縁膜をエッチングストッパーとして第1の層間絶縁膜をエッチングし、その後図示しない絶縁膜をエッチングする。
その後、第2の層間絶縁膜152の全面上及び各コンタクトホール内に金属膜(例えばAl、Ti、Mo、Wなど)を形成し、この金属膜をパターニングすることにより、配線及び画素電極を形成する。なおこれらの電極及び画素電極の材料は、AlまたはAgを主成分とする膜もしくはこれらの積層膜といった、反射性の優れた膜を用いることが望ましい。こうして、ソース配線またはドレイン配線153〜158、ゲート配線160、接続配線159、画素電極161が形成される。
以上の様にして、nチャネル型TFT201,203及びpチャネル型TFT202を有する駆動回路206と、nチャネル型TFT204及び保持容量205を有する画素部207を同一基板の上方に同一工程で形成することができる。以下、本明細書中ではこのような基板を便宜上アクティブマトリクス基板と呼ぶ。
このようにして形成されたアクティブマトリクス基板の駆動回路206において、nチャネル型TFT201は、チャネル形成領域162、ゲート電極を形成する第2の形状の導電層124、第2の形状の導電層124の一部分の下に位置する第2の不純物領域180、およびソース領域またはドレイン領域として機能する2つの第3の不純物領域137を有している。pチャネル型TFT202は、チャネル形成領域165、ゲート電極を形成する第2の形状の導電層125、第2の形状の導電層125の一部分の下に位置する第4の不純物領域147、及びソース領域またはドレイン領域として機能する第5の不純物領域146を有している。nチャネル型TFT203はチャネル形成領域168、ゲート電極を形成する第2の形状の導電層126、第2の形状の導電層126の一部分の下に位置する第2の不純物領域181、およびソース領域またはドレイン領域として機能する第3の不純物領域139を有している。このようなnチャネル型TFT及びpチャネル型TFTを適宜配線で接続することにより、シフトレジスタ回路、バッファ回路、レベルシフタ回路、ラッチ回路などを形成することができる。ここで駆動電圧が高いバッファ回路には、ホットキャリア効果による劣化を防ぐ目的から、nチャネル型TFT201または203を用いることが好ましい。
また画素部207において、nチャネル型TFT204は、チャネル形成領域171、ゲート電極を形成する第2の形状の導電層127、第2の形状の導電層127の外側に形成されている第1の不純物領域133、およびソース領域またはドレイン領域として機能する第3の不純物領域140を有している。また、保持容量205は誘電体となる絶縁膜(ゲート絶縁膜107と同一膜)、第2の形状の導電層128からなる電極、及びポリシリコン層106により形成されている。ポリシリコン層106には第4の不純物領域150、第5の不純物領域148が形成されている。
ここで画素部207のnチャネル型TFT204においては、各不純物領域が形成されているポリシリコン層105の表層に第2のレーザー光が照射されているため、画素の特性が向上している。
[実施例2]
実施例1にかかるアクティブマトリクス基板はゲート電極を3層構造としたが、実施例2では、アクティブマトリクス基板のゲート電極を2層構造とする。なお、本実施例は、ゲート電極の構造以外は実施例1と同一の構成である。このような構成の表示装置は、ゲート電極となる導電膜を形成する工程、及びこの導電膜をパターニングする工程を除いて実施例1と同じ工程で作製することができる。以下、これらの工程のみを説明する。
まずゲート電極となる導電膜として、膜厚30nmのTaN膜からなる第1の導電膜と、膜厚370nmのW膜からなる第2の導電膜を積層形成する。TaN膜は、Taターゲットを、窒素を含む雰囲気内でスパッタリングすることにより形成される。また、W膜は、Wターゲットをスパッタリングすることにより形成される。なおW膜に代えて、WとMoからなる合金膜を用いてもよい。
この2層構造からなる膜は、実施例1における3層構造からなる導電膜と同様に、上にレジストからなるマスクが形成された後にICPエッチング法でエッチングされることによりパターニングされる。このときエッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することによって所望のテーパー形状に膜をエッチングすることができる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4、CCl4などを代表とする塩素系ガスまたはCF4、SF6、NF3などを代表とするフッ素系ガス、またはO2を適宜用いることができる。
具体的には、実施例1と同様に第1のエッチング処理及び第2のエッチング処理が、2層構造からなる膜に行われる。
第1のエッチング処理としては実施例1と同様に第1及び第2のエッチングが行われる。第1のエッチングにおいて、エッチング用ガスにはCF4とCl2とO2が用いられる。それぞれのガス流量は例えば25/25/10(sccm)である。このような条件のもと、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成し、このプラズマによりエッチングを行う。このとき基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。第1のエッチングにおいて、Wのエッチング速度は例えば200.39nm/minであり、TaNのエッチング速度は例えば80.32nm/minである。またTaNに対するWの選択比は例えば約2.5である。この第1のエッチング条件によって、Wのテーパー角は、例えば約26°となる。
続いてエッチング条件を代えて第2のエッチングを行う。第2のエッチングでは、エッチング用ガスにCF4とCl2が用いられる。それぞれのガス流量は例えば30/30(sccm)である。このような条件のもと、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成し、エッチングを約30秒ほど行う。このとき基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチングではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。上記した第2のエッチングにおいて、Wのエッチング速度は例えば58.97nm/minであり、TaNのエッチング速度は66.43nm/minである。
上記第1のエッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとし、かつ基板側に適切なバイアス電圧を印加することで、第1の導電層及び第2の導電層の端部を適切なテーパー形状にすることができる。例えば上記した条件においてこのテーパー部の角度は15〜45°となる。
続いて第2のエッチング処理を行う。ここでは、エッチング用ガスにSF6とCl2とO2とを用いる。それぞれのガス流量は例えば24/12/24(sccm)である。このような条件のもと、1.3Paの圧力でコイル型の電極に700WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成し、このプラズマを用いてエッチングを例えば25秒行う。このとき基板側(試料ステージ)にも10WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。上記した第2のエッチング処理において、Wのエッチング速度は例えば227.3nm/minであり、TaNのエッチング速度は例えば32.1nm/minであり、TaNに対するWの選択比は例えば7.1である。またゲート絶縁膜である酸化窒化シリコン膜(SiON)に対するエッチング速度は例えば33.7nm/minであり、酸化窒化シリコンに対するWの選択比は例えば6.83である。この第2のエッチング処理によりWのテーパー角は例えば70°となる。このようにしてゲート電極が形成される。
以下、実施例1と同一の工程を行うことにより、アクティブマトリクス基板が形成される。
上記した工程で形成されるアクティブマトリクス基板は、ゲート電極がW膜とTaN膜との積層で形成されているため、実施例1に比べてゲート電極の電気抵抗値が高いものの、ゲート電極の耐熱性が高い。このため活性化や水素化の処理条件にゲート電極の特性が左右されにくいという利点を有している。
[実施例3]
本実施例は、実施例1または2で作製したアクティブマトリクス基板から、反射型のアクティブマトリクス型液晶表示装置を作製する方法である。
まず、上記実施例1または2に示した工程により、例えば図11と同一のアクティブマトリクス基板を得る。次いでアクティブマトリクス基板上にアクリル樹脂膜等の有機樹脂膜を形成し、この有機樹脂膜をパターニングすることによって基板間隔を保持するための柱状のスペーサを所望の位置に形成する。なお柱状のスペーサに代えて、球状のスペーサを基板全面に散布してもよい。次いでアクティブマトリクス基板上に配向膜を形成しラビング処理を行う。
次いで、対向基板を用意する。対向基板には、アクティブマトリクス基板の画素TFTに対向する部分に、着色層及び遮光層からなるカラーフィルタが設けられており、アクティブマトリクス基板の駆動回路に対向する部分に、遮光層が設けられている。次いで用意した対向基板に、カラーフィルタ及び遮光層の双方を覆う平坦化膜を形成する。次いで平坦化膜上のうち画素TFTに対向する部分に、透明導電膜からなる対向電極を形成する。次いで対向基板の全面上に配向膜を形成し、ラビング処理を施す。
次いでシール材を対向基板上に形成した後、対向基板上に液晶を滴下する。ここで液晶を滴下する前に、シール材上に、シール材と液晶が反応することを防ぐために保護膜を形成してもよい。その後アクティブマトリクス基板と対向基板とをシール材で張り合わせる。シール材にはフィラーが混入されている。このフィラーと前記した柱状スペーサによって、アクティブマトリクス基板と対向基板は均一な間隔を持って貼り合わせられる。そして封止剤によって両基板の間を完全に封止する。このようにしてアクティブマトリクス基板と対向基板の間には液晶が封止される。液晶材料には公知の液晶材料を用いれば良い。
なお、以下のようにしてアクティブマトリクス基板と対向基板の間に液晶を封止してもよい。まずアクティブマトリクス基板と対向基板とをシール材で貼り合わせる。その後、両基板間を排気しながら両基板間に液晶材料を注入し、封止剤によって両基板の間を完全に封止する。
以上の工程によりアクティブマトリクス型液晶表示装置が完成する。そして、必要があれば、アクティブマトリクス基板または対向基板もしくは双方の基板を所望の形状に分断する。さらに、公知の技術を用いて偏光板等を適宜設ける。そして、公知の技術を用いてフレキシブルプリント基板(Flexible Print Circuit:以下FPCと記載)を、違法性導電膜を介して貼りつける。FPCが貼り付けられる部分には接続電極(図示せず)が例えばITOによって形成されている。この接続電極は、アクティブマトリクス基板の層間絶縁膜および樹脂膜に形成されたコンタクトホールに一部が埋め込まれており、この埋め込まれている部分を介してアクティブマトリクス基板の配線に接続している。
こうして得られた液晶モジュールの構成を説明する。アクティブマトリクス基板の中央には画素部が配置されている。画素部には複数の画素が形成されている。画素部の上側には、ソース信号線を駆動するためのソース信号線駆動回路が配置されている。画素部の左右それぞれには、ゲート信号線を駆動するためのゲート信号線駆動回路が配置されている。ゲート信号線駆動回路は、例えば画素部に対して左右対称配置であるが、片側のみの配置でも良く、液晶モジュールにおける基板サイズ等を考慮して、設計者が適宜選択すれば良い。ただし、回路の動作信頼性や駆動効率等を考えると、左右対称配置が望ましい。そして各駆動回路への信号の入力は、FPCから行われる。
なお全ての駆動回路を基板の上方に形成してもよい。また駆動回路の一部に数個のICを用いてもよい。
[実施例4]
実施例3では、画素電極が反射性を有する金属材料で形成された反射型の表示装置の作製方法を示したが、本実施例では画素電極を、透光性を有する導電膜で形成した透過型の表示装置の作製方法を示す。層間絶縁膜を形成する工程までは実施例1と同じであるので、ここでは実施例1と同一の符号を付して説明を省略する。
図12の断面概略図に示すように、実施例1に従って層間絶縁膜400まで形成した後、層間絶縁膜400にコンタクトホールを形成する。次いで、次いで層間絶縁膜400上に透光性を有する導電膜を形成し、この導電膜をパターニングすることにより、接続電極402を複数形成する。これら接続電極402は、コンタクトホールを通じて画素TFTのドレイン領域またはドレイン領域、もしくは容量素子205と接続されている。また、この接続電極と同時に他のTFTのソース領域及びドレイン領域に接続する電極も形成される。
次いで接続電極402上及び層間絶縁膜400上に層間絶縁膜409を形成した後、層間絶縁膜409にコンタクトホールを形成する。次いで層間絶縁膜409上に透光性を有する導電膜を形成し、この導電膜をパターニングすることにより画素電極401を形成する。画素電極401はコンタクトホールを通じて接続電極402に接続している。
なお透光性を有する導電膜としては、ITO(酸化インジウム酸化スズ合金)、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In2O3―ZnO)、酸化亜鉛(ZnO)、ITSO(酸化珪素を含む酸化インジウムスズ)、GZO(Ga添加ZnO)等を用いればよい。
以上のようにしてアクティブマトリクス基板410が形成される。
次いで対向基板411を用意する。この対向基板には、着色層、遮光層が各画素に対応して配置されたカラーフィルタ412が設けられている。なお駆動回路206に対応する部分にも遮光層が設けられている。またこのカラーフィルタ412と遮光層とを覆う平坦化膜407が設けられている。また平坦化膜407上には、透光性を有する導電膜からなる対向電極408が画素部207に対応する部分に形成されている。そして対向電極408上を含む全面上には配向膜422が形成され、ラビング処理が施されている。
次いでアクティブマトリクス基板410と対向基板411の間に液晶420を封止する。この封止方法は実施例3と同じ方法であり、シール材419及び封止材(図示せず)を用いて行われる。次いで偏光板403等を設けることにより液晶モジュールを作製し、バックライト404、導光板405を設け、カバー406で覆う。このようにして、図12にその断面図の一部を示したようなアクティブマトリクス型液晶表示装置が完成する。
なお、カバー406と液晶モジュールは接着剤や有機樹脂を用いて互いに貼り合わせられる。また、基板1と対向基板411を貼り合わせる際、枠で囲んで有機樹脂を枠と基板との間に充填して接着してもよい。また本実施例は透過型であるため、偏光板403はアクティブマトリクス基板と対向基板の両方に貼り付けられる。
[実施例5]
本実施例では、実施例1又は2により形成されたアクティブマトリクス基板を用いて、電界発光素子を備えた発光表示装置を作製する方法である。電界発光素子は例えばEL(Electro Luminescence)素子であり、電場を加えること発光する有機化合物(有機発光材料)を含む層(以下、有機発光層と記す)と、陽極と、陰極とを有している。電界発光素子を用いた発光表示装置にとって、TFTはアクティブマトリクス駆動方式を実現する上で、必須の素子となっている。すなわち電界発光素子を用いた発光表示装置には、少なくとも、スイッチング素子として機能するTFTと、電界発光素子に電流を供給するTFTとが、各画素に設けられている。この発行表示装置において画素の輝度は、画素の回路構成及び駆動方法によらず、電界発光素子に電流を供給するTFTのオン電流(Ion)で決定される。このため、例えば、全面白表示とした場合、各画素のオン電流が一定でなければ画面の表示にばらつきが生じてしまう。これに対して本実施例では、上記したようにTFTのオン電流のばらつきが小さくなるため、画面の表示にばらつきは生じにくくなっている。なお、有機化合物(有機発光材料)を含む層に無機材料(シリコンまたは酸化シリコンなど)を含んでいてもよい。
以下実施例1と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
図13(A)は、表示モジュールを示す上面図、図13(B)は図13(A)をA−A’で切断した断面図である。基板1には、中央部に画素部207が形成されていると共に、駆動回路部にソース側駆動回路206a及びゲート側駆動回路206bが形成されている。ソース側駆動回路206a及びゲート側駆動回路206bは、TFTの構造を除いて実施例1の駆動回路206と略同一の構成である。また基板1の上方には封止基板1aが配置されているが、基板1と封止基板1aの間の空間はシール材518によりシールされている。
基板1のうち封止基板1aと重なっていない部分には配線508が配置されている。配線508は、外部入力端子となるFPC509からビデオ信号やクロック信号を受け取り、これら信号をソース側駆動回路206a及びゲート側駆動回路206bに伝送するための配線である。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
次に、断面構造について図13(B)を参照して説明する。基板1上に絶縁膜510が設けられ、絶縁膜510の上方には画素部207、ゲート側駆動回路206bが形成されている。画素部207には電流制御用TFT511、電流制御用TFT511のドレインに電気的に接続された第1の電極512を含む複数の画素、及びスイッチング用TFT513が形成されている。また、ゲート側駆動回路206bはnチャネル型TFT523とpチャネル型TFT524とを組み合わせたCMOS回路を用いて形成されている。
これらのTFT(511、513、523、524を含む)は逆スタガ型のTFTであるが、これらを作製するには上記第4の実施形態に従えばよい。
第1の電極512は電界発光素子(EL素子)の陽極として機能する。第1の電極512には、可視光に対して透明又は半透明であり、かつ仕事関数の大きい材料(例えばITO、インジウム亜鉛酸化物、窒化チタン、クロム、タングステン、ジルコニウム、プラチナなどの単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層膜、またはこの積層膜膜と窒化チタン膜との3層膜等)を用いるのが好ましい。なお積層構造にすると、配線抵抗が低くなり、また良好なオーミックコンタクトを得ることができる。
また第1の電極512上には電界発光層(例えばEL層)516および第2の電極517が形成される。
電界発光層516は、発光層、電荷輸送層または電荷注入層により形成されるが、これらの組み合わせは任意である。例えば、発光層として低分子系有機EL材料や高分子系有機EL材料を用いればよいが、一重項励起により発光(蛍光)する発光材料(シングレット化合物)からなる薄膜、または三重項励起により発光(リン光)する発光材料(トリプレット化合物)からなる薄膜を用いることもできる。また、電荷輸送層及び電荷注入層として炭化珪素等の無機材料を用いることも可能である。これら以外にも公知の材料を用いることができる。なお電界発光層516は、蒸着マスクを用いた蒸着法、又は液滴吐出法(インクジェット法)によって形成される。
第2の電極517は電界発光素子の陰極として機能するが、全画素に共通の配線としても機能し、配線508を経由してFPC509に電気的に接続されている。画素部207に含まれる素子は全て電界発光層516及び第2の電極517で覆われている。ただし第1の電極512を除く各素子と電界発光層516の間には絶縁層514が設けられている。第2の電極517は、仕事関数の小さい材料(Al、Ag、Li、Caまたはこれらの合金MgAg、MgIn、AlLi、CaF2またはCaN)を用いればよい。
また基板1と封止基板1aの間の空間には充填材507が充填されている。充填材507には例えばAr等の不活性気体、シール材、又は乾燥剤を用いることができる。
以上のような構造をとることにより、基板1側に発光する発光表示装置を得ることができる。そして発光素子をシール材518及び保護膜で封止し、外部から完全に遮断することができる。これにより外部から水分や酸素等の電界発光層の酸化による劣化を促す物質が侵入することを防ぐことができる。従って、信頼性の高い発光装置を得ることができる。
なお実施例5の第1の変形例として図13とは逆方向すなわち封止基板1a側に発光する構成としてもよい。この場合、第1の電極512は発光素子の陰極として機能し、第2の電極517は陽極として機能する。そして第2の電極517は、例えば薄い金属膜の上に透明材料(例えばITO、In2O3−ZnO、又はZnO)を積層した構造となる。
また実施例5の第2の変形例として、第1の電極512及び第2の電極517の双方を光透過性の材料で形成してもよい。この場合発光表示装置は基板1側と封止基板1a側の両面から発光する。
[実施例6]
本発明を実施して形成された駆動回路や画素部は,実施例3〜5に示すように、様々な表示モジュール(アクティブマトリクス型液晶モジュール、アクティブマトリクス型電界発光モジュール)に用いることができる。そして本実施例では、これら表示モジュールを組み込んだ電子機器を示す。
ここで電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、プロジェクタ、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの一例を図14及び図15に示す。
図14(A)はパーソナルコンピュータであり、本体2001、画像入力部2002、表示部2003、キーボード2004等を含む。この表示部2003に、実施例3〜5に示した方法で作製された表示モジュールが用いられる。
図14(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示部2102、音声入力部2103、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106等を含む。この表示部2102に、実施例3〜5に示した方法で作製された表示モジュールが用いられる。
図14(C)はモバイルコンピュータ(モービルコンピュータ)であり、本体2201、カメラ部2202、受像部2203、操作スイッチ2204、表示部2205等を含む。この表示部2205に、実施例3〜5に示した方法で作製された表示モジュールが用いられる。
図14(D)はゴーグル型ディスプレイであり、本体2301、表示部2302、アーム部2303等を含む。この表示部2302に、実施例3〜5に示した方法で作製された表示モジュールが用いられる。
図14(E)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであり、本体2401、表示部2402、スピーカ部2403、記録媒体2404、操作スイッチ2405等を含む。なお、このプレーヤーは記録媒体としてDVD(Digtial VersatileDisc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネットを行うことができる。表示部2402に、実施例3〜5に示した方法で作製された表示モジュールが用いられる。
図14(F)はデジタルカメラであり、本体2501、表示部2502、接眼部2503、操作スイッチ2504、受像部(図示しない)等を含む。この表示部2502に、実施例3〜5に示した方法で作製された表示モジュールが用いられる。
図15(A)は携帯電話であり、本体2901、音声出力部2902、音声入力部2903、表示部2904、操作スイッチ2905、アンテナ2906、画像入力部(CCD、イメージセンサ等)2907等を含む。この表示部2904に、実施例3〜5に示した方法で作製された表示モジュールが用いられる。
図15(B)は携帯書籍(電子書籍)であり、本体3001、表示部3002,3003、記憶媒体3004、操作スイッチ3005、アンテナ3006等を含む。この表示部3002,3003に、実施例3〜5に示した方法で作製された表示モジュールが用いられる。
図15(C)はディスプレイであり、本体3101、支持台3102、表示部3103等を含む。この表示部3103に、実施例3〜5に示した方法で作製された表示モジュールが用いられる。ちなみに図14(C)に示すディスプレイは中小型または大型のもの、例えば5〜20インチの画面サイズのものである。また、このようなサイズの表示部を形成するためには、基板の一辺が1mのものを用い、多面取りを行って量産することが好ましい。
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器の作製方法に適用することが可能である。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。
本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の作製方法を示す図。
図1の次の工程を示す図。
第1の実施形態により作製された結晶化半導体膜の表面のSEM写真。
第2の実施形態に係る半導体装置の作製方法を示す図。
第2のレーザー光のエネルギー密度とピンホールの数の関係を示すグラフ。
実験により作製した結晶性シリコン膜の表面のSEM写真
第3の実施形態に係る半導体装置の作製方法を示す図。
第4の実施形態に係る半導体装置の作製方法を示す図。
実施例1に係るアクティブマトリクス基板の作製方法を示す図。
図9の次の工程を示す図。
図10の次の工程を示す図。
実施例4に係るアクティブマトリクス型液晶表示装置を示す断面概略図。
(A)は実施例5に係る発光表示装置の平面概略図、(B)は(A)のA−A´断面図。
実施例6に係る電子機器であり、本発明を用いて作製された表示装置を用いた電子機器の概略図。
実施例6に係る電子機器であり、本発明を用いて作製された表示装置を用いた電子機器の概略図。
結晶化半導体膜にピンホールができる第1の理由を示す図。
結晶化半導体膜にピンホールができる第2の理由を示す図。
符号の説明
1…基板、2…下地絶縁膜、3…非晶質半導体膜、4…金属含有層、5a…結晶化半導体膜、6…バリア層、7…ゲッタリング層、8…ピンホール、10…結晶化半導体層、12…ゲート絶縁膜、13…ゲート電極、14…ソース領域、15…ドレイン領域、16…層間絶縁膜、17…ゲート電極、18…ドレイン電極