JP4178002B2 - インクジェット記録用インクセットを用いる記録方法、記録装置及び記録物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用、インクセット、及び、このインクセットを用いる記録方法、記録装置及び記録物に関し、普通紙には耐水性のよい画像を得て、光沢紙には部分的な光沢性に違いの有る画像を得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタは低騒音、低ランニングコストといった利点から目覚しく普及した。しかし従来はその着色剤が染料あるいは顔料のいずれかであり、染料インクにおいては普通紙において耐水性の悪い画像しか得られなかった。反面、顔料インクにおいては光沢紙において光沢がないためにくすんだ色調のものしかえられなかった。こうした不都合を改善するための方策も幾つか知られている。
【0003】
その一つとして、染料及び顔料インクを併用した方法が提案されている。
例えば、特開2001−293889は黒、イエロー、マゼンタ、シアンは染料インクを用い、さらに低着色剤濃度のマゼンタ、シアンインクを顔料で作成したものである。これらの目的は低濃度画像部の耐光性を上げるためにシアン、マゼンタの低着色剤濃度のインクを耐光性のよい顔料を用いたものである。
一方、特開平11−1647には黒顔料と黒染料を重ねて印写する方法が開示されている。これは普通紙において黒画像を増粘、凝集させる染料インクを用いて高彩度の画像を得る目的のものである。
【0004】
しかし、これらの方法では黒、マゼンタ、シアン、イエローいずれもが顔料のインクセットがないために普通紙で耐水性の良好なカラー画像を得ることができない。
一方、光沢紙においては染料インクは光沢性の高い画像を得ることができるが顔料インクでは顔料の光散乱性のため光沢の高い画像を得ることができない。そのため光沢性の要求される写真画質においては染料インクが好ましいといわれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は普通紙には耐水性のよい画像を得、光沢紙には従来のインクジェット画像にはなかった光沢度コントラストを有した画像を得るのに有用なインクジェット記録用インクセットを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来の考え方を脱皮して顔料インクと染料インクを常備して、光沢紙において顔料インクと染料インクを打ち分けることにより部分的に光沢度の異なる画像を印写してみた。その結果、部分的に光沢度を変化させることにより、すなわち、例えば文字部あるいは記号部を染料インクで印写し周囲を顔料インクで印写することにより、光源からの目視の角度によっては文字が光沢をもって浮き出た非常に光沢度コントラストの高い画像が得られることがわかった。そして、このようにして従来のインクジェット画像にはなかった特殊な効果を有した画像が得られることがわかった。この方法は画像の一部に強調したい個所がある場合に、その部分だけ周囲より高い光沢度をもたせ画像のその部分に注目させるのに最適である。また、逆に染料インクベタ部のなかに顔料インク部を設けても独特な光沢度コントラストを有した画像が得られる。本発明は、こうした知見に基づいてなされたものである。
【0007】
本発明によれば下記(1)〜(15)が提供される。
【0008】
(1)黒、マゼンタ、シアン、又はイエローの着色剤がインク中に溶解した状態のインク(インクA)と、このインクAの着色剤と同一色の着色剤がインク中に分散した状態のインク(インクB)を用い、測定角度60°における光沢度が40%以上の光沢紙にインクA及びインクBの重ね打ち量を調整して印写することを特徴とするインクジェット記録方法。
【0009】
(2)少なくとも水と湿潤剤を有する水性インクであって、かつインクAの着色剤が主として染料であり、インクBの着色剤が主として顔料であることを特徴とする前記(1)記載のインクジェット記録方法。
【0010】
(3)前記インクBは、ポリマー微粒子に水不溶性又は水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョンを含み、25℃におけるインク粘度が5〜15mPa・sであることを特徴とする前記(2)記載のインクジェット記録方法。
【0011】
(4)前記ポリマーエマルジョンを構成するポリマーが、ビニル系ポリマーまたはエステル系ポリマーであることを特徴とする前記(3)記載のインクジェット記録方法。
【0012】
(5)前記インクAは、シアンの着色剤が少なくともC.I.ダイレクトブルー199を含み、マゼンタの着色剤が少なくともC.I.アシッドレッド254を含み、イエローの着色剤が少なくともC.I.アシッドイエロー23を含み、これらは25℃におけるインク粘度が2〜10mPa・sであることを特徴とする前記(2)記載のインクジェット記録方法。
【0013】
(6)普通紙に印写するときはインクBのみで印写し、光沢紙に印写するときはインクA及び/又はインクBを用いて印写することを特徴とするインクジェット記録方法。
【0014】
(7)画像の光沢性が要求される箇所には主としてインクAで印写し、光沢性が必要でない箇所には主としてインクBで印写することを特徴とするインクジェット記録方法。
【0015】
(8)入力する画像データに光沢度に関連した情報をもたせ、それに対応して前記インクA及びインクBの印写量を調整し、重ね印写することを特徴とするインクジェット記録方法。
【0016】
(9)測定角度60°における光沢度が40%以上の光沢紙にインクA及びインクBの重ね打ち量を調整して印写し入力光沢度情報に対応した部分的に光沢度に違いのある画像をうることを特徴とする前記(6)〜(8)のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
【0017】
(10)少なくともインクBで印写され、必要に応じてインクAも重ね印写された低光沢度の周囲画像の中に、インクAのみの文字または記号情報を印写して、該文字または該記号情報の光沢性を際立たせ認知させやすくすることを特徴とするインクジェット記録方法。
【0018】
(11)インクAのみで印写された光沢性の周囲画像の中に、文字または記号情報を少なくともインクBで印写し、必要に応じてインクAも重ね印写して、光沢度のコントラストから該文字または信号情報を認知しやすくすることを特徴とするインクジェット記録方法。
【0019】
(12)原稿画像の光沢度を読み取りその信号に応じてインクA及びインクBを印写して、部分的な光沢性に違いのある画像を得ることを特徴とするインクジェット記録方法。
【0020】
(13)記録媒体の光沢度を読み取りその信号に応じて普通紙と判断され特に光沢性に違いのある画像が必要とされない場合はインクBのみで印写し、光沢度の違いが必要とされる場合には測定角60°における光沢度が40%以上である時に該記録媒体の光沢度に応じたインクA及びインクBの相対量を調整して印写して、部分的に光沢性に違いの有する画像を得ることを特徴とするインクジェット記録方法。
【0021】
(14)前記(1)〜(13)のいずれかに記載のインクジェット記録方法を用いる画像形成装置であって、記録媒体及び/又は原稿画像の光沢度の読み取り手段、その読み取り信号に応じて印写されるインクA、インクBの印写手段を具備したことを特徴とするインクジェット記録装置。
【0022】
(15)前記(1)〜(13)のいずれかに記載のインクジェット記録方法によって作成されたことを特徴とする記録物。
【0023】
上記記載において、同一色とは色相が類似しているもので、例えばインクAがシアン系ならインクBもシアン系、インクAがマゼンタ系ならインクBもマゼンタ系、インクAがイエロー系ならインクBもイエロー系、という意味である。
【0024】
また、本発明のインクAはインクA群を含み、インクBはインクB群を含むものである。このため、インクA群とはインクAに属する各色のインクの集合であり、インクB群とはインクBに属する各色のインクの集合である。
【0025】
また上記において、分散した状態とは着色剤が室温においてマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)が10nm以上の状態であり、通常の水性顔料インクがインクに分散した状態はこれに該当する。また、油性染料をポリマー微粒子とともに水性インク中に分散させた場合も該当する。
【0026】
また上記において、溶解した状態とはインク溶媒への溶解度が少なくとも0.1重量%以上の着色剤が溶解度限界内の量にある状態であり、通常の水性染料インクがインクに溶解した状態はこれに該当する。
【0027】
また上記において、低着色剤濃度とは通常着色剤濃度(0.5〜20重量%:好ましくは2〜10重量%)のインクの1/2〜1/10の濃度のインクである。低画像濃度部に使用することを目的としたものである。
【0028】
また上記において、普通紙とは通常の電子写真用紙などを示す。光沢紙とは主に無機顔料を主成分とした隙間吸収型の通常のインクジェット光沢紙の他に多少とも光沢処理を施した紙も含める。
【0029】
また上記において、重ね印写とはドットが実際に重なる場合のみでなく、目的の面積の中の双方のインクのドットの量を調整して目的の画像を出すことも含める。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下本発明を更に詳細に説明する。
本発明はインクA(染料インク)、インクB(顔料インク)との組合せによるインクジェット記録用インクセットによって、光沢度に差をもたせた記録物を得るものである。
ここで、光沢度に関しての情報はパソコンでCG画像を作成時に作成し、それに従って、染料インクの打ち込み量、顔料インクの打ち込み量を調整し印写装置にその信号を送る。その信号に従って染料インク、顔料インクを常備した本発明の光沢度を変化可能なプリンターで印写すれば光沢度情報の織り込んだ画像が作成できる。一方、このようにして作成した光沢度に違いを有した画像は通常のスキャナー読み込みではその情報は失われてしまうが光沢度測定装置をスキャナーに設けることで光沢度情報をコピーすることができる。光沢度読み取りの方法としては原稿画像に光照射しその正反射光量を求める方法で可能である。
【0031】
このようなインクジェットプリンンター装置は特にいずれかの色、例えばマゼンタを顔料インクと染料インクを用意してもよいが、可能であれば黒、マゼンタ、シアン、イエローいずれも染料インクと顔料インクを装置内に常備していればそれぞれの色の光沢度コントラストのある画像が得られる。またその場合、普通紙には顔料インクのみを使用すれば普通紙にても耐水性の良好なカラー画像が得られる。一方、光沢紙において染料インクのみを使用すれば全面光沢をもった画像も得られる。従来知られているように特に低画像濃度部の粒状感を低減するために低着色剤濃度のインクをさらに用意してもよい。
【0032】
このように全色の顔料インク、染料インクを揃えることにより多くの媒体に対応可能なインクジェットプリンターが得られるだけでなく顔料インクと染料インクを打ち分けること、及び重ね打ちすることにより光沢度を変化させた従来にない光沢度情報を有した画像が得られる。
【0033】
一方、鋭意検討を行なった結果、本発明の目的に適した良好な顔料インク用材料としてはポリマー微粒子に色材を含有させたエマルジョンを用いて湿潤剤、浸透剤、水溶性有機溶剤から構成した顔料インクが本発明の目的に最適であった。すなわちこの顔料インクは光沢紙にても定着性がよく光沢紙にて光沢度が十分低く、染料インク画像部とのコントラストが良好であった。
さらに普通紙ではにじみ、ブリードが少なく、高彩度、高発色濃度で、しかも裏抜けの少ない画像が得られた。もちろん従来公知の顔料インクたとえば樹脂分散した顔料インクでも染料インクと組み合わせることにより光沢紙上での光沢度調整が可能である。
また同様に顔料表面にスルフォン基、あるいはカルボキシル基などを付与した自己分散性の顔料でも染料インクと組み合わせることにより光沢紙上での光沢度調整が可能である。
【0034】
インクとしては25℃における表面張力が40mN/m以下の低表面張力の水性インク、インクセットが好ましい。
これは本発明者らが、記録画像の乾燥性を改善するために種々の手段について検討を行った結果、インクの表面張力を40mN/m以下、好ましくは20〜40mN/mになるように調整すればほとんどの被記録材に対しても速やかな浸透乾燥が可能であることを見いだしたことに基づくものである。また、インクの表面張力を40mN/m以下にすることで、インクのヘッド部材への濡れが良くなり8mPa・s(25℃)以上の高粘度インクでも周波数応答性が向上し、吐出安定性が格段に向上したことによる。この低表面張力のインクは炭素数8以上、11以下のポリオールまたはグリコールエーテルと、アニオンまたはノニオン系界面活性剤を用いることにより達成出来る。
インクの表面張力を40mN/m以下にするには、上記ポリオール、またはグリコールエーテルと、アニオンまたはノニオン系界面活性剤をインク中に活性剤の総計1重量%以上、好ましくは2〜4重量%添加するといった手段を採用すればよい。
【0035】
顔料インクの粘度は5〜15mPa・sが好ましい。さらに好ましくは8〜10mPa・sである。これ以下の粘度では普通紙印字の際ににじみやすく、これ以上の粘度では噴射安定性が劣る。
また特に顔料インクにては8mPa・s(25℃)以上の高粘度インク、インクセットを用いることにより普通紙でも滲み(フェザリング)がほとんどなくなる。
【0036】
顔料インク中の色材を含有するポリマーエマルジョン濃度が固形分で8wt%以上、好ましくは8〜20wt%、さらに好ましくは8〜12wt%にする。ポリマーエマルジョン濃度あるいは顔料濃度を高めることにより、インクの粘度が高くなり、普通紙で印写した場合、顔料が紙表面で凝集しとどまり易くなり発色濃度、色調が向上するとともにフェザリングもほとんどなくなる。インク中の顔料自体の重量%は2〜15重量%、好ましくは6〜10重量%が適当である。少ないと画像濃度が出ないし、多いと噴射不安定になる。
【0037】
湿潤剤としてはエチレングリコール(ジエチレングリコール)、グリセリン、1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等から選ばれた少なくとも1種類以上の高粘度の湿潤剤とグリセリンの混合した高粘度の湿潤剤が好ましい。
高粘度の湿潤剤を用いると、高顔料濃度と相まって高粘度のインクを達成出来る。
【0038】
顔料インク用色材としては、ポリマー微粒子に水不溶性または水難溶性の色材を含有させたポリマーエマルジョンからなる。ここで「色材を含有させた」とは、ポリマー微粒子中に色材を封入した状態およびポリマー微粒子の表面に色材を吸着させた状態の何れか又は双方を意味する。この場合、本発明のインクに配合される色材はすべてポリマー微粒子に封入または吸着されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、該色材がエマルジョン中に分散していてもよい。
【0039】
上記色材としては、水不溶性若しくは水難溶性であって、上記ポリマーによって吸着され得る色材であれば特に制限なく用いられる。上記色材としては、例えば、油溶性染料、分散染料等の染料や、顔料等が挙げられる。良好な吸着・封入性の観点から油溶性染料及び分散染料が好ましいが、得られる画像の耐光性からは顔料が好ましく用いられる。
【0040】
上記ポリマーエマルジョンを形成するポリマーとしては、例えば、ビニル系ポリマー、エステル系ポリマー及びウレタン系ポリマー等を用いることが出来る。特に好ましく用いられるポリマーはビニル系ポリマー及びエステル系ポリマーであり、特開2000−53897号公報、特開2001−139849号公報に開示されているポリマーを引用する。
【0041】
本発明の好ましい態様によれば、これらの色材を含有するポリマー微粒子の平均粒子径はインク中において好ましくは0.3μm以下であり、最も好ましくは0.01〜0.15μmである。
【0042】
これに用いられる顔料はブラック顔料としてのカーボンブラックが挙げられ、カラー顔料としては、アントラキノン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジアゾ、モノアゾ、ピラントロン、ペリレン、複素環式イエロー、キナクリドンおよび(チオ)インジゴイドを含む。
【0043】
フタロシアニンブルーの代表的な例は、銅フタロシアニンブルーおよびその誘導体(ピグメントブルー15)を含む。
【0044】
キナクリドンの代表的な例は、ピグメントオレンジ48、ピグメントオレンジ49、ピグメントレッド122、ピグメントレッド192、ピグメントレッド202、ピグメントレッド206、ピグメントレッド207、ピグメントレッド209、ピグメントバイオレット19およびピグメントバイオレット42を含む。
【0045】
アントラキノンの代表的な例は、ピグメントレッド43、ピグメントレッド194(ペリノンレッド)、ピグメントレッド216(臭素化ピラントロンレッド)およびピグメントレッド226(ピラントロンレッド)を含む。
【0046】
ピレリンの代表的な例は、ピグメントレッド123(ベルミリオン)、ピグメントレッド149(スカーレット)、ピグメントレッド179(マルーン)、ピグメントレッド190(レッド)、ピグメントバイオレット、ピグメントレッド189(イエローシェードレッド)およびピグメントレッド224を含む。
【0047】
チオインジゴイドの代表的な例は、ピグメントレッド86、ピグメントレッド87、ピグメントレッド88、ピグメントレッド181、ピグメントレッド198、ピグメントバイオレット36およびピグメントバイオレット38を含む。
【0048】
複素環式イエローの代表的な例は、ピグメントイエロー117およびピグメントイエロー138を含む。
【0049】
他の適切な着色顔料の例は、The Colour Index、第三版(The Society of Dyers and Colourists,1982)に記載されている。
【0050】
顔料と湿潤剤の比は、ヘッドからのインク吐出安定性に非常に影響がある。顔料固形分が高いのに湿潤剤の配合量が少ないとノズルのインクメニスカス付近の水分蒸発が進み吐出不良をもたらす。
湿潤剤の配合量は10〜50wt%であり、これに対して色材を含有するポリマー微粒子は8wt%以上、好ましくは8〜20wt%であるので、湿潤剤とポリマー微粒子固形分の両者の比は0.5〜6.25となるが、より好ましくは2.0〜6.0であり、最も好ましくは3.0〜5.0の範囲である。この範囲にあるインクは、乾燥性や保存試験や信頼性試験が非常に良好である。
【0051】
インクに添加する界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤またはノニオン系界面活性剤が用いられる。色材の種類や湿潤剤、水溶性有機溶剤の組合せによって、分散安定性を損なわない界面活性剤を選択する。
【0052】
アニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
【0053】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。
【0054】
アセチレングリコール系界面活性剤は、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどのアセチレングリコール系(例えばエアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485あるいはTGなど)を用いることができるが、特にサーフィノール465、104やTGが良好な印写品質を示す。
【0055】
本発明におけるインクの表面張力は紙への浸透性を示す指標であり、特に表面形成されて1秒以下の短い時間での動的表面張力を示し、飽和時間で測定される静的表面張力とは異なる。測定法としては特開昭63−31237号公報等に記載の従来公知の方法で1秒以下の動的な表面張力を測定できる方法であればいずれも使用できるが本発明ではWilhelmy式の吊り板式表面張力計を用いて測定した。表面張力の値は40mN/m以下が好ましく、より好ましくは35mN/m以下とすると優れた定着性と乾燥性が得られる。
【0056】
本発明のインク中に加えことができる炭素数8以上、11以下のポリオールまたはグリコールエーテルは、25℃の水中において0.1〜4.5重量%未満の間の溶解度を有する部分的に水溶性のポリオールおよび/またはグリコールエーテルを記録用インク全重量に対してを0.1〜10.0重量%添加することによって、該インクのヘッドへの濡れ性が改良され、少量の添加量でも吐出安定性および周波数安定性が得られることが分かった。
▲1▼2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 溶解度:4.2%(20℃)
▲2▼2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 溶解度:2.0%(25℃)
これら25℃の水中において0.1〜4.5重量%未満の間の溶解度を有する浸透剤は、溶解度が低い代わりに浸透性が非常に高いという長所がある。従って、25℃の水中において0.1〜4.5重量%未満の間の溶解度を有する浸透剤と他の溶剤との組み合わせや他の界面活性剤との組み合わせで非常に高浸透性のインクを作成することが可能となる。
【0057】
本発明のインクには上記着色剤、溶媒、界面活性剤の他に従来より知られている添加剤を加えることができる。
【0058】
例えば、防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が本発明に使用できる。
【0059】
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。
その例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
【0060】
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
【0061】
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等がある。
【0062】
これらの他、その目的に応じて水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤等を添加することができる。
【0063】
一方、染料インクとしては着色剤としてインクに溶解可能な染料を使用する以外は上記顔料インクと同様の湿潤剤、界面活性剤、浸透材、pH調整剤、防腐防カビ材が用いられる。
【0064】
特に染料インクとしてシアンの着色剤が少なくともC.I.ダイレクトブルー199を含み、マゼンタが少なくともC.I.アシッドレッド254、イエローの着色剤がC.I.アシッドイエロー23を含む場合に画像の色調、鮮明性、耐光性において好ましく、光沢紙において顔料インク印写部との光沢度のコントラストが特に鮮明になった。
【0065】
染料インクの粘度は2〜10mPa・sが好ましい。さらに好ましくは2〜8mPa・sである。これ以下の粘度にするには着色剤濃度、湿潤剤濃度を下げなければならず画像濃度、噴射安定性に劣る。
本発明では普通紙には主に顔料インクを使用するため染料インクは顔料インクなみに粘度を上げて普通紙にじみを防止する必要はない。
【0066】
ただし従来使用されている染料でもそれなりの特性を得ることは可能と思われる。 例えば酸性基を有する染料を含有するインクについて述べる。カラーインデックの分類に従えば、酸性染料、反応性染料、直接染料がこれらの酸性基を有するものである。
【0067】
具体的な染料の例としては、次のものを挙げることが出来る。
酸性染料としてはC.I.アシッド・イエロー17、C.I.アシッド・イエロー23、C.I.アシッド・イエロー42、C.I.アシッド・イエロー44、C.I.アシッド・イエロー79、C.I.アシッド・イエロー142、C.I.アシッド・レッド35、C.I.アシッド・レッド42、C.I.アシッド・レッド52、C.I.アシッド・レッド82、C.I.アシッド・レッド87、C.I.アシッド・レッド92、C.I.アシッド・レッド134、C.I.アシッド・レッド249、C.I.アシッド・レッド254、C.I.アシッド・レッド289、C.I.アシッド・ブルー1、C.I.アシッド・ブルー9、C.I.アシッド・ブルー15、C.I.アシッド・ブルー59、C.I.アシッド・ブルー93、C.I.アシッド・ブルー249、C.I.アシッド・ブラック2、C.I.フード・ブラック2などが例示できる。
【0068】
直接染料としてはC.I.ダイレクト・イエロー33、C.I.ダイレクト・イエロー44、C.I.ダイレクト・イエロー50、C.I.ダイレクト・イエロー86,C.I.ダイレクト・イエロー144、C.I.ダイレクト・オレンジ26、C.I.ダイレクト・オレンジ102、C.I.ダイレクト・レッド4、C.I.ダイレクト・レッド95、C.I.ダイレクト・レッド242、C.I.ダイレクト・レッド9、C.I.ダイレクト・レッド17、C.I.ダイレクト・レッド28、C.I.ダイレクト・レッド81、C.I.ダイレクト・レッド83、C.I.ダイレクト・レッド89、C.I.ダイレクト・レッド225、C.I.ダイレクト・レッド227、C.I.ダイレクト・ブルー15、C.I.ダイレクト・ブルー76、C.I.ダイレクト・ブルー86、C.I.ダイレクト・ブルー200、C.I.ダイレクト・ブルー201、C.I.ダイレクト・ブルー202、C.I.ダイレクト・ブラック19、C.I.ダイレクト・ブラック22、C.I.ダイレクト・ブラック32、C.I.ダイレクト・ブラック51、C.I.ダイレクト・ブラック154などが例示できる。
【0069】
反応性染料としてはC.I.リアクティブ・イエロー17、C.I.リアクティブ・レッド6、C.I.リアクティブ・ブルー2などが例示できる。その他水性カチオン染料、油性染料を溶解させた油性インクでも可能である。
【0070】
続いて、本発明の記録液(インクA、インクB)を収容した記録液カートリッジおよび記録液カートリッジを具備するインクジェット記録装置について、添付図面を参照して説明するが、以下は構成例のひとつに過ぎず、本発明になんら限定を加えるものではない。
図1は本発明を適用した染料インクカートリッジ及び顔料インクカートリッジを搭載するシリアル型インクジェット記録装置の機構部の概略正面図である。
このインクジェット記録装置の機構部は、両側の側板1、2間に主支持ガイドロッド3及び従支持ガイドロッド4を略水平な位置関係で横架し、これらの主支持ガイドロッド3及び従支持ガイドロッド4でキャリッジユニット5を主走査方向に摺動自在に支持している。キャリッジユニット5には、それぞれイエロー(Y)インク、マゼンタ(M)インク、シアン(C)インク、ブラック(Bk)インクの顔料インクと染料インクをそれぞれ吐出する8個のヘッド6を、その吐出面(ノズル面)6aを下方に向けて搭載し、またキャリッジユニット5のヘッド6の上側には8個のヘッド6に各々インクを供給するための各色のインク供給体である8個のインクカートリッジを交換可能に搭載している。
【0071】
ここで7yはイエローカートリッジで染料インクカートリッジと顔料インクカートリッジの2個からなる。以下同様に、7mはマゼンタ、7cはシアン、7kは黒インクカートリッジを表しそれぞれ顔料インク用と染料インク用の2個からなる。これらの並び方は任意でよく顔料インクカートリッジ4個と染料インクカートリジ4個を揃えて配置してもよい。
【0072】
そして、キャリッジユニット5は主走査モータ8で回転される駆動プーリ(駆動タイミングプーリ)9と従動プーリ(アイドラプーリ)10との間に張装したタイミングベルト11に連結して、主走査モータ8を駆動制御することによってキャリッジ5、即ち8個のヘッド6を主走査方向に移動するようにしている。
【0073】
また、側板1、2をつなぐ底板12上にサブフレーム13、14を立設し、このサブフレーム13、14間に用紙16を主走査方向と直交する副走査方向に送るための搬送ローラ15を回転自在に保持している。そして、サブフレーム14側方に副走査モータ17を配設し、この副走査モータ17の回転を搬送ローラ15に伝達するために、副走査モータ17の回転軸に固定したギヤ18と搬送ローラ15の軸に固定したギヤ19とを備えている。
【0074】
さらに、側板1とサブフレーム12との間には、ヘッド6の信頼性維持回復機構(以下、「サブシステム」という。)21を配置している。サブシステム21は、各ヘッド6の吐出面をキャッピングする8個のキャップ手段22をホルダ23で保持し、このホルダ23をリンク部材24で揺動可能に保持して、キャリッジユニット5の主走査方向の移動でホルダ23に設けた係合部25にキャリッジユニット5が当接することで、キャリッジユニット5の移動に従ってホルダ23がリフトアップしてキャップ手段22でインクジェットヘッド6の吐出面6aをキャッピングし、キャリッジユニット5が印写領域側へ移動することで、キャリッジユニット5の移動に従ってホルダ23がリフトダウンしてキャップ手段22がインクジェットヘッド6の吐出面6aから離れるようにしている。
【0075】
なお、キャップ手段22は、それぞれ吸引チューブ26を介して吸引ポンプ27に接続すると共に、大気開放口を形成して、大気開放チューブ及び大気開放バルブを介して大気に連通している。また、吸引ポンプ27は吸引した廃液を、ドレインチューブ等を介して図示しない廃液貯留槽に排出する。
【0076】
さらに、ホルダ23の側方には、インクジェットヘッド6の吐出面6aをワイピングする繊維部材、発泡部材或いはゴム等の弾性部材からなるワイピング手段であるワイパブレード28をブレードアーム29に取付け、このブレードアーム29は揺動可能に軸支し、図示しない駆動手段で回動されるカムの回転によって揺動させるようにしている。
【0077】
次に、インクカートリッジ7について図2、図3を参照して説明する。ここで、図2は記録装置に装填する前のインクカートリッジの外観斜視図、図3はインクカートリッジの正断面図である。
インクカートリッジ7は、図3に示すように、カートリッジ本体41内所要の色のインクを吸収させたインク吸収体42を収容してなる。カートリッジ本体41は、上部に広い開口を有するケース43の上部開口に上蓋部材44を接着又は溶着して形成したものであり、例えば樹脂成型品からなる。また、インク吸収体42は、ウレタンフォーム体等の多孔質体からなり、カートリッジ本体41内に圧縮して挿入した後、インクを吸収させている。
【0078】
カートリッジ本体41のケース43底部には記録ヘッド6へインクを供給するためのインク供給口45を形成し、このインク供給口45内周面にはシールリング46を嵌着している。また、上蓋部材44には大気開放口47を形成している。
そして、カートリッジ本体41には、装填前の状態で、インク供給口45を塞ぐとと共に装填時や輸送時などのカートリッジ取扱い時、或いは真空包装時による幅広側壁に係る圧力でケース43が圧縮変形されて内部のインクが漏洩することを防止するため、キャップ部材50を装着している。また、大気開放口47は、図2に示すように、酸素透過率が100ml/m2以上のフィルム状シール部材55を上蓋部材44に貼着してシールしている。このシール部材55は大気開放口47と共にその周囲に形成した複数本の溝48をもシールする大きさにしている。
【0079】
このように大気開放口47を酸素透過率が100ml/m2以上のシール部材55でシールすることで、インクカートリッジ7を透気性のないアルミラミネートフィルム等の包装部材を用いて減圧状態で包装することにより、インク充填時やインク吸収体42とカートリッジ本体41との間に生じる空間A(図3参照)にある大気のためにインク中に気体が溶存したときでも、シール部材55を介してインク中の空気が真空度の高いカートリッジ本体41外の包装部材との間の空間に排出され、インクの脱気度が向上する。
【0080】
また、図4には、本発明の記録液を収容した記録液収容部と、記録液滴を吐出させるためのヘッド部を備えた記録カートリッジの構成例を示し、これについて説明する。
すなわち、記録ユニット30は、シリアルタイプのものであり、インクジェットヘッド6と、このインクジェットヘッド6に供給される記録液を収容するインクタンク41と、このインクタンク41内を密閉する蓋部材とで主要部が構成される。インクジェットヘッド6には、記録液を吐出するための多数のノズル32が形成されている。記録液はインクタンク41から、図示しないインク供給管を介して、やはり図示しない共通液室へと導かれ、電極31より入力される記録装置本体からの電気信号に応じて、ノズル32より吐出される。
【0081】
ここでは、前述のようなシリアル型インクジェット記録装置を説明したが、本発明の記録液は、ノズルを千鳥など任意の配列で、目的とする画像の解像度と同じか数分の1程度の密度に集積し、記録媒体の幅以上に配列させた、いわゆるラインヘッドを有する記録装置に適用することも可能である。
【0082】
また、ここでいう記録装置とは、PCやデジカメ用の出力プリンタのみならず、ファックスやスキャナ、電話などと組み合わせた複合的な機能を有する装置であっても構わない。
【0083】
【実施例】
以下に本発明の実施例および比較例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例に記載の各成分の量(%)は重量基準である。
【0084】
(1)フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調整例:
特開2001−139849号公報の調整例3を追試して青色のポリマー微粒子分散体を得た。
ポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は93nmであった。
【0085】
(2)ジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調整例:
上記(1)の調製例のフタロシアニン顔料をピグメントレッド122に変更したほかは調製例(1)と同様にして赤紫色のポリマー微粒子分散体を得た。ポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は127nmであった。
【0086】
(3)モノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体の調整例:
上記(1)の調製例のフタロシアニン顔料をピグメントイエロー74に変更したほかは上記調製例(1)と同様にして
黄色のポリマー微粒子分散体を得た。ポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は76nmであった。
【0087】
(4)カーボンブラック含有ポリマー微粒子分散体の調整例:
上記(1)の調製例のフタロシアニン顔料をカーボンブラック(デグサ社 FW100)に変更したほかは参考例1と同様にして黒色のポリマー微粒子分散体を得た。ポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は104nmであった。
【0088】
下記処方のインク組成物を作成し、pHが9になるように水酸化リチウム10%水溶液にて調整した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行いインク組成物を得た。
【0089】
(シアン顔料インク)
フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子12.0wt%(固形分として)
2,3−ブタンジオール 23.5wt%
グリセロール 7.5wt%
N−メチル−2−ピロリドン 0.5wt%
CH3(CH2)12O(CH2CH2O)3CH2COOH 2.0wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
粘度8.1mPa・sである。
【0090】
(マゼンタ顔料インク)
ジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子10wt%(固形分として)
1,3−ブタンジオール 22.5wt%
グリセロール 7.5wt%
CH3(CH2)12O(CH2CH2O)5CH2COOH 2.0wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
粘度8.2mPa・sである。
【0091】
(イエロー顔料インク)
モノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子 15.0wt%(固形分として)
2−メチル−2,4−ペンタンジオール 22.5wt%
グリセロール 7.5wt%
N−メチル−2−ピロリドン 5.0wt%
CH3(CH2)12O(CH2CH2O)3CH2COOH 2.0wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
粘度9.12mPa・sである。
【0092】
(ブラック顔料インク)
カーボンブラック含有ポリマー微粒子 8.0wt%(固形分として)
ジプロピレングリコール 20.0wt%
グリセロール 10.0wt%
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン 5.0wt%
CH3(CH2)12O(CH2CH2O)3CH2COOH 2.0wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
粘度8.1mPa・sである。
【0093】
(シアン染料インク)
C.I.ダイレクトブルー199 4.0%
プロピレングリコール 22.5%
グリセリン 7.5%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
ポリオキシアルキレン誘導体
(デイスパノールTOC、日本油脂社製) 2.0%
プロキセルLV 0.2%
イオン交換水 残量
粘度4.1mPa・sである。
【0094】
(マゼンタ染料インク)
C.I.アシッドレッド 254 4.5wt%
1,3−ブタンジオール 15.0wt%
グリセリン 5.0wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
ポリオキシアルキレン誘導体
(ディスパノールTOC、日本油脂社製) 2.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
粘度3.01mPa・sである。
【0095】
(イエロー染料インク)
C.I.ダイレクトイエロー144 1.125wt%
C.I.アシッドイエロー23 1.125wt%
プロピレングリコール 22.5wt%
グリセリン 7.5wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0wt%
ポリオキシアルキレン誘導体
(ディスパノールTOC、日本油脂社製) 2.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
粘度3.7mPa・sである。
【0096】
(ブラック染料インク)
C.I.ダイレクトブラック168 4.0wt%
1,3−ブタンジオール 15.0wt%
グリセリン 5.0wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0wt%
ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム 2.0wt%
イオン交換水 残量
粘度3.0mPa・sである。
【0097】
これらのインクの表面張力はいずれも35mN/m以下(25℃)であった(Wilhelmy法)。
【0098】
(印写実験確認)
(1)リコー社製のインクジェットプリンター(イプシオJET300)に上記のシアン顔料インク、イエロ−顔料インク、マゼンタ染料インク、黒染料インクを搭載し、イエロー顔料インクとシアン顔料インクでの周囲ベタ画像(イエロー、シアン、あるいは緑)の中にマゼンタ染料インクで文字を書きこむ印写パターンで図5に示したように印写した。紙はエプソン社製の光沢紙フォトプリント2、及びPM写真用紙、及びキャノン社製のプロフェッショナルフォトペーパーPR−101を使用した。その結果、周囲は顔料インクを使用しているため光散乱し、光沢性がなく、その中に光沢を有する染料インクで印写した文字が光沢のコントラストをもって浮き上がってみえた。光源から逆方向からみると文字のみが光沢を有して認識された。道路標識あるいは建物内通路標識などに最適に使用可能である。
【0099】
(2)イプシオJET300にマゼンタ顔料インクとマゼンタ染料インクを搭載し、マゼンタ顔料インクベタ部の中にマゼンタ染料インクの文字部を印写した。このように同一色の光沢のみ異なる場合、正面からの認識度は低いが光源からの反射光をみると区別が容易となる。このような光沢度の違いは通常のカラー電子写真によるコピー、あるいは通常のスキャナー読み取りインクジェット書きこみでは不可能である。従って偽造防止になる。光沢度読み取り装置付きスキャナーによる読み取り、光沢度可変プリンターであれば偽造可能であるが、原図の中に特定の偽造防止記号を印写しておいてそれを読み込んだ場合に何らかの防止手段を行うようにすれば偽造防止可能である。
【0100】
(3)イプシオJET 300にイエロー染料インクとマゼンタ顔料インク及びシアン顔料インクを搭載してマゼンタ、あるいはシアン、あるいはブルー顔料インクのベタ画像の中に光沢の高いイエロー染料インクの文字画像を作成しその光沢の効果を確認した。
同様にシアン染料インクとイエロー顔料インク及びマゼンタ顔料インクを搭載してマゼンタ、あるいはレッド顔料インクベタ部の中にシアン染料インク印写部の光沢の易認識効果を確認した。
【0101】
(4)エプソン社製のインクジェットプリンターEM930Cのカートリッジにもマゼンタ染料インク及びシアン顔料インク、イエロー顔料インクを搭載し印写した。紙はエプソン社製造フォトプリント紙2、印写モードはフォトプリント、フォト、色補正なしである。シアン顔料部(光沢度22%)、あるいは緑顔料部のベタ部の中にマゼンタ染料部(光沢度45%)の文字画像の光沢コントラストが得られた。光沢度はビックケミー・ジャパン株式会社製のマイクログロス光沢計(60°製品No.4501)で測定角度60°で測定した(黒色ガラス標準版(屈折率:1.567)を100とした)。
逆にマゼンタ染料インクベタ部(光沢)の中にシアン顔料インク(非光沢)を設けても光沢コントラスト画像が得られた。
【0102】
(5)エプソン社製のEM930Cにおいてマゼンタ染料インクとマゼンタ顔料インクをセットしその印写比率をかえていった。紙は測定角度60°で光沢度58%の光沢紙である。その結果、光沢度が染料のみ(光沢度63%)、染料/顔料=3/1(光沢度62%)、染料/顔料=1/1(光沢度46%)、染料/顔料=1/3(光沢度44%)、顔料(光沢度41%)というように染料、顔料印写比率をかえて光沢度が調整可能であることを確認した。
同様にシアンインクの場合は染料のみ(光沢度75%)、染料/顔料=3/1(光沢度62%)、染料/顔料=1/1(光沢度59%)、染料/顔料=1/3(光沢度47%)、顔料(光沢度37%)と調整可能であった。
【0103】
なお、光沢度が40%未満のコート紙においては染料、顔料印写比率を変えても光沢度調整は困難であった。
【0104】
図6はシアン染料インク・シアン顔料インク重ね印写の場合の染料インク比率と画像の光沢度の関係、図7はその紙の光沢度(地肌光沢度)と図6における傾きの関係を図示した。紙の地肌光沢度が40%以上になると染料・顔料印写比率で光沢度調整が可能で、紙の地肌光沢度がそれ以下であるとその調整が困難であることを示す。
【0105】
ここでの染料、顔料印写比率は上記インクの粘度でEM930Cにて印写した場合の印写ドット数の比率を表す。図8、図9はマゼンタインクの場合である。このようなデータを利用すれば紙の光沢度に応じて顔料インク、染料インク比率を選ぶことにより、各部分で目的の光沢度を有する画像が得られる。
【0106】
なお上記染料インクはいずれも電子写真用紙(普通紙:リコーマイペーパーTA)上の印刷で水褪色率(30℃水に1分間浸漬後の主画像濃度減衰率)は15%以上で、顔料インクは5%以下である。従ってイエロー、マゼンタ、シアン染料インク、イエロー、マゼンタ、シアン顔料インクを機種内に装備した機種であれば、普通紙に印写時は顔料インクのみで印写し高耐水性の画像を得、光沢紙においては染料インクと顔料インクを紙の地肌光沢度に対応した最適比率で印写して目的の光沢度を有する画像が得られる。なお黒インクに関しても同様の効果が得られる。
【0107】
(6)顔料インクを使用した機種(エプソン社製造商品名PM−4000−PX用インク)を使用して該機種の顔料インクを印写したベタ画像の中にEM930Cで前記処方の染料インクで文字部を印写すれば前記と同様に光沢度コントラストのある画像が得られた。また該機種の顔料インクと前記処方の染料インクを重ね印写すれば同様に光沢度調整が可能なことを確認できた。
【0108】
【発明の効果】
本発明の黒、イエロー、マゼンタ、シアン染料インク及び上記黒、イエロー、マゼンタ、シアン顔料インクを設置した機械であれば普通紙上には顔料インクで印写し耐水性の良好な画像が得られる。また光沢紙にては顔料インク及び染料インクの比率を変えて印写することにより光沢度コントラストを調整した画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した染料インクカートリッジ及び顔料インクカートリッジを搭載するシリアル型インクジェット記録装置の構成例を示す概略正面図。
【図2】記録装置に装填する前のインクカートリッジの外観斜視図。
【図3】インクカートリッジの正断面図。
【図4】記録ヘッドと一体化された記録ユニットの外観斜視図。
【図5】印写画像モデル。
【図6】シアン色の染料インク、シアン色の顔料インクを重ね印写した場合の染料インク比率と画像の光沢度の関係を表わした図。
【図7】紙の光沢度(地肌光沢度)と図6における傾きの関係を表わした図。
【図8】マゼンタ色の染料インク、マゼンタ色の顔料インクを重ね印写した場合の染料インク比率と画像の光沢度の関係を表わした図。
【図9】紙の光沢度(地肌光沢度)と図8における傾きの関係を表わした図。
【符号の説明】
1、2 側板
3 主支持ガイドロッド
5 キャリッジユニット
6 ヘッド(インクジェットヘッド;記録ヘッド)
6a 吐出面
7y、7m、7c、7k インクカートリッジ
8 主走査モータ
11 タイミングベルト
12 底板(サブフレーム)
13、14 サブフレーム
15 搬送ローラ
16 用紙
17 副走査モータ
18 ギヤ
19 ギヤ
21 サブシステム
22 キャップ手段
23 ホルダ
24 リンク部材
25 係合部
26 吸引キューブ
27 吸引ポンプ
28 ワイパブレード
29 ブレードアーム
30 記録ユニット
31 電極
32 ノズル
41 カートリッジ本体(インクタンク)
42 インク吸収体
43 ケース
44 上蓋部材
45 インク供給口
46 シールリング
47 大気開放口
48 溝
50 キャップ部材
55 シール部材(フィルム状シール部材)
Claims (8)
- 黒、マゼンタ、シアン、又はイエローの着色剤がインク中に溶解した状態のインク(インクA)と、このインクAの着色剤と同一色の着色剤がインク中に分散した状態のインク(インクB)を用い、測定角度60°における光沢度が40%以上の光沢紙にインクA及びインクBの重ね打ち量を調整して印写することを特徴とするインクジェット記録方法。
- 少なくとも水と湿潤剤を有する水性インクであって、かつインクAの着色剤が主として染料であり、インクBの着色剤が主として顔料であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録方法。
- 前記インクBは、ポリマー微粒子に水不溶性又は水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョンを含み、25℃におけるインク粘度が5〜15mPa・sであることを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録方法。
- 前記ポリマーエマルジョンを構成するポリマーが、ビニル系ポリマーまたはエステル系ポリマーであることを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録方法。
- 前記インクAは、シアンの着色剤が少なくともC.I.ダイレクトブルー199を含み、マゼンタの着色剤が少なくともC.I.アシッドレッド254を含み、イエローの着色剤が少なくともC.I.アシッドイエロー23を含み、これらは25℃におけるインク粘度が2〜10mPa・sであることを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録方法。
- 入力する画像データに光沢度に関連した情報をもたせ、それに対応して前記インクA及びインクBの印写量を調整し、重ね印写することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 請求項6に記載のインクジェット記録方法を用いる画像形成装置であって、記録媒体及び/又は原稿画像の光沢度の読み取り手段、その読み取り信号に応じて印写されるインクA、インクBの印写手段を具備したことを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録方法によって作成されたことを特徴とする記録物。
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