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JP4185302B2 - 潜熱蓄熱装置の通電制御方法 - Google Patents
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JP4185302B2 - 潜熱蓄熱装置の通電制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、潜熱蓄熱材を用いる蓄熱式暖房システムに関し、特に蓄熱時における通電を制御する方法、およびその方法を用いて通電制御する蓄熱式床暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液相と固相の相変化に伴う潜熱を利用して蓄熱を行う潜熱蓄熱材を用いた蓄熱式床暖房システムが知られている。このシステムの加熱手段としては温水式と電気式があり、電気式の場合、床材の下に蓄熱材と電気ヒーターが配置され、電気料金の安い深夜電力を利用して電気ヒーターに通電して蓄熱材に蓄熱を行い、昼間に蓄熱材から放熱させ、その熱を暖房に利用する。
【0003】
従来の電気式の蓄熱式床暖房システムにおいては、深夜電力時間帯の開始時刻に電気ヒーターに通電を開始し、終了時刻に通電を終了する。この通電時間中は蓄熱材の過昇温を防止するために加熱時到達最高温度を設定してON/OFF制御を行っている。これによって蓄熱材への蓄熱が行われる。
【0004】
しかるに、蓄熱材温度が加熱時到達最高温度まで上昇した後の放熱を開始するまでの間は、ON/OFF動作が繰り返されて蓄熱材の温度が一定に保たれており、その間の電力は暖房に用いられることなく無駄に消費されるので、より消費電力が少ない、ON/OFF制御に代わる蓄熱時の通電制御方法が求められていた。
【0005】
ON/OFF制御に代わる消費電力が少ない通電制御方法が、特開平6−74674号公報に開示されている。すなわち、翌日の予測天候、予測最低温度および蓄熱材の残りの熱量から次回の加熱時間を演算して制御する蓄熱暖房システムが開示されている。しかし、このシステムは液相と固相の相変化に伴う潜熱を利用することのない顕熱蓄熱材における通電制御方法であるため、加熱時間と蓄熱材温度が直線関係ではないうえに融解曲線と凝固曲線とが一致しない(ヒステリシスが存在する)潜熱蓄熱材に対応できるものではなかった。
【0006】
また特開平8−42866号公報には、蓄熱材温度および室温を測定し、通電時間の予測式によって通電時間を算出することによる蓄熱式暖房システムの蓄熱時の通電制御方法が開示されている。しかしながら、予測式は係数を有しており、係数を決定するためには、施工により蓄熱装置を設置した後使用開始前に通電試験が必要であった。複数回の通電試験を行って温度データを取得し、その温度データを用いて予測式の係数を重回帰により算出しておく必要があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、潜熱蓄熱材を用いた蓄熱式床暖房システムにおいて、施工後使用開始前の通電試験による温度データ取得を必要とせず、消費電力が少ない蓄熱時の通電制御方法およびその方法を用いて通電制御を行う蓄熱式床暖房装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、潜熱蓄熱材を用いた蓄熱式暖房システムの蓄熱時の通電制御方法について鋭意研究し、深夜電力時間帯開始直前から所定の時間間隔で蓄熱材温度を測定し、その値と設定された加熱時到達最高温度とから、潜熱蓄熱材の凝固時の熱量−温度曲線を近似した線を表わす特性式とを用いて、蓄熱材を加熱する電気ヒーターの通電所要時間を算出し、該電気ヒーターへの通電開始時刻を調節することにより、施工後使用開始前の通電試験による温度データ取得を必要とせず、しかも消費電力を少なくなる通電制御ができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち本発明は、過冷却の存在する潜熱蓄熱材を用いた蓄熱装置において、深夜電力時間帯開始直前から所定時間間隔で測定した蓄熱材温度と設定された加熱時到達最高温度とから、潜熱蓄熱材の凝固時の熱量−温度曲線に近似し、温度の低下と共に熱量が単調に減少する曲線および/または直線を表す特性式を用いて、蓄熱材を加熱する電気ヒーターの通電所要時間を算出し、該電気ヒーターへの通電開始時刻を調節する蓄熱装置の蓄熱時における通電制御方法を提供する。また本発明は、前記記載の通電制御方法を用いて通電制御を行う蓄熱式床暖房装置を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳しく説明する。
本発明の通電制御方法は、潜熱蓄熱材の熱量−温度曲線に基づきながらも、その熱量−温度曲線を制御に適した線で近似し、その線を表わす特性式を用いて通電時間の算出を行うことに特徴がある。本発明の制御方法を潜熱蓄熱材の熱量−温度曲線を用いて説明する。融点以下の温度T1(固化状態)から融点以上の温度T2(融解状態)まで加熱し(融解過程)、再びT2からT1に冷却する(凝固過程)間に出入りする熱量の温度による変化を示す曲線を熱量−温度曲線と称する。熱量−温度曲線のうち融解過程に対応する部分を融解曲線、凝固過程に対応する部分を凝固曲線と称する。
【0011】
本発明の実施例において用いられている潜熱蓄熱材の熱量−温度曲線を図1に示す。図中のA−B−Cを結ぶ曲線が融解曲線であり、C−D−E−F−G−Aを結ぶ曲線が凝固曲線である。潜熱蓄熱材においては一般に融解曲線と凝固曲線は一致せず、ヒステリシスを示す。更に凝固曲線では、図1のD−E−Fの如く、融解状態のまま凝固点Fよりも低温を経過したのちに、凝固が開始されて再び昇温して凝固点Fに到るのが一般的であり、この現象を過冷却と称している。この過冷却が存在するために、凝固曲線においては蓄熱材の温度と熱量が1対1の対応をしない領域があることになる。即ち、D−E−Fを含む温度域では同一温度に対応する熱量が2または3点存在する。このことは蓄熱材温度を測定しただけでは熱量を算出できないことを意味しており、顕熱型蓄熱材とは異なる困難さがあり、障壁となっていた。
【0012】
本発明の方法においては熱量−温度曲線の凝固曲線を温度の関数となるように近似した線を表す特性式を用いる。凝固曲線はC−D−E領域は通常は直線になり(融液領域)、E−F−Aは曲線となる(固液共存領域)。この2領域に区分して近似曲線を求める。実際にはD−E−F領域で電気ヒーターへの通電を開始することはないので、本発明においてはD−E−F領域を直線D−Fで近似するのである。すると、C−DとD−F−G−Aの2領域に区分することができる。直線C−Dと曲線D−F−G−Aは温度の減少と共に熱量が単調に減少する関係にある。これによってC−D−F−G−Aの全領域にわたって熱量と温度が1対1に対応することになるので、制御することが容易となる。ここでD点はF点における接線とC−Eとの交点である。曲線D−F−G−Aは単一の曲線で近似してもよいし、細分化して複数の曲線の結合で近似してもよい。なお、図1ではD−Fを1次、F−Gを3次、G−Aを1次曲線で近似してある。
【0013】
本発明の方法は、トリガー作動がある場合においても、トリガー作動がない場合においても用いることができる。トリガー作動とは、過冷却の状態となった潜熱蓄熱材の凝固を開始させて液相と固相の相変化に伴う潜熱の放熱を開始させることである。トリガー作動は通常は過冷却の状態となった潜熱蓄熱材をその潜熱蓄熱材の種結晶と接触させて行う。トリガー作動がある場合は、トリガー作動の時点で凝固が始まり、それ以降は前記凝固曲線の経過をたどって冷却される。従って特性式としては直線C−Dと曲線D−F−G−Aとを用いる。トリガー作動がない場合は、潜熱蓄熱材は凝固を経ずに融解状態のまま冷却されるので、特性式としては直線C−Dを表わす式を用いる。
【0014】
さらに、本発明の方法は、過冷却を殆ど生じない潜熱蓄熱材を用いた蓄熱装置にも用いることができる。すなわち、過冷却を殆ど生じない潜熱蓄熱材においては、加熱蓄熱したのちに通電を停止すると、蓄熱材温度は自然放熱により低下し、図1において凝固時には温度C−D−E−F−G−Aの経過をたどる。この場合の特性式としては直線C−Dと曲線D−F−G−Aとを用いればよい。
【0015】
本発明の方法においては電気ヒーターを用いて深夜電力により蓄熱を行う。従って通電時間は深夜電力時間帯の開始時刻から終了時刻の間のある時間であり、本発明の方法により調節した通電開始時刻から深夜電力時間帯の終了時刻まで通電する。本発明においては深夜電力時間帯開始直前から所定の時間間隔で蓄熱材温度を測定し、その蓄熱材温度と加熱時到達最高温度とから上記特性式とを用いて電気ヒーターの通電所要時間を算出し、該電気ヒーターへの通電開始時刻を調節する。通常は、電気ヒーターの通電所要時間該が深夜電力時間帯の残りの時間より長くなったときに通電を開始する。従って、所定時間間隔で測定された蓄熱材温度が高い場合は、それから必要な蓄熱量が少ないので、電気ヒーターの通電所要時間が短く算出され、その結果、通電開始時刻が遅くなり、ON/OFF制御に比較して、電力消費量を低減させることができる。
【0016】
本発明の方法においては加熱時到達最高温度は設定可能な範囲で任意に設定される。これは蓄熱材の劣化・破損を防止し、かつ住環境の快適性を向上させる目的で施工者または蓄熱装置の使用者により設定される。
【0017】
本発明の方法を用いることにより、蓄熱装置の施工前に、該潜熱蓄熱装置で用いる蓄熱材の熱量−温度曲線を作成し、それに近似した線を表す特性式を作成しておけば、施工後使用開始前の通電試験による温度データ取得を必要とせず、施工後直ちに蓄熱装置を使用可能とすることができる。
【0018】
本発明の蓄熱式床暖房装置は次のようにして製造することができる。
潜熱蓄熱材としては、硫酸ナトリウム10水塩、リン酸水素二ナトリウム12水塩、酢酸ナトリウム3水塩、塩化カルシウム6水塩、硝酸カルシウム4水塩などを用いる。蓄熱材に、固液分離防止剤、融点調整剤、分散剤、消泡剤、腐食防止剤、着色剤などを添加することができる。蓄熱材を透湿性のない容器に充填し、蓄熱材の入った容器に蓄熱材を加熱することができる電気ヒーターと、蓄熱材の温度を測定する温度計を取り付ける。これらに電気ヒーターへの通電開始時間を調節することができる制御装置を取り付けることにより、本発明の蓄熱式床暖房装置を製造することができる。該制御装置はマイクロコンピュータを有する制御装置とし、電気ヒーターと温度計とを接続し、加熱時到達最高温度と特性式と制御用プログラムを格納する格納器を有したものとすることにより、設定された加熱時到達最高温度と温度計からの温度データと特性式とから制御用プログラムにより通電所要時間を算出し、電気ヒーターへの通電開始時間を調節することができるものとすることができる。
【0019】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0020】
実施例1
熱量−温度曲線
酢酸ナトリウム3水塩からなる蓄熱材90gを100×100×10mmのポリプロピレン容器に充填し、2枚の熱量計ではさみ、蓄熱材に熱電対を挿入し、側面を断熱材で囲み、恒温器に設置して36℃から58℃まで3℃/時間で昇温して融解熱量と蓄熱材温度を測定し、再び35℃まで3℃/時間で降温して凝固熱量と蓄熱材温度を測定した。測定データを図1にプロットした。
【0021】
特性式
図1の凝固過程のデータのプロットに対して以下の近似式を作成し、図1に実線で示した。
C−D 領域:y=3.0447x+44.00
D−F 領域:y=73.729x−3521.26
F−G 領域:y=0.13998x3−17.719x2
+754.64x−10772.96
G−A 領域:y=5.4910x−197.09
ここにy:熱量(joule/g),x:温度(℃)
【0022】
試験体
プラスチック容器(800×250×30mm)1枚当りに蓄熱材(前記と同じ蓄熱材で過冷却防止剤を添加しない組成のもの)5kgを充填したあと融点以下の温度まで冷却し、酢酸ナトリウム3水塩の種結晶を少量投入して全体を固化させた。容器形状は図2に示すようにA、B部分が突設された形状をしており、BとCの下面に別々のヒーターを貼付した。厚さ50mmの発泡ポリスチレンの上に上記試験体を2枚設置し、側面を幅50mm、厚さ50mmの発泡ポリスチレンで囲み、上面に厚24mmの合板を設置した。ヒーター、容器、合板の上に熱電対を貼付して温度記録計に接続した。コントローラーに前記の特性式を入力し、ヒーターを接続した。
【0023】
放熱制御
B、C部分のヒーターに手動により23時に通電開始して7時まで保持した。これによってB、C部分は融解し(65〜70℃)、A部分は融解せず結晶のまま残った。7時にC部分ヒーターの通電を停止するとC部分の温度は低下したが、B部分は加熱されたままであった。16時にB部分ヒーターの通電を停止する(トリガー作動)とB部分の温度が低下し、40℃以下になるとA部分の内部にある蓄熱材の結晶を種結晶としてB部分の過冷却状態の蓄熱材が凝固(結晶化)してB部分が発熱し、続いてB部分の中の結晶を種結晶としてC部分の中の蓄熱材が凝固し、C部分(33℃まで低下)が発熱した。C部分の温度は43〜48℃であった。これ以降はコントローラーの自動制御運転に切替えた。23時にはB部分の温度は37.7℃であり、自動制御による通電開始は0時35分であった。23時より1時間35分遅延されていた。
【0024】
実施例2
実施例1の試験体を蓄熱体として用いた。実施例1と同じコントローラーを用い、その自動運転により深夜電力時間帯に加熱され、7時にC部分のヒーターが通電停止された。B部分は加熱したままで、次の深夜電力時間帯に至った。(トリガー作動されなかった。)C部分の温度は17時に37.0℃、23時に32.5℃に低下した。自動制御による通電開始は4時30分であり、23時より5時間30分遅延されていた。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、潜熱蓄熱材を用いた蓄熱装置において、ON/OFF制御より消費電力が少なく、かつ施工後の実測を必要とすることなく、蓄熱時の通電開始時刻の制御を行うことができるので、工業的に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】蓄熱材の熱量−温度曲線を示す。○印は測定点を示す。実線は各領域の近似曲線を示す。
【図2】試験体容器の形状を示す。

Claims (4)

  1. 過冷却の存在する潜熱蓄熱材を用いた蓄熱装置であって、深夜電力時間帯開始直前から所定時間間隔で測定した蓄熱材温度と、設定された加熱時到達最高温度と、から潜熱蓄熱材の凝固時の熱量−温度曲線に近似し、温度の低下と共に熱量が単調に減少し、かつ、潜熱蓄熱材の凝固時の熱量−温度曲線を融液領域と固液共存領域において別々に定められた曲線および/または直線を表す二以上の特性式を用いて、蓄熱材を加熱する電気ヒーターの通電所要時間を算出し、該電気ヒーターへの通電開始時刻を調節することを特徴とする蓄熱装置の蓄熱時における通電制御方法。
  2. 潜熱蓄熱材が過冷却領域を有し、トリガー作動がない場合は融液領域の特性式を用い、トリガー作動がある場合は融液領域と固液共存領域とを含む特性式を用いる請求項1に記載の通電制御方法。
  3. 前記潜熱蓄熱材は硫酸ナトリウム10水塩、リン酸水素ニナトリウム12水塩、酢酸ナトリウム3水塩、塩化カルシウム6水塩、硝酸カルシウム4水塩からなる群から選ばれるいずれか1種である請求項1又は2に記載の通電制御方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の通電制御方法を用いて通電制御を行う蓄熱式床暖房装置。
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