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JP4199645B2 - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、及び磁気ディスクの製造方法 - Google Patents
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磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、及び磁気ディスクの製造方法 Download PDF

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Description

本発明はHDD(ハードディスクドライブ)等の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスク及び磁気ディスク用ガラス基板の製造方法に関する。
近年、磁気ディスクの情報記録密度は1平方インチ当り60ギガビット以上を求められるようになってきた。このような高記録密度を実現するためには、スペーシングロスを低減させる観点から、磁気ディスク上を浮上飛行して記録再生する磁気ヘッドの浮上量は10nm以下とする必要がある。このため、磁気ディスク用基板の表面粗さは、磁気ヘッドの浮上量が10nmでもクラッシュ等の障害を防止できるように、極めて平滑化する必要がある。例えば、Rmaxで5nm以下、Raで0.5nm以下のような鏡面にする必要がある。
このような鏡面を得るためには、磁気ディスク用ガラス基板の研磨方法、特に鏡面研磨方法において、様々な技術革新を必要とする。この方途の一つとして研磨剤に含まれる研磨粒子(研磨砥粒)を微細化する方法を挙げることができる。
ところが、本発明者の研究によれば、現在知られている研磨布のアスカーC硬度にかかわらず、研磨砥粒として例えば酸化セリウム(相対的に粒径大)を使用すると主表面の端部の研磨が不十分となって主表面の端部の盛り上がり(主表面の端部が他の主表面の部分よりも突出すること)が生じてしまい問題となり、また、研磨砥粒として例えばコロイダルシリカ(相対的に粒径小)を使用すると主表面の端部が削られて主表面の端部の「端部のだれ」(主表面の端部が他の主表面の部分よりも相対的に多く削られた状態となること)が生じてしまい問題となることが判明した。このように、端部形状の乱れ(端部の盛り上がりや端部のだれ)の問題を顕著に改善し、端部形状に十分に優れた磁気ディスク用ガラス基板は未だ得られていない(第1の課題)。
更に、本発明者の研究によれば、現在知られている研磨布において、アスカーC硬度が比較的小さく相対的に軟らかい研磨布を使用する(研磨砥粒は酸化セリウムを使用)と、鏡面レベルは向上するが、上述したように研磨砥粒として酸化セリウムを使用しているため主表面の端部の盛り上がりが生じるという問題がある。アスカーC硬度が比較的大きく相対的に硬い研磨布を使用する(研磨砥粒は酸化セリウムを使用)と、端部の盛り上がりは相対的に低減できる(顕著には低減できず)ことが判明したが、硬い研磨布を使用すると鏡面レベルが低下してしまうという問題がある。そこで、本発明者は、アスカーC硬度が比較的大きく相対的に硬い研磨布を使用すると共に、研磨砥粒の粒径を微細化することを試みた(研磨砥粒はコロイダルシリカを使用)のであるが、この場合、鏡面レベルの低下は低減できるものの、上述したように研磨砥粒としてコロイダルシリカを使用しているため主表面の端部が削られて「端部のだれ」が生じてしまうことが判明した。以上のように、ディスク表面の鏡面化と、端部形状の乱れ(端部の盛り上がりや端部のだれ)は、トレードオフの関係にあり、現状では上記範囲内の鏡面(Rmaxで5nm以下、Raで0.5nm以下)を有しかつ端部形状に十分に優れた磁気ディスク用ガラス基板は未だ得られていない(第1’の課題)。
ディスク端部形状に乱れが生じると磁気ヘッドの浮上姿勢が乱されるので端部付近においてクラッシュ等の障害を誘発してしまう。
また、近年、磁気ディスクの情報容量を向上させる手投として、磁気ディスク表面上の記録再生用領域を拡大させる傾向にある。例えば、従来HDDはCSS(Contact Start Stop)方式HDDが主流であったが、最近になって、LUL(Load Unload)方式が採用されつつある。LUL方式用磁気ディスクにおいてはCSS用領域(磁気ヘッドとの接触摺動用領域)を設ける必要が無いので磁気ディスク表面上の記録再生用領域を拡大できるという利点があるからである。また、LUL方式用磁気ディスクにあっては、磁気ヘッドと磁気ディスクとの接触摺動が起らないので、磁気ヘッドとの接触による吸着を防止するための凹凸形状を磁気ディスク表面に設ける必要が無い。従って、CSS方式用磁気ディスクに比べてLUL方式用磁気ディスクでは磁気ヘッドの浮上量を一段と低減させることができるという利点もある。言い換えれば、磁気ディスク用基板表面の鏡面化によるスペーシングロスの低減という目的に対して特に好適な方式であるということもできる。
ところが、LUL方式のHDDでは、起動時には磁気ヘッドが磁気ディスク外からディスク面上に進入して起動する。また停止時にはディスク面上からディスク外に退避して停止する。即ち、起動・停止時に磁気ヘッドはディスクの端部付近を通過することになる。このとき、上述したような、ディスク表面上の端部に形状の乱れ(端部の盛り上がりや端部のだれ)があると、磁気ヘッドの浮上姿勢が乱され、クラッシュ障害を起こしやすいという課題が発生した。つまり、LUL方式のHDDでは、ディスク表面上の端部に形状の乱れをCSS方式のHDDに比べ低減する必要性が高い(第2の課題)。
さらに、磁気ヘッドの浮上量を10nm以下とするためには、上述した範囲内の鏡面(Rmaxで5nm以下、Raで0.5nm以下)を有しかつ端部形状に十分に優れた磁気ディスク用ガラス基板を得ることが必要であるが、主表面の「微小うねり」の低減も重要な要素である。
このことを説明すると、近年、いくら高精度に研磨して表面粗さ(Rmax(最大高さ)、Ra(中心線平均粗さ))を小さくしても、磁気ヘッドの浮上高さを下げることができないという問題が生じることが明らかとなった。本願出願人は、その原因が、基板表面に存在する微小うねり(Microwaviness)であることに突き止め、この微小うねりを低減する手段として、研磨パッド表面の表面粗さRz(十点平均粗さ)を20μm以下とすること等の手段を開発し、これにより、低グライドハイト、低モジュレーションの基板を提供しうる技術に関し既に出願を行っている(特許文献1)。
しかし、磁気ヘッドの浮上量を10nm以下とした上で磁気ヘッドの浮上量を更に低減するというより高度な要求を実現するためには、上記微小うねりの低減技術の適用だけでは不十分であり、微小うねりの更なる低減が要求される。本発明者の研究によれば、主表面の「微小うねり」に比べ端部の「微小うねり」が大きくなる傾向があることが判明した。つまり、磁気ヘッドの浮上量を10nm以下とした上で磁気ヘッドの浮上量を更に低減しようとするときに、前述したように端部の「微小うねり」が大きいことは、ディスク表面上の端部に形状の乱れがある状態に該当してしまう。そして、前述したように端部の「微小うねり」が大きいと、磁気ヘッドの浮上量を10nm以下とした上で磁気ヘッドの浮上量を更に低減するための障害となり、特にLUL方式用磁気ディスクでは上述した第2の課題解決の障害となる。
したがって、主表面の「微小うねり」に比べ端部の「微小うねり」が大きくなるという課題に対し、端部の「微小うねり」を従来に比べ低減できる技術の開発が望まれる(第3の課題)。
特開2002−92867号公報
本発明は上記課題に鑑みて成されたものであって、その第1の目的は、鏡面かつ端部形状に十分に優れた磁気ディスク用ガラス基板または磁気ディスクを提供することにある。
また、主表面の「微小うねり」に比べ端部の「微小うねり」が大きくなるという課題に対し、端部の「微小うねり」を従来に比べ更に低減した磁気ディスク用ガラス基板または磁気ディスクを提供することにある。
さらに、浮上量が10nm以下の磁気ヘッドでも浮上姿勢を安定させることのできる磁気ディスク用ガラス基板または磁気ディスクを提供することを第2の目的とする。
また、LUL方式用磁気ディスクまたは、この磁気ディスクに好適なガラス基板を提供することを第3の目的とする。
本発明者は、上述した本発明の課題解決にあたり、鋭意研究開発を重ねた結果、第1に、研磨布を構成する発泡樹脂層における基層側のポア径を縮径することによって(構成1)、別の見方をすると研磨布の圧縮率を小さくすることによって(構成2)、上述した第1の課題に対して、端部形状の乱れ(端部の盛り上がりや端部のだれ)を顕著に低減し、端部形状に十分に優れた磁気ディスク用ガラス基板が得られることを第1に見出した。
また、研磨布を構成する発泡樹脂層における基層側のポア径を縮径することによって(構成1)、別の見方をすると研磨布の圧縮率を小さくすることによって(構成2)、上述した第1’の課題に対して、主表面の端部の研磨速度と主表面の他の部分の研磨速度との差を低減でき、その結果、「端部のだれ」の問題を低減できることを第2に見出した。つまり、本発明は、ディスク表面の鏡面化と、端部形状の乱れ(端部の盛り上がりや端部のだれ)は、トレードオフの関係にあるという課題を解決し、上記範囲内の鏡面(Rmaxで5nm以下、Raで0.5nm以下)を有しかつ端部形状に十分に優れた磁気ディスク用ガラス基板を得ることに初めて成功したものである。
第2に、研磨布を構成する発泡樹脂層における基層側のポア径を縮径することは(構成1)、別の見方をすると研磨布の圧縮率を小さくすることは(構成2)、上述した第3の課題に対して、端部の微小うねりを低減するのに効果的な手段であることを第3に見出した。
第3に、研磨布の表面開口を縮径することによって、基板全面の微小うねりを全体的に低減する効果があること、及び、研磨布の表面開口を縮径することは、端部の微小うねりを低減するのに効果的な手段であること、を第4に見出した(構成3)。
さらに、構成1又は2の要件に加え、コロイド粒子を含む研磨液を供給して研磨すると(研磨粒子の粒径を小さくすると)、構成1又は2の要件の採用によって新たに生じる主表面の鏡面レベルが悪化する問題を解消でき主表面の鏡面レベルを磁気ヘッドの浮上量を10nm以下としても問題ないレベルに抑えることができることを第5に見出し本発明を完成するに至った。
本発明は以下の構成を有する。
(構成1)基層と発泡樹脂層を備える研磨布を用い、ガラスディスクと研磨布とを相対的に移動させて研磨を行なう磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
基層側のポア径が200μm以下の発泡樹脂層を備える研磨布を選択し、かつ、コロイド粒子を含む研磨液を供給してガラスディスクを研磨することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成2)研磨布を用い、ガラスディスクと研磨布とを相対的に移動させて研磨を行なう磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
前記研磨布の圧縮率を測定し、前記圧縮率が1.0%以下の研磨布を選択し、かつ、コロイド粒子を含む研磨液を供給してガラスディスクを研磨することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成3)構成1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
研磨面に開口するポア径が50μm以下の発泡樹脂層を備える研磨布を選択してガラスディスクを研磨することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成4)前記研磨液に含まれるコロイド粒子は、平均粒径(D50)が、10nm〜120nmであることを特徴とする構成1〜3の何れかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成5)前記研磨液に含まれるコロイド粒子は、コロイダルシリカ研磨砥粒であることを特徴とする構成1〜4の何れかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成6)構成1〜5の何れかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
前記研磨布の基層側から研磨布を付圧して研磨することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成7)構成1〜6の何れかに記載の磁気ディスク用ガラス基板上に磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
(構成8)ディスク主表面を原子間力顕微鏡で測定したときの表面粗さがRmaxで5nm以下、Raで0.5nm以下の磁気ディスク用ガラス基板であって、
ディスク外周端からディスク中心方向に向かって0.34mmの主表面上の点をAとし、ディスク外周端からディスク中心方向に向かって3.54mmの主表面上の点をBとし、このA点とB点を結んだ仮想線を基準としたときに、前記仮想線から主表面までの乖離距離が50nm以下である、磁気ディスク用ガラス基板。
(構成9)ディスク主表面を原子間力顕微鏡で測定したときの表面粗さがRmaxで5nm以下、Raで0.5nm以下の磁気ディスク用ガラス基板であって、
ディスク外周端からディスク中心方向に向かって2.5mmの主表面上の点を中心とした、3.8平方mmの矩形領域における表面形状のうち、形状波長が16μm〜1.9mm帯域の表面形状を抽出し、この表面形状のこ二乗平均粗さRq(RMS)を微小うねりRqとしたときに、前記微小うねりRqが1.42nm以下である磁気ディスク用ガラス基板。
(構成10)構成8又は構成9に記載の磁気ディスク用ガラス基板上に少なくとも磁性層が形成されたロードアンロード方式用磁気ディスク。
本発明によれば、鏡面かつ端部形状に十分に優れた磁気ディスク用ガラス基板または磁気ディスクを提供できる。また、主表面の「微小うねり」に比べ端部の「微小うねり」が大きくなるという課題に対し、端部の「微小うねり」を従来に比べ低減した磁気ディスク用ガラス基板または磁気ディスクを提供できる。
さらに、浮上量が10nm以下の磁気ヘッドでも浮上姿勢を安定させることのできる磁気ディスク用ガラス基板または磁気ディスクを提供できる。
また、LUL方式用磁気ディスクまたは、この磁気ディスクに好適なガラス基板を提供できる。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の構成1に係る発明は、基層と発泡樹脂層を備える研磨布を用い、ガラスディスクと研磨布とを相対的に移動させて研磨を行なう磁気ディスク用ガラス基板の製造方法に関する。
ここで、発泡樹脂層としては、ウレタンが広く利用されている。基層と発泡樹脂層を備える研磨布としては、スエードタイプや、発泡ウレタンタイプが挙げられる。スエードタイプの研磨布(研磨パッド)は、図6に示すように、基層(ベース層)にポリウレタンをコート(積層)し、ポリウレタン内に発泡層を成長させ、表面部位を除去し発泡層に開口部(研磨面の開口、表面開口)を設けたものである。発泡の跡である空孔をポアと呼び、ポリウレタン層におけるポアの存在する部分をナップ層、基層付近の薄い層(通常ポアの存在しない部分)をマイクロレイヤと呼ぶ。発泡ウレタンタイプの研磨パッドは、発泡したウレタンのブロックをスライスしたもので、これを基層と接合することによって、基層と発泡樹脂層を備える研磨布とする。なお、スウェードタイプの研磨布における基層としては、天然繊維、再生繊維又は合成繊維からなる編織布又は、不織布、あるいはこれらのスチレンブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム等のゴム状物質又はポリウレタンエラストマー等の樹脂を充填して得られる基材が一般的に用いられるが、構成1に係る発明においては、基層として樹脂フィルム(例えばPET樹脂フィルムなど)を採用することにより、発泡樹脂層の基層側のポア径を所定の値に縮径したことによる作用効果との相乗効果が発揮されると考えられることから、基層として樹脂フィルムを用いることが好ましい。基層として樹脂フィルムを用いる場合、前記相乗効果の観点から、樹脂フィルムの厚さは、400nm以下が好ましく、特に、300nm以下が好適である。下限値については特に限定する必要はないが、実用上50nm以上とすることができる。
本発明の構成1に係る発明は、基層側のポア径が200μm以下の発泡樹脂層を備える研磨布を選択し、かつ、コロイド粒子を含む研磨液を供給してガラスディスクを研磨することを特徴とする。このように、ポア径を200μm以下に縮径すると、以下の効果がある。
第1に、上述した第1の課題に対して、端部形状の乱れ(端部の盛り上がりや端部のだれ)を顕著に低減し、端部形状に十分に優れた(端部形状がほぼフラットであると言えるような)磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
第2に、上述した第1’の課題に対して、主表面の端部の研磨速度と主表面の他の部分の研磨速度との差を低減でき、その結果、「端部のだれ」の問題を低減できることを第2に見出した。つまり、本発明(構成1)によって、ディスク表面の鏡面化と、端部形状の乱れ(端部の盛り上がりや端部のだれ)は、トレードオフの関係にあるという課題を解決し、上記範囲内の鏡面(Rmaxで5nm以下、Raで0.5nm以下)を有しかつ端部形状に十分に優れた磁気ディスク用ガラス基板を得ることを初めて実現できる。
第3に、上述した第3の課題に対して、端部の微小うねりを低減するのに効果的な手段となる。
なお、ポア径の相違は構造上の相違であり、後述する圧縮率では捕捉できない作用や、相乗作用が、実際の研磨時の研磨布が圧縮された状態で発揮されることがあるものと考えられる。
発泡樹脂層においては、基層側から発泡樹脂層の厚みの約半分〜約1/3までにかけて発泡時に生じた空孔部がありそこから空気が抜ける方向に縮径して形成された気孔が表面開口まで続いた形状である。本発明において、基層側のポア径とは、基層側から発泡樹脂層の厚みの約半分〜約1/3までの部位にある空孔の径(好ましくは、発泡樹脂層の縦断面を見たときの前記空孔の断面の径(大きさ))を指す。例えば、後述する実施例に示すように、基層側のポア径の最大径で管理すれば、従来に比べ縮径され、本発明の効果が発現される研磨布を選択できる。基層側のポア径の最大径は、多数ある基層側のポア径のうち最大径であるもので管理してもよく、多数ある基層側の各ポア径の各最大径の平均値で管理してもよい。このように基層側のポア径の最大径で管理する以外に、基層側から発泡樹脂層の厚みの約半分〜約1/3までの部位に任意の基準線(基層と平行な線)を引き、基準線におけるポア径の平均径で管理を行うこともできる。この場合、ポア径の平均値が最大となる部位に基準線を引くことが好ましい。基層側のポア径は基層側から発泡樹脂層の厚み方向に100μm〜300μmの部位の基準線(基層と平行な線)におけるポア径で管理を行うことができる。また例えば、多数ある基層側のポア径のうち任意に選択した(好ましくは代表的なものを選択した)複数のポア径の平均値等で管理を行うことも可能である。以上のように、本発明においては、発泡時に生じる従来の比較的大きな空孔部に比べ、ポア径が縮径され、本発明の効果が発現される研磨布を選択できるようにポア径の管理を行えばよい。
上記本発明の作用効果を更に有効に発現させるためには、基層側のポア径のばらつき(分散)は均一化することが好ましい。基層側のポア径のばらつき(分散)が均一化している場合は、基層側のポア径の最大径で管理するのが、簡便である。
上記本発明の作用効果を更に有効に発現させるためには、基層側のポア径は150μm以下とすることが更に好ましい。
基層側のポア径の具体的な観察手段としては、走査型電子顕微鏡が適している。
具体的な発泡樹脂の素材としては、ポリウレタンが現状では好ましい。
発泡樹脂層の厚さは、650μm以下の範囲で選択し、更に450μm以下が好ましい。下限値については特に限定する必要はないが、実用上50nm以上とすることができる。
本発明の構成2に係る発明は、研磨布を用い、ガラスディスクと研磨布とを相対的に移動させて研磨を行なう磁気ディスク用ガラス基板の製造方法に関する。
ここで、研磨布は所定の圧縮率を有すれば特に限定されない。これは、圧縮率の相違は研磨布全体(例えば基層及び発泡樹脂層)としての機能上の相違であり、前述した基層側のポア径の相違だけでは発揮されない作用や、相乗作用が、実際の研磨時の研磨布が圧縮された状態で発揮されることがあるものと考えられるからである。ただし、圧縮率が同じであったとしても、上記構成1で示した基層側のポア径を所定の値に縮径した発泡樹脂層を備える研磨布を用いると、発泡樹脂層の基層側のポア径を所定の値に縮径した作用効果と、圧縮率が所定の値に規定したことによる作用効果と、の相乗効果が発揮されることがあると考えられることから、上記構成1で示した基層と発泡樹脂層を備える研磨布を用いることが好ましい。なお、上記構成1で示した基層と発泡樹脂層を備える研磨布における基層としては、天然繊維、再生繊維又は合成繊維からなる編織布又は、不織布、あるいはこれらのスチレンブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム等のゴム状物質又はポリウレタンエラストマー等の樹脂を充填して得られる基材が一般的に用いられるが、構成2に係る発明においては、基層として樹脂フィルム(例えばPET樹脂フィルムなど)を採用することにより、相乗効果が発揮されると考えられることから、基層として樹脂フィルムを用いることが好ましい。
本発明の構成2に係る発明は、前記研磨布の圧縮率を測定し、圧縮率が1.0%以下である研磨布を選択し、かつ、コロイド粒子を含む研磨液を供給してガラスディスクを研磨することを特徴とする。このように、研磨布の圧縮率を小さくすると、以下の効果がある。
第1に、上述した第1の課題に対して、端部形状の乱れ(端部の盛り上がりや端部のだれ)を顕著に低減し、端部形状に十分に優れた(端部形状がほぼフラットであると言えるような)磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
第2に、上述した第1’の課題に対して、主表面の端部の研磨速度と主表面の他の部分の研磨速度との差を低減でき、その結果、「端部のだれ」の問題を低減できることを第2に見出した。つまり、本発明(構成2)によって、ディスク表面の鏡面化と、端部形状の乱れ(端部の盛り上がりや端部のだれ)は、トレードオフの関係にあるという課題を解決し、上記範囲内の鏡面を有しかつ端部形状に十分に優れた磁気ディスク用ガラス基板を得ることを初めて実現できる。
第3に、上述した第3の課題に対して、端部の微小うねりを低減するのに効果的な手段である。
上記本発明の作用効果を更に有効に発現させるためには、圧縮率は好ましくは1.0%未満であり、更に好ましくは0.8%以下でり、より以上に好ましくは0.5%以下である。
圧縮率は、日本工業規格Ll096に定める圧縮率を用いた。
研磨布の圧縮率を下げるためには、主として発泡樹脂層における基層側のポア径小さくする手段が有効である。また、発泡樹脂層や基層を薄くする手段や、基層の材質を変更する手段も有効である。したがって、これらの手段を組み合わせて採用することが効果的である。なお、これらの手段を採用した場合、圧縮率は変化率が大きいが、アスカーC硬度は若干上昇するもののその変化率(相対的な差異)は極めて小さい。したがって、圧縮率は、これらの手段の採用の有無や採用レベルに応じた差異を、アスカーC硬度に比べ、顕在化できるパラメーターであるといえる。これは、圧縮率は、研磨時に研磨布にかかる平均荷重(例えば80g/cm)を含む範囲の荷重をかけた状態で一定時間経過後測定されるので、実際の研磨時の圧縮された状態にある研磨布の硬さやその研磨作用をアスカーC硬度に比べより良好且つ忠実に反映しているためであると考えられる。本発明では、このことに着目し、通常研磨布の硬さはアスカーC硬度で管理されるのが一般的であるのに対し、研磨布の圧縮率を測定し、研磨布の特性を圧縮率で管理しようとするものである。
発泡樹脂層の厚さは、650μm以下の範囲で選択し、更に450μm以下が好ましい。
本発明においては、上記構成3にあるように、研磨面に開口するポア径が50μm以下の発泡樹脂層を備える研磨布を選択してガラスディスクを研磨することが好ましい。このように、研磨布の表面開口を小さくすると、基板全面の微小うねりを全体的に低減する効果があり、また、端部の微小うねりを低減するのに効果的な手段である。
このことを説明すると、例えば表面開口が相対的に大きい研磨布を用い、酸化セリウムを使用して研磨を実施した場合、端部の盛り上がりが生じてしまい、さらに図7のAに示すように、端部の微小うねりの低減効果も十分とは言えないことが判明した。
これに対し、研磨布の表面開口を縮径する(例えば後述する比較例で示した研磨布を用いる。この場合研磨布のアスカーC硬度は若干大きくなるが従来の範疇、研磨粒子は更せず。)と、図7のA→Bに示すように、基板全面の微小うねりを全体的に低減でき、従って端部の微小うねりを低減できることを見出した。ただし、図7を別の見方で見ると、研磨布の表面開口を縮径しだけでは、端部の微小うねりが他の箇所に比べ大きく微小うねりの低減効果が十分であるとは言えない。これに対し、研磨布の表面開口を縮径する要件と、上記構成1又は2の要件を組み合わせることによって、図7のB→Cに示すように、端部の微小うねりを更に顕著に低減する効果があることを見出した。つまり、このような組み合わせ構成によって、ディスク表面の鏡面化と、端部形状の乱れ(端部の盛り上がりや端部のだれ)は、トレードオフの関係にあるという課題を顕著に解決し、上記範囲内の鏡面(Rmaxで5nm以下、Raで0.5nm以下)を有しかつ端部形状に顕著に優れた磁気ディスク用ガラス基板を得ることができる。
本発明の作用効果をより有効に発現させるためには、研磨面に開口するポア径は好ましくは20μm以下である。
本発明の作用効果をより有効に発現させるためには、研磨面に開口するポア径のばらつき(分散)は均一化することが好ましい。
研磨面に開口するポア径の具体的な観察手段としては、走査型電子顕微鏡が適している。
本発明においては、上記構成1,2にあるように、コロイド粒子を含む研磨液を供給して研磨することが好ましい。このように、コロイド粒子を含む研磨液を供給して研磨すると(研磨粒子の粒径を小さくすると)、上記構成1又は2の要件の採用によって新たに生じる主表面の鏡面レベルが悪化する問題を解消でき、主表面の鏡面レベルを磁気ヘッドの浮上量を10nm以下としても問題ないレベルに抑えることができる。
コロイド粒子の具体的としてはコロイダルシリカ粒子(コロイダルシリカ研磨砥粒)(構成5)が好ましく、コロイド粒子を含む研磨液としてはマイクロシリカスラリーが好ましい。コロイダルシリカの平均粒径(D50)は10nm〜120nmとすると本願発明の作用効果が顕著になるので好ましく(構成4)、90nm以下とすることが更に好ましく、80nm以下とすることがより以上に好ましい。研磨液はアルカリ性であることが好ましく、具体的にはPHが8〜12とすることが好ましい。
コロイダルシリカは、SiOまたはその水和物のコロイドで、一定の構造をもたないものをいう。ケイ酸塩に希塩酸を作用させてから透析して得られ、常温ではなかなか沈澱しないゾル状で、ある長時間放置するか、水分を蒸発させるか、あるいは電解質を加えると、含水二酸化ケイ素ゲルとなる。
上記本発明は、研磨布を用い、ガラスディスクと研磨布とを相対的に移動させて研磨を行なう磁気ディスク用ガラス基板の製造方法に適用可能であるが、好ましくは、研磨布の基層側から研磨布を付圧して研磨する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法に適用することが好ましい(構成6)。本発明の作用効果をより有効に発現させるためには、研磨布の基層側から研磨布を付圧する範囲は50g/cm〜150g/cmであることが好ましい。本発明においては、基層と発泡樹脂層を備える研磨布を用いることが好ましい。
研磨布を用い、ガラスディスクと研磨布とを相対的に移動させて研磨を行なう磁気ディスク用ガラス基板の製造方法に好適に使用される研磨装置の一例について説明する。
図9は上下定盤を有する両面研磨装置の主要部断面図、図10は研磨装置の駆動機構部の説明図、である。この装置は、上下定盤に研磨布(研磨パッド)を介して狭圧されたガラスディスクが、定番上を自転しつつ公転して両面が研磨される、遊星歯車方式両面研磨装置である。図9及び図10において、研磨装置5は、それぞれ所定の回転比率で回転駆動されるインターナルギア51及びサンギア52を有する研磨用キャリア装着部と、この研磨用キャリア装着部を挟んで互いに逆回転駆動される上定盤53及び下定盤54とを有する。研磨用キャリア装着部に、複数の研磨用キャリア1をセットすると、これら研磨用キャリア1のギアがインターナルギア51及びサンギア52と噛合されるようになっている。各研磨用キャリア1の被研磨体保持孔に被研磨体であるガラスディスク4をセットし、研磨を開始すると、研磨用キャリア1はインターナルギア51及びサンギア52との回転数の差により遊星運動を行う。同時に、上定盤53及び下定盤54は互いに逆回転し、それらに設けられた研磨パッド53a,54aによって磁気ディスク用ガラス基板4の表裏の面がポリッシングされる。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の硝種、サイズ等については特に限定されない。硝種としては、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノ珪酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、結晶化ガラスなどが上げられる。平滑性の点では、一般に結晶化ガラスよりもアモルファスガラスが良く、特に、機械的強度や、耐衝撃性、耐振動性等の点からアルミノシリケートガラスなどの化学強化ガラスが好ましい。
アルミノシリケートガラスとしては、SiO:58〜75重量%、Al:5〜23重量%、Li2O:3〜10重量%、Na2O:4〜13重量%を主成分として含有する化学強化ガラスなどが好ましい。
また、近年では、高い平滑性を有する基板が求められていることから、結晶化ガラスの結晶粒径が100nm以下の結晶化ガラス基板の開発が行われている。結晶化ガラスは、機械的強度がアモルファスガラスと比べて大きく、また製造工程上、ダイヤモンドペレットによる研削加工を行うなどの利点から平坦性に優れ、且つ高い平滑性の基板が得られるので好ましい。
上述の磁気ディスク用ガラス基板の主表面に少なくとも磁性層を形成することにより、高密度記録に対応した磁気ディスクを得ることができる(構成7)。
ここで、ガラス基板上に形成する磁性層の材料には特に制限はない。磁性層としては、例えば、Coを主成分とするCoPt、CoCr、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、CoPtCr、CoNiPt、CoNiCrPt、CoNiCrTa、CoCrPtTa、CoCrPtB、CoCrPtTaBなどの磁性膜が挙げられる。磁性層は、磁性膜を非磁性膜(例えば、Cr、CrMo、CrV、CrMnCなど)で分割してノイズの低減を図った多層構造としても良い。また、必要に応じ、ガラス基板と磁性層との間に、シード層や下地層を、磁性層上に保護層や潤滑層を設けても良い。
シード層としては、その上に形成される下地層や磁性層の結晶粒径を制御する役割があり、例えば、NiAl、CrNi、CrTiなどの材料が挙げられる。下地層としては、磁気特性の向上を目的として設けられ、例えば、Cr、Mo、V、Ta、Ti、W、B、Al、Niなどの非磁性金属から選ばれる少なくとも一種以上の材料からなる非磁性膜が挙げられる。下地層は単層でも複数層でもかまわない。
保護層としては、機械的耐久性、耐食性等のために設けられ、例えば、Cr、Cr合金、カーボン、水素化カーボン、窒化カーボン、ジルコニア、SiOなどが挙げられる。潤滑層としては、磁気ヘッドとの吸着防止、摩擦係数の低減のために設けられ、パーフルオロポリエーテル潤滑剤などが一般的に使用される。
次に、本発明の実施例を掲げて本発明をより具体的に説明する。
実施例1は、(1)粗ラッピング工程、(2)形状加工程、(3)端面研磨工程、(4)精ラッピング工程、(5)第一ポリッシング工程、(6)第二ポリッシング工程、(7)洗浄工程、(8)化学強化工程、(9)洗浄工程、(10)評価工程、(11)磁気ディスクの製造工程、の各工程を有する。以下、各工程を詳細に説明する。
(1)粗ラッピング工程
まず、溶融ガラスを、上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスして、直径66mmφ、厚さ1.2mmの円盤状のアルミノシリケートガラスからなるガラス基板を得た。この場合、ダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で形成したシートガラスから研削砥石で切り出して円盤状のガラス基板を得ても良い。なお、アルミノシリケートガラスとしては、SiO:58〜75重量%、Al:5〜23重量%、LiO:3〜10重量%、NaO:4〜13重量%を主成分として含有する化学強化ガラスを使用した。
次いで、ガラス基板にラッピング工程を施した。このラッピング工程は、寸法制度及び形状制度の向上を目的としている。ラッピング工程は、両面ラッピング装置を用いて行い、砥粒の粒度を#400で行った。詳しくは、粒度#400のアルミナ砥粒を用い、荷重Lを100kg程度に設定して、内転ギアと外転ギアを回転させることによって、キャリア内に収納したガラス基板の両面を面精度0〜1μm、表面粗さRmaxで6μm程度に仕上げた。
(2)形状加工工程
次に,円筒状の砥石を用いてガラス基板の中央部分に孔を開けると共に、外周端面も研削して直径65mmφとした後、外周端面及び内周面に所定の面取り加工を施した。このときのガラス基板端面(内周、外周)の表面粗さは、Rmaxで4μm程度であった。
(3)端面研磨工程
次いで、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながらガラス基板の端面(内周、外周)の表面粗さをRmaxで1μm、Raで0.3μm程度に研磨した。上記端面研磨工程を終えたガラス基板の表面を水洗浄した。
(4)精ラッピング工程
次に、砥粒の粒度を#1000に変え、ガラス基板表面をラッピングすることにより、平坦度3μm、表面粗さRmaxが2μm程度、Raが0.2μm程度とした。尚、Rmax、Raは原子間力顕微鏡(AFM)で測定、平坦度は、平坦度測定装置で測定したもので、基板表面の最も高い部位と、もっとも低い部位との上下方向(表面に垂直な方向)の距離(高低差)である。上記精ラッピング工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、水の各洗浄槽に順次浸漬して洗浄した。
(5)第一ポリッシング工程
次に、ポリッシング工程を施した。このポリッシング工程は、上述したラッピング工程で残留した傷や歪みの除去を目的とするもので、両面研磨装置を用いて行った。詳しくは、ポリシャとして硬質ポリシャを用い、以下の研磨条件で実施した。
研磨液:酸化セリウム(平均粒径1.3μm)砥粒に水を加えた遊離砥粒
荷重(付圧):80〜100g/cm
研磨時間:30〜50分
除去量:35〜45μm
上記ポリッシング工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、純水、IPA、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。尚、各洗浄槽には超音波を印加した。また、この洗浄工程は、次の第二ポリッシング工程において使用する研磨液が同一のものである場合、省略することもできる。また、第一ポリッシング工程で使用する硬質ポリシャは、特に限定されず、目標とする表面粗さ、基板の端部形状等によって適宜選択することが可能である。
(6)第二ポリッシング工程(鏡面研磨加工工程)
次に、第一ポリッシング工程で使用した両面研磨装置を用い、ポリシャとして硬質ポリシャから軟質ポリシャに変えて第二ポリッシング工程を実施した。ここで、研磨布(軟質ポリシャ)として、表1に示す諸特性を有する4種類のものを準備し、4種類の研磨布(研磨パッド)を順次交換しそれぞれの研磨布を用いて鏡面研磨加工工程(ファイナルポリッシング)を実施した。
表1に示す諸特性を有する4種類の各研磨布の縦断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)を図1(1)〜(4)に示す。図1(1)は表1の比較例に、図1(2)は表1の実施例1−1に、図1(3)は表1の実施例1−2に、図1(4)は表1の実施例1−3に、それぞれ対応する。
表1において、基層の層厚、発泡樹脂層の層厚及び基層側のポア径は、研磨布の縦断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により分析して求めた。表1の発泡樹脂層の基層側のポア径の欄において、「最大径」は、図1の各図において多数ある基層側のポア径のうち最大径であるものの値を示し、「平均径」は、図1の各図において多数ある基層側の各ポア径の各最大径の平均値の値を示し、「最小径」は、図1の各図において多数ある基層側のポア径のうち最小径であるものの値を示す。
また、硬度(Asker−C)は日本ゴム協会標準規格(SRISO101)に定める評価法によった。圧縮率は日本工業規格JIS L1096に定める評価法によった。
ファイナルポリッシングにおける研磨条件は、研磨液:コロイダルシリカ(平均粒径 80nm)砥粒に水を加えた遊離砥粒、荷重(付圧):80〜100g/cm、研磨時間:10〜30分、除去量:0.1〜5μmとした。
なお、研磨布の表面粗さRz(十点平均粗さ)(特許文献1参照)を、触針式の表面粗さ計である小型表面粗さ測定機(サーフテストSJ−401:ミツトヨ社製)で測定したところ、8.0μmであった。
また、発泡樹脂層の研磨面に開口するポア径を、走査型電子顕微鏡(SEM)で測定したところ、20μmであった。
Figure 0004199645
(7)洗浄工程
上記第二ポリッシング工程を終えたガラス基板を、アルカリ(NaOH)、硫酸に順次浸漬して、洗浄を行った。尚、各洗浄槽には超音波を印加した。さらに、中性洗剤、純水、純水、IPA、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。
(8)化学強化工程
次に、上記ラッピング、ポリッシング、洗浄工程を終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化には、硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)を混合した化学強化塩を用意し、この化学強化塩を375℃に加熱し、300℃に予熱された洗浄済みのガラス基板を約3時間浸漬して行った。この浸漬の際に、ガラス基板の表面全体が化学強化するように、複数のガラス基板が端面で保持されるようにホルダーに収納した状態で行った。
このように、化学強化塩に浸漬処理することによって、ガラス基板表層のリチウムイオン、ナトリウムイオンは、化学強化塩中のナトリウムイオン、カリウムイオンにそれぞれ置換されガラス基板は強化される。ガラス基板の表層に形成された圧縮応力層の厚さは、約100〜200μmであった。上記化学強化を終えたガラス基板を20℃の水槽に浸漬して急冷し、約10分維持した。
(9)洗浄工程
上記急冷を終えたガラス基板を、約40℃に加熱した硫酸に浸漬し、超音波をかけながら洗浄を行った。
以上のようにして、内径(内直径)20mm、外径(外直径)65mm(中心部から測って内周端10mm、外周端32.5mm)の2.5インチ型ガラス基板を得た。
(10)評価工程
このようにして得られたガラス基板表面の各種測定結果を表2、図1〜3に示す。
なお、表2における測定条件等は以下の(1)〜(3)に示す通りである。
(1)「表面粗さRa」は、表面5平方μm矩形領域についての原子間力顕微鏡(AFM)による表面形状測定結果を用い、日本工業規格JISB0601の算術平均粗さRaに準拠して算出した。
なお、各試料について、中周部の表面粗さ(測定位置=半径23mm)を上記方法で測定したところ、いずれの試料についても、本発明で得ようとする所定範囲内の鏡面(Rmaxで5nm以下、Raで0.5nm以下)が得られていることを確認した。具体的には、実施例1−1の試料について主表面の表面粗さ(測定位置=半径23mm)を上記方法で測定したところ、Rmaxで2.3nm、Raで0.24nmであり、他の試料についても同様であった。
(2)「微小うねりRq」は、フェイス・シフトテクノロジー社製の多機能表面解析装置(MicroXAM)を用い、表面3.8平方mm矩形領域についての550nm波長の光を用いた光学干渉法による表面形状測定結果を用い、形状波長が16μm〜1,9mm帯域の表面形状を抽出し、この表面形状の二乗平均粗さRq(RMS)として算出した。(なお、端部の微小うねりRqの測定概念については図8参照)。
(3)「端部形状」は、ある測定区間についての触針法による表面形状測定結果を用い、この測定区間の両端を結んだ仮想線を基準としたときに、この仮想線から表面までの距離が最大に乖離する位置を特定し、この位置における仮想線から表面までの乖離距離を端部形状として算出した。表2における「端部形状」の値は絶対値であり、図8に示すように「端部だれ」の大きさを示す。
Figure 0004199645
4種類の研磨布と、基層側のポア径、圧縮率との関係を図2に示す。図2に示すように、基層側のポア径と圧縮率との間に相関関係があることがわかる。また、4種類の研磨布と、端部の微小うねりとの関係を図3に示す。さらに、4種類の研磨布と、端部形状との関係を図4に示す。
表2の実施例及び図3、4に示すように、発泡樹脂層の基層側のポア径の縮径の度合い、及び、研磨布の弾性率の度合い、に応じて、端部形状の乱れの低減(図3)、端部の微小うねりの低減(図4)が実現でき、しかも中心部の表面粗さについても本発明で得ようとする所定範囲内の鏡面(Rmaxで5nm以下、Raで0.5nm以下)が得られる。これに対し、表2の比較例及び図3、4に示すように、発泡樹脂層の基層側のポア径の縮径の度合い、及び、研磨布の弾性率の度合い、が不十分である研磨布を用いた場合、所定範囲内の鏡面は得られるもの、端部形状の乱れの低減、端部の微小うねりの低減が、いずれも不十分である。以上のことから、本発明によれば、ディスク表面の鏡面化と、端部形状の乱れ(端部の盛り上がりや端部のだれ)は、トレードオフの関係にあるという課題を解決し、所定範囲内の鏡面(Rmaxで5nm以下、Raで0.5nm以下)を有しかつ端部形状に十分又は顕著に優れた磁気ディスク用ガラス基板を得ることができることが判る。
なお、上記実施例から、本発明方法によれば、ディスク主表面を原子間力顕微鏡で測定したときの表面粗さがRmaxで5nm以下、Raで0.5nm以下の磁気ディスク用ガラス基板であって、ディスク外周端からディスク中心方向に向かって0.34mmの主表面上の点をAとし、ディスク外周端からディスク中心方向に向かって3.54mmの主表面上の点をBとし、このA点とB点を結んだ仮想線を基準としたときに、前記仮想線から主表面までの乖離距離が50nm以下である、磁気ディスク用ガラス基板、を得ることができる。前記仮想線から主表面までの乖離距離は40nm以下、更に35nm以下であることが好ましい。
また上記実施例から、本発明方法によれば、ディスク主表面を原子間力顕微鏡で測定したときの表面粗さがRmaxで5nm以下、Raで0.5nm以下の磁気ディスク用ガラス基板であって、ディスク外周端からディスク中心方向に向かって2.5mmの主表面上の点を中心とした、3.8平方mmの矩形領域における表面形状のうち、形状波長が16μm〜1.9mm帯域の表面形状を抽出し、この表面形状のこ二乗平均粗さRq(RMS)を微小うねりRqとしたときに、前記微小うねりRqが1.42nm以下である磁気ディスク用ガラス基板、を得ることができる。前記微小うねりRqは0.9nm以下、更に0.7nm以下であることが好ましい。
なお、前記仮想線から主表面までの乖離距離と、前記微小うねりRqと、の双方を同時に満たすことは難しいことであるから、本発明では、これら双方を同時に満たすことが好ましい。
(11)磁気ディスクの製造工程
上述した工程を経て得られた磁気ディスク用ガラス基板に対し、インライン型スパッタリング装置にて、NiAlシード層、CrV下地層、CoPtCrB磁性層、水素化カーボン保護層を成膜し、ディップ法によりパーフルオロポリエーテル潤滑層を形成して磁気ディスクを作製した。
この得られた磁気ディスクに対しグライドハイト特性(nm)を、タッチダウンハイト評価法により、調べた。その結果を、表3及び図5に示す。表3及び図5に示すように、発泡樹脂層の基層側のポア径の縮径の度合い、及び、研磨布の圧縮率の度合い、に応じて、端部におけるグライドハイト特性(nm)の向上を図ることができることが判る。
これら磁気ディスクを、浮上量が10nmの磁気ヘッドを用いて、ロードアンロード耐久性試験(連続60万回のロードアンロード動作に耐久できるか否かの試験)を行った。その結果、実施例の磁気ディスクにおいては、フライスティクション障害のようなロードアンロード方式で顕著な障害の発生は起こらず、問題なく60万回耐久することができた。比較例の磁気ディスクにおいては、ディスクの外周端付近でフライスティクション障害が発生したために、20万回で故障した。従って、本発明によれば、フライスティクション障害を防止することができ、またロードアンロードタイプの磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクとして特に適する。
Figure 0004199645
4種類の各研磨布の縦断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)を示す図である。 4種類の研磨布と、基層側のポア径、圧縮率との関係を示す図である。 4種類の研磨布と、端部の微小うねりとの関係を示す図である。 4種類の研磨布と、端部形状との関係を示す図である。 4種類の各研磨布のグライドハイト特性(nm)を調べた結果を示す図である。 スエードタイプの研磨布(研磨パッド)を説明するための模式図である。 微小うねりの低減効果を説明するための模式図である。 端部形状の測定概念及び「端部だれ」を説明するための模式図である。 上下定盤を有する研磨装置の主要部断面図である。 研磨装置の駆動機構部の説明図である。
符号の説明
4 ガラスディスク
53a 研磨布
54a 研磨布

Claims (7)

  1. 基層と発泡樹脂層を備える研磨布を用い、ガラスディスクと研磨布とを相対的に移動さ
    せて研磨を行なう磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
    基層側のポア径が200μm以下の発泡樹脂層を備える研磨布を選択し、かつ、コロイ
    ド粒子を含む研磨液を供給してガラスディスクを研磨することを特徴とする磁気ディスク
    用ガラス基板の製造方法。
  2. 請求項1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
    前記研磨布の圧縮率を測定し、前記圧縮率が1.0%以下の研磨布を選択し、かつ、コ
    ロイド粒子を含む研磨液を供給してガラスディスクを研磨することを特徴とする磁気ディ
    スク用ガラス基板の製造方法。
  3. 請求項1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
    研磨面に開口するポア径が50μm以下の発泡樹脂層を備える研磨布を選択してガラス
    ディスクを研磨することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記研磨液に含まれるコロイド粒子は、平均粒径(D50)が、10nm〜120nm
    であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造
    方法。
  5. 前記研磨液に含まれるコロイド粒子は、コロイダルシリカ研磨砥粒であることを特徴と
    する請求項1〜4の何れかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
    前記研磨布の基層側から研磨布を付圧して研磨することを特徴とする磁気ディスク用ガ
    ラス基板の製造方法。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の磁気ディスク用ガラス基板上に磁性層を形成することを
    特徴とする磁気ディスクの製造方法。
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