JP4201081B2 - 空気入りラジアルタイヤの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気入りラジアルタイヤの製造方法に関し、更に詳しくは、カーカス層の緯糸折り返し部に起因してタイヤサイド部に発生する凹凸を抑制したユニフォミティに優れた空気入りラジアルタイヤの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、空気入りラジアルタイヤのカーカス層には、ナイロン、ポリエステル等の比較的太いタイヤコードを経糸にし、これらの経糸に比較的細い紡績糸等の緯糸を粗く交差させて織り上げたすだれ織物が使用されている。
【0003】
このすだれ織物は、織製後にゴムとの接着性を良くするために一定条件下で接着液にディッピング処理し、次いで、寸法安定性をよくするため連続的に張力を加えながら熱処理したのち、未加硫ゴムをコーティングする圧延処理(カレンダー処理)をする。
【0004】
このゴムコーティングされたすだれ織物をタイヤ径方向に必要な長さに裁断したのち、これを成形ドラム上に、コードを軸方向に揃えて巻き付け、耳部同士をスプライスすることにより、カーカス層を成形する。この場合、タイヤのサイズによっては、裁断後のすだれ織物の複数枚を耳部同士を予めスプライスしたものを使うこともある。
【0005】
従来、上記のすだれ織物の生産性向上のため、緯糸端部に関して、図3に示す耳部で連続的に折り返すループ構造のすだれ織物10Xの代りに、図4に示すような耳部で緯糸を切断して、その切断端部を折り込むようにしたタックイン構造のすだれ織物10Yを用いることが増えている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
しかし、このタックイン構造のすだれ織物10Yでは、ディッピング工程において、前記緯糸の折り込み部分が抜け落ちるという問題が発生していた。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−98444号公報 (第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この抜け落ちを防止するため、緯糸折り返し部の長さを長くすることが考えられるが、この緯糸折り返し部を長くしたすだれ織物をタイヤのカーカス層に用いると、緯糸折り返し部は緯糸の本数が2倍となり且つ隣接するため、緯糸折り返し部の長さの長さに応じて緯糸の伸びの抵抗が大きくなり、グリーンタイヤの加硫成形時にリフトが掛けられたとき、緯糸折り返し部の経糸の間隔が、他の部分の経糸の間隔に比べ、狭くなってしまい(経糸密度が密になる)、このためタイヤサイド部に凹部を発生し、タイヤのユニフォミティが悪化するという問題が生じる。
【0009】
本発明の目的は、タックイン構造のすだれ織物を用いてカーカス層を形成する空気入りラジアルタイヤの製造方法において、ディッピング時の緯糸の折り込み部分の抜け落ちを抑制しながら、すだれ織物の緯糸折り返し部に起因して生ずるタイヤサイド部における凹部を抑制するようにしたユニフォミティに優れた空気入りラジアルタイヤの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の空気入りラジアルタイヤの製造方法は、耳部の緯糸折り返し部の長さtが20mm以上40mm以下で、該緯糸折り返し部の経糸密度Eeが本体部の経糸密度Ecに対し、下記の式(I)で表される範囲にあるタックイン構造のすだれ織物をディッピング処理したのち、圧延処理する時に、前記緯糸折り返し部の経糸密度を本体部の経糸密度と同一になるように調整して、該緯糸折り返し部における緯糸を弛ませた状態にセットし、このセット後のすだれ織物を使用してカーカス層を構成する方法である。
18*Ec/t≦Ee<Ec ・・・・(I)
(ここに、EeとEcの単位は(本/50mm)であり、tの単位は(mm)である。)
そして、本発明の空気入りラジアルタイヤは、上記の空気入りラジアルタイヤの製造方法により製造される。
【0011】
本発明によれば、すだれ織物の緯糸折り返し部長さを20mm以上40mm以下と長くしているため、すだれ織物のディッピング工程における緯糸の抜けが無くなる。
【0012】
そして、圧延時にすだれ織物の全幅に亘って経糸密度が同一となるように調整することにより、緯糸折り返し部の緯糸が他の部分に比較して弛むので、緯糸の伸び代部分が生じ、緯糸の伸びを確保できる。そのため、グリーンタイヤの加硫成形時にリフトが掛けられたとき、緯糸折り返し部の緯糸が伸び易くなり、よって、緯糸折り返し部の経糸の間隔が広がり易くなるため、緯糸折り返し部の経糸の間隔が他の部分の間隔と比べ狭くなることがなく、タイヤサイド部に凹部が発生するのを抑制できるので、タイヤのユニフォミティが改善される。
【0013】
更に、従来技術のすだれ織物のディッピング工程では、浸漬処理後に余分なディッピング液を真空吸引やローラの押圧による絞り等で除去する際に、緯糸折り返し部は、バキュームの効きやローラの当たりが悪いため、余分なディッピング液が残ってしまい、ディッピングマシンのロールが汚れるという問題が生じていたが、本発明では、すだれ織物の緯糸折り返し部の経糸密度を疎としているため、余分なディッピング液を除去することが容易となるので、ディッピングマシンのロール汚れを低減できる。
【0014】
なお、緯糸折り返し部の経糸密度Eeを18*Ec/tよりも疎にすると、カレンダー(圧延)処理に本体部を同じエンド数にすることが困難になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態の空気入りラジアルタイヤの製造方法及び空気入りラジアルタイヤについて、図面を参照しながら説明する。
【0016】
本発明においては、空気入りラジアルタイヤのカーカス層を補強するすだれ織物に特徴があり、すだれ織物をディッピング処理したコーティングコードからカーカス層用の中間資材(カレンダー材)を製造する点や、この中間資材(カレンダー材)をカーカス層に用いて空気入りラジアルタイヤを製造する点は従来技術とは特に差異がないので、説明を省略する。
【0017】
図1に示すように、本発明に係る実施の形態の空気入りラジアルタイヤに使用するすだれ織物10は、緯糸折り返し部Z2の構造にタックイン構造を採用して、ナイロン、ポリエステル、芳香族ポリアミド等の比較的太いタイヤコードの経糸11,11’と比較的細い紡績糸等の緯糸12を使用して、すだれ状に織り上げる。
【0018】
この時、図1に示す、織製時に緯糸折り返し部Z2の緯糸折り返し部の長さtを20mm以上40mm以下とすると共に、緯糸折り返し部Z2の経糸密度Ee(本/50mm)を、本体部Z1の経糸密度Ec(本/50mm)に対し、式(I)で表されるように疎にして織り上げる。
18*Ec/t≦Ee<Ec ・・・・(I)
このように本体部Z1の経糸密度Ecより緯糸折り返し部Z2の経糸密度Eeを疎にして織ったすだれ織物10を、一定条件下で接着液に浸してディッピング処理し、コードとゴムとの接着性を良くする。
【0019】
そして、このディッピング処理の後に、寸法安定性のよい均一なコードを得るために、連続的に張力を加えながら熱処理したのち、未加硫ゴムをコーティングするカレンダー処理を行う。
【0020】
この圧延時に、スレッドバーを用いて、緯糸折り返し部Z2の経糸密度Eeを、本体部Z1の経糸密度Ecと同じ経糸密度になるように揃え直して、すだれ織物10の全幅において経糸密度Ec,Eeが同一となるように調整する。この調整により、図2に示すように緯糸折り返し部Z2の緯糸12が他の部分の緯糸12よりも弛んだ状態とすることができる。
【0021】
この処理後、すだれ織物10に未加硫ゴムをコーティングして、コーティングコードを作り、図5に示すように、このコーティングコード20を、タイヤ径方向に必要な所定の長さに裁断し、その裁断したシートを図6に示すように、緯糸折り返し部Z2同士でスプライス(重ね合わせ)する。つまり、緯糸12が縮れて伸び易くなった緯糸折り返し部Z2の端部を重ね合わせて中間資材(カレンダー材)を製造する。
【0022】
上記のようにして得られた中間資材(カレンダー材)をカーカス層に用いて空気入りラジアルタイヤを製造する。
【0023】
〔実施例〕
タイヤサイズが175/60R14、2枚のベルト層と1枚のカーカス層を設け、カーカス層のすだれ織物を表1の通り、実施例と比較例の2種の供試タイヤを製造し、加工性をディッピングマシンのロールの汚れで、また、タイヤのユニフォミティをサイド部の凹凸判断における歩留りで評価した。
【0024】
その結果、ディッピングマシンのロールの汚れとサイド部の凹凸歩留りのいずれも、実施例タイヤの方が比較例タイヤよりも優れていることが分かった。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、すだれ織物の耳部の緯糸折り返し部の長さを20mm以上40mm以下と長くしているので、すだれ織物のディッピング処理における緯糸の折り込み部分を無くすことができる。
【0027】
また、カレンダー処理において、緯糸折り返し部分の経糸密度が本体部の経糸密度と同一となるように調整し、緯糸折り返し部分における緯糸を弛ませた状態にセットするので、伸び代部分が生じ、緯糸の伸びを確保できる。
【0028】
そのため、グリーンタイヤの加硫成形時にリフトが掛けられたとき、カーカス層の緯糸折り返し部の緯糸が伸び易くなり、これに伴い、緯糸折り返し部の経糸の間隔が広がり易くなるため、緯糸折り返し部の経糸間隔が他の部分の間隔と比べ狭くなることがなく、タイヤサイド部に凹部が発生するのを抑制できる。従って、ユニフォミティに優れた空気入りラジアルタイヤを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の空気入りラジアルタイヤのカーカス層に使用する、圧延処理前のすだれ織物の経糸の分布を示す図である。
【図2】図1のすだれ織物の圧延後の状態を示す図である。
【図3】従来技術のループ構造のすだれ織物を示す図である。
【図4】従来技術のタックイン構造のすだれ織物を示す図である。
【図5】コーティングコードの裁断を示す図である。
【図6】裁断されたコーティングコードの接合を示す図である。
【符号の説明】
10 すだれ織物
11 経糸(本体部)
11’ 経糸(緯糸折り返し部)
12 緯糸
t 緯糸折り返し部長さ
Ec 本体部経糸密度
Ee 緯糸折り返し部経糸密度
Z1 本体部
Z2 緯糸折り返し部
^
Claims (2)
- 耳部の緯糸折り返し部の長さtが20mm以上40mm以下で、該緯糸折り返し部の経糸密度Eeが本体部の経糸密度Ecに対し、下記の式(I)で表される範囲にあるタックイン構造のすだれ織物をディッピング処理したのち、圧延処理する時に、前記緯糸折り返し部の経糸密度を本体部の経糸密度と同一になるように調整して、該緯糸折り返し部における緯糸を弛ませた状態にセットし、このセット後のすだれ織物を使用してカーカス層を構成する空気入りラジアルタイヤの製造方法。
18*Ec/t≦Ee<Ec ・・・・(I)
(ここに、EeとEcの単位は(本/50mm)であり、tの単位は(mm)である。) - 請求項1記載の空気入りラジアルタイヤの製造方法により製造した空気入りラジアルタイヤ。
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