JP4223582B2 - 改良されたマイクロカプセル及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁材が付加重合性官能基を有するポリマーで形成されているマイクロカプセル及びその製造方法に関する。本発明が対象とするマイクロカプセルは、その壁材が本来目的とする芯物質の成分とはまったく独立した成分から形成されるマイクロカプセルである。
【0002】
【従来の技術】
従来のマイクロカプセルとしては、芯物質に特徴を持たせたもの、壁材の種類や熱応答性、耐圧性に特徴を持たせたもの等が公知であり、各種用途の記録材料、食品、医薬、文具、日用品等の広範囲の分野で使用されている(例えば、近藤保等著「マイクロカプセル化の新技術とその用途開発・応用実例」経営開発センター出版部(1978)、近藤保他著「マイクロカプセル<その機能と応用>」日本規格協会(1991))。
【0003】
然るに、従来のマイクロカプセルを、繰り返し圧縮、擦りといった機械的な負荷のかかる用途に、バインダーと一緒に用いた場合、上記機械的刺激に対する耐久性を付与するためにバインダーを架橋し強化しても耐久性の大幅な向上が達成出来ず、バインダーとマイクロカプセル境界で剥離する現象が見られた。壁材そのものを強化しても該剥離現象は向上せず、却って芯物質放出性能が低下するという傾向を有し本質的解決にはならなかった。また、従来のマイクロカプセルをバインダーと一緒に用いて膜等を成形したものを水、アルコール、オイルといった溶剤の蒸気や液体に接触させた場合、バインダーが溶剤で膨潤し時間が経つと一緒に用いたマイクロカプセルが離脱してくるという問題があった。
【0004】
かかる問題を解消するために例えば特開昭63−177145号公報では、マイクロカプセルの形態にあるトナー粒子の表面に、荷電制御基とラジカル連鎖移動基とを有するモノマーのグラフト重合により形成された高分子鎖を結合させてトナー粒子の離脱、剥離を防止することが試みられている。しかしながら、バインダーが溶剤で膨潤した状態や、強い剪断力が働く用途ではまだ不十分であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のマイクロカプセルを用いた時に観察される、バインダーからの剥離・脱離現象を解決することのできるマイクロカプセルを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、マイクロカプセルの壁材を形成しているポリマー自身に付加重合性官能基を導入することにより解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1) マイクロカプセルの壁材を形成しているポリマーが付加重合性官能基を有することを特徴とするマイクロカプセル。
(2) 壁材がウレア結合、ウレタン結合、アミド結合の少なくとも1つの結合形態により重合したポリマーである上記1のマイクロカプセル。
(3) 付加重合性官能基が炭素−炭素二重結合である上記1または2のマイクロカプセル。
(4) 炭素−炭素二重結合がアクリロイル基、メタクリロイル基およびアリル基の少なくとも一種である上記3のマイクロカプセル。
(5) 付加重合性官能基がエポキシ基、グリシジル基の何れかである上記1または2のマイクロカプセル。
(6) マイクロカプセルの製造方法において、油相に溶解する壁材形成成分として、ポリイソシアナートと共にアクリロイル基含有イソシアナート、メタクリロイル基含有イソシアナートおよびアリル基含有イソシアナート化合物の少なくとも一種を併用することを特徴とする界面重合法を用いた上記4のマイクロカプセルの製造方法。
(7) マイクロカプセルの製造方法において、水相に溶解する壁材形成成分として、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基から選ばれる活性水素を含有する官能基を2つ以上有する化合物と共に、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基から選ばれる付加重合性官能基を1つ以上有しかつ活性水素を含有する官能基を1つ以上有する化合物を少なくとも一種を併用することを特徴とする界面重合法を用いた上記4のマイクロカプセルの製造方法。
(8) マイクロカプセルの製造方法において、油相に溶解する壁材形成成分として、ポリイソシアナートとヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基から選ばれる活性水素を含有する官能基を2つ以上有する化合物と共に、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基から選ばれる付加重合性官能基を1つ以上有しかつ活性水素を含有する官能基を1つ以上有する化合物を少なくとも一種、又はアクリロイル基含有イソシアナート化合物およびメタクリロイル基含有イソシアナート化合物の少なくとも一種を併用することを特徴とするin−situ法を用いた上記4のマイクロカプセルの製造方法。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における付加重合性官能基としてはイオン反応、ラジカル反応何れかの反応で付加重合反応を行なうものであれば特に限定はない。例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニル基といった炭素−炭素二重結合を有する官能基、エポキシ基、グリシジル基、ジオキサン、テトラヒドロフランといった環状エーテルから誘導される開環付加重合反応を行いうる官能基等が挙げられる。
【0008】
何れの官能基を使用するかは、マイクロカプセルの壁材の製法、マイクロカプセルと併用するバインダーとの反応手段によって選択する。例えば、in−situ法でラジカル重合によりマイクロカプセルの壁材を形成する場合には、ラジカル重合しうる付加重合性官能基は不向きであり、イオン反応的に開環付加重合を行う環状エーテルから誘導される官能基が好ましい。界面重合法でウレア結合、ウレタン結合、アミド結合の少なくとも1つの結合形態により重合したポリマー壁材を形成する場合には、炭素−炭素二重結合を有する付加重合性官能基が好ましい。付加重合性官能基を導入した壁材形成用ポリマーを予め製造しておき、コアセルベート法でマイクロカプセルを製造する場合は、バインダーとの反応手段によって選択すれば良くカプセル化工程段階での制約はない。
【0009】
上記したin−situ法、界面重合法、コアセルベート法等のマイクロカプセルの製法は前掲書に詳しく記載されている。界面重合法は互いに相溶しあわない2つの液体の界面で、予め各液体に別々に添加してある反応物を重縮合せしめ、両液体に不溶なポリマー皮膜を形成させてカプセル壁を形成させる方法であり、連続相は水、油何れでも可能である。通常は連続相に水が使用される場合が多い。一方、in−situ法は、芯物質の内側または外側のどちらか一方のみから反応物を供給し、芯物質の周囲にポリマー壁を形成させる方法である。コアセルベート法は、親水性ポリマー溶液中に分散させた疎水性物質の表面に、親水性ポリマーを相分離させて拆出させ、カプセル壁を形成させる方法であり、色々なバリエーションがある。
【0010】
例として炭素−炭素二重結合を有する付加重合性官能基を壁材へ導入する方法を具体例を挙げて次に説明する。ウレア結合、ウレタン結合、アミド結合の少なくとも1つの結合形態により重合したポリマーを壁材とするマイクロカプセルを作製するのに有用な界面重合法において、連続相が水の場合、活性水素を含有する官能基を2つ以上有するポリヒドロキシ化合物、ポリアミン、ポリカルボン酸等の化合物を連続相に溶解し、油性成分である芯物質に、ポリイソシアナート化合物に加えて、炭素−炭素二重結合含有イソシアナート化合物としてアクリロイル基、メタクリロイル基およびアリル基の少なくとも1種を含有するイソシアナート化合物を併用添加して界面重合を行い、マイクロカプセルを作製する。
【0011】
活性水素を含有する官能基を2つ以上有する化合物を具体的に例示すると、1,2−エタンジアミン、ジエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,6−ヘキサンジアミン、3,3′−イミノビス(プロピルアミン)、N−メチル−3,3′−イミノビス(プロピルアミン)、α,ω−ビス−(3−アミノプロピル)−ポリエチレングリコールエーテル等のポリアミン化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のオリゴアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体等のポリアルキレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリストール、ソルビトール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6ーヘキサントリオール、トリエタノールアミン等のポリヒドロキシ化合物、1,2−エタンジカルボン酸、アジピン酸といったα,ω−アルカン若しくはアルケンジカルボン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、4,4′−スルホニルジ安息香酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等のポリカルボン酸、開環後実質的に2つ以上のカルボキシル基を持つ形態となる無水こはく酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、二無水ピロメリット酸等の酸無水物類、2−エタノールアミン、グリシルグリシン等のイソシアネートと反応する官能基を同一分子内に2種類以上混合して含有する化合物などが挙げられる。
【0012】
なお、本発明において酸無水物類は水相側に添加し反応時点において実質的に2つ以上のカルボキシル基を有する状態で用いられる。
さらに、ポリビニルアルコール、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリアリルアミン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリイタコン酸などに代表される、後述のヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基から選ばれる活性水素を含有する官能基を有し、かつアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基から選ばれる付加重合性官能基を1つ以上有する化合物(本発明において以下、炭素−炭素二重結合含有且つ活性水素含有化合物という。)を重合して得られるポリマーや、他の付加重合性モノマーとのコポリマーを壁形成材料として用いることもできる。更には、水そのものをイソシアナートの反応対として用いウレア構造の壁を形成する方法が用いられる場合もある。ただし、アクリロイル基と1級又は2級のアミノ基を1分子内に含有する化合物は自己重合性があり不安定であるため、本発明において炭素−炭素二重結合含有且つ活性水素含有化合物には含まない。
【0013】
またポリイソシアナート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナート、1,5−ナフタレンジイソシアナート、トリジンジイソシアナート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアナート、リジンジイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、ビシクロヘプタントリイソシアナート、トリメチロールプロパントリトリレンジイソシアナート付加物等が例示できる。
【0014】
炭素−炭素二重結合含有イソシアナート化合物としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、何れかを含有するイソシアナート化合物であれば良く、具体的には、(メタ)アクリロキシエチルイソシアナート、(メタ)アクリロキシプロピルイソシアナートといった(メタ)アクリロキシアルキルイソシアナート、(メタ)アクリルイソシアナート、アリルイソシアナート等が挙げられる。この中でも安定性、作業性の観点から、(メタ)アクリロキシアルキルイソシアナート、アリルイソシアナートが好ましく用いられる。
【0015】
界面重合法による本発明のマイクロカプセル製造において、連続相が水の場合、付加重合性不飽和基の導入方法として、上記の活性水素を含有する官能基を2つ以上有する化合物と一緒に、炭素−炭素二重結合含有且つ活性水素含有化合物を併用し、油相には付加重合性官能基含有化合物を使用せず上記ポリイソシアナートのみを使用する方法もある。
【0016】
かかる炭素−炭素二重結合含有且つ活性水素含有化合物としては、例えば、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ジ、トリ、テトラ等のオリゴエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジまたはトリ(メタ)アクリレート、エチレン、ジエチレン等のグリコール化合物のジグリシジルエーテル化物と(メタ)アクリル酸との付加物、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、アリルアミン、メタクリロキシエチルアミン、メタクリロキシプロピルアミン等のメタクリロキシアルキルアミンなどが例示できる。更に、上記モノマーを重合した後、その活性水素含有基の一部にヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基とイソシアナートの反応、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基とエポキシドの反応などを用いて(メタ)アクリロキシアルキルイソジアナート類やグリシジル(メタ)アクリレートなどの付加重合性官能基を有するモノマーを付加した付加重合性ポリマーも使用することができる。
【0017】
ポリウレタンを油相内部で重合して壁材を形成するのに有用なin−situ法においては、前記ポリイソシアナート化合物と前記の活性水素を含有する官能基を2つ以上有する化合物の他に、前記炭素−炭素二重結合含有イソシアナート化合物を併用するか、前記の炭素−炭素二重結合含有且つ活性水素含有化合物を併用し、これらの化合物を同時に油相に溶解させておき、この溶液を保護コロイド水溶液に乳化分散し、必要なら昇温し反応させて付加重合性官能基を有するポリウレタン壁材を形成させる。
【0018】
油相に溶解させる活性水素を含有する官能基を2つ以上有する化合物としては前記の他にも、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレングリコール、これらと他のグリコールとの共重合体などが例示出来る。
また、油相に溶解させる炭素−炭素二重結合含有且つ活性水素含有化合物としては、前記の化合物の他に前記の活性水素を含有する官能基を2つ以上有する化合物と前記の炭素−炭素二重結合含有イソシアナート化合物とを活性水素含有基当量/イソシアナート基当量>1の比率で予め反応させて得られる化合物も使用できる。
【0019】
界面重合法やin−situ法に使用される炭素−炭素二重結合含有イソシアナート化合物としては前記の化合物の他に、前記の炭素−炭素二重結合含有且つ活性水素含有化合物とポリイソシアナート化合物を活性水素含有基当量/イソシアナート基当量<1の比率で反応させ得られた化合物も例示出来る。
環状エーテルから誘導された付加重合性官能基導入方法としては、グリシドールを前記ポリイソシアナートと反応させて得られたグリシジル基含有イソシアナート化合物を、前記の炭素−炭素二重結合含有イソシアナート化合物の代わりに使用する方法、グリシドールそのものを、炭素−炭素二重結合含有且つ活性水素含有化合物の代わりに使用する方法が例示出来る。グリシドールの他に環状エーテルと活性水素含有基を有する化合物として、ヒドロキシフラン、ヒドロキシメチルフラン、ヒドロキシオキセタン、ヒドロキシメチルオキセタン等が例示出来る。
【0020】
なお、炭素−炭素二重結合を有しかつ活性水素を含有する官能基を1つ有する化合物あるいは炭素−炭素二重結合含有モノイソシアナート化合物、環状エーテルを含有しかつ活性水素を含有する官能基を1つ有する化合物を使用する場合、マイクロカプセル壁の機械的強度が低下するようなら、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基から選ばれる活性水素を含有する官能基を3つ以上有する化合物や3官能以上のポリイソシアナート化合物を併用して壁材形成ポリマーの強度を補強し、所定のレベルに維持するのが好ましい。
【0021】
壁材ポリマー中の付加重合性官能基導入率は用途、目的に応じて決めることが出来、特に本発明上の制約はないが、付加重合性官能基を導入するために用いる当該付加重合性官能基含有化合物が、全ての壁材形成物質に対する重量割合で0.5%以上壁材中に存在していると本発明効果が発揮される。さらに1%以上存在するとその効果が一層明確に現れ効果的であり好ましい。上限についての本発明の効果上の制約はないが、付加重合性官能基の導入率が高くなると硬化歪みの影響が顕在化することがあり、マイクロカプセルを用いた製品の性能の一部において好ましくないことがあり、導入率は高くても80%以下、実用的には50%以下が好ましい。付加重合性官能基の壁材含有率は、製造したマイクロカプセルを機械的に破壊し、芯物質を溶剤抽出して得られた壁材を赤外分光分析法や固体NMR法で定量することが出来る。簡便にはカプセルそのものを赤外分光分析し求めることも出来る。また、芯物質を用いない壁材形成のモデル実験により壁材相当のポリマー膜を作成し、それを上記方法で解析することにより含有率を推定することも可能である。
【0022】
また、製造段階に混合する、壁材中のポリマーに付加重合性官能基を導入するための化合物量は、当該物質を油相中に混合する場合、おおよそ定量的に壁材中に取り込まれるため所望の壁材中の含有率に応じ混合量を決定すればよいが、当該物質を水相側に混合する場合は、その油相側に対する溶解性と水相側に対する溶解性やイソシアナートとの反応性などにより壁材中への導入率が変化するため所望の導入率に応じ混合量を実験的に求める必要がある。通常は水相側の未反応残留物量が必要以上に多くならないよう、所望の導入率の1倍から20倍の範囲で混合する。
【0023】
本発明において芯物質については、壁材形成に悪影響を与えない限り全く制約がなく、色々な用途で使用される通常の物質が使用できる。例えば、ワックス、香料、感光性モノマー、反応性モノマー、感熱性化合物、液晶、色素、染料、殺虫剤等、数多くのものが使用できる。
芯物質がマイクロカプセル外に放出された後に形成される膜などの構造体の機械的負荷に対する耐久性を向上させる場合は、付加重合性の芯物質が好ましく用いられる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。マイクロカプセルの粒度測定は粒度分布測定装置HORIBA LA910(堀場製作所製)で測定した。
【0025】
【実施例1】
アルギン酸プロピレングリコール((株)紀文フードケミファ製ダックロイドLF)3重量%を溶解した水溶液120gにポリエチレングリコール(数平均分子量400)1.8gを入れ混合溶解させた。ついでこの溶液を30℃で8000rpm攪拌しているところに、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(芯物質)7g、トリメチロールプロパントリトリレンジイソシアナート付加体1.0gそしてメタクリロキシエチルイソシアナート0.25gの混合溶解物を添加し、さらに10分間攪拌した。その後、この乳化分散液を容器ごと60℃に加温したウォーターバス中に移し500回転で3時間攪拌した。得られたマイクロカプセルは、体積平均粒径:4.4μmであった。得られたマイクロカプセルを遠心分離器を用い洗浄した後、ジメチルスルホキシドを用いてマイクロカプセルの壁材を分離し、赤外分光分析を行ったところ、メタクリロイル基の特性吸収が認められ、別途作成した検量線から求めた導入率はおよそ10wt%であった。
【0026】
【実施例2】
ポリビニルアルコール(鹸化度80%、平均重合度1000)5重量%を溶解した水溶液120gにポリエチレングリコール(数平均分子量400)1.6g、アリルアミン0.15gを加え混合溶解させた。次いでこの溶液を30℃で6000rpm攪拌しているところに、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(芯物質)7g、トリメチロールプロパントリトリレンジイソシアナート付加体1.0gの混合溶解物を添加し、さらに10分間攪拌した。その後、この乳化分散液を容器ごと60℃に加温したウォーターバス中に移し、500回転で3時間攪拌した。得られたマイクロカプセルは、体積平均粒径:5.5μmであった。得られたマイクロカプセルを遠心分離器を用い洗浄した後、ジメチルスルホキシドを用いてマイクロカプセルの壁材を分離し、赤外分光分析を行ったところ、アリル基の特性吸収が認められ、別途作成した検量線から求めた導入率はおよそ5wt%であった。
【0027】
【実施例3】
アルギン酸プロピレングリコール((株)紀文フードケミファ製ダックロイドLF)4重量%を溶解した水溶液120gにポリエチレングリコール(数平均分子量400)1.6g、グリシドール0.35gを加え混合溶解させた。次いでこの溶液を30℃で8000rpm攪拌しているところに、トリメチロールプロパントリアクリレート(芯物質)7g、トリメチロールプロパントリトリレンジイソシアナート付加体1.0gの混合溶解物を添加し、さらに10分間攪拌した。その後、この乳化分散液を容器ごと60℃に加温したウォーターバス中に移し500回転で3時間攪拌した。得られたマイクロカプセルは、体積平均粒径:3.7μmであった。得られたマイクロカプセルを遠心分離器を用い洗浄した後、ジメチルスルホキシドを用いてマイクロカプセルの壁材を分離し、赤外分光分析を行ったところ、エポキシ基の特性吸収が認められ、別途作成した検量線から求めた導入率はおよそ5wt%であった。
【0028】
【比較例1】
メタクリロキシエチルイソシアナートを使用しない他は、実施例1と同様にしてマイクロカプセルを製造した(体積平均粒径:4.1μm)。
【0029】
【実施例4、5、6及び比較例2】
バインダーポリマー合成:2−ヒドロキシエチルアクリレート39.2g、アクリル酸3.3g、アクリルアミド16.0g、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン0.2g、水/イソプロピルアルコール(1/1重量比)100gの混合溶液を撹拌しながら70℃に昇温した。この溶液に熱重合開始剤として2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)0.38gを添加し4時間反応した。引き続き、グリシジルメタクリレート6.4g、重合禁止剤としてt−ブチルハイドロキノン0.5gおよびベンジルトリメチルアンモニウムクロライド1gを加え、80℃で6時間反応した。次いでアセトンを加えポリマーを沈殿させ、よく洗浄して精製しバインダーポリマー(GPCによる数平均分子量:1.5×104 、架橋間平均分子量:1.7×103 )を得た。
【0030】
水100g中に(2−アクリロキシエチル)(4−ベンゾイルベンジル)ジメチル臭化アンモニウム(光重合開始剤)0.01gを溶解し、この中に実施例1〜3及び比較例1で製造したマイクロカプセルと上記バインダーポリマーを1:1の重量比でそれぞれ10gづつ添加し分散混合した。この分散液を厚み100μmのコロナ放電処理ポリエステルシート上にバーコーターで塗布、乾燥し、紫外線を全面に照射してマイクロカプセル含有塗膜試料を作製した。膜厚は平均7μmであった。これらの試料を耐刷性試験装置NPテスター(新村印刷製)で500g荷重をかけ往復耐久性テストを行った。500回往復した後、各試料の厚みを測定し試験前の厚みから差し引き、厚み損を求めた。その結果を表1に示した。本発明によるマイクロカプセルを使用した実施例4〜6の塗膜はサブミクロンの磨耗厚み損であることから、カプセル脱離は生じていないことは明らかである。これに対し、比較例で作成した従来のマイクロカプセルを使用した比較例2の塗膜は数ミクロンの磨耗厚み損を示しており、明らかにカプセル脱離によるものである。これらの結果から、本発明のマイクロカプセルを使用した塗膜は、従来のマイクロカプセルを使用した塗膜より遙に耐久性があることが分かる。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】
本発明のマイクロカプセルは、その壁材を形成しているポリマー中に付加重合性官能基を有していることから、併用する、該付加重合性官能基と反応性があるバインダーポリマーとの反応が可能となり、マイクロカプセルがバインダーから離脱しがたくなる。従って、構成体が溶媒を含む場合でも、擦れ、セン断といった機械的な刺激に高い抵抗力を付与出来る。
Claims (5)
- マイクロカプセルの壁材を形成しているポリマーがメタクリロイル基を有し、前記壁材がウレア結合の結合形態により重合したポリマーであることを特徴とするマイクロカプセル。
- 前記壁材中のメタクリロイル基が前記マイクロカプセルを併用するバインダーと反応する請求項1に記載のマイクロカプセル。
- マイクロカプセルの製造方法において、油相に溶解する壁材形成成分として、ポリイソシアナートと共にメタクリロイル基含有イソシアナートを併用することを特徴とする界面重合法を用いた請求項1または2に記載のマイクロカプセルを製造するためのマイクロカプセルの製造方法。
- マイクロカプセルの製造方法において、油相に溶解する壁材形成成分として、ポリイソシアナートと共にメタアクリロキシアルキルイソシアナートを併用することを特徴とする界面重合法を用いた請求項1または2に記載のマイクロカプセルを製造するためのマイクロカプセルの製造方法。
- 請求項1または2に記載のマイクロカプセルを膜形成に用いる膜形成用マイクロカプセル。
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1997
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