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JP4226397B2 - 防音床構造 - Google Patents
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JP4226397B2 - 防音床構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明に属する技術分野】
本発明は、構造部材間の固定度が低い低固定度建物の防音床構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
木造、ツーバイフォー造、鉄骨造等の戸建住宅や低層集合住宅等は、床、壁、梁、柱等の構造部材相互間の固定度がRC造建物と比べ相対的に低い低固定度建物である。
【0003】
低固定度建物においては、ALC床版、PC床版、中空押出セメント床版等からなる無機質床版、木質材を組合せてなる木質床パネル、合板、パーチクルボード、根太等の木質材、コンクリート石膏ボード、ALC、中空押出セメント板等の無機質材、鋼板、鋼材等の金属材、及び各種吸音材を任意に組合せた複合パネルからなる群より選ばれた床基版が用いられる。
【0004】
床基版と、この床基版を支持する梁、大引等の支持構造部材との間には、振動絶縁材が設けられ、特に、振動絶縁材は、床基版に衝撃が加わった時に、床基版への衝撃力を緩和し、梁等の支持構造部材側への振動伝達を抑制し、床構造の防音に寄与する。
【0005】
木造等の戸建住宅や低層集合住宅には、RC造の様な床、壁、梁、柱等の構造部材相互間を高い固定度とすることは容易ではなく、又、重量床衝撃音の対策も、RC造では、床厚を増すことによる剛性増、重量増とする手法が古くより行われているが、木造等の低固定度建物では、構造部材間は低固定度であるので単に床の剛性増、重量増で対処することはできない。
【0006】
かかる重量床衝撃音の対策には、種々の床材をはじめ各種建築部材を改良する多くの試みがなされている。本発明者は、ポリノルボーネンゴムを15〜85重量%含有させた振動絶縁材が、低反発挙動を示し、床版と梁の間に介在させることにより重量床衝撃時に衝撃力を低減させることを示している(特に、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−64481号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ポリノルボーネンゴムは、高価で感温性が強い欠点がある。又、近年使用量の少なさから生産中止となったこともあって、ポリノルボーネンゴムを使用せずに低反発挙動を示し、感温性の少ない振動絶縁材を早急に確立する必要が生じた。
【0009】
本発明の課題は、低反発挙動を示すのはもちろん、感温性が抑制された防音部材によって、低固定度建物の床構造に優れた防音性能を発揮させることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、構造部材間の固定度が低い低固定度建物の防音床構造であり、床基版と、前記床基版を支持する支持構造部材と、前記床基版と前記支持構造部材との間の防音部材とを備えており、前記防音部材が、前記床基版に衝撃が加わったときの衝撃力を緩和し、前記支持構造部材への衝撃力の振動伝達を抑制する防音床構造であって、前記防音部材が、ブチルゴム、再生ゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン多元共重合体、ポリイソブチレン、部分架橋ブチルゴム及び熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリマー成分から得られており、前記防音部材が35%以下の反発弾性率を有している、防音床構造に関するものである。
特に、本発明は、構造部材間の固定度が低い低固定度建物の防音床構造であり、床基版と、前記床基版を支持する支持構造部材と、前記床基版と前記支持構造部材との間の防音部材とを備えており、前記防音部材が、前記床基版に衝撃が加わったときの衝撃力を緩和し、前記支持構造部材への衝撃力の振動伝達を抑制する防音床構造であって、
前記防音部材が、再生ブチルゴムより選ばれる少なくとも1種のゴム成分で加硫ゲル分を含むものの30〜90重量%と、ハードセグメントをスチレンとし、ソフトセグメントを、ブタジエン、イソプレン及びそれらの水素添加物、及びポリ(エチレン・ブチレン)からなる群より選ばれる少なくとも1種のものとする熱可塑性エラストマーの10〜70重量%とから構成される加硫ゴムから得られ、前記防音部材が35%以下の反発弾性率(JIS−K−6255、5〜35℃に従う測定値)及び25%以下の圧縮永久歪(JIS−K−6262、標準状態、168時間に従う測定値)を有していることを特徴とする防音床構造に係るものである。
【0011】
本発明は、床基版と、この床基版を支持する支持構造部材との間に、所定の材質からなる低反発挙動及び低感温性を示す防音部材を設けることによって、床衝撃力の緩和、床基版からの低周波帯域の放射音の低減、及び支持構造部材への振動伝達の抑制が安定して発揮されるという知見に基づくものである。
【0012】
上記特性を満足する防音部材は、ブチルゴム、再生ゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン多元共重合体、ポリイソブチレン、部分架橋ブチルゴム及び熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリマー成分から選ばれ、特に再生ブチルゴムより選ばれる少なくとも1種のゴム成分で加硫ゲル分を含むものの30〜90重量%と、ハードセグメントをスチレンとし、ソフトセグメントを、ブタジエン、イソプレン及びそれらの水素添加物、及びポリ(エチレン・ブチレン)からなる群より選ばれる少なくとも1種のものとする熱可塑性エラストマーの10〜70重量%とから構成される加硫ゴムから得られる。
【0013】
本発明によれば、床基版と支持構造部材との間の防音部材が、所定の材質からなる低反発挙動及び低感温性を示すので、床衝撃力の緩和、床基版からの低周波帯域の放射音の低減、及び支持構造部材への振動伝達の抑制が安定して発揮される。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施をする形態について説明する。
本発明は、所定の反発弾性率を示す一定の材質の防音部材が、床基版と支持構造部材との間に設けられている低固定度建物用の防音床構造に係るものである。
【0015】
(1)低固定度建物
木造、ツーバイフォー造、鉄骨造等の戸建住宅や低層集合住宅等の建物であり、構造部材相互間の固定度がRC造建物と比べ相対的に低い建物である。構造部材は、建物の基礎構造を形作る部材であり、床、壁、梁、柱等である。
【0016】
(2)床基版
床構造の基礎を形作るものである。無機質床版、木質床パネル及び複合床パネルからなる群より選ばれる。詳細には、ALC床版、PC床版、中空押出セメント床版等からなる無機質床版、木質材を組合せてなる木質床パネル、合板、パーチクルボード、根太等の木質材、コンクリート石膏ボード、ALC、中空押出セメント板等の無機質材、鋼板、鋼材等の金属材、及び各種吸音材を任意に組合せた複合床パネル等からなる群より選ぶことができる。
【0017】
(3)支持構造部材
構造部材のうち、床基版を支持する部材である。代表的には、梁、大引等を挙げることができる。
【0018】
(4)防音部材
床基版と支持構造部材との間に設けられる。床基版に衝撃が加わった時の衝撃力を緩和し、支持構造部材への衝撃力の振動伝達を抑制する。
【0019】
ブチルゴム、再生ゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン多元共重合体、ポリイソブチレン、部分架橋ブチルゴム及び熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリマー成分から選ばれ、特に再生ブチルゴムより選ばれる少なくとも1種のゴム成分で加硫ゲル分を含むものの30〜90重量%と、ハードセグメントをスチレンとし、ソフトセグメントを、ブタジエン、イソプレン及びそれらの水素添加物、及びポリ(エチレン・ブチレン)からなる群より選ばれる少なくとも1種のものとする熱可塑性エラストマーの10〜70重量%とから構成される加硫ゴムから得られる。
【0020】
防音部材は、35%以下、好ましくは、0〜25%の反発弾性率を有する。反発弾性率は、JIS−K−6255に規定する標準状態において測定することができる。
35%より高い反発弾性率では、防音部材のゴム弾性が高く、いつまでも振動減衰し難い床基版になり易く、床基版自体も放射音を長く発生させることになる。したがって、反発弾性率は低い程この傾向がなく好ましい。
【0021】
(4−1)粘弾性ポリマー
防音部材は粘弾性ポリマーであり、なかでも粘性に富んだ粘弾性ポリマーは、ゴム弾性が抑えられ、低反発特性を有しているので、バネとしての作用が少なく、粘性抵抗成分が増加しているものである。なお、防音部材は、35%以下の反発弾性率を有するので、居住温度域では、衝撃反力が弾性に富む粘弾性ポリマーに比べ小さくなっている。
【0022】
それ故、防音部材上の床基版が加振されると、防音部材の粘性抵抗によって床の加振力を弱める。また、かかる防音部材は、ゴム弾性が抑制されているために、床基版が加振反力によって飛び跳ねようとする力も抑制する。それ故、床基版の振幅は少なくなり、減衰も早くなる。その結果、床基版からの放射音は低減する。
【0023】
更に、防音部材の下にある床基版を支持している支持構造部材への振動伝達も抑制、防止する。その結果、下室の壁や天井への固体振動も抑制でき、建築物全体として低周波のみならず高周波音も低減でき、重量床衝撃音レベルの低減度以上に聴感上、騒音が著しく静かになる。
【0024】
防音部材は、粘弾性ポリマーが、組成物としての10〜70重量%を占めることができる。この粘弾性ポリマーは、防音部材の反発挙動、圧縮永久歪を決定する上で重要な成分である。
【0025】
粘弾性ポリマー成分は、ブチルゴム、再生ゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン多元共重合体、ポリイソブチレン、部分架橋ブチルゴム及び熱可塑制エラストマーからなる群より単独、若しくは複数併用して選べばよい。
【0026】
(4−2)再生ゴム
なかでも、好ましくは、防音部材を構成するポリマー成分には、再生ゴムを用いる。本発明では、再生ゴムは、少なくとも加硫ゲル分を含むポリマー成分を意味する。
【0027】
特に、ポリマー成分中、再生ゴムのゴム成分が30重量%以上を占め、かつ、残余のポリマー成分を熱可塑性エラストマーとした場合、良好な結果が得られる。また、より一層特に、ポリマー成分中、再生ブチルゴムのゴム成分が30〜90重量%を占め、熱可塑性エラストマーが10〜70重量%を占める。ポリマー成分中、再生ブチルゴムのゴム成分が30重量%未満では、加硫ゲル分とカーボン分の相乗効果による流動抵抗力が少なくなり、低反発弾性が得られない。また、非加硫タイプで使用する場合は、圧縮永久歪が大きくなり本発明には適さなくなる。
【0028】
再生ゴムは、原料の屑ゴムのゴム分子を解重合によって再生するもので、屑ゴムの加硫部から硫黄を取り除いたものではない。再生ゴムは熱と圧力と再生油とロール操作によって再生され、ゴム分子が解重合する工程はロールの剪断力と微量の酸素により行われ、解重合の結果、小分子の加硫ゴムと小分子の末加硫ゴムに分離し、小分子の加硫ゴムは加硫ゲル分として流動抵抗として働き、小分子の末加硫ゴムは残存する二重結合を有し、加硫される。
【0029】
本発明において、再生ゴムが良好な理由は、再生ゴム中には、加硫ゲルと、一般的にはカーボンとが含まれており、適度な補強効果があり、何れも流動抵抗として作用する。しかも、通常は欠点とされる弾性がバージンゴムと比べ劣り、低反発弾性率となり、かつ粘性が増すためである。
【0030】
再生ゴムは、主として、原料として天然ゴムが主であるタイヤ再生、原料としてブチルゴムが主であるチューブ再生、屑ゴム材料により異なる雑再生のものがある。これら再生ゴムは、何れも前記長所を有するが、なかでも再生ブチルゴムは、バージンブチルの有するコールドフロー現象を示さず、クリープ特性に優れ、圧縮変形させた後の歪を受け難いという特徴をも併せ持っており、防音部材には好適である。
【0031】
(4−3)非加硫系又は加硫系
防音部材は、粘弾性ポリマー成分とゴム配合物を含有させて、非加硫系でも、加硫系でもどちらでも供用できる。つまり、前述のポリマー成分は、加硫系、非加硫系何れの系でもよく、防音部材を構成することができるが、加硫系がよい。特に、感温性の少ない低反発弾性率は、前記ポリマーで得られるためであり、床荷重を支持する必要があるため圧縮永久歪をできるだけ小さくする必要があるためである。
【0032】
低反発弾性率を示すだけでは、ポリノリボーネンゴムが知られているが、感温性が高く、夏冬の温度差で重量床衝撃音の結果が変化する。このとき、非加硫系とする場合には、特にブチルゴムや低分子量ポリイソブチレンはコールドフロー特性を有するので、それ等の変わりに、再生ブチルゴム、部分架橋ブチルゴムを用いることができる。その理由は、再生ブチルゴムが、バージンブチルゴムと比べ、加硫ゲル分とカーボンとを含む場合が多く、流動し難く、耐クリープ特性が改善されるためである。それと同様に、部分架橋ブチルゴムは、部分架橋により流動が阻害され、クリープ特性が改善されるためである。
【0033】
非加硫系では、加硫工程が省略でき、端材も再投入ができ、材料ロスが生じないというコストと環境の両面でメリットがあり、低反発弾性の点では、架橋点が無いこともあって非常に良好な低反発弾性が得られる。
【0034】
ところが反面、非加硫系においては、圧縮永久歪を受け易いという点が残されている。この対応には、熱可塑性エラストマーの併用が有効である。熱可塑性エラストマーには、塑性変形を阻止する拘束成分であるハードセグメントとエントロピー弾性を発揮させるためのゴム成分であるソフトセグメントが存在しており、供用温度域では加硫ゴムと同様の復元性が得られる特徴があり、熱可塑性エラストマーを併用することで、圧縮永久歪を適正範囲にできると共に、低反発弾性であることでも満足できる物が得られる。
【0035】
このようにして得られる防音部材は、床基版と梁の間に設置して重量床衝撃音を測定した所、良好な結果を得ることができた。このとき、熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントをスチレンとし、ソフトセグメントをブタジエン、イソプレン及びそれらの水素添加物、及びポリ(エチレン・ブチレン)からなる群より選ばれる少なくとも1種のものとした物が特に望ましい。
【0036】
次に、加硫系で防音部材を得る場合は、再生ゴム、ブチルゴムとエチレン−プロピレン多元共重合体をメインポリマーとし、低反発性を増す手段として、エチレン−プロピレン共重合体、ポリイソブチレンを加え、ポリマー架橋密度を下げる手段が有効であり、逆に圧縮永久歪を小さくするには、非加硫系と同様に熱可塑性エラストマーを併用する手段か、エチレン−プロピレン多元共重合体を増量する手段が有効となる。
【0037】
上記粘弾性ポリマー成分を非加硫系として用いるか、加硫系として用いるか、供用時の設定厚みがいくらか等の供用条件等を考慮して、最適の組成とする必要がある。また、以下に述べるようなゴム配合物を、供用条件により適宜混合することが望ましい。
【0038】
(4−4)ゴム配合物
ゴム配合物としては、軟化剤、充填剤、粘着付与樹脂、その他の添加剤を例示することができる。軟化剤は、加工作業性を向上させると共に、低反発性や制振性を始めとする粘弾性挙動やそれ等の発現温度域を調整し、粘弾性ポリマーや粘着付与樹脂との相溶性の調整に重要な役割がある。軟化剤の具体例としては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマティック系プロセスオイル等からなる石油系軟化剤、ストレートアスファルト、ブロンアスファルト、ポリブデン、各種液状ゴム、フタル酸誘導体、イソフタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、マレイン酸誘導体等を例示することができる。
【0039】
充填剤は、硫酸バリウム、フェライト、酸化鉄等の高比重充填剤、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等のカーボン、微粉硅酸塩、クレー、タルク、マイカ、グラファイト、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等を例示することができる。
【0040】
粘着付与樹脂は、粘弾性ポリマーの相溶性の調整により、粘弾性挙動の調整作用があり、制振性のピーク温度の調整をする上で有効な成分である。粘着付与樹脂としては、ロジン、変性ロジン、ロジン及び変性ロジンの誘導体、テルペン樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、シクロペンダジエン樹脂、芳香族系石油樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール−アセチレン樹脂、キシレン樹脂、クマロンインデン樹脂、ビニルトルエン−αメチルスチレン共重合体等を例示することができる。
【0041】
本発明においては、防音部材中に混入することにより、圧縮永久歪を受け難くする手段として、歪抑制材を用いることができる。歪抑制材としては、粉末ゴムやゴムチップ等を例示することができる。粉末ゴムやゴムチップは、加硫ゴムを粉砕して得られる物で、ゴム粒子1ヶ毎に粘弾性を示し、元の加硫ゴムが弾性に富んでいても、防音部材のポリマー中に分散されているので衝撃を受けるとゴム粒子が各々衝撃を吸収しながら変形し、変形時に変形抵抗成分として作用し、逆に変形終了後は形状の復元を行うが、粒子周囲のポリマーに拘束されるので衝撃反力を誘発することはない。つまり、一定量以上の変形には抵抗成分として働き、スペーサーとしての役割を行う。本発明では配合処方を組む上で、粉末ゴムは防音部材のポリマー成分として扱うより、充填材の一種として扱うほうがよい。
【0042】
その他の添加剤としては、各種老化防止剤、加硫促進剤、加硫剤、加硫助剤があり、その他にもシランカップリング剤、チタンカップリング剤等を例示することができる。
【0043】
(4−5)形状等
防音部材は種々の形状に形成できる。かかる防音部材は、加硫系では低硬度で低反発の方がよく、非加硫系では厚みが6mm以下で用いる方がよい。断面形状は平板状でも片面又は両面に凸状にしても、無数に突起がある形状でもよい。形状により圧縮永久歪や衝撃緩和効果に差が生じるので、最終的な実験で確認する必要がある。
【0044】
(4−6)損失係数
防音部材自体は、損失係数が高い方がよく、損失係数を増す手段としては、熱可塑性エラストマーを併用することにより、系内にハードセグメントの拘束成分を含有させることで損失係数を増す作用が生じる。
【0045】
(5)拘束層
防音部材の上下面の少なくとも一方に、防音部材と比べ相対的にヤング率の高い材質からなる拘束層を積層して用いることができる。拘束層は、フィルム、シート又は箔からなることができる。拘束層を設けることで、拘束型防音部材が形成され、損失係数は大きくなる。
【0046】
(6)粘着層
防音部材の上下面の少なくとも一方に設けることができる。特に、前述の拘束層の外側面に粘着層を設けることで更に安定した制振効果が得られる。反発弾性も低減できるが、反発弾性を低減する目的の場合は、0.3〜1.5mmの厚さの粘着層が好ましい。
【0047】
(7)耐気体透過性層
防音部材の全周に、フィルム、シート又は箔からなる耐気体透過性層を囲着させることができる。
【0048】
近年、住宅では、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、クロルピリホス等の揮発性有機化合物(VOC)対策が急がれている。対象となる化学物質は年々その数を増しており、粘弾性体は全てが化学物質から構成されており、今後、供給者としては、VOCが室内に揮散しない工夫も必要となる。このため、防音部材も、気体透過性の少ないフィルム、シート、箔で全周を被覆することが好ましい。
【0049】
このとき、フィルムは複数種の材質を積層した物の方が、フィルムの破損、耐気体透過性の観点からは、より好ましい。
【0050】
(8)防音床構造
防音部材、必要に応じて、拘束層、粘着層又は耐気体透過性層を、床基版と支持構造部材との間に設けることによって施工する。防音部材は、建築分野以外にも、機械、船舶、車輛等の振動の伝達を防止し、物体の振動を抑制し、振動の振幅を低減し、騒音を防止しようとする部位に用いることができる。
【0051】
図面を参照して、本発明をより一層詳細に説明する。
図1は本発明の1例の防音床構造の縦断面図である。図2は本発明の1実施例にかかる防音部材を示し、(a)は平面図であり、(b)はA−A断面図である。図3は本発明の他の実施例にかかる防音部材を示し、(a)は平面図であり、(b)はB−B断面図である。図4は本発明の更に他の実施例にかかる防音部材を示し、(a)は平面図であり、(b)はC−C断面図である。
【0052】
図5は本発明の更に他の実施例にかかる防音部材を示し、(a)は平面図であり、(b)はD−D断面図である。図6は本発明の更に他の実施例にかかる防音部材を示し、(a)は平面図であり、(b)はE−E断面図である。図7は本発明の更に他の実施例にかかる防音部材を示し、(a)は平面図であり、(b)はF−F断面図である。
【0053】
図1に示すように、防音床構造1は、構造部材間の固定度が低い低固定度建物に用いられるものであり、床基版2と床基版2を支持する支持構造部材3と、床基版2と支持構造部材3との間に、防音部材4を備えている。
【0054】
防音部材4は、床基版2に衝撃が加わったときの衝撃力を緩和し、支持構造部材3への衝撃力の振動伝達を抑制する。防音部材4は、ブチルゴム、再生ゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン多元共重合体、ポリイソブチレン、部分架橋ブチルゴム及び熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリマー成分から得られており、防音部材4は、35%以下の反発弾性率を有している。
【0055】
図2に示すように、防音部材4は平板状であることができる。また、図3に示すように、防音部材14は、片面又は両面で、長辺方向に帯状の山部15と溝部16とを有することができる。また、図4に示すように、防音部材24は、片面又は両面に、多数の円形状突起25と谷部26とを有することができる。
【0056】
図5に示すように、防音部材34は、片面又は両面に、拘束材層37を有することができる。また、図6に示すように、防音部材44は、片面又は両面で、拘束材層47の外側に粘着材層48と離型紙49とを設けることができる。図7に示すように、防音部材4,14等は、外周にフィルム50等の耐気体透過性層を囲着させ防音部材54とすることができる。
【0057】
【実施例】
以下、図面を参照して、本発明を参考例及び比較例を示して説明する。
参考例1)
図1に示すような防音床構造を施工する。
まず、図2(a)及び(b)に示す防音部材を作製する。表1に示す配合例1で、非加硫ポリマーをバンバリーミキサーで混練し、次いでローラーヘッダーにて5mm厚に圧延してシート状とし、5mm厚×50mm幅×900mm長さの供試体を作る。
【0058】
次いで、図1に示す床構造において、供試体を施工する。
床衝撃音測定室の開口部外周に、I型鋼梁と四隅のジョイントボックスで床梁を組み、対向する長辺梁の中央に、I型小梁を連結し、前記供試体を梁短辺に設置し、ALC床基版100mm厚×600mm幅×1820mm長さを梁の短辺で支持して計6枚を設置した後、ALC固定治具で梁とALCを固定する。次いで、ALC床基版上に20mm厚×910mm幅×1820mm長さのパーチクルボードをALC床基版の長辺と長辺が直交する方向でALC床基版にビス固定する。尚、下階天井は、独立天井とし、12mm厚石膏ボード1枚貼りとし、天井内は100mm厚24kグラスウールを全面敷きつめる。
【0059】
(各種性能試験)
防音性能の測定は、JIS−A−1418−2に従い、衝撃源をバングマシンとして重量床衝撃音の測定を行う。その結果を表2に示す。
反発弾性率は、供試体から12.5±0.5mmの円柱状の試験片を作り、JIS−K−6255に従い5℃、標準状態、35℃になる反発弾性試験を行って求める。その結果を表2に併せて示す。
圧縮永久歪は、供試体から12.5±0.5mm厚さ、直径29.0±0.5mmの円柱状の試験片を作り、JIS−K−6262に従って標準状態、168時間の圧縮永久歪試験を行って求める。その結果を表2に併せて示す。
【0060】
(参考例
図1に示すような防音床構造を、図3(a)及び(b)に示す防音部材を用いて製造する。
まず、防音部材を作製する。表1に示す配合例2の材料をロールで混練し、プレス成型により加硫して、山部厚み6mm谷部厚み2mm×50mm幅×900mm長さの防音部材を作製する。次に、参考例1と同様に、防音部材をI型鋼梁とALC床基版との間に入れて、防音床構造を施工し、参考例1と同様に重量床衝撃音を測定する。結果を表2に示す。
【0061】
他に、供試体からプレス成型で12.5±0.5mm厚、外径29.0±0.5mmの円柱状の試験片を作り、反発弾性試験用と圧縮永久歪試験用とに用いる。反発弾性試験と圧縮永久歪試験を参考例1と同様に行う。結果を表2に示す。
【0062】
(参考例
図1に示すような防音床構造を、図4(a)及び(b)に示す防音部材を用いて製造する。
まず、防音部材を作製する。表1に示す配合例3の材料をロールで混練し、プレス成型により加硫して、山部厚み6mm谷部厚み2mm×50mm幅×900mm長さの防音部材を作製する。次に、参考例1と同様に、防音部材をI型鋼梁とALC床基版との間に入れて、防音床構造を施工し、参考例1と同様に重量床衝撃音を測定する。結果を表2に示す。
【0063】
他に、供試体からプレス成型で12.5±0.5mm厚、外径29.0±0.5mmの円柱状の試験片を作り、反発弾性試験用と圧縮永久歪試験用とに用いる。反発弾性試験と圧縮永久歪試験を参考例1と同様に行う。結果を表2に示す。
【0064】
参考
図1に示すような防音床構造を、図5(a)及び(b)に示す防音部材を用いて製造する。
まず、防音部材を作製する。表1に示す配合例4の非加硫ポリマーをバンバリーミキサーで混練し、次いで、ローラーヘッダーにて5mm厚に圧延してシート状とし、5mm厚×50mm幅×900mm長さの非加硫ポリマーを作り、片面粘着層付ポリエステルフィルム50μm厚を両面に貼付けて防音部材を作る。
【0065】
次に、参考例1と同様に、防音部材をI型鋼梁とALC床基版との間に入れて、防音床構造を施工し、参考例1と同様に重量床衝撃音を測定する。結果を表2に示す。
【0066】
また、参考例1と同様に、供試体を用いて12.5±0.5mm厚、直径29.0±0.5mmの円柱状の試験片を作り、反発弾性試験と圧縮永久歪試験を行う。その結果を表2に示す。
【0067】
参考
図1に示すような防音床構造を、図6(a)及び(b)に示す防音部材を用いて製造する。
参考において、供試体のポリエステルフィルムの片方の面に両面テープを貼り、残る片方の面にブチルゴム系粘弾性体1mm厚を貼り、I型鋼梁面に両面テープ面を貼り、ALC床基版を載置固定する以外は参考例4と同様にして、防音床構造を施工する。参考例1と同様に、重量床衝撃音の測定を行う。結果を表2に示す。なお、反発弾性と圧縮永久歪は、配合例4の非加硫ポリマーが参考と共通であるので参考の値を用いる。
【0068】
(参考例
図1に示すような防音床構造を、図7(a)及び(b)に示す防音部材を用いて製造する。
参考例において、供試体の外周を、耐気体透過性に優れたサランラップ(登録商標)フィルムでシールし、I型鋼梁とALC床基版との間に設置固定する以外は参考例2と同様にして防音床構造を施工する。参考例1と同様に重量床衝撃音を測定する。結果を表2に示す。反発弾性と圧縮永久歪は、配合例2の加硫ポリマーと共通であるので参考の値を用いる。
【0069】
(比較例1)
表1に示す配合例5の材料をロールで混練し、プレス成型で加硫し、図3(a)及び(b)に示す山部厚み6mm谷部厚み2mm×50mm幅×900mm長さの振動絶縁材を作製する。
【0070】
この振動絶縁材からプレス成型で12.5±0.5mm厚、外径29.0±0.5mmの円柱状の試験片を作り、反発弾性試験用と圧縮永久歪試験用とに用いる。
【0071】
参考例1において、振動絶縁材をI型鋼梁とALC床基版の間に入れる以外は参考例1と同様にして床構造を施工する。参考例1と同様にして重量床衝撃音を測定する。結果を表2に示す。
【0072】
【表1】
Figure 0004226397
SBS:スチレン系熱可塑性エラストマーで、スチレン−ブタジエン−スチレンを示す。
SEBS:スチレン系熱可塑性エラストマーで、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンを示す。
ブチルゴム#268:日本ブチル(株)製
EPTエスプレン505A:住友化学工業(株)製
NR#3:天然ゴムのスモークドシートRSS3のグレード
カーボンHAF:ファーネスブラック粒経26〜35μm
亜鉛華#3:フランス法3号亜鉛華(ZnO)
エクストンK−1:加工助剤、川口化学(株)製、高分子脂肪酸のエステルとフィラーの混合物
エクストンL−2:加工助剤、川口化学(株)製、脂肪酸の亜鉛塩
硫黄#325:微粉イオウ 325メッシュ
PEG#4000:ポリエチレングリコール
促進TT:テトラメチルチウラムジスルフィド
促進DM:ジベンゾチアジルジスルフィド
促進EZ:ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛
バルノックR:モルホリン・ジスルフィド、大内新興化学工業(株)製
促進PZ:ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛
促進BZ:ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛
促進TRA:ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド
促進TBBS:N−tert−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド
【0073】
【表2】
Figure 0004226397
【0074】
以下、表1及び2を参照して、参考例の結果について説明する。
参考例1の防音床構造は、防音部材が、通常のゴムで作った比較例1のものと比べ非加硫ゴムであり、反撥率が低く、感温性も少なく、重量床衝撃音も低減できている。
【0075】
参考例は、防音部材がブチル再生ゴム100%の加硫ゴムであり、反撥率が低く、感温性も低く、重量床衝撃音も大きく改善され、かつ騒音が全周波数で低減できている。
【0076】
参考例は、防音部材がブチル/EPTの加硫ゴムで反撥率の許容限界に近い32%の場合である。この例も、比較例1と比べ重量床衝撃音の改善が大きいことが判る。他の参考例と比べれば改善度はやや劣るものの騒音の全周波数域での改善が見られる。
【0077】
参考は、防音部材がブチル再生ゴムと熱可塑性ポリマーの混合で非加硫ゴムの場合である。反撥率が低く、感温性も少なく、重量床衝撃音の改善効果も高いことが判る。
【0078】
参考は、参考での防音部材のALC床版側にブチルゴム系粘弾性体1mmを積層していることもあって、参考よりも更に重量床衝撃音の改善ができている。
【0079】
参考例は、参考例での振動絶縁材の外周にサランラップ(登録商標)フィルムでシールした場合であるが、ゴム臭を防止でき、重量床衝撃音は参考例と変化はなく、良好であった。
【0080】
以上より、所定の材質からなる低反撥弾性率の防音部材は、通常のゴムに比べると大きな重量床衝撃音の低減効果があり、かつ騒音の全周波域を安定して低減できることが判る。
【0081】
【発明の効果】
本発明によれば、床基版と支持構造部材との間の防音部材が、所定の材質からなる低反発挙動及び低感温性を示すので、床衝撃力の緩和、床基版からの低周波帯域の放射音の低減、及び支持構造部材への振動伝達の抑制が安定して発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1例の防音床構造の縦断面図である。
【図2】 (a)は本発明の1実施例にかかる防音部材の平面図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図3】 (a)は本発明の他の実施例にかかる防音部材の平面図であり、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図4】 (a)は本発明の更に他の実施例にかかる防音部材の平面図であり、(b)は(a)のC−C断面図である。
【図5】 (a)は本発明の更に他の実施例にかかる防音部材の平面図であり、(b)は(a)のD−D断面図である。
【図6】 (a)は本発明の更に他の実施例にかかる防音部材の平面図であり、(b)は(a)のE−E断面図である。
【図7】 (a)は本発明の更に他の実施例にかかる防音部材の平面図であり、(b)は(a)のF−F断面図である。
【符号の説明】
1 防音床構造
2 床基版
3 支持構造部材
4,14,24,34,44,54 防音部材
15 山部
16 溝部
25 円形状突起
26 谷部
37,47 拘束材層
48 粘着材層
49 離型紙
50 フィルム

Claims (4)

  1. 構造部材間の固定度が低い低固定度建物の防音床構造であり、床基版と、前記床基版を支持する支持構造部材と、前記床基版と前記支持構造部材との間の防音部材とを備えており、前記防音部材が、前記床基版に衝撃が加わったときの衝撃力を緩和し、前記支持構造部材への衝撃力の振動伝達を抑制する防音床構造であって、
    前記防音部材が、再生ブチルゴムより選ばれる少なくとも1種のゴム成分で加硫ゲル分を含むものの30〜90重量%と、ハードセグメントをスチレンとし、ソフトセグメントを、ブタジエン、イソプレン及びそれらの水素添加物、及びポリ(エチレン・ブチレン)からなる群より選ばれる少なくとも1種のものとする熱可塑性エラストマーの10〜70重量%とから構成される加硫ゴムから得られ、前記防音部材が35%以下の反発弾性率(JIS−K−6255、5〜35℃に従う測定値)及び25%以下の圧縮永久歪(JIS−K−6262、標準状態、168時間に従う測定値)を有していることを特徴とする防音床構造。
  2. 前記防音部材が歪抑制材として粉末ゴムやゴムチップを含むことを特徴とする請求項1記載の防音床構造。
  3. 前記防音部材の上下面の少なくとも一方に粘着層が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の防音床構造。
  4. 前記防音部材の全周に、フィルム、シート又は箔からなる耐気体透過性層が囲着されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項記載の防音床構造。
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