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JP4228337B2 - 泥水管理システム - Google Patents
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JP4228337B2 - 泥水管理システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地中連続壁工法、現場打ちコンクリート杭工法といった泥水工法で使用される泥水管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
地中連続壁工法、現場打ちコンクリート杭工法といった泥水工法では、いわゆる掘削用泥水が使用されるが、かかる掘削用泥水には、溝壁を安定させるべく、良好な造壁性を有していることが基本的に要求されるとともに、スラリー輸送等の関係上、逸液が防止される範囲内で低粘性が保持されることが望ましい。また、掘削が完了した後で水中コンクリート打設が行われる関係上、耐セメント性を有していることも要求される。
【0003】
かかる機能を満たすべく、従来、ベントナイト、CMC、分散剤、ポリマー剤等を作泥材料とした掘削用泥水が広く使用されてきた。このような掘削用泥水は、ベントナイト等が泥水中で良好に分散するため、低粘性が維持されるとともに、分散されたベントナイト等が溝壁に良好なマッドケーキを形成し、かかるマッドケーキによって止水性ひいては溝壁の安定を確保することが可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ベントナイト、CMC、ポリマー剤といった作泥材料はいずれも粉体であるため、これらを混練ミキサーを用いて混練する必要があるのみならず、上述した作泥材料が本来的に水に溶解しにくいため、混練ミキサーを用いた溶解作業には手間と時間を要する。
【0005】
そのため、掘削進行に伴って深度が大きくなり、より大量の掘削用泥水を掘削溝内に連続的かつ迅速に供給しなければならないような状況下では、かかる掘削作業とは別工程で作泥作業を行わざるを得ない。すなわち、大深度掘削に対応できるような大規模な作泥プラントを設置した上で、その現場での掘削速度を予測しながら、しかも混練作業に時間を要することが原因でタイムラグが生じることも踏まえて、掘削作業の遅滞を招くことがないよう掘削用泥水を作製しなければならず、かかる作泥作業の管理には相当の熟練と経験が要求されるという問題を生じていた。
【0006】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、熟練と経験を要せずとも作泥及び泥水管理を自動化することが可能な泥水管理システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る泥水管理システムは請求項1に記載したように、液状であって掘削土砂の細粒分と結びつくことによって所定の分散性及び造壁性を有する掘削泥水用泥膜形成剤を貯留した薬剤タンクと、清水を供給可能な清水供給手段と、前記掘削泥水用泥膜形成剤と前記清水とを混合して混合液を作製し該混合液を掘削孔に供給するようになっている混合槽と、前記薬剤タンクの吐出側に設けられその吐出を制御可能な薬剤用吐出制御手段と、前記清水供給手段の吐出側に設けられその吐出を制御可能な清水用吐出制御手段と、前記掘削孔内の泥水液位を計測する液面計と、前記掘削孔内の泥水の性状を計測する泥水計測装置と、前記液面計及び前記泥水計測装置に接続された制御装置とを備えるとともに、該制御装置を、前記液面計からの液位データを用いて前記清水用吐出制御手段を制御することにより、前記掘削孔内に補充されるべき量の清水を前記混合槽に供給して前記泥水液位が所定のレベル又は許容範囲内に維持されるように構成するとともに、前記泥水計測装置からの泥水性状データを用いて前記薬剤用吐出制御手段を制御することにより、前記掘削孔内に添加される量の薬剤が前記混合槽に供給されるように構成したものである。
【0008】
また、本発明に係る泥水管理システムは請求項2に記載したように、液状であって掘削土砂の細粒分と結びつくことによって所定の分散性及び造壁性を有する掘削泥水用泥膜形成剤を貯留した薬剤タンクと、清水を供給可能な清水供給手段と、前記薬剤タンクの吐出側に設けられその吐出を制御可能な薬剤用吐出制御手段と、前記清水供給手段の吐出側に設けられその吐出を制御可能な清水用供吐出御手段と、前記掘削孔内の泥水液位を計測する液面計と、前記掘削孔内の泥水の性状を計測する泥水計測装置と、前記液面計及び前記泥水計測装置に接続された制御装置とを備えるとともに、該制御装置を、前記液面計からの液位データを用いて前記清水用吐出制御手段を制御することにより、前記掘削孔内に補充されるべき量の清水を前記掘削孔に供給して前記泥水液位が所定のレベル又は許容範囲内に維持されるように構成するとともに、前記泥水計測装置からの泥水性状データを用いて前記薬剤用吐出制御手段を制御することにより、前記掘削孔内に添加される量の薬剤が該掘削孔に供給されるように構成したものである。
【0009】
また、本発明に係る泥水管理システムは、前記掘削泥水用泥膜形成剤を、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)と、不飽和カルボン酸(b1)及び下記一般式(1)
R(OA)nOH (1)
R; 水素又は炭素数1〜12の炭化水素基
A; 炭素数2〜4のアルキレン基
n; 1〜100の整数
で表されるヒドロキシル基含有化合物(b2)のモノエステル(b)とを構成単位とする共重合体(x)で構成し、前記共重合体(x)を構成する前記モノエステル(b)の質量%を1〜40%とするとともに前記共重合体(x)の数平均分子量を5000〜100000とすることで、ベントナイト及びCMCを作泥材料として不要に構成したものである。
【0010】
また、本発明に係る泥水管理システムは、前記掘削泥水用泥膜形成剤を、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)のみを構成単位とする重量平均分子量Mwが20万〜300万の(共)重合体(x′)のみで構成することで、ベントナイト及びCMCを作泥材料として不要に構成したものである。
また、本発明に係る泥水管理システムは、前記薬剤タンクに液状の掘削泥水用分散剤を貯留するとともに、該掘削泥水用分散剤を、重量平均分子量Mwが10000乃至14000のポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体又は炭酸ナトリウムの少なくともいずれかで構成したものである。
【0011】
地中連続壁工法や現場打ちコンクリート杭工法といった泥水掘削工法においては、孔壁の安定を図るべく、孔壁に濾水量の少ない良質な泥膜(マッドケーキ)を形成し、泥水圧を孔壁に有効に作用させる必要があり、そのためには、ベントナイト、CMC、ポリマー剤といった造壁性を有する作泥材料が従来、必要不可欠であった。
【0012】
しかしながら、これらの作泥材料を使用しなければならないことに上述したような問題点があることに鑑み、本出願人は、これらの作泥材料を使用することなく、掘削土と水だけで掘削用泥水を作製することができないか、特に地中連続壁や現場打ちコンクリート杭工法に適した掘削用泥水を作成することができないかという点に着眼し、さまざまな実験を重ねた結果、掘削土と水だけで孔壁での造壁性を確保し、その安定性を確保することができる掘削泥水用分散剤や新規な掘削泥水用泥膜形成剤を開発した。
【0013】
さらに、本出願人は、かかる掘削泥水用分散剤のみならず、新規に開発した掘削泥水用泥膜形成剤も液状であることに着眼し、従来では不可能であった泥水管理システムの開発に成功したものである。
【0014】
すなわち、請求項1に係る泥水管理システムにおいては、薬剤タンクに貯留された掘削泥水用泥膜形成剤と清水供給手段から供給される清水とを混合槽に入れて混合液を作製するが、薬剤である掘削泥水用泥膜形成剤や清水を混合槽に入れるにあたっては、液面計によって掘削孔内の泥水液位を計測するとともに、泥水計測装置によって掘削孔内の泥水の性状を計測し、かかる計測結果に応じて薬剤用吐出制御手段及び清水用吐出制御手段を制御装置で制御し、薬剤及び清水の混合槽への供給及び停止を制御する。
【0015】
すなわち、掘削が進行するにつれて掘削深度が下がるので、掘削孔内の液位を液面計で計測するとともにその計測データに応じて清水用吐出制御手段を制御装置で制御して掘削孔内に補充されるべき量の清水を混合槽に供給することにより、泥水の液位を所定のレベルにあるいは許容範囲内に維持する。
【0016】
また、事前に予想した土質性状とは異なる場合、設計上の薬剤添加量では所望の造壁性や粘性を維持できないことがあるが、請求項1に係る発明においては、掘削孔内の泥水の性状を泥水計測装置で計測するとともに、その計測データに応じて薬剤用吐出制御手段を制御装置で制御し、掘削孔内に添加される量の薬剤を混合槽に供給する。そして、単位容積当たりの泥水中の薬剤含有量を調整して泥水の造壁性及び粘性を所望の範囲に維持する。
【0017】
なお、添加される薬剤の量を決定するにあたっては、補充される清水はもちろん、すでに掘削孔内に満たされている掘削用泥水や土砂分離のために循環している循環泥水もすべて対象となるが、掘削孔内の泥水量については、掘削機に内蔵している深度計と液面計とから算出することができるし、土砂分離のために循環させている泥水量については、設計段階で算出可能である。
【0018】
また、混合槽内で作製された混合液については、自動的に掘削孔内に圧送されるよう、配管、圧送ポンプ等を用いて適宜構成しておけばよい。
【0019】
また、請求項2に係る泥水管理システムにおいては、薬剤タンクに貯留された掘削泥水用泥膜形成剤と清水供給手段から供給される清水とを掘削孔に直接供給するが、薬剤である掘削泥水用泥膜形成剤や清水を掘削孔に供給するにあたっては、液面計によって掘削孔内の泥水液位を計測するとともに、泥水計測装置によって掘削孔内の泥水の性状を計測し、かかる計測結果に応じて薬剤用吐出制御手段及び清水用吐出制御手段を制御装置で制御し、薬剤及び清水の掘削孔内への供給及び停止を制御する。
【0020】
すなわち、掘削が進行するにつれて掘削深度が下がるので、掘削孔内の液位を液面計で計測するとともにその計測データに応じて清水用吐出制御手段を制御装置で制御し、補充されるべき量の清水を掘削孔内に供給することにより、泥水の液位を所定のレベルにあるいは許容範囲内に維持する。
【0021】
また、事前に予想した土質性状とは異なる場合、設計上の薬剤添加量では所望の造壁性や粘性を維持できないことがあるが、請求項2に係る発明においては、掘削孔内の泥水の性状を泥水計測装置で計測するとともに、その計測データに応じて薬剤用吐出制御手段を制御装置で制御し、添加されるべき量の薬剤を掘削孔に供給する。そして、単位容積当たりの泥水中の薬剤含有量を調整して泥水の造壁性及び粘性を所望の範囲に維持する。
【0022】
なお、添加される薬剤の量を決定するにあたっては、補充される清水はもちろん、すでに掘削孔内に満たされている掘削用泥水や土砂分離のために循環している循環泥水もすべて対象となるが、掘削孔内の泥水量については、掘削機に内蔵している深度計と液面計とから算出することができるし、土砂分離のために循環させている泥水量については、設計段階で算出可能である。
【0023】
泥水は、工事開始時においては、他の現場から入手した掘削用泥水や新規購入した掘削用泥水を使用することができることはもちろん、本発明で用いる掘削泥水用泥膜形成剤は、劣化泥水の分散性や造壁性を改善して新たな掘削用泥水に再生する機能を有しているため、他の現場で劣化した廃泥水を使用することも可能である。
【0024】
一方、本発明で使用する掘削泥水用泥膜形成剤は、掘削土と水だけで孔壁での造壁性を確保し、その安定性を確保することができる機能を有しているため、いったん掘削工事が開始された後は、従来不可欠であったベントナイト、CMC、ポリマー剤といった粉体の作泥材料を何ら必要としない。
【0025】
そして、掘削泥水用泥膜形成剤や清水がすべて液状であるため、必要な量を必要なときに迅速かつ容易に掘削孔内に投入することが可能となる。そして、これらが掘削孔内に解膠している掘削土の細粒分とともにあらたな掘削用泥水となるため、結果として、掘削深度に合わせた迅速かつ容易な掘削用泥水の作製が可能となる。
【0026】
本発明に用いる掘削泥水用泥膜形成剤は、液状であってかつ掘削土砂の細粒分と結びつくことによって所定の分散性及び造壁性を有するように構成されたものであればどのようなものでもよいが、例えば、前記掘削泥水用泥膜形成剤を、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)と、不飽和カルボン酸(b1)及び下記一般式(1)
R(OA)nOH (1)
R; 水素又は炭素数1〜12の炭化水素基
A; 炭素数2〜4のアルキレン基
n; 1〜100の整数
で表されるヒドロキシル基含有化合物(b2)のモノエステル(b)とを構成単位とする共重合体(x)で構成し、前記共重合体(x)を構成する前記モノエステル(b)の質量%を1〜40%とするとともに前記共重合体(x)の数平均分子量を5000〜100000とすることで、ベントナイト及びCMCを作泥材料として不要に構成するか、又は、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)のみを構成単位とする重量平均分子量Mwが20万〜300万の(共)重合体(x′)のみで構成することで、ベントナイト及びCMCを作泥材料として不要に構成することが考えられる。
【0027】
かかる掘削泥水用泥膜形成剤については、一定の分散性と造壁性を兼ね備えるので、単独使用するようにしてもかまわないが、重量平均分子量Mwが10000乃至14000のポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体又は炭酸ナトリウムの少なくともいずれかで構成してなる液状の掘削泥水用分散剤を前記薬剤タンクに貯留し、該掘削泥水用分散剤を掘削泥水用泥膜形成剤と併用した場合においては、掘削泥水用泥膜形成剤の優れた造壁性に掘削泥水用分散剤の優れた耐セメント性とが相まって、地中連続壁工法や現場打ちコンクリート杭工法で使用する場合に特に顕著な作用効果を奏する。
【0028】
すなわち、地中連続壁工法等においては、掘削用泥水の循環使用に伴ってコンクリートからカルシウムイオンが溶出し、泥水中のカルシウムイオン濃度が上昇するが、上述した掘削泥水用泥膜形成剤及び掘削泥水用分散剤を併用するようにすれば、カルシウムイオンによる分散性低下が掘削泥水用分散剤で抑制されるため、本発明で得られた掘削用泥水であれば、これを地中連続壁工法等で循環使用しても、造壁性や低粘性は良好に維持される。
【0029】
なお、掘削泥水用泥膜形成剤を単独使用する場合にしろ、掘削泥水用分散剤を併用する場合にしろ、炭酸ナトリウムでカルシウムイオンによる分散性の低下を抑制することも考えられるが、炭酸ナトリウムの添加量が多くなると、逆に塩類凝集を引き起こして分散性が低下するため、炭酸ナトリウムはあくまで補助的に使用するのが望ましい。
【0030】
薬剤用吐出制御手段や清水用吐出制御手段は、混合槽や掘削孔への供給及び停止が可能なものであればどのようなものでもよく、例えば圧送ポンプや開閉バルブで構成することが考えられる。
【0031】
液面計は、掘削孔内の液位を計測可能なものであればどのようなものでもよいが、非接触タイプの例えば超音波センサで構成されてなる液面計を用いることが考えられる。
【0032】
清水供給手段は、例えば清水を貯留可能な清水槽や上水道が考えられる。
【0033】
上述した掘削泥水用泥膜形成剤を製造するにあたっては、公知の製法、例えば、溶液重合法で行えばよい。すなわち、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)と、モノエステル(b)とを二種類の単量体として所定の溶剤に添加し、次いで、これを50〜150゜Cで常圧又は加圧下で重合するようにすればよい。
【0034】
溶剤としては、例えば水、イソプロピルアルコール、トルエン、エチレンジクロライド、メチルエチルケトン又はこれらの混合物を用いることができる。
【0035】
重合させるにあたっては、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)及びモノエステル(b)の合計質量に対し、0.1〜15質量%のラジカル重合開始剤を使用するとともに、連鎖移動剤を必要に応じて使用するのがよい。
【0036】
ここで、ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどの過酸化物を用いることが可能であり、連鎖移動剤としては、ラウリルメルカプタン、チオグリコール酸、メルカプトエタノールなどの含硫黄化合物を用いることが可能である。
【0037】
なお、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)の一部又は全部が不飽和カルボン酸塩である場合には、その前駆体である不飽和カルボン酸又はその無水物や炭素数1〜4の低級アルキルエステルを重合前に予め中和してもよいし、重合後に共重合体を中和してもよい。中和剤としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物をはじめ、水酸化アンモニウム、アンモニア等を用いることができる。
【0038】
また、共重合体(x)は、必ずしも、不飽和カルボン酸(b1)とヒドロキシル基含有化合物(b2)とのモノエステル(b)を単量体として不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)との共重合に用いることに限定されるのではなく、モノエステル(b)の前駆体、すなわち、不飽和カルボン酸(b1)又はその無水物や炭素数1〜4の低級アルキルエステルを単量体として不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)と共重合させ、しかる後、ヒドロキシル基含有化合物(b2)と反応させて共重合体(x)を生成するようにしてもよい。
【0039】
不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)をどのような物質で構成するかは任意であるが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸並びにこれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩からなる群から適宜選択することができる。また、不飽和カルボン酸(b1)についても任意であるが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群から適宜選択することが可能である。
【0040】
モノエステル(b)は、一般式(1)においてRは水素もしくはアルキレン基であるが良好な造壁性を確保するためには通常、水素もしくは炭素数1〜12、さらには炭素数1〜6のアルキレン基であることが好ましい。上記Rは、アルキル基(メチル基、オクチル基など)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基など)、アリール基(フェニル基など)、アルキルアリール基(エチルフェニル基など)、アラルキル基(ベンジル基など)のいずれであってもよい。
【0041】
また、一般式(1)においてnについても、良好な造壁性を確保するために通常平均が1〜100、さらには平均が2〜90となる整数が好ましい。
【0042】
(b2)としては、炭素数2〜4の脂肪族2価アルコール、またはROHで表される炭素数1〜12の脂肪族アルコール、フェノール類または芳香脂肪族アルコールに、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを付加して得られるものが好ましい。
【0043】
炭素数2〜4の脂肪族2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
【0044】
炭素数1〜12脂肪族アルコールとしては、天然アルコールでも合成アルコール(チーグラーアルコール、オキソアルコールなど)でもよい。具体例としては、メチルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ラウリルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコールなどの直鎖もしくは分岐の飽和脂肪族アルコール、シクロヘキシルアルコール、エチルシクロヘキシルアルコールなどの環状脂肪族アルコールが挙げられる。
【0045】
フェノール類としては、フェノール、エチルフェノールなどが挙げられる。芳香脂肪族アルコールとしては、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
【0046】
上記の炭素数2〜4のアルキレンオキシドとしてはエチレンオキサイド(以下、EOと略記)単独;EOと他のアルキレンオキサイド[プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,2−ブチレンキサイド、テトラヒドロフラン、アルキレンオキサイド置換体(エピクロロヒドリン)等]の併用;およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。例示したもののうち特に好ましいものは、EOおよびEO/POの併用である。EOとともに他のアルキレンオキサイドを用いる場合の付加様式は、ランダム付加でもブロック付加でもよく、特に限定はされるものではない。
【0047】
共重合体(x)を構成するモノエステル(b)の質量割合や共重合体(x)の数平均分子量については任意であるが、かかる共重合体(x)を構成する前記モノエステル(b)の質量%が1〜40%であり、かつ前記共重合体(x)の数平均分子量が5000〜100000である場合には、高い造壁性と低粘性を得ることが可能となる。
【0048】
なお、共重合体(x)は、(a)、(b)以外にも他の単量体(c)を構成単位とすることができる。(c)としては、共重合できるものであれば特に限定されないが、例えば次の(c1)〜(c5)が挙げられる。
【0049】
(c1) アミド基含有エチレン性不飽和単量体:(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなど
【0050】
(c2) (メタ)アクリル酸アルキルエステル類(アルキル基の炭素数が1〜12):メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなど
【0051】
(c3) ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和単量体:ヒドロキシアルキル(炭素数1〜4)(メタ)アクリレート〔例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなど〕
【0052】
(c4) (b)以外のポリアルキレングリコール鎖を有するエチレン性不飽和単量体:ポリエチレングリコール(数平均分子量120〜600)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(数平均分子量150〜450)モノ(メタ)アクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド1〜4モル付加物(メタ)アクリレートなど
【0053】
(c5) 4級アンモニウム基含有エチレン性不飽和単量体:(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなど
【0054】
これらの(c1)〜(c5)のうち好ましいものは、(c2)〜(c4)である。
【0055】
また、共重合体(X)を構成する他の単量体(c)単位の質量%は通常30%以下、好ましくは20%以下である。
【0063】
上述した掘削泥水用泥膜形成剤の(共)重合体(x′)を製造するにあたっても重合体(x)と同様、公知の製法、例えば、溶液重合法で行えばよい。すなわち、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)を単量体として所定の溶剤に添加し、次いで、これを50〜150゜Cで常圧又は加圧下で重合する。
【0064】
溶剤の種類、単一重合の方法、ラジカル重合開始剤及び中和プロセスに関しては、上述した掘削泥水用泥膜形成剤と同様であるのでここではその説明を省略する。
【0065】
不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)をどのような物質で構成するかは任意であるが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸並びにこれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩からなる群から適宜選択することができる。ここで、アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩等が含まれる。
【0069】
なお、請求項3に係る掘削泥水用泥膜形成剤は、請求項2に係る掘削泥水用泥膜形成剤と任意の割合(例えば質量比が99:1〜1:99)で併用することが可能である。
【0070】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る泥水管理システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0071】
(第1実施形態)
【0072】
図1(a)は、本実施形態に係る泥水管理システムを示した全体図である。同図でわかるように、本実施形態に係る泥水管理システム1は、薬剤タンク2、炭酸ナトリウム水溶液タンク3、清水を供給可能な清水供給手段としての清水槽4及び混合槽5を備える。
【0073】
薬剤タンク2内には、本実施形態で用いる掘削泥水用泥膜形成剤及び掘削泥水用分散剤を貯留してあり、該タンクの吐出側に接続された薬剤用吐出制御手段としてのポンプ6を駆動することによって、掘削泥水用分散剤及び掘削泥水用泥膜形成剤を配管7を介して混合槽5に圧送できるようになっている。
【0074】
同様に、炭酸ナトリウム水溶液タンク3の吐出側にもポンプ8を接続してあり、該ポンプを駆動することによって、炭酸ナトリウム水溶液を配管9を介して混合槽5に圧送できるようになっている。
【0075】
一方、清水槽4には清水を貯留してあり、該タンクの吐出側に接続された清水用吐出制御手段としてのポンプ10を駆動することによって、清水を配管11を介して混合槽5に圧送できるようになっている。
【0076】
混合槽5は、上述した掘削泥水用泥膜形成剤、掘削泥水用分散剤及び清水を混合して混合液を作製するようになっている。混合槽5には、必要に応じて図示しない攪拌機構を設けておけばよい。
【0077】
ここで、混合槽5は、配管12を介して中間貯留槽13に接続してあるとともに、該中間貯留槽に接続された混合液吐出管14を介して掘削孔である地中連続壁構築用の掘削溝15内に連通接続してあり、混合槽5内で作製された混合液をいったん中間貯留槽13に貯留した後、混合液吐出管14を介して地中連続壁構築用の掘削溝15内に投入することができるようになっており、投入された混合液は、掘削溝15内に解膠している掘削土の細粒分とともに、あらたな掘削用泥水として掘削溝15内の掘削用泥水を補充することとなる。
【0078】
本実施形態で用いる掘削泥水用泥膜形成剤は、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)と、不飽和カルボン酸(b1)及び下記一般式(1)
R(OA)nOH (1)
R; 水素又は炭素数1〜12の炭化水素基
A; 炭素数2〜4のアルキレン基
n; 1〜100の整数
で表されるヒドロキシル基含有化合物(b2)のモノエステル(b)とから共重合体(x)で構成してある。
【0079】
共重合体(x)に対するモノエステル(b)の質量割合は、1%〜40%とするのがよい。これは、共重合体(x)に対するモノエステル(b)の質量%が1%を下回ると、掘削泥水用泥膜形成剤の添加量に関係なく造壁性が低下し、40%を超えると、掘削泥水用泥膜形成剤の添加量が低い場合に凝集が発生して造壁性が低下する可能性があるからである。
【0080】
また、共重合体(x)の数平均分子量は、5000〜100000とするのがよい。これは、数平均分子量が5000を下回ると、掘削泥水用泥膜形成剤の添加量に関係なく造壁性が低下し、100000を超えると、掘削泥水用泥膜形成剤の添加量が低い場合に凝集が発生して造壁性が低下する可能性があるからである。
【0081】
なお、数平均分子量については、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより測定するものとする。
【0082】
図2は、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)をメタクリル酸ナトリウム塩22で、モノエステル(b)をメトキシポリエチレングリコールメタクリレート23で構成してなる掘削泥水用泥膜形成剤21を一例として示した化学構造式(化学式)である。
【0083】
また、本実施形態で用いる掘削泥水用分散剤は、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体であってその重量平均分子量Mwを10000乃至14000としたものであれば、その組成等は任意であり、例えば、重量平均分子量Mwが10000乃至14000であるポリアクリル酸のナトリウム塩から構成することが可能である。具体的には、SUPER SLRRY B(三洋化成工業株式会社製)の商品名で市販されているポリカルボン酸系安定液用分散剤(以下、単にSS―Bと呼ぶ)を使用することができる。
【0084】
一方、本実施形態に係る泥水管理システム1は、図1(a)に示すように、掘削溝15内の泥水液位を計測する液面計16と、掘削溝15内の泥水の性状を計測する泥水計測装置18と、液面計16及び泥水計測装置18に接続された制御装置19とを備えており、該制御装置は、同図(b)でよくわかるように、液面計16からの液位データ及び泥水計測装置18からの泥水性状データを用いてポンプ6、ポンプ8及びポンプ10を駆動制御できるようになっている。
【0085】
制御装置19は、例えば図1に示すようにパソコンを用いて構成することが可能である。
【0086】
泥水計測装置18は、掘削溝15内から計測槽17に揚泥された泥水に対して計測を行うようにし、計測槽17内の泥水については、連続的に又は随時、掘削溝15内に戻してやる構成が考えられる。
【0087】
本実施形態に係る泥水管理システム1においては、薬剤タンク2に貯留された掘削泥水用泥膜形成剤及び掘削泥水用分散剤、炭酸ナトリウム水溶液タンク3に貯留された炭酸ナトリウム水溶液、及び清水槽4に貯留された清水とを、それぞれ配管7、配管9、配管11を介して混合槽5に入れ混合液を作製するが、掘削泥水用泥膜形成剤や掘削泥水用分散剤といった薬剤や炭酸ナトリウム水溶液あるいは清水を混合槽5に入れるにあたっては、液面計16によって掘削溝15内の泥水液位を計測するとともに、泥水計測装置18によって掘削溝15内の泥水の性状を計測し、かかる計測結果に応じてポンプ6、ポンプ8、ポンプ10を制御装置19で制御し、薬剤及び清水の混合槽5への供給及び停止を制御する。
【0088】
すなわち、掘削が進行するにつれて掘削深度が下がるので、掘削溝内の液位を液面計16で計測するとともにその計測データに応じてポンプ10を制御装置19で制御して掘削溝15内に補充されるべき量の清水を混合槽5に供給することにより、泥水の液位を所定のレベルにあるいは許容範囲内に維持する。
【0089】
また、事前に予想した土質性状とは異なる場合、設計上の薬剤添加量では所望の造壁性や粘性を維持できないことがあるが、本実施形態においては、掘削溝15内の泥水の性状を泥水計測装置18で計測する。
【0090】
計測にあたっては、主として造壁性と粘性とを計測するようにすればよいが、必要に応じて泥水比重やpHを計測するようにしてもよい。
【0091】
次に、その計測データに応じてポンプ6、ポンプ8を制御装置19で制御し、掘削溝15内に添加される量の薬剤を混合槽5に供給する。
【0092】
ここで、添加される薬剤、すなわち掘削泥水用泥膜形成剤及び掘削泥水用分散剤並びに炭酸ナトリウム水溶液の量を決定するにあたっては、補充される清水はもちろん、すでに掘削溝15内に満たされている掘削用泥水や土砂分離のために循環している循環泥水もすべて対象となるが、掘削溝15内の泥水量については、図示しない掘削機に内蔵している深度計と液面計16とから算出することができるし、土砂分離のために循環させている泥水量については、設計段階で算出可能である。
【0093】
次に、混合槽5内の混合液を中間貯留槽13を介して掘削溝15内に投入する。
【0094】
このようにすると、単位容積当たりの泥水中の薬剤含有量が調整されるとともに、より適切な含有量に調整された掘削泥水用泥膜形成剤及び掘削泥水用分散剤は、従来のベントナイト等に代わって、例えば粘土を主成分とする10μm以下の細粒分とともに泥水中に分散して低粘性を維持するとともに、掘削泥水用泥膜形成剤による優れた造壁作用により、ろ水量(透水係数)の小さな良質のマッドケーキを孔壁に形成して該孔壁を安定させる。
【0095】
また、掘削用泥水の循環使用に伴ってコンクリートからカルシウムイオンが溶出し、泥水中のカルシウムイオン濃度が上昇するが、本実施形態で用いる掘削泥水用分散剤がカルシウムイオンによる分散性低下を抑制する。
【0096】
なお、炭酸ナトリウム水溶液については、添加量が多くなると、逆に塩類凝集を引き起こして分散性が低下するため、あくまで補助的に添加するのが望ましい。
【0097】
また、混合槽5から中間貯留槽13への圧送、中間貯留槽13から掘削溝15への圧送については、あらたに作製された混合液がそのまま自動的に掘削溝15に投入されるよう、配管、圧送ポンプ等を用いて適宜構成しておけばよい。
【0098】
泥水は、工事開始時においては、他の現場から入手した掘削用泥水や新規購入した掘削用泥水を使用できることはもちろん、本実施形態で用いる掘削泥水用泥膜形成剤は、劣化泥水の分散性や造壁性を改善して新たな掘削用泥水に再生する機能を有しているため、他の現場で劣化した廃泥水を使用することも可能である。
【0099】
以上説明したように、本実施形態に係る泥水管理システムによれば、掘削泥水用泥膜形成剤や掘削泥水用分散剤あるいは清水がすべて液状であるため、従来のベントナイト等の作泥材料とは異なり、混練のための手間や時間を要しないとともに、その結果として作泥作業と掘削溝15への投入作業をタイムラグを生じることなく、ほぼ同時に行うことが可能となる。
【0100】
すなわち、本実施形態に用いる掘削泥水用泥膜形成剤や掘削泥水用分散剤を必要なときに必要なだけ、混合槽5及び中間貯留槽13を介して迅速かつ容易に掘削溝15内に投入し、これらを掘削溝15内に解膠している掘削土の細粒分、例えば粘土やシルトを主成分とする75μm以下の細粒分や、粘土を主成分とする10μm以下の細粒分とともにあらたな掘削用泥水とすることができるため、結果として、掘削深度に合わせた迅速かつ容易な掘削用泥水の作製が可能となる。
【0101】
そして、かかる状況を前提とした上で、液面計16によって掘削溝15内の泥水液位を計測するとともに、泥水計測装置18によって掘削溝15内の泥水の性状を計測し、かかる計測結果に応じてポンプ6、ポンプ8、ポンプ10を制御装置19で制御し、薬剤及び清水の混合槽5への供給及び停止を制御するようにしたので、必要な作泥作業を自動化することが可能となり、掘削工事自体の工期短縮及びコスト低減を図ることができるとともに、従来のように経験や熟練度とは関係なく、掘削溝15内に満たされた掘削用泥水の造壁性と粘性とを常に最適な状態に維持することが可能となる。
【0102】
本実施形態では、炭酸ナトリウム水溶液タンク3を設けたが、本実施形態で用いる掘削泥水用分散剤によってセメント混入時の分散性の低下を十分抑制することができるのであれば、かかる炭酸ナトリウム水溶液タンク3並びにそれに付随するポンプ8及び配管11を省略してもよい。かかる構成においては、制御装置19の制御対象は、ポンプ6及びポンプ10のみとなる。
【0103】
また、本実施形態では、掘削泥水用泥膜形成剤及び掘削泥水用分散剤を併用することを前提とし、これらを薬剤タンク2内に貯留するようにしたが、これらの薬剤はいずれも一定の分散性と造壁性を有しているため、場合によっては、いずれかを単独で使用するようにしてもかまわない。一方、掘削泥水用泥膜形成剤及び掘削泥水用分散剤を併用する場合、これらを混合した状態で薬剤タンク2内に貯留してもかまわないが、それぞれ専用のタンク内に貯留するようにしてもかまわない。この場合、薬剤タンク2は、計2つ備えることとなる。
【0104】
また、本実施形態では、混合槽5で作製された混合液をいったん中間貯留槽13に貯留するようにしたが、かかる中間貯留槽13を省略して直接、掘削溝15内に投入するようにしてもよいことは言うまでもない。かかる場合には、混合液吐出管14は、混合槽5に直接接続すればよい。
【0105】
また、本実施形態では、掘削泥水用泥膜形成剤及び掘削泥水用分散剤を希釈してから掘削溝15に投入することを前提として、混合槽5を備えるようにしたが、これらを掘削溝15に直接添加しても上述した掘削用泥水の品質管理を行うことに支障がないのであれば、混合槽5を省略し、薬剤タンク2に接続された配管7及び清水槽4に接続された配管11を掘削溝15内に直接、連通させるようにしてもよい。なお、かかる場合においても、制御装置19によるポンプ6及びポンプ10への制御操作は上述した実施形態と同様であり、その作用効果についてはここではその説明を省略する。
【0106】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、中間貯留槽13として、従来から使用されている回収槽、すなわちコンクリート置換された後の掘削用泥水を回収貯留するための槽で代用してもよいし、土砂分離のための循環経路に設置された任意の槽、例えば循環槽、泥水貯留槽等で代用してもよい。
【0107】
また、本実施形態では、掘削溝15内の泥水を計測のために仮貯留する計測槽17を設けたが、これを省略し、掘削溝15内の泥水を直接引き抜くようにしてもよいし、土砂分離のための循環経路に設置された任意の槽、例えば循環槽、泥水貯留槽等から引き抜いてもよいことは言うまでもない。
【0108】
また、本実施形態では、顕著な作用効果を実験によって確認できたため、共重合体(x)を構成するモノエステル(b)の質量%を1〜40%、共重合体(x)の数平均分子量を5000〜100000としたが、本発明で用いる掘削泥水用泥膜形成剤は、かかる範囲に限定されるものではなく、実施形態で述べた範囲外についても、一定の作用効果を得ることは可能である。
【0109】
また、本実施形態では、掘削泥水用分散剤としてSS−Bを例に挙げたが、これに代えて炭酸ナトリウムを使用してもよい。
【0110】
【実施例】
次に、本実施形態で用いる掘削泥水用泥膜形成剤を具体的に説明する。なお、特記なき限り、部及び%はそれぞれ質量部及び質量%を示すものとする。
【0111】
まず、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)としては、メタクリル酸ナトリウム(以下、a-1)とアクリル酸ナトリウム(以下、a-2)の二種類を実験に用いた。また、不飽和カルボン酸エステル(b)としては、10種類の不飽和カルボン酸エステルを使用し、これら10種類の不飽和カルボン酸エステル(以下、b-1〜b-10)を構成する不飽和カルボン酸(b1)とヒドロキシル基含有化合物(b2)との組成を表1に示す。表中、EO、POはそれぞれエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドであることを示す。
【0112】
【表1】
Figure 0004228337
【0113】
次に、上述したメタクリル酸ナトリウム(a-1)及びアクリル酸ナトリウム(a-2)と、10種類の不飽和カルボン酸エステル(b-1〜b-10)とを組み合わせて共重合体(x)(以下、実施例1〜16)を作製したときの組成比率、モノエステルの含有割合(%)及び数平均分子量を表2に示す。なお、数平均分子量の測定条件を以下に示す。
【0114】
Figure 0004228337
【0115】
【表2】
Figure 0004228337
【0116】
上述した実施例1〜16の掘削泥水用泥膜形成剤を製造するにあたっては、まず、反応容器に、水363部、イソプロピルアルコール196部を仕込み、窒素置換した後、80゜Cまで昇温し、攪拌下、メタクリル酸151部(1.757モル)、メトキシポリエチレングリコール(エチレンオキサイド付加モル数28)メタクリレート48部(0.036モル)を混合したものと、過硫酸ナトリウム5%水溶液39.8部(過硫酸ナトリウム0.008モル)を同時に3時間かけて滴下し反応させた。さらに、同温度で2時間熟成した後、イソプロピルアルコールを蒸留により除き、水酸化ナトリウム48%水溶液146部(水酸化ナトリウム1.757モル)で中和した後、固形分30%になる量の水を加えて数平均分子量42800の共重合体(実施例1)を得た。さらに、表2に示した構成単位となるように単量体組成を代え、実施例1と同様にして実施例2〜16を得た。
【0117】
このようにして製造した実施例1〜16の掘削泥水用泥膜形成剤を泥水に添加し、その造壁性及び泥水粘度を調べた(表3)。
【0118】
ここで、掘削泥水用泥膜形成剤を添加する前の泥水については、細粒分75μm以下、比重が1.05となるように濃度調整して作製した。ちなみに、そのときの粘度は11.1 mPa・sであった。泥水粘度はB型粘度計にて測定した。
【0119】
また、同表における造壁性は、API規格でいうところの指標とは若干異なり、濾水プロセスを促進させて実験時間を短縮させるべく、濾紙の下側を減圧状態とした場合の濾水量として計測したものであり、5ml以下が良好な造壁性の目安とされる。なお、従来技術と比較すべく、CMCを用いた場合を比較例1として併せて示した。
【0120】
【表3】
Figure 0004228337
【0121】
同表でわかるように、実施例1〜6、11〜16は、添加量にかかわらず、造壁性が5ml以下といずれも良好であるとともに、泥水粘度についても低粘性を維持している、言い換えれば良好な分散性が維持されているのに対し、実施例7〜10では、添加量が少ないときに造壁性が低下していることがわかる。
【0122】
ちなみに、CMCを使った比較例1では、造壁性は確保できるものの、粘度が高くなってしまうという問題点を裏付ける結果となった。
【0123】
次に、上述した実施例11に係る掘削泥水用泥膜形成剤を掘削泥水用分散剤とともに泥水に加えて本実施形態に係る掘削用泥水を作製し、その耐セメント性について実験した。なお、掘削泥水用分散剤としては、上述したSS―B及び炭酸ナトリウムの二種類を使用し、それぞれを単独に掘削泥水用泥膜形成剤と併用した場合と、両方を掘削泥水用泥膜形成剤と併用した場合について調べた。
【0124】
実験結果を図3及び図4に示す。
【0125】
まず、上述した掘削用泥水にセメントを添加しない場合の実験結果を図3に示す。同図に示すように、掘削泥水用泥膜形成剤の添加量が0.25%程度以上になると、掘削泥水用泥膜形成剤を単独で使用した場合(黒丸で示したケース)と掘削泥水用泥膜形成剤に掘削泥水用分散剤を併用した場合(黒丸以外の3ケース)との間で造壁性にほとんど差がないことがわかる。
【0126】
次に、上述した掘削用泥水にセメントを1%添加した場合と5%添加した場合の実験結果を図4(a)、(b)に示す。これらの図に示すように、掘削泥水用泥膜形成剤に掘削泥水用分散剤を併用した場合(黒丸以外の3ケース)では、掘削泥水用泥膜形成剤を0.1〜0.2%添加すれば所要の造壁性が得られるのに対し、掘削泥水用泥膜形成剤を単独で使用した場合(黒丸で示したケース)では、掘削泥水用泥膜形成剤をセメント1%の場合には0.3%弱、セメント5%の場合には0.5%添加しなければ所要の造壁性が得られないことがわかる。
【0127】
(第2実施形態)
【0128】
次に、第2実施形態に係る泥水管理システムを説明する。なお、第1実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0129】
すなわち、第2実施形態に係る泥水管理システムも第1実施形態で説明した泥水管理システム1と同様、薬剤タンク2、炭酸ナトリウム水溶液タンク3、清水を供給可能な清水供給手段としての清水槽4及び混合槽5を備えるとともに、掘削溝15内の泥水液位を計測する液面計16と、掘削溝15内の泥水の性状を計測する泥水計測装置18と、液面計16及び泥水計測装置18に接続された制御装置19とを備え、該制御装置は、図1(b)を参照して説明したように、液面計16からの液位データ及び泥水計測装置18からの泥水性状データを用いてポンプ6、ポンプ8及びポンプ10を駆動制御できるようになっており、掘削泥水用泥膜形成剤及び掘削泥水用分散剤の化学組成が異なる点以外は、第1実施形態に係る泥水管理システムと構成が全く同一であり、したがって、これ以上の詳細な説明は、ここでは省略する。
【0130】
本実施形態で用いる掘削泥水用泥膜形成剤は、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)を主構成単位とする(共)重合体(x′)としての単一重合体からなり、該単一重合体の重量平均分子量Mwを20万〜300万としてある。
【0131】
ここで、単一重合体の重量平均分子量Mwを20万〜300万としたのは、重量平均分子量Mwが20万を下回ると、造壁性の指標である濾水量が5mlをやや上回り、300万を超えると、濾水量が5mlを大幅に上回るからである。
【0132】
なお、濾水量は、API規格でいうところの指標とは若干異なり、濾水プロセスを促進させて実験時間を短縮させるべく、濾紙の下側を減圧状態にして計測したものであり、5ml以下が良好な造壁性の目安とされる。
【0133】
図5は、本実施形態に係る掘削泥水用泥膜形成剤の一例を示した化学構造式(化学式)であり、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)をアクリル酸ナトリウム42で構成してなる掘削泥水用泥膜形成剤41を示してある。
【0134】
重量平均分子量Mwの下限値及び上限値は、後述する実験で得られた結果をプロットし、次いでこれらの結果を近似する曲線を作成し、該曲線と濾水量が5mlであるラインとの交点としてそれぞれ20万、300万と定めたが、実験誤差等を勘案した経験的な安全率を見込んだ上での重量平均分子量Mwの範囲は、50万乃至250万とするのが望ましい。
【0135】
一方、掘削泥水用泥膜形成剤41は、濃度が20乃至30質量%のものを泥水に添加して使用するのが好ましいが、かかる濃度範囲では、重量平均分子量Mwが100万を超えると、水飴程度の高粘度(100万mPa・s)となり、泥水に添加するにあたって必ずしも作業性に優れるとは言い難い。
【0136】
したがって、かかる添加作業性の観点で掘削泥水用泥膜形成剤41の重量平均分子量Mwを50万乃至100万とするのが望ましい。さらには、濾水量上限を余裕をもってクリアするとともに泥水への添加作業を確実に高めるべく、掘削泥水用泥膜形成剤41の重量平均分子量Mwを60万乃至80万とするのが最適である。
【0137】
次に、本実施形態で用いる掘削泥水用分散剤は、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体であってその重量平均分子量Mwを10000乃至14000としたものであれば、その組成等は任意であり、例えば、重量平均分子量Mwが10000乃至14000であるポリアクリル酸のナトリウム塩から構成することが可能である。具体的には、SUPER SLRRY B(三洋化成工業株式会社製)の商品名で市販されているポリカルボン酸系安定液用分散剤(以下、単にSS―Bと呼ぶ)を使用することができる。また、かかるSS−Bに代えて、又はそれに加えて炭酸ナトリウムを用いることもできる。
【0138】
本実施形態に係る泥水管理システム1においては、薬剤タンク2に貯留された掘削泥水用泥膜形成剤及び掘削泥水用分散剤、炭酸ナトリウム水溶液タンク3に貯留された炭酸ナトリウム水溶液、及び清水槽4に貯留された清水とを、それぞれ配管7、配管9、配管11を介して混合槽5に入れ混合液を作製するが、掘削泥水用泥膜形成剤や掘削泥水用分散剤といった薬剤や炭酸ナトリウム水溶液あるいは清水を混合槽5に入れるにあたっては、液面計16によって掘削溝15内の泥水液位を計測するとともに、泥水計測装置18によって掘削溝15内の泥水の性状を計測し、かかる計測結果に応じてポンプ6、ポンプ8、ポンプ10を制御装置19で制御し、薬剤及び清水の混合槽5への供給及び停止を制御する。
【0139】
すなわち、掘削が進行するにつれて掘削深度が下がるので、掘削溝内の液位を液面計16で計測するとともにその計測データに応じてポンプ10を制御装置19で制御して掘削溝15内に補充されるべき量の清水を混合槽5に供給することにより、泥水の液位を所定のレベルにあるいは許容範囲内に維持する。
【0140】
また、事前に予想した土質性状とは異なる場合、設計上の薬剤添加量では所望の造壁性や粘性を維持できないことがあるが、本実施形態においては、掘削溝15内の泥水の性状を泥水計測装置18で計測する。
【0141】
計測にあたっては、主として造壁性と粘性とを計測するようにすればよいが、必要に応じて泥水比重やpHを計測するようにしてもよい。
【0142】
次に、その計測データに応じてポンプ6、ポンプ8を制御装置19で制御し、掘削溝15内に添加される量の薬剤を混合槽5に供給する。
【0143】
ここで、添加される薬剤、すなわち掘削泥水用泥膜形成剤及び掘削泥水用分散剤並びに炭酸ナトリウム水溶液の量を決定するにあたっては、補充される清水はもちろん、すでに掘削溝15内に満たされている掘削用泥水や土砂分離のために循環している循環泥水もすべて対象となるが、掘削溝15内の泥水量については、図示しない掘削機に内蔵している深度計と液面計16とから算出することができるし、土砂分離のために循環させている泥水量については、設計段階で算出可能である。
【0144】
次に、混合槽5内の混合液を中間貯留槽13を介して掘削溝15内に投入する。
【0145】
このようにすると、単位容積当たりの泥水中の薬剤含有量が調整されるとともに、より適切な含有量に調整された掘削泥水用泥膜形成剤及び掘削泥水用分散剤は、従来のベントナイト等に代わって、例えば粘土を主成分とする10μm以下の細粒分とともに泥水中に分散して低粘性を維持するとともに、掘削泥水用泥膜形成剤による優れた造壁作用により、ろ水量(透水係数)の小さな良質のマッドケーキを孔壁に形成して該孔壁を安定させる。
【0146】
また、掘削用泥水の循環使用に伴ってコンクリートからカルシウムイオンが溶出し、泥水中のカルシウムイオン濃度が上昇するが、本実施形態で用いる掘削泥水用分散剤がカルシウムイオンによる分散性低下を抑制する。
【0147】
なお、炭酸ナトリウム水溶液については、添加量が多くなると、逆に塩類凝集を引き起こして分散性が低下するため、あくまで補助的に添加するのが望ましい。
【0148】
また、混合槽5から中間貯留槽13への圧送、中間貯留槽13から掘削溝15への圧送については、あらたに作製された混合液がそのまま自動的に掘削溝15に投入されるよう、配管、圧送ポンプ等を用いて適宜構成しておけばよい。
【0149】
泥水は、工事開始時においては、他の現場から入手した掘削用泥水や新規購入した掘削用泥水を使用できることはもちろん、本実施形態で用いる掘削泥水用泥膜形成剤は、劣化泥水の分散性や造壁性を改善して新たな掘削用泥水に再生する機能を有しているため、他の現場で劣化した廃泥水を使用することも可能である。
【0150】
以上説明したように、本実施形態に係る泥水管理システムによれば、掘削泥水用泥膜形成剤や掘削泥水用分散剤あるいは清水がすべて液状であるため、従来のベントナイト等の作泥材料とは異なり、混練のための手間や時間を要しないとともに、その結果として作泥作業と掘削溝15への投入作業をタイムラグを生じることなく、ほぼ同時に行うことが可能となる。
【0151】
すなわち、本実施形態に用いる掘削泥水用泥膜形成剤や掘削泥水用分散剤を必要なときに必要なだけ、混合槽5及び中間貯留槽13を介して迅速かつ容易に掘削溝15内に投入し、これらを掘削溝15内に解膠している掘削土の細粒分、例えば粘土やシルトを主成分とする75μm以下の細粒分や、粘土を主成分とする10μm以下の細粒分とともにあらたな掘削用泥水とすることができるため、結果として、掘削深度に合わせた迅速かつ容易な掘削用泥水の作製が可能となる。
【0152】
そして、かかる状況を前提とした上で、液面計16によって掘削溝15内の泥水液位を計測するとともに、泥水計測装置18によって掘削溝15内の泥水の性状を計測し、かかる計測結果に応じてポンプ6、ポンプ8、ポンプ10を制御装置19で制御し、薬剤及び清水の混合槽5への供給及び停止を制御するようにしたので、必要な作泥作業を自動化することが可能となり、掘削工事自体の工期短縮及びコスト低減を図ることができるとともに、従来のように経験や熟練度とは関係なく、掘削溝15内に満たされた掘削用泥水の造壁性と粘性とを常に最適な状態に維持することが可能となる。
【0153】
本実施形態では、炭酸ナトリウム水溶液タンク3を設けたが、本実施形態で用いる掘削泥水用分散剤によってセメント混入時の分散性の低下を十分抑制することができるのであれば、かかる炭酸ナトリウム水溶液タンク3並びにそれに付随するポンプ8及び配管11を省略してもよい。かかる構成においては、制御装置19の制御対象は、ポンプ6及びポンプ10のみとなる。
【0154】
また、本実施形態では、掘削泥水用泥膜形成剤及び掘削泥水用分散剤を併用することを前提とし、これらを薬剤タンク2内に貯留するようにしたが、これらの薬剤はいずれも一定の分散性と造壁性を有しているため、場合によっては、いずれかを単独で使用するようにしてもかまわない。一方、掘削泥水用泥膜形成剤及び掘削泥水用分散剤を併用する場合、これらを混合した状態で薬剤タンク2内に貯留してもかまわないが、それぞれ専用のタンク内に貯留するようにしてもかまわない。この場合、薬剤タンク2は、計2種類備えることとなる。また、掘削泥水用分散剤としてSS−B及び炭酸ナトリウムの二種類を使用する場合には、これらを混合した状態で使用してもよいが、それぞれ専用のタンク内に個別に貯留してもかまわない。かかる場合、薬剤タンク2は、掘削泥水用分散剤専用、掘削泥水用分散剤(SS−B)専用及び掘削泥水用分散剤(炭酸ナトリウム専用)の計3種類となる。
【0155】
また、本実施形態では、混合槽5で作製された混合液をいったん中間貯留槽13に貯留するようにしたが、かかる中間貯留槽13を省略して直接、掘削溝15内に投入するようにしてもよいことは言うまでもない。かかる場合には、混合液吐出管14は、混合槽5に直接接続すればよい。
【0156】
また、本実施形態では、掘削泥水用泥膜形成剤及び掘削泥水用分散剤を希釈してから掘削溝15に投入することを前提として、混合槽5を備えるようにしたが、これらを掘削溝15に直接添加しても上述した掘削用泥水の品質管理を行うことに支障がないのであれば、混合槽5を省略し、薬剤タンク2に接続された配管7及び清水槽4に接続された配管11を掘削溝15内に直接、連通させるようにしてもよい。なお、かかる場合においても、制御装置19によるポンプ6及びポンプ10への制御操作は上述した実施形態と同様であり、その作用効果についてはここではその説明を省略する。
【0157】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、中間貯留槽13として、従来から使用されている回収槽、すなわちコンクリート置換された後の掘削用泥水を回収貯留するための槽で代用してもよいし、土砂分離のための循環経路に設置された任意の槽、例えば循環槽、泥水貯留槽等で代用してもよい。
【0158】
また、本実施形態では、掘削溝15内の泥水を計測のために仮貯留する計測槽17を設けたが、これを省略し、掘削溝15内の泥水を直接引き抜くようにしてもよいし、土砂分離のための循環経路に設置された任意の槽、例えば循環槽、泥水貯留槽等から引き抜いてもよいことは言うまでもない。
【0159】
【実施例】
次に、本実施形態で用いる掘削泥水用泥膜形成剤41を具体的に説明する。なお、特記なき限り、部及び%はそれぞれ質量部及び質量%を示すものとする。
【0160】
まず、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)としては、上述した実施形態でも述べたようにアクリル酸ナトリウムとし、これを重合させて単一重合体41を製造した。
【0161】
表4は、重量平均分子量Mwを変化させたときの単一重合体41の造壁性(ml)、粘度(濃度;25質量%)及び泥水と混合したときの泥水粘度(mPa・s)を示したものである。
【0162】
ここで、重量平均分子量Mwは、第1実施形態における数平均分子量と同様の測定条件でゲルパーミエーションクロマトグラフにより測定したものである。
【0163】
但し、カラムは下記のものを用いる。
カラム ;TSKgel α-3000 + TSKgel α-6000
【0164】
なお、標準物質は、ポリオキシエチレングリコール(東ソー株式会社製;TSK STANDARD POLYETHYLENE OXIDE)とし、第1実施形態でも同じものを標準物質とした。
【0165】
また、単一重合体41を添加する前の泥水については、細粒分75μm以下、比重が1.05となるように濃度調整して作製した。ちなみに、そのときの粘度は1.7 mPa・sであった。泥水粘度はB型粘度計にて測定した。また、泥水への添加量はすべて5kg/m3とした。
【0166】
【表4】
Figure 0004228337
【0167】
同表中、ブランクと記したものは、泥水のみのケース、実施例1′乃至実施例9′と記したものは、単一重合体41のうち、造壁性の指標である濾水量が5ml以下になったケース、比較例1′乃至比較例3′と記したものは、単一重合体41のうち、濾水量が5mlを上回ったケースである。なお、従来技術と比較すべく、CMCを用いた場合を比較例4′として併せて示した。
【0168】
また、図6は、これらの結果を横軸(対数軸)に重量平均分子量Mwを、縦軸に造壁性(ml)をとってプロットしたグラフであり、黒丸で表示したものは、比較例1′,2′に相当し、白丸で表示したものは、実施例1′乃至9′に相当する。比較例3′は、造壁性が著しく悪いため、同グラフにはプロットしていない。
【0169】
これらの図表でわかるように、造壁性の指標である濾水量が5ml以下になった実施例1′乃至実施例9′の重量平均分子量Mwは、20万乃至300万の範囲に入っており、比較例1′乃至比較例3′は、該濾水量を上回っていることがわかる。また、比較例4′は、濾水量はクリアしていても、泥水粘度が実施例1′乃至実施例9′よりもはるかに高く、掘削用泥水としては粘性が高すぎることがわかる。
【0170】
単一重合体41の製造プロセスを上述した実施例1′の場合について具体的に説明すると、まず、反応容器に水440.7部を仕込み、窒素置換した後、80℃迄昇温し、撹拌下、アクリル酸238.5部と、過硫酸ナトリウム2.0%水溶液100部を同時に3時間かけて滴下し反応した。さらに同温度で2時間熟成した後、イソプロピルアルコールを蒸留により除き、水酸化ナトリウム48%水溶液220.8部で中和した。
【0171】
次に、上述した実施例5′に係る単一重合体41を掘削泥水用分散剤とともに泥水に加えて本実施形態に係る掘削用泥水を作製するとともに、該掘削用泥水にセメントを5%添加し、その耐アルカリ性について実験した。なお、掘削泥水用分散剤としては、上述したSS―B及び炭酸ナトリウムの二種類をその合計添加量が1kg/m3となるように使用し、それぞれを単独に単一重合体41と併用した場合と、両方を単一重合体41と併用した場合について調べた。
【0172】
実験結果を表5及び図7に示す。
【0173】
【表5】
Figure 0004228337
【0174】
これらの図表でわかるように、単一重合体41に掘削泥水用分散剤を併用した場合(黒丸以外の3ケース)では、掘削泥水用泥膜形成剤を3kg/m3添加すれば所要の造壁性が得られるのに対し、単一重合体41を単独で使用した場合(黒丸で示したケース)では、掘削泥水用泥膜形成剤を5kg/m3以上添加しなければ所要の造壁性が得られないことがわかる。
【0175】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る泥水管理システムによれば、掘削泥水用泥膜形成剤や掘削泥水用分散剤あるいは清水がすべて液状であるため、従来のベントナイト等の作泥材料とは異なり、混練のための手間や時間を要しないとともに、その結果として作泥作業と掘削孔への投入作業をタイムラグを生じることなく、ほぼ同時に行うことが可能となる。
【0176】
すなわち、本発明に用いる掘削泥水用泥膜形成剤や掘削泥水用分散剤を必要なときに必要なだけ、迅速かつ容易に掘削孔内に投入し、これらを掘削孔内に解膠している掘削土の細粒分とともにあらたな掘削用泥水とすることができるため、結果として、掘削深度に合わせた迅速かつ容易な掘削用泥水の作製が可能となる。
【0177】
そして、かかる状況を前提とした上で、液面計によって掘削孔内の泥水液位を計測するとともに、泥水計測装置によって掘削孔内の泥水の性状を計測し、かかる計測結果に応じて薬剤用吐出制御手段及び清水用吐出制御手段を制御装置で制御し、薬剤及び清水の掘削孔への供給及び停止を制御するようにしたので、作泥作業を自動化することが可能となり、掘削工事自体の工期短縮及びコスト低減を図ることができるとともに、従来のように経験や熟練度とは関係なく、掘削孔内に満たされた掘削用泥水の造壁性と粘性とを常に最適な状態に維持することが可能となる。
【0178】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る泥水管理システムを示した図。
【図2】本実施形態で用いる掘削泥水用泥膜形成剤を示した化学構造式。
【図3】本実施形態に係る泥水管理システムに関する実験結果を示したグラフ。
【図4】同じく本実施形態に係る泥水管理システムに関する実験結果を示したグラフ。
【図5】第2実施形態で用いる掘削泥水用泥膜形成剤を示した化学構造式。
【図6】第2実施形態で用いる掘削泥水用泥膜形成剤における造壁性と重量平均分子量との関係を示したグラフ。
【図7】第2実施形態で用いる掘削泥水用分散剤の耐アルカリ性を示したグラフ。
【符号の説明】
1 泥水管理システム
2 薬剤タンク
4 清水槽(清水供給手段)
5 混合槽
15 掘削溝(掘削孔)
16 液面計
18 泥水計測装置
19 制御装置
21 掘削泥水用泥膜形成剤
22 メタクリル酸ナトリウム塩(不飽和カルボン酸塩(a))
23 メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(モノエステル(b))
41 単一重合体((共)重合体(x′))
42 アクリル酸ナトリウム(不飽和カルボン酸塩(a))

Claims (5)

  1. 液状であって掘削土砂の細粒分と結びつくことによって所定の分散性及び造壁性を有する掘削泥水用泥膜形成剤を貯留した薬剤タンクと、清水を供給可能な清水供給手段と、前記掘削泥水用泥膜形成剤と前記清水とを混合して混合液を作製し該混合液を掘削孔に供給するようになっている混合槽と、前記薬剤タンクの吐出側に設けられその吐出を制御可能な薬剤用吐出制御手段と、前記清水供給手段の吐出側に設けられその吐出を制御可能な清水用吐出制御手段と、前記掘削孔内の泥水液位を計測する液面計と、前記掘削孔内の泥水の性状を計測する泥水計測装置と、前記液面計及び前記泥水計測装置に接続された制御装置とを備えるとともに、該制御装置を、前記液面計からの液位データを用いて前記清水用吐出制御手段を制御することにより、前記掘削孔内に補充されるべき量の清水を前記混合槽に供給して前記泥水液位が所定のレベル又は許容範囲内に維持されるように構成するとともに、前記泥水計測装置からの泥水性状データを用いて前記薬剤用吐出制御手段を制御することにより、前記掘削孔内に添加される量の薬剤が前記混合槽に供給されるように構成したことを特徴とする泥水管理システム。
  2. 液状であって掘削土砂の細粒分と結びつくことによって所定の分散性及び造壁性を有する掘削泥水用泥膜形成剤を貯留した薬剤タンクと、清水を供給可能な清水供給手段と、前記薬剤タンクの吐出側に設けられその吐出を制御可能な薬剤用吐出制御手段と、前記清水供給手段の吐出側に設けられその吐出を制御可能な清水用供吐出御手段と、前記掘削孔内の泥水液位を計測する液面計と、前記掘削孔内の泥水の性状を計測する泥水計測装置と、前記液面計及び前記泥水計測装置に接続された制御装置とを備えるとともに、該制御装置を、前記液面計からの液位データを用いて前記清水用吐出制御手段を制御することにより、前記掘削孔内に補充されるべき量の清水を前記掘削孔に供給して前記泥水液位が所定のレベル又は許容範囲内に維持されるように構成するとともに、前記泥水計測装置からの泥水性状データを用いて前記薬剤用吐出制御手段を制御することにより、前記掘削孔内に添加される量の薬剤が該掘削孔に供給されるように構成したことを特徴とする泥水管理システム。
  3. 前記掘削泥水用泥膜形成剤を、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)と、不飽和カルボン酸(b1)及び下記一般式(1)
    R(OA)nOH (1)
    R; 水素又は炭素数1〜12の炭化水素基
    A; 炭素数2〜4のアルキレン基
    n; 1〜100の整数
    で表されるヒドロキシル基含有化合物(b2)のモノエステル(b)とを構成単位とする共重合体(x)で構成し、前記共重合体(x)を構成する前記モノエステル(b)の質量%を1〜40%とするとともに前記共重合体(x)の数平均分子量を5000〜100000とすることで、ベントナイト及びCMCを作泥材料として不要に構成した請求項1又は請求項2記載の泥水管理システム。
  4. 前記掘削泥水用泥膜形成剤を、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)のみを構成単位とする重量平均分子量Mwが20万〜300万の(共)重合体(x′)のみで構成することで、ベントナイト及びCMCを作泥材料として不要に構成した請求項1又は請求項2記載の泥水管理システム。
  5. 前記薬剤タンクに液状の掘削泥水用分散剤を貯留するとともに、該掘削泥水用分散剤を、重量平均分子量Mwが10000乃至14000のポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体又は炭酸ナトリウムの少なくともいずれかで構成した請求項1乃至請求項4のいずれか一記載の泥水管理システム。
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