JP4229671B2 - 画像記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多値記録が可能な複数の記録素子を有する記録ヘッド手段を備えた画像記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリンタやファクシミリなどの画像記録装置の多くは、複数の記録素子を有するサーマルヘッドやインクジェットヘッドなどの記録ヘッドを採用している。記録幅が広い場合には、その記録幅以上の長さの記録ヘッドを用いれば当該広い記録幅の記録が可能であるが、そのような記録幅の広い記録ヘッドは、概して製造時の良品の歩留まりが悪いため、コストアップにつながってしまうという問題がある。
【0003】
そこで、製造コストの比較的安価な記録幅の短い記録ヘッドを多数使用して広い記録幅の記録を行うことが提案されている。例えば、特開2000−79707号公報(従来技術1)には、複数の多値画像データが記録可能な短尺記録ヘッドを一部重複するように隣接して配置し、重複領域の画素をこの隣接ヘッドの対応する2つの記録素子で共同印字する記録方法が開示されている。この場合、重複領域での記録画像の連続性が保たれるように、隣接する一方の記録ヘッドの記録時には、重複領域の始端から終端にかけて徐々に減少する係数を各画素の入力信号に乗算して画像記録を行い、隣接する他方の記録ヘッドの記録時には、重複領域の始端から終端にかけて徐々に増加する係数を当該画素の入力信号に乗算して画像記録を行っている。
【0004】
また、特開2002−144542号公報(従来技術2)には、複数の記録ヘッドを並べて記録幅を広くした場合に、隣り合うヘッドの重複領域の記録素子の位置ずれによって発生する白筋や黒筋をなくすために、重複領域の記録に使う記録素子を、記録ヘッドの素子の配列ピッチと隣接記録ヘッドの隣接記録素子の間隔に応じて選択し、画像記録を行わせる画像記録装置が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術1では、重複領域において隣接記録ヘッドの隣接記録素子の位置を正確に合わせる必要があり、製造が困難である上、コスト高になってしまう。また、記録素子の位置合わせが正確にできたとしても、重複領域の画素が隣接記録ヘッドの対応する2つの記録素子で共同印字されるため、入力多値画像データを1つの記録素子で印字したときの印字濃度が、2つの記録素子に分配して印字したときの濃度と必ずしも同じにならないため、重複領域とそれ以外の領域の濃度が急激に変化することを防ぐことはできても、重複領域の濃度の不均一をなくすことができない。
【0006】
さらに、記録素子の位置合わせが正確でない場合や、合わせた記録素子の位置が経時変化によりずれた場合に、隣り合う記録ヘッドの印字領域が重複する部分において記録素子の位置がずれることによって、つなぎ目部分の濃度が変化して濃度むらとなる問題についてはなんら解決方法を開示していない。
【0007】
また、上記した従来技術2では、隣接記録ヘッドの隣接記録素子の位置にずれがあった場合に、重複領域の画素の記録に使う記録素子を選択することによって、黒筋や白筋を目立たなくすることができても、重複領域の濃度の不均一をなくすことができない。また、たとえ濃度の不均一をなくすことができたとしても、印字したドットの場所によって、密度が高かったり、低かったりするため、重複領域で印字画像に粗密ができてしまう。これにより、重複領域とそれ以外の領域とでドット模様の相違が発生して画質の劣化を招いてしまう。
【0008】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、多値記録が可能な複数の記録素子を有する記録ヘッドの正確な位置合わせを行わなくとも、また、経時変化によって記録ヘッドの記録素子の位置が変化した場合であっても、高画質な画像を得ることができる画像記録装置を提供することになる。
【0009】
また、本発明の他の目的は、記録ヘッドの正確な位置合わせを行わない場合や、経時変化による記録素子の位置の変化に対応した、最適な補正データを得ることができる画像記録装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る画像記録装置は、直線状に配列された記録素子の列を有する多値記録が可能な記録ヘッドを複数有し、当該複数の記録ヘッドを前記記録素子の配列方向に沿って互いの記録素子列が重複する重複部分を設けて配列してなるライン型記録ヘッドと、前記重複部分における所定画素に対応する入力画像信号を複数の入力画像信号に分割し、前記複数の記録ヘッドの重複部分における所定画素の記録を行う前記複数の記録ヘッドの隣接する記録素子それぞれに分配する画像信号分配手段と、前記隣接する複数の記録素子によって記録される前記所定画素に対応する画像の濃度が所定の濃度となるように、前記隣接する複数の記録素子に入力する前の入力画像信号を前記隣接する複数の記録素子間の距離に応じて補正する画像信号補正手段と、を具備する画像記録装置において、前記画像信号補正手段は、前記画像信号分配手段による分割前の入力画像信号を補正する。
【0011】
また、本発明の第2の態様に係る画像記録装置は、本発明の第1の態様に係る画像記録装置において、前記画像信号補正手段は、予め互いに異なる複数の補正係数が記憶されている補正係数記憶部と、前記隣接する複数の記録素子間の距離に応じた補正係数を、前記補正係数記憶部から選択する選択部と、前記選択部によって選択された補正係数に基づいて、前記入力画像信号を補正する。
【0015】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の実施の形態を説明するにあたって前提となる技術を、参考例として説明する。
(第1参考例)
図1は、本発明の第1参考例である高速プリンタのライン型記録ヘッド(以下、ラインヘッドと呼ぶ)1の構成を示す図である。図1では説明を簡単にするためにライン型記録ヘッド1が2つの短尺記録ヘッドからなる構成を示している。また、以下の説明では、「記録」という言葉は、「印字」と等価なものとして説明する。短尺記録ヘッド11は複数の記録素子としてのノズルを有し、短尺記録ヘッド12も同様に、複数の記録素子としてのノズルを有し、これら2つの記録ヘッド11、12は、ノズルの配列方向(第1の方向)と直交する方向である紙送り方向(第2の方向)から見て一部重複して隣接配置されている。各記録ヘッド11、12の配置の詳細については後述する。このように、2つの短尺ヘッド11,12を一部重複させて配置することにより記録幅が拡大されるので、単一の短尺ヘッド11または12を使用して印字を行う場合よりも幅の広い印字を実現できる。
【0016】
印字を行う場合は、記録紙を第2方向(紙送り方向)に搬送しながら、ラインヘッド1を制御して印字を行う。
【0017】
なお、上記した記録ヘッド11と記録ヘッド12のノズルは、多値の画像記録が可能となっている。すなわち、本参考例では、各ノズルから1ドロップから7ドロップまでのインク滴を吐出できる。したがって、0から8までの階調を表現可能である。ここで、ドロップは吐出されるインクの単位量を表わす。
【0018】
印字される画像データは各種の画像処理を経て、制御信号として8値化された入力画像信号がノズルに供給されて印字が行われる。ここでは、単一のラインヘッド1しか示していないが、同様なラインヘッドを第2の方向に複数個並べて、各ラインヘッドごとに異なる色の印字をさせることにより、カラー印字が可能となる。また、重複ノズルの数、つまり重複領域の幅は、必要に応じて適切に設定される。
【0019】
図2は、図1のラインヘッド1の部分を拡大して示す図である。図2に示すように、記録ヘッド11は、ノズル11−1〜11−8を有しており、記録ヘッド12は、ノズル12−1〜12−8を有している。記録ヘッド11、12は、ノズルの配列方向と直交する方向から見て一部重複して配置されている。この場合は、記録ヘッド11のノズル11−5〜11−8と、記録ヘッド12のノズル12−1〜12−4とが重複して配置されている。従って、ノズル11−5とノズル12−1、ノズル11−6とノズル12−2、ノズル11−7とノズル12−3、ノズル11−8とノズル12−4が隣接して配置され、隣接するノズルどうしは正確に位置合わせされている。
【0020】
このような配置のラインヘッドを用いて印字を行うためには、上記した従来技術1で開示されている技術を使用することができる。例えば、階調7の画像データがラインヘッド1に入力された場合、重複部分よりも左側の画像については記録ヘッド11のノズル11−1〜11−4を用いて7ドロップ印字するとともに、重複部分よりも右側の画像については記録ヘッド12のノズル12−5〜12−8を用いて7ドロップ印字するようにする。そして、重複領域については、ノズル11−5、11−6、11−7、11−8にそれぞれ、5、4、3、2ドロップ印字を行わせるとともに、ノズル12−1、12−2、12−3、12−4にそれぞれ、2、3、4、5ドロップ印字を行わせることによって、隣接ノズルの印字ドロップの合計が入力画像階調と同じになるようにしている。
【0021】
しかし、隣接ノズルの位置を図2に示すように正確に配置することは実際は困難なことであり、位置合わせの精度を上げようとすると製造コストの増大につながる。また、仮に製品の出荷時に正確な位置合わせを行っても、経時変化によってノズルの位置がずれてしまう可能性がある。
【0022】
図3は、記録ヘッド11の隣接ノズル11−5と記録ヘッド12の隣接ノズル12−1、隣接ノズル11−6と隣接ノズル12−2、隣接ノズル11−7と隣接ノズル12−3、隣接ノズル11−8と隣接ノズル12−4の位置がそれぞれδだけずれている状態を示す図である。このような状態のときに、隣接ノズル11−5〜11−8及び12−1〜12−4を使用して1画素を共同印字しても、ズレδによって共同印字画素の印字濃度が濃くなったり薄くなったりする。
【0023】
図4は、上記した課題を解決するための、本発明の第1参考例に係る画像記録装置の構成を示す図である。画像信号が共同印字制御手段100に入力されると、共同印字制御手段100は、図示しない入力画像信号のアドレス信号と重複領域のアドレスデータから、入力画素が当該重複領域にあるかどうかを判断する。入力画像信号が、重複領域ではない画素への入力画像信号と判断された場合には、共同印字しない画素への入力画像信号として記録ヘッド11,12に直接送られ、ノズルから記録紙2に対して所定ドロップのインクが吐出される。
【0024】
また、入力画像信号が、重複領域に属する画素であると判断された場合には、その入力画像信号が共同印字される画素への入力画像信号として画像信号補正手段101に入力され、補正係数記憶手段102に記憶された、各々が異なる複数補正係数から、当該画素に対応する画像の濃度が所定の濃度となるような補正係数が選択されて補正が行われる。補正の詳細については後述する。
【0025】
補正後の画像信号は画像信号分配手段103に入力される。画像信号分配手段103は、補正後の画像信号を所定の比率で分割し、それぞれを共同印字する隣接記録ヘッド11,12のそれぞれの隣接ノズルに分配する。当該隣接ノズルの各々からは分配された信号に相当するドロップのインクが記録紙2に対して吐出される。
【0026】
図5(A)は、重複領域の画素が全て記録ヘッド11と記録ヘッド12の隣接ノズルによって共同印字される例を示す図である。図5(A)のうち、図5(B)に示すようなハッチングで示される部分は、記録ヘッド11のノズルのみで印字される画素であり、図5(A)のうち、図5(C)に示すようなハッチングで示される部分は、記録ヘッド12のノズルのみで印字される画素である。また、図5(D)に示すようなハッチングで示される部分は、記録ヘッド11のノズルと、記録ヘッド12のノズルが共同印字する画素であり、この画素に入力される画像信号が2つの隣接ノズルへと分配される。分配の比率は、例えば、50%ずつでもよい。統計的には、2つの隣接ヘッドの隣接ノズルへの分配比率が50%ずつであれば、個々の共同印字ノズルではランダムに分配しても良い。例えば、共同印字画素への入力画像信号が6ドロップであれば、夫々のノズルに対して3ドロップと3ドロップとに分配される。
【0027】
図6(A)は、重複領域の1行の中で、1画素だけが記録ヘッド11と記録ヘッド12の隣接ノズルによって共同印字される例を示す図である。図6(A)のうち、図6(B)に示すようなハッチングで示される部分は、記録ヘッド11のノズルのみで印字される画素であり、図6(A)のうち、図6(C)に示すようなハッチングで示される部分は、記録ヘッド12のノズルのみで印字される画素である。また、図6(D)に示すようなハッチングで示される部分は、記録ヘッド11のノズルと、記録ヘッド12のノズルが共同印字する画素であり、この画素に入力される画像信号が2つの隣接ノズルへと分配される。ここでは図6に示すように各行の中で、A〜Hで示す1画素だけが共同印字される。共同印字される画素より左の画素は左の記録ヘッド11のノズルで印字され、共同印字される画素より右の画素は右の記録ヘッド12のノズルで印字される。
【0028】
なお、共同印字される画素の位置は、予め定められた位置でも良いし、重複領域の中でランダムに決めても良い。本参考例では、4画素の重複領域の中でランダムに共同印字すべき画素を決めている。
【0029】
図7は、入力画素とノズルとの関係を説明するための図である。記録ヘッド11は複数のノズル11−1〜11−8を備え、記録ヘッド12は複数のノズル12−1〜12−8を備えている。そして、記録ヘッド11のノズル11−5〜11−8と、記録ヘッド12のノズル12−1〜12−4に相当する部分が重複して配置されており、ノズル11−5はノズル12−1と、ノズル11−6はノズル12−2と、ノズル11−7はノズル12−3と、ノズル11−8はノズル12−4と隣接している。重複している部分は共同印字される画素である。
【0030】
各記録ヘッド11,12に入力される画像信号が、共同印字される画素に属しているかどうかを判断し、共同印字される画素に属していない場合には、入力画像信号をそのまま対応するノズルに入力させる。一方、入力画像信号が共同印字される画素に属している場合には、入力画像信号は、新たな入力画像信号に補正された後、各記録ヘッド11,12の対応するノズルに、所定の比率で分配されて入力される。
【0031】
図7は、画素値sをもつ入力画像信号200〜211のうち、入力画像信号206が新たな画素値s’の入力画像信号に補正された後、a及びbに分配されてそれぞれノズル11−7及び12−3に入力される場合を示している。
【0032】
なお、分配にあたっては、予め作成したルックアップテーブル(LUT)を参照して分配の比率を決めるようにしてもよい。
【0033】
図8(A)、(B)は、注目画素の画素値Sの算出方法の一例を説明するための図である。一般に、注目画素の濃度は、その画素のインクの面積だけではなく、注目画素の周辺の画素との関係によって決まる。そこで、ここでは図8(A)に示すように、共同印字される注目の画素への入力画像信号がある場合に、その画素値sと、注目画素の周辺の3×3ブロックの画素の画素値s1〜s8との加重平均をとり、求めた値を新たな画素値Sとする。加重平均を求めるときの各画素毎の係数は図8(B)に示すとおりである。従って、新たな画素値Sは、
S=(1/36)×s1+,…,+(6/9)×s+,…,+(1/36)×s8、の式によって算出される。そして、新たに算出した画素値Sに対して信号補正を行い、S’を求める。
【0034】
図9は、共同印字画素への入力画像信号の補正を実現する一構成例を示す図である。本参考例の画像記録装置は、1〜7ドロップの多値印刷が可能である。したがって、共同印字される画素の入力画素値sは、0≦s≦7の範囲の値をとる。補正係数記憶手段102には、1〜7ドロップの入力画像信号に対応する補正係数k1〜k7が格納されている。
【0035】
加算部301は、共同印字される画素の入力画像信号(画素値s)に量子化誤差errを加算して新たな画素値S=s+errを出力する。ここでの量子化誤差errは、1つ前の共同印字画素の補正後の量子化誤差である。errの初期値は0.0である。補正係数選択部303は、Sと、k1…k7の補間に基づいて、ここでは、K=F(S,k1,k2,…,k7)(但し、Fは線形補間又はスプライン補間関数)により、S=s+errに対応する補正係数Kを補正係数記憶手段102から選択する。
【0036】
乗算部302において、画素値Sに補正係数Kが乗算され、補正後の画素値S’=(s+err)×Kが画像信号分配手段103に入力される。画像信号分配手段103は、S’を四捨五入して整数化(すなわち、[S’])した後、AとBに分配する。ここでは、A=[S’]/2、B=[S’]−Aとする。勿論、A+B=[S’]かつ、0≦A≦7、0≦B≦7となるいかなる整数値の組み合わせを採用しても良い。
【0037】
一方、量子化誤差算出部304は、S’と、A及びBに基づいて量子化誤差err=S’−(A+B)を算出して加算部301に入力する。これは、次の入力画素値の補正を行うときに使用される。
【0038】
以上の処理を重複領域の全共同印字画素について行う。
【0039】
図10は、図9に示す構成の変形例を示す図である。共同印字される画素への入力画像信号に対する補正を行なうための構成の変形例を示す図である。ここでは、補正係数選択部303’は、加算部301から出力される入力画素値S=s+errに乗算される補正係数Kを、k1…k7の線形補間によってではなく、単純にK=ks(1≦s≦7)に基づいて選択することを特徴とする。他の部分の動作については図9で説明した通りであるので、ここでの説明は省略する。
【0040】
図11は、図10に示す構成の変形例を示す図である。図10で説明した参考例では、入力画素値Sを補正する前に当該入力画素値Sに量子化誤差errを加算しているが、ここでは、入力画素値Sを補正した後に当該画素値Sに量子化誤差errを加算するようにしたことを特徴とする。画像信号分配手段103は、[S’+err]、すなわち、補正後の入力画像信号S’に量子化誤差errを加算した値S’+errを四捨五入した整数をA及びBに分配する。
【0041】
(第2参考例)
図12は、本発明の第2参考例の概略を説明するための図である。図12に示すように、2つの記録ヘッド11、12は、ノズルの配列方向(第1の方向)と直交する方向である紙送り方向(第2の方向)から見て一部重複して配置されている。さらに、この記録ヘッド11,12によって記録した画像を読み取るためのCCDセンサ−110がラインヘッド1の直後に配置されている。
【0042】
本参考例では、ラインヘッド1の記録ヘッド11及び12に所定の入力画像信号を供給してテストチャートを記録し、この記録されたテストチャート111をCCDセンサー110によって読み取る。そして、読み取った画像に基づいてテストチャートの重複領域111aの濃度分布を算出する。詳細は後述する。
【0043】
図13は、テストチャートを用いて最適な補正係数を決定するための構成を示す図である。まず、テストチャート生成手段120によって生成したテストチャートデータを第1参考例で説明した画像記録装置の共同印字制御手段100に入力する。共同印字制御手段100は、図示しない入力画像信号のアドレス信号と重複領域のアドレスデータから、入力画素が当該重複領域にあるかどうかを判断する。入力画像信号が、重複領域ではない画素の入力画像信号と判断された場合には、共同印字しない画素への入力画像信号として記録ヘッド11,12に直接送られ、ノズルから記録紙2に対して所定ドロップのインクが吐出される。
【0044】
また、入力画像信号が、重複領域に属する画素であると判断された場合には、その入力画像信号が共同印字される画素への入力画像信号として画像信号補正手段101に入力され、補正係数記憶手段102に記憶された、各々が異なる複数補正係数から、当該画素に対応する画像の濃度が所定の濃度となるような補正係数が選択されて補正が行われる。
【0045】
補正後の画像信号は画像信号分配手段103に入力される。画像信号分配手段103は、補正後の画像信号を所定の比率で分割し、それぞれを共同印字する隣接記録ヘッド11,12のそれぞれの隣接ノズルに分配する。当該隣接ノズルの各々からは分配された信号に相当するドロップのインクが記録紙2に対して吐出される。
【0046】
次に、記録紙2の記録された部分をCCDセンサー110によって読み取り、重複領域の濃度分布を求める。次に判断手段121において、この求めた重複領域の濃度分布と所定の濃度分布とを比較して所定の濃度分布にほぼ一致しているかどうかを判断し、そうでない場合には候補となる次の補正係数を用いて入力画像信号を補正して上記した方法により記録紙2に記録を行う。そして、記録された部分をCCDセンサー110により読み取って判断手段121において重複部分の濃度分布が前記した所定の濃度分布にほぼ一致するかどうかを再度判断する。このようにして、所定の濃度分布にほぼ一致する濃度分布が得られたときの補正係数を最適な補正係数として記憶する。
【0047】
図14は、図13で説明した補正方法を具体例を使用して説明するための図である。本参考例の画像記録装置におけるラインヘッド1では、0〜7ドロップのインク滴を吐出できるため、8値の多階調記録が可能であるが、ドロップ数に応じた最適な補正係数を求めなければならない。そこで、ドロップ数に対応した最適な補正係数を求めるために、図14に示すようなテストチャートを作成した。
【0048】
図14は、所定のドロップ数のインクを吐出させて形成される記録画像において、各ブロックにおける重複領域の入力画像信号を、候補となる複数の異なる補正係数を使用して補正して印字されたテストチャート111−1〜111−6を示している。例えば、ブロック1では、補正係数k=1.6が使用されるが、この場合に形成されるテストチャート111−1では、重複領域の印字濃度が高すぎてつなぎ目が目立ってしまうことがわかる。これとは逆に、ブロック6では補正係数k=0.6が使用されるが、この場合に形成されるテストチャート111−6は、印字濃度が低すぎて同様につなぎ目が目立ってしまう。
【0049】
一方、ブロック3あるいはブロック4では補正係数k=1.2あるいはk=1.0が使用されるが、この場合に形成されるテストチャート111−3,111−4の重複領域ではつなぎ目がほとんど目立たず、最適な補正係数とあると判断することができる。
【0050】
CCDセンサー110によって各ブロックのテストチャート画像を読み取って、紙送り方向に積算することで、各ブロックのヘッドつなぎ目方向の濃度分布が得られる。
【0051】
図15は、上記したCCDセンサー110によって読み取って得られた読み取り信号を積算したグラフである。横軸はノズル配列方向を示し、縦軸は紙送り方向のCCD読み取り信号の積算値を示す。図15に示すように、予め所定濃度の2つの閾値1,2を設定して、濃度分布がこの2つの閾値1,2の範囲(許容範囲)に入っているかどうかを判断し、当該許容範囲に入っている場合には重複領域の濃度が重複領域外とほぼ同じになることにより平坦であると判断する。図15では、ブロック3とブロック4の濃度分布が当該許容範囲に入っているので、補正係数1.0と1.2のいずれかが最適な補正係数として選択される。
【0052】
なお、本参考例では0.6から1.6までの6つの補正係数を使用して補正したテストチャートを全て印字したが、これに限定されることはない。例えば、2分法と呼ばれる手法を用いることにより、さらに少ない数のテストチャートで最適な補正係数を求めることが可能である。その一例としては、目的とする補正係数が、ある2つの補正係数の間に属することが予めわかっている場合、例えば、当該補正係数が、高い方(最大)の補正係数2.0と、低い方(最小)の補正係数0.8の間に属することがわかっている場合には、まず、0.8と2.0の中間の補正係数1.4を暫定最適補正係数として補正を行い、テストチャートを印字して濃度分布を求める。補正係数1.4の場合にはブロック2の濃度分布が対応するが、図11に示すように、ブロック2の濃度分布は上記許容範囲を入っていないので、最適な補正係数とすることができない。そこで、次の候補を0.8と1.4の中間の値、1.1とする。この値を使用して補正を行い、テストチャートを印字して濃度分布を求め、それが上記許容範囲に入っているかどうかを判断する。このような手順を繰り返して行ない、濃度分布が上記許容範囲に入るまで行う。このような方法によれば、より少ないテストチャートの印字で最適な補正係数を求めることができる。
【0053】
なお、求めた濃度分布が所定の許容範囲に入っているかどうかは機械的に判断しても良いが、人間が図15に示すようなグラフを見て目視により簡単に判断することができる。
【0054】
図16は、2分法により最適な補正係数を検出する手順を説明するためのフローチャートである。まず、候補となり得る最大補正係数をKmax、最小補正係数をKminとし、最適補正係数をK=(Kmax+Kmin)/2とする(ステップS1)。次に、テストチャート生成手段120によりテストチャートデータを生成して共同印字制御手段100に入力する。共同印字制御手段100では、共同印字される画素への入力画像信号が選択されて画像信号補正手段101に入力される。画像信号補正手段101は、共同印字される画素への入力画像信号を補正係数Kで補正する。次に、この補正された入力画像信号を画像信号分配手段103により所定の比率で分配して記録ヘッド11、12により記録紙2に印字する(ステップS2)。
【0055】
次に、印字したテストチャートをCCDセンサー110によって読み取り、読み取った画像からノズル配列方向の濃度分布を算出する(ステップS3)。次に、算出した濃度分布と、所定の閾値(図15の閾値1,2)とを比較し、算出した濃度分布が所定の閾値の許容範囲(図15の閾値1,2間の範囲)内に入っているかどうかを判断し(ステップS4)、NOの場合には、重複領域の濃度が閾値の下限よりも低いかどうかを判断する(ステップS5)。ここでNOの場合には最大補正係数KmaxとしてKを設定し、最小補正係数Kminとして同じKminを設定し(ステップS6)、その後、ステップS1に戻って上記の処理を繰り返す。また、ステップS5の判断がYESの場合には最大補正係数Kmaxとして同じKmaxを設定し、最小補正係数KminとしてKを設定し(ステップS7)、その後、ステップS1に戻って上記の処理を繰り返す。
【0056】
上記の処理を補正係数Kを変更しながら印字を行って濃度分布を算出し、ステップS4において、算出した濃度分布が閾値の許容範囲に入っていると判断されたときにKを最適な補正係数として設定し(ステップS8)、処理を終了する。
【0057】
(第1実施形態)
図17は、上記した第1、第2参考例で説明した画像記録装置の補正のタイミングについての第1実施形態を説明するための図である。上記した参考例では、共同印字される画素への入力画像信号を画像信号補正手段101により補正した後に、画像信号分配手段103が補正後の入力画像信号を分配して記録ヘッド11と記録ヘッド12に供給するようにしたが、第1実施形態では、図17に示すように、まず、画像信号分配手段103によって、共同印字される画素への入力画像信号をまず分配し、分配された入力画像信号をそれぞれ画像信号補正手段101−1,101−2に供給して補正し、記録ヘッド11,12に送るようにする。
【0058】
(第2実施形態)
図18は、上記した第1、第2参考例で説明した画像記録装置の補正係数の選択方法についての第2実施形態を説明するための図である。隣接ノズル間の距離によって補正係数k1〜k7が変化するが、予め測定した距離と補正係数をルックアップテーブル(LUT)に記憶しておき、実際に使用される画像記録装置の隣接ノズル間の距離に応じて補正係数k1〜k7を選択するようにする。以下にこのことを詳細に説明する。
【0059】
ここでは隣接ノズル間の距離をδと定義する。δが変化すると、共同印字画素の印字濃度が変化する。本発明ではノズル位置の調整を行わないため、ある状態では隣接ノズル間の距離δがどのような値であるのかがわからない。そこで上記した参考例ではその時点で最適な補正係数を求めていた。
【0060】
しかしながら、予め測定によって求めた複数のδのそれぞれについて、ドロップ数毎に適切な補正係数を図18に示すような形態でルックアップテーブル(LUT)に設定しておけば、経時変化や、装置の変動によってδが変化した場合でも、その時点でのδを測定するだけで測定したδに最も近い補正係数をLUTから直ちに引き出すことができる。このような方法によれば、図16で説明した一連の処理が不要になり、最適な補正係数の検出の時間を大幅に短縮することができる。
【0061】
また、使用される記録紙やインクの種類によっても補正係数を変更する必要がある。これらの条件についても考慮する場合は、図18のLUTの項目に、記録紙の種類やインクの種類をさらに加え、対応する補正係数を記憶しておくことにより、実際に装置を使用するときに種々の条件に応じて補正係数を選択して使うことができる。
【0062】
(第3実施形態)
図19は、上記した第1、第2参考例における画像記録装置の構成についての第3実施形態を説明するための図である。本発明は、上記した第1、第2参考例で用いられたような、複数の記録ヘッドを一部重複させてつなぎ合わせたラインヘッドに限定されるものではなく、1つの記録ヘッドを使用して主走査と副走査を繰り返すことにより画像記録するタイプのいわゆる、シリアルスキャン型の記録装置にも適用することができる。すなわち、図19に示すように、まず、記録ヘッド20の主走査においてヘッド幅に相当する1回目の印字を行ない、記録ヘッド20の副走査において1回目の印字と一部重複させた2回目の印字を同一の記録幅で行うことにより、一部に重複領域をもたせつつ記録幅を拡大させた印字が可能である。したがって、上記した第1、第2参考例で説明した種々の手法がシリアルスキャン型の記録装置にも適用できることがわかる。さらに、本発明を、1画素を複数回の走査で形成するマルチスキャン型の記録装置に適用できることは勿論である。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、多値記録が可能な複数の記録素子を有する記録ヘッドの正確な位置合わせを行わなくとも、また、経時変化によって記録ヘッドの記録素子の位置が変化した場合であっても、高画質な画像を得ることができるようになる。
【0064】
また、記録ヘッドの正確な位置合わせを行わない場合や、経時変化による記録素子の位置の変化に対応した、最適な補正データを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1参考例である高速プリンタのライン型記録ヘッド(以下、ラインヘッドと呼ぶ)1の構成を示す図である。
【図2】 図1のラインヘッド1の部分を拡大して示す図である。
【図3】 記録ヘッド11の隣接ノズルと記録ヘッド12の隣接ノズルの位置がδだけずれている状態を示す図である。
【図4】 本発明の第1参考例に係る画像記録装置の構成を示す図である。
【図5】 重複領域の画素が全て記録ヘッド11と記録ヘッド12の隣接ノズルによって共同印字される例を示す図である。
【図6】 重複領域の1行の中で、1画素だけが記録ヘッド11と記録ヘッド12の隣接ノズルによって共同印字される例を示す図である。
【図7】 入力画素とノズルとの関係を説明するための図である。
【図8】 注目画素の画素値の算出方法の一例を説明するための図である。
【図9】 共同印字画素への入力画像信号の補正を実現する一構成例を示す図である。
【図10】 図9に示す構成の変形例を示す図である。
【図11】 図10に示す構成の変形例を示す図である。
【図12】 本発明の第2参考例の概略を説明するための図である。
【図13】 テストチャートを用いて最適な補正係数を決定するための構成を示す図である。
【図14】 図13で説明した補正方法を具体例を使用して説明するための図である。
【図15】 CCDセンサー110によって読み取って得られた読み取り信号を積算したグラフである。
【図16】 2分法により最適な補正係数を検出する手順を説明するためのフローチャートである。
【図17】 第1,第2参考例における画像記録装置の補正のタイミングについての第1実施形態を説明するための図である。
【図18】 第1、第2参考例における画像記録装置の補正係数の選択方法についての第2実施形態を説明するための図である。
【図19】 第1,第2参考例における画像記録装置の構成についての第3実施形態を説明するための図である。
【符号の説明】
1 ライン型記録ヘッド(ラインヘッド)
2 記録紙
11 記録ヘッド
11−1〜11−8 ノズル
12 記録ヘッド
12−1〜12−8 ノズル
100 共同印字制御手段
101 画像信号補正手段
102 補正係数記憶手段
103 画像信号分配手段
Claims (2)
- 直線状に配列された記録素子の列を有する多値記録が可能な記録ヘッドを複数有し、当該複数の記録ヘッドを前記記録素子の配列方向に沿って互いの記録素子列が重複する重複部分を設けて配列してなるライン型記録ヘッドと、
前記重複部分における所定画素に対応する入力画像信号を複数の入力画像信号に分割し、前記複数の記録ヘッドの重複部分における所定画素の記録を行う前記複数の記録ヘッドの隣接する記録素子それぞれに分配する画像信号分配手段と、
前記隣接する複数の記録素子によって記録される前記所定画素に対応する画像の濃度が所定の濃度となるように、前記隣接する複数の記録素子に入力する前の入力画像信号を前記隣接する複数の記録素子間の距離に応じて補正する画像信号補正手段と、
を具備する画像記録装置において、
前記画像信号補正手段は、前記画像信号分配手段による分割前の入力画像信号を補正することを特徴とする画像記録装置。 - 前記画像信号補正手段は、
予め互いに異なる複数の補正係数が記憶されている補正係数記憶部と、
前記隣接する複数の記録素子間の距離に応じた補正係数を、前記補正係数記憶部から補正係数を選択する選択部と、
前記選択部によって選択された補正係数に基づいて、前記入力画像信号を補正することを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
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