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JP4232377B2 - ポリ乳酸含有樹脂組成物、それからなる成形品、および、フィルムまたはシート - Google Patents
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JP4232377B2 - ポリ乳酸含有樹脂組成物、それからなる成形品、および、フィルムまたはシート - Google Patents

ポリ乳酸含有樹脂組成物、それからなる成形品、および、フィルムまたはシート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、柔軟性に優れ、かつ透明性を有し、さらにブリードアウトが少ないポリ乳酸含有樹脂組成物およびそれらからなる成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、地球環境保全の見地から、土中、水中に存在する微生物の作用により自然環境下で分解される生分解性ポリマーが注目され、様々な生分解性ポリマーが開発されている。これらのうち溶融成形が可能な生分解性ポリマーとして、例えばポリヒドロキシブチレートやポリカプロラクトン、コハク酸やアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分とエチレングリコールやブタンジオールなどのグリコール成分とからなるポリエチレンサクシネートやポリブチレンアジペート、ポリ乳酸などが知られている。
【0003】
ポリ乳酸は、比較的コストが安く、融点もおよそ170℃と耐熱性を有し、溶融成形可能な生分解性ポリマ−として期待されている。また、最近ではモノマーである乳酸が微生物を利用した発酵法により安価に製造されるようになり、より一層低コストでポリ乳酸を生産できるようになってきたため、生分解性ポリマーとしてだけでなく、汎用ポリマーとしての利用も検討されるようになってきた。
【0004】
しかしながら、ポリ乳酸は、高剛性でもろいという性質を有しており、柔軟性が必要とされる用途での使用が難しいという問題点があった。
【0005】
この問題点を解決する方法としては、可塑剤を添加する方法が検討されているが、この方法をポリ乳酸に適用した場合、可塑剤が表面に析出する、いわゆるブリードアウト現象が発生したり、ポリ乳酸の透明性が損なわれるなどの問題があった。
【0006】
また、別の方法としては、ガラス転移温度が低いポリマーを混合する方法が検討されているが、この方法をポリ乳酸に適用した場合、柔軟性が不十分であったり、ポリ乳酸の透明性が損なわれたり、ブリードアウト現象が発生するなどの問題があった。
【0007】
一方、Polymer,39(26),6891(1998)には、ガラス転移温度が、ポリ乳酸よりも低い、分子量が約4万のポリアクリル酸メチルと混合することで、その混合物のガラス転移温度が低下することが記載されている。しかし、この方法では、ポリ乳酸の透明性は損なわれることはないものの、使用されているポリアクリル酸メチルのガラス転移温度は、それほど低くないため、柔軟性を付与する効果は不十分である。
【0008】
以上のように、ポリ乳酸を柔軟化し、かつポリ乳酸の透明性を損なうことなく、さらにはブリードアウト現象も抑制できる方法は、これまでに見つかっていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果、達成されたものであり、その目的とするところは、柔軟性に優れ、かつ透明性を有し、さらにブリードアウトが少ないポリ乳酸含有樹脂組成物およびそれらからなる成形品を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、
(1)(A)ポリ乳酸と(B)不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体(架橋重合体を除く)を含有してなり、前記(B)の重量平均分子量が3万以下であり、前記(B)が、さらにグリシジル基含有ビニル系単位および不飽和ジカルボン酸無水物系単位から選択される少なくとも一種を含有することを特徴とするポリ乳酸含有樹脂組成物、
(2)前記(B)の重量平均分子量が5000以下、300以上であることを特徴とする上記(1)に記載のポリ乳酸含有樹脂組成物、
(3)前記(B)のガラス転移温度が、10℃以下であることを特徴とする上記(1)〜(2)のいずれかに記載のポリ乳酸含有樹脂組成物、
(4)前記(B)の不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位が、アクリル酸エステル単位であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリ乳酸含有樹脂組成物、
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリ乳酸含有樹脂組成物からなることを特徴とする成形品、および
(6)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリ乳酸含有樹脂組成物からなることを特徴とするフィルムまたはシートである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の(A)ポリ乳酸としては、L−乳酸および/またはD−乳酸を主成分として重合してなるポリマーであるが、本発明の目的を損なわない範囲、好ましくは20モル%以下で、特に好ましくは10モル%以下で、乳酸以外の他の共重合成分を共重合してもよい。
【0012】
かかる他の共重合成分としては、例えば、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられ、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの多価アルコール類、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸類、グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類などを使用することができる。
【0013】
(A)ポリ乳酸で高い耐熱性を得るためには、乳酸成分の光学純度が高い方が好ましく、総乳酸成分の内、L体あるいはD体が80モル%以上含まれることが好ましく、さらには90モル%以上含まれることが好ましく、95モル%以上含まれることが特に好ましい。
【0014】
(A)ポリ乳酸の製造方法としては、乳酸からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法などの公知の重合方法を用いることができる。
【0015】
(A)ポリ乳酸の分子量や分子量分布は、実質的に成形加工が可能であれば、特に限定されるものではないが、重量平均分子量としては、好ましくは1万以上、より好ましくは4万以上、特に好ましくは8万以上であるのがよい。ここでいう重量平均分子量とは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリメタクリル酸メチル換算の重量平均分子量である。
【0016】
(A)ポリ乳酸の融点は、特に限定されるものではないが、120℃以上であることが好ましく、さらに150℃以上であることが好ましい。なお融点は、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。
【0017】
本発明で用いる(B)重合体は、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体である。かかる(B)重合体における不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とするものであれば、単独重合体であっても共重合体であってもよく、共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体またはグラフト共重合体などが挙げられる。ここで主成分とは、全単量体に対し、50モル%以上を占める成分であり、好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上を占める成分である。また、(B)不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体は、単独ないし2種以上を用いることができる。
【0018】
上記(B)重合体において、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を形成する原料モノマーとしては、特に限定されるものではないが、アルキルエステルにおけるアルキル部分が、炭素数1〜6のアルキル基または置換アルキル基を有するアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルが好ましく、さらに柔軟性を向上させる効果が大きいという観点において、アクリル酸エステルがより好ましい。
【0019】
不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を形成する原料モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸−2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルまたは(メタ)アクリル酸−2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどが挙げられ、これらの中で、柔軟性を向上させる効果が大きいという観点において、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルへキシルが好ましく、さらにアクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルがより好ましく、特にアクリル酸エチルが最も好ましい。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
【0020】
また、(B)不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体においては、グリシジル基含有ビニル系単位および不飽和ジカルボン酸無水物系単位から選択される少なくとも一種を含有することが必要である。これらの単位は単独ないし2種以上を用いることができ、これらを含有することで、柔軟性を向上させる効果が得られる。また、(B)不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体においては、必要に応じて、その他の単位をさらに含有せしめた重合体を用いることが可能であり、たとえば、脂肪族ビニル系単位、芳香族ビニル系単位、シアン化ビニル系単位、マレイミド系単位、不飽和ジカルボン酸系単位またはその他のビニル系単位などを含有するものでもよく、これらの単位は単独ないし2種以上を用いることができる。
【0021】
グリシジル基含有ビニル系単位を形成する原料モノマーとしては、特に限定されるものではなく、(メタ)アクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、イタコン酸ジグリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−4−グリシジルエーテルまたは4−グリシジルスチレンなどが挙げられ、中でも、(メタ)アクリル酸グリシジルが好ましく使用される。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
【0022】
不飽和ジカルボン酸無水物系単位を形成する原料モノマーとしては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸または無水アコニット酸などが挙げられ、中でも、無水マレイン酸が好ましく使用される。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
【0023】
また、脂肪族ビニル系単位を形成する原料モノマーとしては、エチレン、プロピレンまたはブタジエンなど、芳香族ビニル系単位としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレンまたはハロゲン化スチレンなど、シアン化ビニル系単位を形成する原料モノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルまたはエタクリロニトリルなど、マレイミド系単位を形成する原料モノマーとしては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−ブロモフェニル)マレイミドまたはN−(クロロフェニル)マレイミドなど、不飽和ジカルボン酸系単位を形成する原料モノマーとして、マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステル、イタコン酸、フタル酸など、その他のビニル系単位を形成する原料モノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンまたは2−スチリル−オキサゾリンなどが挙げられ、これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
【0024】
本発明の(B)不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体は、重量平均分子量が3万以下であることが必要である。重量平均分子量が3万を越えると、柔軟性、透明性およびブリードアウト現象の抑制を全て満足させることはできない。また、柔軟性、透明性およびブリードアウト現象の抑制の効果がより高いという点で、重量平均分子量は2万以下が好ましく、その中でも1万以下が好ましく、さらに5000以下がより好ましく、特に3000以下が最も好ましい。下限に特に制限はないが、200以上であることが好ましく、さらに300以上であることがより好ましい。200未満であるとブリードアウト現象が増加する傾向にある。
【0025】
一般的に、本発明で規定する重量平均分子量範囲の他のポリマーや可塑剤をポリ乳酸と配合した場合には、著しいブリードアウト現象を伴うのが普通であるが、驚くべきことに、本発明の(B)不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体を用いた場合にはブリードアウト現象は顕著に抑制される。
【0026】
本発明における(B)不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体の、重量平均分子量の数平均分子量分子量に対する比(重量平均分子量/数平均分子量)の分子量分布は、特に限定されるものではないが、3以下であることが好ましく、中でも2以下であることが好ましく、さらに1.8以下であることが好ましく、特に1.6以下であることが最も好ましい。
【0027】
なお、上記に記載した重量平均分子量、数平均分子量は、溶媒としてクロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0028】
本発明における(B)不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体のガラス転移温度は、特に限定されるものではないが、ポリ乳酸含有樹脂組成物の柔軟性を付与するという観点から、10℃以下のものが好ましく、中でも5℃以下のものが好ましく、さらに0℃以下のものがより好ましく、特にー10℃以下のものが最も好ましい。ガラス転移温度の測定方法は、特に限定されるものではなく、示差走査型熱量計(DSC)で測定する方法、動的粘弾性試験により測定する方法のいずれも用いることができる。
【0029】
本発明における(B)不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体においては、未反応の原料モノマーや溶媒などが残存するために通常、揮発成分を含む。その残部となる不揮発成分量は特に限定されるものではないが、ガスの発生を抑制するという観点から、不揮発成分量が多い方が好ましい。具体的には、95重量%以上であることが好ましく、中でも97重量%以上であることが好ましく、さらに98重量%以上であることがより好ましく、特に98.5重量%以上であることが最も好ましい。なお、ここでいう不揮発成分とは、試料10gを窒素雰囲気下、110℃で1時間加熱した場合の残量割合を表す。
【0030】
本発明における(B)不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体においては、低分子量体を得るために連鎖移動剤(分子量調整剤)として硫黄化合物を使用することがあるが、その場合重合体は通常硫黄を含む。本発明で用いる(B)不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体の硫黄含有量は特に限定されるものではないが、不快な臭いを抑制するという観点から、硫黄含有量が少ない方が好ましい。具体的には、硫黄原子として1000ppm以下が好ましく、中でも100ppm以下が好ましく、さらに10ppm以下が好ましく、特に1ppm以下であることが最も好ましい。
【0031】
本発明における(B)不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体の製造方法としては、特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの公知の重合方法を用いることができる。これらの方法を用いる場合には、重合開始剤、連鎖移動剤および溶媒などを使用することがあるが、これらは最終的に得られる(B)不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体の中に不純物として残存することがある。これら不純物量は特に限定されるものではないが、耐熱性や耐候性などの低下を抑制するという観点から、不純物量は少ない方が好ましい。具体的には、不純物量が最終的に得られる(B)重合体に対して10重量%以下が好ましく、中でも5重量%以下が好ましく、さらに3重量%以下が好ましく、特に1重量%以下であることが最も好ましい。
【0032】
以上のような、分子量、分子量分布、ガラス転移温度、不揮発成分量、硫黄含有量、不純物量などを満足させる(B)不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体の製造方法としては、150℃以上の高温で、かつ加圧条件(好ましくは1MPa以上)で、短時間(好ましくは5分〜30分)で連続塊状重合する方法が、重合率が高い点、不純物や硫黄含有の原因となる重合開始剤や連鎖移動剤および溶媒を使用しない点からより好ましい。
【0033】
本発明における(A)ポリ乳酸と(B)不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体との重量比は、特に限定されるものではないが、(A)ポリ乳酸100重量部に対して、(B)不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体100重量部以下、さらに50重量部以下がより好ましく、特に30重量部以下が最も好ましい。下限については特に制限はないが、1重量部以上、さらに5重量部以上、特に10重量部以上であることが好ましい。
【0034】
本発明のポリ乳酸含有樹脂組成物は、(A)ポリ乳酸と(B)不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体からなるが、好ましい態様においては、相溶性配合物となる。ここでいう「相溶性」とは、分子レベルで非晶相内に均一相を形成する重合体の混合物を説明するために用いられる。配合物の一方または両方が結晶相及び非晶相の両方を形成する場合、相溶性とは、非晶相が分子レベルで混合していることを意味する。
【0035】
配合物中の相溶性の判断は、いくつかの方法で行うことができる。
【0036】
相溶性について判断する最も一般的な方法は、ガラス転移温度で判断する方法である。相溶性配合物中では、ガラス転移温度が各々単独のものより変化し、多くの場合、単一のガラス転移温度を示す。本発明においても、この方法を用いることができ、本発明のポリ乳酸含有樹脂組成物では、ポリ乳酸単独のガラス転移温度よりも低い温度を示すことが好ましい。
【0037】
本発明のポリ乳酸含有樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、通常の添加剤、例えば、充填剤(タルク、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、合成マイカ、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、天然繊維、有機繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、セラミックスファイバー、セラミックビーズ、アスベスト、ワラステナイト、ノバキュライト、ドーソナイトまたは白土など)、紫外線吸収剤(レゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、熱安定剤(ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、滑剤、離形剤(モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料(ニグロシンなど)および顔料(硫化カドミウム、フタロシアニンなど)を含む着色剤、着色防止剤(亜リン酸塩、次亜リン酸塩など)、難燃剤(赤燐、燐酸エステル、ブロム化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、水酸化マグネシウム、メラミンおよびシアヌール酸またはその塩など)、導電剤あるいは着色剤(カーボンブラックなど)、摺動性改良剤(グラファイト、フッ素樹脂など)、結晶核剤(タルク、有機カルボン酸金属塩など)、帯電防止剤などの1種または2種以上を添加することができる。
【0038】
また、本発明のポリ乳酸含有樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルイミドなど)または熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)または軟質熱可塑性樹脂(例えば、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、エチレン/プロピレンターポリマー、エチレン/ブテン−1共重合体など)などの少なくとも1種以上をさらに含有することができる
本発明の組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば(A)ポリ乳酸、(B)不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体および必要に応じてその他の添加剤を予めブレンドした後、融点以上において、一軸または二軸押出機で、均一に溶融混練する方法や溶液中で混合した後に溶媒を除く方法などが好ましく用いられる。
【0039】
本発明のポリ乳酸含有樹脂組成物は、射出成形や押出成形などの方法によって、各種成形品に加工し利用することができる。成形品としては、フィルム、シート、繊維、射出成形品、押出成形品またはブロー成形品などとして利用できる。
【0040】
フィルムまたはシートとしては、未延伸、一軸延伸、二軸延伸などの各種フィルムまたはシートとすることができる。延伸方法としては、インフレーション同時二軸延伸法、ステンター同時二軸延伸法またはステンター逐次二軸延伸法などの方法を利用することができ、中でも、製膜安定性および厚み均一性の観点において、ステンター逐次二軸延伸法が好ましい。
【0041】
また、繊維としては、未延伸糸、延伸糸、超延伸糸など各種繊維として利用することができる。
【0042】
本発明のポリ乳酸含有樹脂組成物からなる成形品は、農業用資材、園芸用資材、漁業用資材、土木・建築用資材、文具、医療用品、自動車用部品、電気・電子部品、日用品など各種用途に利用することができる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例により本発明の構成、効果をさらに詳細に説明する。ここで、実施例中の部数は、重量部を示す。
【0044】
(1)分子量測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量の値である。GPC測定は、検出器にWATERS社示差屈折計WATERS410を用い、ポンプにMODEL510高速液体クロマトグラフィーを用い、カラムにShodex GPC K−806MとShodex GPC K−Gを直列に接続したものを用いて行った。測定条件は、流速0.5mL/minとし、溶媒にクロロホルムを用い、試料濃度1mg/mLの溶液を0.1mL注入した。
【0045】
(2)ガラス転移温度(Tg)
配合前の各原料については、示差走査型熱量計(セイコー電子製RDC220)により、測定した。測定条件は、試料10mg、窒素雰囲気下中、昇温速度20℃/分である。
【0046】
配合後に得られたポリ乳酸含有樹脂組成物については、動的粘弾性測定装置(東洋ボールドウィン製レオバイブロンDDV−II−EA)によりtanδを測定し、そのピーク値をガラス転移温度とした。測定条件は、チャック間30mmの引張りモード用セルに試験片を装着した後、昇温速度2℃/分、周波数3.5Hzに設定した。試験片の成形は、プレス成形機を用い、200℃で5分間加圧後、30℃のプレス成形機を用いて2分間冷却し、厚み約0.05mmのプレスフィルムを作製し、これを40mm×2mmの短冊状に切り出し試験片とした。
【0047】
(3)柔軟性
引張弾性率により三段階で判定した。すなわち、引張弾性率が500MPa未満の場合(柔軟性に特に優れる)は◎、引張弾性率が500MPa以上、1700MPa未満の場合(柔軟性に優れる)は○、引張弾性率が1700MPa以上の場合(柔軟性に劣る)は×とした。なお、引張弾性率は、引張試験機(テンシロン製引張試験機UTA2.5T)を用いて、試料長20mm、引張速度5mm/分の条件で測定した。試験片は、プレス成形機を用い、200℃で5分間加圧後、30℃のプレス成形機を用いて2分間冷却し、厚み1mmのプレスシートとしたものを切り出し試験片とした。
【0048】
(4)透明性
目視により、三段階で判定した。すなわち、上記(2)で作製したプレスフィルムについて、その透明性が高い場合(特に優れる)は◎、やや濁りがある場合(優れる)は○、白濁し不透明な場合(不良)は×とした。
【0049】
(5)ブリードアウト
上記(2)で作製したプレスフィルムを30mm×20mmの長方形状に切り出した試験片を140℃で1時間処理した後、その表面についての目視および手で触れた感触に加え、熱処理前後での重量減少割合により、三段階で判定した。すなわち、表面に析出物がなく重量減少割合が1重量%未満の場合(特に優れる)は◎、表面に析出物が若干あり、重量減少割合が1重量%以上、5重量%未満である場合(優れる)は○、表面に析出物があり、重量減少割合が5重量%以上である場合(不良)は×とした。
【0050】
(6)不揮発成分
試料10gを窒素雰囲気下、110℃で1時間加熱した後の残量から、残量割合を算出し、不揮発成分とした。
【0051】
[参考例1](A)ポリ乳酸
(A−1)
市販のL-ラクチド 50部を撹拌装置のついた反応容器中で、窒素雰囲気下、120℃で均一に溶解させた後、温度を140℃にし、オクチル酸錫 0.05部を加えた後、1時間重合反応させた。重合反応終了後、反応物をクロロホルムに溶解させ、メタノール(クロロホルムの10倍量)中で撹拌しながら沈殿させ、モノマーを完全に除去して、ポリ−L−乳酸(A−1)を得た。得られた(A−1)のTgは、59℃であり、融点は、171℃であり、D体の含有量は、1.2モル%であり、重量平均分子量は、16万であった。
【0052】
[参考例2](B)不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体
【0055】
(B−
撹拌装置、環流装置および滴下装置のついた反応容器を使用し、モノマーとしてアクリル酸エチル94部およびメタクリル酸グリシジル6部、溶媒としてベンゼン、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルおよび連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタンを用いて80℃、1時間溶液重合を行い、重合反応終了後、0.13kPaの減圧下にて、溶媒および残存モノマーを除去し、アクリル系重合体(B−)を得た。得られた(B−)のTgは、−35℃であり、重量平均分子量は3000であった。また、不揮発成分は97重量%以上であった。
【0056】
(B−
撹拌装置および滴下装置のついた反応容器を使用し、モノマーとしてアクリル酸エチル94部およびメタクリル酸グリシジル6部の混合モノマーおよび重合開始剤として過酸化ジ−t−ブチルの混合物を連続的に供給しながら、250℃および2.5MPaの条件で、滞留時間15分として重合を行った。重合物を連続的に反応容器から取り出した後、0.13kPaの減圧下にて、残存モノマーを除去し、アクリル系重合体(B−)を得た。得られた(B−)のTgは、−39℃であり、重量平均分子量は2200であった。また、不揮発成分は99重量%以上であった。なお、硫黄化合物(連鎖移動剤)を用いていないことから、硫黄臭は全くなかった。
【0059】
[参考例3](C)可塑剤およびアクリル系重合体
(C−1)
大八化学工業社製可塑剤トリアセチン(分子量218)を使用した。Tgは、観測できなかった。
【0060】
(C−2)
和光純薬工業社製ポリエチレングリコール2000(重量平均分子量2000)を使用した。Tgは、−64℃であった。
【0061】
(C−3)
旭電化社製アジピン酸系可塑剤PN−400(重量平均分子量2000)を使用した。Tgは、−6℃であった。
【0062】
(C−4)
アルドリッチ社製ポリアクリル酸メチル(重量平均分子量3.7万)を使用した。Tgは、11℃であった。
【0063】
(C−5)
アルドリッチ社製ポリアクリル酸エチル(重量平均分子量9.5万)を使用した。Tgは、−15℃であった
(C−6)
アルドリッチ社製ポリアクリル酸ブチル(重量平均分子量9.9万)を使用した。Tgは、−48℃であった。
【0064】
(C−7)
アルドリッチ社製ポリアクリル酸−2−エチルへキシル(重量平均分子量9.2万)を使用した。Tgは、−55℃であった。
【0065】
(C−8)
撹拌装置、環流装置および滴下装置のついた反応容器を使用し、モノマーとしてアクリル酸メチル70部およびアクリル酸−n−ブチル30部、溶媒としてベンゼン、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルおよび連鎖移動剤として、n−ラウリルメルカプタンを用いて80℃、1.5時間溶液重合を行い、重合反応終了後、0.13kPaの減圧下にて、溶媒および残存モノマーを除去し、アクリル系重合体(C−8)を得た。得られた(C−8)のTgは、−10℃であり、重量平均分子量は38000であった。また、不揮発成分は97%以上であった。
【0066】
[実施例1〜、比較例1〜9]
表1に示す配合組成に従い、二軸押出機を用いて、温度210℃で溶融押出し、ペレット状のポリ乳酸含有樹脂組成物を得た。得たペレットをプレス成形機にて、フィルムまたはシートとし、試験片を切り出し評価を行った。
【0067】
各試験片の評価結果を表1に示した。
【0068】
【表1】
Figure 0004232377
【0069】
表1の実施例、比較例より以下のことが明らかである。
実施例1〜と比較例1〜9との比較から、重量平均分子量が3万以下である不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体を混合することにより、単一のガラス転移温度を示す相溶性配合物が得られ、その相溶性配合物が柔軟性、透明性に優れ、ブリードアウトが少ない材料となったことが分かる。さらに、実施例1〜においては、柔軟性、透明性に顕著に優れ、加熱による重量減少割合が極めて少なくブリードアウトが特に少ない材料が得られている。なお、低分子量の可塑剤を混合した比較例2〜4では、相溶性配合物が得られるものの、ブリードアウト現象が著しく、重量平均分子量が3.7万のポリアクリル酸メチルを混合した比較例5では、相溶性配合物が得られるものの、柔軟性が不十分である。また、重量平均分子量が3万を越える不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体を混合した比較例6〜9では、2点のガラス転移温度が観測されていることから相溶性配合物が得られず、また、柔軟性、透明性が劣り、ブリードアウト現象も著しいものしか得られなかったことがわかる。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、柔軟性に優れ、かつ透明性を有し、さらにブリードアウトが少ないポリ乳酸含有樹脂組成物を提供することができる。また、本発明のポリ乳酸含有樹脂組成物は、各種成形品として、特にフィルムなどに用いることができる。

Claims (6)

  1. (A)ポリ乳酸と(B)不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体(架橋重合体を除く)を含有してなり、前記(B)の重量平均分子量が3万以下であり、前記(B)が、さらにグリシジル基含有ビニル系単位および不飽和ジカルボン酸無水物系単位から選択される少なくとも一種を含有することを特徴とするポリ乳酸含有樹脂組成物。
  2. 前記(B)の重量平均分子量が5000以下、300以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸含有樹脂組成物。
  3. 前記(B)のガラス転移温度が、10℃以下であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のポリ乳酸含有樹脂組成物。
  4. 前記(B)の不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位が、アクリル酸エステル単位であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のポリ乳酸含有樹脂組成物。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のポリ乳酸含有樹脂組成物からなることを特徴とする成形品。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のポリ乳酸含有樹脂組成物からなることを特徴とするフィルムまたはシート。
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