JP4591991B2 - ポリ乳酸含有樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性に優れ、かつ透明性を有するポリ乳酸含有樹脂組成物およびそれらからなる成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年では、地球環境保全の見地から、土中や水中に存在する微生物の作用により自然環境下で分解される生分解性ポリマーが注目されており、様々な生分解性ポリマーが開発されている。これらのうち溶融成形が可能な生分解性ポリマーとして、例えばポリヒドロキシブチレートやポリカプロラクトン、コハク酸やアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールやブタンジオールなどのグリコール成分とからなる脂肪族ポリエステルおよびポリ乳酸などがよく知られている。
【0003】
なかでもポリ乳酸は、比較的コストが安く、融点もおよそ170℃と耐熱性を有していることから、溶融成形可能な生分解性ポリマ−として期待されている。また、最近ではモノマーである乳酸が微生物を利用した発酵法により安価に製造されるようになり、より一層低コストでポリ乳酸を生産できるようになってきたため、生分解性ポリマーとしてだけでなく、汎用ポリマーとしての利用も検討されるようになってきた。
【0004】
しかしながら、ポリ乳酸はガラス転移温度が60℃付近にあり、この温度以上での熱変形や剛性低下が大きいため、汎用ポリマーに比べて耐熱性が劣るという問題点があった。
【0005】
この耐熱性の問題点を解決する方法としては、ポリ乳酸よりもガラス転移温度が高い樹脂を配合することが従来から行われているが、通常は両者の樹脂が非相溶であるため、その改良効果は十分ではなく、また透明な成形品が得られないという問題があった。
【0006】
一方、ポリ乳酸と相溶性を有する樹脂を混合する方法としては、例えば、Polymer,39(26),6891(1998)および Macromol.Chem.Phys,201,1295(2000)などに、ガラス転移温度が約100℃であるポリメタクリル酸メチルと混合することにより、その樹脂組成物のガラス転移温度が向上することが記載されているが、この場合には耐熱性までを十分に改善するには至っていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果、達成されたものであり、その目的とするところは、耐熱性に優れ、かつ透明性を有するポリ乳酸含有樹脂組成物およびそれらからなる成形品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明のポリ乳酸含有樹脂組成物は、(A)ポリ乳酸および(B)メタクリル酸アルキルエステル成分単位20〜95重量%および下記一般式(1)で表されるラクトン環単位5〜80重量%を含有する共重合体を含有することを特徴とする。
【0009】
【化2】
(ただし、式中のRは水素原子、メチル基およびエチル基から選ばれた基である。)
なお、本発明のポリ乳酸含有樹脂組成物においては、
前記(B)共重合体のガラス転移温度が120℃以上であること、および
樹脂組成物中の前記(A)ポリ乳酸と前記(B)共重合体とが相溶化していることが、
いずれも好ましい条件であり、これらの条件を適用することにより、一層優れた効果の取得を期待することができる。
また、本発明の成形品は、上記に記載のいずれかのポリ乳酸含有樹脂組成物からなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の成形品は、上記に記載のいずれかのポリ乳酸含有樹脂組成物からなることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる(A)ポリ乳酸とは、L−乳酸および/またはD−乳酸を主たる構成成分とするポリマーであるが、本発明の目的を損なわない範囲であれば、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。
【0012】
かかる他の共重合成分単位としては、例えば、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられ、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの多価アルコール類、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸類、およびグリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類などを使用することができる。
【0013】
本発明においては、高い耐熱性を得るために、乳酸成分の光学純度が高いポリ乳酸を使用することが望ましく、総乳酸成分の内、L体あるいはD体が80モル%以上含まれることが好ましく、90モル%以上含まれることがさらに好ましく、95モル%以上含まれることが特に好ましい。
【0014】
ポリ乳酸の製造方法としては、公知の重合方法を用いることができ、乳酸からの直接重合法およびラクチドを介する開環重合法などを採用することができる。
【0015】
ポリ乳酸の分子量や分子量分布については、実質的に成形加工が可能であれば、特に限定されるものではないが、重量平均分子量としては、好ましくは1万以上、より好ましくは4万以上、特に好ましくは8万以上であるのがよい。ここでいう重量平均分子量とは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリメタクリル酸メチル(PMMA)換算の重量平均分子量である。
【0016】
ポリ乳酸の融点については、特に限定されるものではないが、120℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがさらに好ましい。
【0017】
本発明で用いられる(B)下記一般式(1)で表されるラクトン環単位を含有する共重合体としては、特に限定されるものではないが、前記ラクトン環単位を5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、最も好ましくは15重量%以上含有するものを使用することができる。また、ガラス転移温度が120℃以上、より好ましくは130℃以上、最も好ましくは150℃以上であるものを使用することができる。
【0018】
【化3】
(ただし、式中のRは水素原子、メチル基およびエチル基から選ばれた基である。)
本発明で用いられる(B)共重合体において、上記式(1)で表されるラクトン環単位以外の成分としては、特に限定されるものではないが、メタクリル酸アルキルエステル成分単位およびカルボン酸ビニルエステル成分単位から選ばれた少なくとも1種以上を含有することが好ましく、さらに、メタクリル酸アルキルエステル成分単位およびカルボン酸ビニルエステル成分単位を両方とも含有することがより好ましい。
【0019】
本発明の(B)共重合体を製造する方法については、特に限定されるものではないが、メタクリル酸アルキルエステル成分単位およびカルボン酸ビニルエステル成分単位、必要に応じてその他のビニル系単量体を共重合することにより(C)原重合体とした後、かかる(C)原重合体を適当な触媒の存在下あるいは非存在下で加熱処理することにより、分子内で隣接するメタクリル酸アルキルエステル成分単位およびカルボン酸ビニルエステル成分単位から対応するカルボン酸飽和エステルを脱離(エステル交換)させ、分子内環化反応を行わせることによりラクトン環単位を含む共重合体を製造する方法を好ましく使用することができる。
【0020】
この(C)原重合体を製造する際に用いられるメタクリル酸アルキルエステル系単量体としては、特に限定されるものではないが、炭素数1〜6のアルキル基または置換アルキル基を持つメタクリル酸アルキルエステルが好適である。
【0021】
メタクリル酸アルキルエステル系単量体の具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸クロロメチル、メタクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよびメタクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどが挙げられ、特にガラス転移温度の高い(B)共重合体が得られるという点では、メタクリル酸メチルが最も好ましく用いられる。これらはその1種または2種以上を用いることができる。
【0022】
また、カルボン酸ビニルエステル系単量体の具体例としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバル酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、クロル酢酸ビニル、安息香酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、酢酸イソプロペニルおよび酢酸1−ブテニルなどが挙げられ、特にガラス転移温度の高い(B)共重合体が得られるという点では、酢酸ビニルが最も好ましく用いられる。これらはその1種または2種以上を用いることができる。
【0023】
また、本発明の目的を損なわない範囲であれば、その他のビニル系単量体を共重合することができる。その他のビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどの芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体、イタコン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン、無水マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステル、イタコン酸、無水イタコン酸、フタル酸、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよび2−スチリル−オキサゾリンなどが挙げられ、これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
【0024】
これらの中でも、アクリル酸またはメタクリル酸は、加熱処理による分子内環化反応時に、メタクリル酸アルキルエステル成分単位との反応によりグルタル酸無水物構造を形成し、特にガラス転移温度の高い(B)共重合体が得られるため、好ましく用いられる。
【0025】
これらの単量体を共重合する方法については、特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合および乳化重合などの公知の重合方法を用いることができる。
【0026】
本発明で用いる(B)共重合体は、(C)原重合体の分子鎖中で隣接するメタクリル酸アルキルエステル系単量体単位とカルボン酸ビニルエステル系単量体単位との間で環化(ラクトン化)することにより得ることができるため、(C)原重合体を製造する際にメタクリル酸アルキルエステル系単量体単位とカルボン酸ビニルエステル系単量体単位が交互に配列した構造をとることが好ましい。
【0027】
例えば、カルボン酸ビニルエステル系単量体として酢酸ビニルを使用し、メタクリル酸アルキルエステル系単量体とラジカル共重合することによって(C)原重合体を製造する場合には、これらのラジカル共重合性の観点から、低重合率で反応を停止することにより、交互性の高い(C)原重合体を製造することが可能となる。そして、この交互共重合性の高い(C)原重合体を加熱環化(ラクトン化)処理することにより、よりラクトン環単位含量が多く、かつガラス転移温度が高い(B)共重合体を得ることができるようになる。
【0028】
ここで、カルボン酸ビニルエステル系単量体として酢酸ビニルを使用し、メタクリル酸アルキルエステル系単量体とラジカル共重合することによって(C)原重合体を製造する場合の好ましい重合率としては、70%以下、より好ましくは50%以下である。重合率が70%を越える場合には、共重合性に劣る酢酸ビニル単位の連鎖が分子中に数多く含まれるようになり、加熱環化(ラクトン化)処理後も未反応のままの酢酸ビニル単位が残存し、ガラス転移温度が十分に高くならないため好ましくない。
【0029】
また、(C)原重合体の製造時に用いられる単量体混合物における各成分の好ましい配合割合は、メタクリル酸アルキルエステル系単量体が20〜95重量%、より好ましくは30〜80重量%、最も好ましくは40〜60重量%、カルボン酸ビニルエステル系単量体が5〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%、最も好ましくは40〜60重量%であり、共重合可能な他のビニル系単量体については0〜30重量%である。
【0030】
メタクリル酸アルキルエステル系単量体量の割合が20重量%未満またはカルボン酸ビニルエステル系単量体量の割合が5重量%未満の場合には、(C)原重合体の加熱処理によるラクトン環単位導入量が少なくなり、(B)共重合体のガラス転移温度が十分に高くならないため好ましくない。
【0031】
本発明における(C)原重合体の加熱による(B)共重合体の製造方法については、特に限定されるものではないが、分子内環化(ラクトン化)反応の際に副成するカルボン酸飽和エステルを、減圧などの操作により系外に除去することが好ましい。例えば、上記(C)原重合体を減圧装置の備わった加熱器内において加熱処理し環化反応を行う方法、および上記(C)原重合体をベントを有する昇温した押出機に通して加熱脱気することにより環化反応を行う方法などを好ましく用いることができる。
【0032】
この加熱処理を行う際の温度としては、180〜300℃が好ましく、特に200〜280℃で好ましく行うことができる。すなわち、加熱処理温度が180℃未満の場合は、分子内環化(ラクトン化)反応が十分に完結しないため、ガラス転移温度が十分に高くならないだけでなく、再加熱成形時に成形品が発泡する傾向となるため好ましくない。また、加熱処理温度が300℃を越える場合には、ポリマーが分解し始め、着色する傾向となるため好ましくない。
【0033】
また、(C)原重合体を加熱処理する際には、分子内環化反応(ラクトン化)を促進させる触媒として、(C)原重合体100重量部に対し、酸、アルカリおよび塩化合物から選ばれた1種以上を0.01〜1重量部添加することが好ましい。これら酸、アルカリおよび塩化合物については、特に限定されるものではなく、酸触媒としては、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸、亜リン酸、フェニルホスホン酸およびリン酸メチルなどを使用することができる。塩基性触媒としては、金属水酸化物、アミン類、イミン類、アルカリ金属誘導体アルコキシド類および水酸化アンモニウム塩などを使用することができる。さらに、塩系触媒としては、酢酸金属塩、ステアリン酸金属塩および炭酸金属塩などを使用することができ、特に水和物である塩が好ましく用いられる。
【0034】
本発明で用いる(B)共重合体における各共重合成分の割合としては、メタクリル酸アルキルエステル系単位が、好ましくは20〜95重量%、より好ましくは30〜90重量%、最も好ましくは40〜80重量%であり、カルボン酸ビニルエステル系単位が、好ましくは0〜5重量%、より好ましくは0〜3重量%、最も好ましくは0.5〜2.5重量%であり、ラクトン環単位が、好ましくは5〜80重量%、より好ましくは10〜80重量%、最も好ましくは15〜80重量%であることが望ましい。カルボン酸ビニルエステル系単位の割合が5重量%を越える場合には、(B)共重合体のガラス転移温度が十分に高くならないため好ましくない。また、共重合可能なその他のビニル系単量体の割合は、好ましくは0〜65重量%である。
【0035】
本発明で用いる(B)共重合体は、メルトフローレート(温度:(B)共重合体のガラス転移温度+100℃、荷重:98N)が、5g/10分以上であることが好ましく、溶融成形加工性が良いという点では、さらに10g/10分以上、特に15g/10分以上であることが好ましい。
【0036】
本発明で用いる(B)共重合体の極限粘度については、特に限定されるものではないが、溶融成形加工性が良いという点では、溶媒としてクロロホルムを用いて、30℃で測定した極限粘度が、0.2〜1.0dl/gであることが好ましく、さらには0.3〜0.7dl/gであることがより好ましい。
【0037】
本発明における(A)ポリ乳酸と(B)ラクトン環単位を含有する共重合体との組成比は、(A)成分/(B)成分(重量比)で99/1〜1/99の範囲、好ましくは95/5〜5/95の範囲である。
【0038】
本発明のポリ乳酸含有樹脂組成物は、(A)ポリ乳酸と(B)ラクトン環単位を含有する共重合体とを含有することを特徴とするが、特に相溶性配合物であることが好ましい。ここでいう「相溶性」とは、分子レベルで非晶相内に均一相を形成する重合体の混合物を説明するために用いられる。すなわち、配合物の一方または両方が結晶相および非晶相の両方を形成する場合の相溶性とは、非晶相が分子レベルで混合していることを意味する。
【0039】
配合物中の相溶性の判断は、いくつかの方法で行うことができる。
【0040】
相溶性について判断する最も一般的な方法は、ガラス転移温度で判断する方法である。つまり、相溶性配合物中では、ガラス転移温度が各々単独のものより変化し、多くの場合には単一のガラス転移温度を示すからである。(A)ポリ乳酸と(B)ラクトン環単位を含有する共重合体との配合物においても、この方法を用いることができ、本発明のポリ乳酸含有樹脂組成物では、ポリ乳酸単独のガラス転移温度よりも高い温度を示す。この場合のガラス転移温度の測定方法としては、示差走査型熱量計(DSC)で測定する方法および動的粘弾性試験により測定する方法のいずれも用いることができる。
【0041】
本発明のポリ乳酸含有樹脂組成物に対しては、本発明の目的を損なわない範囲で、充填剤(ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、天然繊維、有機繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、セラミックスファイバー、セラミックビーズ、アスベスト、ワラステナイト、タルク、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、合成マイカ、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイトおよび白土など)、安定剤(ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系およびシアノアクリレート系などの紫外線吸収剤および酸化防止剤)、滑剤または可塑剤(高級脂肪酸や酸エステル系および酸アミド系、さらに高級アルコールなど)、離型剤(モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステラアマイドおよびエチレンワックスなど)、着色防止剤(亜リン酸塩、次亜リン酸塩など)、難燃剤(ハロゲン系難燃剤、燐系やシリコーン系の非ハロゲン系難燃剤など)、染料および顔料を含む着色剤、結晶核剤(タルク、有機カルボン酸金属塩など)および帯電防止剤などの添加剤を含有させてもよい。これらの添加剤は単独ないし2種以上を併用して用いることができる。
【0042】
また、本発明のポリ乳酸含有樹脂組成物に対して、本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルイミドなど)および熱硬化性樹脂(例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)および軟質熱可塑性樹脂(例えばエチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、エチレン/プロピレンターポリマー、エチレン/ブテン−1共重合体など)などの少なくとも1種以上をさらに含有させることができる。
【0043】
本発明のポリ乳酸含有樹脂組成物の製造方法については、特に限定されるものではないが、例えば(A)ポリ乳酸、(B)ラクトン環単位を含有する共重合体および必要に応じてその他の添加剤を予めブレンドした後、融点以上において、一軸または二軸押出機で均一に溶融混練する方法や、溶液中で混合した後に溶媒を除く方法などが好ましく用いられる。
【0044】
本発明のポリ乳酸含有樹脂組成物は、射出成形や押出成形などの方法によって、各種成形品に加工し利用することができる。
【0045】
本発明のポリ乳酸含有樹脂組成物からなる成形品としては、射出成形品、押出成形品、ブロー成形品、フイルム、繊維およびシートなどが挙げられ、フイルムの場合には、未延伸、一軸延伸、二軸延伸などの各種フイルムとして、繊維の場合には、未延伸糸、延伸糸、超延伸糸などの各種繊維として利用することができる。
【0046】
また、これら本発明の成形品、フィルムおよび繊維は、電気・電子部品、建築部材、自動車部品および日用品など各種用途に利用することができる。
【0047】
【実施例】
以下、実施例により本発明の構成、効果をさらに詳細に説明する。ここで、実施例中の部数は、重量部を示す。
【0048】
なお、上記および下記実施例中の各種特性の評価は、次に説明する方法にしたがって行った。
[ガラス転移温度(Tg)]
動的粘弾性測定装置(東洋ボールドウィン製レオバイブロンDDV−II−EA)によりtanδを測定し、そのピーク値をガラス転移温度とした。測定条件は、チャック間30mmの引張りモード用セルに試験片を装着した後、昇温速度2℃/分、周波数3.5Hzに設定した。試験片の成形は、プレス成形機を用い、200℃で5分間加圧後、30℃のプレス成形機を用いて2分間冷却し、厚み約0.05mmのプレスフィルムを作製し、これを40mm×2mmの短冊状に切り出すことにより行い、これを試験片とした。
[貯蔵弾性率(E’)]
動的粘弾性測定装置(東洋ボールドウイン社製レオバイブロンDDV−II−EA)により貯蔵弾性率(E’)の値を求めた。測定条件および試験片の成形は、上記Tg測定の項の記載と同一である。
[透明性]
目視により三段階で判定した。すなわち、透明性が高い場合(良好)は○、やや濁りがある場合(やや不良)は△、白濁し不透明な場合(不良)は×とした。
【0049】
[参考例1](A)ポリ乳酸の製造
(A−1)
L−ラクチド:50部を撹拌装置のついた反応容器中で、窒素雰囲気下、120℃で均一に溶解させた後、温度を140℃にし、オクチル酸錫:0.05部を加えた後、1時間重合反応させた。重合反応終了後、反応物をクロロホルムに溶解させ、メタノール(クロロホルムの10倍量)中で撹拌しながら沈殿させ、モノマーを完全に除去して、ポリ−L−乳酸(A−1)を得た。得られた(A−1)のTgは59℃であった。
【0050】
[参考例2](B)ラクトン環単位を含有する共重合体の製造
(B−1)
窒素吹き込み管、冷却管、撹拌装置、滴下漏斗および水浴を備えた1リットルの四つ口フラスコに、窒素パージを行いながら、酢酸ビニル:20重量部、溶媒としてベンゼン:200重量部、および重合開始剤としてアゾイソブチロニトリル:0.5部を仕込んだ。次いで浴温を60℃にて撹拌しながら、メタクリル酸メチル:80重量部を滴下漏斗より連続的に2時間で添加した。続いて、この重合反応液を室温まで冷却した後、この重合反応液に対して過剰のn−ヘキサン中に投入して、重合物を沈殿させ、これを濾過して分別した。
【0051】
次いで、得られた重合物を80℃にて熱風乾燥させることにより、原共重合体(C−1)を白色粉末として得た。このとき重合率は67%であった。
【0052】
さらに、この(C−1)を、スクリュウ径30mm、L/Dが25のベント付き同方向回転2軸押出機(池貝鉄工製、PCM−30)のホッパー口より供給して、樹脂温度250℃、スクリュウ回転数100rpmの条件で溶融押出すことにより、ペレット状のラクトン環単位を含有する共重合体(B−1)を得た。
【0053】
得られた(B−1)のTgは126℃であった。
【0054】
得られた(B−1)について、1 H−NMRスペクトルを測定し、0.8〜1.1ppmのピークがメタクリル酸メチル単位およびラクトン環単位のα−メチル基の水素、1.6〜1.9ppmのピークはポリマー主鎖のメチレン基の水素、2.0〜2.1ppmのピークは酢酸ビニル単位のメチル基の水素、3.6ppmのピークはメタクリル酸メチル単位のカルボン酸エステル(−COOCH3 )の水素、4.8〜5.1ppmのピークは酢酸ビニル単位およびラクトン環単位のα−水素と帰属し、スペクトルの積分比から各共重合単位の組成を計算した結果、下記のとおりであった。
【0055】
メタクリル酸メチル単位:88.0重量%
ラクトン環単位:12.0重量%
酢酸ビニル単位:0.0重量%
(B−2)
酢酸ビニル:50重量部、メタクリル酸メチル:50重量部とした以外は(B−1)と同様にして共重合を行い、原共重合体(C−2)を白色粉末として得た。このとき重合率は38%であった。
【0056】
得られた(C−2)について、真空下220℃で5時間熱処理することにより、固形状のラクトン環単位を含有する共重合体(B−2)を得た。
【0057】
得られた(B−2)のTgは、150℃であった。
【0058】
また、得られた(B−2)について、1 H−NMRスペクトルを測定し、その積分比から各共重合単位の組成を計算した結果、下記のとおりであった。
【0059】
メタクリル酸メチル単位:55.8重量%
ラクトン環単位:42.0重量%
酢酸ビニル単位:2.2重量%
(B−3)
窒素吹き込み管、冷却管、撹拌装置、滴下漏斗および水浴を備えた1リットルの四つ口フラスコに、窒素パージを行いながら、酢酸ビニル:50重量部、溶媒としてのベンゼン:200重量部、および重合開始剤としてのアゾイソブチロニトリル:0.5部を仕込んだ。次いで、浴温を60℃にて撹拌しながら、メタクリル酸メチル:50重量部を滴下漏斗より連続的に2時間で添加し、さらに60℃で5時間撹拌を行った。続いて、この重合反応液を室温まで冷却した後、この重合反応液に対して過剰のn−ヘキサン中に投入して、重合物を沈殿させ、これを濾過して分別した。
【0060】
次いで、得られた重合物を80℃にて熱風乾燥させることにより、原共重合体(C−3)を白色粉末として得た。このとき重合率は87%であった。
【0061】
得られた(C−3)について、真空下220℃で5時間熱処理することにより、固形状のラクトン環単位を含有する共重合体(B−3)を得た。
【0062】
得られた(B−3)のTgは121℃であった。
【0063】
得られた(B−3)について、1 H−NMRスペクトルを測定し、その積分比から各共重合単位の組成を計算した結果、下記のとおりであった。
【0064】
メタクリル酸メチル単位:53.8重量%
ラクトン環単位:22.0重量%
酢酸ビニル単位:24.2重量%
[参考例3]ポリメタクリル酸メチルの準備
(D−1)
アルドリッチ社製(重量平均分子量12万)を使用した。Tgは、103℃であった。
【0065】
[実施例1〜4、比較例1〜2]
ポリ乳酸(A−1)、共重合体(B−1)、(B−2)、(B−3)およびポリメタクリル酸メチル(D−1)を、それぞれ表1に示す配合割合で、二軸押出機に供給し、温度210℃で溶融押出し、ペレット状のポリ乳酸含有樹脂組成物を得た。
【0066】
各ペレットから得た試験片について物性を測定した結果を表1に併せて示した。また、実施例4および比較例1の試験片について、貯蔵弾性率およびtanδを測定した結果を図1に示した。
【0067】
【表1】
表1および図1結果からは以下のことが明らかである。
【0068】
すなわち、実施例1〜4と比較例1との比較から、ポリ乳酸にラクトン環単位を含有する共重合体を混合することにより、単一のガラス転移温度を示す相溶性配合物が得られ、その相溶性配合物がポリ乳酸単独よりも耐熱性に優れ、透明性を有する材料となったことがわかる。
【0069】
また、図1の結果からは、実施例4が比較例1に比べて、より高温領域まで弾性率が保持されていることがわかる。また、tanδのピークが単一のまま高温側にシフトしていることから、実施例4においては相溶性配合物が得られ、その相溶性配合物のガラス転移温度が、比較例1(ポリ乳酸単独)よりも向上していることがわかる。
【0070】
さらに、実施例1〜3と比較例2との比較から、ポリ乳酸にラクトン環単位を含有する共重合体を混合することにより、ポリ乳酸にポリメタクリル酸メチルを混合した相溶性配合物よりも耐熱性に優れ、かつ透明性を有する材料となったことがわかる。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、耐熱性に優れ、かつ透明性を有するポリ乳酸含有樹脂組成物を得ることができ、このポリ乳酸含有樹脂組成物からなる成形品は、電気・電子部品、建築部材、自動車部品および日用品など各種用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例4および比較例1の試験片について、貯蔵弾性率およびtanδを測定した結果を示すチャートである。
Claims (4)
- 前記(B)共重合体のガラス転移温度が120℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸含有樹脂組成物。
- 樹脂組成物中の前記(A)ポリ乳酸と前記(B)共重合体とが相溶化していることを特徴とする請求項1または2に記載のポリ乳酸含有樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリ乳酸含有樹脂組成物からなることを特徴とする成形品。
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