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JP4233206B2 - 非水電解液電池 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解液電池に関するものであり、特に電池容量の一部を放電した後の内部抵抗の上昇を抑制できる非水電解液電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種電子機器用の電源として、小型、軽量で高エネルギー密度を有する電池の開発が望まれているが、そのようななか、金属リチウムやリチウム合金等を負極活物質とし、二酸化マンガンやフッ化黒鉛等を正極活物質とする非水電解液電池が用いられるようになった。
【0003】
この種の電池には、初期状態から放電した後、長期間保存すると、電池の内部抵抗が上昇するという欠点がある。特に電池容量の約70%以上を放電した状態で長期間保存したときに、特に内部抵抗の上昇が顕著となる。この原因としては、放電時に生成された正極活物質内のMnO2 (Li)の触媒作用によって、電解液中の溶媒成分(特に低沸点溶媒)が分解した後、この分解物が負極側に移動し、負極表面のリチウムと反応して不活性な膜が形成され、リチウムイオンの移動を妨げること等が考えられる。このような内部抵抗の上昇は、電池の信頼性を損なうこととなる。
【0004】
このような内部抵抗の上昇を抑制するために、例えば、金属リチウムからなる負極の表面にアルミニウム箔を圧着してリチウム−アルミニウム合金層を形成し、負極表面に不活性な膜が形成されるのを抑制する方法が考えられる。この方法であれば、前記分解物がリチウムと接触する頻度が低くなるので、負極表面での還元反応が抑制され、その結果として内部抵抗が上昇するのを抑えることができる。しかしながら、この方法は、合金化反応に時間がかかるとともに、形成された合金層表面は微粉状になるので、セパレータを突き破る等の不具合を生ずるおそれがあるという問題があった。
【0005】
また、特開平1−124960号公報には、非水電解液にトリフルオロメタンスルホン酸アルミニウム〔Al(CF3 SO3 3 〕を添加する方法が開示されている。この方法であれば、金属リチウムからなる負極の表面にリチウム−アルミニウム合金層を形成できるので、前記と同様、内部抵抗の上昇を抑えることができる。しかしながら、この方法を適用した電池は、内部抵抗の上昇をある一定期間(数ヶ月程度)については抑制できるが、その期間を過ぎると内部抵抗が大きく上昇するという課題を有しており、その改善が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑みなされたものであって、部分放電後に数ヶ月から数年にわたって長期間放置したとしても内部抵抗が大きく上昇しない非水電解液電池の提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、金属リチウムまたはリチウム合金を活物質とする負極と、正極と、非水電解液とを備えた非水電解液電池において、前記非水電解液が、溶質としてリチウム塩と下記の化学式(1)〜(3)で表されるアルミニウム塩のうちの少なくとも1種とを含むものであることを特徴とする。
【0008】
【化2】
Figure 0004233206
【0009】
上記構成のように、溶質としてリチウム塩と前記特定のアルミニウム塩とを用いれば、特定のアルミニウム塩によって負極表面にリチウム−アルミニウム合金層が形成され、かつ電解液中のイオン組成は、主にリチウムイオンとリチウム塩由来のアニオンと前記特定のアルミニウム塩由来のアニオンとになる。そのため、部分放電後に長期間放置したとしても、電池の内部抵抗は大きく上昇しない。この理由については必ずしも明らかではないが、前記トリフルオロメタンスルホン酸アルミニウムに比べて、前記特定のアルミニウム塩のアニオンが電子吸引基を多数持っているため解離度が高く、このアニオンが電解液中で安定しやすい。このため、アルミニウム塩から解離したアルミニウムイオンがスムーズに負極表面へ移動して、緻密でアルミニウムリッチな合金層が形成され、その結果として不活性な膜の形成がより抑制される。また、前記特定のアルミニウム塩由来の安定なアニオンが正極表面での電解液の分解を抑制するなどの相乗効果が考えられる。
【0010】
なお、前記特定のアルミニウム塩から生じるアニオンは、電解液中で安定に存在するので、より多くのリチウムイオンが電池反応に寄与する。そのため、特定のアルミニウム塩を含ませたことにより、電池性能は低下することはない。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記正極の活物質が、二酸化マンガンであることを特徴とする。
【0012】
正極活物質として二酸化マンガンを用いると、前述したとおり、放電により反応性に富むMnO2 (Li)が正極側に生成するが、本発明によれば負極表面に合金層が形成されているので、MnO2 (Li)による溶媒の分解物が負極に接触して反応し不活性膜が形成されるのを防止できる。よって、内部抵抗の上昇を抑制した非水電解液電池となる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記非水電解液が、溶媒として少なくとも沸点が100℃以下の低沸点溶媒を含むものであることを特徴と
する。
【0014】
沸点が100℃以下の低沸点溶媒は、MnO2 (Li)等と反応して分解されやすいので、このような沸点が100℃以下の低沸点溶媒を用いた場合に、本発明による改善効果が高い。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記リチウム塩が、前記化学式(1)〜(3)で表されるアルミニウム塩と異なるアニオンを有するリチウム塩であることを特徴とする。
【0016】
上記のようなリチウム塩とアルミニウム塩との組み合わせであっても、前記特定のアルミニウム塩の解離度が低下することはなく、アルミニウムイオンがよりスムーズに負極リチウムとの合金層の形成に供される。よって、保存した後の内部抵抗上昇を抑制できる電池となる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、前記化学式(1)〜(3)で表されるアルミニウム塩の非水電解液全体中に占める配合割合は、0.005〜10質量%であることを特徴とする。
【0018】
特定のアルミニウム塩の配合割合が上記範囲内であると、良質な合金膜が形成されるとともに、電解液中のイオン組成が適正になるので、電池の内部抵抗が上昇するのを有効に抑制できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、円筒形のリチウム電池を例として、図面を用いて説明する。図1は、この電池の構成を示す模式的な断面図である。
【0020】
図1に示すように、この電池は、有底筒状の外装缶(負極缶)1内に、二酸化マンガンを活物質とする正極2と、金属リチウムを活物質とする負極3と、ポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータ4とを巻回してなる渦巻電極体5が収納されている。そして、外装缶1の開口部には、絶縁ガスケット6を介して、正極端子を兼ねる封口蓋7がかしめ固定されている。なお、外装缶1の内底面には、上記負極3と電気的に接続された負極集電リード板8が取り付けられ、また封口蓋7の内底面には、上記正極2と電気的に接続された正極集電リード板9が取り付けられている。なお、図中の、10は負極集電リード板固定絶縁テープ、11は上部絶縁板、12は下部絶縁板である。
【0021】
ここで、上記セパレータ4には、プロピレンカーボネート(PC)と1,2−ジメトキシエタン(DME)との混合溶媒に、LiCF3 SO3 とAl〔N(CF3SO223とを溶解してなる非水電解液が含浸されている。
【0022】
上記構造のリチウム電池をつぎのようにして作製した。
【0023】
〔正極の作製〕
まず、正極活物質としての二酸化マンガンと、導電剤としての人造黒鉛とを、質量比で9:1の割合で混合して正極合剤を作製した。ついで、この正極合剤に、結着剤としてのフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)5質量%と、分散媒としての水とを加えて混合しスラリーを調製した。その後、このスラリーをアルミニウム薄板からなる正極芯体に塗着し、さらに圧縮、乾燥して、正極を作製した。その後、この正極の一部を剥離し、その部分から露出した正極芯体にステンレス製の正極集電リード板をスポット溶接で接合した。
【0024】
〔負極の作製〕
金属リチウム板を所定寸法に切断して、負極を作製した。その後、この負極の一部分にニッケル薄板からなる負極集電リード板を圧着した。
【0025】
〔非水電解液の作製〕
プロピレンカーボネート(PC)と1,2−ジメトキシエタン(DME)との等体積混合溶媒に、LiCF3SO3とAl〔N(CF3SO223とを1:1(質量比)で混合してなる溶質を、アルミニウム塩が5質量%(電解液全体中に占める配合割合)となるように溶解して非水電解液を調製した。
【0026】
〔電池の作製〕
まず、前記正極と負極とをポリプロピレン製の多孔フィルムからなるセパレータを介して巻回して、渦巻電極体を作製した。その後、この渦巻電極体を有底筒状の外装缶(負極缶)内に挿入し、さらに前記非水電解液を外装缶内に注入した。そして、上記外装缶の開口部に、ポリプロピレン製の絶縁ガスケットを介して、封口蓋(正極端子)をかしめ固定することにより、円筒形リチウム電池(電池容量:1400mAh、直径17mm、高さ33.5mm)を製造した。
【0027】
〔その他の事項〕
上記の例では、特定のアルミニウム塩としてAl〔N(CF3SO223を用いたが、本発明はこれに限定するものではなく、下記の化学式(1)〜(3)で表されるアルミニウム塩であれば各種のものを用いることができる。これらは単独であるいは2種以上併せて用いてもよい。
【0028】
【化3】
Figure 0004233206
【0030】
上記アルミニウム塩の具体例としては、Al〔N(CF3SO223、Al〔N(C25SO223、Al〔N(CF3SO2)(C25SO2)〕3、Al〔C(CF3SO233、Al〔CCH3(CF3SO223等があげられる。
【0031】
上記アルミニウム塩の電解液全体中に占める配合割合は、合金膜の形成や電解液のイオン組成等を考慮して、0.005〜10質量%の範囲が好ましく、特に好ましくは0.01〜5質量%の範囲である。
【0032】
なお、上記特定のアルミニウム塩とともに、リチウムと合金化することのできる他のアルミニウム塩を組み合わせて用いてもよい。例えば、Al(CF3SO33等を用いることができる。なお、Al(CF3SO33を特定のアルミニウム塩とともに用いれば、コスト面や製造面等で有利である。
【0033】
また、上記の例では、リチウム塩としてLiCF3SO3 を用いたが、本発明はこれに限定するものではない。例えば、LiN(CF3 SO2 2 、LiN(C2 5 SO2 2 、LiC(CF3 SO2 3 、LiClO4 、LiBF4 、LiAsF6 、LiPF6 等を用いることができる。これらは単独であるいは2種以上併せて用いてもよい。
【0034】
また、非水電解液の溶媒としては、上記PC、DMEの他に、例えば、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等の誘電率(25℃)が20以上の高誘電率非水有機溶媒や、ジメチルカーボネート、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、エトキシメトキシエタン等の沸点が100℃以下の低沸点非水有機溶媒等を用いることができる。これらは単独であるいは2種以上併せて用いてもよい。
【0035】
本発明の非水電解液電池は、図1に示す構造に限定されず、また正極、負極等についても、上記に記載したものに限定されない。上記以外の正極活物質としては、例えば、リチウム含有コバルト複合酸化物、リチウム含有ニッケル複合酸化物、リチウム含有マンガン複合酸化物等のリチウム含有金属酸化物や、酸化ニオブ、酸化バナジウム等の金属酸化物や、二硫化モリブデン等の金属カルコゲン化物等を用いることができる。また、上記以外の負極活物質としては、リチウム−アルミニウム合金等のリチウム合金を用いることができる。
【0036】
【実施例】
つぎに、本発明について、実施例および比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0037】
(実施例1)
実施例1としては、上記実施の形態に示す方法と同様の方法にて作製したリチウム電池を用いた。
【0038】
(実施例2)
特定のアルミニウム塩として、Al〔C(CF3SO233を用いた他は、実施例1と同様にして、リチウム電池を製造した。
【0039】
(実施例3)
特定のアルミニウム塩として、Al〔CCH3(CF3SO223を用いた他は、実施例1と同様にして、リチウム電池を製造した。
【0040】
(実施例4)
非水電解液の溶質として、リチウム塩であるLiCF3SO3と、特定のアルミニウム塩であるAl〔N(CF3SO223と、他のアルミニウム塩であるAl(CF3SO23とを質量比で2:2:1の割合で混合したものを用い、かつ特定のアルミニウム塩が3質量%になるように溶解した非水電解液を用いた他は、実施例1と同様にして、リチウム電池を製造した。
【0041】
(比較例1)
非水電解液の溶質として、リチウム塩であるLiCF3 SO3 と、他のアルミニウム塩であるAl(CF3 SO3 3 とを質量比で1:1の割合で混合したものを用い、かつリチウム塩が0.5モル/リットルになるように溶解した非水電解液を用いた他は、実施例1と同様にして、リチウム電池を製造した。
【0042】
(比較例2)
非水電解液の溶質として、リチウム塩であるLiCF3SO3 を用い、かつその塩が0.5モル/リットルになるように溶解した非水電解液を用いた他は、実施例1と同様にして、リチウム電池を製造した。
【0043】
このようにして得られた各リチウム電池について、その電池容量の70%を放電した後、室温条件下(20℃)で1年間保存した。そして、保存前の内部抵抗、6ヶ月保存後の内部抵抗、1年保存後の内部抵抗をそれぞれ測定、その結果を下記の表1に示した。
【0044】
【表1】
Figure 0004233206
【0045】
上記表1より、リチウム塩とともに特定のアルミニウム塩を用いた電池は、他の電池に比べ、1年保存後の内部抵抗の上昇が抑制されていることがわかった。具体的には、実施例1電池の1年保存後の内部抵抗は保存前に比べ0.14Ω上昇しただけであったのに対し、比較例1電池は0.72Ω、比較例2電池は8.4Ωも上昇していたので、特定のアルミニウム塩を用いれば、内部抵抗の上昇を特に抑制できることがわかった。また、比較例1電池は、6ヶ月保存後の内部抵抗については0.21Ω上昇しただけであったが、その後の6ヶ月保存で0.51Ω上昇したので、特定のアルミニウム塩ではないAl(CF3 SO3 3は、急激に内部抵抗が上昇することがわかった。
【0046】
したがって、部分放電後長期間保存する場合に内部抵抗の上昇を抑制するには、特定のアルミニウム塩を用いる必要があることがわかった。
【0047】
なお、実施例4の結果から、特定のアルミニウム塩と、Al(CF3SO33とを併せて用いても内部抵抗の上昇を抑制できることがわかった。
【0048】
【発明の効果】
本発明は、非水電解液の溶質としてリチウム塩とともに特定のアルミニウム塩を用いた点に大きな特徴を有するが、このような本発明によると、放電後に長期間保存したとしても内部抵抗が大きく上昇しない非水電解液電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例である円筒形リチウム電池の構成を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
1 外装缶(負極缶)
2 正極
3 負極
4 セパレータ
5 渦巻電極体
6 絶縁ガスケット
7 封口蓋(正極端子)
8 負極集電リード板
9 正極集電リード板
10 負極集電リード板固定絶縁テープ
11 上部絶縁板
12 下部絶縁板

Claims (5)

  1. 金属リチウムまたはリチウム合金を活物質とする負極と、正極と、非水電解液とを備えた非水電解液電池において、
    前記非水電解液が、溶質としてリチウム塩と下記の化学式(1)〜(3)で表されるアルミニウム塩のうちの少なくとも1種とを含むものである、ことを特徴とする非水電解液電池。
    Figure 0004233206
  2. 前記正極の活物質が、二酸化マンガンである、請求項1記載の非水電解液電池。
  3. 前記非水電解液が、溶媒として少なくとも沸点が100℃以下の低沸点溶媒を含むものである、請求項1または2記載の非水電解液電池。
  4. 前記リチウム塩が、前記化学式(1)〜(3)で表されるアルミニウム塩と異なるアニオンを有するリチウム塩である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解液電池。
  5. 前記化学式(1)〜(3)で表されるアルミニウム塩の非水電解液全体中に占める配合割合は、0.005〜10質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解液電池。
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