JP4236771B2 - 光監視装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、河岸や海岸、河川堤防や防潮堤等の各種堤体等、あるいは、その他の人工構造物等を含む各種被測定対象に設けられることで、被測定対象の土砂の崩落、崩壊、決壊等の予兆現象を検出して、防災に寄与する光監視装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、河川堤防や防潮堤等の堤体の崩壊、決壊による災害を回避するには、巡視等を頻繁に行って状況を把握する等の対策が、従来から採られている。ところで、河川堤防や防潮堤等の堤体は、河川の水流や海洋の波涛等によって洗掘されることがあり、この洗掘が進行すると堤体の強度に影響を与え、崩壊、決壊に繋がる可能性がある。このため、堤体の洗掘を巡視等により発見したら、迅速に補修する必要がある。
しかしながら、長大な河岸や海岸等の全長にわたって、巡視による綿密な点検を短時間で行うことは極めて困難である。監視対象である堤防等が、河岸や海岸の複数箇所に設けられている場合でも、これら堤防等の間の移動時間等により、短時間の巡視は困難である。しかも、堤体内部の地質構造は複雑であることから、外部からは見えにくい底部や内部の部分的な土砂の流出等が生じることもあり、これを巡視等の目視点検によって把握することは不可能に近い。また、山間部に設置される堤体では、巡視のための通路等の確保が困難なケースもあり、巡視を随時行うことが困難である。
これに鑑みて、河川堤防等では、水位計やITV(撮像機を用いた監視設備)等の監視設備が設置されている。これら監視設備は、常時監視を実現し、巡視の労苦を解消するものとして、普及している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の監視設備は、いずれも、その設置位置近傍のポイント測定に留まるものであり、堤体をその長手方向の広い範囲にわたって常時監視することはできない。特に、ITV等の撮像装置を用いた監視設備では、大雨等の悪天候下では、監視範囲が一層狭くなってしまう欠点がある。このため、堤体の長手方向の広い範囲にわたって監視を行うには、高価な監視設備を多数設置することとなり、コストが膨大なものになってしまう。
また、防災のために監視設備の設置を特に必要とする地域は、山間部等の気象変化の激しい地域であることが多く、前述したITV等を含む各種の電気的監視装置では、落雷等による誘導電流の影響を受けて故障しやすいといった問題もある。
なお、堤体が設けられていない河岸や海岸そのものに生じる洗掘も、大規模な土砂の流出等の予兆現象として監視することが求められており、安価で効率良く監視できる技術の開発が求められていた。
【0004】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、河岸や海岸、河川堤防や防潮堤などの各種堤体等、あるいは、その他の人工構造物等を含む各種被測定対象に生じた変位や変形、崩壊等を広範囲に亘って検出可能であり、しかも、常時監視が容易であり、防災上、優れた効果を発揮する、低コストの光監視装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の光監視装置では、例えば、河岸や海岸、河川堤防や防潮堤等の被測定対象に埋設等により光ファイバセンサを設置し、例えば洗掘による堤体の崩壊等の被測定対象の変位、変形、崩壊等の発生を、光ファイバセンサに組み込まれている光ファイバが破断または折れ曲がり等の変形を受けたことを検出することで監視するようにした。光ファイバの破断や変形等は、光パルス試験器からの入射光の戻り光の観測結果から検出することができる。
周知の通り、光ファイバに光を入射すると、当該光ファイバの破断箇所やコネクタ接続箇所でのフレネル反射光や、光ファイバの密度等の微小な不均一による光の散乱(レイリー散乱)によって生じた後方散乱光が光ファイバの入射端に戻ってくることが知られており、光パルス試験器(いわゆるOTDR)から光ファイバへ試験光を入射してから戻り光を受光するまでの時間(以下、「戻り時間」)を計測することで、破断点の位置(光パルス試験器からの距離)を把握できる。光ファイバからは、通常、レイリー散乱光の後方散乱光等の光ファイバ固有の光散乱等による戻り光のみが観測されるが、例えば、この光ファイバが破断すると、光パルス試験器から破断点までのレイリー散乱光の後方散乱光と、破断点からの強いフレネル反射光とが光パルス試験器にて観測され、破断点以後の光ファイバからのレイリー散乱光の後方散乱光が観測されなくなる。これにより、光ファイバの破断が検出されるとともに、フレネル反射光の戻り光の戻り時間から破断点の位置を把握することができる。
光ファイバが破断されなくても、光ファイバが変形する場合、例えば、光ファイバが急激に折り曲げられ、この折れ曲がり箇所での光損失の増大を観測することで、折れ曲がり箇所を検出することが可能である。また、光ファイバの断面方向への潰れ等によっても、光損失が増大が観測される。すなわち、光パルス試験器にて戻り光の強度が急変化が観測される箇所(光パルス試験器への戻り光の戻り時間)から、光ファイバの折れ曲がり等の変形箇所の存在や、その位置を把握できる。
【0006】
本発明の光監視装置に適用される光ファイバセンサは、例えば、被測定対象である堤体等に設定した目的の監視対象領域に設置される受圧体を複数連設して組み立て、監視対象領域の被測定対象の変位、変形、崩壊等により、隣り合う受圧体間の変位で光ファイバに破断や折れ曲がり等の変形を与えるようになっている。やや具体的には、例えば、堤体等の洗掘による土砂の移動や水流との接触等に伴って変位した受圧体と、洗掘の影響を受けていない土砂内に安定に保持されている受圧体との間で、これら受圧体間に連通させた光ファイバに破断や折れ曲がり等の変形が与えられる。光ファイバセンサの光ファイバが破断して、破断点からのフレネル反射光が観測されたり、折れ曲がり箇所等での損失増大が観測されたり、破断点以後の光ファイバからの戻り光が観測されなくなると、この光ファイバセンサを設置した監視対象領域の変位、変形、崩壊等が検出される。また、フレネル反射光の戻り時間等から、受圧体間の境界毎に、光ファイバの破断位置を把握することも可能であり、これにより、監視対象領域の変位、変形、崩壊等の発生位置を把握することが可能である。破断点における破断された光ファイバの断面形状によっては、充分な強度のフレネル反射光が発生しないことがあるが、破断点以後の光ファイバからの戻り光の有無や、損失増大等をも観測することで、破断点の有無や、光ファイバ変形箇所の有無を確実に把握できる。
このように、本発明では、光ファイバの破断や折れ曲がり等の変形箇所等を検出することで、監視対象領域の変位、変形、崩壊等の発生を検出でき、しかも、光パルス試験器への戻り光の戻り時間等から光ファイバの破断点の位置や折れ曲がり箇所等の位置を計測することで、変位、変形、崩壊等の発生発生箇所を把握できる。
【0007】
ところで、長大な河岸や海岸等の全長にわたって洗掘を監視するために、例えば、これら河岸や海岸に沿ってその全長、全領域に光ファイバセンサを設置したのでは、光ファイバ破断点以後の洗掘検出が不可能になってしまう。また、洗掘可能性のある領域(以下、「監視対象領域」)が、河岸や海岸や堤体の一部のみである時は、監視対象領域以外に設置される光ファイバセンサが無駄になってしまう。そこで、本発明では、目的の監視対象領域への重点的な光ファイバセンサの設置を可能とし、しかも、複数の監視対象領域の洗掘監視や、監視対象領域内で生じた洗掘の規模の把握等も可能な技術を提案する。
【0008】
請求項1記載の発明は、河岸や海岸、河川堤防や防潮堤などの各種堤体等、あるいは、その他の人工構造物等を含む各種被測定対象を光により監視する光監視装置であって、前記被測定対象の延在方向にほぼ沿って延在されている複数の第1光ファイバセンサと、前記被測定対象の延在方向とは異なる方向に延在され、前記第1光ファイバセンサに対応した位置に設けられた各第2光ファイバセンサとを備え、これら光ファイバセンサは、複数の受圧体により構成され、前記第1光ファイバセンサは、目的の監視対象領域にて連設された複数の受圧体に連通させた光ファイバ(8a、8b)に、隣接する受圧体間の変位により破断や変形等が与えられるように構成され、前記第2光ファイバセンサは、前記監視対象領域に連設された複数の受圧体に連通させた光ファイバに、隣接する受圧体間の変位により破断や変形等が与えられるように構成され、これら第1、第2光ファイバセンサの光ファイバがそれぞれ光パルス試験器に対して試験光を入射可能に接続されており、前記第1光ファイバセンサの一端から引き込まれた光ファイバへの前記光パルス試験器からの入射光の戻り光の観測結果から該光ファイバの破断や変形等が検出されたなら、光ファイバの破断や変形等が検出された該当の第1光ファイバセンサに対応して配設された前記第2光ファイバセンサの光ファイバに、光パルス試験器から試験光が入射されるようになっていることを特徴とする光監視装置である。
請求項2記載の発明は、河岸や海岸、河川堤防や防潮堤などの各種堤体等、あるいは、その他の人工構造物等を含む各種被測定対象を光により監視する光監視装置であって、目的の監視対象領域にて前記被測定対象の延在方向にほぼ沿って複数連設された受圧体に連通された光ファイバ(8c、8d)に、隣接する受圧体間の変位により破断や変形等が与えられるように構成された光ファイバセンサを、前記被測定対象の延在方向に垂直の方向へ互いに離間した複数箇所に配設し、各光ファイバセンサの光ファイバを、光パルス試験器に対して試験光を入射可能に接続し、前記光ファイバセンサの一端から引き込まれている光ファイバへの前記光パルス試験器からの入射光の戻り光の観測結果から当該光ファイバの破断や変形等が検出されたなら、当該光ファイバセンサに対して前記被測定対象の延在方向に垂直の方向へ離間させて設けられた別の光ファイバセンサに引き込まれている光ファイバに、前記光パルス試験器の試験光が入射されるようになっていることを特徴とする光監視装置である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光監視装置(以下、発明の実施の形態中、「監視装置」と略称する)の実施形態を説明する。
なお、以下の第1から第3実施例の監視装置は、いずれも、被測定対象である河川堤防の洗掘監視用である。
【0010】
(第1実施例)
図1において、符号1は本実施例の監視装置、2は光パルス試験器(図1中、「OTDR」)、3は接続ユニット(本実施例中、光成端箱)、4は光ファイバセンサ、5は心線選択装置(図1中、光SW)、6は川である。
この監視装置1では、川6に沿って設けられた河川堤防7の特に洗掘されやすい監視対象領域7aに光ファイバセンサ4を複数埋設し、各光ファイバセンサ4に組み込まれている光ファイバ8を、接続ユニット3を介して、光パルス試験器2に接続された光ファイバ9(光ケーブル)と分岐接続している。
以下の各実施例の光ファイバセンサに組み込まれる光ファイバとしては、例えば、コア径数μm〜10μm程度、径125μmのシングルモード光ファイバが採用される。また、光パルス試験器2であるOTDRとしては、例えば、試験光波長1310nm、パルス幅10ns以上(出来るだけ細かく)、空間分解能2m以上(出来るだけ短く)の高分解能形のものを採用する。
【0011】
光ファイバセンサ4は、監視対象領域7aの土砂内に埋設される受圧体4aを複数直列に連設し、これら受圧体4aに引き通すようにして光ファイバ8を連通させた構造であり、監視対象領域7aの洗掘による土砂の移動や水流との接触等に伴って変位した受圧体4aと、洗掘の影響を受けずに土砂内に安定に保持されている受圧体4aとの間で光ファイバ8が破断や変形を受け易いようになっている。
以下は、破断を例にとって説明する。
図1では、各光ファイバセンサ4を構成する受圧体4aは2つであるが、3以上であっても良く、また、各光ファイバセンサ4毎に受圧体4aの連設数が異なるようにしても良い。光ファイバ8は、受圧体4a間では、単心光ファイバ心線等の折れやすい構造である。また、接続ユニット3に接続される露出部分は、樹脂製外被により防水性が確保された光ケーブルになっている。また、各受圧体4aには、内部の防水性を確保して光ファイバ8の余長を湾曲収納している。受圧体4a間に連通される光ファイバ8にも防水性が確保されることは言うまでも無い。
【0012】
接続ユニット3は、前記光パルス試験器2側の1心の光ファイバ9に対して、光ファイバセンサ4側の光ファイバ8を複数本(図1中では4本)分岐接続可能になっている。光パルス試験器2側の1心の光ファイバ9は、接続ユニット3内に収納された光分岐素子10(光カプラ)によって、複数本の光ファイバ11に分岐され、各光ファイバ11が、光ファイバセンサ4側の光ファイバ8と光コネクタ11a、8aによりコネクタ接続される。光ファイバセンサ4の光ファイバ8は光コネクタ8aによってコネクタ接続可能に成端されているので、監視対象領域7aに設置後、接続ユニット3内で光ファイバ11にコネクタ接続するだけで、光パルス試験器2側の光ファイバ9と簡単に接続でき、施工性に優れる。図1においては、光パルス試験器2側の1心の光ファイバ9に対して、光ファイバセンサ4側の3本の単心光ファイバ8を接続した状態を示しており、残る1本の光ファイバ11を用いることで、光ファイバセンサ4を1本増設できる。
【0013】
監視対象領域7aの洗掘を監視するには、心線選択装置5にて選択した光ファイバ9に、光パルス試験器2から試験光を入射し、その戻り光を観測する。洗掘等の発生が無く、光ファイバセンサ4の光ファイバ8に破断点が存在しないときは、光ファイバ9に接続されている全ての光ファイバ8の全長からの戻り光が、同一の光ファイバ9を通って光パルス試験器2にて受光、観測される。光ファイバ8に曲げや潰れ等の変形が無い限り、光パルス試験器2では、光ファイバ8固有のレイリー散乱光の後方散乱光が光ファイバ8の全長から安定に観測される。
【0014】
ここで、同一の光ファイバ9に接続されている複数本の光ファイバ8は、例えば、接続ユニット3内に確保した余長等により互いの長さを異ならせることで、光パルス試験器2にて区別できるようになっている。
例として、接続ユニット3の光分岐素子10により、同一の光ファイバ9に対して分岐接続した4本の光ファイバ8の破断検出を図2(a)、(b)、(c)を参照して説明する。なお、図2(a)では、4本の光ファイバ8を区別するため、便宜状、81、82、83、84の符号を付している。これら光ファイバの内、光ファイバ81が最も短く、以下、光ファイバ82、83、84の順に長くなっている。
【0015】
各光ファイバ8への入射光の戻り光は、光パルス試験器2(図2(a)中「OTDR」)にて合成されて観測される。各光ファイバ81〜84からの戻り光にはノイズ等が含まれるため、戻り光の観測を繰り返し行って平均値を採用することが好ましい(いわゆる平均化処理)。図2(a)中、各光ファイバ81〜84の余長8eは互いの位置をずらして記載しているが、これら余長8eは実際には全て接続ユニット3に収納する。各光ファイバ81〜84は、接続ユニット3内に収納した余長8eの長さを互いに異ならせることで、光パルス試験器2から最も遠い終端位置の違いが明瞭になるようにしておく。すなわち、光パルス試験器2の空間分解能に対応して各光ファイバ81〜84の終端位置の違いが明瞭に区別されるように、各光ファイバ8の長さを余長8eにより調整する。各光ファイバ81〜84の接続ユニット3からの引出長(各光ファイバ81〜84の余長8eから図2(a)中右側への引出長)は、一定でも互いに異なっていても良いが、図2では一定である場合を例示した。
【0016】
図2(b)に示すように、各光ファイバ81〜84に破断等が存在していない初期状態では、光パルス試験器2では、各光ファイバ81〜84からの戻り光の合成波形に、各光ファイバ81〜84終端からの強いフレネル反射光がピーク波形81a〜84a(以下、これを「フレネル波形」と略称する)なって示される。
例えば、光ファイバ82が破断されると、図2(c)に示すように、光パルス試験器2では、破断箇所からのフレネル反射光に対応するフレネル波形82bが示され、光ファイバ82終端に対応するフレネル波形82aが観測されなくなる。これにより、新たに観測されたフレネル波形82bが、光ファイバ82の破断によって生じたものであることが特定される。
さらに、例えば、光ファイバ83にも、光ファイバ82終端と同じ位置(光パルス試験器2からの光路長が同じ)に破断が生じると、光パルス試験器2にて観測されるフレネル波形は、光ファイバ82終端のフレネル波形82aと同じ位置になるが、光ファイバ83終端からのフレネル反射光に対応するフレネル波形83aが観測されなくなることから、光ファイバ83の破断を確認できる。
【0017】
各光ファイバ81〜84の破断箇所の位置の確認や、光パルス試験器2からの距離の計算は、例えば、破断発生前の各光ファイバ81〜84終端に対応するフレネル波形81a〜84aから、破断によって新たに観測されるようになったフレネル波形までの距離(時間)を計算することによって求められる。
なお、各光ファイバ81〜84の余長8eを調整して、接続ユニット3から引き出した部分からの戻り光、あるいは光ファイバセンサ4の受圧体4a内に挿通される部分からの戻り光が、光パルス試験器2にて互いに重ならないようにずれて観測されるようにしても良く、この場合には、破断を生じた光ファイバ81〜84の特定が一層容易になる。同時に複数の光ファイバ8に破断が生じた場合でも、各破断箇所の位置、光パルス試験器2からの距離を、光ファイバ8毎に簡単に把握できる。
【0018】
光パルス試験器2の戻り光の観測データは、この光パルス試験器2に接続された制御装置12にて記憶、表示等がなされる。制御装置12には、光パルス試験器2や心線選択装置5等の駆動を制御する制御部、光線路への入射光の戻り光の観測データを記憶する記憶部、観測データを表示する表示部、観測データから光ファイバセンサ4の光ファイバ8の破断が検出された時に警報を発する警報出力部等が搭載されている。
【0019】
監視対象領域7aの洗掘により、光ファイバセンサ4の受圧体4a間に変位が生じ、光ファイバ8が破断されると、この破断点からの強いフレネル反射光が光パルス試験器2にて観測されることで光ファイバ8の破断が検出され、これにより、監視対象領域7aの洗掘を検出できる。
【0020】
同一の監視対象領域7aに設置された各光ファイバセンサ4は、河川堤防7長手方向に数十〜数百mの間隔で複数連設されているから、洗掘を検出した光ファイバセンサ4の特定により、河川堤防7長手方向の洗掘位置が特定される。また、複数の光ファイバセンサ4が洗掘を検出していると、各光ファイバセンサ4の近傍、あるいは、これら光ファイバセンサ4が含まれる連続した洗掘範囲の河川堤防7延在方向に沿った寸法(洗掘幅)が検出されたこととなる。
【0021】
図1においては、監視対象領域7内に設置した各光ファイバセンサ4の受圧体4aを、河川堤防7の延在方向にほぼ垂直の方向、すなわち川6にほぼ垂直の方向に直列に連設しているから、受圧体4a間の光ファイバ8の破断が観測されると、この受圧体4a間の境界の位置まで、洗掘が進行していることが検出されたこととなり、監視対象領域7の洗掘深さを把握できる。光ファイバセンサ4の受圧体4aの連設数を増大し、しかも、各受圧体4a間の境界間の離間距離を短縮すると、監視対象領域7の洗掘深さを一層精密に把握することが可能である。但し、各受圧体4aには光ファイバ8の余長を確保して、光パルス試験器2の分解能に対応して、各反射波形上にて各受圧体4a間の境界位置を区別できるようにしておく必要がある。
【0022】
この監視装置1によれば、監視対象領域7a近傍に設置した接続ユニット3にて、光ファイバセンサ4の光ファイバ8を、光パルス試験器2側の光ファイバ9とコネクタ接続によって簡単に接続でき、監視対象領域7aに複数の光ファイバセンサ4を重点的に設置することが容易である。長大な河川堤防7の内、洗掘監視の不要な箇所には光ファイバセンサ4を設置する必要が無いので、低コスト化でき、施工も容易である。
【0023】
この監視装置1では、心線選択装置5にて光パルス試験器2に対する光ファイバ9の接続を順番に切り替えつつ光パルス試験を行い、各光ファイバセンサ4の光ファイバ8の破断を監視する。この監視動作は、全ての光ファイバ9に対して、繰り返し連続的に行われるので、実質的に、各監視対象領域7aは常時洗掘監視される。しかも、各監視対象領域の監視は、天候等に左右されず、河川堤防7の崩壊等によっても危険の及ばない安全な所から行うことができるので、監視効率を飛躍的に向上することができる。
【0024】
また、光分岐素子10により、光パルス試験器2側の1心の光ファイバ9に、光ファイバセンサ4側の光ファイバ8を複数本接続する構成では、光ファイバ9への1回の測定時間内で、複数の光ファイバセンサ4の破断の有無を同時に監視できるので、心線選択装置5による光ファイバ9の切替接続回数を削減でき、この監視装置1の全光ファイバセンサ4の監視に要するスキャンタイムを短縮でき、洗掘発生と洗掘検出との間のタイムラグを短くすることができる。
なお、各光ファイバセンサ4の光ファイバ8と光パルス試験器2との間の接続は、光分岐素子10を介した構成に限定されず、例えば、光パルス試験器2側の多心の光ケーブルの1心に光ファイバセンサ4側の光ファイバ8の1心をコネクタ接続や融着接続により接続して、心線選択装置5では、光ケーブルの光ファイバを1心毎に、光パルス試験器2に対する接続を切り替える構成も採用可能である。この構成では、各光ファイバセンサ4の区別を付けるための長さ調整等を省略でき、施工が容易になる利点がある。但し、全光ファイバセンサ4の監視に要するスキャンタイムが長くなるため、スキャンタイムを短縮するには、光分岐素子10を利用した構成を採用することが好ましい。
【0025】
本実施例においては、光ファイバ8の破断検出を以って洗掘検出とした例を説明したが、洗掘発生時の受圧体4a間の変位によって光ファイバ8に生じた折れ曲がりや潰れ等の変形を検出することで、洗掘を検出することも可能である。光パルス試験器2であるOTDRは、破断以外の折れ曲がりや潰れ等によって光ファイバ8の光損失が増大したことを、光ファイバ8からの戻り光強度から検出することができ、しかも、損失増大によって戻り光強度が変化した箇所の位置(光パルス試験器2からの距離)を、戻り光の戻り時間から計測して把握できる。これにより、破断点の検出と同様に、洗掘の有無、洗掘箇所の位置の把握が可能である。破断点検出との違いは、折れ曲がりや潰れ等の発生した箇所以後(折れ曲がりや潰れ等の発生した箇所よりも光パルス試験器2から遠い箇所の光ファイバ)の光ファイバからの戻り光も観測され得ることであり(この戻り光が観測されない場合もある)、それ以外は、破断点検出と同様である。
光パルス試験器2では、破断点発生によるフレネル反射光と、折れ曲がりや潰れ等の非破断の変形による損失増大のいずれかが観測されるのであり、以後説明する各実施例においても、破断検出について説明している箇所は、同様に、光ファイバの折れ曲がりや潰れ等による光損失増大の観測データから、洗掘検出、洗掘発生位置の把握が可能である。
【0026】
(第2実施例)
以下、本発明の第2実施例を図3および図4を参照して説明する。
図3および図4は、本実施例の監視装置20全体を示す平面図であって、図3は洗掘検出前の通常監視状態、図4は洗掘検出後の監視状態を示す。
なお、図3、図4中、図1と同一の構成部分には同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0027】
この監視装置20では、河川堤防7の延在方向にほぼ沿って延びる第1光ファイバセンサ21と、河川堤防7の延在方向にほぼ垂直の方向に延びる第2光ファイバセンサ22とを、それぞれ複数、監視対象領域7aに埋設している。第1光ファイバセンサ21は、監視対象域7a内にて、河川堤防7の延在方向に沿って複数直列に連設され、第2光ファイバセンサ22は、各第1光ファイバセンサ21よりも、川6からやや離れた所にて、川6の延在方向に沿って例えば数十〜数百m間隔で複数並列に連設されている。
【0028】
第2光ファイバセンサ22は、第1実施例記載の光ファイバセンサ4と同様であり、複数直列に連設した受圧体4aに光ファイバ8を連通させた構造である。また、第2光ファイバセンサ22の光ファイバ8は、接続ユニット3内蔵の光分岐素子10(図3中図示略)を介して、光パルス試験器2側の1心の光ファイバ9に対して複数本分岐接続(本実施例では5分岐)されている。第1光ファイバセンサ21に対応してその近傍に配設される複数本の第2光ファイバセンサ22は、同一の光ファイバ9から同一の接続ユニット3を介して分岐されたものである。
【0029】
第1光ファイバセンサ21は、複数直列に連設された受圧体4bの一端から他端へ向けて光ファイバ8aが挿入され、他端から一端に向けて光ファイバ8bが挿入された構造になっている。つまり、第1光ファイバセンサ21は、2心の光ファイバを収納している。この第1光ファイバセンサ21の光ファイバ8a、8bは、接続ユニット3を介して光パルス試験器2側の多心光ファイバである光ケーブル9a内の光ファイバと接続されているが、この接続は光分岐素子を介すること無く1対1になっている。
光ファイバ9や、光ケーブル9aの各光ファイバは、心線選択装置5によって、光パルス試験器2に対する接続が切り替えられる。
【0030】
この監視装置20による河川堤防7の洗掘監視は、洗掘が検出されていないときは、まず、光パルス試験器2による第1光ファイバセンサ21の光ファイバ8aの破断監視によって行われる。すなわち、光ケーブル9aの光ファイバの内、光ファイバ8aと接続されているもののみを心線選択装置5によって選択して、光パルス試験器2との接続を切り替えつつ入射光の戻り光を観測し、破断の有無を監視する。第1光ファイバセンサ21の光ファイバ8b、第2光ファイバセンサ22の光ファイバ8への試験光の入射は無い。図3中実線で示す光線路が試験光が入射される監視状態であり、図3中破線で示す光線路は監視に使用されない休止状態になっている。
【0031】
光パルス試験は、例えば、図3中左側の光ファイバセンサ21の光ファイバ8aから、順次右側の光ファイバセンサ21の光ファイバ8aへというように、順番に行われ、しかも、この光パルス試験は自動的に繰り返し行われれるので、実質的に、各光ファイバセンサ21近傍の監視対象領域7aの洗掘が常時監視される。また、第1光ファイバセンサ21の光ファイバ8aのみへの試験光入射であり、光線路の数が削減されるため、心線選択装置5による全光ファイバ8aの光パルス試験器2に対する切替接続に要するスキャンタイムを短縮でき、結果、洗掘発生と洗掘検出との間のタイムラグを縮小できる。
【0032】
光ファイバ8aの破断が検出されるまでは、この光ファイバ8aの破断監視が継続されるが、光ファイバ8aの破断が検出されれば、洗掘が発生したとの認識により、図4に示すように、光ファイバ8aの破断が検出された該当の第1光ファイバセンサ21の光ファイバ8bについても、光パルス試験器2からの入射光の戻り光の観測による破断監視が行われ(両端監視モード)、さらに、洗掘を検出した第1光ファイバセンサ21に対応する各第2光ファイバセンサ22の光ファイバ8についても、同様に、光パルス試験器2からの入射光の戻り光観測による破断監視が行われる(監視モード)。
【0033】
第1光ファイバセンサ21の受圧体4bは河川堤防7の延在方向(長手方向)に沿って連設されており、第2光ファイバセンサ22の受圧体4aは河川堤防7aの延在方向に垂直の方向へ連設されているから、この監視装置20では、第1光ファイバセンサ21によって河川堤防7の洗掘幅(河川堤防7長手方向の洗掘範囲)が検出され、第2光ファイバセンサ22によって河川堤防7の洗掘深さ(河川堤防7長手方向に垂直の洗掘深さ)が検出される。
【0034】
第1光ファイバセンサ21では、河川堤防7に生じた洗掘に伴う土砂の移動や水流との接触等による受圧体4b間の変位によって生じた光ファイバ8aの破断位置と、光ファイバ8bの破断位置とを、それぞれ計測することで、洗掘幅を検出する。例えば、特定の第1光ファイバセンサ21の光ファイバ8a、8bの破断位置が異なるときは、これら光ファイバ8a、8bの破断位置間が洗掘範囲であり、この破断位置間の距離が洗掘幅である。
また、複数の第1光ファイバセンサ21に跨るような広範な領域に洗掘が生じたら、洗掘範囲の両端の第1光ファイバセンサ21の光ファイバ8a、8bの破断位置を把握することで洗掘幅を把握できる。洗掘範囲の河川堤防7延在方向端部では、第1光ファイバセンサ21の光ファイバ8a、8bの一方の破断位置が、洗掘範囲の河川堤防7延在方向端部と一致しており、他方の光ファイバ8a、8bの破断位置は第1光ファイバセンサ21端部になっている。なお、洗掘範囲両端の第1光ファイバセンサ21の間に位置する第1光ファイバセンサ21では、全ての受圧体4bが洗掘に伴う土砂の移動や水流との接触等によって変位し、両光ファイバ8a、8bがそれぞれ該第1光ファイバセンサ21の端部にて破断される。
【0035】
一方、第2光ファイバセンサ22では、河川堤防7に生じた洗掘に伴う土砂の移動や水流との接触等による受圧体4a間の変位によって生じた光ファイバ8の破断位置を計測することで、洗掘深さを把握することができる。第2光ファイバセンサ22の光ファイバ8の破断監視は、洗掘を検出した第1光ファイバセンサ21に対応して設置された複数の第2光ファイバセンサ22が接続されている光ファイバ9への試験光の入射により一括して行われ、各第2光ファイバセンサ22の光ファイバ8の破断点の有無や破断位置が同時に検出される。同一の第1光ファイバセンサ21に対応して設けられた複数の第2光ファイバセンサ22のそれぞれによって、洗掘深さを把握することで、洗掘を検出した第1光ファイバセンサ21近傍の監視対象領域7aの河川堤防7延在方向における洗掘深さの分布を把握することができる。同一の光ファイバ9に接続されている複数の光ファイバ8は、接続ユニット3に確保した余長等によって互いに区別できるようになっており、各光ファイバ8の破断位置は区別して把握することができる。
【0036】
なお、第1、第2光ファイバセンサ21、22は、いずれも、受圧体4a間、受圧体4b間の境界にて光ファイバ8、8a、8bが破断される構成であるから、受圧体4a、4bの配列ピッチを狭くして受圧体4a、4b間の境界間の距離を短縮することで、洗掘幅や洗掘深さの検出精度を向上できる。
【0037】
第1光ファイバセンサ21の光ファイバ8aの破断監視により洗掘が検出された後では、各第1光ファイバセンサ21の光ファイバ8a、両端監視モードに入った第1光ファイバセンサ21の光ファイバ8a、8b、この第1光ファイバセンサ21に対応する各第2光ファイバセンサ22(監視モードに入った第2光ファイバセンサ22)の光ファイバ8が接続されている光ファイバ9が、1台の心線選択装置5により、光パルス試験器2に対して切替接続される。具体的には、例えば、順番に行われる光ファイバ8aの破断監視順において、破断が検出された光ファイバ8aの次に、この光ファイバ8aに係る第1光ファイバセンサ21の光ファイバ8bの破断監視と、この第1光ファイバセンサ21に対応して配置された複数の第2光ファイバセンサ22の光ファイバ8の破断監視とを行った後、次の光ファイバ8aの破断監視へ移行する。
【0038】
第2光ファイバセンサ22の光ファイバ8の破断監視は、洗掘を検出した第1光ファイバセンサ21に対応する第2光ファイバセンサ22についてのみ行えば良く、しかも、これら第2光ファイバセンサ22の光ファイバ8の破断監視は、これら光ファイバ8が接続されている光ファイバ9への試験光の入射により一括して行われるので、試験光の入射対象の光線路数を極力少なくでき、監視装置20の全光ファイバセンサ21、22の光ファイバ8、8a、8bの監視に要するスキャンタイムを短縮でき、これにより、洗掘発生と洗掘検出との間のタイムラグを極力小さくできる。
また、洗掘検出後にも、心線選択装置5による光線路の切替接続並びに光パルス試験器2からの試験光の入射によって、光ファイバ8、8a、8bの破断監視は連続的に繰り返し行われるので、時間の経過に伴う洗掘の進行等もリアルタイムで把握することができる。
【0039】
第1光ファイバセンサ21による洗掘検出が新たに生じた場合は、前述と同様に、破断が検出された光ファイバ8aと次に監視を行う光ファイバ8aとの間に、この光ファイバ8aに係る第1光ファイバセンサ21の光ファイバ8bの破断監視と、この第1光ファイバセンサ21に対応して配置された複数の第2光ファイバセンサ22の光ファイバ8の破断監視とを割り込ませることで対応する。監視対象の光線路の増加は、制御装置12による光パルス試験器2や心線選択装置5の駆動制御によって自動的になされる。
【0040】
(第3実施例)
次に、本発明の第3実施例の監視装置30を図5および図6を参照して説明する。
なお、図中、図3および図4と同一の構成部分には同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0041】
図3に示すように、この監視装置30では、河川堤防7の目的の監視対象領域7aにて前記河川堤防7の延在方向に沿って複数連設された受圧体4bに光ファイバ8c、8dが連通され、かつ、隣接する受圧体4b間の変位により前記光ファイバ8c、8dが破断されるように構成された一次、二次光ファイバセンサ31、32を、前記河川堤防7の延在方向に垂直の方向(川6からの距離が異なる方向)へ互いに離間した複数箇所に配設している。各光ファイバセンサ31、32の光ファイバ8c、8dは、これら一次、二次光ファイバセンサ31、32毎に設置した接続ユニット3にて、光パルス試験器2側の光ファイバである光ケーブル9b、9cの光ファイバに対して1対1にコネクタ接続されている。
なお、光ファイバ8cは一次、二次光ファイバセンサ31、32の長手方向一端から他端に向けて連通され、光ファイバ8dは一次、二次光ファイバセンサ31、32の他端から一端に向けて連通されている。
【0042】
本実施例では、監視対象領域7aに複数の一次、二次光ファイバセンサ31、32を河川堤防7に沿って直列に連設している。但し、一次、二次光ファイバセンサ31、32の設置位置は、河川堤防7延在方向では互いに対応されており、河川堤防7延在方向に垂直の方向のみが異なる。一次光ファイバセンサ31は、二次光ファイバセンサ32よりも、川6側に設置される。
【0043】
各光ファイバセンサ31、32は、監視対象領域7aの洗掘に伴う土砂の移動や水流との接触等により隣接する受圧体4b間に変位が生じると、これら受圧体4b間に連通されている光ファイバ8c、8dが破断される。この光ファイバ8c、8dの破断が光パルス試験器2にて検出されることで、監視対象領域7aの洗掘が検出される。光ファイバ8c、8dの破断は、これら光ファイバ8c、8dの破断点からの強いフレネル反射光の観測や、光パルス試験器2から破断点以後の光ファイバ8c、8dからの戻り光が観測されなくなること等から、検出される。また、フレネル反射光等の戻り光の戻り時間から、破断位置(光パルス試験器2からの距離)を把握することができる。
【0044】
この監視装置30では、まず、図5に示すように、一次光ファイバセンサ31の一方の光ファイバ8cについてのみ破断の有無を監視し、この光ファイバ8cの破断が検出されたなら、洗掘を検出したものと認識して、図6に示すように、洗掘を検出した一次光ファイバセンサ31の光ファイバ8dと、この一次光ファイバセンサ31に対応する位置に設けられた二次光ファイバセンサ32の一方の光ファイバ8cとについて破断監視を開始する。
【0045】
図5に示すように、一次光ファイバセンサ31による洗掘検出前では、各一次光ファイバセンサ31の一方の光ファイバ8cの光パルス試験器2に対する接続が、心線選択装置5によって順番に切り替えられつつ光パルス試験が行われ、破断の有無が監視される。この時点では、一次光ファイバセンサ31の他方の光ファイバ8d、二次光ファイバセンサ32の光ファイバ8c、8dには試験光を入射せず、破断監視を行わない。
一次光ファイバセンサ31の光ファイバ8cに破断が検出されたら、例えば、破断が検出された当該光ファイバ8cへの試験光入射後に、この光ファイバ8cが引き込まれている一次光ファイバセンサ31の他方の光ファイバ8dの破断監視、この一次光ファイバセンサ31に対応する二次光ファイバセンサ32の光ファイバ8cの破断監視を行った後、次の一次光ファイバセンサ31の光ファイバ8cの破断監視へ移行する。
【0046】
一次光ファイバセンサ31の両端から引き込まれている光ファイバ8c、8dの破断監視を行うと(両端監視モード)、監視対象領域7aの洗掘幅を把握できる。すなわち、両端監視モードに入った一次光ファイバセンサ31では、光ファイバ8cの破断位置と、光ファイバ8dの破断位置とを、それぞれ計測することで、洗掘幅を把握できる。例えば、監視対象領域7aの洗掘範囲が、特定の一次光ファイバセンサ31の延在範囲内にある時は、これら光ファイバ8c、8dの破断位置間が洗掘範囲であり、この破断位置間の距離が洗掘幅である。また、洗掘範囲が複数の一次光ファイバセンサ31に跨る場合は、洗掘範囲の両端の一次光ファイバセンサ31の光ファイバ8c、8dの破断位置を計測し、最も遠い破断位置間の距離を把握することで、洗掘幅を把握できる。洗掘範囲の河川堤防7延在方向端部では、一次光ファイバセンサ31の光ファイバ8c、8dの一方の破断位置が、洗掘範囲の河川堤防7延在方向端部と一致しており、他方の光ファイバ8c、8dの破断位置は一次光ファイバセンサ31端部になっている。なお、洗掘範囲両端の一次光ファイバセンサ31の間に位置する一次光ファイバセンサ31では、全ての受圧体4bが洗掘に伴う土砂の移動や水流との接触等によって変位し、該一次光ファイバセンサ31の両端にて破断されるようになっている。
【0047】
一方の光ファイバ8cの破断監視(監視モード)を開始した二次光ファイバセンサ32も、前記光ファイバ8cの破断が検出されれば、他方の光ファイバ8dの破断監視が開始され、両端監視モードに入るようになっている。二次光ファイバセンサ32の光ファイバ8cに破断が検出されたなら、監視対象領域7aの洗掘深さが二次光ファイバセンサ32に到達するものであることが把握できる。一次光ファイバセンサ31にて洗掘が検出されても、これに対応する二次光ファイバセンサ32の光ファイバ8cに破断が検出されなければ、監視対象領域7aの洗掘深さが二次光ファイバセンサ32に到達していないことを把握できる。
【0048】
二次光ファイバセンサ32よりもさらに川6から離間した箇所に、一次、二次光ファイバセンサ31、32と同様の構造の三次光ファイバセンサを河川堤防7と平行に延在設置すれば、さらに大きい洗掘深さの検出にも対応できる。一次、二次光ファイバセンサ31、32(これらに平行に設置される三次光ファイバセンサ、四次光ファイバセンサがある場合には、これらも含んで)間の河川堤防7延在方向に垂直の方向への離間距離を短縮したり、一次、二次光ファイバセンサ31、32近傍に、河川堤防7延在方向に垂直に延びる光ファイバセンサ(例えば、第2実施例記載の第2光ファイバセンサ22)を設置すれば、監視対象領域7aの洗掘深さの検出精度を一層向上させることができる。
【0049】
この監視装置30によれば、光ファイバ8c、8dを破断させる受圧体4bが河川堤防7延在方向に沿って複数連設されてなる光ファイバセンサ31、32を、目的の監視対象領域7aにて河川堤防7延在方向並びに該河川堤防7延在方向に垂直の方向に複数連設することで、監視対象領域7aの洗掘範囲(洗掘幅および洗掘深さ)を効率良く把握できる。各光ファイバセンサ31、32の洗掘監視に要する光ファイバは2本のみであり、しかも、洗掘検出時に両端監視モードに入る一次光ファイバセンサ31は、一方の光ファイバ8cの破断が検出された一次光ファイバセンサ31のみであり、さらに、洗掘検出時に監視モードに入る二次光ファイバセンサ32は、光ファイバ8cの破断が検出された一次光ファイバセンサ31に対応する二次光ファイバセンサ32のみであるから、洗掘検出前後のいずれでも、光パルス試験器2にて監視すべき光線路の数を抑えることができる。このため、監視対象の全光線路の監視に要するスキャンタイムを短縮でき、洗掘発生と洗掘検出とのタイムラグを小さくできる。しかも、洗掘検出前の一次光ファイバセンサ31の光ファイバ8cの破断監視、洗掘検出後の一次光ファイバセンサ31の光ファイバ8c、8dや二次光ファイバセンサ32の光ファイバ8cの破断監視や破断位置検出は、心線選択装置5によって、光パルス試験器2に対する接続を切り替えつつ順番に繰り返し行われるため、監視対象領域7aの洗掘の進行を経時的に観測することも可能である。
【0050】
前述の各実施例にて説明したように、本発明に係る監視装置は、特に監視の必要な監視対象領域に設置した光ファイバセンサの光ファイバを、光パルス試験器側の光ファイバと接続することによって、監視対象領域を重点的に監視できる。その一方、監視対象領域以外には光ファイバセンサの設置は不要であるから、施工期間の短縮、低コスト化が容易である。監視対象領域が河川堤防等に沿った複数箇所に点在する場合でも、ここに設置した光ファイバセンサ側の光ファイバを、光パルス試験器側の光ファイバと接続するだけで簡単に組み立てることができる。光ファイバセンサは安価で得ることができるから、ITV等の高価な設備を多数設置する場合に比べて、大幅な低コスト化が可能であり、広範囲の監視や複数箇所の監視を安価で実現できる。しかも、この監視装置では、監視対象地盤に埋設等により設置した光ファイバセンサによって、監視対象地盤の土砂の移動や洗掘箇所に入り込んだ水流を直接監視するので、目視による巡視やITV画像による監視では確認できないような河川堤防下部や内部の洗掘発生も確実に検出でき、防災に役立てることができる。
また、この監視装置は、光パルス試験器以外には、電気的作動部が無く、落雷等による誘導電流の影響を受ける心配が無いため、光パルス試験器やその付属の計器等のみ、誘導電流の影響を受けないように保護しておけば、落雷の可能性の大きい山間部等に設置しても、監視性能を損なうことは無く、設置場所の自由度が大幅に向上する。
【0051】
前述の各実施例記載の監視装置では、光ファイバセンサの光ファイバに試験光を入射した際に、光パルス試験器から各光ファイバセンサの光ファイバまでの間に存在するコネクタ接続部等からのフレネル反射光が観測される。しかし、コネクタ接続部等の存在しない箇所からのフレネル反射光が観測されたなら、光線路の断線が検出されている。この時、フレネル反射光の戻り時間から、断線位置(光パルス試験器からの距離)を把握できるため、迅速に復旧することが可能である。また、コネクタ接続箇所から以後の、光パルス試験器から遠い光線路からの戻り光が観測されない時は、コネクタ接続が解除されている可能性がある。この場合も、戻り光の戻り時間から不具合の生じている箇所を簡単に把握できるので、迅速に復旧できる。このように、この監視装置は、メンテナンス性に優れている。
【0052】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されず、例えば、光ファイバセンサ部や接続ユニットの構造等は適宜変更可能であることは言うまでもない。
本発明の光監視装置の適用対象は、河川堤防等の堤体に限定されず、河岸や海岸そのもの、川や海に臨む各種盛り土、崖、その他、人工構造物等の各種の被測定対象等も含まれ、これらの洗掘による崩落や自然崩壊等の予兆現象を検知することができる。
前述したいずれの実施例でも、監視対象領域に光ファイバセンサを埋設した構成を例示したが、これに限定されず、例えば、監視対象領域の土砂に定着させたアンカーを光ファイバセンサの各受圧体に連結して、土砂の移動を受圧体に伝達する構成等も採用可能である。
第2実施例の第1光ファイバセンサ21の光ファイバ8a、8bと光ケーブル9a側の光ファイバとの接続、第3実施例の一次、二次光ファイバセンサ31、32の光ファイバ8c、8dと光ケーブル9b、9c側の光ファイバとの接続は、1対1に限定されず、例えば、接続ユニット3に内蔵の光スプリッタ(光カプラ)を介して、光ケーブル9a、9b、9c側の光ファイバに対して複数本を接続するようにしても良い。この時、光ケーブル9a、9b、9c側の光ファイバに対して接続された複数本のセンサ側光ファイバは、接続ユニット3内に確保した余長によって互いの長さが異なるようにすること等により、区別できるようにしておく。
【0053】
第2実施例記載の光ファイバセンサ21や、第3実施例記載の光ファイバセンサ31、32は、光パルス試験器2とともに、請求項2記載の監視装置を構成する。請求項2記載の監視装置は、これら各実施例記載の構成に限定されず、例えば、河川堤防等に沿って延在された光ファイバセンサのみを、光パルス試験器側に接続した構成等も採用可能である。いずれの構成にしても、この監視装置では、堤体等の延在方向に沿った監視対象領域の洗掘位置や、洗掘幅の把握が可能である。洗掘幅は、例えば、複数の光ファイバセンサの洗掘検出位置等から容易に把握できる。
【0054】
第3実施例記載の監視装置(請求項5記載の発明の監視装置に相当)では、川に近い側の一次光ファイバセンサ31が洗掘を検出したら、これに対応して、洗掘を検出した光ファイバセンサ31に対して堤体等の延在方向に垂直に離間された二次光ファイバセンサ32を一つのみ監視を開始する構成を例示したが、これに限定されず、洗掘を検出した一次光ファイバセンサ近傍の複数の二次光ファイバセンサの監視を開始する構成も採用可能である。これにより、洗掘が急速に広範囲に進行した場合であっても、洗掘範囲を確実に把握することができる。第3実施例では、互いに長さ寸法のほぼ等しい一次光ファイバセンサ31と二次光ファイバセンサ32とを河川堤防7延在方向に垂直の方向に1対1に対応させているが、一次光ファイバセンサに対して二次光ファイバセンサの位置を堤体等の延在方向にずらしても良く、また、一つの一次光ファイバセンサに対して、それぞれ堤体等の延在方向に設置位置がずらされた二次光ファイバセンサを複数対応させて配置しても良い。
【0055】
【発明の効果】
請求項1記載の光監視装置によれば、接続ユニットを介して、光パルス試験器側の光ファイバに対して光ファイバを接続した光ファイバセンサを、被測定対象に設定した目的の監視対象領域に設置するだけで簡単に組み立てることができ、目的の監視対象領域の変位、変形、崩壊等を効率良く監視できる。光パルス試験器側の光ファイバに対して光ファイバセンサ側の光ファイバは複数接続可能であるから、複数の光ファイバセンサを監視対象領域に設置することで、目的の監視対象領域の変位、変形、崩壊等の発生を重点的に監視できる。光ファイバセンサは安価で得られ、しかも、目的の監視対象領域以外には設置する必要が無いので、この監視装置は、全体を低コスト化できるといった優れた効果を奏する。
【0056】
請求項2記載の光監視装置によれば、特に、堤体等の長大な被測定対象の延在方向に沿って延在されている光ファイバセンサによって、被測定対象の延在方向に沿った方向にて、監視対象領域の変位、変形、崩壊等の発生を効率良く把握でき、しかも、例えば、複数の光ファイバセンサによる変形等の異常検出から、変位、変形、崩壊等の異常の発生している領域、例えば、堤体等の延在方向に沿った洗掘幅をも効率良く把握できるといった優れた効果を奏する。
【0057】
請求項3記載の光監視装置によれば、堤体等の長大な被測定対象の延在方向に沿って延在する第1光ファイバセンサの光ファイバに破断や折り曲げ等の変形(以下、これを「断線」と総称する)が生じた位置(以下、これを「断線位置」と総称する)から、堤体等に設定した目的の監視対象領域に変位、変形、崩壊等の異常が発生した幅(例えば、河川堤防に沿った洗掘幅)を把握でき、第2光ファイバセンサの光ファイバの断線位置から前記監視対象領域に変位、変形、崩壊等の異常が発生した奥行き(例えば、河川堤防の洗掘深さ)が把握できるようになっているから、監視対象領域に異常の生じた範囲を効率良く、しかも、異常発生箇所から離れた所からの巡視等に比べて、より直接的、具体的に把握できるといった優れた効果を奏する。
また、請求項4記載のように、前記第1光ファイバセンサの一端から引き込まれた光ファイバへの前記光パルス試験器からの入射光の戻り光の観測結果から該光ファイバの断線が検出されたなら、光ファイバの断線が検出された第1光ファイバセンサに対応して配設された前記第2光ファイバセンサの光ファイバに、光パルス試験器から試験光が入射されるようになっていると、第1光ファイバセンサにて被測定対象の異常を検出した後、速やかに、第2光ファイバセンサによる監視を開始することが可能となり、異常発生範囲の大きさを迅速に把握できるといった優れた効果を奏する。
【0058】
請求項5記載の光監視装置によれば、堤体等の長大な被測定対象の延在方向に沿って延在された光ファイバセンサに引き込まれた光ファイバの断線検出や、各光ファイバセンサにて被測定対象の延在方向に沿って複数連設された受圧体間での光ファイバの断線検出によって、監視対象領域に生じた変位、変形、崩壊等の異常箇所の幅(被測定対象延在方向に沿った寸法。例えば、洗掘範囲の洗掘幅)を把握できるとともに、被測定対象の延在方向に垂直の方向に連設された光ファイバセンサの光ファイバ断線検出によって、前記異常箇所の奥行き(例えば、前記洗掘範囲の洗掘深さ)を把握でき、これにより異常箇所の範囲全体の規模等を容易に把握できるといった優れた効果を奏する。
請求項6記載のように、前記光ファイバセンサの一端から引き込まれている光ファイバへの前記光パルス試験器からの入射光の戻り光の観測結果から当該光ファイバの断線が検出されたなら、当該光ファイバセンサに対して前記堤体等の長大な被測定対象の延在方向に垂直の方向へ離間させて設けられた別の光ファイバセンサに引き込まれている光ファイバに、前記光パルス試験器の試験光が入射されるようになっていると、光ファイバセンサにて被測定対象の変位、変形、崩壊等を検出した後、被測定対象の延在方向に垂直の方向へ離間させて設けられた別の光ファイバセンサによる監視を速やかに開始することが可能となり、被測定対象の変位、変形、崩壊等を生じた範囲の奥行きを迅速に把握できるといった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例の光監視装置の全体を示す平面図である。
【図2】 図1の光監視装置における複数本の光ファイバの破断監視を示す図であって、(a)は、光パルス試験器に対して4本の光ファイバを分岐接続した状態を示す光配線図、(b)は(a)の光パルス試験器から各光ファイバへの入射光の戻り光の観測結果を示す光強度波形を示す図であって、いずれの光ファイバにも破断が生じていない状態を示す図、(c)は一部の光ファイバに破断が生じた場合の戻り光の光強度波形を示す図である。
【図3】 本発明の第2実施例の光監視装置における洗掘検出前の光ファイバの断線監視を示す平面図である。
【図4】 図3の光監視装置における洗掘検出後の光ファイバの断線監視を示す平面図である。
【図5】 本発明の第3実施例の光監視装置における洗掘検出前の光ファイバの断線監視を示す平面図である。
【図6】 図5の光監視装置における洗掘検出後の光ファイバの断線監視を示す平面図である。
【符号の説明】
1…光監視装置、2…光パルス試験器(OTDR)、3…接続ユニット(光成端箱)、4…光ファイバセンサ、4a,4b…受圧体、7…被測定対象(河川堤防,堤体)、7a…監視対象領域、8…光ファイバ、9…光ファイバ(光ケーブル)、20…光監視装置、21…第1光ファイバセンサ、22…第2光ファイバセンサ、8a,8b…光ファイバ、30…光監視装置、31…光ファイバセンサ(一次光ファイバセンサ)、32…光ファイバセンサ(二次光ファイバセンサ)、8c,8d…光ファイバ、81〜84…光ファイバ。
Claims (2)
- 河岸や海岸、河川堤防(7)や防潮堤などの各種堤体等、あるいは、その他の人工構造物等を含む各種被測定対象を光により監視する光監視装置であって、
前記被測定対象の延在方向にほぼ沿って延在されている複数の第1光ファイバセンサ(21)と、前記被測定対象の延在方向とは異なる方向に延在され、前記第1光ファイバセンサに対応した位置に設けられた各第2光ファイバセンサ(22)とを備え、
これら光ファイバセンサは、複数の受圧体(4a、4b)により構成され、前記第1光ファイバセンサは、目的の監視対象領域(7a)にて連設された複数の受圧体(4b)に連通させた光ファイバ(8a、8b)に、隣接する受圧体間の変位により破断や変形等が与えられるように構成され、
前記第2光ファイバセンサは、前記監視対象領域に連設された複数の受圧体(4a)に連通させた光ファイバ(8)に、隣接する受圧体間の変位により破断や変形等が与えられるように構成され、
これら第1、第2光ファイバセンサの光ファイバがそれぞれ光パルス試験器に対して試験光を入射可能に接続されており、
前記第1光ファイバセンサの一端から引き込まれた光ファイバ(8a)への前記光パルス試験器からの入射光の戻り光の観測結果から該光ファイバの破断や変形等が検出されたなら、光ファイバの破断や変形等が検出された該当の第1光ファイバセンサに対応して配設された前記第2光ファイバセンサの光ファイバに、光パルス試験器から試験光が入射されるようになっていることを特徴とする光監視装置(20)。 - 河岸や海岸、河川堤防(7)や防潮堤などの各種堤体等、あるいは、その他の人工構造物等を含む各種被測定対象を光により監視する光監視装置であって、
目的の監視対象領域(7a)にて前記被測定対象の延在方向にほぼ沿って複数連設された受圧体(4b)に連通された光ファイバ(8c、8d)に、隣接する受圧体間の変位により破断や変形等が与えられるように構成された光ファイバセンサ(31、32)を、前記被測定対象の延在方向に垂直の方向へ互いに離間した複数箇所に配設し、各光ファイバセンサの光ファイバを、光パルス試験器(2)に対して試験光を入射可能に接続し、
前記光ファイバセンサの一端から引き込まれている光ファイバ(8c)への前記光パルス試験器からの入射光の戻り光の観測結果から当該光ファイバの破断や変形等が検出されたなら、当該光ファイバセンサに対して前記被測定対象の延在方向に垂直の方向へ離間させて設けられた別の光ファイバセンサに引き込まれている光ファイバ(8c)に、前記光パルス試験器の試験光が入射されるようになっていることを特徴とする光監視装置。
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