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JP4243387B2 - 肥満細胞表面抗原のdna - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、肥満細胞表面抗原のDNA関する。
【0002】
【従来の技術】
気管支喘息やスギ花粉症などのアレルギー疾患は、まず抗原に特異的なIgEの産生の誘導が起こり、この誘導されたIgEに活性化された肥満細胞や好塩基球からヒスタミン・好酸球遊走因子(ECF−A)やロイコトリエン、血小板活性化因子(PAF)、トロンボキサンなどの各種ケミカルメディエーターが産生、遊離されることによってアレルギー性炎症が誘発される。特に組織内においては肥満細胞がこれらのケミカルメディエーターを放出することによって、アレルギー性病変の形成に重要な役割を担っている。
【0003】
ヒトの肥満細胞は、肥満細胞中の顆粒に含まれる蛋白分解酵素の組成により、トリプターゼ陽性細胞(以下MC−Tという)と、トリプターゼ及びキマーゼの両者陽性細胞(以下MC−TCという)に分けられる。MC−Tは主に肺や消化管粘膜組織に分布するのに対し、MC−TCは主に皮膚組織に分布する。これらの肥満細胞は他の血液細胞と異なり、多能性幹細胞として骨髄を出て、末梢の環境に至り、肺又は皮膚の繊維芽細胞への接着の後、MC−T又はMC−TCとなる。このような肥満細胞はアレルギー疾患の病態形成において主要な役割を演じていると考えられることから、肥満細胞の生理的役割の解明において、肥満細胞を特異的に検出、分離することが必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来、肥満細胞に特異的な細胞表面抗原は知られていなかった。また、肥満細胞に特異的な細胞表面抗原に対する抗体を用いれば、肥満細胞を特異的に除去あるいは消滅させることが可能となることから、これら肥満細胞に特異的な細胞表面抗原を明らかにすることはアレルギー疾患の病態の解明のみでなく、治療においても重要な意味を持つものである。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、肥満細胞表面抗原のDNA提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
肥満細胞表面抗原は、配列番号1のアミノ酸配列含むものである。このアミノ酸配列は、肥満細胞表面抗原のDNAのコーディング領域を翻訳したものである。肥満細胞表面抗原のDNAは、以下の手順によりその塩基配列を明らかにした。即ち、実施例の欄で詳述するように、臍帯血単核球から肥満細胞を得た後、この肥満細胞の細胞抽出液からmRNAを抽出し、このmRNAからcDNAライブラリを作製し、抗血清を用いてイムノスクリーニングを行い、得られた陽性クローンにつきDNAシークエンサを用いてその塩基配列を確認した。なお、配列番号2の塩基配列のうち塩基番号36〜38の配列即ちATGが開始コドンであり、塩基番号2394〜2396の配列即ちTGAがストップコドンである。つまり、塩基番号36〜2396がコーディング領域であり、この区間の塩基配列が配列番号1のアミノ酸配列をコードしている。この肥満細胞抗原のアミノ酸配列が明らかになったことにより、アレルギー疾患の病態形成における肥満細胞の役割を解明することが可能となり、また、肥満細胞と特異的に反応する抗体を容易に入手可能となった。
【0007】
肥満細胞表面抗原に対する抗体は、例えば配列番号1のアミノ酸配列を含む肥満細胞表面抗原を用いて哺乳動物(ヒトを除く)を免疫感作し、この免疫感作した哺乳動物から得られる抗体産生細胞をミエローマ細胞と融合して融合細胞を作製し、この融合細胞の中から肥満細胞表面抗原と特異的に結合する抗体を産生しているクローンを選択して培養し、その選択されたクローンの培養上清を精製することにより、得ることができる。この抗体を用いれば、肥満細胞を特異的に除去したり消滅させたりすることが可能となることから、アレルギー疾患の治療が可能となる。つまり、この抗体はアレルギー疾患治療薬として期待される。
【0008】
この抗体を産生する細胞は、例えば、配列番号1のアミノ酸配列を含む肥満細胞表面抗原を用いて哺乳動物(ヒトを除く)を免疫感作し、この免疫感作した哺乳動物から得られる抗体産生細胞をミエローマ細胞と融合して融合細胞を作製し、この融合細胞の中から肥満細胞表面抗原と特異的に結合する抗体を産生しているクローンを選択して培養することにより、得ることができる。
【0009】
【実施例】
[1]MC−TCの培養
ヘパリン処理した臍帯血をフィコール・ハイパック液(比重1.077、シグマ社)に重層して300×gで30分間室温で遠心して単核球を分離し、10%のFBS(ギブコ社)、50μMの2−メルカプトエタノール、4mMのL−グルタミン、100U/mlのペニシリン及び50μg/mlのストレプトマイシンを加えたRPMI1640培地(日水製薬)に懸濁した。懸濁液の単核球数濃度を5×106/mlに調整して、コラーゲンコートした10cm培養シャーレ(イワキガラス)に蒔き、SCF(100ng/ml、ペプロテック社)とIL−6(50ng/ml、ペプロテック社)を加えて2週間培養し、好中球系細胞、リンパ球、マクロファージ、好塩基球や肥満細胞の前駆細胞を含む2週間培養細胞を得た。なお、SCFは繊維芽細胞上に発現される肥満細胞の分化・増殖に関与する因子であり、ステム・セル・ファクタの略である。
【0010】
上記で得られた臍帯血単核球をSCF100ng/mlとIL−6 50ng/mlの存在下で6週間培養し、ヒト肥満細胞が過半数を占めたところで、すなわち106個のオーダーのヒト肥満細胞が得られたところで、ヒトの繊維芽細胞の初代培養細胞との共生培養を行った。すなわち、ヒトの皮膚由来もしくは肺由来の繊維芽細胞の単層培養にこのヒト肥満細胞を移し、50ng/mlのSCFの存在下で2カ月間培養した。
【0011】
共生培養前後の肥満細胞について、キマーゼ陽性の肥満細胞の割合と、トリプターゼ濃度を測定した。その結果を図1に示す。この図1において、共生培養前の肥満細胞すなわちSCFとIL−6の存在下で10〜16週間培養したヒト肥満細胞(図1のグラフの左端)ではキマーゼ陽性の肥満細胞の割合、トリプターゼ濃度ともにわずかしか認められなかった。これに対して皮膚繊維芽細胞と6〜8週間の共生培養後(図1のグラフの中央)及び肺繊維芽細胞との共生培養後(図1のグラフの右端)のヒト肥満細胞ではともに明らかな増加が認められ、特に皮膚繊維芽細胞と共生培養したヒト肥満細胞の場合に著しい増加が認められた。
【0012】
SCFとIL−6の存在下で15週間培養した肥満細胞と、6週間の培養の後皮膚繊維芽細胞と共に2ヶ月間培養した肥満細胞について、トリプターゼに対する抗体及びキマーゼに対する抗体を用いて細胞を染色したところ、トリプターゼに対する染色ではどちらの細胞も全体に染色が認められたのに対し、キマーゼに対する染色では、繊維芽細胞と共生培養した細胞では殆どの細胞に染色が認められたのに対し、共生培養を行わなかった細胞では一部にしか染色が認められなかった。この結果、共生培養によってMC−TがMC−TCに分化していることが判明した。
【0013】
以上のように、結合組織型ヒト肥満細胞であるMC−TCは、臍帯血単核球をSCF、IL−6の存在下で培養後、さらにヒト皮膚繊維芽細胞の初代細胞と共生培養を行うことにより得た。
[2]mRNAの調製
ファルマシア社の「クイック−プレプ・マイクロ・mRNA・ピュアリフィケーション・キット(Quick-Prep Micro mRNA Purification Kit)」の使用説明書に従い、上記MC−TCの細胞抽出液よりポリAの付いたmRNAを次の手順で抽出した。
1)2×106個のMC−TCを遠心してPBSで2回洗浄した後、前出のキットに添付の溶出バッファ400μLを加えてボルテックスミキサー(回転式攪拌器)で良く攪拌したのち、さらに800μLの溶出バッファを加えてボルテックスミキサーで攪拌し、ポリプロピレン製チューブであるアシストチューブ(アシスト社)に移して、14,000rpmで5分間遠心し、沈殿を除いた。
2)一方、1mLのオリゴdTセルロースを14,000rpmで遠心し、上清を除いた。
3)1)の細胞抽出液と2)のオリゴdTセルロースを混合し、3分間アシストチューブを転倒して良く混合した後、14,000rpmで5秒間遠心して上清を除き、1mLの高塩濃度バッファ1mLで5回洗浄した後、低塩濃度バッファで2回洗浄した。
4)沈殿物は300μLの低塩濃度バッファに懸濁し、前出のキットに添付のマイクロスピンカラムに入れて5秒間遠心し、500μLの低塩濃度バッファで3回洗浄した。
5)65℃に温めた溶出バッファ200μLを加え、さらに10μLのグリコーゲン溶液と400μLの酢酸カリウム溶液を加え、95%エタノール1mLを加えた後、4℃で14,000rpm、1時間遠心し、減圧乾燥した。
【0014】
[3]cDNAライブラリの作製
ストラッタジーン社の「ザップ−cDNA・シンセシス・キット(Zap-cDNA synthesis kit)」を用い、このキットの使用説明書に従って、上記[2]で得たmRNAからcDNAライブラリを作製した。サイズフラクショネーションはこのキットに添付のCL−2Bゲルを用いて行った。
【0015】
[4]イムノスクリーニング
上記[3]で作製したcDNAライブラリのファージ液をSMバッファ(50mMのTris−HCl(pH7.5)と、100mMのNaClと、10mMのMgSO4・H2Oと、0.01%ゼラチンとを含む)で希釈して2.5〜4×105pfuファージ/mLに調整した。この液を10本の遠心管に100μLずつ分注し、大腸菌(XL−1blue)の終夜培養液(5mLのNZY培地で一晩培養し、O.D.600=1.5に調整したもの)500μLを加え、ボルテックスミキサーで攪拌し、37℃で15分間インキュベートした。これに7mLのソフトアガロース(電気泳動用アガロースを培地に溶解して0.6%としたもの)を加えてボルテックスミキサーで攪拌し、14×10cmの角シャーレに広げた。アガロースが固まった後、20mMのIPTGに浸して、乾燥させたニトロセルロースフィルタを載せ、37℃で4時間インキュベートした。なお、NZY培地は、1L中に5gのNaClと、2gのMgSO4・7H20と、5gのイースト抽出物(yeast extract)と、5gのNZamine(ガゼイン加水分解物)とを加え、NaOHにてpH7.5に調整した後、15gの寒天を加えてオートクレーブで滅菌熔解したものである。
【0016】
インキュベート後、フィルタを除き、300mLのPBS中で15分間振盪して洗浄し、これを2回繰り返した後PBSを捨て、0.5%スキムミルクを添加したPBS(PBS−SM)300mLを入れて室温で1時間振盪し、ブロッキングした。PBS−SMで400倍希釈したラット抗血清(後述の融合細胞ahMC5C12(受託番号FERM BP−6070)の作製に当たり脾臓細胞を提供したラットの抗血清)を加え、室温で1時間振盪し、抗血清液を捨て、500mLの0.05%ツイーン20を加えたPBS(PBS−T)で室温5分間振盪洗浄し、これを4回繰り返した。次いでPBS−SMで1000倍希釈したペルオキシダーゼ標識抗ラットIgG(医学生物学研究所)200mLを加えて室温で1時間振盪した後、500mLのPBS−Tで4回振盪洗浄し、さらに100mLのPBSで2回振盪洗浄した。
【0017】
フィルタの水気を切り、発色基質液(ジアミノベンチジン12mg/PBS25mLに2.5%塩化コバルト及び2%硫酸ニッケル各50μLを加えた液)に浸した後、さらに80μLの30%過酸化水素水を加えて発色させ、発色の位置から対応するクローンを選択した。
【0018】
[5]塩基配列の確認
イムノスクリーニングで得られた陽性クローン2クローンを前出の「ザップ−cDNA・シンセシス・キット」(ストラッタジーン社)の使用説明書に従い、Uni−ZAP XR ベクターからin vivoでの切り出しを行い、pBluescriptファージミドにサブクローニングして大腸菌で増殖させた後、それぞれのクローンについてパーキンエルマー社のABI PRISM377
DNA シークエンサを用いて塩基配列を確認した。
【0019】
ここで得られた塩基配列をデータベースからBLASTによりホモロジーサーチしたところ、1クローンはトリプターゼIII(TryptaseIII)とほぼ一致し、他の1クローンはブレスト・キャンサー・サプレッサー・キャンディデート−1(Breast cancer suppressor candidate−1、以下Bcsc−1という)と命名された遺伝子にほぼ一致した(図2)。図2において、1’〜2552’の配列がBcsc−1を表し、1”〜2571”の配列が今回得られたクローンを表し、「*」は一致点を表す。なお、BLASTとは、ベーシック・ローカル・アラインメント・サーチ・ツールの略である。
【0020】
トリプターゼIIIとほぼ一致したクローンについては、トリプターゼIIIが肥満細胞の顆粒中に存在する良く知られた酵素であることから、目的とする細胞表面抗原とは無関係であると判断した。そこで、Bcsc−1とほぼ一致したクローンについて、目的とする細胞表面タンパク質であるかどうかを検討した。
【0021】
[6]BHK細胞へのトランスフェクション
上記で得られたcDNAのうち、データベースに登録されたBcsc−1の蛋白質をコードする領域と指定指定された部分を烏山らの方法に従って作製した発現ベクターBCMGSNeo(図3参照、Karasuyama,H.& Melchers,F.:Eur.J.Immunol.,18,97−104,1988、Karasuyama,H.,Tohyama,N.&Tada,T.:J.Exp.Med.,169,13−35,1989、Yagita,H.,Nakamura,T.,Karasuyama,H.&Okumura,K.,:Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86,645−649,1989,Karasuyama,H.,Kudo,A.&Melchers,F.:J.Exp.Med.,172,969−972,1990)に組み込んだ。具体的には、Bcsc−1へのXhoI及びNotIの制限酵素切断部位の導入は、5’XhoIプライマーとしてcagCTCGAGatggaggaggctctgggg(配列番号3)を用い、3’NotIプライマーとしてtctggatGCGGCCGCtcaaaggcaaagat(配列番号4)を用い、PCR条件として94℃で4分間加熱した後、95℃で1分15秒、60℃で1分10秒、72℃で3分反応させ、これを39回繰り返した後、72℃で5分間反応させることにより行った。そして、XhoI及びNotIサイトを導入したBcsc−1をXhoI及びNotIで処理した後、同じくXhoI及びNotIで処理したBCMGSNeoに組み込んだ。
【0022】
BHK細胞はリポフェクション法によりBcsc−1に導入し、形質転換した。即ち、10%FCSを加えたDMEM培地(日水製薬)で50%〜70%の密度となるようにBHK細胞を播き、一晩培養した後、新鮮な培地に交換して37℃で2時間培養した。セラムフリーDMEMで3回洗浄した後、セラムフリーDMEM800μLに、2.5μL(2.5μg)のBcsc−1を導入したBCMGSNeoを含むセラムフリーDMEM100μLと、100μLのリポフェクタミンを含むセラムフリーDMEM100μLとの当量混液200μLを加えて、37℃で3時間培養した。
【0023】
[7]抗Bcsc−1抗体の作製
Bcsc−1を導入したpET−28aベクターを大腸菌にてHis−tagとの融合蛋白質として発現させ、この融合蛋白質をニッケルキレートカラムを用いて精製し、これを常法に従ってウサギに免役し、抗血清即ち抗Bcsc−1ポリクローナル抗体を得た。pET−28aベクターへのBcsc−1の導入は以下のように実施した。即ち、EcoRI及びXhoIの制限酵素切断部位をBcsc−1へ導入し、次いでこのBcsc−1をXhoI及びEcoRIで処理した後、同じくXhoI及びEcoRIで処理したpET−28aベクターに組み込んだ。なお、Bcsc−1へのEcoRI及びXhoIの制限酵素切断部位の導入は、5’EcoRIプライマーとしてtcagGAATTCatggaggaggctct(配列番号5)を用い、3’XhoIプライマーとしてggtaCTCGAGaaaggcaaagatagc(配列番号6)を用いてPCR法にて増幅することにより行った。
【0024】
[8]細胞の染色及びウエスターンブロット
上記[6]で得たBHK細胞(Bcsc−1遺伝子を組み込んで発現させたもの)を10%FCS DMEMに500μg/mLのG418を加えた培養液中で一晩培養し、培養液を除き、上記[7]で得た抗Bcsc−1ポリクローナル抗体(103倍希釈)をのせて37℃で1時間反応させたのち、PBSですすぎ、FITC標識抗ウサギIgG(H+L)(医学生物学研究所)(100倍希釈)を37℃で1時間反応させて、蛍光顕微鏡で細胞内の局在を確認した。
【0025】
また、同じく抗原として、肥満細胞抽出物、Bcsc−1を導入したBHK細胞の抽出物、IL−5を用いて分化を誘導した好酸球の抽出物、末梢血細胞の抽出物、末梢血系の株化細胞であるHL−60の抽出物、HL−60から分化した好酸球の抽出物を用いて、ウエスターンブロットにより、この抗Bcsc−1ポリクローナル抗体によって認識される蛋白質を検索した。
【0026】
その結果、肥満細胞抽出物を染色した場合には、細胞質全体にびまん性の蛍光を認めた。このことから、Bcsc−1遺伝子は肥満細胞表面抗原に対するものではないと思われた。また、ウエスターンブロットでは、Bcsc−1を導入したBHK細胞を抗原とした場合には約45kDにバンドが検出され、これは挿入したBcsc−1から予想される分子量とほぼ一致していたが、肥満細胞を抗原とした場合には、約90kDの位置にバンドが認められ、二つの細胞抽出物の間で結果が異なった。このことは、Bcsc−1遺伝子が肥満細胞表面抗原に対するものではないことを支持している。
【0027】
[9]塩基配列の確認
本発明者らによって見いだされた遺伝子配列と、データベース上に登録されたBcsc−1の遺伝子配列を比較検討した(図2参照)。その結果、本発明者らが得た塩基配列では、Bcsc−1の開始コドン(図2の塩基番号1055’〜1057’のATG)の上流140bp付近に塩基A(図2の塩基番号943”又は配列番号2の塩基番号943)が一つ余分にあった。それにより、本発明者らが得た塩基配列の開始コドン(図2の塩基番号36”〜38”又は配列番号2の塩基番号36〜38)は、Bcsc−1の開始コドンよりも約1000bp上流に遡ることが明らかになった。さらに、ここで見いだされた新たな開始コドンを含む領域は、典型的な転写開始配列(ACCATGG)であった。なお、本発明者らによって得られた塩基配列によりコードされる蛋白質をMASA−1と命名した。
【0028】
[10]BHK細胞へのMASA−1の導入
MASA−1によるBHK細胞のトランスフェクションは上記[6]と同様に行った。但し、5’XhoIプライマーとしてtcttgcCTCGAGatggtgcacttctgtgg(配列番号7)を用いた。
【0029】
[11]MASA−1の特性の確認
Bcsc−1を導入したBHK細胞の代わりにMASA−1を導入したBHK細胞を用いて、上記[8]とほぼ同様にして、細胞の染色及びウエスターンブロットを行った。ただし、細胞染色には一次抗体として、以下に述べる融合細胞ahMC5C12によって産生されるモノクローナル抗体5C12を用いて行った。その結果、MASA−1を導入したBHK細胞を抗原としてウエスターンブロットを行った場合には、肥満細胞を用いた場合と同じく約90kDの位置にバンドが認められ、細胞染色でも細胞表面への発現が認められた。また、ラットの肥満細胞であるRBL−2H3にも発現が認められたが、臍帯血、好酸球、末梢血リンパ球(PBL)、末梢血系細胞株であるHL−60には発現が認められなかった。これらのことから、MASA−1がコードする蛋白質が、肥満細胞表面の特異的な蛋白質であることが確認された。
【0030】
[12]融合細胞ahMC5C12(受託番号FERM BP−6070)
ここで融合細胞ahMC5C12の作製法の一例を説明する。まず、生後4日目のラット乳児に、上記実施例1で得た臍帯血の2週間培養細胞(106cell/0.1ml)を腹腔内注射して、免疫学習中のラットにこの細胞の全抗原に対する抗体産生誘導能を失わしめた。1.5ヶ月後に上記[1]で得たMC−TC(106cell/0.10ml)を、コンプリートアジュバントと共に腹腔内注射して感作免疫した。さらに、以後2週間ごとに2回、同細胞を単独で腹腔内注射した。最終免疫後、4日目に脾臓を取り出し、以下に示すように細胞融合を行った。
【0031】
摘出したラットの脾臓細胞とマウスの骨髄腫細胞とを10:1の割合で混合し、50%ポリエチレングリコール1500を融合促進剤として細胞融合を行った。融合後の細胞は脾臓細胞当り5×105cells/mlの細胞濃度となるように10%ウシ血清を含むHAT培地に懸濁し、96ウエルのマイクロタイタープレート(ヌンク社)に1ウエル当たり200μlずつ分注した。融合細胞はCO2インキュベータ(5%CO2、37℃)中で培養し、HAT培地で培地交換を行い増殖させて、脾臓細胞と骨髄腫細胞からなる融合細胞のスクリーニングを行った。ついでHAT培地中で順化し、さらに10%FCS(ウシ胎児血清)IscoveのIMDM培地で順化した。融合細胞培養上清中の抗体は、マストサイトーマの皮膚病巣より分離したMC−TCを抗原に用い、これと反応する抗体を産生するクローンを、蛍光抗体法により選別し、ahMC5C12と名付けた。得られたクローンの細胞はそれぞれ10%のDMSOを含む90%ウシ血清中に懸濁させ、液体窒素中に保存した。なお、クローンの産生する抗肥満細胞表面抗原モノクローナル抗体は、ahMC5C12をヌードマウスの腹腔内で増殖させ、その腹水から精製した。
【0032】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】 共生培養前後の肥満細胞についてキマーゼ陽性の肥満細胞の割合とトリプターゼ濃度を測定した結果を表すグラフである。
【図2】 Bcsc−1とMASA−1との塩基配列を比較した説明図である。
【図3】 cDNA発現ベクターBCMGSNeoの構造説明図である。

Claims (2)

  1. 配列番号1のアミノ酸配列を含む肥満細胞表面抗原をコードする塩基配列を有するDNA。
  2. 配列番号2の塩基配列、又は、配列番号2の塩基配列のうち塩基番号36〜2396で表される塩基配列を有する請求項1記載のDNA。
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