JP4248071B2 - 多孔質フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質フィルム及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、電池の正極負極間に配置されてこれらを隔離させる電池用セパレーター等として好適に用いられる多孔質フィルム及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器のコードレス化等に対応するため、電池として軽量で、高起電力、高エネルギーが得られ、しかも自己放電が少ないリチウム電池が注目を集めている。このリチウム電池の正極負極の間には、正極負極の短絡防止のためにセパレーターが設けられているが、このセパレーターとしては正極負極間のイオンの透過性を確保するために多数の微多孔が形成された多孔質フィルムが使用されている。
【0003】
一方、電池の高容量化、製造速度の高速化とともに、薄くかつ高強度の多孔質フィルムが望まれるようになり、かかるフィルムの材料に高分子量ポリオレフィンを用いた多孔質フィルムが種々提案されている。
【0004】
さらに、電池用セパレーターとして用いられるフィルムには、電極が短絡して電池内部の温度が上昇した際に、孔を閉塞し、電流をシャットダウンさせる、シャットダウン特性も要求される。
【0005】
特許第2,657,434号では、重量平均分子量が7×105 以上の超高分子量ポリエチレン1〜69重量%と、高密度ポリエチレン98〜1重量%と、低融点樹脂である低密度ポリエチレン1〜30重量%を含有した混合物を溶媒中で加熱溶解した溶液からゲル状組成物を形成し、加熱延伸、残存溶媒を除去し乾燥させた後、さらに熱固定して得られたポリエチレン微多孔膜について、低温でのシャットダウン性能が得られることを報告している。
【0006】
しかしながら、前記特許第2,657,434号では、結晶分散温度〜融点の温度範囲で熱固定することが望ましいとされ、低密度ポリエチレンの融点以下の温度で30秒熱固定されているが、この温度では膜強度を向上させた超高分子量ポリエチレン及び高密度ポリエチレンの熱緩和が行われる温度、時間としては不足であり、膜の収縮は大きいものと推定される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、熱収縮しにくく、優れた低温シャットダウン特性及び高空孔率を有する多孔質フィルム及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、
(1) 重量平均分子量が1×106 以上の高分子量ポリオレフィンと、融点又は軟化点が前記高分子量ポリオレフィンの融点以下の温度である樹脂であって、エチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステルグラフトエチレン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、水素添加スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、及びスチレンブタジエンゴムからなる群より選ばれる他の樹脂とからなり、その混合比(高分子量ポリオレフィン/他の樹脂)が50/50〜90/10(重量比)であり、シャットダウン温度が135℃以下で、空孔率が40〜65%で、熱収縮率が30%以下であることを特徴とする電池セパレータ用多孔質フィルム、並びに
(2) 重量平均分子量が1×106 以上の高分子量ポリオレフィンと、融点又は軟化点が前記高分子量ポリオレフィンの融点以下の温度である樹脂であって、エチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステルグラフトエチレン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、水素添加スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、及びスチレンブタジエンゴムからなる群より選ばれる他の樹脂とからなる、混合比(高分子量ポリオレフィン/他の樹脂)が50/50〜90/10(重量比)である樹脂成分及び溶媒を含有する樹脂組成物を混練りしシート状に成形し、延伸及び脱溶媒処理をした後、前記高分子量ポリオレフィンの融点−15℃以上、融点+5℃以下の温度の貧溶媒に含浸させてヒートセット処理を行う工程を有することを特徴とする、シャットダウン温度が135℃以下で、空孔率が40〜65%で、熱収縮率が30%以下である電池セパレータ用多孔質フィルムの製造方法、に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、高分子量ポリオレフィン、融点又は軟化点が前記高分子量ポリオレフィンの融点以下の温度である他の樹脂及び溶媒を含有する樹脂組成物を混練りしシート状に成形し、延伸及び脱溶媒処理をした後、所定の条件下でヒートセット処理を行うことにより、本発明の多孔質フィルムが得られる。
【0010】
本発明に用いることのできる高分子量ポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等のオレフィンの単独重合体、共重合体、およびこれらのブレンド物等が挙げられる。なかでも、得られる多孔質フィルムの高強度化の観点から、超高分子量ポリエチレンを用いることが好ましい。
【0011】
高分子量ポリオレフィンの重量平均分子量は、1×106 以上、好ましくは1.5×106 以上である。高分子量ポリオレフィンの重量平均分子量が1×106 未満であると、融点以上の温度でのフィルム強度が弱く、耐熱性に劣る。本発明の多孔質フィルムに用いる樹脂は、前記高分子量ポリオレフィンを含有しているため、高分子量ポリオレフィンの絡み合いによる高強度化が効果的に得られる。
【0012】
本発明に用いることのできる他の樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステルグラフトエチレン、エチレンプロピレン共重合エラストマー等のオレフィン系熱可塑性エラストマー、水素添加スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレンブタジエンゴム等が挙げられ、これらの中では、電池内部での反応性が低く、前記高分子量ポリオレフィンとの混和性が比較的良好なオレフィン系樹脂が好ましい。
【0013】
前記他の樹脂は、低融点又は低軟化点の樹脂であり、その融点又は軟化点は高分子量ポリオレフィンの融点以下の温度であり、高分子量ポリオレフィンの融点−10℃以下の温度がより好ましく、また多孔質構造の保持が良好である点から、100℃以上が好ましい。他の樹脂の融点又は軟化点が高分子量ポリオレフィンの融点を超えると、低シャットダウン化に寄与しなくなる。なお、本発明においては、融点とは示差走査熱量測定におけるオンセット温度であり、軟化点とはTMA測定装置を用いて、昇温速度10℃/min、荷重3gの条件で、0.5mm針が侵入開始する温度である。
【0014】
高分子量ポリオレフィンと他の樹脂の混合比は、高分子量ポリオレフィン/他の樹脂で、好ましくは50/50〜90/10(重量比)、より好ましくは60/40〜90/10(重量比)である。得られる多孔質フィルムに十分な膜強度を与えるために、高分子量ポリオレフィンの配合量は、樹脂として50重量%以上であることが好ましく、シャットダウン温度を下げるために、高分子量ポリオレフィンの配合量は、樹脂として90重量%以下が好ましい。
【0015】
本発明に用いることのできる溶媒としては、高分子量ポリオレフィン及び他の樹脂の溶解性に優れたものであれば、通常用いられる公知のものを限定されることなく用いることができる。例えば、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、デカリン、流動パラフィン等の脂肪族又は環式の炭化水素、沸点がこれらに対応する鉱油留分等が挙げられ、これらの中では、流動パラフィンなどの不揮発性溶媒が好ましい。
【0016】
高分子量ポリオレフィン、他の樹脂及び溶媒の混合割合は、得られるスラリー状の樹脂組成物を混練りしてシート状に成形できる程度であれば特に限定されない。例えば、高分子量ポリオレフィン及び他の樹脂の合計重量が樹脂組成物の5〜50重量%であることが好ましく、10〜50重量%であることがより好ましい。また、溶媒は樹脂組成物の50〜95重量%であることが好ましく、50〜90重量%であることがより好ましい。樹脂組成物をシート化する際のダイス出口でのネックインを防止して、成形を容易にするために、高分子量ポリオレフィン及び他の樹脂の含量は5重量%以上が好ましく、樹脂組成物の溶融粘度を調整して、均質に混練りするために、高分子量ポリオレフィン及び他の樹脂の含量は50重量%以下が好ましい。
【0017】
なお、前記樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
【0018】
得られる樹脂組成物を混練りし、シート状に成形する工程は、通常用いられる公知の方法により行うことができる。例えば、樹脂組成物をバンバリーミキサー、ニーダー等を用いてバッチ式で混練りし、次いで、冷却された金属板に挟み込み急冷して急冷結晶化によりシート状成形物にしてもよく、Tダイ等を取り付けた押出機などを用いてシート状成形物を得てもよい。
【0019】
樹脂組成物の混練りは、適当な温度条件下であればよく、特に限定されないが、好ましくは溶媒が高分子量ポリオレフィンを溶解し始める温度(溶解開始温度)〜+60℃の範囲で、より好ましくは溶解開始温度+20℃〜+50℃の範囲で行うのが、続くシート化工程でシート化に適した構造を得る観点から好ましい。
【0020】
シート状に成形するに際しては、押出機などから出てくるシート状成形物をさらに急冷しても良い。この時、過冷却度(ΔT)が20℃以上になる条件で急冷することがより好ましい。急冷操作を行うことにより、皮膜強度をより高めることができる。
【0021】
このようにして、高分子量ポリオレフィン及び他の樹脂を含有する樹脂組成物のシート状成形物を得ることができる。ここで得られるシート状成形物の厚みとしては、特に限定されないが、1〜20mmのものが好ましく、3〜15mmのものがより好ましい。
【0022】
次に、前記シート状成形物の延伸及び脱溶媒処理を行う。延伸処理の方式は特に限定されるものではなく、通常のテンター法、ロール法、インフレーション法またはこれらの方法の組み合わせであってもよく、また、一軸延伸、二軸延伸等いずれの方式をも適用することができる。また、二軸延伸の場合は、縦横同時延伸又は逐次延伸のいずれでもよい。さらに、本発明では、延伸処理に先立ち、シート状成形物の圧延処理を行ってもよい。
【0023】
延伸処理時の温度は、高分子量ポリオレフィンの融点+5℃以下の温度が好ましい。その他の延伸処理条件は、通常用いられる公知の条件を採用することができる。
【0024】
脱溶媒処理は、シート状成形物から溶媒を除去して多孔質構造を形成させる工程であり、例えば、シート状成形物を溶剤で洗浄して残留する溶媒を除去することにより行うことができる。溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素等の塩素化炭化水素、三フッ化エタン等のフッ化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等の易揮発性溶剤が挙げられ、これらは単独で又は二種以上を混合して用いることができる。かかる溶剤を用いた洗浄方法は、特に限定されず、例えば、シート状成形物を溶剤中に浸漬して溶媒を抽出する方法、溶剤をシート状成形物にシャワーする方法等が挙げられる。
【0025】
なお、本発明において、脱溶媒処理は、延伸前後に適宜行えばよい。例えば、前記シート状成形物を脱溶媒処理してから延伸処理に供してもよく、またシート状成形物をそのまま延伸処理してから脱溶媒処理を行ってもよい。あるいは、延伸処理前に脱溶媒処理を行い、延伸処理後に再度脱溶媒処理を行って残存溶媒を除去する態様であってもよい。
【0026】
次に、前記の工程により得られた多孔質構造を有する成形物のヒートセット処理を行う。本発明において、ヒートセット処理は、前記の工程により得られた多孔質構造を有する成形物を、ヒートセット温度以上の沸点を有する高沸点の貧溶媒に含浸させて行う。
【0027】
貧溶媒とは高分子量ポリオレフィン及び他の樹脂の溶解性が「1以下」のものをいう。この溶解性は、高分子量ポリオレフィン(又は他の樹脂)の所定量(重量を「A(g)」とする)を試料として採取し、これに1000倍(重量)の溶媒を加え、温度100℃で1時間加熱した後、試料を取り出し、室温(25℃)にてアセトンで洗浄し、次いで室温で1時間放置した後、その重量を秤量(このときの重量を「B(g)」とする)し、下記の式により、算出することができる。
溶解性=〔(A−B)/A〕×100
この方法により溶解性を求める場合、高分子量ポリオレフィン及び他の樹脂は、溶媒に対して難溶性であるので溶媒により膨潤し、アセトンによる洗浄によっても溶媒が残存することがあり、このときは溶解性は負の値を示すことがある。ただし、膨潤は少ない方が好ましく、上記の式で「−1以上」の値を示す溶媒が好ましい。
なお、このような貧溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、n−ドデカノール等が挙げられる。
【0028】
ヒートセット処理の際の、貧溶媒の温度は、高分子量ポリオレフィンの融点−15℃以上、融点+5℃以下の温度、好ましくは、高分子量ポリオレフィンの融点−10℃以上、融点以下の温度である。ヒートセット処理の際の貧溶媒の温度が、高分子量ポリオレフィンの融点−15℃未満であると、得られる多孔質フィルムの熱収縮率が大きくなり、高分子量ポリオレフィンの融点+5℃を超えると、低融点又は低軟化点である他の樹脂の流動が起こり、多孔質構造を保つことができなくなる。
【0029】
ヒートセット処理時間は、処理温度等により異なるため、一概には決定できないが、得られる多孔質フィルムの熱収縮率が30%以下になるのに十分な時間であることが好ましく、通常、30秒〜1時間程度が好ましく、5分〜1時間程度がより好ましく、10分〜1時間程度が特に好ましい。
【0030】
ヒートセット処理後は、貧溶媒の洗浄を行なうことが好ましい。使用した貧溶媒により適した洗浄剤も異なるが、例えば、N−メチルピロリドンの場合にはアセトンが、n−ドデカノールの場合には、メタノールがそれぞれ好ましい。
【0031】
また、本発明においては、予め、高分子量ポリオレフィンの融点−20℃以下の温度で予熱を行った後に、ヒートセット処理を行ってもよい。
【0032】
このようにして得られる本発明の多孔質フィルムのシャットダウン温度は、135℃以下、好ましくは130℃以下である。
【0033】
また、多孔質フィルムの空孔率は、40%以上、好ましくは45〜65%である。空孔率が40%未満であると、膜抵抗の増大が起こり、電池の充放電時の効率が低下する。
【0034】
また、多孔質フィルムの熱収縮率は、30%以下、好ましくは25%以下である。熱収縮率が30%より大きいと、電池において外部短絡等で温度上昇した場合、収縮により内部短絡が起こり、発火する危険が高まる。なお、ここでいう熱収縮率とは、後述する実施例において記載しているように、多孔質フィルムを105℃で1時間加熱した際の熱収縮率をいう。
【0035】
多孔質フィルムの厚さは、膜抵抗を抑え、かつ強度を確保するという観点から、好ましくは10〜60μm、より好ましくは15〜45μmである。
【0036】
以上に説明したように、本発明の多孔質フィルムは、製造過程において、高分子量ポリオレフィンの融点−15℃以上、融点+5℃以下の温度の貧溶媒に含浸させてヒートセット処理を行っているため、熱収縮しにくく、かつ空孔率が高いフィルムであるにもかかわらず、優れた低温シャットダウン特性を有するフィルムである。即ち、本発明では、貧溶媒が空孔内部に含浸した状態で、ヒートセット処理を行っているため、構造の収縮、特に厚み方向の収縮が抑制され、低融点又は低軟化点の他の樹脂の流動が抑えられて、多孔質構造が維持されている。一方、電池実装時には面圧がかかっているため、電池内部の温度の上昇時に孔の閉塞が起こり、また、高分子量ポリオレフィンが高温で熱緩和が施されるため、熱収縮しにくくなると考えられる。従って、本発明の多孔質フィルムは、電池セパレータとしての用途だけでなく、各種フィルター、電解コンデンサー用隔膜等にも好適に使用することができる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0038】
なお、各種特性については下記要領にて測定を行う。
【0039】
(1)融点
(株)セイコー電子工業製の示差走査熱量測定装置「DSC−200」を用いて昇温速度10℃/minで測定し、オンセット温度を融点とする。
【0040】
(2)空孔率
測定対象の多孔質フィルムを直径6cmの円状に切り抜き、その体積と重量を求め、得られる結果から次式を用いて計算する。
【0041】
空孔率(体積%)=100×〔体積(cm3 )−重量(g)/ポリオレフィン密度(g/cm3 )〕/体積(cm3 )
【0042】
(3)熱収縮率
測定対象の多孔質フィルムを直径6cmの円状に切りぬき、無張力の状態で105℃のオーブンに1時間投入する。次いでコンピュータ及びスキャナーを用いて加熱前後の画素数を測定し、次式より熱収縮率を計算する。
【0043】
熱収縮率(%)=100×(加熱後画素数)/(加熱前画素数)
【0044】
(4)シャットダウン温度
セル内にφ20mmとφ10mmのPt電極で挟み込んだ、電解液を含浸させたセパレーターを低圧で締め付け、昇温速度10℃/minでの内部抵抗の変化を記録し、100Ω・cm2 の抵抗に達した時の温度をシャットダウン温度とする。
【0045】
実施例1
超高分子量ポリエチレン(重量平均分子量:2×106 、融点:133℃)12重量部、オレフィン系熱可塑性エラストマー(住友化学(株)製、TPE821、軟化点:103℃)3重量部及び流動パラフィン85重量部をスラリー状に均一混合し、得られた樹脂組成物を小型ニーダーを用い、160℃の温度で約60分混練りした。その後、得られた混練物を0℃に冷却された金属板に挟み込み、シート状に急冷した。これらの急冷結晶化させたシート状成形物を、120℃でシート厚さが0.8mmになるまでヒートプレスし、120℃で同時に縦横3.5×3.5倍に二軸延伸し、さらにヘプタンを用いて脱溶媒処理を行なって製膜した。次いで125℃に加熱したN−メチルピロリドン中に10分間含浸させてヒートセット処理を行った後、アセトンで洗浄し、多孔質フィルムを得た。
【0046】
実施例2
ヒートセット処理を、125℃に加熱したN−メチルピロリドン中に1時間含浸させて行った以外は、実施例1と同様にして多孔質フィルムを得た。
【0047】
実施例3
超高分子量ポリエチレンの使用量を10重量部に、オレフィン系熱可塑性エラストマーの使用量を5重量部に、それぞれ変更した以外は、実施例2と同様にして多孔質フィルムを得た。
【0048】
実施例4(参考例である)
超高分子量ポリエチレン(重量平均分子量:2×106 、融点:133℃)11重量部、低密度ポリエチレン(融点:105℃)4重量部及び流動パラフィン85重量部を用い、115℃で同時に縦横3.5×3.5倍に二軸延伸した以外は実施例1と同様にして製膜し、脱溶媒処理を行なった後、120℃に加熱したN−メチルピロリドン中に10分間含浸させてヒートセット処理を行った後、アセトンで洗浄し、多孔質フィルムを得た。
【0049】
比較例1
ヒートセット処理を、115℃に加熱したN−メチルピロリドン中に1時間含浸させて行った以外は、実施例1と同様にして多孔質フィルムを得た。
【0050】
比較例2
ヒートセット処理を、140℃に加熱したN−メチルピロリドン中に1時間含浸させて行った以外は、実施例3と同様にして多孔質フィルムを得た。得られた多孔質フィルムは半透明化し、ヒートセット処理前の重量より増大していた。フィルム中の孔が閉塞し、内部に一部のN−メチルピロリドンが封じ込められたものと考えられる。
【0051】
比較例3
実施例1と同様にして製膜し、脱溶媒処理を行なった後、ヒートセット処理を行なわず、多孔質フィルムを得た。
【0052】
比較例4
超高分子量ポリエチレン(重量平均分子量:2×106 、融点:133℃)12重量部、低密度ポリエチレン(融点:105℃)3重量部及び流動パラフィン85重量部を用い、115℃で同時に縦横3.5×3.5倍に二軸延伸した以外は実施例1と同様にして製膜し、脱溶媒処理を行なった後、100℃の温風中で30秒間ヒートセットして多孔質フィルムを得た。
【0053】
実施例及び比較例において得られた多孔質フィルムの膜厚、空孔率、熱収縮率及びシャットダウン温度を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
以上の結果より、実施例1〜4の多孔質フィルムは、ヒートセット処理の際に、所定の高温に加熱した貧溶媒中で十分な熱緩和が施されているため、熱収縮しにくく、かつ空孔率が高いフィルムであるにもかかわらず優れた低温シャットダウン特性を有するフィルムであることがわかる。これに対し、ヒートセット処理が高分子量ポリオレフィンの融点−15℃より低い温度で行われた比較例1の多孔質フィルムは熱収縮率が大きく、またヒートセット処理が高分子量ポリオレフィンの融点+5℃より高い温度で行われた比較例2の多孔質フィルムは、孔内部に貧溶媒が封じ込められて閉塞し、多孔質構造を維持することができないことがわかる。さらに、ヒートセット処理が行われなかった比較例3及び低温の温風中で保持したのみの比較例4の多孔質フィルムは、ともに、空孔率は高く、低温シャットダウン特性は示されたものの、熱収縮率が著しく大きくなることがわかる。
【0056】
【発明の効果】
本発明により、熱収縮しにくく、優れた低温シャットダウン特性及び高空孔率を有する多孔質フィルムを提供することが可能となった。
Claims (3)
- 重量平均分子量が1×106 以上の高分子量ポリオレフィンと、融点又は軟化点が前記高分子量ポリオレフィンの融点以下の温度である樹脂であって、エチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステルグラフトエチレン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、水素添加スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、及びスチレンブタジエンゴムからなる群より選ばれる他の樹脂とからなり、その混合比(高分子量ポリオレフィン/他の樹脂)が50/50〜90/10(重量比)であり、シャットダウン温度が135℃以下で、空孔率が40〜65%で、熱収縮率が30%以下であることを特徴とする電池セパレータ用多孔質フィルム。
- 重量平均分子量が1×106 以上の高分子量ポリオレフィンと、融点又は軟化点が前記高分子量ポリオレフィンの融点以下の温度である樹脂であって、エチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステルグラフトエチレン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、水素添加スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、及びスチレンブタジエンゴムからなる群より選ばれる他の樹脂とからなる、混合比(高分子量ポリオレフィン/他の樹脂)が50/50〜90/10(重量比)である樹脂成分及び溶媒を含有する樹脂組成物を混練りしシート状に成形し、延伸及び脱溶媒処理をした後、前記高分子量ポリオレフィンの融点−15℃以上、融点+5℃以下の温度の貧溶媒に含浸させてヒートセット処理を行う工程を有することを特徴とする、シャットダウン温度が135℃以下で、空孔率が40〜65%で、熱収縮率が30%以下である電池セパレータ用多孔質フィルムの製造方法。
- 樹脂組成物が5〜50重量%の樹脂成分と、50〜95重量%の溶媒とからなる請求項2記載の製造方法。
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