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JP4248082B2 - 軌道作業車 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電車軌道上を走行する軌道走行車両の車体上に作業装置を設け、電車軌道上を走行して作業装置による作業を行う軌道作業車に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような軌道作業車としては、例えば、軌道走行車両の車体上に高所作業装置を設けた軌道走行高所作業車がある。高所作業装置は、例えば、車体上に旋回、起伏、伸縮等の作動が自在なブームを配設し、このブームの先端に作業者が搭乗する作業台を取り付けて構成され、ブームの作動により作業台を所望高所に移動可能となっている。この軌道走行作業車は軌道上を走行して作業現場まで移動し、作業現場において作業者が搭乗した作業台を所望高所に移動させ、作業者によるトロリ線の保守、点検等のような作業が行われる。
【0003】
ところでトロリ線には通常は電車に供給される電気が流れており、このように通電状態のままトロリ線の保守、点検作業等が行われると、作業者が感電するおそれがあるという問題がある。このため、一般的には、作業の前に作業区間内におけるトロリ線への電力供給を停止させてから作業が行われる。
【0004】
しかしながら、電力供給を停止させてもトロリ線に残留電圧が存在したり、作業中に誤ってトロリ線に電力供給がなされたり、電力供給が停止されている作業区間を越えてトロリ線に電力供給が行われている区間に作業車が入り込んだりした場合には、作業台上に搭乗した作業者の感電のおそれがある。このようなことから、軌道作業車の車体にトロリ線と当接接触可能な導電性を有する接触部材を設け、この接触部材と軌道走行用車輪とを繋いで接地回路を設けることが行われている。これによりトロリ線の残留電圧を接地回路を介して軌道側(地面側)に逃がすことができる。また、作業中にトロリ線に電力供給がなされたり、電力供給がなされている区間に入り込んだりした場合には、トロリ線は接地回路を介して軌道側に短絡されるため、変電所の遮断機を作動させてトロリ線への電力供給を停止させることができる。
【0005】
ところで電車軌道は、電車が走行するための左右一対のレールとこれらレールの上方を延びて配設された電力供給用のトロリ線とを有しており、通常、一方のレールがトロリ線からの電力のグランド(接地)として用いられ、他方のレールが信号のグランドとして用いられる。このような電車軌道上を電車が走行するときに電車の車輪は左右のレールを電気的に導通させるので、この導通信号を検出して電車の位置を検知し、ATS制御等を行っている。一方、軌道作業車は通常の電車とは別に走行するものであり、ATS制御等の誤作動を防止するために左右の車輪部材間を絶縁して構成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、軌道作業車において、上記のように接触部材と軌道走行用車輪とを繋ぐ接地回路を介してトロリ線の残留電気等を軌道側(地面側)に逃がす構成を採用した場合、接地回路を左右の車輪部材に繋げて左右のレールを介して軌道側に逃がすようにすると、左右の車輪部材間が接地回路を介して短絡して信号の誤作動を起こす可能性があるという問題がある。さらに、トロリ線から接地回路を介して電気が逃がされたときに、信号ラインにこの電気が作用して、軌道内の信号、踏切の誤作動を引き起こしたり、信号設備に損傷を与えたりするおそれがあるという問題がある。
【0007】
このためには、接地回路を左右いずれか一方の車輪部材に接続するように構成することが考えられる。しかしながら、このようにした場合、複数の軌道作業車が同一の軌道内で作業を行うときに、一の軌道作業車が左側の車輪部材を介して接地回路が繋がり、別の軌道作業車が右側の車輪部材を介して接地回路が繋がるということが起こり得る。このときには、上記一の軌道作業車の左車輪部材が接地回路を介してトロリ線と繋がり、上記別の軌道作業車の右車輪部材が接地回路を介してトロリ線と繋がる状態となり、結果的に、左右のレール間が電気接続されることになり、上記と同様の問題が発生する。
【0008】
本発明はこのような問題に鑑みたもので、軌道作業車による軌道上での作業を行うときに、トロリ線と片側のレールのみを確実に電気接続して接地させることが可能であり、且つ、複数の軌道作業車により同一軌道内での作業を行うときに、全軌道作業車が同じレールを介してトロリ線の接地を行わせることが可能なような構成の軌道作業車を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的達成のため、本発明に係る軌道作業車は、左右一対のレール上に載置されて回転移動される軌道走行用車輪およびこの軌道走行用車輪により支持された車体を有し、軌道走行用車輪をレール上に載置して回転移動させてレールに当接接触しながらレール上を走行するように構成された軌道走行車両を備え、その車体上に作業装置を有して構成され、さらに車体上に配設されてトロリ線と当接接触可能な導電性を有する接触部材と、接触部材と軌道走行用車輪とを電気的に繋いで配設された接地回路とを有する。軌道走行用車輪は、左側のレール上を転動する導電材料製の左車輪部材と右側のレール上を転動する導電材料製の右車輪部材とからなるとともに、左車輪部材および右車輪部材の間は電気的に絶縁されている。一方、接地回路は、接触部材と左車輪部材とを電気接続させてトロリ線を左車輪部材が載置されたレールに電気接続させる左接地回路と、接触部材と右車輪部材とを電気接続させてトロリ線を右車輪部材が載置されたレールに電気接続させる右接地回路と、左接地回路および右接地回路のいずれか一方による電気接続を選択する接地切換手段とを有して構成される。
【0010】
このような構成の軌道作業車の場合には、接地切換手段により左もしくは右接地回路を選択するので、トロリ線からの残留電気等がレール側に流れる場合に左右いずれか一方のレールのみに流れるため、軌道内の信号、踏切の誤作動を引き起こしたり、信号設備に損傷を与えたりするおそれがない。また、複数の軌道作業車により同一軌道内での作業を行う場合には、予めいずれの側の接地回路を選択するかを決めておいて、全作業車を同一の側の接地回路を選択させておけば、複数の軌道作業車による作業も問題なく行うことができる。
【0011】
なお、左接地回路および右接地回路のいずれによる電気接続が選択されたかを表示する接地選択表示手段を設けるのが好ましく、これにより、接地選択表示手段をみていずれの側の接地回路が選択されているかを容易に確認することができる。
【0012】
また、左接地回路および右接地回路のいずれによる電気接続を選択すべきかを予め設定する接地選択設定手段と、接地切換手段により選択された接地回路と接地選択設定手段により設定された接地回路とが相違するときに警報を行う警報手段とを備えるのが好ましい。複数の軌道作業車により同一軌道内での作業を行う場合には、予めいずれの側の接地回路を選択するかを決めるとともに接地選択設定手段によりこのように決めた接地回路を設定しておけば、このように設定した側と異なる側の接地回路を選択したときには警報手段により警報が行われる。このため、全作業車について確実に同一の側の接地回路を選択させることができ、複数の軌道作業車による作業を問題なく行うことができる。
【0013】
さらに、左接地回路の導通状態をチェックする左導通チェック装置と、右接地回路の導通状態をチェックする右導通チェック装置とを設け、左接地回路および右接地回路のいずれかによる電気接続が選択されたときに、選択された接地回路の導通状態を左もしくは右導通チェック装置によりチェックするのが好ましい。この場合、左導通チェック装置を、左接地回路と並列に設けられて接触部材と左車輪部材とを電気接続させる左チェック回路と、左接地回路および左チェック回路を介しての通電状態をチェックする左導通チェック器とから構成することができ、右導通チェック装置を、右接地回路と並列に設けられて接触部材と右車輪部材とを電気接続させる右チェック回路と、右接地回路および右チェック回路を介しての通電状態をチェックする右導通チェック器とから構成することができる。
【0014】
このような左右導通チェック装置を設けた場合、左もしくは右導通チェック装置により、選択された接地回路の通電状態チェックが行われて、選択された接地回路の導通が不十分であると判断されたときには、作業装置の作動規制もしくは警報作動を行うようにするのが好ましく、これにより作業の安全性を向上することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明に係る軌道作業車の一例として、図1に軌陸高所作業車を示している。この軌陸高所作業車1は、道路上を走行するトラックをベースとして構成されており、道路走行用のタイヤ前輪4および後輪5を有した車体3と、車体3の前部に設けられた運転キャビン2を有して構成される。なお、後輪5が駆動輪である。車体3の前後左右側方にはアウトリガジャッキ6が設けられ、中央下面には車体を軌道上に載せ換えるために車体を持ち上げるセンタジャッキ7が設けられている。
【0016】
車体3の上には高所作業装置10が配設されている。この高所作業装置10は、車体3の後部に旋回動自在に設けられた旋回台11を有し、旋回台11はその内部に配設された旋回モータ12により旋回駆動される。旋回台11には伸縮ブーム14の基端部が枢結されて起伏動自在となっており、起伏シリンダ13により起伏動される。伸縮ブーム14は入れ子式に構成されて伸縮動自在であり、内蔵の伸縮シリンダ15により伸縮動される。伸縮ブーム14の先端にはブーム軸を含む垂直面内で揺動自在となって支持部材16が枢結されており、この支持部材16の上部に作業者搭乗用の作業台17が設けられている。なお、支持部材16は図示しないレベリング機構により伸縮ブーム14の起伏に拘わらず常時垂直に保持されるようになっており、作業台17は常時水平に保持される。
【0017】
この作業台17には起伏シリンダ13、伸縮シリンダ15、旋回モータ12等の作動制御を行うための操作装置18が設けられており、作業者が操作装置18を操作して、旋回台11の旋回動、伸縮ブーム14の起伏動および伸縮動等を行わせて、作業台17を所望高所に移動させることができる。操作装置18には、後述する鉄輪の駆動制御等を操作する操作レバー、スイッチ等も設けられている。
【0018】
車体3の下面側におけるアウトリガジャッキ6の後方にはそれぞれ、前部軌道走行装置30および後部軌道走行装置35が配設されている。両軌道走行装置30,35は取り付け方向を除いて同一構成であり、前部および後部鉄輪(軌道走行用車輪)31,36と、これら鉄輪31,36をそれぞれ回転自在に支持する鉄輪保持フレーム32,37と、鉄輪保持部材32,37を上下揺動自在に(すなわち、張出および格納自在に)支持する支持フレーム33,38と、鉄輪保持部材32,37を上下揺動させて鉄輪の張出および格納作動を行わせる鉄輪昇降シリンダ34,39とを有して構成される。なお、支持フレーム33,38は車体3に固定されている。
【0019】
鉄輪昇降シリンダ34,39により鉄輪保持部材32,37を上動させて、図1において二点鎖線で示すように、鉄輪31,36を格納させると、タイヤ前後輪4,5が接地して道路走行が可能となる。一方、作業車1を軌道Rの上に位置させ、鉄輪昇降シリンダ34,39により鉄輪保持部材32,37を下動させて、図1において実線で示すように、鉄輪31,36を軌道(レール)Rの上に張り出させると、タイヤ車輪4,5は軌道Rから離れ、鉄輪31,36により車体3が支持される。この作業車1においては、鉄輪31,36を駆動する駆動用油圧モータ(図示せず)が設けられており、駆動用油圧モータにより鉄輪31,36を回転駆動して、軌道R上を走行することができる。
【0020】
この作業車1は軌道上での作業に際してトロリ線の電気を軌道側に逃がす(アースさせる)ために、接地装置を備えている。この接地装置は、作業台17の上に配設された接地パンタグラフ50を備え、接地パンタグラフ50は、作業台17に固設されたスリ板支持装置51と、このスリ板支持装置51により上下動可能に支持された導電性を有するスリ板(接触部材)52とから構成される。スリ板52はスリ板支持装置51内のスリ板昇降シリンダ(図示せず)により上下昇降作動可能である。
【0021】
接地装置の全体構成を図2に示しており、この図に基づいて接地装置の構成を説明する。スリ板52は作業時にはトロリ線Kに当接接触されるようになっており、このスリ板52に第1接地線61が繋がる。一方、後鉄輪36を構成する左右車輪部材36L,36Rにはそれぞれ回転ブラシを介して第2および第3接地線62,63が繋がる。なお、左右車輪部材36L,36Rは左右のレールRL,RR上をそれぞれ転動するのであるが、左右車輪部材36L,36Rの間は絶縁部36aにより電気的に絶縁されている。このため、第2および第3接地線62,63はそれぞれ左右車輪部材36L,36Rを介して左右のレールRL,RRと電気接続された状態となる。
【0022】
第1接地線61と第2および第3接地線62,63とを選択的に接続する接地切換スイッチ65が設けられており、この接地切換スイッチ65は接地切換レバー68の操作により作動される。接地切換レバー68は表示切換スイッチ73にも接続されており、このレバー68の操作により表示切換スイッチ73も同時に作動される。このスイッチ73には、バッテリ71に繋がる第1表示線72と、左側の前後表示ランプ75F,75Rに繋がる第2表示線74と、右側の前後表示ランプ78F,78Rに繋がる第3表示線77とが繋がる。このため、表示切換スイッチ73の作動により、第1表示線72と第2および第3表示線74,77とを選択的に接続させることができる。
【0023】
例えば、接地切換レバー68により接地切換スイッチ65および表示切換スイッチ73を左動させれば、第1接地線61と第2接地線62とが接続され、且つ第1表示線72と第2表示線74とが接続される。この結果、トロリ線Kは左車輪部材36Lと電気接続され、左レールRLを介してグランドに接続(アース接続)される。これと同時に、左側の前後表示ランプ75F,75Rにバッテリ71からの電気が流れてこれらが点灯される。表示ランプ75F,75Rは車両の前後における左側に設けられており、この作業車1の前方からも後方からも視認可能である。このため、軌道上に作業車1とは別の作業車があれば、別の作業車から作業車1において左右いずれの車輪部材をグランド接続に用いているかを簡単に識別することができる。
【0024】
なお、接地切換レバー68により接地切換スイッチ65および表示切換スイッチ73を右動させた場合は、上記と左右逆の作動となるがこれについては明白であるので、説明は省略する。また、上記の説明から分かるように、第1および第2接地線61,62と接地切換スイッチ65によりスリ板52と左車輪部材36Lとを繋ぐ左接地回路が構成され、、第1および第3接地線61,63と接地切換スイッチ65によりスリ板52と右車輪部材36Rとを繋ぐ右接地回路が構成される。
【0025】
上記の第2および第3表示線74,77からは第4および第5表示線76,79が分岐してコントローラ80に繋がっている。このコントローラ80にはさらに、左接地回路および右接地回路のいずれを選択すべきかを設定するための接地選択設定スイッチ81と、作業台17に配設された操作装置18と、左接地回路の導通状態をチェックする左導通チェック装置90と、右接地回路の導通状態をチェックする右導通チェック装置95とが接続されている。コントローラ80は、このように接続された第4および第5表示線76,79、接地選択設定スイッチ81、操作装置18、左導通チェック装置90、右導通チェック装置95からの信号を受けて、スリ板52の昇降移動を制御するスリ板昇降制御装置85,伸縮ブーム14の作動を制御するブーム作動制御装置86および鉄輪31,36の回転駆動を制御して作業車1の走行を制御する走行制御装置87に制御信号を出力する。
【0026】
上記左導通チェック装置90および右導通チェック装置95の構成について図3を参照して説明する。これら両チェック装置90,95には、それぞれ、第1接地線61から分岐するとともに導通スイッチ93,98を有した第1左および右チェック線91,96が繋がるとともに、左右の車輪部材36L,36Rと回転ブラシ接続される第2左および右チェック線92,97が繋がる。なお、第1左チェック線91、左導通チェック装置90および第2左チェック線92により形成される回路を左チェック回路と称する。同様に、右チェック回路は、第1右チェック線96、右導通チェック装置95および第2右チェック線97により形成される。
【0027】
導通スイッチ93,98は上述の接地切換レバー68により作動される。このため、例えば、図4に示すように、接地切換レバー68が操作されて接地切換スイッチ65により第1接地線61と第2接地線62とが接続されると、これと同時に、左導通スイッチ93により第1および第2左チェック線91,92が接続される。この結果、左接地回路と左チェック回路とが接続されて左導通チェック装置90を有する閉回路が形成される。左導通チェック装置90はこの閉回路に通電して閉回路の電流の流れを検査し、その検査結果信号をコントローラ80に出力する。これにより左接地回路に導通不良がある場合、例えば、第2接地線62と左車輪部材36Lとの回転ブラシ接続の接続不良がある場合にはこれが検出される。なお、右側についても同様であり、右導通チェック装置90により右側に形成される閉回路の導通状態を検査する。
【0028】
以上のような構成の軌陸高所作業車1により軌道上での高所作業を行う場合の作動を以下に説明する。まず、ブーム14を図1に示すように車体3の上に格納し、且つ鉄輪31,36を二点鎖線で示すように格納させた状態でタイヤ車輪4,5を駆動して道路走行を行って踏み切りまで移動する。踏切においてセンタージャッキ7により車体3を持ち上げるとともに回転させ、鉄輪31,36をレールRの上に位置させる。この後、鉄輪31,36を張り出させ、センタージャッキ7を縮作動させ、図1に示すように、鉄輪31,36をレールRの上に載せる。
【0029】
そして、運転キャビン2における操作装置(図示せず)を操作して、駆動用油圧モータにより鉄輪31,36を回転駆動させ、レールR上を走行させ、作業現場まで移動する。なお、このときには、ブーム14は格納状態であり、スリ板52も下降されており、駆動用油圧モータを高速回転させて高所作業車1を高速走行させることができるようにしている。なお、走行制御は作業台17の操作装置18によっても可能であるが、安全上、この操作装置18によっては駆動用油圧モータを低速回転させて低速での走行を行わせることのみが可能となっている。
【0030】
作業現場まで移動すると、作業者が作業台17に搭乗し、操作装置18を操作してブーム14の旋回、起伏、伸縮作動を行わせ、図5に示すように、作業台17を所望高所に移動させ、さらに、スリ板昇降シリンダによりスリ板52を上昇させる。図2に示したように、このよう作動制御は、操作装置18からの操作信号を受けたコントローラ80がブーム作動制御装置86およびスリ板昇降制御装置85に作動制御信号を出力して行われる。
【0031】
ここで、コントローラ80には第4および第5表示線76,79からの信号が入力されており、これらから入力信号がない場合、すなわち、接地切換レバー68が中立で、左右の接地回路が接地切換スイッチ65において繋がっていない場合には、操作装置18からの操作信号の如何に拘わらずブーム作動制御装置86およびスリ板昇降制御装置85に出力を行わないようにしている。これにより、接地回路が導通されていない限り、作業台17を移動させたり、スリ板52を上昇させたりすることができず、高所作業を行えないようになっており作業の安全を図ることができる。
【0032】
このため、作業を行う前に、作業者は接地切換レバー68を左右いずれかに操作して、接地切換スイッチ65を左右いずれかに操作する。これにより、操作された側の表示ランプ75F,75Rもしくは78F,78Rが点灯する。この結果、同じ作業現場に別の高所作業車があるときに、別の作業車からこのように点灯した表示ランプを視認してこの作業車1においてどちら側のレールをスリ板52からのグランドに用いているかを識別することができる。これにより、別の作業車も同一のレールをグランドとするようにして二つの作業車を介して左右のレールが導通するようなことを避けることができる。
【0033】
また、この高所作業車1には接地選択設定スイッチ81が設けられており、例えば、複数の作業車により作業を行うときには、作業開始前に打ち合わせてどちら側のレールをグランドとして用いるかを決め、このように決めた側を全作業車において接地選択設定スイッチ81により予め設定しておく。そして、上記のようにして作業者が接地切換レバー68を操作して接地切換スイッチ65を左右いずれかに操作すると、これに応じた信号がコントローラ80に第4および第5表示線76,79から入力されるので、コントローラ80において、この入力信号と接地選択設定スイッチ81による設定信号とを比較する。
【0034】
この比較により予め設定された側とは反対に接地切換スイッチ65が作動されたと判断されたときには、警報器88による警報作動を行い、且つブーム作動制御装置86によるブーム14の作動と、スリ板昇降制御装置85によるスリ板52の上昇作動を規制する。これにより、予め設定した側と反対のレールをグランドとして用いることが避けられ、複数の作業車を用いた作業を問題なく行うことができる。
【0035】
本装置においてはさらに、左右の導通チェック装置90,95から導通検査結果信号がコントローラ80に入力されており、接地切換レバー68の操作により接続された側の接地回路の導通不良が検出されたときには、警報器88による警報作動を行い、且つブーム作動制御装置86によるブーム14の作動と、スリ板昇降制御装置85によるスリ板52の上昇作動を規制する。これにより、接地回路が十分に機能しない状態で作業を行うことを防止し、作業の安全を図ることができる。
【0036】
以上のことから分かるように、接地切換レバー68を左右いずれかに操作すると、接地回路の導通不良がない限り、操作装置18からの操作によりブーム作動制御装置86およびスリ板昇降制御装置85を作動させることが可能となる。そこで作業開始時には、、図5に示すように、作業台17を所望高所に移動させ、且つスリ板52をトロリ線Kに当接させる操作を行う。この状態においては、トロリ線Kは高所作業車1内の接地装置を介して左右いずれかの車輪部材36L,36Rから左右いずれかのレールRL,RRと繋がる。この結果、トロリ線Kに残留電圧があっても、これを接地装置を介して地面に逃がすことができ、高所作業を安全に行うことができる。また、作業中にトロリ線Kに誤って電力供給がなされたり、作業車1をレールR上で走行させて電力供給がなされている区間に入り込んだりした場合には、トロリ線Kは接地回路を介してレール側に短絡されるため、変電所の遮断機を作動させてトロリ線への電力供給を停止させることができ、このような場合にも安全性を確保できる。
【0037】
次に、本発明の第2の実施形態としての軌陸作業車を図6および図7を参照して説明する。この軌陸高所作業車100は、道路走行用のタイヤ前輪104および後輪105を有した車体103と、車体103の前部に設けられた運転キャビン102を有して構成される。車体103の上には旋回自在に高所作業装置110が配設されており、その先端に作業台117が設けられている。
【0038】
一方、車体103における運転キャビン102の直ぐ後ろに接地パンタグラフ装置50が設けられている。この装置50は、車体103に固設された支持部材151と、支持部材151により上下に昇降移動自在に支持された昇降部材152と、昇降部材152の上端部に取り付けられたリンク部材153と、リンク部材153の上端部に取り付けられたスリ板155とから構成される。昇降部材152の昇降移動とリンク部材153の屈伸揺動とによりスリ板155が上下動されてトロリ線Kと接触可能となっている。このスリ板155からは第1接地線61がパンタグラフ装置50に沿って延び、さらに車体103の後部に延び、先端に雄コネクタ161aを有する。
【0039】
車体103の下面側には鉄輪131および136を有する前部軌道走行装置130および後部軌道走行装置135が配設されている。後部軌道走行装置135を図7に詳細に示しており、左右の後部軌道走行装置135L,135Rを有する。両装置135L,135Rはそれぞれ、鉄輪136L,136Rを回転自在に支持する鉄輪保持フレーム137L,137Rと、車体103に固設されるとともに鉄輪保持フレーム137L,137Rを揺動自在に支持する支持フレーム140L,140Rとを有する。支持フレーム140L,140Rと鉄輪保持フレーム137L,137Rとは、絶縁スリーブ138L,138Rを有した支持シャフト139L,139Rを介して繋がっており、各鉄輪136L,136Rは車体103に対して絶縁されている。
【0040】
車体103の後端の左右には、上記雄コネクタ161aと嵌合可能な雌コネクタ162a,163aが取り付けられており、これら左右の雌コネクタ162,163からそれぞれ延びて第2および第3接地線162,163が設けられており、第2および第3接地線162,163はスリップリング162b,163bを介して左右の鉄輪136L,136Rと電気接続されている。このため、雄コネクタ161aを左右いずれかの雌コネクタ162a,163aと選択的に嵌合させることにより、第1接地線161を第2および第3接地線162,163を介して左右の鉄輪136L,136Rのいずれかと選択的に接続させて接地させることが可能である。
【0041】
なお、以上の説明においては、レール上を走行するときには前後鉄輪をレール上に張り出してタイヤ車輪が浮き上がった状態で車体を持ち上げ支持し、鉄輪を回転駆動するように構成された軌陸高所作業車を例にしているが、前後鉄輪をレール上に張り出した状態でタイヤ後輪をレール上に接触させ、タイヤ後輪を回転駆動してレール上を走行するように構成された軌陸高所作業車に本発明を適用できる。さらに、タイヤ車輪がなく、鉄輪のみを有して常にレール上を走行するようになった軌道作業車も同様に本発明を適用することができる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る軌道作業車においては、接地切換手段により左もしくは右接地回路を選択するように構成されているので、トロリ線からの残留電気等がレール側に流れる場合に左右いずれか一方のレールのみに流れ、軌道内の信号、踏切の誤作動を引き起こしたり、信号設備に損傷を与えたりするおそれがない。また、複数の軌道作業車により同一軌道内での作業を行う場合には、予めいずれの側の接地回路を選択するかを決めておいて、全作業車を同一の側の接地回路を選択させ、複数の軌道作業車による作業も問題なく行うことができる。
【0043】
なお、左接地回路および右接地回路のいずれによる電気接続が選択されたかを表示する接地選択表示手段を設けるのが好ましく、これにより、接地選択表示手段を見ていずれの側の接地回路が選択されているかを容易に確認することができ、複数の軌道作業車による同一軌道内での作業に際して、全作業車について同一側の接地回路を設定することが容易となる。
【0044】
また、左右接地回路のいずれを選択すべきかを予め設定する接地選択設定手段を設け、実際に選択された接地回路と予め設定された接地回路とが相違するときに警報を行う警報手段とを備えるのが好ましい。複数の軌道作業車により同一軌道内での作業を行う場合に、予めいずれの側の接地回路を選択するかを決めるとともに接地選択設定手段によりこのように決めた接地回路を設定しておけば、このように設定した側と異なる側の接地回路を選択したときには警報手段により警報が行われる。このため、全作業車について確実に同一の側の接地回路を選択させることができ、複数の軌道作業車による作業を問題なく行うことができる。
【0045】
さらに、左接地回路の導通状態をチェックする左導通チェック装置と、右接地回路の導通状態をチェックする右導通チェック装置とを設け、左接地回路および右接地回路のいずれかによる電気接続が選択されたときに、選択された接地回路の導通状態を左もしくは右導通チェック装置によりチェックするのが好ましい。このような左右導通チェック装置を設けた場合、左もしくは右導通チェック装置により、選択された接地回路の通電状態チェックが行われて、選択された接地回路の導通が不十分であると判断されたときには、作業装置の作動規制もしくは警報作動を行うようにするのが好ましく、これにより作業の安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した軌陸高所作業車を示す正面図である。
【図2】上記軌陸高所作業車の接地装置構成を示す回路図である。
【図3】上記軌陸高所作業車の導通チェック装置構成を示す回路図である。
【図4】上記軌陸高所作業車の導通チェック装置構成を示す回路図である。
【図5】本発明を適用した軌陸高所作業車を示す正面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る軌陸高所作業車を示す正面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る軌陸高所作業車の車体および鉄輪部分を車両後方から見た図である。
【符号の説明】
1 軌陸高所作業車
3 車体
10 高所作業装置
14 ブーム
17 作業台
18 操作装置
30,35 軌道走行装置
31,36 鉄輪
50 接地パンタグラフ
52 スリ板
65 接地切換スイッチ
68 接地切換レバー
73 表示切換スイッチ
80 コントローラ
81 接地選択設定スイッチ
85 スリ板昇降制御装置
86 ブーム作動制御装置
87 走行駆動制御装置
90,95 導通チェック装置

Claims (6)

  1. 左右一対のレールおよびこれらレールの上方に配設された電力供給用トロリ線とを有してなる電車軌道を走行する軌道作業車であって、
    前記左右一対のレール上に載置されて回転移動される軌道走行用車輪および前記軌道走行用車輪により支持された車体を有し、前記軌道走行用車輪を前記レール上に載置して回転移動させて前記レールに当接接触しながら前記レール上を走行するように構成された軌道走行車両と、前記軌道走行車両の車体上に配設された作業装置と、前記車体上もしくは前記作業装置上に配設されて前記トロリ線と当接接触可能な導電性を有する接触部材と、前記接触部材と前記軌道走行用車輪とを電気的に繋いで配設された接地回路とを有し、
    前記軌道走行用鉄輪は、前記左側のレール上を転動する導電材料製の左車輪部材と前記右側のレール上を転動する導電材料製の右車輪部材とからなるとともに、前記左車輪部材および前記右車輪部材の間は電気的に絶縁されており、
    前記接地回路は、前記接触部材と前記左車輪部材とを電気接続させて前記トロリ線を前記左車輪部材が載置された前記レールに電気接続させる左接地回路と、前記接触部材と前記右車輪部材とを電気接続させて前記トロリ線を前記右車輪部材が載置された前記レールに電気接続させる右接地回路と、前記左接地回路および前記右接地回路のいずれか一方による電気接続を選択する接地切換手段とを有することを特徴とする軌道作業車。
  2. 前記左接地回路および前記右接地回路のいずれによる電気接続が選択されたかを表示する接地選択表示手段を有することを特徴とする請求項1に記載の軌道作業車。
  3. 前記左接地回路および前記右接地回路のいずれによる電気接続を選択すべきかを予め設定する接地選択設定手段と、
    前記接地切換手段により選択された接地回路と前記接地選択設定手段により設定された接地回路とが相違するときに警報を行う警報手段とを備えることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の軌道作業車。
  4. 前記左接地回路の導通状態をチェックする左導通チェック装置と、前記右接地回路の導通状態をチェックする右導通チェック装置とを備え、前記左接地回路および前記右接地回路のいずれかによる電気接続が選択されたときに、選択された接地回路の導通状態を前記左もしくは右導通チェック装置によりチェックするようになっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の軌道作業車。
  5. 前記左導通チェック装置が、前記左接地回路と並列に設けられて前記接触部材と前記左車輪部材とを電気接続させる左チェック回路と、前記左接地回路および前記左チェック回路を介しての通電状態をチェックする左導通チェック器とからなり、
    前記右導通チェック装置が、前記右接地回路と並列に設けられて前記接触部材と前記右車輪部材とを電気接続させる右チェック回路と、前記右接地回路および前記右チェック回路を介しての通電状態をチェックする右導通チェック器とからなることを特徴とする請求項4に記載の軌道作業車。
  6. 前記左もしくは右導通チェック装置により前記選択された接地回路の通電状態チェックが行われて前記選択された接地回路の導通が不十分であると判断されたときには、前記作業装置の作動規制もしくは警報作動を行うことを特徴とする請求項4もしくは5に記載の軌道作業車。
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