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JP4249592B2 - 易燃焼性不織布およびその製造方法 - Google Patents
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JP4249592B2 - 易燃焼性不織布およびその製造方法 - Google Patents

易燃焼性不織布およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、紡糸性が良好で、焼却時の燃焼性に優れた易燃焼性不織布、特に完全燃焼性に優れ、混在する可燃物の燃焼効率を促進させ、ダイオキシン類等の有害成分の発生を抑制することができる、環境に優しい易燃焼性不織布およびその製造方法に関する。
近年、生活水準の向上により種々の新しい商品が出現し、産業廃棄物や一般家庭から排出されるごみの量が増加している。これらのうち不燃性ごみは埋立処理されているが、可燃性ごみは一般的には焼却処理されている。しかし、ごみの燃焼時に発生する有害物質、特にダイオキシン類の発生は、焼却設備の制約等に関連する重要な問題となっている。このダイオキシンは燃焼過程での不完全燃焼によってその前駆体となるベンゼンと塩素化合物が反応して生成すると考えられている。このダイオキシン類の抑制には、ダイオキシン類が生成しないように燃焼条件を制御する方法、ダイオキシン類の生成後にこれを分解または除去する方法が知られているが、その発生を未然に防止することが基本的な対策となる。そのためには、ダイオキシン類の出発物質であるベンゼンや塩素化合物の発生を低減させるべく、ごみの完全燃焼化を図ることが必要となる。
具体的には、ごみ焼却時のダイオキシン類発生の抑制方法として、焼却炉の燃焼室に燃焼促進機能を有する粒子状の酸化金属触媒を直接吹き込む方法が提案されている。しかし、この方法ではごみの形態によりその内部にまで酸化金属触媒を分散させることができないことがあり、効率が悪いという問題があった。またプラスチックフィルム製のごみ袋や買物袋に酸化金属触媒を含有させることにより、焼却時に可燃ごみの焼却効率を向上させる方法が提案されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。しかし、この方法は単に樹脂成分に酸化金属触媒を添加してフィルム化するものであり、この方法をそのまま不織布に採用すると繊維の紡糸中に糸切れが多発し、繊維化できず、不織布を製造することができないという問題があった。
近年、不織布は、通気性や布帛的な機能を有することから、オムツやナプキンなどの衛生材料を始め、ウェットティッシュや生ごみの水切り袋などの生活資材、また医療用の簡易マスクやメディカルガウンなどの種々の分野において、使い捨て素材としてその使用量が著しく増大しており、これらは毎日のようにごみとして廃棄されている。従って、ごみ焼却時の不完全燃焼の抑制するために、不織布自体に燃焼促進機能を付与してごみ焼却時の効率的な燃焼を行うことが求められている。また不織布を構成する繊維を細くすることは燃焼効率の点から有利となる。しかし、燃焼促進機能を有する酸化金属触媒を単にポリマーに添加して紡糸すると上記したように紡糸中に糸切れが多発し、特に高速紡糸領域では繊維を細く紡糸することは困難であった。
また、液不透過性の裏面層と液保持性の吸収層を備えた吸収性物品のいずれかの部位に鉄系燃焼促進剤を含有させて使用済吸収性物品の焼却時の水分等の存在による燃焼温度の低下を防止する方法が提案されている(例えば、特許文献4等)。しかし、この場合も鉄系燃焼促進剤を樹脂に含有させてフィルム状とするものであり、燃焼促進剤を添加した樹脂を紡糸して不織布とする場合の問題およびこれを解決するための方法は提案されていない。
特開平7−257594号公報 特開2002−327119号公報 特開2002−363428号公報 特開2002−11048号公報
本発明の課題は、上記技術の問題点を解決し、細い繊維を安定的に紡糸して布帛的機能を維持し、かつ焼却時の有害成分の発生を抑制し、しかも優れた燃焼性を備えた易燃焼性不織布およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、燃焼促進機能を有する金属酸化物類粒子をポリマーに含有させて紡糸する際に発生する糸切れの要因が、金属酸化物類粒子の粒子径や混練性、さらにはマスターバッチとしてペレット状にする際およびマスターバッチを添加してポリマーを押出紡糸する際に発生する熱分解や酸化だけでなく、金属酸化物類粒子の存在によりポリマーが酸化されるためであることを突き止め、この酸化を防ぐために特定の酸化防止剤を併用することにより、紡糸の安定化が可能になることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本願で特許請求される発明は以下の通りである。
(1)3.3dtex以下の繊度を有するポリオレフィン系繊維を含む不織布であって、該ポリオレフィン系繊維が、燃焼に対する活性触媒機能を有する金属酸化物類粒子と、フェノール系、リン系および硫黄系から選ばれた少なくとも1種の酸化防止剤とを含有し、該金属酸化物類粒子の粒子径が1.5μm以下、およびその含有量が、0.05〜5重量%であり、かつ該酸化防止剤の含有量が0.1〜0.5重量%であることを特徴とする易燃焼性不織布。
)前記金属酸化物類粒子が、アルミニウム系金属酸化物類および/または鉄系金属酸化物類であることを特徴とする()に記載の易燃焼性不織布。
)前記ポリオレフィン系繊維が、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合物およびオクテン・プロピレン共重合物の少なくとも1種を含む繊維またはこれらの複合繊維であることを特徴とする(1)または(2)に記載の易燃焼性不織布。
3.3dtex以下の繊度を有するポリオレフィン系樹脂成分を溶融紡糸して不織布を製造するに際し、該ポリオレフィン系樹脂成分に、燃焼に対する活性触媒機能を有する、粒子径が1.5μm以下の金属酸化物類粒子を0.05〜5重量%、およびフェノール系、リン系および硫黄系から選ばれた少なくとも1種の酸化防止剤を0.1〜0.5重量%含有させて溶融紡糸し、不織布に形成することを特徴とする(1)に記載の易燃焼性不織布の製造方法。
本発明によれば、不織布を構成するポリオレフィン系繊維に特定の酸化防止剤および金属酸化物類を含有しているため、紡糸時の糸切れがなく、不織布の製造が容易であり、また繊維を細く紡糸することができ、優れた通気性と柔軟性を備えた布帛的機能を有する易燃焼性の不織布を得ることができる。さらにこの不織布はごみとして焼却した際の燃焼特性に優れているため、ダイオキシン等の有害成分の発生を抑制することができる。従って、本発明の易燃焼性不織布は、オムツやナプキンなどの衛生材料、ウェットティッシュや生ごみの水切り袋、包材などの生活資材、また医療用では簡易マスクやメディカルガウンなどの使い捨て素材に特に好適に使用することができる。
以下、本発明について説明する。
本発明の易燃焼性不織布は、不織布を構成するポリオレフィン系繊維に、燃焼に対する活性触媒機能を有する金属酸化物類粒子と、フェノール系、リン系および硫黄系から選ばれた少なくも1種の酸化防止剤を含有させることにより得られる。該酸化防止剤の含有量は上記金属酸化物類粒子によるポリオレフィン系繊維の製造中の酸化劣化を防止するに充分な程度の量とされるが、好ましくは0.05〜1重量%である。
本発明に用いられるポリオレフィン系繊維の素材としては、疎水性、強度、可撓性などの点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合物、オクテン・プロピレン共重合物などが好ましく、これらは単独でまたは2種以上混合して用いることができ、またこれらを複合して用いてもよい。繊維の繊度は10dtex以下とするのが好ましく、特に衛材用、生活資材、医療用などの布帛としての柔軟性、ソフトな触感が要求される場合には3.3dtex以下とするのが好ましい。
不織布を構成する繊維の形態には特に限定はなく、いわゆるカーディング、抄紙法等による短繊維でも、または長繊維でもよいが、強力、生産性の点からは連続フィラメントを用いるのが好ましい。この不織布は、例えば、スパンボンド法により溶融紡糸された連続フィラメントをウェブとし、これを接合して不織布とするのが好ましい。ウェブの接合には、接着剤を用いて接合する方法、低融点繊維や複合繊維により接合する方法、ホットメルトバインダーをウェブ形成中に散布して溶融接合する方法、ニードルパンチ、水流等で繊維を交絡することによりえることができる。不織布の強度および柔軟性を高めるために部分熱圧着により接合するのが好ましい。部分熱圧着する際の熱圧着面積率は、強度保持と柔軟性の点から、5〜50%が好ましい。部分熱圧着は、例えば超音波法により、または加熱したエンボスロールとフラットロールの間にウェブを通して行うことができ、これにより、例えば、ピンポイント状、矩形状等の接合点であるエンボス模様が全面に散点する不織布が得られる。
本発明に用いられる金属酸化物類粒子は、燃焼に対する活性触媒機能、すなわち燃焼時に活性酸素を発生して燃焼を促進させる作用を有するものであり、金属酸化物のほか、加熱により酸化物を形成する金属水酸化物等を含む。該金属酸化物類粒子としては、例えば、アルミニウム系金属酸化物類、鉄系金属酸化物類などが挙げられる。
アルミニウム系金属酸化物類粒子としては、ギブサイト(α−Al(OH)3 )、バイアライト(β−Al(OH)3 )、ベーマイト(α−AlO(OH))、ダイアスポア(β−AlO(OH))などから得られる活性アルミナ粒子、α−アルミナや活性アルミナなど、またはこれらを担体として白金族元素を担持させた粒子などが用いられる。
また鉄系金属酸化物類粒子としては、ゲータイト(α−FeOOH)粒子、レピドクロイサイト( γ−FeOOH) 粒子等の含水酸化第二鉄粒子、ヘマタイト(α−Fe2 3 )粒子、マグへマイト(γ−Fe2 3 )粒子、マグネタイト(FeOx ・Fe2 3 、0<x<1)粒子等の酸化鉄粒子などが用いられる。
これらは混合して用いてもよく、例えば、含水酸化第二鉄粒子または酸化鉄粒子にアルミニウムやケイ素の酸化物または水酸化物で被覆させたものなどが用いられる。
金属酸化物類粒子の粒子径は、紡糸性の点から1.5μm以下が好ましく、0.3μm以下がより好ましい。粒子径が1.5μmを超えると繊維径に対して粒子の占める割合が多くなるため、糸切れが生じ易くなり、また紡糸口金中の濾材への目詰まりが発生し易くなる。また金属酸化物類粒子の添加量(または含有量)は、0.05〜5重量%の範囲とするのが好ましく、紡糸性および燃焼促進効果からは0.1〜2重量%の範囲で添加するのがより好ましい。添加濃度が5重量%を超えると紡糸における発煙が多くなったり、紡糸口金表面のポリマー吐出部周辺への汚れ付着などにより糸切れが生じ易くなる。0.05重量%未満では、燃焼促進効果が得られない場合がある。
金属酸化物類粒子の添加方法としては、紡糸する前の樹脂成分に直接添加してもよいが、混練性の点から、例えば、あらかじめベースポリマーに金属酸化物類粒子を約45重量%以下で混練してペレット状にしたマスターバッチを作製し、紡糸する押出工程で、繊維中の金属酸化物類粒子の添加量が設定した添加濃度になるように調整して添加する方法が好ましい。ただし、マスターバッチ中の添加量が低いものを使用すると、熱履歴を受けたポリマーが多く混入されることになるため、ポリマーの粘度低下による糸切れが生じ易くなり、得られる不織布の強伸度が低下する場合がある。
本発明に用いられる酸化防止剤は、ポリマー押出時等の熱や酸素によって通常起こるポリマーの分解を防止するとともに、金属酸化物類によるポリマーの酸化を防止する作用を有する。該酸化防止剤としては、酸化防止、変色防止または製造安全性の点などの点から、通常ラジカル連鎖禁止剤として使用されているフェノール系の酸化防止剤、または過酸化物分解剤として使用されている硫黄系またはリン系の酸化防止剤が好ましく、これらは単独でまたは組み合わせて用いてもよい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3′、5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4′−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス[ 2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル] −2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、4,4−チオビス−(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2−メチレンビス−(6−t−ブチル−メチルフェノール)、4、4′−メチレンビス−(2、6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、イソオクチル−3−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾール、N,N′−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、などが用いられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールフォスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールフォスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレン−ジ−ホスホナイトなどが用いられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)などが用いられる。
酸化防止剤の添加量(または含有量)は0.05〜1重量%が好ましく、より好ましくは0.1重量%〜0.5重量%である。添加量が0.05重量%未満では、酸化防止剤としての効果が弱くなり、押出紡糸中にポリマーの粘度低下によって糸切れが生じ、また得られる不織布の強伸度が低下し易い。また添加量が1重量%を超えると紡糸中の発煙が多くなり、紡糸口金表面のポリマー吐出部周辺への汚れ付着などによる糸切れが生じ易い。酸化防止剤は、ポリマーの重合直後またはペレタイズ時に添加してもよく、また金属酸化物類を添加してマスターバッチとする際に添加してもよい。
また、必要に応じて金属酸化物類の活性触媒機能を低下させないものであれば、光安定剤、滑剤、着色剤、制電剤などの他の添加剤も併用可能であり、不織布の後加工における浸透剤などの付与も可能である。
本発明の易燃焼性不織布は、例えば、使い捨て製品として使用された後に捨てられてごみ焼却炉等で焼却される際に、その燃焼過程において不織布に含まれる金属酸化物類粒子が、加熱により脱水反応等を起こして自発的に活性酸素を生成させて活性触媒機能を発揮する。また該不織布の燃焼とともに、混在する他のごみ等の燃焼を促進させることができ、ダイオキシン類の発生を抑制することにつながる。不織布の燃焼時に発熱量が増加し、燃焼ガス中のベンゼン発生量が少なくなる程または二酸化炭素の発生量が多くなるほど、燃焼効率がよいことを示し、易燃焼性の不織布であることを示す。
不織布の易燃焼性は、例えば、易燃焼性不織布5mgを熱重量分析装置TG(セイコー電子工業社製)により、空気供給量250ml/min、昇温速度10℃/minで熱分解させ、発熱開始から発熱終了までの発熱量または発熱温度を測定し、無添加の不織布の場合と比較することによって評価することができる。この方法において、易燃焼性不織布が、発熱量において無添加の不織布と比較して200μV ・s/mg以上高い場合、または発熱温度において発熱終了温度が無添加の不織布と比較して15℃以上高温となる場合には燃焼促進に有効であると評価することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、例中の不織布はスパンボンド法により製造し、得られた不織布の特性の測定および評価は下記のようにして行った。またポリマーの酸化、分解を抑制する効果の評価は、紡糸中の糸切れ回数および不織布の強伸度で比較した。また燃焼促進効果の評価は、燃焼時の発熱量および燃焼時に発生するガス中の二酸化炭素発生比率およびベンゼン発生比率で比較した。
1)紡糸中の糸切れ回数の測定
紡孔数68H、紡孔径0.25mmの紡糸口金を用いて、紡糸温度230℃、孔当り0.9g/minで吐出し、紡糸速度3300m/minで牽引する糸を5分間目視観察し、糸切れ回数を測定した。糸切れ回数が少ない程、ポリマーの酸化、分解が抑制されていると言える。
2)不織布の強伸度の測定
幅3cm、長さ20cmの試験片を、島津製作所製テンシロンを用いて、つかみ幅100mm、試験速度300mm/minで引張試験を行い、縦方向の破断強力および破断伸度を測定した。不織布の強伸度低下が少ない程、ポリマーの酸化、分解が抑制されていると言える。
3)不織布の熱分解時発熱量の測定
得られた不織布5mgを熱重量分析装置TG(セイコー電子工業社製)により、空気供給量250ml/min、昇温速度10℃/minで熱分解させ、発熱開始から発熱終了までの発熱量を読み取った。発熱量が増加する程、加熱され燃焼が促進されるものと言える。
4)不織布の燃焼ガス中の二酸化炭素ガスおよびベンゼンガス発生比率の測定
得られた不織布35mgを石英管中に入れ、酸素供給量200ml/min下で、700℃で4分間燃焼させ、燃焼ガス中の二酸化炭素発生比率およびベンゼン発生比率をガスクロマトグラフにより測定した。燃焼ガス中の二酸化炭素発生比率が増加するほど完全燃焼化が促進され、ダイオキシン類の出発物質のベンゼン発生比率が減少することになり、ダイオキシン類の発生が抑制されると考える。
[実施例1]
フェノール系酸化防止剤Irganox1330(チバ・ガイギー社製:1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン)0.08wt%と、リン系酸化防止剤Irgafos168(チバ・ガイギー社製:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)0.1wt%とをペレタイズ時に添加したポリプロピレン(JIS−K7210の表1の条件で測定したMFR=40)を原料とし、これに、予め、金属酸化物類粒子(粒子径0.24μmのゲータイト(α−FeOOH)粒子)を原料に対して30wt%で添加したマスターバッチを3.3wt%添加しながら、溶融紡糸した。この溶融紡糸は、紡孔数2000H、紡孔径0.25mmの紡糸口金を用い、紡糸温度230℃、孔当り0.9g/minで吐出し、紡糸速度3300m/minで吐出したポリマーを紡糸口金の近傍にて側方から冷却しながら、エアーサッカー等の牽引引取装置で引き取って行った。牽引引取装置を出た糸条は、移動する金網コンベアー上にウェブとして捕集した。このウェブを搬送し、135℃に加熱した部分熱圧着面積率7%のピン柄エンボス/フラットロール間に通し、部分熱圧着し、金属酸化物類粒子の添加濃度1.0wt%、繊度2.8dtex、目付20g/m2 の不織布を得た。
紡糸中の糸切れ回数は皆無であり、不織布の強伸度の低下も見られなかった。得られた不織布のTG測定における熱分解時の発熱量は金属酸化物類粒子無添加の繊維に比べて高い値を示した。また不織布を燃焼させ、燃焼ガス中の二酸化炭素発生比率を測定すると、金属酸化物類粒子無添加の不織布より増加し、ベンゼン発生比率が減少しており、易燃焼性の不織布であることが確認された。これらの結果を表1に示した。
[実施例2]
フェノール系酸化防止剤Irganox1010(チバ・ガイギー社製:テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン)0.1wt%と、リン系酸化防止剤P−EPQ(サンド社製:テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレン−ジ−ホスホナイト)0.15wt%とをペレタイズ時に添加したポリプロピレン(JIS−K7210の表1の条件で測定したMFR=40)を原料とした以外は実施例1と同様にして、金属酸化物類粒子の添加濃度1.0wt%、繊度2.8dtex、目付20g/m2 の不織布を得た。
紡糸中の糸切れ回数は皆無であり、不織布の強伸度の低下も見られなかった。得られた不織布のTG測定における熱分解時の発熱量は金属酸化物類粒子無添加の繊維に比べて高い値を示した。また不織布を燃焼させ、燃焼ガス中の二酸化炭素発生比率を測定すると、金属酸化物類粒子無添加の不織布より増加し、ベンゼン発生比率が減少しており、易燃焼性の不織布であることが確認された。これらの結果を表1に示した。
[実施例3]
フェノール系酸化防止剤Irganox1330(チバ・ガイギー社製:1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン)0.20wt%と、リン系酸化防止剤Irgafos168(チバ・ガイギー社製:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)0.15wt%とをペレタイズ時に添加したポリプロピレン(JIS−K7210の表1の条件で測定したMFR=40)を原料とし、予め、金属酸化物類粒子(粒子径0.9μmの活性アルミナ)を原料に対して15wt%添加したマスターバッチを2wt%添加しながら、溶融紡糸した以外は実施例1と同様にして、金属酸化物類粒子の添加濃度0.3wt%、繊度2.8dtex、目付20g/m2 の不織布を得た。
紡糸中の糸切れ回数は皆無であり、不織布の強伸度の低下も見られなかった。得られた不織布のTG測定における熱分解時の発熱量は金属酸化物類粒子無添加の繊維に比べて高い値を示した。また不織布を燃焼させ、燃焼ガス中の二酸化炭素発生比率を測定すると金属酸化物類粒子無添加の不織布より増加し、ベンゼン発生比率が減少しており、易燃焼性の不織布であることが確認された。これらの結果を表1に示した。
[実施例4]
フェノール系酸化防止剤Irganox1330(チバ・ガイギー社製:1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン)0.08wt%と、リン系酸化防止剤Irgafos168(チバ・ガイギー社製:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)0.1wt%とをペレタイズ時に添加したポリプロピレン(JIS−K7210の表1の条件で測定したMFR=40)を原料とし、予め、金属酸化物類粒子(粒子径0.9μmの活性アルミナ)を原料に対して15wt%添加したマスターバッチを2wt%添加しながら、溶融紡糸した以外は実施例1と同様にして、金属酸化物類粒子の添加濃度0.3wt%、繊度2.8dtex、目付20g/m2 の不織布を得た。
紡糸中の糸切れ回数は皆無であり、不織布の強伸度の低下も見られなかった。得られた不織布のTG測定における熱分解時の発熱量は金属酸化物類粒子無添加の繊維に比べて高い値を示した。また不織布を燃焼させ、燃焼ガス中の二酸化炭素発生比率を測定すると金属酸化物類粒子無添加の不織布より増加し、ベンゼン発生比率が減少しており、易燃焼性の不織布であることが確認された。これらの結果を表1に示した。
[比較例1]
酸化防止剤を添加しないポリプロピレン(JIS−K7210の表1の条件で測定したMFR=40)を原料とした以外は実施例1と同様にして、溶融紡糸した結果、紡糸中の糸切れ回数は81回/5分間であり、また、不織布を得るのが非常に困難な状態であり、不織布は得られなかった。
[比較例2]
フェノール系酸化防止剤Irganox1330(チバ・ガイギー社製:1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン)0.01wt%、リン系酸化防止剤Irgafos168(チバ・ガイギー社製:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)0.02%をペレタイズ時に添加したポリプロピレン(JIS−K7210の表1の条件で測定したMFR=40)を原料とした以外は実施例1と同様にして、金属酸化物類粒子の添加濃度1.0wt%、繊度2.8dtex、目付20g/m2 の不織布を得た。
紡糸中の糸切れ回数は36回/5分間であり、また、不織布を得るのに困難な状態であった。得られた不織布のTG測定における熱分解時の発熱量は金属酸化物類粒子無添加の繊維に比べて高い値を示したが、不織布の強伸度が低下した。
[比較例3]
フェノール系酸化防止剤Irganox1330(チバ・ガイギー社製:1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン)0.08wt%、リン系酸化防止剤Irgafos168(チバ・ガイギー社製:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)0.1wt%をペレタイズ時に添加したポリプロピレン(JIS−K7210の表1の条件で測定したMFR=40)を原料とし、金属酸化物類粒子を無添加にした以外は、実施例1と同様にして、繊度2.8dtex、目付20g/m2 の不織布を得た。
紡糸中の糸切れ回数は皆無であり、得られた不織布の強伸度の低下は見られなかったが、TG測定における熱分解時の発熱量は、金属酸化物類粒子の添加の繊維に比べて低く、また不織布を燃焼させても、燃焼ガス中の二酸化炭素発生比率は金属酸化物類粒子添加時のような増加はみられず、ベンゼン発生比率の減少はみられなかった。
Figure 0004249592
本発明の易燃焼性不織布は、紡糸性が良好で、焼却時の燃焼性に優れるため、使い捨て素材として、オムツやナプキンなどの衛生材料を始め、ウェットティッシュや生ごみの水切り袋などの生活資材、医療用の簡易マスクやメディカルガウンなどの種々の分野において好適に使用することができ、また使用した後の焼却炉での燃焼の際にダイオキシン類等の有害成分の発生を抑制することができる。

Claims (4)

  1. 3.3dtex以下の繊度を有するポリオレフィン系繊維を含む不織布であって、該ポリオレフィン系繊維が、燃焼に対する活性触媒機能を有する金属酸化物類粒子と、フェノール系、リン系および硫黄系から選ばれた少なくとも1種の酸化防止剤とを含有し、該金属酸化物類粒子の粒子径が1.5μm以下、およびその含有量が、0.05〜5重量%であり、かつ該酸化防止剤の含有量が0.1〜0.5重量%であることを特徴とする易燃焼性不織布。
  2. 前記金属酸化物類粒子が、アルミニウム系金属酸化物類および/または鉄系金属酸化物類であることを特徴とする請求項1に記載の易燃焼性不織布。
  3. 前記ポリオレフィン系繊維が、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合物およびオクテン・プロピレン共重合物の少なくとも1種を含む繊維またはこれらの複合繊維であることを特徴とする請求項1または2に記載の易燃焼性不織布。
  4. 3.3dtex以下の繊度を有するポリオレフィン系樹脂成分を溶融紡糸して不織布を製造するに際し、該ポリオレフィン系樹脂成分に、燃焼に対する活性触媒機能を有する、粒子径が1.5μm以下の金属酸化物類粒子を0.05〜5重量%、およびフェノール系、リン系および硫黄系から選ばれた少なくとも1種の酸化防止剤を0.1〜0.5重量%含有させて溶融紡糸し、不織布に形成することを特徴とする請求項1に記載の易燃焼性不織布の製造方法。
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