JP4267345B2 - 皮膚用あぶらとりシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は皮膚用あぶらとりシートに関する。より具体的には、化粧前又は化粧後に皮膚の表面に浮き出た皮脂分を吸い取り、化粧ののりを良くすることができ、また、化粧直し等に使用できる皮膚用あぶらとりシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、化粧前又は化粧後に皮膚の表面に浮き出た皮脂分を吸い取るための脂取り紙として、「麻繊維中にポリオレフィン樹脂繊維体を10〜70重量パーセント配合し、12g/cm2〜50g/cm2の紙厚に抄造したことを特徴とする化粧用脂取り紙」(特許文献1)が提案されている。しかしながら、この化粧用脂取り紙は組織が粗いため、皮脂の吸い取り保持量が少ないなど、皮脂の吸い取り性が不十分であった。また、麻繊維以外にポリオレフィン樹脂繊維体を配合しており、使用後の化粧用脂取り紙を処分するには焼却処分する必要があるため、地球環境へ与える影響が大きいという問題もあった。
【0003】
別の化粧用脂取り紙として、「(A)植物繊維を主成分とするパルプ原料100重量部に、(B)無機質填料5〜50重量部を配合してなる紙料を調成し、抄紙して得られる紙の緊度が0.7以上であることを特徴とする化粧用脂取り紙。」が提案されている(特許文献2)が、この化粧用脂取り紙も、皮脂との馴染みがあまり良くないため、皮脂の吸い取り保持量が少ないなど、皮脂の吸い取り性が不十分であった。
【0004】
【特許文献1】
特公昭56−8606号公報(特許請求の範囲など)
【特許文献2】
特開平6−319664号公報(特許請求の範囲など)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述のような問題点を解決するためになされたもので、皮脂の吸い取り性に優れ、しかも地球環境に対する負荷の少ない皮膚用あぶらとりシートを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1にかかる皮膚用あぶらとりシートは、「親油性かつ生分解性の親油生分解繊維と、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体とからなり、前記親油生分解繊維を50mass%以上含む皮膚用あぶらとりシートであって、前記親油生分解繊維として、非溶融親油生分解繊維と、融着した融着親油生分解繊維とを含んでいることを特徴とする、皮膚用あぶらとりシート」である。このように親油生分解繊維と皮脂との親和性と、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の存在によって緻密な構造であることができるため、皮脂の吸い取り保持量が多いなど、皮脂の吸い取り性に優れている。また、生分解性の親油生分解繊維を主体としているため、二酸化炭素と水に分解されたり、堆肥として使用できるなど、焼却処分の必要がないため、地球環境に対する負荷の少ないものである。更に、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の存在によって隠蔽性が高いため、皮脂を吸い取った際に透明化することにより、皮脂を吸い取ったことの確認性にも優れている。
また、このように、融着親油生分解繊維が融着していることによって、あぶらとりシート使用時における毛羽立ちを抑制することができる。
【0008】
請求項2にかかる皮膚用あぶらとりシートは、「前記融着親油生分解繊維は、融点の異なる2種類の親油生分解樹脂からなり、繊維表面(両端部を除く)が、融点のより低い親油生分解樹脂により被覆されていることを特徴とする、請求項1記載の皮膚用あぶらとりシート」である。このように、融着親油生分解繊維の表面が融点のより低い親油生分解樹脂により被覆されていると、融着に関与できる親油生分解樹脂が多いため、あぶらとりシート使用時における毛羽立ちを効果的に抑制することができる。
【0009】
請求項3にかかる皮膚用あぶらとりシートは、「前記無機粉体及び/又は生分解性有機粉体が、前記融着親油生分解繊維に固定されていることを特徴とする、請求項2に記載の皮膚用あぶらとりシート」である。このように、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体が融着親油生分解繊維に固定されていると、あぶらとりシート使用時に、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の脱落が生じにくく、皮膚へ転写されにくい。
【0010】
請求項4にかかる皮膚用あぶらとりシートは、「前記親油生分解繊維がポリ乳酸系繊維からなることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の皮膚用あぶらとりシート」である。ポリ乳酸系繊維は二酸化炭素と水に分解できるばかりでなく、原料である澱粉は、トウモロコシなど農作物の廃棄部分や、廃紙、生ごみなどから抽出でき、廃棄物を有効活用できるため、この点からも地球環境に対する負荷の少ないものである。また、ポリ乳酸系繊維は透明度が高いため、皮脂を吸い取ったことの確認性に優れている。更に、ポリ乳酸系繊維は抗菌性にも優れているため、細菌や黴によって使用者の皮膚を汚染しないという効果も奏する。
【0011】
請求項5にかかる皮膚用あぶらとりシートは、「親油性かつ生分解性の親油生分解繊維と、親油性かつ生分解性の親油生分解樹脂バインダと、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体とからなり、前記親油生分解繊維と親油生分解樹脂バインダとを合わせて50mass%以上含む皮膚用あぶらとりシート」である。このように親油生分解繊維及び親油生分解樹脂バインダと皮脂との親和性と、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の存在によって緻密な構造であることができるため、皮脂の吸い取り保持量が多いなど、皮脂の吸い取り性に優れている。また、生分解性の親油生分解繊維及び親油生分解樹脂バインダを主体としているため、二酸化炭素と水に分解されたり、堆肥として使用できるなど、焼却処分の必要がないため、地球環境に対する負荷の少ないものである。なお、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の存在によって隠蔽性が高いため、皮脂を吸い取った際に透明化することにより、皮脂を吸い取ったことの確認性にも優れている。更に、親油生分解樹脂バインダの作用により、あぶらとりシート使用時における毛羽立ちを抑制することができる。
【0012】
請求項6にかかる皮膚用あぶらとりシートは、「前記無機粉体及び/又は生分解性有機粉体が、前記親油生分解樹脂バインダに固定されていることを特徴とする、請求項5に記載の皮膚用あぶらとりシート」である。このように、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体が親油生分解樹脂バインダに固定されていると、あぶらとりシート使用時に、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の脱落が生じにくく、皮膚へ転写されにくい。
【0013】
請求項7にかかる皮膚用あぶらとりシートは、「前記親油生分解繊維と前記親油生分解樹脂バインダのいずれもポリ乳酸系樹脂からなることを特徴とする、請求項5又は請求項6記載の皮膚用あぶらとりシート」である。ポリ乳酸系樹脂は二酸化炭素と水に分解できるばかりでなく、原料である澱粉は、トウモロコシなど農作物の廃棄部分や、廃紙、生ごみなどから抽出でき、廃棄物を有効活用できるため、この点からも地球環境に対する負荷の少ないものである。また、ポリ乳酸系樹脂は透明度が高いため、皮脂を吸い取ったことの確認性に優れている。ポリ乳酸系樹脂は抗菌性にも優れているため、細菌や黴によって使用者の皮膚を汚染しないという効果も奏する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の皮膚用あぶらとりシートは、親油性かつ生分解性の親油生分解繊維と、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体とからなり、前記親油生分解繊維を50mass%以上含む皮膚用あぶらとりシート(以下、第1あぶらとりシートという)と、親油性かつ生分解性の親油生分解繊維と、親油性かつ生分解性の親油生分解樹脂バインダと、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体とからなり、前記親油生分解繊維と親油生分解樹脂バインダとを合わせて50mass%以上含む皮膚用あぶらとりシート(以下、第2あぶらとりシートという)の場合がある。以下、より具体的に説明する。
【0015】
(第1あぶらとりシート)
本発明の第1あぶらとりシートは、皮脂との親和性に優れ、皮脂の吸い取り性に優れているように親油性であり、しかも地球環境に対する負荷を小さくできるように生分解性である、親油生分解繊維を第1あぶらとりシート中、50mass%以上含んでいる。
【0016】
本発明における「親油性」とは、樹脂の水に対する接触角を液適法により測定して、60°以上、100°以下であることをいい、「生分解性」とは、自然界の微生物が関与して環境に悪影響を与えない低分子化合物(例えば、水、二酸化炭素など)に分解される特性を有することをいう。
【0017】
このような親油生分解繊維を構成する親油生分解樹脂として、例えば、脂肪族ポリエステルを挙げることができ、より具体的には、ポリ−L−乳酸、ポリグリコール酸などのポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸などのポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ−ε−カプロラクトンなどのポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート)、ポリブチレンサクシネートやポリエチレンサクシネートなどのポリアルキレンアルカノエートなどを挙げることができる。これらの中でも、ポリ−L−乳酸はトウモロコシなど農作物の廃棄部分や、廃紙、生ごみなどから抽出した澱粉を原料とすることができ、廃棄物を有効活用でき、しかも透明度が高く、皮脂を吸い取ったことの確認性にも優れているため、好適である。また、ポリ−L−乳酸は抗菌性にも優れているため、細菌や黴によって使用者の皮膚を汚染しないという効果も奏する。そのため、第1あぶらとりシートを構成する親油生分解繊維は、ポリ乳酸系樹脂のみからなるポリ乳酸系繊維のみから構成されているのが好ましい。
【0018】
この「ポリ乳酸系樹脂」とは、乳酸モノマーを含むポリマーを意味し、前記ポリ−L−乳酸以外に、ポリ−D−乳酸、L−乳酸とD−乳酸との共重合体、L−乳酸及び/又はD−乳酸とエステル結合形成性の第2成分(例えばラクトン類、ヒドロキシカルボン酸、グリコールとジカルボン酸を組み合わせたものなど)との共重合体、などを挙げることができる。
【0019】
本発明の第1あぶらとりシートは上述のように親油生分解繊維を含んでいるが、特に、非溶融親油生分解繊維と、融着した融着親油生分解繊維とを含んでいるのが好ましい。このような状態にあることによって、第1あぶらとりシートの形態を保つことができるとともに、第1あぶらとりシート使用時における毛羽立ちを抑制できるためである。
【0020】
この非溶融親油生分解繊維は、第1あぶらとりシートの骨格を形成する働きをするため、溶融していない状態にある。そのため、非溶融親油生分解繊維は後述の融着親油生分解繊維の融着成分である低融点親油生分解樹脂よりも高い融点をもつ高融点親油生分解樹脂のみからなる。このように、非溶融親油生分解繊維は高融点親油生分解樹脂のみから構成されていれば良く、融点の観点からみて1種類の高融点親油生分解樹脂のみから構成されていても、2種類以上の高融点親油生分解樹脂から構成されていても良い。なお、第1あぶらとりシート製造上の観点から、高融点親油生分解樹脂は、融着親油生分解繊維の低融点親油生分解樹脂よりも、融点が10℃以上高いのが好ましく、20℃以上高いのがより好ましい。本発明における「融点」は、JIS K 7121(熱流束示差走査熱流量測定(DSC))に規定されている方法により、昇温速度10℃/分の条件下で得られる測定値をいう。
【0021】
本発明の第1あぶらとりシートにおいては、上述のような非溶融親油生分解繊維に加えて、融着親油生分解繊維を含み、この融着親油生分解繊維が融着していることによって、第1あぶらとりシートの形態を保つことができるとともに、使用時における毛羽立ちを抑制することができる。そのため、融着親油生分解繊維の表面の少なくとも一部は、前述の非溶融親油生分解繊維を構成する高融点親油生分解樹脂よりも低い融点をもつ低融点親油生分解樹脂からなる。このように、融着親油生分解繊維は表面に低融点親油生分解樹脂を備えていれば良く、低融点親油生分解樹脂のみから構成されていても、低融点親油生分解樹脂と高融点親油生分解樹脂とが混在していても良い。
【0022】
特に、融着親油生分解繊維が、融点の異なる2種類の親油生分解樹脂からなり、繊維表面(両端部を除く)が、融点のより低い親油生分解樹脂(低融点親油生分解樹脂)により被覆されていると、融着に関与できる低融点親油生分解樹脂が多く、第1あぶらとりシート使用時における毛羽立ちを効果的に抑制することができ、しかも融着に関与していない、融点のより高い親油生分解樹脂の働きによって繊維形態を維持し、第1あぶらとりシートの形態安定性にも優れ、第1あぶらとりシート使用時の取り扱い性に優れているため好適である。この場合、低融点親油生分解樹脂と融点のより高い親油生分解樹脂との融点差は、第1あぶらとりシート製造上の観点から、10℃以上あるのが好ましく、20℃以上あるのがより好ましい。また、低融点親油生分解樹脂と融点のより高い親油生分解樹脂との体積比は3:7〜7:3であるのが好ましい。
【0023】
このように、第1あぶらとりシートを構成する融着親油生分解繊維は、低融点親油生分解樹脂により繊維表面が被覆された状態(いわゆる芯鞘型)にあるのが好ましいが、低融点親油生分解樹脂によって繊維表面が被覆されていない融着親油生分解繊維(例えば、横断面において、サイドバイサイド型、多重バイメタル型、オレンジ型に配置)であっても使用できる。
【0024】
本発明の第1あぶらとりシートにおいては、融着親油生分解繊維が融着しているのが好ましいが、融着親油生分解繊維は熱及び圧力の作用により、第1あぶらとりシート全体で融着しているのが好ましい。このように第1あぶらとりシート全体で融着していることによって、平均孔径が小さく、孔径分布が狭いため脂の吸い取り性に優れ、しかも機械的強度に優れており、取り扱いやすい第1あぶらとりシートであることができるためである。
【0025】
なお、本発明の第1あぶらとりシートにおいては、融点の観点で相違する2種類以上の非溶融親油生分解繊維を含んでいることができるし、融点の観点で相違する2種類以上の融着親油生分解繊維を含んでいることもできる。
【0026】
また、親油生分解繊維(非溶融親油生分解繊維、融着親油生分解繊維)を構成する親油生分解樹脂中に顔料及び/又は染料が混在していることによって、着色された状態にあっても良いし、抗菌剤などの各種機能性粉体が混在していることによって、各種機能が付与された状態にあっても良い。前者のように着色された状態にあると、皮脂を吸い取った際に色が浮き出て、皮脂の吸い取り効果の確認性が高くなる。なお、親油生分解繊維が2種類以上の親油生分解樹脂からなる場合には、全ての親油生分解樹脂中に顔料、染料、及び/又は機能性粉体が混在していても良いし、一部の親油生分解樹脂中のみに顔料、染料、及び/又は機能性粉体が混在していても良い。例えば、親油生分解繊維の横断面形状が芯鞘型であるように、2種類の親油生分解樹脂が配置している場合には、芯部分のみ、鞘部分のみ、或いは芯部分と鞘部分の両方に、顔料、染料、及び/又は機能性粉体が混在していることができ、親油生分解繊維の横断面形状がサイドバイサイド型であるように、2種類の親油生分解樹脂が配置している場合には、いずれか一方の樹脂部分のみ、或いは両方の樹脂部分に、顔料、染料、及び/又は機能性粉体が混在していることができる。特に、芯鞘型親油生分解繊維の芯部分のみ、又はサイドバイサイド型親油生分解繊維の一方の樹脂部分のみに、顔料及び/又は染料が存在していると、皮脂を吸い取った部分の色の浮き出し効果が高く、吸い取り効果の確認性に優れているため好適である。他方、抗菌剤などの機能性粉体が混在している場合には、各種機能を発揮できるように、繊維表面を構成する親油生分解樹脂中に混在しているのが好ましい。つまり、芯鞘型親油生分解繊維の場合、鞘部分のみ、又は鞘部分と芯部分の両方に機能性粉体を含み、サイドバイサイド型親油生分解繊維の場合、いずれか一方の樹脂部分のみ、又は両方の樹脂部分に機能性粉体を含むのが好ましい。
【0027】
本発明の第1あぶらとりシートを構成する親油生分解繊維(非溶融親油生分解繊維及び融着親油生分解繊維)の繊維径は、特に限定するものではないが、微細な空隙を有する緻密な構造を形成でき、皮膚との密着性に優れていることによって皮脂の吸い取り性に優れ、しかもソフトで肌触りの優れる第1あぶらとりシートであることができるように、0.5〜30μmであるのが好ましく、1〜20μmであるのがより好ましい。この「繊維径」は、親油生分解繊維の横断面形状が円形である場合には、その直径をいい、親油生分解繊維の横断面形状が非円形である場合には、横断面積と面積の同じ円の直径をいう。なお、「繊維径」は電子顕微鏡写真などの拡大写真をもとに測定して得られる値をいう。
【0028】
本発明の第1あぶらとりシートを構成する親油生分解繊維(非溶融親油生分解繊維及び融着親油生分解繊維)の繊維長は、特に限定するものではないが、平均孔径の小さい緻密な構造を形成でき、皮脂の吸い取り性に優れる第1あぶらとりシートであることができるように、15mm以下であるのが好ましく、10mm以下であるのがより好ましい。なお、親油生分解繊維の繊維長の下限は特に限定するものではないが、1mm程度が適当である。この「繊維長」は、JIS L1015(化学繊維ステープル試験法)B法(補正ステープルダイヤグラム法)により得られる値をいう。
【0029】
本発明の第1あぶらとりシートを構成する親油生分解繊維(非溶融親油生分解繊維及び融着親油生分解繊維)は、延伸状態にあるのが好ましい。このように親油生分解繊維が延伸状態にあると、第1あぶらとりシートの引張り強度が強く、破断伸度が小さいため伸びにくく、取り扱い性に優れているためである。なお、「延伸状態」とは、紡糸工程とは別の延伸工程(例えば、延伸ねん糸機による延伸工程)により延伸されていることをいい、例えば、メルトブロー法のように溶融押し出した樹脂に対して熱風を吹き付けて形成した繊維は、紡糸工程と延伸工程とが同じであるため延伸状態にはない。
【0030】
本発明の第1あぶらとりシートが非溶融親油生分解繊維と融着親油生分解繊維とを含む場合、その含有比率は特に限定するものではないが、第1あぶらとりシート使用時における毛羽立ちを抑制することができ、機械的強度に優れ、伸びも小さく、使用時の取り扱い性に優れるように、(非溶融親油生分解繊維の質量比率):(融着親油生分解繊維の質量比率)=20〜90:80〜10であるのが好ましく、(非溶融親油生分解繊維の質量比率):(融着親油生分解繊維の質量比率)=50〜85:50〜15であるのがより好ましい。なお、毛羽立ちのみを考慮するのであれば、融着親油生分解繊維100%から構成することも可能である。
【0031】
このような親油生分解繊維は皮脂の吸い取り性に優れるとともに、地球環境へ与える影響が少ないように、第1あぶらとりシートの50mass%以上含まれているが、親油生分解繊維量が多ければ多い程、前記効果に優れているため、60mass%以上含まれているのがより好ましい。他方、後述の無機粉体及び/又は生分解性有機粉体との兼ね合いから、第1あぶらとりシートの80mass%以下含まれているのが好ましく、70mass%以下含まれているのがより好ましい。
【0032】
本発明の第1あぶらとりシートは、上述のような親油生分解繊維に加えて、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体を含んでいるため、緻密な構造であることができるため、皮脂の吸い取り性に優れている。また、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体を含んでいることによって、隠蔽性にも優れているため、皮脂を吸い取ったことの確認性に優れている。なお、無機粉体と生分解性有機粉体のどちらか一方のみを含んでいても良いし、両方を含んでいても良い。
【0033】
本発明の第1あぶらとりシートを構成する無機粉体は、特に限定するものではないが、例えば、シリカ、カオリン、ハロイサイト、蝋石、タルク、セリサイト、アロフェン、ゼオライト、モンモリナイト、ベントナイト、焼成ケイソウ土、アルミナ、ホワイトカーボン、酸化チタン、亜鉛華、胡粉、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、トルマリン、炭などを挙げることができ、このような無機粉体を1種類又は2種類以上含んでいることができる。このような無機粉体を含んでいることによって、無機粉体固有の特性を第1あぶらとりシートに付与又は向上させることができる。例えば、皮脂や汗の吸着又は吸収特性、触感、皮膚のすべすべ感、殺菌性、抗菌性、制菌性、香りなどを、付与又は向上させることができる。
【0034】
他方、第1あぶらとりシートを構成する生分解性有機粉体も、特に限定するものではないが、例えば、キチン、キトサン、ヨモギ粉、竹粉、コラーゲンなどを挙げることができ、このような生分解性有機粉体を1種類又は2種類以上含んでいることができる。このような生分解性有機粉体を含んでいることによって、生分解性有機粉体固有の特性を第1あぶらとりシートに付与又は向上させることができる。例えば、殺菌性、制菌性、抗菌性、脱臭性、保湿性、香りなどを、付与又は向上させることができる。
【0035】
本発明の第1あぶらとりシートを構成する無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の平均粒子径は特に限定するものではないが、第1あぶらとりシートが緻密な構造をもち、皮脂の吸い取り性及び皮脂の吸い取り確認性に優れているように、30μm以下であるのが好ましく、10μm以下であるのがより好ましく、5μm以下であるのが更に好ましい。下限は特に限定するものではないが、0.1μm程度が適当である。この無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の「平均粒子径」は、コールターカウンター法により得られる値をいう。
【0036】
本発明の第1あぶらとりシートが融着親油生分解繊維を含んでいる場合、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体は、融着親油生分解繊維に固定(特には融着)されているのが好ましい。このように、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体が融着親油生分解繊維に固定されていることによって、第1あぶらとりシート使用時に、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の脱落が生じにくく、皮膚へ転写されにくいためである。
【0037】
本発明の第1あぶらとりシートにおける無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の含有量は、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の種類、第1あぶらとりシートのグレード、親油生分解繊維の種類、第1あぶらとりシートの空隙率等によって異なるため、特に限定するものではないが、皮脂の吸い取り性や皮脂の吸い取り効果の確認性に優れているように、第1あぶらとりシートの20mass%以上含まれているのが好ましく、30mass%以上含まれているのがより好ましい。他方、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の含有量の上限は、親油生分解繊維との兼ね合いから50mass%以下であるのが好ましく、40mass%以下であるのがより好ましい。なお、無機粉体と生分解性有機粉体の両方を含んでいる場合には、両方の合計量が前記範囲内にあるのが好ましい。
【0038】
本発明の第1あぶらとりシートは上述のように、親油生分解繊維と無機粉体及び/又は生分解性有機粉体とからなるが、皮脂の吸い取り性に優れ、瞬時に吸い取り面から他方の面まで皮脂を透過させることができ、皮脂量が少なくても皮脂を吸い取ったことを確認しやすいように、平均孔径が15μm以下であるのが好ましい。この平均孔径が小さければ小さい程、前記効果に優れているため、好ましい平均孔径は14μm以下であり、より好ましい平均孔径は13μm以下である。なお、平均孔径の下限は特に限定するものではないが、皮脂の吸い取り保持量が少なくなり過ぎないように、0.1μm程度が適当である。この第1あぶらとりシートの「平均孔径」は、PMI社(Porous Materials Inc.米国)のパームポロメーター(Automated Perm Porometer)を用い、ASTM E−1294−89に基づいて求めた平均流量細孔径をいう。より具体的には、乾いたサンプルと試液で濡らしたサンプルについて、徐々に圧力を上げながら気体の透過流量と圧力の関係曲線を求め、次いで、濡れ流量曲線(wet flow curve)と乾き流量曲線(dry flow curve)の1/2の傾きの曲線(half dry curve)が交わる点の圧力を求め、これを次の方程式に代入して、平均流量細孔径、つまり平均孔径(μm)を求める。
d=2860γ/P
ここで、d=平均流量細孔径(μm)、γ=試液の表面張力(mN/m)、P=圧力(Pa)をそれぞれ意味する。
【0039】
本発明の第1あぶらとりシートは、実質的に融着親油生分解繊維の融着のみによって形態を維持しているのが好ましい。このように実質的に融着親油生分解繊維の融着のみによって形態を維持していると、親油生分解繊維(非溶融親油生分解繊維、融着親油生分解繊維)が均一に分散した状態にあることができ、平均孔径が小さく、狭い孔径分布であることができ、また無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の担持性に優れ、皮脂の吸い取り性に優れているためである。例えば、融着親油生分解繊維の融着以外に、絡合によっても繊維同士が固定されていると、繊維同士を絡合させるための作用(例えば、水流などの流体流など)によって、親油生分解繊維の偏在が生じ、平均孔径が大きくなり、皮脂の吸い取り性が悪くなる傾向があるのに対して、実質的に融着親油生分解繊維の融着のみによって形態を維持していると、親油生分解繊維が均一に分散しており、平均孔径が小さいことによって、皮脂の吸い取り性に優れている。なお、第1あぶらとりシートのもととなる繊維ウエブを製造する際に、親油生分解繊維同士が絡むことがあるが、この絡合は第1あぶらとりシートを構成する親油生分解繊維の均一分散性を阻害し、平均孔径を大きくするものではないため、実質的に絡合していないとみなすことができる。このように、「実質的に融着親油生分解繊維の融着のみ」とは、繊維ウエブを形成した後における親油生分解繊維同士の固定が融着親油生分解繊維の融着のみによってなされていることをいう。
【0040】
本発明の第1あぶらとりシートは湿式繊維ウエブに由来しているのが好ましい。このように湿式繊維ウエブに由来していると、親油生分解繊維が均一に分散した状態にあることができるため、より小さい平均孔径であることができ、孔径分布も狭い状態にあることができる結果、皮脂の吸い取り性に優れているためである。
【0041】
本発明の第1あぶらとりシートの目付、厚さ、及び見掛密度は特に限定するものではないが、緻密で微細な孔を有する組織であり、皮脂の吸い取り性及び皮脂吸い取り確認性に優れているように、目付は13〜35g/m2(15〜30g/m2であるのがより好ましい)であるのが好ましく、厚さは20〜50μm(20〜40μmであるのがより好ましい)であるのが好ましく、見掛密度は0.45〜0.9g/cm3(0.5〜0.8g/cm3であるのがより好ましい)であるのが好ましい。なお、「目付」はJIS L 1085:1998の6.2に規定された方法で測定した単位面積当たりの質量をいい、「厚さ」はJIS L1085:1998、6.1(厚さ)に規定されているA法により得られる値をいい、「見掛密度」は目付(g/cm2)を厚さ(cm)で除した値をいう。
【0042】
本発明の第1あぶらとりシートは見掛空隙容積が7〜30cm3/m2であるのが好ましい。見掛空隙容積がこの範囲にあると、皮脂量が少なくても皮脂の吸い取り効果の確認性に優れているためである。より好ましい見掛空隙容積は8〜25cm3/m2である。なお、この「見掛空隙容積」は次の式から得られる値をいう。
V=100×100×t×(1−d/Gav)
ここで、Vは見掛空隙容積(cm3/m2)を表し、tは第1あぶらとりシートの厚さ(cm)を表し、dは第1あぶらとりシートの見掛密度(g/cm3)を表し、Gavは第1あぶらとりシートの平均比重(g/cm3)を表す。なお、「平均比重」は、第1あぶらとりシートを構成する比重の異なる各材料の質量比から算出した質量平均値をいう。例えば、第1あぶらとりシートが比重Gaの材料Ma(mass%)と、比重Gbの材料Mb(mass%)とからなる場合の平均比重Gav(g/cm3)は次の式から得られる値をいう。
Gav={Ga×Ma/(Ma+Mb)}+{Gb×Mb/(Ma+Mb)}
【0043】
このような第1あぶらとりシートは、例えば次のようにして製造できる。
【0044】
まず、親油生分解繊維(非溶融親油生分解繊維及び融着親油生分解繊維)と無機粉体及び/又は生分解性有機粉体とを用意した後、水などの分散媒体中に、親油生分解繊維(非溶融親油生分解繊維及び融着親油生分解繊維)の質量比率が50mass%以上となるように、これら材料を分散させた後、例えば、水平長網方式、傾斜ワイヤー型短網方式、円網方式、又は長網・円網コンビネーション方式により抄き上げて、粉体含有繊維ウエブを形成する。
【0045】
次いで、この粉体含有繊維ウエブに、乾燥と同時、又は乾燥とは別に加熱処理を実施して、融着親油生分解繊維の低融点親油生分解樹脂を融着させて、非溶融親油生分解繊維と融着親油生分解繊維との融着、及び融着親油生分解繊維と無機粉体及び/又は生分解性有機粉体との融着を実施して、本発明の第1あぶらとりシートを製造できる。このように、第1あぶらとりシートの地合いが優れているように、実質的に融着親油生分解繊維の融着のみによって第1あぶらとりシートの形態を維持しているのが好ましい。
【0046】
なお、融着親油生分解繊維の融着は、例えば、粉体含有繊維ウエブを一対のカレンダーロール間を通過させることによって実施できる。このカレンダーロールの温度を融着親油生分解繊維の低融点親油生分解樹脂の融点よりも10〜50℃低い温度に設定し、カレンダーロール間の圧力を150〜300kg/cmとするのが好ましい。このカレンダーロールとして、いずれのカレンダーロールも表面が平滑なものを使用すると、第1あぶらとりシート全体が融着した状態とすることができる。
【0047】
また、本発明の第1あぶらとりシートの平均孔径を15μm以下としたり、見掛空隙容積を7〜30cm3/m2とするには、例えば、熱及び圧力によって第1あぶらとりシート全体を融着させること、実質的に融着親油生分解繊維の融着のみを行うこと、加熱加圧条件を調節して厚さを調整すること、などの諸条件を満足させることによって製造することができる。なお、融着親油生分解繊維の量を多くしたり、加熱加圧条件を強くすることにより、平均孔径のより小さい第1あぶらとりシートを製造することができる。
【0048】
上述の方法は、親油生分解繊維(非溶融親油生分解繊維及び融着親油生分解繊維)と無機粉体及び/又は生分解性有機粉体とを分散媒体中に分散させて粉体含有繊維ウエブを形成した後、融着親油生分解繊維の低融点親油生分解樹脂の融着により第1あぶらとりシートを製造する方法であるが、このような方法に替えて、親油生分解繊維(非溶融親油生分解繊維及び融着親油生分解繊維)を分散媒体中に分散させて繊維ウエブ(無機粉体及び/又は生分解性有機粉体を含まない)を形成した後、融着親油生分解繊維の低融点親油生分解樹脂の融着により融着繊維ウエブを形成し、次いで、融着繊維ウエブに対して、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体を分散させた分散液を付与した後、粉体付着融着繊維ウエブの乾燥と同時、又は乾燥とは別に熱処理をして、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体を融着親油生分解繊維に融着固定して、第1あぶらとりシートを製造することもできる。
【0049】
(第2あぶらとりシート)
本発明の第2あぶらとりシートは、親油性かつ生分解性の親油生分解繊維と、親油性かつ生分解性の親油生分解樹脂バインダと、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体とからなり、前記親油生分解繊維と親油生分解樹脂バインダとを合わせて50mass%以上含んでいる。そのため、親油生分解繊維及び親油生分解樹脂バインダと皮脂との親和性と、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の存在によって緻密な構造であることができるため、皮脂の吸い取り保持量が多いなど、皮脂の吸い取り性に優れている。また、生分解性の親油生分解繊維及び親油生分解樹脂バインダを主体としているため、二酸化炭素と水に分解されたり、堆肥として使用できるなど、焼却処分の必要がなく、地球環境に対する負荷の少ないものである。なお、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の存在によって隠蔽性が高いため、皮脂を吸い取った際に透明化することにより、皮脂を吸い取ったことの確認性にも優れている。更に、親油生分解樹脂バインダの作用により、第2あぶらとりシート使用時における毛羽立ちを抑制することができる。
【0050】
本発明の第2あぶらとりシートを構成する親油生分解繊維は、第1あぶらとりシートを構成できる非溶融親油生分解繊維と全く同様の非溶融親油生分解繊維、及び/又は第1あぶらとりシートを構成できる融着親油生分解繊維と全く同様の融着親油生分解繊維から構成することができる。なお、第2あぶらとりシートにおいては、非溶融親油生分解繊維のみから構成されていても、後述の親油生分解樹脂バインダによって接着され、第2あぶらとりシートの形態を維持することができるため、必ずしも融着親油生分解繊維を必要としない。この点以外は、第1あぶらとりシートと第2あぶらとりシートを構成する親油生分解繊維に違いはなく、また、第2あぶらとりシートを構成する親油生分解繊維の状態(融着状態、含有状態など)も、第1あぶらとりシートを構成する親油生分解繊維の状態と違いはない。そのため、詳細な説明は省略する。
【0051】
一方、第2あぶらとりシートを構成する親油生分解樹脂バインダは、例えば、親油生分解繊維同士の交点又は交差点を接着している。そのため、第2あぶらとりシートは機械的強度が高いため取り扱いやすく、また第2あぶらとりシート使用時に、毛羽立ちが生じにくい。
【0052】
第2あぶらとりシートを構成する親油生分解樹脂バインダは、第1あぶらとりシートを構成する親油生分解繊維を構成できる親油生分解樹脂から構成されていることができ、同様の理由で、ポリ−L−乳酸から構成されているのが好ましい。また、第2あぶらとりシートにおいても、第1あぶらとりシートと同様に、第2あぶらとりシートを構成する親油生分解繊維と親油生分解樹脂バインダのいずれもポリ乳酸系樹脂からなるのが好ましい。
【0053】
なお、本発明の第2あぶらとりシートにおいては、皮脂との親和性に優れ、皮脂の吸い取り性に優れているように、しかも地球環境に対する負荷を小さくできるように、親油生分解繊維と親油生分解樹脂バインダとを合わせて、第2あぶらとりシート中、50mass%以上含んでおり、60mass%以上含んでいるのがより好ましい。他方、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体との兼ね合いから、親油生分解繊維と親油生分解樹脂バインダの総量は、第2あぶらとりシートの80mass%以下含まれているのが好ましく、70mass%以下含まれているのがより好ましい。
【0054】
本発明の第2あぶらとりシートにおける、親油生分解繊維と親油生分解樹脂バインダとの含有比率は、特に限定するものではないが、皮脂の吸い取り性を損なうことなく、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体を固定しやすいように、(親油生分解繊維の質量比率):(親油生分解樹脂バインダの質量比率)=50〜95:50〜5であるのが好ましく、(親油生分解繊維の質量比率):(親油生分解樹脂バインダの質量比率)=60〜90:40〜10であるのがより好ましい。
【0055】
本発明の第2あぶらとりシートは、親油生分解繊維と親油生分解樹脂バインダに加えて、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体を含んでいるため、第1あぶらとりシートと同様に、皮脂の吸い取り性、皮脂を吸い取ったことの確認性に優れている。
【0056】
なお、第2あぶらとりシートを構成できる無機粉体、生分解性有機粉体ともに、第1あぶらとりシートを構成できる無機粉体、生分解性有機粉体と同様のものから構成できる。第2あぶらとりシートにおいても、無機粉体と生分解性有機粉体のいずれか一方のみを含んでいても、これら両方を含んでいても良い。また、2種類以上の無機粉体、2種類以上の生分解性有機粉体を含んでいても良い。更に、第2あぶらとりシートを構成する無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の平均粒子径も、第1あぶらとりシートを構成できる無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の平均粒子径と全く同様であることができる。
【0057】
本発明の第2あぶらとりシートにおいては、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体は、親油生分解樹脂バインダに固定(特には接着)されているのが好ましい。このように、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体が親油生分解樹脂バインダに固定されていることによって、第2あぶらとりシート使用時に、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の脱落が生じにくく、皮膚へ転写されにくいためである。
【0058】
本発明の第2あぶらとりシートにおける無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の含有量は、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の種類、第2あぶらとりシートのグレード、親油生分解繊維や親油生分解樹脂バインダの種類、第2あぶらとりシートの空隙率等によって異なるため、特に限定するものではないが、皮脂の吸い取り性や皮脂の吸い取り効果の確認性に優れているように、第2あぶらとりシートの20mass%以上含まれているのが好ましく、30mass%以上含まれているのがより好ましい。他方、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の含有量の上限は、親油生分解繊維や親油生分解樹脂バインダとの兼ね合いから50mass%以下であるのが好ましく、40mass%以下であるのがより好ましい。なお、無機粉体と生分解性有機粉体の両方を含んでいる場合には、両方の合計量が前記範囲内にあるのが好ましい。
【0059】
また、本発明の第2あぶらとりシートは第1あぶらとりシートと全く同様の平均孔径、湿式繊維ウエブに由来、目付、厚さ、見掛密度、及び見掛空隙容積であるのが好ましい。
【0060】
なお、このような第2あぶらとりシートは、例えば次のようにして製造できる。
【0061】
まず、親油生分解繊維(非溶融親油生分解繊維及び/又は融着親油生分解繊維)、エマルジョン又はサスペンジョン状の親油生分解樹脂バインダ、及び無機粉体及び/又は生分解性有機粉体を用意する。
【0062】
次いで、エマルジョン又はサスペンジョン状の親油生分解樹脂バインダの分散媒体中に、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体を混在させる。このような親油生分解樹脂バインダを使用すると、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体が親油生分解樹脂バインダに固定された状態の第2あぶらとりシートを製造しやすい。
【0063】
次いで、水などの分散媒体中に、親油生分解繊維を分散させた後、例えば、水平長網方式、傾斜ワイヤー型短網方式、円網方式、又は長網・円網コンビネーション方式により抄き上げて、繊維ウエブを形成する。
【0064】
次いで、この繊維ウエブを乾燥する。なお、親油生分解繊維として、融着親油生分解繊維を含んでいる場合には、乾燥と同時、又は乾燥とは別に加熱処理して、融着親油生分解繊維の低融点親油生分解樹脂を融着させるのが好ましい。なお、融着親油生分解繊維の低融点親油生分解樹脂の融着は第1あぶらとりシートの場合と全く同様に実施できる。
【0065】
その後、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の混在させた親油生分解樹脂バインダを、前記乾燥又は融着した繊維ウエブに含浸、塗布(泡立てて塗布しても良い)、又は噴霧して付与した後に乾燥し、親油生分解樹脂バインダの接着作用により、親油生分解繊維同士、及び親油生分解樹脂バインダと無機粉体及び/又は生分解性有機粉体とを接着して、第2あぶらとりシートを製造できる。なお、親油生分解樹脂バインダの付与は、親油生分解樹脂バインダと親油生分解繊維の総質量比率が第2あぶらとりシートの50mass%以上となるように、適宜調節する必要がある。
【0066】
本発明のあぶらとりシート(第1あぶらとりシート、第2あぶらとりシート)は、皮脂を払拭するというよりはむしろ、皮膚表面、中でも顔を中心として首周り、腕、掌や指などの微細な凹凸を有する皮膚表面に押し当てることにより密着させ、余分な皮脂を吸着吸収して除去できるものである。また、春夏の季節には、余分な皮脂と共に汗成分も吸着吸収して除去することができる。また、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体の種類を替えることによって、美顔、保湿効果、さらさら感、香り成分などによるリラックス感、或いは清涼感などを使用者が感じ取ることができる。
【0067】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0068】
【実施例】
(実施例1)
非溶融親油生分解繊維として、ポリ乳酸系単一成分繊維(登録商標:テラマックPL01、ユニチカ(株)製、繊度:0.7dtex、繊維径:8.5μm、繊維長:5mm、融点:170℃、延伸状態にある)を用意した。
【0069】
また、融着親油生分解繊維として、融点が170℃のポリ乳酸系芯成分と、両端部を除く繊維表面を被覆する融点が130℃のポリ乳酸系鞘成分からなる、ポリ乳酸系複合繊維(登録商標:テラマックPL80、ユニチカ(株)製、繊度:2.2dtex、繊維径:15μm、繊維長:5mm、芯成分と鞘成分との体積比=7:3、延伸状態にある)を用意した。
【0070】
前記ポリ乳酸系単一成分繊維70mass%と前記ポリ乳酸系複合繊維30mass%とを水中に分散させた後、傾斜ワイヤー(ネット)により抄き上げて、湿式繊維ウエブを形成した。
【0071】
次いで、この湿式繊維ウエブを温度135℃のドライヤーで乾燥すると同時に、前記ポリ乳酸系複合繊維の鞘成分を融着させて、融着繊維ウエブ(目付:15g/m2)を形成した。
【0072】
他方、アルギン酸系増粘剤、ノニオン系界面活性剤とともに、タルク粉体(平均粒子径:4μm)を水に分散させた分散液(粉体濃度:12mass%)を調製した。
【0073】
次いで、前記融着繊維ウエブを前記分散液に浸漬した後、一対のゴムロール間を通過させることにより分散液量を調節し、次いで温度135℃に設定したドライヤーで乾燥するとともに、前記ポリ乳酸系複合繊維の鞘成分にタルク粉体を融着固定し、粉体固定融着繊維ウエブ(目付:22g/m2)を製造した。
【0074】
その後、粉体固定融着繊維ウエブを温度100℃、圧力230kg/cmでカレンダー処理を行って厚さを調整し、本発明の第1あぶらとりシート(目付:22g/m2、厚さ:35μm、見掛密度:0.63g/cm3、平均孔径:13.4μm、見掛空隙容積:22cm3/m2、親油生分解繊維量:第1あぶらとりシートの68.2mass%)を製造した。この第1あぶらとりシートは、ポリ乳酸系複合繊維の鞘成分が第1あぶらとりシート全体で融着しており、実質的にポリ乳酸系複合繊維の鞘成分の融着のみによって形態を維持していた。
【0075】
(実施例2)
実施例1と同じ非溶融親油生分解繊維(ポリ乳酸系単一成分繊維)と、実施例1と同じ融着親油生分解繊維(ポリ乳酸系複合繊維)を用意した。
【0076】
次いで、前記ポリ乳酸系単一成分繊維90mass%と前記ポリ乳酸系複合繊維10mass%とを水中に分散させた後、傾斜ワイヤー(ネット)により抄き上げて、湿式繊維ウエブを形成した。
【0077】
次いで、この湿式繊維ウエブを温度135℃のドライヤーで乾燥すると同時に、前記ポリ乳酸系複合繊維の鞘成分を融着させて、融着繊維ウエブ(目付:15g/m2)を形成した。
【0078】
他方、アルギン酸系増粘剤、ノニオン系界面活性剤、タルク粉体(平均粒子径:4μm)、及びポリ乳酸系バインダ(登録商標:プラセマL110、第一工業製薬(株)製、親油生分解樹脂バインダ、融点:150℃、造膜温度:50℃)とを水に分散させた、ポリ乳酸系バインダ分散液(粉体濃度:12mass%、ポリ乳酸系バインダの固形分濃度:5mass%)を調製した。
【0079】
次いで、前記融着繊維ウエブを前記ポリ乳酸系バインダ分散液に浸漬した後、一対のゴムロール間を通過させることによりポリ乳酸系バインダ分散液量を調節し、次いで温度135℃に設定したドライヤーで乾燥、前記ポリ乳酸系バインダの繊維同士及びタルク粉体との接着固定、及びポリ乳酸系複合繊維の鞘成分へのタルク粉体の融着固定を実施し、粉体固定融着繊維ウエブ(目付:24g/m2、ポリ乳酸系バインダ量:2.7g/m2、タルク粉体量:6.3g/m2)を製造した。
【0080】
その後、粉体固定融着繊維ウエブを温度105℃、圧力230kg/cmでカレンダー処理を行って厚さを調整し、本発明の第2あぶらとりシート(目付:24g/m2、厚さ:35μm、見掛密度:0.69g/cm3、平均孔径:12.9μm、見掛空隙容積:20cm3/m2、親油生分解樹脂量:第2あぶらとりシートの62.5mass%)を製造した。この第2あぶらとりシートは、ポリ乳酸系複合繊維の鞘成分が第2あぶらとりシート全体で融着しているとともに、ポリ乳酸系バインダが第2あぶらとりシート全体で接着していた。
【0081】
(比較例)
セルロースからなる市販のあぶらとりシート(目付:23g/m2、厚さ:25μm、見掛密度:0.92g/cm3、平均孔径:12μm)を用意した。
【0082】
(脂の保持量の測定)
次の手順により、脂の保持量を測定した。この結果は表1に示す通りであった。
(1)各あぶらとりシートを直径3cmに打ち抜いて試料(面積:S=7.07×10−4m2)を作成し、各試料の質量(M1、単位:g)を測定した。
(2)前記各試料を人口油脂浴に浸漬した。
(3)前記各試料を人口油脂浴から取り出し、各試料を3枚づつの濾紙で挟んだ後、21kgfの荷重で30秒間加圧した。
(4)加圧後、各試料の質量(M2、単位:g)を測定した。
(5)次の式から、加圧後における油脂の保持量(Mr)を算出した。
Mr=(M2−M1)/S
【0083】
(皮脂の吸い取り効果確認性試験)
4×4cm角のプラスチックプレート上に、約0.5mg/cm2量の合成皮脂を滴下し、均一に延ばした。その後、前記合成皮脂上に各あぶらとりシートを載せ、指で押圧し、プラスチックプレート上の合成皮脂を吸い取った。この結果、あぶらとりシートが合成皮脂を吸い取った箇所が透明となり、合成皮脂を吸い取ったことが一目瞭然である場合を○と評価し、そうではないものを×と評価した。この結果は表1に示す通りであった。
【0084】
【表1】
【0085】
表1から明らかなように、本発明のあぶらとりシートは脂の保持量が多く、皮脂の吸い取り性の優れるものであった。
【0086】
【発明の効果】
本発明の皮膚用あぶらとりシートは、皮脂の吸い取り性に優れ、しかも地球環境に対する負荷の少ないものである。
Claims (7)
- 親油性かつ生分解性の親油生分解繊維と、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体とからなり、前記親油生分解繊維を50mass%以上含む皮膚用あぶらとりシートであって、前記親油生分解繊維として、非溶融親油生分解繊維と、融着した融着親油生分解繊維とを含んでいることを特徴とする、皮膚用あぶらとりシート。
- 前記融着親油生分解繊維は、融点の異なる2種類の親油生分解樹脂からなり、繊維表面(両端部を除く)が、融点のより低い親油生分解樹脂により被覆されていることを特徴とする、請求項1記載の皮膚用あぶらとりシート。
- 前記無機粉体及び/又は生分解性有機粉体が、前記融着親油生分解繊維に固定されていることを特徴とする、請求項2に記載の皮膚用あぶらとりシート。
- 前記親油生分解繊維がポリ乳酸系繊維からなることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の皮膚用あぶらとりシート。
- 親油性かつ生分解性の親油生分解繊維と、親油性かつ生分解性の親油生分解樹脂バインダと、無機粉体及び/又は生分解性有機粉体とからなり、前記親油生分解繊維と親油生分解樹脂バインダとを合わせて50mass%以上含む皮膚用あぶらとりシート。
- 前記無機粉体及び/又は生分解性有機粉体が、前記親油生分解樹脂バインダに固定されていることを特徴とする、請求項5に記載の皮膚用あぶらとりシート。
- 前記親油生分解繊維と前記親油生分解樹脂バインダのいずれもポリ乳酸系樹脂からなることを特徴とする、請求項5又は請求項6記載の皮膚用あぶらとりシート。
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