JP4273638B2 - 自動車用の乗員判別システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のシート内部にセンサを組み込み、センサ出力からシート上の荷重分布を検出し、その荷重分布を加味して乗員が子供か大人かを判別する自動車用の乗員判別システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両事故の衝撃から乗員を守るための安全対策として、シートベルトの着用が義務付けられている。そこで、シートベルトが着用されていない時は、警告灯を点灯させたり、ブザーを鳴らす等の方法で、乗員にシートベルトの着用を警告している。
また、近年では、エアバッグを装備した車両が急増しているが、例えば助手席にエアバッグを取り付けている車両では、助手席に乗員が乗っていないにも係わらず、事故の際に助手席のエアバッグが開いてしまうことになる。そこで、助手席に乗員が乗っていない場合は、助手席のエアバッグが開かないようにする技術が実用化されている。
なお、シートベルトの着用を警告したり、助手席のエアバッグが開かないようにするためには、予めシート上に乗員が存在(着座)していること、あるいは存在していないことを検知する必要がある。この乗員の有無を検知する方法として、シート内部に感圧センサを組み込んだ乗員検知システムが公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、安全装置として装備されるエアバッグは、開く時の膨張力が大きいため、以下の様な危険性が指摘されている。
例えば、助手席にエアバッグを装備している車両では、助手席に子供が乗っている場合に、エアバッグの膨張力が衝撃力となって、乗員(子供)に思わぬ悪影響を与えることがある。このため、例えば、助手席の乗員が子供の場合は、助手席のエアバッグを作動させないようにした方が良い。
ここで、助手席の乗員が子供か大人かを判別する手段として、前記の乗員検知システムを利用することが考えられる。つまり、シート内部に組み込まれた感圧センサで検出される荷重が所定値より大きければ大人であり、所定値より小さければ子供であると判断できる。
【0004】
ところが、感圧センサで検出される荷重の大きさだけで子供か大人かを判断する場合には、以下の問題がある。
第1に、乗員が大人であっても、その乗員がシートバック(背もたれ)に背中をもたせ掛けている場合は、シートバックを倒している程、感圧センサで検出される荷重が小さくなってしまう。
第2に、助手席で子供専用シート(ベビーシート、チャイルドシート、ジュニアシート等)を使用している場合は、子供の体重に子供専用シートの重量が加わり、荷重が大きくなる。
第3に、子供専用シートを使用する場合は、その子供専用シートを助手席にシートベルトで固定するため、シートベルトの締め付け力の大きさによって感圧センサで検出される荷重が変化する。
以上の結果、従来の乗員検知システムでは、的確に子供か大人かを判別することは極めて困難である。
【0005】
そこで、本出願人は、子供専用シートの有無に係わらず、子供か大人かを判別できる乗員判別システムを開発した。
この乗員判別システムは、複数個のセンサセルを平面上に配置したセンサマットをシートの座面下部に組み込み、個々のセンサセルの出力からシート上の荷重分布を検出し、その荷重分布から推定される形状パターンによって子供専用シートの有無を検出するものである。また、子供専用シートを使用していない場合でも、個々のセンサセルで検出される荷重の総和だけで子供か大人かを判別するのではなく、荷重分布による判断を加味することで、より的確に子供か大人かを判別することが可能となる。
【0006】
しかし、上記の乗員判別システムは、センサマットがシートに対し機械的に位置決めされている訳ではないので、シートの表面を覆うシート表皮の組み付け時等にセンサマットの位置がズレる可能性がある。
この状態(センサマットがズレた状態)で実際に使用されると、個々のセンサセルの出力から求められる荷重分布に偏りが生じるため、乗員の判別及び子供専用シートの有無を誤判定する危険性が高くなる。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、シートの座面下部にセンサマットを組み込んだ乗員判別システムにおいて、センサマットの位置ズレに伴う誤判定を防止することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(請求項1の手段)
本発明の乗員判別システムは、シートの製造工程において、センサマットが組み付けられ、且つシートの座面を覆うシート表皮が組み付けられた後、センサマットの位置ズレによる荷重分布のズレを補正する補正工程を有している。
これにより、シートに対してセンサマットが正常位置からズレた状態で組み付けられても、その位置ズレ量に応じて荷重分布のズレを補正することにより、センサマットの位置ズレに伴う誤判定を防止できる。
【0008】
(請求項2の手段)
請求項1に記載した自動車用の乗員判別システムにおいて、
補正工程では、シート表皮の座面上に一定の面積で加圧して、予め選択されたセンサセルからの出力信号によってセンサマットの位置ズレ量を推定し、その位置ズレ量に応じて荷重分布のズレを補正することを特徴とする。この場合、予め選択されたセンサセルで検出される荷重の大きさと、シート上に加圧される加圧面積との比較からセンサマットの位置ズレ量を推定することが可能である。
【0009】
(請求項3の手段)
請求項2に記載した自動車用の乗員判別システムにおいて、
補正工程では、センサマット上の特定方向に配置されている少なくとも2個のセンサセルを予め選択し、その選択されたセンサセルから出力される信号によってセンサマットの位置ズレ量を推定し、その位置ズレ量に応じて荷重分布のズレを補正することを特徴とする。この場合、予め選択された少なくとも2個のセンサセルがセンサマット上の特定方向に配置されているので、その少なくとも2個のセンサセルの出力を比較することで、特定方向におけるセンサマットの位置ズレ量を容易に推定することが可能である。
【0010】
(請求項4の手段)
請求項3に記載した自動車用の乗員判別システムにおいて、
センサマット上の特定方向に配置されている少なくとも2個のセンサセルとは、センサマットの前後方向または左右方向に対象な位置にある少なくとも2個のセンサセルであることを特徴とする。この場合、予め選択された少なくとも2個のセンサセルがセンサマットの前後方向または左右方向に対象な位置に配置されているので、その少なくとも2個のセンサセルの出力を比較することで、前後方向または左右方向におけるセンサマットの位置ズレ量を容易に推定することが可能である。
【0011】
(請求項5の手段)
請求項2〜4に記載した何れかの自動車用の乗員判別システムにおいて、
補正工程では、センサマットが正常位置にある時に、シートの座面上に加圧される一定の面積から外れた位置に配置されているセンサセルを予め選択し、その選択されたセンサセルから出力される信号によってセンサマットの位置ズレ量を推定し、その位置ズレ量に応じて荷重分布のズレを補正することを特徴とする。
この場合、選択されたセンサセルの真上に直接荷重が加わらない一定の面積で加圧するため、選択されたセンサセルで検出される荷重の大きさによって、センサマットの位置ズレ量を推定することができる。
【0012】
(請求項6の手段)
請求項2〜4に記載した何れかの自動車用の乗員判別システムにおいて、
補正工程では、センサマットが正常位置にある時に、シートの座面上に加圧される一定の面積内に配置されているセンサセルを予め選択し、その選択されたセンサセルから出力される信号によってセンサマットの位置ズレ量を推定し、その位置ズレ量に応じて荷重分布のズレを補正することを特徴とする。
この場合、選択されたセンサセルの真上に直接荷重が加わる一定の面積で加圧するため、選択されたセンサセルで検出される荷重の大きさによって、センサマットの位置ズレ量を推定することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、自動車用の乗員判別システムの実施例を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は荷重分布のズレを補正する工程の説明図である。
先ず、自動車用の乗員判別システムに使用されるセンサ内蔵シート1の構成、及び製造工程について説明する。
本実施例のセンサ内蔵シート1は、乗員の臀部を受けるシートクッション(図3参照)であり、図4に示すように、スライドレール2に支持される台3と、この台3に設置されるウレタンフォーム(以下フォーム4と略す)、及びフォーム4の表面を覆うシート表皮(以下トリム5と呼ぶ)とで構成され、フォーム4とトリム5との間にセンサマット6が組み込まれている。
【0014】
フォーム4は、図5に示すように、シート1の全体形状を構成し、その上面には、トリム5を絞り込む(吊り下げる)ための吊溝7が設けられている。
トリム5は、吊溝7に沿ってフォーム4の内部へ絞り込まれ、その絞り込み部(トレンチ部)が外観上の意匠として形成される。トリム5の裏面には、トリム5をフォーム4の吊溝7内へ絞り込むための耳鉤部8(図7参照)が袋状に垂れ下がって設けられている。
なお、フォーム4に関しては、2本の吊溝7で囲まれた部分を中央部、吊溝7より外側の部分をサイド部と呼び、トリム5に関しては、耳鉤部8で囲まれた部分を中央部、耳鉤部8より外側の部分を横トリムと呼ぶ。
【0015】
センサマット6は、図5(a)に示すように、フォーム4の中央部に配される第1センサ部6Aと、フォーム4のサイド部に配される第2センサ部6Bとを有し、それぞれシート面上に複数個のセンサセル9が配置されている。
センサセル9は、例えば圧力に応じて抵抗値が変化する圧力変換素子であり、センサマット6に配置されている複数個のセンサセル9がそれぞれ独立して圧力を検出できる。
【0016】
第1センサ部6Aは、矩形状のシート面上に、複数個のセンサセル9が前後方向及び左右方向に等間隔に配置されている。
第2センサ部6Bは、フォーム4のサイド部に沿って前後方向に細長く設けられたシート面上に複数個のセンサセル9が等間隔に配置されている。
なお、第1センサ部6Aと第2センサ部6Bは、互いのシート面が連結されて、一体に設けられている。
このセンサマット6は、プリント基板10を介してECU11に接続され、個々のセンサセル9で検出される圧力の変化を電気信号に変換してECU11に出力している。
【0017】
ECU11は、マイクロコンピュータを内蔵する電子制御ユニットで、例えば図5(b)に示すように、フォーム4の後端部に組み込まれている。
このECU11は、個々のセンサセル9の出力信号からシート上に負荷されている荷重の総和と荷重分布とを検出し、その検出結果に基づいて、以下に説明する乗員の有無、子供専用シートの有無、及び子供と大人の判別を行う。
【0018】
a)乗員の有無は、個々のセンサセル9によって検出される荷重の総和を求めて、その値が所定値以上であればシート1に乗員が座っていると判断し、所定値より小さければシート1に乗員が座っていないと判断する。
b)子供専用シートの有無は、個々のセンサセル9の出力信号からシート上の荷重分布を検出し、その荷重分布から推定される形状パターンによって子供専用シートを使用しているか否かを判断する。
c)子供と大人の判別は、荷重の総和による判断基準に荷重分布による判断基準を加味して最終的に子供か大人かを判断する。
【0019】
次に、センサ内蔵シート1の製造工程について説明する。
図6は製造工程を示すフローチャートである。
Step10…台3にフォーム4を設置する。
Step20…フォーム4の上面所定位置にセンサマット6を配置する。
Step30…トリム5を組み付ける。
このトリム5の組み付け作業は、一般的に以下の手順で行われる。
第1工程…まず、図7に示すように、トリム5の中央部をフォーム4の中央部に合わせて配置し、耳鉤部8の中に通したワイヤ12と、フォーム4内に設けられたワイヤ13とをC形状のホグリング14で同時に引っ掛け、ホグリング14を閉じて締め込むことにより、トリム5の中央部がフォーム4の中央部を覆って張り付けられる。
【0020】
第2工程…続いて、フォーム4のサイド部の外側を包み込む様に横トリムをフォーム4の側面へ回して、横トリムの端部に設けられたフック部5aを台3等の外縁部に引っ掛ける作業を行う。この時、横トリムに弛み(しわ)が生じない様にするため、組み付け上がった状態で横トリムに張力が付与されている様にする。つまり、横トリムの組み付け作業は、図8に示すように、フォーム4を上下方向から加圧して押し潰した状態で行われ、横トリムのフック部5aを台3等の外縁部に引っ掛けた後、上下方向からの加圧が取り除かれる。これにより、横トリムは、張力が掛かった状態(弛みが無い状態)でフォーム4のサイド部からフォーム4の側面までを覆って張り付けられる。
【0021】
Step40…補正工程を実施する。
この補正工程は、シート1の座面下部に組み込まれたセンサマット6が正常な位置に配置されていないと、実際の使用時にECU11で検出される荷重分布が正規の荷重分布からズレてしまうため、その荷重分布のズレを補正するものである。
以下、補正工程の手順を図1及び図2に基づいて説明する。
先ず、予め少なくとも2個のセンサセル9を選択する。この場合、センサマット6の特定方向(例えば前後方向、左右方向)に一定の間隔をあけて対象な位置に配置されている少なくとも2個のセンサセル9を選択することが望ましい。
【0022】
続いて、図1に示すように、トリム5の座面中央部に圧子15を用いて荷重を印加する。この時、選択された少なくとも2個のセンサセル9の真上に直接荷重が加わらない面積で加圧する。あるいは、選択された少なくとも2個のセンサセル9の真上に直接荷重が加わる面積で加圧する。
続いて、予め選択された少なくとも2個のセンサセル9及びその近傍のセンサセル9の出力を、センサマット6が正常な位置に配置されている場合の出力(図1)と比較して、センサマット6のズレ量を推定する。例えば、図2に示す場合は、センサマット6が正常な位置に配置されている場合と比較して、1セル分だけセンサマット6が図示右方向にズレていると推定できる。
最後に、推定されるセンサマット6のズレ量に応じて、個々のセンサセル9の出力から求められる荷重分布のズレをECU11で補正する。
【0023】
(本実施例の効果)
本実施例の自動車用の乗員判別システムでは、シート1を組み立てた後、シート1に組み込まれたセンサマット6の位置ズレ量を推定し、そのズレ量に応じて個々のセンサセル9の出力から検出される荷重分布のズレを補正する補正工程を設けている。これにより、シート1に対してセンサマット6が正常位置からズレた状態で組み付けられても、そのズレ量に応じて荷重分布のズレが補正されるので、センサマット6の位置ズレに伴う形状パターンの誤判定を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】荷重分布のズレを補正する工程の説明図である。
【図2】荷重分布のズレを補正する工程の説明図である。
【図3】シートクッションの斜視図(a)と断面図(b)である。
【図4】センサマットの分解斜視図である。
【図5】センサマットを有するフォームの平面図(a)と側面断面図(b)である。
【図6】センサ内蔵シートの製造工程を示すフローチャートである。
【図7】トリムを組み付けるための第1工程を示す断面図である。
【図8】トリムを組み付けるための第2工程を示す断面図である。
【符号の説明】
1 シート
5 トリム(シート表皮)
6 センサマット
9 センサセル
Claims (6)
- 複数個のセンサセルが平面上に配置されて個々のセンサセルが独立して圧力を検出できるセンサマットを具備し、
このセンサマットが自動車のシートの座面下部に組み込まれ、前記個々のセンサセルの出力から前記シートの座面上に加わる荷重分布を検出し、その荷重分布に基づいて前記シート上の乗員が子供か大人かを判別する乗員判別システムであって、
前記シートの製造工程において、
前記センサマットが組み付けられ、且つ前記シートの座面を覆うシート表皮が組み付けられた後、前記センサマットの位置ズレによる前記荷重分布のズレを補正する補正工程を有することを特徴とする自動車用の乗員判別システム。 - 請求項1に記載した自動車用の乗員判別システムにおいて、
前記補正工程では、前記シート表皮の座面上に一定の面積で加圧して、予め選択された前記センサセルからの出力信号によって前記センサマットの位置ズレ量を推定し、その位置ズレ量に応じて前記荷重分布のズレを補正することを特徴とする自動車用の乗員判別システム。 - 請求項2に記載した自動車用の乗員判別システムにおいて、
前記補正工程では、前記センサマット上の特定方向に配置されている少なくとも2個の前記センサセルを予め選択し、その選択されたセンサセルから出力される信号によって前記センサマットの位置ズレ量を推定し、その位置ズレ量に応じて前記荷重分布のズレを補正することを特徴とする自動車用の乗員判別システム。 - 請求項3に記載した自動車用の乗員判別システムにおいて、
前記センサマット上の特定方向に配置されている少なくとも2個の前記センサセルとは、前記センサマットの前後方向または左右方向に対象な位置にある少なくとも2個の前記センサセルであることを特徴とする自動車用の乗員判別システム。 - 請求項2〜4に記載した何れかの自動車用の乗員判別システムにおいて、
前記補正工程では、前記センサマットが正常位置にある時に、前記シートの座面上に加圧される一定の面積から外れた位置に配置されている前記センサセルを予め選択し、その選択されたセンサセルから出力される信号によって前記センサマットの位置ズレ量を推定し、その位置ズレ量に応じて前記荷重分布のズレを補正することを特徴とする自動車用の乗員判別システム。 - 請求項2〜4に記載した何れかの自動車用の乗員判別システムにおいて、
前記補正工程では、前記センサマットが正常位置にある時に、前記シートの座面上に加圧される一定の面積内に配置されている前記センサセルを予め選択し、その選択されたセンサセルから出力される信号によって前記センサマットの位置ズレ量を推定し、その位置ズレ量に応じて前記荷重分布のズレを補正することを特徴とする自動車用の乗員判別システム。
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