JP4450129B2 - 自動車用の乗員判別システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のシート内部にセンサを組み込み、センサ出力からシート上の乗員の有無、及び子供専用シートの有無を検出する自動車用の乗員判別システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両事故の衝撃から乗員を守るための安全対策として、シートベルトの着用が義務付けられている。そこで、シートベルトが着用されていない時は、警告灯を点灯させたり、ブザーを鳴らす等の方法で、乗員にシートベルトの着用を警告している。
また、近年では、エアバッグを装備した車両が急増しているが、例えば助手席にエアバッグを取り付けている車両では、助手席に乗員が乗っていないにも係わらず、事故の際に助手席のエアバッグが開いてしまうことになる。そこで、助手席に乗員が乗っていない場合は、助手席のエアバッグが開かないようにする技術が実用化されている。
なお、シートベルトの着用を警告したり、助手席のエアバッグが開かないようにするためには、予めシート上に乗員が存在(着座)していること、あるいは存在していないことを検知する必要がある。この乗員の有無を検知する方法として、シートの内部に感圧センサを組み込んだ乗員検知システムが公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、安全装置として装備されるエアバッグは、開く時の膨張力が大きいため、以下の様な危険性が指摘されている。
例えば、助手席にエアバッグを装備している車両では、助手席に子供が乗っている場合に、エアバッグの膨張力が衝撃力となって、乗員(子供)に思わぬ悪影響を与えることがある。このため、例えば、助手席の乗員が子供の場合は、助手席のエアバッグを作動させないようにした方が良い。
ここで、助手席の乗員が子供か大人かを判別する手段として、前記の乗員検知システムを利用することが考えられる。つまり、シートの内部に組み込まれた感圧センサで検出される荷重が所定値より大きければ大人であり、所定値より小さければ子供であると判断できる。
【0004】
ところが、感圧センサで検出される荷重の大きさだけで大人か子供かを判断する場合には、以下の問題がある。
第1に、乗員が大人であっても、その乗員がシートバック(背もたれ)に背中をもたせ掛けている場合は、シートバックを倒している程、感圧センサで検出される荷重が小さくなってしまう。
第2に、助手席で子供専用シート(ベビーシート、チャイルドシート、ジュニアシート等)を使用している場合は、子供の体重に子供専用シートの重量が加わり、荷重が大きくなる。
第3に、子供専用シートを使用する場合は、その子供専用シートを助手席にシートベルトで固定するため、シートベルトの締め付け力の大きさによって感圧センサで検出される荷重が変化する。
以上の結果、従来の乗員検知システムでは、的確に子供か大人かを判別することは極めて困難である。
【0005】
そこで、本出願人は、子供専用シートの有無に係わらず、子供か大人かを判別できる乗員判別システムを開発した。
この乗員判別システムは、複数個のセンサセルを平面上に配置したセンサマットをシートの座面下部に組み込み、個々のセンサセルの出力値からシート上の荷重分布を検出し、その荷重分布から推定される形状パターンによって子供専用シートの有無を検出するものである。また、子供専用シートを使用していない場合でも、個々のセンサセルで検出される荷重の総和だけで子供か大人かを判別するのではなく、荷重分布による判断を加味することで、より的確に子供か大人かを判別することが可能となる。
【0006】
ところで、上記の乗員判別システムは、センサマットに配置された個々のセンサセルの感度にバラツキがあると、個々のセンサセルの出力から荷重分布を検出した時に、必ずしも実際の荷重分布と一致しない場合が生じる。特に、センサマットは、シート表皮の座面下部に組み込まれるため、個々のセンサセル自体の感度にバラツキがある場合に加えて、シート表皮の組み付け状態によっても個々のセンサセルの出力にバラツキを生じることがある。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、シートの座面下部にセンサマットを組み込んだ乗員判別システムにおいて、シート表皮を介して印加される荷重に対して安定したセンサ出力が得られる様にすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(請求項1の手段)
シートは、フォーム及びフォームの表面を覆うシート表皮とで構成され、フォームにはシート表皮を絞り込むための吊溝が設けられ、シート表皮にはシート表皮を吊溝内へ絞り込むための耳鉤部が設けられ、フォームは吊溝で囲まれた中央部と、吊溝より外側のサイド部とからなり、センサマットは、中央部とサイド部のそれぞれにおいて、フォームとシート表皮との間に設けられている。
複数個のセンサセルが平面上に配置されて個々のセンサセルが独立して圧力を検出できるセンサマットを具備し、このセンサマットがフォームとシート表皮との間に組み込まれ、個々のセンサセルの出力からシート上の乗員が子供か大人かを判別する乗員判別システムであって、シートの製造工程において、センサマットをフォームとシート表皮との間に組み付ける際に、シート表皮に張力が掛かった状態で組み付け、その後、シート表皮を介して印加される荷重に対して個々のセンサセルの感度を調整するためのキャリブレーション工程を実施することを特徴とする。本発明によれば、キャリブレーション工程を実施することにより、シート表皮を介して印加される荷重に対し、個々のセンサセルの出力のバラツキを防止でき、安定したセンサ出力を得ることができる。
【0008】
また、キャリブレーション工程は、シート表皮の座面に外力を加えて、個々のセンサセルに対し均一に加圧し、その後、加えた外力を除去する工程を有している。この場合、シート表皮を介して個々のセンサセルに対し均一に加圧することで、個々のセンサセルの感度に応じた出力が得られるため、その出力に応じて個々のセンサセルの感度を調整することができる。
【0009】
また、キャリブレーション工程は、変形自在に設けられた袋状のバッグに流体を封入し、この流体を加圧媒体としてシート表皮の座面に対し均一に加圧することを特徴とする。この場合、袋状のバッグを使用することで、個々のセンサセルに対し、容易に均一に加圧することができる。なお、バッグに封入する流体は、気体、液体、あるいはゲル状体等を選択することができる。
【0010】
そして、袋状のバッグは、シート表皮の座面全体を加圧できる大きさに設けられている。この場合、1個のバッグによって、シート表皮の座面全体を一度に、且つ均一に加圧することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、自動車用の乗員判別システムの実施例を図面に基づいて説明する。
図1はキャリブレーション工程の説明図である。
先ず、自動車用の乗員判別システムに使用されるセンサ内蔵シート1の構成、及び製造工程について説明する。
本実施例のセンサ内蔵シート1は、乗員の臀部を受けるシートクッション(図3参照)であり、図4に示すように、スライドレール2に支持される台3と、この台3に設置されるウレタンフォーム(以下フォーム4と略す)、及びフォーム4の表面を覆うシート表皮(以下トリム5と呼ぶ)とで構成され、フォーム4とトリム5との間にセンサマット6が組み込まれている。
【0013】
フォーム4は、図5に示すように、シート1の全体形状を構成し、その上面には、トリム5を絞り込む(吊り下げる)ための吊溝7が設けられている。
トリム5は、吊溝7に沿ってフォーム4の内部へ絞り込まれ、その絞り込み部(トレンチ部)が外観上の意匠として形成される。トリム5の裏面には、トリム5をフォーム4の吊溝7内へ絞り込むための耳鉤部8(図7参照)が袋状に垂れ下がって設けられている。
なお、フォーム4に関しては、2本の吊溝7で囲まれた部分を中央部、吊溝7より外側の部分をサイド部と呼び、トリム5に関しては、耳鉤部8で囲まれた部分を中央部、耳鉤部8より外側の部分を横トリムと呼ぶ。
【0014】
センサマット6は、図5(a)に示すように、フォーム4の中央部に配される第1センサ部6Aと、フォーム4のサイド部に配される第2センサ部6Bとを有し、それぞれシート面上に複数個のセンサセル9が配置されている。
センサセル9は、例えば圧力に応じて抵抗値が変化する圧力変換素子であり、センサマット6に配置されている複数個のセンサセル9がそれぞれ独立して圧力を検出できる。
【0015】
第1センサ部6Aは、矩形状のシート面上に、複数個のセンサセル9が前後方向及び左右方向に等間隔に配置されている。
第2センサ部6Bは、フォーム4のサイド部に沿って前後方向に細長く設けられたシート面上に複数個のセンサセル9が等間隔に配置されている。
なお、第1センサ部6Aと第2センサ部6Bは、互いのシート面が連結されて、一体に設けられている。
このセンサマット6は、プリント基板10を介してECU11に接続され、個々のセンサセル9で検出される圧力の変化を電気信号に変換してECU11に出力している。
【0016】
ECU11は、マイクロコンピュータを内蔵する電子制御ユニットで、例えば図5(b)に示すように、フォーム4の後端部に組み込まれている。
このECU11は、個々のセンサセル9の出力信号からシート上に負荷されている荷重の総和と荷重分布とを検出し、その検出結果に基づいて、以下に説明する乗員の有無、子供専用シートの有無、及び子供と大人の判別を行う。
【0017】
a)乗員の有無は、個々のセンサセル9によって検出される荷重の総和を求めて、その値が所定値以上であればシート1に乗員が座っていると判断し、所定値より小さければシート1に乗員が座っていないと判断する。
b)子供専用シートの有無は、個々のセンサセル9の出力信号からシート上の荷重分布を検出し、その荷重分布から推定される形状パターンによって子供専用シートを使用しているか否かを判断する。
c)子供と大人の判別は、荷重の総和による判断基準に荷重分布による判断基準を加味して最終的に子供か大人かを判断する。
【0018】
次に、センサ内蔵シート1の製造工程について説明する。
図6は製造工程を示すフローチャートである。
Step10…台3にフォーム4を設置する。
Step20…フォーム4の上面所定位置にセンサマット6を配置する。
Step30…トリム5を組み付ける。
このトリム5の組み付け作業は、一般的に以下の手順で行われる。
第1工程…まず、図7に示すように、トリム5の中央部をフォーム4の中央部に合わせて配置し、耳鉤部8の中に通したワイヤ12と、フォーム4内に設けられたワイヤ13とをC形状のホグリング14で同時に引っ掛け、ホグリング14を閉じて締め込むことにより、トリム5の中央部がフォーム4の中央部を覆って張り付けられる。
【0019】
第2工程…続いて、フォーム4のサイド部の外側を包み込む様に横トリムをフォーム4の側面へ回して、横トリムの端部に設けられたフック部5aを台3等の外縁部に引っ掛ける作業を行う。この時、横トリムに弛み(しわ)が生じない様にするため、組み付け上がった状態で横トリムに張力が付与されている様にする。つまり、横トリムの組み付け作業は、図8に示すように、フォーム4を上下方向から加圧して押し潰した状態で行われ、横トリムのフック部5aを台3等の外縁部に引っ掛けた後、上下方向からの加圧が取り除かれる。これにより、横トリムは、張力が掛かった状態(弛みが無い状態)でフォーム4のサイド部からフォーム4の側面までを覆って張り付けられる。
【0020】
Step40…キャリブレーション工程を実施する。
このキャリブレーション工程は、トリム5を介して印加される荷重に対して個々のセンサセル9の感度を調整するもので、以下の手順により行われる。
先ず、変形自在なビッグバッグ15(図1参照)を準備する。このビッグバッグ15は、密閉された袋状に設けられ、予め内部に流体が封入されている。流体は、気体、液体、ゲル状体等を選択できる。ビッグバッグ15の材質は、所定の荷重を受けても容易に破れないもので、例えばゴムや厚手のビニール等を用いても良い。
【0021】
続いて、図1に示すように、ビッグバッグ15をトリム5の座面上に配置し、そのビッグバッグ15に対し上部から荷重を印加する。これにより、ビッグバッグ15に封入されている流体を加圧媒体としてシート1の座面に対し均一に加圧できる。この時、図2(a)に示すように、シート1の座面全体を一度に加圧する。
参考例として、図2(b)に示すように、シート1の座面中央部とサイド部とに分けて加圧しても良い。なお、シート1の座面中央部とサイド部とに分けて加圧する場合は、1個のビッグバッグ15でそれぞれの部位を加圧しても良いが、それぞれの部位に適した大きさのビッグバッグ15を用いて加圧しても良い。また、シート1に外力を加える回数は1回でも良いが、任意な回数を選択しても良い。
【0022】
その後(加圧した後)、ビッグバッグ15に印加している荷重を取り除く。
続いて、ECU11により個々のセンサセル9の感度を調整する。
この場合、個々のセンサセル9の感度にバラツキがあると、トリム5を介して個々のセンサセル9に対し均一に荷重が印加されているにも係わらず、個々のセンサセル9の出力にバラツキが生じるため、そのバラツキに応じて個々のセンサセル9の感度を調整する。
【0023】
(本実施例の効果)
本実施例の乗員判別システムは、シート1の組み立てを終了した後、キャリブレーション工程を実施する。即ち、トリム5を介して印加される荷重に対し、個々のセンサセル9の感度を調整することにより、実際の使用状態において安定したセンサ出力を得ることができる。
なお、上述のキャリブレーション工程では、予め流体が封入されたビッグバッグ15を使用しているが、例えば、シート1の座面上にビッグバッグ15を配置し、そのビッグバッグ15の上面を位置規制した状態で、ビッグバッグ15の内部に流体を注入してビッグバッグ15を膨張させ、その膨張力によってシート1を加圧するように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】キャリブレーション工程の説明図である。
【図2】キャリブレーション工程でシートへの加圧場所を示す平面図である。
【図3】シートの斜視図(a)と断面図(b)である。
【図4】シートクッションの分解斜視図である。
【図5】センサマットを有するフォームの平面図(a)と側面断面図(b)である。
【図6】シートの製造工程を示すフローチャートである。
【図7】トリムを組み付けるための第1工程を示す断面図である。
【図8】トリムを組み付けるための第2工程を示す断面図である。
【符号の説明】
1 センサ内蔵シート(シート)
5 トリム(シート表皮)
6 センサマット
9 センサセル
15 ビッグバッグ(袋状のバッグ)
Claims (1)
- 複数個のセンサセルが平面上に配置されて個々のセンサセルが独立して圧力を検出できるセンサマットを具備し、
このセンサマットが自動車のシートの座面下部に組み込まれ、前記個々のセンサセルの出力から前記シート上の乗員が子供か大人かを判別する乗員判別システムであって、
前記シートは、フォーム及び該フォームの表面を覆うシート表皮とで構成され、前記フォームには前記シート表皮を絞り込むための吊溝が設けられ、前記シート表皮には前記シート表皮を前記吊溝内へ絞り込むための耳鉤部が設けられ、前記フォームは前記吊溝で囲まれた中央部と、前記吊溝より外側のサイド部とからなり、
前記センサマットは、前記中央部と前記サイド部のそれぞれにおいて、前記フォームとシート表皮との間に設けられ、
前記シートの製造工程において、前記センサマットを前記フォームと前記シート表皮との間に組み付ける際に、前記シート表皮に張力が掛かった状態で組み付け、その後、前記シート表皮を介して印加される荷重に対して前記個々のセンサセルの感度を調整するためのキャリブレーション工程を実施し、
前記キャリブレーション工程は、前記シート表皮の座面に外力を加えて、前記個々のセンサセルに対し均一に加圧し、その後、加えた外力を除去する工程を有し、
前記個々のセンサセルへの均一な加圧は、変形自在に設けられた袋状のバッグに流体を封入し、この流体を加圧媒体として前記シート表皮の座面に対し均一に加圧することで行われ、
前記袋状のバッグは、前記シート表皮の座面全体を加圧できる大きさに設けられていることを特徴とする自動車用の乗員判別システム。
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