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JP4286949B2 - 耐摩耗性を有する化粧紙 - Google Patents
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JP4286949B2 - 耐摩耗性を有する化粧紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の床面、壁面、天井等の内装、家具並びに各種キャビネット等の表面装飾材料、建具の表面化粧、車両内装等に用いる表面化粧紙として利用させれる化粧紙に関するもので、特に表面の耐摩耗性及び耐候性が要求される用途に使用される化粧紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築物の内装や家具、キャビネット等の装飾用の表面に使用される化粧シートとして、基材シートの片面に絵柄層又はベタ印刷層等の印刷インキ層を設け、このインキ層を保護するために、トップコート層として、熱硬化型のウレタン樹脂等を塗布し、熱乾燥、熱硬化させて熱硬化性樹脂層を形成する方法、又は電離放射線硬化性樹脂を塗布し、電離放射線を照射して塗膜を硬化して、表面に硬化した電離放射線硬化性樹脂層を形成する方法がある。
特に、架橋密度の高い電離放射線硬化性樹脂を用いて硬化した電離放射線硬化性樹脂層は、表面硬度、耐薬品性、耐汚染性等の物性に優れたものである。
【0003】
上記の如くバインダー樹脂として硬い樹脂を使用することで、確かに耐摩耗性は向上する。
そのため、メラミン化粧板等のように硬質の基材を用いた化粧材の場合は、表面樹脂層の柔軟性はあまり問題にならないので、耐摩耗性を改良する方法として、表面に硬い樹脂を使用することは有効な手段である。
しかし、基材として、厚みの薄い紙やプラスチックシートのような柔軟性を有する基材を使用する場合は、樹脂の架橋密度を高くすると樹脂層の柔軟性が損なわれて、表面樹脂層が衝撃によって割れたり、亀裂が発生し易くなる等の問題が生じる。
従って、表面樹脂の架橋密度を上げて、耐摩耗性を改良しようとしても、柔軟性を要求される場合は限界があった。
【0004】
そのため、樹脂層の柔軟性を低下させずに耐摩耗性を改良する方法として、樹脂層に無機材料を添加する方法が、従来から行われている。
例えば、特開昭60ー23642号公報には、サンドブラスト法やブラシ研磨法等の研磨剤として使用されている平均粒径が1〜50μmのシリカ(SiO2 )及びアルミナ(Al23 )を主成分とする天然ガラスの粉末を配合した塗料を用いて、表面樹脂層を形成することが開示されている。
上記塗料によって形成された表面保護層は、従来品に比べて、硬度が硬く、且つ柔軟性を有し、耐摩耗性や耐擦傷性に優れた物性を示した。
【0005】
また、転写シートの場合は、転写後の被転写体の表面の耐摩耗性や耐擦傷性を向上させる目的で、表面保護層を形成する電離放射線硬化性樹脂に、平均粒径1〜5μmのアルミナ粉末を、電離放射線硬化性樹脂100重量部に対して10〜30重量部添加し、このアルミナ含有電離放射線硬化性樹脂を用いて転写シートの保護層を形成することが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記アルミナや天然ガラスの粉末等の無機フィラーを添加した塗料を用いて化粧シートの保護層を形成した場合、無機材料を添加しないものより化粧材の耐摩耗性は向上するが、基材シートとして紙等の含浸性の基材を使用した場合、塗工液が紙に含浸して必要とする塗膜が得られないという問題があった。
【0007】
即ち、柔軟性を損なわずに硬度の高い電離放射線硬化性樹脂層を得るには、電離放射線硬化性樹脂の架橋密度を高める必要があり、分子量が小さく多官能な電離放射線硬化性樹脂を使用する必要がある。
しかし、分子量の小さい電離放射線硬化性樹脂は粘度が低いため、紙に塗工した際に、紙に含浸して、紙の表面に必要な厚さの塗膜が得られなかった。
また、球状アルミナを添加した電離放射線硬化性樹脂を塗布した場合、電離放射線硬化性樹脂が紙に含浸して球状アルミナを保持している電離放射線硬化性樹脂が少なくなり、球状アルミナが電離放射線硬化性樹脂層に十分保持されなくなり、十分な耐摩耗性を発揮できなくなる。
【0008】
そのため、紙等の含浸性基材を用いて表面に電離放射線硬化性樹脂層を形成する場合、所定の物性を安定して得るには、電離放射線硬化性樹脂層を厚くする必要があった。
しかし、電離放射線硬化性樹脂の塗布量を多くすることは、高価な球状アルミナの使用量も増加し、製造コストが増大することになる。
また、電離放射線硬化性樹脂の塗布量を多くすると、電離放射線硬化性樹脂が硬化する際に生じる収縮により、化粧紙のカールが激しくなる。
そのため、化粧紙の後加工において、作業性が悪くなり、生産コストの上昇につながり、大きな問題となる。
【0009】
更に、無機フィラーを添加した塗工液を用いて、グラビアロールコート法により基材にコートする場合、無機フィラーのアルミナや天然ガラスの粉末は角が尖った多角形状であるため、グラビアロールやドクターブレードを摩耗させたり、傷つけたりして、加工上大きな問題であった。
更に、硬質で角の尖った多角形状の粉末を添加した塗工液を用いて形成した塗膜は、手触り感が悪く、感触を重視するものには利用できなかった。又、床材に使用したとき、履物等のように、この化粧材に直接接触する場合は、その物体を摩耗させるという問題もあった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、化粧紙の構成を以下のようにした。繊維質基材に、絵柄層、シーラー層及び硬化した電離放射線硬化性樹脂をこの順に積層し、該シーラー層が、
ブチラール樹脂と二液硬化型ウレタン樹脂のブレンド樹脂をバインダーとし、さらに脂肪族イソシアネートを含有する樹脂組成物からなることを特徴とする化粧紙とした。また、前記ブチラール樹脂と二液硬化型ウレタン樹脂のブレンド樹脂からなるシーラー層の厚みが、2〜5μmであることを特徴とする化粧紙とした。更に、記電離放射線硬化性樹脂層が、15〜20重量%のアルミナを含有し、且つその塗布量が硬化後に樹脂組成物量として10〜22g/ 2 であることを特徴とする化粧紙とした。なお、前記シーラー層は、繊維質基材等のように含浸性基材に前記電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布したとき、電離放射線硬化性樹脂組成物の含浸性基材への浸透を抑制するために形成される塗膜を意味するものである。
【0011】
即ち、含浸性のある繊維質基材の表面に、絵柄層、シーラー層及び硬化した電離放射線硬化性樹脂層を積層して化粧紙を作製する際に、シーラー層のバインダー樹脂としてブチラール樹脂とウレタン樹脂のブレンド樹脂を使用することにより、アルミナを含有した電離放射線硬化性樹脂の塗布量を10〜22g/m 2 に減少させることができ、化粧紙のカール問題を解決することができた。また、電離放射線硬化性樹脂への高価な球状アルミナの添加量を15〜20重量%に減少させることができ、製造コストの低減を図ることができた。そして、化粧紙を上記構成にすることにより、耐摩耗性及び耐候性に優れた化粧紙が得られた
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照にしながら本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の化粧紙の一例を示した模式断面図である。
図2は本発明の化粧紙の別の態様で、電離放射線硬化性樹脂層に球状アルミナを含有させたときの化粧紙の模式断面図である。
図3は本発明の化粧紙を作製するときの説明図である。
図4は電離放射線硬化性樹脂層に球状アルミナを含有する化粧紙を作製するときの説明図である。
図5は実施例1により化粧紙を作製するときの説明図であり、図6は実施例5により化粧紙を作製するときの説明図である。
図7は比較例1により化粧紙を作製するときの説明図である。
【0013】
本発明の化粧紙は、図1に示すように、基本的には、含浸性のある繊維質基材11、絵柄層12、シーラー層13及び硬化した電離放射線硬化性樹脂層14から構成される。
また、図2に示すように、硬化した電離放射線硬化性樹脂層14の中に、球状アルミナ15が含有されており、耐摩耗性を更に向上させたものである。
即ち、本発明の特徴は、紙等の浸透性のある繊維質基材11に、印刷等により絵柄層12を形成した後、その絵柄層12の上に、シーラー層13を形成して、未硬化の電離放射線硬化性樹脂を塗布したとき、繊維質基材11への浸透を抑制することにより、電離放射線硬化性樹脂の塗布量を少なくして、電離放射線硬化性樹脂を硬化する際に生じる化粧紙のカールを防止したものである。
特に、球状アルミナを含有する電離放射線硬化性樹脂層を薄く形成することにより、化粧紙のカールを防止すると共に、耐摩耗性及び耐候性に優れた化粧紙を作製することができる。
また、球状アルミナを含有する電離放射線硬化性樹脂層を薄くすることにより、高価な球状アルミナの使用量が少なくなり、生産コストを低減させることもできる。
【0014】
表面保護層を形成する電離放射線硬化性樹脂層が柔軟性を損なわずに硬度を高めるには、電離放射線を照射して硬化させたとき、電離放射線硬化性樹脂の架橋密度が高くなるように、分子量が小さく多官能な電離放射線硬化性樹脂を使用する必要がある。
しかし、分子量の小さい電離放射線硬化性樹脂は粘度が低いために、紙等の浸透性のある基材に塗工した際に、基材に浸透して、基材の表面に必要な厚さの塗膜を形成することは困難であった。
そのため、耐摩耗性のある電離放射線硬化性樹脂層を形成するには塗布量を多くする必要があったが、電離放射線硬化性樹脂の塗布量を多くすると、電離放射線硬化性樹脂が硬化する際に生じる収縮により、化粧紙のカールが激しくなり、化粧紙の後加工において、作業性が悪くなる等の点で大きな問題となっていた。
【0015】
そのため、本発明においては、浸透性のある繊維質基材に、絵柄層を形成した後、繊維質基材に未硬化の電離放射線硬化性樹脂が浸透することを抑制する目的で、アクリル樹脂、又はブチラール樹脂とウレタン樹脂のブレンド樹脂を用いてシーラー層を形成することにより、分子量が小さく、低粘度の電離放射線硬化性樹脂でも、必要とする塗膜を形成できるようにした。
更に、球状アルミナを含有する電離放射線硬化性樹脂層を形成する際に、球状アルミナの含有量を15〜20重量%、その塗布量を10〜22g/m2 の範囲で形成することにより、化粧紙のカールが少なくなり、生産性が向上すると共に、生産コストも低減することができた。
【0016】
また、フィラーとして、球状アルミナの代わりに、鱗片状のアルミナ、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔等の鱗片状粒子を用いることにより、紙等の浸透性のある基材への塗工液の浸透が抑制されるので、鱗片状フィラーを含有する電離放射線硬化性樹脂からなる塗膜を形成し、耐摩耗性に優れた化粧紙を作製することもできる。
【0017】
以下に、本発明の化粧紙の製造方法について説明する。
先ず、図3(a)に示すように、繊維質基材11として、含浸性のある紙や合成紙を用いて、この繊維質基材11に、グラビア印刷等によりベタ印刷層12a及び木目柄等の絵柄層12を形成する。
次いで、図3(b)に示すように、繊維質基材11への電離放射線硬化性樹脂の浸透量を少なくするために、繊維質基材11の絵柄層12側に、二液硬化型ウレタン樹脂とブチラール樹脂のブレンド樹脂からなる塗工液を用いてシーラー層13を、2〜5μmの厚さで形成する。
また、シーラー層13として、アクリル樹脂を用いた塗工液にて、30〜150μmの厚さで形成することもある。
【0018】
次に、図3(c)に示すように、分子量が小さく多官能な電離放射線硬化性樹脂を塗布して、未硬化の電離放射線硬化性樹脂層14aを形成する。
本発明においては、粘度が小さく浸透性のある電離放射線硬化性樹脂でも、シーラー層13によって繊維質基材への浸透が抑制されるので、比較的少ない塗布量で未硬化の電離放射線硬化性樹脂層14aを形成することができる。
次いで、図3(d)に示すように、未硬化の電離放射線硬化性樹脂層14aに、電子線や紫外線等の電離放射線16を照射して、電離放射線硬化性樹脂を架橋、硬化させて、表面に硬化した電離放射線硬化性樹脂層14を有する化粧紙1を作製する。
得られた化粧紙1は、表面保護層として、架橋密度が高く、硬度の高い電離放射線硬化性樹脂層が形成されるので、柔軟性があり、且つ耐摩耗性に優れたものとなる。
【0019】
また、電離放射線硬化性樹脂に球状アルミナを添加した塗工液を用いて、表面に球状アルミナを含有する電離放射線硬化性樹脂層を形成するこにより、より耐摩耗性に優れた化粧紙を得ることができる。
この場合も、前記と同様に、図4(a)及び(b)に示すように、繊維質基材11に、ベタ印刷層12a、絵柄層12を印刷した後、シーラー層13を形成する。
【0020】
次に、電離放射線硬化性樹脂に平均粒径が10〜30μmの球状のアルミナを15〜20重量%添加した塗工液を作り、この塗工液を用いて、図4(c)に示すように、前記シーラー層13の上に塗布して、球状アルミナ15を含有する未硬化の電離放射線硬化性樹脂層14aを形成する。
この場合、未硬化の電離放射線硬化性樹脂がシーラー層13により繊維質基材への浸透が抑制されるので、球状アルミナ15は未硬化の電離放射線硬化性樹脂層14aに保持された状態を維持する。
【0021】
次いで、図5(d)に示すように、球状アルミナ15を含有する未硬化の電離放射線硬化性樹脂層14aに、電子線や紫外線等の電離放射線16を照射して、電離放射線硬化性樹脂を架橋、硬化させて、表面に球状アルミナ15を含有する硬化した電離放射線硬化性樹脂層14を形成して化粧紙1を作製する。
得られた化粧紙1は、表面保護層として、架橋密度の高い電離放射線硬化性樹脂層が形成され、しかも、球状アルミナが電離放射線硬化性樹脂に強固に固定されているので、球状アルミナは耐摩耗性を十分に発揮し、柔軟性があり、且つ非常に耐摩耗性に優れたものとなる。
【0022】
上記球状アルミナ15を含有する硬化した電離放射線硬化性樹脂層14は、平均粒径が10〜30μmの球状アルミナを15〜20重量%を含有し、その塗布量は10〜22g/m2 であり、従来より、球状アルミナの含有量及びその塗布量が少なくなっている。
即ち、従来は、電離放射線硬化性樹脂が紙に含浸する量を考慮して塗布量を多くする必要があったので、球状アルミナの添加量を21〜25重量%で、塗布量を23〜30g/m2 にしていたが、本発明においては、高価な球状アルミナを約20%、及びその塗布量を22〜25%減少させることができた。
本発明に用いられる球状アルミナとしては、平均粒径が5〜50μmのものが使用できるが、本発明においては塗布量を18〜22g/m2 と少なくして、塗膜を比較的薄くしているので、球状アルミナの平均粒径は10〜30μmのものが好適である。
【0023】
また、本発明においては、電離放射線硬化性樹脂を浸透性のある繊維質基材にコーティングしたとき、繊維質基材への含浸を抑制するために、フィラーとして鱗片状フィラーを使用することがある。
電離放射線硬化性樹脂に鱗片状フィラーを分散した塗工液は、浸透性のある繊維質基材にコーティングしたとき、鱗片状フィラーが偏平であるため、鱗片状フィラーが繊維質基材の空隙を塞ぎ、繊維質基材への塗工液の浸透が抑制される。
鱗片状フィラーとしては、鱗片状アルミナ、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、天然真珠箔、金属箔片等が使用される。平均粒径としては0.1〜5μmのものが好適である。
【0024】
本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂は、未硬化の状態で塗工した後、電子線や紫外線などの電離放射線を照射して塗膜を硬化させるものであるが、その架橋密度によって硬化塗膜の物性が変化する。
即ち、架橋密度が高くなるほど硬化塗膜の硬度が高くなり、耐摩耗性は向上するが、柔軟性は低下する。そのため、柔軟性があり且つ耐摩耗性に優れた表面塗膜を得るには、電離放射線硬化性樹脂に球状のアルミナ等のフィラーを添加して、フィラーによって耐摩耗性を向上させる必要がある。
【0025】
電離放射線硬化性樹脂に球状アルミナ等のフィラーを添加して塗膜を形成する場合は、電離放射線としては、塗膜に対する透過力の大きい電子線を使用する方が一般的である。
紫外線では球状アルミナ粒子が大きくなると、紫外線の透過が妨げられて紫外線硬化性樹脂への十分な照射量が得られなくなり、紫外線硬化性樹脂の硬化が不十分となる。
また、紫外線硬化性樹脂を十分に硬化させるためには、紫外線の照射時間が長くなり過ぎるので、生産能率が低下するなど、実用上の問題が生じる。
【0026】
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂を浸透性のある繊維質基材にコーティングしたとき、繊維質基材への浸透を抑制するために、シーラー層を形成するが、その塗工液の樹脂として、ウレタン樹脂とブチラール樹脂の混合物、又はアクリル系樹脂を選定した。
ウレタン樹脂としては二液硬化型ウレタン樹脂を用い、ブチラール樹脂としてはポリビニルブチラール樹脂が使用される。
シーラー層として二液硬化型ウレタン樹脂とポリビニルブチラール樹脂の混合物からなる塗膜を形成することにより、この塗膜の上に未硬化の電離放射線硬化性樹脂が塗布されても、塗膜が電離放射線硬化性樹脂の構成成分(モノマー等)に対して耐性があり、溶解したり、破損することががないので、電離放射線硬化性樹脂が繊維質基材へ浸透することが抑制される。
【0027】
そのため、塗膜の厚さは2〜5μmと比較的薄くしても、繊維質基材への電離放射線硬化性樹脂の浸透が抑制される。
また、ポリビニルブチラール樹脂は、絵柄層の樹脂及び硬化した電離放射線硬化性樹脂に対する接着強度が強く、インキの層間剥離等がなくなるので、化粧紙の後加工においても、被着体への接着工程や折り曲げ加工等でトラブルを生じることがなくなる。
【0028】
本発明に用いられる二液硬化型ウレタン樹脂としては、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするウレタン樹脂が使用される。
ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が用いられる。
また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。
例えば、2,4トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いはへキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族乃至は脂環族イソシアネートが用いられる。
或いは、これらのイソシアネート付加体又は多量体を用いてもよい。例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネートの3量体(trimer)等がある。
【0029】
また、シーラー層13として、アクリル樹脂を用いた塗工液を塗布して形成することがある。
この場合はシーラー層の塗膜は比較的厚くして、30〜150μmの厚さで形成される。
アクリル樹脂からなるシーラー層を厚くすることにより、未硬化の電離放射線硬化性樹脂の繊維質基材への浸透がなくなるので、電離放射線硬化性樹脂の塗布量を10〜15g/m2 程度に少なくしても、耐摩耗性に優れた表面保護層を形成することができる。
即ち、シーラー層を厚くして、繊維質基材への未硬化の電離放射線硬化性樹脂の浸透を防止することにより、高価な球状アルミナを含有した電離放射線硬化性樹脂層を薄くすることが可能となり、生産コストを低減することができる。
【0030】
シーラー層に用いられるアクリル樹脂としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン(メタ)アクリレート共重合体等のアクリル樹脂(但し(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味するものとする)を単独又は2種以上の混合物、又は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の分子中に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとを共重合させて得られるアクリルポリオールを用いることもできる。
【0031】
本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂としては、分子中に重合不飽和結合又はカチオン重合性官能基を有するプレポリマー(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモノマーを適宜混合した組成物で、電離放射線により硬化可能なものが用いられる。
尚、ここで、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線の中で、分子を重合或いは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、電子線又は紫外線が用いられる。
【0032】
電離放射線硬化性樹脂としては、具体的には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基又はチオール基を2個以上有する単量体、又はプレポリマーからなるものである。
これら、単量体、又はプレポリマーは単体で用いるか、又は数種類混合して用いる。
尚、ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタアクリロイル基の意味で用いており、以下(メタ)は同様の意味で用いるものとする。
【0033】
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例としては、ポリエステル(メタ)クリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が使用できる。
分子量としては、通常250〜100,000程度のものが用いられる。
【0034】
ラジカル重合性不飽和基を有する多官能単量体の例としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0035】
チオール基を有する単量体の例としては、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ジペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等がある。
【0036】
電離放射線硬化性樹脂として紫外線又は可視光線にて硬化させる場合には、電離放射線硬化型樹脂中に光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることができる。
また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることができる。
尚、これらの光重合開始剤の添加量としては、該電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程度である。
【0037】
上記電離放射線硬化性樹脂には、必要に応じて各種添加剤を添加する場合がある。これらの添加剤としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、セルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ等の微粉末からなる体質顔料(充填剤)、染料、顔料等の着色剤等がある。
【0038】
電離放射線硬化性樹脂のコーティング法としては、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ディップコート、シルクスクリーンコートによるベタコート、ワイヤーバーコート、コンマコート、スプレーコート、フロートコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等を用いることができる。その中でもグラビアコートが好ましい。
【0039】
電離放射線硬化性樹脂を硬化させる電離放射線照射装置としては、紫外線照射装置や電子線照射装置が用いられる。
紫外線照射装置としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ等の光源が使用される。紫外線の波長としては、通常、190〜380nmの波長領域が主として用いられる。
電子線照射装置としては、コックロフトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型或いは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が用いられる。
【0040】
そして、電子線を照射する場合、加速電圧100〜1000KeV、好ましくは100〜300KeVで照射し、吸収線量としては、通常、1〜300kGy(キログレイ)程度である。吸収線量が1kGy未満では、塗膜の硬化が不十分となり、又、照射量が300kGyを超えると硬化した塗膜及び繊維質基材が黄変したり、損傷したりする。
また、紫外線照射の場合、その照射量は50〜1000mJ/cm2 の範囲 が好ましい。
紫外線照射量が50mJ/cm2 未満では、塗膜の硬化が不十分となり、また、照射量が1000mJ/cm2 を超えると硬化した塗膜が黄変したりする。
また、電離放射線の照射方法として、先ず紫外線を照射して電離放射線硬化性樹脂を少なくとも表面が指触乾燥する程度以上に硬化させ、而る後に、電子線を照射して塗膜を完全に硬化させる方法もある。
【0041】
本発明に使用される浸透性のある繊維質基材としては、紙、合成紙、不織布等のシート状のものが用いられる。
繊維質基材として用いられる紙としては、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、紙にポリ塩化ビニル樹脂をゾル又はドライラミネートした所謂ビニル壁紙原反、上質紙、コート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、和紙等が挙げられる。
また、紙類似シートとしては、ガラス繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維、等の無機繊維質のシート状のもの、ポリエステル、ビニロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂繊維からなる不織布又は織布等が使用される。
【0042】
繊維質基材には、印刷等により絵柄層が形成される。絵柄層は基材の片面又は両面に形成すことができる。また、絵柄層を設ける前に、基材表面にベタ印刷層を設ける場合がある。
絵柄層としては、印刷による印刷模様、エンボス加工によるエンボス模様、ヘアライン加工による凹凸模様等があり、更に、凹凸模様の凹部に公知のワイピング加工法によって着色インキを充填して絵柄層を形成することもできる。
印刷絵柄層としては、木目柄、石目柄、布目柄、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、各種抽象模様、或いは全面ベタ印刷等がある。
全面ベタ印刷の隠蔽層は化粧紙を貼付する被着体の表面状態によって省略されることがある。
【0043】
絵柄印刷のインキとしては、基材の材質や形態によって異なるが、一般的には、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、硝化綿、酢酸セルロース、塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の単独又は2種以上の樹脂を混合したものをビヒクルとし、これと通常の顔料、染料等の着色剤、体質顔料、硬化剤、添加剤、溶剤等からなるインキが使用される。
【0044】
着色剤として、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、バンザイイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー等の有機顔料あるいは染料、アルミニウム、真鍮等の箔粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸亜鉛等、の箔粉からなる真珠光沢顔料等が用いられる。
また、必要に応じて、無機充填剤を添加してもよく、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、シリカ(二酸化珪素)、アルミナ(酸化アルミニウム)等の粉末等が挙げられる。添加量は通常5〜60重量%である。
【0045】
絵柄の印刷としては、グラビア印刷、凹版印刷、オフセット印刷、活版印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、静電印刷、インクジェット印刷等通常の印刷方式が使用できる。
もしくは、別に離型性シート上に一旦絵柄模様を形成して転写シートを作成し、得られた転写シートからの転写印刷方式によって模様印刷を転写して設けてもよい。
【0046】
印刷模様の代りに、アルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を真空蒸着、スパッタリング等によって、基材に、金属薄膜を全面又は部分的に形成して絵柄層とすることもできる。
また、エンボス加工としては、基材シートを加熱軟化させ、エンボス版で加圧、賦型し、冷却固化して形成するもので、公知の枚葉、或いは輪転式のエンボス機が用いられる。
凹凸形状としては、木目版導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチャー、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等である。
【0047】
上記絵柄層の上に、印刷インキと電離放射線硬化性樹脂層との接着力を向上するために、易接着層を設けることがある。
易接着層(プライマー層或いはアンカー層ともいう)としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の樹脂を溶媒に溶解した塗工液が使用されるが、特に二液硬化型ウレタン樹脂とブチラール樹脂の混合物を使用するものが好ましい。
上記樹脂を溶媒に溶解した塗工液を、公知の方法で塗布、乾燥して易接着層とする。
【0048】
本発明の化粧紙は、各種被着体に積層し、所定の成形加工等を施して、各種用途に用いることができる。
例えば、壁、天井、床等の建築物の内装、窓枠、扉、手すり等の建具の表面化粧、家具又は弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車等の車両の内装、航空機の内装、窓硝子の化粧等に利用できる。
そのために、化粧紙が直接素材等に接着できない場合は、適当な易接着層又は接着剤層を介して被着体に接着する。
しかし、化粧紙が熱融着等で被着体に接着可能な場合は、易接着層又は接着剤層は省略してもよい。
【0049】
被着体としては各種素材の平板、曲面板等の板材、シート(或いはフィルム)、或いは各種立体形状物品(成形品)が対象となる。
例えば、射出成形品等の曲面を有する成形品に対しても、本発明の化粧紙を接着することができる。
【0050】
被着体として立体形状物、板材或いはシート(フィルム)のいずれにも用いられる素材としては、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質繊維板等の木質材、鉄、アルミニウム等の金属、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアセテート、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン樹脂、ABS、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、セルロース系樹脂、ゴム等の樹脂が挙げられる。
【0051】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて、本発明を更に詳しく説明する。
(実施例1)
先ず、繊維質基材11として、アクリル系樹脂ラテックスを含浸した坪量50g/m2 の含浸紙((株)興人製)を用いて、グラビア印刷によりベタ印刷と木目柄を印刷して、図5(a)に示すように、繊維質基材11に厚さ2μmのベタ印刷層12aと絵柄層12を形成した。
次いで、図5(b)に示すように、繊維質基材11の絵柄層12側に、二液硬化型のグラビアインキ(二液硬化型ウレタン樹脂とブチラール樹脂のブレンド樹脂からなるグラビアインキに脂肪族イソシアネートを添加したもの:(株)昭和インキ工業所製)をグラビア印刷方式で塗布、乾燥して、膜厚4g/m2 のシーラー層13を形成した。
【0052】
次に、下記の電子線硬化性樹脂組成物(A)(三洋化成工業(株)製)を用いて、ロールコート方式にて、図5(c)に示すように、前記繊維質基材11のシーラー層13面にコーティングし、塗布量20g/m2 (乾物として)の球状アルミナ15を含有する未硬化の電子線硬化性樹脂層14bを形成した。
【0053】
電子線硬化性樹脂組成物(A)の組成
・ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジアクリレート 50重量部
・トリメチロールプロパン変性トリアクリレート 20重量部
・球状アルミナ(平均粒径25μ) 17重量部
・有機処理シリカ 12重量部
・両末端メタクリレート変性シリコーン 1重量部
【0054】
次いで、図5(d)に示すように、上記未硬化の電子線硬化性樹脂層14bの上に、電子線照射装置を用いて、加速電圧175keVにて、吸収線量が50kGy(キログレイ)になるように電子線16aを照射し、電子線硬化性樹脂を完全に硬化させて、球状アルミナ15を含有する硬化した電子線硬化性樹脂層14cを形成して、化粧紙1を作製した。
【0055】
(実施例2)
繊維質基材11として、アクリル系樹脂ラテックスを含浸した坪量60g/m2 の含浸紙((株)興人製)を用いて、実施例1と同様に、図5(a)に示すように、グラビア印刷により繊維質基材11に厚さ2μmのベタ印刷層12aと絵柄層12を形成した。
次いで、版深150μmの斜線彫刻版を用いて、アクリル系インキ(メタクリル酸エチルとヒドロキシエチルメタクリル酸エチルの共重合体、及び脂肪族イソシアネートからなる2液硬化型のアクリル系インキ)でグラビア印刷して、図5(b)に示すように、塗布量70g/m2 のシーラー層13を形成した。
【0056】
次に、下記の電子線硬化性樹脂組成物(B)(三洋化成工業(株)製)を用いて、グラビアロールコート方式にて、図5(c)に示すように、前記繊維質基材11のシーラー層13面にコーティングし、塗布量10g/m2 (乾物として)の球状アルミナ15を含有する未硬化の電子線硬化性樹脂層14bを形成した。
【0057】
電子線硬化性樹脂組成物(B)の組成
・ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジアクリレート 59重量部
・トリメチロールプロパン変性トリアクリレート 20重量部
・球状アルミナ(平均粒径25μ) 20重量部
・両末端メタクリレート変性シリコーン 1重量部
【0058】
次いで、図5(d)に示すように、上記未硬化の電子線硬化性樹脂層14bの上に、電子線照射装置を用いて、加速電圧175keVにて、吸収線量が50kGy(キログレイ)になるように電子線16aを照射し、電子線硬化性樹脂を完全に硬化させて、球状アルミナ15を含有する硬化した電子線硬化性樹脂層14cを形成して、化粧紙1を作製した。
【0059】
(実施例3)
繊維質基材11として、アクリル系樹脂ラテックスを含浸した坪量60g/m2 の含浸紙((株)興人製)を用いて、実施例1と同様に、図6(a)に示すように、グラビア印刷により繊維質基材11に厚さ2μmのベタ印刷層12aと絵柄層12を形成した。
次いで、印刷絵柄と同調したパターンを彫刻した盛り上げ版(盛り上げ部分の版深100μm、土手幅15μmの万線彫刻版)を用いて、アクリル系盛り上げインキ(メタクリル酸エチルとヒドロキシエチルメタクリル酸エチルの共重合体、及び脂肪族イソシアネートからなる2液硬化型のアクリル系インキ)で盛り上げ部分をパターン状にグラビア印刷した。
その後、熱風乾燥して、図6(b)に示すように、塗布量100g/m2 の盛り上げシーラー層13aを形成した。
【0060】
次に、電子線硬化性樹脂として下記の樹脂組成物(B)(三洋化成工業(株)製)を用いて、グラビアロールコート方式にて、図6(c)に示すように、前記繊維質基材11の盛り上げシーラー層13a面にコーティングし、塗布量15g/m2 (乾物として)の球状アルミナ15を含有する未硬化の電子線硬化性樹脂層14bを形成した。
【0061】
電子線硬化性樹脂組成物(B)の組成
・ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジアクリレート 59重量部
・トリメチロールプロパン変性トリアクリレート 20重量部
・球状アルミナ(平均粒径25μ) 20重量部
・両末端メタクリレート変性シリコーン 1重量部
【0062】
次いで、図6(d)に示すように、上記未硬化の電子線硬化性樹脂層14bの上に、電子線照射装置を用いて、加速電圧175keVにて、吸収線量が50kGy(キログレイ)になるように電子線16aを照射し、電子線硬化性樹脂を完全に硬化させて、球状アルミナ15を含有する硬化した電子線硬化性樹脂層14cを形成して、化粧紙1を作製した。
【0063】
(比較例1)
実施例1と同様に、図7に示すように、繊維質基材11(坪量50g/m2 の含浸紙)に厚さ2μmのベタ印刷層12aと絵柄層12を形成した。
次に、シーラー層13を設けずに、繊維質基材11の絵柄層12の上に、実施例1と同様に、前記電子線硬化性樹脂組成物(A)を塗布し、図7(b)に示すように、球状アルミナ15を含有する未硬化の電子線硬化性樹脂層14bを形成した。
次いで、前記未硬化の電子線硬化性樹脂層14bに電子線を照射して塗膜を硬化し、図7(c)に示すように、球状アルミナ15を含有する硬化した電子線硬化性樹脂層14cを有する化粧紙1aを作製した。
【0064】
(比較例2)
繊維質基材11として坪量60g/m2 の含浸紙を用いて、実施例1と同様に、厚さ2μmのベタ印刷層12aと絵柄層12を形成した。
次に、この繊維質基材11の絵柄層12面に下記の電子線硬化性樹脂組成物(C)を、実施例1と同様に、グラビアロールコート方式にて塗布し、その塗膜を電子線照射により硬化し、図7(c)に示すように、球状アルミナ15を含有した硬化した電子線硬化性樹脂層14cを有する化粧紙を作製した。
【0065】
電子線硬化性樹脂組成物(C)の組成
・ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジアクリレート 50重量部
・トリメチロールプロパン変性トリアクリレート 20重量部
・球状アルミナ(平均粒径25μ) 20重量部
・有機処理シリカ 9重量部
・両末端メタクリレート変性シリコーン 1重量部
【0066】
(比較例3)
実施例2と同様に、 繊維質基材11(坪量60g/m2 の含浸紙)に厚さ2μmのベタ印刷層12aと絵柄層12を形成した。
次に、シーラー層13を設けずに、繊維質基材11の絵柄層12の上に、実施例2と同様に、電子線硬化性樹脂組成物(B)を塗布し、電子線を照射して塗膜を硬化し、図7(c)に示すように、球状アルミナ15を含有した硬化した電子線硬化性樹脂層14cを有する化粧紙1aを作製した。
【0067】
(比較例4)
実施例3と同様に、 繊維質基材11(坪量60g/m2 の含浸紙)に厚さ2μmのベタ印刷層12aと絵柄層12を形成した。
次に、シーラー層13を設けずに、繊維質基材11の絵柄層12の上に、実施例3と同様に、電子線硬化性樹脂組成物(B)を塗布し、電子線を照射して塗膜を硬化し、図7(c)に示すように、球状アルミナ15を含有した硬化した電子線硬化性樹脂層14cを有する化粧紙1aを作製した。
【0068】
(耐摩耗性及び耐候性試験)
実施例1、2、3及び比較例1、2、3、4で作製した化粧紙を下記の方法で耐摩耗性及び耐候性を試験した。
▲1▼ 耐摩耗性試験
JAS摩耗A試験に準拠して、テーバ摩耗試験機を用いて、各試料のイニシャルポイント(絵柄層の取られ始める回転数)を測定した。
▲2▼ 耐候性試験
(株)スガ試験機製のカーボンアークFOM FM−002型機を用いて、ブラックパネル温度63℃、環境湿度40%RHの条件で、各試料を500時間暴露して絵柄層の退色状態を観察した。
【0069】
実施例1、2、3及び比較例1、2、3、4で作製した化粧紙の耐摩耗性及び耐候性の試験結果は表1に示した。
【0070】
【表1】
Figure 0004286949
【0071】
実施例1、2、3で作製した化粧紙は、表1に示すように、比較例で作製した化粧紙に比較して、耐摩耗性、耐候性共に優れており、シーラー層の効果が顕著に表れている。
即ち、紙のような繊維質基材は、ウレタン樹脂とブチラール樹脂のブレンド物、又はアクリル樹脂を用いてシーラー層を設けることにより、その上に塗布される電子線硬化性樹脂の紙への浸透が抑制されて、表面に所定の硬化した電子線硬化性樹脂層が形成されるので、球状アルミナを含有する硬化した電子線硬化性樹脂層は優れた耐摩耗性及び耐候性を示すようになるものと考えられる。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、紙等の浸透性のある繊維質基材の表面に、柔軟性を損なわずに硬度の高い電離放射線硬化性樹脂層を形成しているので、耐摩耗性、耐候性に優れた化粧紙を得ることができる。
従来、電離放射線硬化性樹脂で硬度の高い樹脂層を形成するには、電離放射線硬化性樹脂の架橋密度を高めるために、分子量が小さく多官能な電離放射線硬化性樹脂を使用する必要があった。
分子量の小さい電離放射線硬化性樹脂は粘度が低いので、紙に塗工した際に、紙に含浸して、紙の表面に必要な厚さの塗膜が得られないため、所定の物性を安定して得るには、電離放射線硬化性樹脂層を厚くする必要があった。
しかし、電離放射線硬化性樹脂の塗布量を多くすることは、電離放射線硬化性樹脂に添加する高価な球状アルミナの使用量も増加し、製造コストが増大すると共に、電離放射線硬化性樹脂が硬化する際に生じる収縮により、化粧紙のカールが激しくなり、後加工において、作業性が悪くなり、生産コストの上昇につながっていた。
【0073】
そのため、本発明においては、浸透性のある繊維質基材に、絵柄層を形成した後、ブチラール樹脂とウレタン樹脂のブレンド樹脂をバインダーとし、さらに脂肪族イソシアネートを含有する樹脂組成物を用いてシーラー層を形成することにより、分子量が小さく、低粘度の電離放射線硬化性樹脂でも、繊維質基材への浸透が抑制され、必要とする塗膜を形成できるようになった。その結果、シーラー層にブチラール樹脂とウレタン樹脂のブレンド樹脂を用いた場合、高価な球状アルミナの含有量を15〜20重量%に低下し、その塗布量も18〜22g/m 2 に減少させることが可能となり、生産コストを低減することができた。また、得られた化粧紙は被着体に貼着して後加工する際に、Vカット適性や折り曲げ加工適性も優れている
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧紙の一例を示した模式断面図である。
【図2】本発明の化粧紙の別の態様で、表面の硬化した電離放射線硬化性樹脂層に球状アルミナを含有させたときの模式断面図である。
【図3】本発明の化粧紙を作製するときの説明図である。
【図4】本発明の化粧紙の別の態様で、電離放射線硬化性樹脂層に球状アルミナを含有させた化粧紙を作製するときの説明図である。
【図5】実施例1により本発明の化粧紙を作製するときの説明図である。
【図6】実施例3により本発明の化粧紙を作製するときの説明図である。
【図7】比較例1により化粧紙を作製するときの説明図である。
【符号の説明】
1 化粧紙
1a 化粧紙(比較例で作製したもの)
11 繊維質基材
12 絵柄層
12a ベタ印刷層
13 シーラー層
13a 盛り上げシーラー層
14 硬化した電離放射線硬化性樹脂層
14a 未硬化の電離放射線硬化性樹脂層
14b 未硬化の電子線硬化性樹脂層
14c 硬化した電子線硬化性樹脂層
15 球状アルミナ
16 電離放射線
16a 電子線

Claims (3)

  1. 繊維質基材に、絵柄層、シーラー層及び硬化した電離放射線硬化性樹脂をこの順に積層し、該シーラー層が、ブチラール樹脂と二液硬化型ウレタン樹脂のブレンド樹脂をバインダーとし、さらに脂肪族イソシアネートを含有する樹脂組成物からなることを特徴とする化粧紙。
  2. 前記ブチラール樹脂と二液硬化型ウレタン樹脂のブレンド樹脂からなるシーラー層の厚みが、2〜5μmであることを特徴とする請求項1に記載の化粧紙。
  3. 前記電離放射線硬化性樹脂層が、15〜20重量%のアルミナを含有し、且つその塗布量が硬化後に樹脂組成物量として10〜22g/ 2 であることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の化粧紙。
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