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JP4288475B2 - ディスプレイ装置の製造方法と製造装置 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板に隔壁を有するディスプレイ装置の製造方法と、ディスプレイ装置の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大型の平面ディスプレイ装置に対するニーズが高まっている。大型平面ディスプレイ装置の中において、特にプラズマディスプレイパネル装置(PDP)の普及が進んでいる。
プラズマディスプレイパネル装置(以下プラズマディスプレイ装置という)の発光効率は、各画素を構成するセルの容積に大きな影響を受けるために、セルの容積を大きくとることが発光効率を向上する上で大きな課題である。セルの容積を向上するには、セルを構成する隔壁の高さを大きくすることが一般的である。隔壁の幅を厚くするとセルの開口率が低下することから、隔壁の高さと隔壁の厚さの比(隔壁の高さ/隔壁の厚さ)の値が大きい隔壁を大面積の基板にわたって形成しなければならない。
【0003】
この種の隔壁の形成には、サンドブラスト法により隔壁を削り出す方式と、スクリーン印刷法が主流である。サンドブラスト法の場合には、良好な隔壁の高さ/隔壁の厚さの比の隔壁が得られるが、加工時間が長くなってしまう。また、スクリーン印刷法によりガラスペーストがパターニングされて焼結される方式の場合では、一回で塗布可能なガラスペーストの高さに制限がある。そしてスクリーン印刷法は、操作が煩雑で時間がかかり生産性が低下し、セルの形成パターンが崩れてしまう恐れがある。
このようなことから、セルの隔壁は、あらかじめ成形した均一な厚さのグリーンテープを絶縁体層として用いることにより形成する試みがある(たとえば特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−255510号公報(第1頁乃至第3頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようにグリーンテープを用いることでセルの隔壁を形成する場合には、次のような問題がある。あらかじめ大型の基板のサイズに合わせて、大型の隔壁パターンを形成しておく必要があり、このような大型のグリーンテープを大型の基板の表面に対して均一に貼り付けていくことが難しく、貼り付け時間がかかってしまい、大型の平面ディスプレイ装置を製造する際の生産効率を向上することができない。
そこで本発明は上記課題を解消し、発光セルを構成する隔壁を、ディスプレイ装置の基板の大きさに関わらず安価で精度よく製造することができるディスプレイ装置の製造方法、ディスプレイ装置の製造装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、基板に隔壁を有するディスプレイ装置の製造方法であり、前記基板に対して無機微粉末層を形成する無機微粉末層形成ステップと、前記基板上の前記無機微粉末層にレーザ光を照射して溶融して前記隔壁を形成する隔壁形成ステップとを有しており、前記隔壁形成ステップでは、大気圧に対して減圧した雰囲気において、前記レーザ光が前記無機微粉末層に沿ってスキャン操作されることを特徴とするディスプレイ装置の製造方法である。
【0007】
第2の発明は、前記無機微粉末層はガラス微粉末であり、前記ガラス微粉末には前記隔壁からの可視光の漏れを防ぐための顔料が混入されていることを特徴とする。
【0008】
第3の発明は、前記顔料は、前記レーザ光を吸収する成分を有することを特徴とする。
【0009】
第4の発明は、前記レーザ光の前記スキャン操作は、不活性ガス雰囲気下で行われることを特徴とする。
【0010】
第5の発明は、前記無機微粉末層を、ブレードを用いて平坦化する平坦化ステップを有することを特徴とする。
【0011】
第6の発明は、前記無機微粉末層形成ステップと、前記平坦化ステップおよび前記隔壁形成ステップを繰り返すことにより、前記基板に対する前記隔壁の高さを設定することを特徴とする。
【0012】
第7の発明は、前記隔壁を形成後に溶融されていない前記無機微粉末を吸引する微粉末吸引ステップと、前記無機微粉末を吸引した後に前記基板に残った溶融されていない前記無機微粉末を洗浄して前記基板を乾燥させる洗浄および乾燥ステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
第8の発明は、基板に隔壁を有するディスプレイ装置の製造装置であり、前記基板に対して無機微粉末層を形成する無機微粉末層供給部と、前記基板上の前記無機微粉末層にレーザ光を照射して溶融して前記隔壁を形成する隔壁形成用のレーザ光源と、大気圧に対して減圧した雰囲気において、前記レーザ光を前記無機微粉末層に沿ってスキャン操作する際に、大気圧に対して減圧した不活性ガス雰囲気にするための減圧雰囲気形成部とを有することを特徴とするディスプレイ装置の製造装置である。
【0014】
第9の発明は、前記無機微粉末層の平坦化を行うためのブレードを有することを特徴とする。
【0022】
【発明の実施形態】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のディスプレイ装置の製造装置の好ましい実施形態を示す斜視図である。
ディスプレイ装置の製造装置10は、平面ディスプレイ装置、たとえばプラズマディスプレイ装置の基板に対して隔壁を形成するための装置である。この隔壁は、プラズマディスプレイ装置の発光セルを構成する部分である。
【0023】
図1に示すディスプレイ装置の製造装置10は、無機微粉末層供給部11、基板支持部13、隔壁形成用のレーザ光源15、ブレード17、移動操作部19、減圧雰囲気形成部20、そして制御部100を有している。
減圧雰囲気形成部20は、レーザ光源15、ブレード17、無機微粉末層供給部11のホッパー21、そして基板支持部13を覆うケースであり、この中は、たとえば不活性ガスの雰囲気でかつ大気圧に対して減圧した雰囲気を形成することができる。この減圧雰囲気形成部20の内部は、たとえばネオンガス、キセノンガスあるいはネオンガスとキセノンガスの混合ガスのような不活性ガスの雰囲気に形成できる。
【0024】
図1に示す基板支持部13について説明する。
図1の基板支持部13は、ステージ25と、搭載台27と、上下操作部29を有している。
ステージ25は、搭載台27と上下操作部29を収容している。搭載台27は、上下操作部29の動作により、搭載台27をZ方向に上下移動してZ方向に関して位置決め可能になっている。
【0025】
搭載台27の上には、隔壁形成対象もしくは隔壁製造対象となる基板30が着脱可能に搭載できるようになっている。この基板30は、たとえば大型で平板状の基板である。この基板30は、たとえばプラズマディスプレイ装置の背面ガラス基板であり、一例として透明なガラス基板である。
図1のステージ25の上部は、縁部分31を有している。この縁部分31は、搭載台27の四辺に沿って配置されていて、この縁部分31はZ方向に沿って突出している。この縁部分31と搭載台27は、後で説明する無機微粉末33を収容するための収容部35を形成している。
【0026】
次に、図1に示す無機微粉末層供給部11について説明する。
無機微粉末層供給部11は、微粉末収容部41、供給パイプ43A、ホッパー21を有している。
微粉末収容部41は、隔壁を形成するための原料である無機微粉末を収容するためのたとえばタンクである。微粉末収容部41内の無機微粉末は、供給パイプ43Aを介してホッパー21内に供給される。
【0027】
このホッパー21は、X方向に直線移動することにより、基板30の表面43の全面に対して無機微粉末層を形成できるようになっている。ホッパー21の長手方向の長さ、すなわちY方向の長さLは、基板30の幅Wよりも大きく設定されている。ホッパー21がX方向に移動することができるストロークは、基板30のX方向の長さよりも大きく設定されている。ホッパー21は、サポート部材21Bにより支持されている。
図1におけるX方向とY方向およびZ方向は、互いに直交する方向である。X方向とY方向は水平面を形成し、Z方向は上下方向である。X方向は、ホッパー21が直線移動する方向であり、Y方向はホッパー21の長さLと平行な方向である。
【0028】
次に、図1に示すブレード17について説明する。
ブレード17は、たとえば金属により作られた板状の部材である。ブレード17の先端部17Aは、所謂ナイフエッジ状に形成されている。ブレード17は、サポート部材17Bにより支持されている。
ブレード17は、X方向に沿って直線移動可能である。ブレード17は、基板30の表面43に形成された無機微粉末層の高さ(厚み)を所定の厚みに設定し、しかも無機微粉末層の表面を平坦化するための平坦化用の部材である。
【0029】
図1に示す移動操作部19は、ブレード17とホッパー21を別々にX方向に沿って直線移動させるためのものである。
移動操作部19は、ブレード17をX方向に沿って所定ストローク直線移動可能である。ブレード17の移動可能なストロークは、基板30の幅Wと直交する方向の基板30の長さDよりも大きい。
移動操作部19は、ホッパー21をX方向に沿って所定ストローク直線移動可能である。ホッパー21の移動可能なストロークは、上述したように基板30の長さDよりも大きく設定されている。
【0030】
移動操作部19がブレード17とホッパー21をそれぞれX方向に直線移動させるための機構としては、たとえばモータと送りねじの組み合わせや、ギアとチェーンの組み合わせあるいはその他の組み合わせを採用することができる。
上述した移動操作部19と上下操作部29および微粉末収容部41は、制御部100の指令により動作する。
【0031】
図1に示すレーザ光源15について説明する。
レーザ光源15は、操作部51の操作により、X方向とY方向およびZ方向に移動可能である。操作部51は、制御部100の指令により動作する。レーザ光源15は制御部100の指令により動作する。
レーザ光源15は、たとえばCOレーザ(炭酸ガスレーザ)を用いるのが最も好ましい。レーザ光源15としてCOレーザを用いるのは、次のような理由からである。無機微粉末33としてガラスの微粉末を用いるのが好ましいが、このガラスはたとえば10.6μmの波長の光をほぼ100%吸収する。このため、COレーザを使用するのは、たとえばガラスの無機微粉末33を溶融するのに最も効率がよい。
【0032】
しかしながら、この無機微粉末33としてガラスの微粉末を用いる場合に、このガラスの微粉末に対して顔料を加えると、このガラスの微粉末は、上述した波長10.6μm以外の波長の光でも吸収してガラスの微粉末を溶融できるので、レーザ光源15の種類の選択範囲が広がり、上述したCOレーザに限るものではない。
ガラスの微粉末のような無機微粉末33に添加する好ましい顔料としては、たとえばFe(所謂黒錆)のような黒色顔料が、レーザ光源15のレーザ光のほぼ全波長を吸収し、しかもこの顔料は熱による変性が少ないことから、Feは特に有効である。
【0033】
次に、プラズマディスプレイ装置の発光セルの構造例について説明する。
図2は、図1に示す基板30が用いられているプラズマディスプレイ装置の構造例を示している。図3は、図2に示すプラズマディスプレイ装置200の隔壁の形成例を示している斜視図である。
図2に示すプラズマディスプレイ装置200は、所謂直流(DC)型のものであり、図2と図3に示すような発光セル201の構造を有している。
【0034】
このプラズマディスプレイ装置200は、次のような構造になっている。
プラズマディスプレイ装置200は、背面ガラス基板である基板30、隔壁60、アドレス電極61、電極62、前面ガラス基板63および蛍光体64を有している。
図2と図3に示すように、プラズマディスプレイ装置200の隔壁60は、図2と図3のT方向から見て長方形状または正方形状に形成されている。隔壁60は、複数の発光セル201を構成している。各発光セル201は、隔壁60により隔てられている。
【0035】
各発光セル201の中には、異なる色の蛍光体64が形成されている。隣接する蛍光体64は、赤(R)、青(B)、緑(G)の発光用の蛍光体であり、順次各3種類の蛍光体は各発光セル201の中に形成されている。発光セル201の底部には、アドレス電極61が形成されている。
隔壁60は、基板30の表面43に対してZ1方向に突出してしかも垂直に形成されている。
【0036】
前面ガラス基板63の内面には電極62が形成されている。電極62は、発光セル201の上部に位置している。前面ガラス基板63と基板30は、対向して配置されている。
電極62と選択されたアドレス電極61に対して通電することにより、透明な電極62によってプラズマ放電66が発生し、そのプラズマ放電66からは紫外線67が蛍光体64に対して供給され、蛍光体64は可視光68を発生する。この可視光68は、透明な電極62と前面ガラス基板63を通じてZ1方向に沿って外部に取り出すことができ、これによって各発光セル201により構成されるカラー映像が表示できる。
【0037】
次に、ディスプレイ装置の製造装置10を用いて実施するディスプレイ装置の製造方法について説明する。
図4、図5および図6は、本発明のディスプレイ装置の製造方法の好ましい実施形態を具体的に示している。
図7は、このディスプレイ装置の製造方法の手順を示すフロー図である。
図4乃至図7を参照しながら、ディスプレイ装置の製造方法について具体的に説明する。
【0038】
無機微粉末形成ステップST1
図7に示す無機微粉末層形成ステップST1では、図4(A)に示すように、基板30の表面43の上に、無機微粉末層33Aを形成する。
この場合に、基板30は、図1に示す搭載台27の上に着脱可能に搭載されている。基板30は搭載台27の上でX方向とY方向で形成される平面上に置かれており、水平状態を維持している。
【0039】
基板30が図1に示す搭載台27の上に置かれた状態では、減圧雰囲気形成部20が、その内部を不活性ガスの雰囲気に形成していて、しかも大気圧に比べて減圧した状態に維持している。不活性ガスの種類としては、ネオンガスや、キセノンガス、あるいはネオンガスとキセノンガスの混合ガスを採用することができる。
このように、ネオンガス、キセノンガスあるいはこれらの混合ガスを採用するのは、次の理由からである。すなわち図2に示す発光セル201の内部に封入される不活性ガスが、ネオンガス、キセノンガス、あるいはそれらの混合ガスであり、これらの不活性ガスが発光ガスとして用いられるからである。
この発光セル201における発光ガスの組成と同じ組成の不活性ガスを用いて、減圧雰囲気形成部20が、内部を大気圧に比べて減圧して不活性ガス雰囲気に形成する。
【0040】
図4(A)に示す微分末収容部41は、供給パイプ43Aを通じてホッパー21内に無機微粉末33を供給する。この無機微粉末33としては、たとえばガラスの微粉末を採用することができる。無機微粉末33の粒径はたとえば1μmである。
無機微粉末33の粒径としては、たとえば0.1μmから100μmのものを採用することができる。この粒径が0.1μmより小さいと凝集力が大きく、湿度などで固まりやすくなり、粒径を小さくした意味がなくなる点で好ましくなく、100μmより大きいと溶熔後の充填率の点で好ましくない。
図4(A)に示すようにホッパー21は、移動操作部19の作動によりX1方向に直線的に基板30に平行に移動される。これによって、無機微粉末33の無機微粉末層33Aが基板30の表面43に形成できる。この無機微粉末層33Aは、基板30の表面43の全面にわたって形成される。
【0041】
平坦化ステップST2
図7に示す平坦化ステップST2では、図4(B)に示すようにブレード17を用いる。このブレード17はスキージとも呼んでおり、ブレード17は、移動操作部19の作動によりX1方向に沿って移動することにより、無機微粉末層33Aを所定の厚さE、たとえば0.1mmの厚さで一定の厚さにかきとっていく。このブレード17によるかきとり動作により、無機微粉末層33Aは、一定の厚さEを有する無機微粉末層33Bになり、その無機微粉末層33Bの表面33Cは平坦になる。
【0042】
隔壁形成ステップST3
図7に示す隔壁形成ステップST3は、図4(C)に示している。
隔壁形成ステップST3では、無機微粉末層33Bに対してレーザ光70を照射する。この場合に、図1に示す制御部100が操作部51の動作を制御することにより、レーザ光Lは所定のパターン形状に応じてX1方向とY方向にスキャン操作され、無機微粉末層33Bに対してレーザ光70を照射する。
【0043】
無機微粉末層33Bの無機微粉末33は、あらかじめ顔料が添加されている。この顔料は、たとえば炭酸ガスレーザの吸収効率を向上する目的で添加されている。しかもこの顔料は、隔壁形成後にはブラックストライプとして隣接する発光セル間の可視光の漏れを防いで、発光セルにおける発光コントラストを向上させる役割を併せ持っている。
【0044】
図4(C)において、レーザ光源15がX1方向およびY方向に沿って移動することにより、レーザ光源15のレーザ光70は、基板30に平行にスキャン操作される。レーザ光70がスキャン操作されることにより、図4(D)および図3に示すような発光セル201の構造を形成することができる。この発光セル201は、隣接する隔壁60により形成されている。隔壁60は、レーザ光70が照射されることにより溶融して固化することで形成されている。
レーザ光70が無機微粉末層33Bを所定のパターニングにより溶融して固化していく際に、図1に示す減圧雰囲気形成部20がその内部を減圧している。この減圧を行っていることから次のようなメリットがある。
【0045】
レーザ光70が無機微粉末層33Bを所定のパターニングで溶融していく時に、大気圧下であると空孔(空気を含む孔)が生じて空気が隔壁内に閉じ込められる恐れがあるが、減圧雰囲気下でこの溶融を行っているので、空孔は生じにくい。
このことから、形成された隔壁60内に空気が閉じ込められることがなくなる。したがって、図2に示すような発光セル201においてプラズマ放電66が生じて発光動作を行う場合に、空気が発光セル201内に放出されてしまうことがなくなり、発光セル201内の発光ガスの組成に影響を及ぼすことがなくなる。つまり、減圧中で溶融を行うことで、空孔の数を減らすかもしくは無くすことができる。
【0046】
しかも、図1に示す減圧雰囲気形成部20内は不活性ガス雰囲気であり、この不活性ガスは図2に示す発光セル201内の活性ガスと同じ種類のものを好ましくは採用している。このために、この不活性ガスの存在により隔壁60内に空気が閉じ込められるのを防いでいる。
図4(C)と図4(D)では一例としてレーザ光70は一本の線で示しているが、これに限らずスキャン効率を上げるために、次のようなことを行うこともできる。たとえばレーザ光70は、回折格子を用いて、複数のレーザ光線に分離することにより、さらに隔壁60の形成効率を上げることができる。
【0047】
判断ステップST4
図7の判断ステップST4では、隔壁60のZ1方向の高さ、すなわち基板30の表面43からZ1方向に突出する方向の隔壁60の高さtがあらかじめ定めた所望の値である場合には、図7の微粉末吸引ステップST5に移る。
【0048】
微粉末吸引ステップST5
図7に示す微粉末吸引ステップST5では、図4(D)に示すように、隣接する隔壁60の間に残っている溶融されなかった無機微粉末33Dを、基板30の表面43から吸引して回収する。微粉末吸引部80が作動すると、この微粉末吸引部80は、溶融されなかった無機微粉末33Dを回収することにより、図4(D)の状態から図4(E)の状態になる。
回収した微粉末は、図7のステップST9に示すようにフィルタに通して異物などを取り除いて再利用することができる。このことから、無機微粉末の回収が容易であり、無機微粉末の使用効率が極めて高くなる。
【0049】
洗浄および乾燥ステップST6
図7に示す洗浄および乾燥ステップST6では、洗浄ステップST7と乾燥ステップST8を行う。
洗浄ステップST7では、たとえば界面活性剤を用いることにより、図4(E)に示す基板30および隔壁60を洗浄して、回収されずに残っている微粉末を表面43から洗い流す。その後、基板30および隔壁60は、たとえば温風乾燥により乾燥する。
このようにすることで、基板30の表面および隔壁60には、無機微粉末が僅かでも残るという恐れがなくなる。
なお、上述した無機微粉末に混入する顔料としては、たとえば黒色顔料を用いることができる。
【0050】
上述した図4(A)乃至図4(E)に示すディスプレイ装置の製造方法は、1回の無機微粉末層形成と、1回のレーザ光照射により、図4(E)に示すような所定の高さtの隔壁60を形成している。
しかしこれに限らず、図5と図6に示すように、複数回無機微粉末層を形成して、そして複数回レーザ光を照射することにより、より高い隔壁60を形成することもできる。
図5と図6は、より大きい高さの隔壁60を形成するための工程例を示している。
【0051】
無機微粉末層形成ステップST1
図5(A)乃至図5(D)は、図4(A)乃至図4(D)と同じであるので、その説明を用いる。図5(D)の処理に続いて、図6(E)のステップが続く。
図7の判断ステップST4において、隔壁60の高さが定めた値に達しておらず、さらに隔壁60の高さを大きくする必要がある場合には、図7の無機微粉末層形成ステップST1に戻る。
【0052】
図6(E)の状態では、基板30の表面43の上には、すでに形成された隔壁60と、隣接する隔壁60の間に残っている溶融されていない無機微粉末層33Dがある。
図6(E)では、ホッパー21を通じて新たな無機微粉末33が隔壁60と溶融されていない無機微粉末層33Dの上に供給されることにより、新たな無機微粉末層33Fが所定の厚みで形成される。
【0053】
平坦化ステップST2
続いて図6(F)に示すようにブレード17がX1方向に移動されることにより、無機微粉末層33Fは所定の厚みGを残してかきとられていく。これによって、無機微粉末層33Fの平坦化処理が行われる。
【0054】
隔壁形成ステップST3
図7の隔壁形成ステップST3では、図6(G)に示すように、レーザ光70が所定のパターンにより無機微粉末層33Fに対してX1方向およびY方向にスキャンしながら照射されていく。
図6(H)に示すように、1層目の隔壁60と同様の位置に同様のパターンでもう1層の60が積み重ねるようにして形成される。
隔壁60と隔壁60は、新たな隔壁の高さt1を形成する(t1>t)。このようにして、図7の無機微粉末層形成ステップST1から隔壁形成ステップST3を繰り返すことにより、所望の高さt1の隔壁を得ることができる。
【0055】
その後図6(H)に示すように溶融されなかった無機微粉末33Dと無機微粉末33Hは、図7の微粉末吸引ステップST5において、微粉末吸引部80により吸引されることになる。基板30および隔壁60,60は、図7に示す洗浄ステップST7において洗浄された後に、乾燥ステップST8において温風乾燥されることになる。
図7の例では、隔壁は、第1層目の隔壁60と第2層目の隔壁60により構成されている。しかしこれに限らず、3回以上図7の無機微粉末層形成ステップST1〜隔壁形成ステップST3の工程を繰り返すことにより、より高い隔壁を形成することも勿論可能である。
【0056】
本発明のディスプレイ装置の別の実施形態
図8は、本発明のディスプレイ装置の別の実施形態を示している。図8に示すプラズマディスプレイ装置200は、図2と図3に示す発光セル201の構造とは別の構造を有している。図8のプラズマディスプレイ装置200は、発光セル231がたとえば1/2ピッチ毎にずれて配列されている。各発光セル231には異なる発光色の蛍光体64が形成されている。
【0057】
図9と図10は、本発明のディスプレイ装置のさらに別の実施形態を示している。
図9のプラズマディスプレイ装置300は、所謂交流(AC)型のものである。基板30は、たとえば背面ガラス基板である。基板30の表面43には、隔壁60が突出して形成されている。各隔壁60の間には、蛍光体64が形成されている。
前面ガラス基板363の内面には、誘電体層365および保護層367が積層されている。誘電体層365と保護層367は透明であり、誘電体層365の中には放電電極(表示電極ともいう)362が設けられている。
【0058】
放電電極362は、隔壁60で形成された発光セル201と対応している。放電電極362に通電されると、放電電極362はプラズマ放電366を生じる。プラズマ放電366の紫外光67は、蛍光体64に供給される。蛍光体64は可視光68を発生させて、この可視光68は保護層367、誘電体層365および前面ガラス基板363を通じて外部にカラー映像を表示する。
この場合における隔壁60は、図10に示すように平行に形成されていて、隣接する隔壁が発光セル201を構成している。
【0059】
本発明のディスプレイ装置の製造方法および製造装置を用いることにより、プラズマディスプレイ装置の基板上の隔壁を安価で精度よく製造することができる。ガラス微粉末のような無機微粉末33は均一の厚さで基板の表面に塗布して、レーザ光はこの無機微粉末層に照射して無機微粉末を溶融することにより、隔壁を有する基板を精度よく高い生産効率で製造することができる。
【0060】
本発明のディスプレイ装置の製造方法と製造装置を用いることにより、従来用いられているスクリーン印刷法とは異なり、基板は炉の中に入れて焼結する必要がないので、基板のアライメントによる隔壁の形成位置の誤差が生じない。また本発明のディスプレイ装置の製造方法と製造装置は、従来のスクリーン印刷法とは異なり、レーザ光を用いて非接触で隔壁のパターニングを行うことができるので、隔壁のパターンが崩れてしまう心配がない。
【0061】
本発明のディスプレイ装置の製造方法および製造装置を用いることにより、ガラス微粉末のような無機微粉末層を所定のパターニングで溶融する時に、減圧ししかも好ましくは発光セルに用いられる発光ガスと同じ組成の不活性ガス雰囲気を用いることで、形成された隔壁内に空孔が閉じ込められることが少なくなるかあるいはなくなる。
【0062】
本発明は、所謂ドライプロセス処理であり、廃液処理の必要がない。形成された無機微粉末層のうちの溶融されなかった未使用の無機微粉末は、回収することができる。このために無機微粉末の使用効率が高い。
本発明は、スクリーン印刷法とは異なりマスクを用いておらず、マスクなどのサイズによる制約がなく、大型の基板の表面に対して大型の隔壁構造を形成することができる。
【0063】
本発明は、従来のスクリーン印刷法と異なり、レーザ光を用いて焼結工程をその場で行うことができるので、所定の高さの隔壁を形成する場合の積層作業が容易にできる。
本発明は、従来のサンドブラスト法に比べて、隔壁の加工時間を短くすることができるとともに、サンドブラスト法とは異なり隔壁を作るための無機微粉末に対して顔料や蛍光材料を有する材料が使用できる。
【0064】
本発明のディスプレイ装置の製造方法および製造装置は、ディスプレイ装置の発光セルを構成する隔壁を形成するのに限らず、他の分野の製品、たとえばガラス工芸品において突出する隔壁などを形成する場合にも用いることができる。
この場合には、図1に示すディスプレイ装置の製造装置とディスプレイ装置の製造方法は、製造対象物の製造装置および製造物の製造方法とすることができる。
【0065】
レーザ光源15の種類としては、たとえばフェムト秒レーザを用いることもできる。このフェムト秒レーザは、近年注目されているレーザ光源である。
フェムト秒レーザは、上述したような炭酸ガスレーザなどとは異なり、極めて短時間にエネルギーが非加工材料である無機微粉末33に集中するために、熱が発生する前に無機微粉末33の溶融が進行する。無機微粉末33に対するレーザ光の照射部位のみの加工が誘起されるので、無機微粉末33の照射部位以外の部分には損傷が及ばないものと考えられる。
【0066】
フェムト秒レーザは、たとえば波長が800nmであり、本来ガラスが吸収しない波長ではあるが、極めて短い時間にエネルギーが加えられるために、多格子吸収と呼ばれる現象を起こす。したがって、上述したように無機微粉末33におけるレーザ光の照射部位は、溶融を経ずにガラス分子を蒸発して硬化することができる。レーザ光の熱が、照射部位の回りの部分には伝わりにくいことから、たとえば数μmの分解能で照射部位に対して加工が可能である。
上述した実施形態では、発光セルを構成する隔壁の形状の例を図示しているが、これらの隔壁の形状に限定されるものではなく、異なる形状の隔壁構造を採用することも勿論可能である。
【0067】
また、ディスプレイ装置として、プラズマディスプレイ装置を示しているが、これに限らず、たとえばエレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、その他に液晶のギャップコントロール、FED(フィールドエミッションディスプレイ)のギャップコントロールのような他の種類のディスプレイ装置に対しても、本発明のディスプレイ装置の製造方法、製造装置を適用することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
上記実施形態の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のディスプレイ装置の製造装置の好ましい実施形態を示す斜視図。
【図2】 本発明のディスプレイ装置の好ましい実施形態の一部分を示す断面図。
【図3】 図2のディスプレイ装置の隔壁部分の隔壁の形状例を示す斜視図。
【図4】 本発明のディスプレイ装置の製造方法の一例を具体的に示す図。
【図5】 本発明のディスプレイ装置の製造方法の別の具体的な例を示す図。
【図6】 図5のディスプレイ装置の製造方法の続きの工程を示す図。
【図7】 本発明のディスプレイ装置の製造方法を示すフロー図。
【図8】 本発明のディスプレイ装置の別の実施形態であり、隔壁の別の形状例を示す斜視図。
【図9】 本発明のディスプレイ装置の別の実施形態を示す一部分を示す断面図。
【図10】 図9のディスプレイ装置における隔壁の形状例を示す斜視図。
【符号の説明】
10・・・ディスプレイ装置の製造装置、11・・・無機微粉末層供給部、13・・・基板支持部、15・・・レーザ光源、17・・・ブレード、20・・・減圧雰囲気形成部、21・・・ホッパー、30・・・基板、33・・・無機微粉末、33A・・・無機微粉末層、43・・・基板の表面、60・・・隔壁、70・・・レーザ光、200・・・プラズマディスプレイ装置、201・・・発光セル

Claims (9)

  1. 基板に隔壁を有するディスプレイ装置の製造方法であり、
    前記基板に対して無機微粉末層を形成する無機微粉末層形成ステップと、
    前記基板上の前記無機微粉末層にレーザ光を照射して溶融して前記隔壁を形成する隔壁形成ステップと
    を有しており、
    前記隔壁形成ステップでは、大気圧に対して減圧した雰囲気において、前記レーザ光が前記無機微粉末層に沿ってスキャン操作される
    ことを特徴とするディスプレイ装置の製造方法。
  2. 前記無機微粉末層はガラス微粉末であり、前記ガラス微粉末には前記隔壁からの可視光の漏れを防ぐための顔料が混入されていることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ装置の製造方法。
  3. 前記顔料は、前記レーザ光を吸収する成分を有することを特徴とする請求項2に記載のディスプレイ装置の製造方法。
  4. 前記レーザ光の前記スキャン操作は、不活性ガス雰囲気下で行われることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のディスプレイ装置の製造方法。
  5. 前記無機微粉末層を、ブレードを用いて平坦化する平坦化ステップを有することを特徴とする請求項4に記載のディスプレイ装置の製造方法。
  6. 前記無機微粉末層形成ステップと、前記平坦化ステップおよび前記隔壁形成ステップを繰り返すことにより、前記基板に対する前記隔壁の高さを設定することを特徴とする請求項5に記載のディスプレイ装置の製造方法。
  7. 前記隔壁を形成後に溶融されていない前記無機微粉末を吸引する微粉末吸引ステップと、前記無機微粉末を吸引した後に前記基板に残った溶融されていない前記無機微粉末を洗浄して前記基板を乾燥させる洗浄および乾燥ステップと、を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のディスプレイ装置の製造方法。
  8. 基板に隔壁を有するディスプレイ装置の製造装置であり、
    前記基板に対して無機微粉末層を形成する無機微粉末層供給部と、
    前記基板上の前記無機微粉末層にレーザ光を照射して溶融して前記隔壁を形成する隔壁形成用のレーザ光源と、
    大気圧に対して減圧した雰囲気において、前記レーザ光を前記無機微粉末層に沿ってスキャン操作する際に、大気圧に対して減圧した不活性ガス雰囲気にするための減圧雰囲気形成部と
    を有することを特徴とするディスプレイ装置の製造装置。
  9. 前記無機微粉末層の平坦化を行うためのブレードを有することを特徴とする請求項8に記載のディスプレイ装置の製造装置。
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