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JP4289615B2 - 溶液製膜方法及びポリマーフィルム - Google Patents
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JP4289615B2 - 溶液製膜方法及びポリマーフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、溶液製膜方法及びこの方法によって製造されたポリマーフィルムに関するものであり、特に、偏光板や液晶表示装置等に用いるためのポリマーフィルムとその製造方法としての溶液製膜方法とに関するものである。
光学用途に用いられる各種のポリマーフィルムは、一般には流延ダイを用いてドープを支持体上に流延させ、これを支持体から剥ぎ取った後、乾燥工程を経て巻き取ることにより製造されている。これは、溶液製膜方法と呼ばれている代表的なフィルムの製造方法である。
光学用ポリマーフィルムの需要の拡大とコストダウンへの強い要望から、溶液製膜方法におけるポリマーフィルムの生産性の向上、つまり製膜速度のアップが図られている。また、光学用途においては、高機能化及び多機能化に対する要求が大きく、それに対応するために、ポリマーフィルムの薄膜化が図られている。
なお、上記の溶液製膜方法では、ドープをポリマーフィルムとして支持体から剥ぎ取った後、このポリマーフィルムの平面性や機械的強度、光学特性等を改良するために、ポリマーフィルムの幅規制及び延伸を行うテンター装置を乾燥工程に設けることが一般的となっている。
支持体からポリマーフィルムを剥離した後、テンター装置に至る搬送過程は、一般に渡り部と称されており、この渡り部では、通常は、ポリマーフィルムを駆動または非駆動のローラにて搬送する。渡り部においては、ポリマーフィルムにツレやシワ、それに伴う面同士の接着の他に、側端部におけるカール等の発生が見られる。これらは、渡り部における搬送上の問題であるが、一方、搬送用のローラとの接触面において表面に微細な変形が生じてフィルムの品質を低下させたり、フィルム面上への可塑剤の析出等が原因となってローラが汚れてしまうという問題もある。
そこで、渡り部におけるフィルム故障を抑制するために、例えば、支持体から剥離したポリマーフィルムが剥離後最初に接触する第1ローラを、支持体からの剥離面に接触させ、第1ローラに続く第2ローラを反剥離面側に接触させた後に、ポリマーフィルムを乾燥させる方法(例えば、特許文献1参照)や、少なくとも反剥離面側に関しては、接触式搬送ローラを用いずにエアフロータ型の無接触搬送手段を用いる方法や、両端部のみを把持手段により把持して製品部を無接触とする方法(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。
また、剥離した後のポリマーフィルムの側端部に生じたカールを裁断する方法(例えば、特許文献3参照)や、渡り部においてはローラを千鳥状に配してフィルムを所定時間、所定温度に加熱する方法(例えば、特許文献4参照。)が提案されている。さらに、フィルム厚みが20〜80μmのフィルムを製造するにあたり、所定の残留溶媒量のフィルムを搬送するローラに関し、このローラの表面粗さRyを0.6μm以下とし、20℃における表面エネルギーを70〜100mN/mとする方法(例えば、特許文献5参照)や、渡り部のローラのビッカース硬度を500〜800とする方法(例えば、特許文献6参照)等が提案されている。
特開2001−198933号公報(第4−5頁、第2図) 特開2001−277267号公報(第6−9頁、第3図) 特開平11−90942号公報(第3−4頁、第4図) 特開2001−315147号公報(第4−10頁、第1図) 特開2002−86474号公報(第4−9頁、第3図) 特開2002−292658号公報(第3−9頁、第2図)
しかしながら、以上の方法は、いずれも、上述したようなツレやシワ、側端部のカール、さらにローラの汚染等の現象をすべて満足するものではない。特に製造するフィルムの厚みが小さい場合には効果がない。例えば、特許文献1にように、支持体から剥離したポリマーフィルムが剥離後最初に接触する第1ローラを、支持体からの剥離面に接触させた場合には、剥離面は溶媒含有量が多くて軟らかく、そのために第1ローラとの接触によりキズがつきやすいという問題がある。また、エアフロータ型や両端把持の無接触搬送手段を用いる方法の場合には、フィルムが例えば数10μm等の薄いものであるときや揮発性溶媒の含有率が高いときに、フィルムのばたつきや、乾燥収縮によるトタン状変形が大きくなって面状故障が発生したり、把持手段で破れてしまったりするという問題がある。
また、特許文献3のように側端部のカールを切断する方法では、カールは除去されるがシワや折れ等の抑制にはならない。そして、特許文献4のようにフィルムの反剥離面側をドラムやローラ等に接触させるだけでは、そのドラムやローラ等を汚染させてしまい、フィルムにキズ等の面状故障が発生する。また、特許文献5や特許文献6の方法ではローラの汚染は抑制されるが、側端部のカールの派生は抑制されないという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、渡り部においてフィルムに発生するツレやシワ、接着等や、渡り部のローラとの接触によって発生する表面の微細な変形や、フィルムからの添加剤析出によるローラの汚染を防止し、製膜速度を向上させてフィルムの薄膜化を図ることができる溶液製膜方法を提供することを目的とし、さらにその方法により光学特性に優れるポリマーフィルムと偏光板保護フィルム、液晶表示装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の溶液製膜方法は、溶媒含有率が30重量%以上である長尺のポリマーフィルムの搬送方向に沿って複数配されたローラに、前記ポリマーフィルムの両側端部を吸引手段によって引き寄せて接触させるとともに、前記ポリマーフィルムの前記両側端部を除いた中央部を非接触として、前記ローラの回転によりポリマーフィルムをテンター装置に搬送することを特徴として構成されている。
そして、搬送方向で隣り合う前記ローラの搬送方向における間隔L1を1mm以上200mm以下とすることが好ましい。前記ローラにおける前記ポリマーフィルムの側端部の巻きかけ中心角が1°以上180°以下であることが好ましい。また、前記吸引手段が吸気チャンバであり、この吸引手段とローラとの間に形成される隙間のうち、最も小さい隙間L2の間隔を0.5mm以上5mm以下とすることことが好ましく、前記吸引手段と前記ポリマーフィルムとの間に形成される隙間のうち、最も小さい隙間の間隔を5mm以上30mm以下とすることが好ましい。
そして、前記ローラのうち任意のローラの回転速度をVDとし、この任意のローラよりも上流側の前記ローラの回転速度をVUとするとき、前記回転速度の比VU/VDが1.00以上1.15以下であることが好ましい。また、前記ポリマーフィルムの幅方向における中央部に対して、前記ローラが配された面側から給気することが好ましい。
さらに、本発明は、上記の溶液製膜方法により得られるポリマーフィルムを含んで構成されている。
本発明の溶液製膜方法により、渡り部においてポリマーフィルムに発生するツレやシワ、接着等や、渡り部のローラとの接触によって発生する表面の微細な変形や、ポリマーフィルムからの添加剤析出によるローラの汚染を防止することができる。その結果、製膜速度を向上させてポリマーフィルムの薄膜化を図ることができる。さらに、本発明により得られるポリマーフィルムは光学特性に優れ、偏光板保護フィルム、偏光板、液晶表示装置用途として好適である。
本発明について、図を参照しながら以下に詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施様態に限定されるものではない。図1は、本発明を実施した溶液製膜方法の概略を示す工程図である。溶液製膜設備10は、ドープ11が供給されるリザーブタンク12と、送液用ポンプ15と、流延装置16と、テンター装置17と、ローラ乾燥装置21と、巻き取り装置22とを有する。流延装置16は、流延ダイ25と、バックアップローラ26により支持されながら搬送される支持体としてのバンド27とを有している。また、バンド27より剥離されたフィルム31を支持、あるいは搬送するためのローラ32が、流延装置16と巻き取り装置22との間に複数設置され、この数は図2に示された数に依存するものではなく、適宜増減されるものである。さらに、これらのローラ32は、駆動あるいは非駆動のいずれにするかについて適宜決められる。なお、図1においては、煩雑さを避けるためにこれらのローラ32については一部のみを図示している。また、流延装置16とテンター装置17との間を、渡り部33と以降称し、詳細は別の図面を用いて後で説明する。
リザーブタンク12から送液ポンプ15により流延ダイ25に送られたドープ11は、バンド27上に流延される。バンド27は、回転駆動するバックアップローラ26により連続搬送され、これにより、ドープ11は連続的に流延される。流延されたドープは、バンド27上で自己支持性をもったところで、フィルム31として剥ぎ取られる。この剥ぎ取りは、渡り部33における最上流に位置するローラにフィルム31が巻きかけられ、このローラの回転により、連続的に行われる。フィルム31のバンド27からの剥ぎ取り面を以降は単に剥離面と称し、他方の面を反剥離面と称することとする。剥ぎ取られたフィルム31は、渡り部33を経て、テンター装置17へ送られる。
テンター装置17においては、フィルム31は、幅を規制され、かつ、延伸されながら乾燥される。テンター装置17では、テンタークリップ(図示せず)が、フィルム31の両側端部を保持しながらテンター軌道(図示せず)に従って走行し、このテンタークリップの走行によりフィルム31は搬送される。テンタークリップの代わりにピンクリップ等を用いる場合もある。そして、テンタークリップは、コントローラ(図示せず)により開閉を自動制御され、この開閉によりフィルム31の保持と保持解除とを制御する。フィルム31を保持したテンタークリップは、テンター装置17の内部で走行し、その出口付近の所定の保持解除点に到達するとクリップを開放してフィルム31の保持を解除するように自動制御される。
テンター装置17のフィルム31は、支持あるいは搬送用のローラ32により次工程であるローラ乾燥装置21へ送られて、ここで複数のローラ21aにより支持あるいは搬送されながら十分に乾燥された後、切断部(図示せず)により両側端部が切断除去されて製品として巻き取られる。
さらに、図2及び図3を用いて、本発明の実施様態を詳細に説明する。図2は渡り部33を示す概略図である。渡り部33には、複数のローラが配されており、これらのローラを上流側より第1,第2,・・・,第nローラとし、符号R1,R2,・・・Rn(n:自然数)を付す。図3は、第2ローラR2上におけるフィルム搬送を示す説明図であり、一部断面図として示しているが、第1,第3ローラR1,R3上におけるフィルム搬送についてはこれと同様であるので説明及び図示は略す。第1〜第3ローラにはモータ36とコントローラ37とが備えられている。モータ36はコントローラ37により駆動を制御され、これにより第1〜第3ローラR1〜R3は回転数とトルクとが制御される。
第2ローラR2は、長手方向における中心線に関し概ね対称な形状となっており、両側端部R2aの径DEが互いに等しく、中央部R2bの径DCよりも大きい。中央部R2bの径DCは、第2ローラR3の長手方向に一定とされている。径DCを有する中央部R2bの長さはフィルム31の幅よりも小さく、かつ、フィルムの製品幅よりも大きい。これにより、フィルム31の側端部は第3ローラの両側端部R3aに接触して支持されるとともに、製品部となる部分に接触キズ等を残すことがなくなる。
溶媒含有率が30重量%以上という高含有率で溶媒を含むフィルム31を支持、または搬送するための第1〜第3ローラR1〜R3を上記形状とすることにより、フィルム31の全面がローラ表面に接触するのではなく、両端部のみ第1〜第3ローラR1〜R3に接触し、幅方向における中央部は非接触となるのでフィルム31とローラ外表面との摩擦も低減されて、フィルム31のツレやシワを防止することができる。さらに、外径が長手方向に一定の円柱状ローラ(以降、単に円柱状ローラと称する)を使用した場合に比べて、上記のような形状の第3ローラR3を用いた場合には、フィルム31とローラとの接触面積が小さくなるので、ローラ表面へフィルム31が接着する確率が低くなり、前記接着によるフィルム故障を防ぐことができるとともに、可塑剤等がフィルム内部から表面析出してこれがローラ表面を経時的に汚染してしまうことを防止することができる。
なお、中央部R2bの径DCは、本実施形態のように第2ローラR2の長手方向に沿って一定である必要はなく、例えば、周知のコンケーブローラのようにローラの中央に向かうに従い徐々に小さくなるようなものであってもよい。
そして、フィルム31は、側端部のみで第2ローラR2に支持されるために、フィルム31を保持するための摩擦力がこの接触部に集中している。したがって、フィルム31の側端部には、搬送方向における力が、径が一定の円柱状ローラの場合と比べて大きく加わっており、これにより、フィルム31の側端部におけるのカール等の発生を防止することもできるとともに、フィルム31のローラ表面との接触面における表面の微細な変形を防止することもできる。
また、図2及び図3に示すように、第1〜第3ローラR1〜R3により支持されるフィルム31の面側、つまり本実施形態では反剥離面側であって、かつ、第1〜第3ローラR1〜R3の各両側端部の下方にはSUS製の吸引ダクト41が配されている。吸気チャンバとしての吸引ダクト41は、図3に示すように、フィルム面側が開口とされた箱形状とされている。そして、図3のように吸引ダクト41のフィルム幅方向における長さは、第2ローラR2の側端部R2aの幅と概ね同じである。各ローラR1〜R3の下方のみならず、できるだけ、図3に示すように、各ローラ間におけるフィルム31の下方にまで延長されていることが好ましい。
吸引ダクト41は、フィルム31の剥離面側の空気を吸引することにより、フィルムを第1〜第3ローラR1〜R3に引き寄せるためのものであり、吸引コントローラ42と排気処理部43とが備えられている。吸引ダクト41は吸引コントローラ42により吸引力を制御され、排気処理部43が吸引された空気に混在する溶媒ガスを凝縮して回収する。この溶媒ガスは、フィルム31に含まれていた溶媒が蒸発したものである。
そして、図3に示すように、フィルム31の両側端部の各吸引ダクト41の間には、フィルム31の幅方向における中央部に給気するための給気ダクト46が設けられている。給気ダクト46には給気コントローラ47と送風機48とが備えられており、給気コントローラ47が、送風機48からの風量を制御して、これにより給気ダクト46からの給気量が制御される。
上記の渡り部33において、バンド27から剥離したフィルム31は、第1〜第3ローラR1〜R3により支持されながらテンター装置17へ連続搬送される。上記のように本発明では、フィルム31の両側端部が、吸引ダクト41により上記形状の第2ローラR2の両側端部に引き寄せられて接触し、第2ローラR2が回転することにより搬送される。そして、フィルム31が溶媒含有率が30%以上300%以下であるときに支持する第1〜第3ローラR1〜R3について、ローラ間隔L1、つまり、第1,第2ローラR1,R2の間隔と、第2,第3ローラR2,R3の間隔とがそれぞれ1mm以上200mm以下となるように各ローラR1〜R3を配置する。本発明においては、溶媒含有率が30重量%以上のフィルムの搬送区間においては、各ローラ間隔がすべて上記範囲とされることが好ましいが、いずれかひとつ、つまり本実施形態では2箇所のローラ間隔のうち、いずれか一方のローラ間隔を上記範囲するとよい。
また、第2ローラR2と吸引ダクト41の側壁端部との隙間の間隔(以下、ローラ・ダクト間距離と称する。)L2を0.5mm以上5mm以下としている。ローラ・ダクト間距離L2を0.5mm以下とすると、第2ローラの振動等によりローラと吸引ダクト41とがぶつかってしまうことがあったり、ローラと吸引ダクト41との間にゴミ等がつまって吸引能力が低下することがある。一方、ローラ・ダクト間距離L2を5mm以上とすると、多くの空気がこの隙間からもれてしまうために所定の吸引力とすることができない場合がある。
また、第1ローラR1と第2ローラR2との間、第2ローラR2と第3ローラR3との間におけるフィルム31と、吸引ダクト41との吸引時における間隔(以降、フィルム・ダクト間距離と称する。)L3が、5mm以上30mmとなるように吸引力を制御することが好ましい。5mm未満とすると、わずかな吸引力の変化でも、フィルム31が吸引ダクト41とぶつかってしまうことがあるので連続稼働を考慮すると不適である。また、30mm以上とすることは、多くの空気がこの隙間からもれてしまうために所定の吸引力とすることができなくなることになるとともに、実質的に、後述するようなラップ角を満たさなくなるためにできるだけ避けた方がよい。
これにより、フィルム31は、第1〜第3ローラR1〜R3により両側端部が安定して支持されるので、渡り部における安定搬送が可能になる。また、吸引ダクト41により溶媒ガスが取り込まれていくので、フィルム31の周辺の溶媒ガス濃度を所定の値以下に抑制して、フィルム31はこの渡り部においても所定の乾燥速度で乾燥される。さらに、この排気処理部43を設けたことにより、取り込まれた溶媒ガスは凝縮回収され、ドープ原料として用いることができ、コスト的にも効果的であるし、また、環境の汚染を防止することができる。なお、上記溶媒含有率は乾量基準の値であって、サンプリング時のフィルムの重量をX1とし、サンプリングしたフィルムを恒温乾燥機等により十分に乾燥して得たフィルムの重量をX2とするとき、計算式{(X1−X2)/X2}×100で求められる値(単位;重量%)である。
ただし、溶媒含有率が上記値の範囲である搬送区間においては、各ローラ間隔L1をすべて上記距離となるようにすることが最も好ましいがこれに限定されるものではなく、少なくとも1箇所のローラ間の距離を上記値とすることにより上記のような効果は得られる。ローラ間隔L1を1mm未満とすると、異物がローラ間に挟まってフィルムが強くその異物に押しつけられて、フィルムにキズや裂け目等を発生させることがあるので不適であり、また、ローラの振動等によりローラ同士がぶつかってフィルムが安定搬送されない場合もある。また、ローラ間隔L1を1mm未満とすると、吸引ダクト41による吸引力が不足してしまうこともある。一方、ローラ間隔L1が200mmよりも大きいときには、ローラとローラとの間の区間におけるフィルム31に対する吸引力の制御が困難となり、吸引ダクト41とフィルム31とがぶつかってしまうことがある。
以上の方法によると、フィルムのツレ、シワ、フィルムの接着、側端部のカール等を抑制されるとともに、ローラ上における面状故障やローラの汚染等が抑制される。なお、フィルムの溶媒含有率が30%よりも大きいとき、特にフィルムの表面抵抗値が108 よりも大きい場合には、上記方法によると、フィルムの面積の大半がローラに無接触のままで搬送されるために帯電しにくく、危険物である化合物を溶媒として用いても防爆上有効である。
なお、吸引ダクト41による吸引圧力は、フィルム下面側の圧力が−1000Pa以上−10Pa以下となるように調整されることが好ましく、−500Pa以上−20Pa以下とされることがより好ましい。
本実施形態では駆動ローラを第1〜第3ローラR1〜R3としたが、必要に応じて他のローラも駆動させることがある。そして、側端部の下方に吸引ダクト41を設置するしないに関わらず、駆動ローラとしてもよい。また、必ずしも第1〜第3ローラR1〜R3のすべてを駆動ローラとする必要はなく、範囲に配されているローラのうち、連続配置された2つのローラが駆動ローラとされていればよく、それら2つのローラを第2ローラR2と同じ形状とし、かつ吸引ダクト41をそれら2つのローラの両側端部の下方に設置して吸引するとよい。
また、本発明では、上記吸引接触する第1〜第3ローラR1〜R3に対するフィルム31の各巻きかけ中心角(以下、ラップ角と称する。)θが1°以上180°以下の範囲となるようにすることが好ましく、本実施形態ではθが1°以上30°以下の範囲となるようにした。このラップ角のより好ましい範囲は、1°以上10°以下である。このラップ角θは、吸引ダクト41により第2ローラに引き寄せられた状態におけるフィルム31の巻きかけ角度を意味するものであるので、例えば第2ローラR2におけるラップ角θは、第1〜第3ローラR1〜R3の相対位置と吸引ダクト41による吸引力とを制御することにより調整される。
吸引することにより接触するすべてのローラに対してラップ角θを上記範囲とすることが最も好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、そのうち少なくともひとつのローラについてこの角度範囲とすることにより効果は得られる。ラップ角θを1°以下とすることは、そのローラによる実質上のフィルム搬送効果は得られず、一方、ラップ角θを180°よりも大きくするとフィルムとローラとの接触による摩擦力が大きくなりすぎてフィルムに種類や搬送速度に応じて面状故障が発生する場合がある。
そして、本発明では、第1〜第3ローラの各回転速度をV1,V2,V3とするとき、V2/V1とV3/V2とのいずれか一方が1.00以上1.15以下とすることが好ましく、本実施形態では、いずれの比もこの範囲となるように制御している。つまり、フィルムが30重量%以上の溶媒含有率をもつ区間では、フィルムの走行方向において連続配置された2つの駆動ローラにおいて上流側の一方の回転速度をVUとし、下流側の一方をVDとするとき、回転速度比VD/VUが1.00≦VD/VU≦1.15を満たすことが好ましく、これにより、フィルム31がばたつくことを防止することができ、上記の効果をより高めることができる。
この回転速度比VD/VUが1.00よりも小さいときには、吸引ダクト41による吸引力やローラ間隔L1、フィルムの自重、これら条件の組み合わせによってはフィルムがばたつくことがある。また、VD/VUが1.15よりも大きい場合には、溶媒含有率が大きいフィルム31は、その走行方向において所定の値よりも大きな張力が付与されることになり、フィルムが伸びて厚みが不均一となったり、破断に至ることがある。
さらに、本発明では、その効果を向上させるために、給気ダクト46を上記の位置に設けてフィルム31の中央部に給気している。給気は、フィルム31の製品部となる部分の乾燥を促すとともに、搬送の安定化を向上させる効果がある。つまり、これは、給気をすることにより、第2ローラR2上のフィルムの第2ローラR2側で、給気ダクト46の給気口46aから吸引ダクト41の吸引口に至る空気の安定した流れが発生し、吸引ダクト41の空気吸引力が安定するからである。この給気ダクト46は、本実施形態のように、フィルムの両側端部近傍に対となって設けられた吸引ダクト41のすべての間に、図3における第2ローラR2の下方に示すように設けられることが最も好ましいが、必ずしもすべての吸引ダクト41の間に設けずともよく、少なくとも一対の吸引ダクト41の間に設けることで効果は得られる。
給気ダクト46から吐出させる空気の風速V1は、0.3(m/秒)≦V1≦20(m/秒)とすることが好ましく、0.5(m/秒)≦V1≦8(m/秒)とすることがより好ましい。V1<0.3(m/秒)であると、給気による上記効果がなく、また、V1>20(m/秒)とすると、フィルム31に対する風圧が強すぎて破損する場合もあり不適である。ただし、この好ましい範囲については、吸引ダクト41による吸引力やフィルム31の溶媒含有率、フィルムの自重等に応じて適宜設定されるものであって、上記範囲に限定されるものではない。また、給気ダクト46から吐出させる空気は、送風機48により外部より吸引されたものであるが、本発明は、給気コントローラ47及び送風機48の機能及び形状に依存するものではない。例えば、これらに代えて、ポンプ及び風量調節バルブを使用し、これらにより外部空気を給気ダクト46の内部に送り込んで、給気量を制御してもよい。
また本実施形態においては、給気ダクト46には、孔面積が2mm2 以上4mm2 以下の正方形状の吐出孔を、開孔率が5%となるように設けているが、このような多孔状の給気口46aに限定されるものではない。例えば、多孔状に代えて、フィルム31の幅方向に沿った長方形状のスリットを外周方向に多数設けることにより、このスリットから送風して給気してもよい。また、多孔状とする場合でも、本発明は孔形状と孔配列に依存するものではない。例えば孔形状が円形であったり、孔配列が千鳥状配列であってもよい。なお、乾燥効率と、ローラとフィルムとの接触回避との点から、開孔率は、1%以上35%以下とすることが好ましく、5%以上20%以下とすることがより好ましい。ここで、開孔率(単位;%)とは、{(開孔面積)/(第3ローラR3の外周面積)}×100で求めた値である。
第2ローラ両側端部R2aには、その表面に粗さ加工処理を施している。この粗さ加工を第2ローラR2に施すことにより、フィルム31の保持力を高めることができる。この第2ローラの長手方向における粗さ加工部位の長さ(以降、粗さ加工幅と称する。)は、2mm以上20mm以下とすることが好ましい。これを20mmより大きくしてもフィルム保持力の向上効果はほとんどなく、また2mmより小さくした場合には、フィルム保持力の向上は認められない。粗さ加工としては、溝形状、トタン状等周知の各種粗さ加工としてよい。
フィルム31のバンド27からの剥離面側には、フィルム31を第2ローラR2とで挟み込むためのニップローラ(図示なし)を設けることもあり、第1,第3ローラR1,R3の位置についても同様にニップローラを設けてもよい。これによりフィルム31を側端部のみでより安定的に支持することができる。ニップローラを使用したときに、好ましい挟み線圧は、20Pa以上400Pa以下であり、より好ましくは、50Pa以上100Pa以下である。
フィルムの剥離面側には、少なくともフィルムの側端部に給気するための給気ダクト(図示なし)を別途設けてもよい。この給気ダクトからの給気により、フィルムのローラへの接触がより安定するので、連続搬送がより効果的になされる。この給気ダクトからの風圧は6m/秒以上25m/秒以下とすることが好ましく、9m/秒以上13m/秒以下とすることがより好ましい。なお、本発明では、この給気ダクトと上記ニップローラとのいずれか一方を用いてもよいし、あるいは併用してもよい。
ところで、フィルム31は、図3に示すように、第2ローラの中央部R2bには接触せずに搬送されるように上記のように制御されているが、例えば搬送速度を所定速度より増減した際には接触する場合がある。そこで、第2ローラ中央部R2bの表面には、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマーにてコーティング処理を施している。フッ素系ポリマーのコーティング処理により、上記のような接触時における、フィルム31と第2ローラ中央部R2bとの摩擦力が低下し、フィルム31の破損を防止することができる。コーティングする材料は、フッ素系ポリマーが最も好ましいが、これに限定されるものではなく、フィルム31との摩擦力を所定量低減させるに十分な材料であればよい。また、この摩擦力低減に関しては、コーティング処理に限定されず、フィルム破損を防ぐに十分な表面平滑性を有する金属材料を使用してもよい。
また、フィルム31が30重量%未満の溶媒含有率となった場合には、側端部のみの吸引接触による搬送をしても、得られる効果がほとんどない。したがって、例えば、溶媒含有率が30重量%未満のフィルムと接触する第nローラRnは、例えば外径が長手方向で一定である円柱状のものであってよいし、また、吸引ダクト41を設けずともよい。
図4は本発明の別の実施形態を示すものであり、渡り部51を示す側面図である。なお、図4において、用いた部材、装置等の中で、図2及び図3と同じものについては図2及び図3と同じ符号を付し、説明を略す。本実施形態ではバンド27から剥がされたフィルム52は、渡り部51において、前実施形態と同様に第1〜第nローラR1〜Rnにより支持されている。本実施形態では、前実施形態の吸気ダクト41(図2参照)に代えて、搬送方向に連続して一体化された吸気ダクト53を用いている。吸気ダクト53からの各ローラR1〜Rnの露出状態や、ローラ・ダクト間距離、フィルム・ダクト間距離等の他の条件設定は、前実施形態と概ね同様としている。
これによると、前実施形態と同様に、フィルム52の両側端部は良好に第1〜第3ローラR1〜R3に引き寄せられて接触し、これらローラR1〜R3の回転により搬送される。したがって、前実施形態と同様の効果を得ることができる。このように、吸気ダクトの形状は、各ローラに対応するように独立して設けられたものでなくともよく、側端部のみで支持する所定区間において連続した一体化形状とされてもよい。
図5は本発明のさらに別の実施形態を示すものであり、渡り部55を示す側面図である。なお、図6において、用いた部材、装置等の中で、図2及び図3と同じものについては図2及び図3と同じ符号を付し、説明を略す。本実施形態では、図5に示すように、溶媒含有量が30重量%以上であるポリマーフィルムを搬送する区間において設けられた第1〜第nローラは、前記のふたつの実施形態よりも密に配されている。つまりローラ間距離L1が、前記ふたつの実施形態よりも小さく設定されている。また、吸気ダクト57は第1実施形態に示したような各ローラ毎のものではなく、前実施形態と同様に一体化されたものとされている。
このように、第1〜第nローラR1〜Rnを密に配することにより、吸引力の制御がより効率的、かつ精緻に実施することができ、フィルムの面状故障を抑制する上で効果的である。
また、図6は、さらに別の実施形態を示しており、上記第1の実施形態の第2ローラR2(図2,3参照)の代わりに、短軸ローラR12を用いた場合のフィルム搬送を説明する断面図である。本実施形態において用いた短軸ローラR12は、図6に示すように、フィルム61の支持すべき側端部と概ね同じ軸長L4を有するローラとされている。そして、フィルム61の両側端部にそれぞれ対向するように第2ローラRA2が配されている。側端部左右にそれぞれ配された第2ローラRA2は、本実施形態では独立駆動制御されているが、必ずしも独立制御とされる必要はない。また、第2ローラRA2の径Dは、第1実施形態の第2ローラと同様とされている。なお、図6において、図2及び図3と同じ部材等については図2及び図3と同じ符号を付し、説明を略す。また給気ダクト46については、接続された給気コントローラと送風機についても第1の実施形態と同様であるので説明を略す。
本実施形態において用いた吸気ダクト62は、第1実施形態において用いた吸気ダクト41と同様にフィルム61側が吸気口62aとして開口されている。そして、側板62b,62cのうち外側の側板62bは、第2ローラRA2の側端面のうち外側の一方が外部へ露出するように設けられており、内側の側板62cは、第2ローラRA2の側端面のうち内側の他方を覆うようにフィルム61の近傍までの高さを有している。
本実施形態では、第2ローラRA2における外側の側端面と吸気ダクト62の側板62bとの間と、フィルム61と側板62b,62cとの間から空気が吸引されて、フィルム61の側端部は第2ローラRA2に引き寄せられて接触する。そして、第2ローラRA2の回転駆動によりフィルム61は面状故障を発生せずに良好に搬送される。
また、フィルム61の第2ローラRA2側の面からは、第1実施形態と同様に給気ダクト46による給気がなされるために、吸引ダクト62による引き寄せがより効果的になされるので、搬送がより安定して面状故障の抑制効果が向上する。なお、本実施形態においてはその他の搬送条件について、好ましい形態は第1実施形態と同様であるので説明は略す。そして、この第2ローラRA2と同様のローラを、渡り部の第1,第3,・・第nローラとして用いることができ、好ましくは、フィルムが30重量%以上の溶媒含有率であるときにその搬送方向に沿って複数配し、搬送方向における各ローラ間隔L1(図2参照))が1mm〜200mmとされる。
このように、本発明では、渡り部のローラが、フィルムの両側端部に対向して設けられ、フィルムの搬送方向に沿って複数設けられているとともに、これらのローラの搬送方向に沿った間隔を1〜200mmとすることにより、吸引ダクトにより引き寄せられたフィルムがローラに接触して、ローラの回転により搬送される。これによりフィルムはツレやシワ等を発生せずに、また、その製品部のローラとの接着が防止されて、良好な搬送がなされる。これにより面状故障のない、良好な品質のフィルムを製造することができる。
また、本発明において製造することができるフィルムとしては、セルロースアシレートフィルムが好ましく、中でも、セルローストリアセテートフィルムがもっとも好ましいが、これに限定されるものではない。つまり、フィルム31の主成分となるポリマーあるいはその前駆体が溶媒を用いることによりドープとなることができるものであればよい。セルローストリアセテートの場合には、その原料が綿花リンタのものと木材パルプのものがあり、いずれか一方を単独で使用してもよいし、また、両者を混合したものでもよい。
さらに、フィルムを単層構造とする場合のみならず、逐次流延方式や共流延方式を用いた積層構造とする場合に対しても有効である。
本発明では、フィルム化に使用されるドープの溶媒として、公知の各種溶媒を用いることができる。例えば各種ハロゲン化炭化水素の他、アルコール、エーテル、エステル、ケトンなどを単独あるいは複数混合して使用することができる。
さらに、本発明においては、フィルムの中に各種添加剤を適宜含有させてもよい。添加剤としては、可塑剤、紫外線吸収剤、染料、光学的異方性化合物、マット剤等が一般的である。
さらに、本発明は、上記の溶液製膜方法によって得られるフィルムを含んでおり、このフィルムは、偏光板保護フィルムとして好適に用いることができる他に、液晶表示装置に好適に用いることができる。
例えば、前記の各実施形態の溶液製膜方法により作製されたセルローストリアセテート等のフィルムを用いて偏光板を製造する場合には、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルムにより作製された偏光膜の両面に、このセルローストリアセテート等のフィルムを保護フィルムとして貼り合わせる。偏光膜は、ポリビニルアルコール系フィルムを染色して得られるが、この染色方法としては、気相吸着法と液相吸着法が一般的でありどちらも適用することができるが、本実施形態においては液相吸着により染色を実施した。
液相吸着による染色には、ここではヨウ素を用いるがこれに限定されるものではない。ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素/ヨウ化カリウム(KI)水溶液に、30秒以上5000秒以下の浸積時間をもって浸積した。このときの水溶液は、ヨウ素の濃度を0.1g/リットル以上20g/リットル以下とし、ヨウ化カリウムの濃度を1g/リットル以上100g/リットル以下とすることが好ましい。また、浸積時の水溶液の温度は5℃以上50℃以下の範囲に設定されることが好ましい。
液相吸着方法としては、上記の浸積法に限らず、ヨウ素あるいはその他の染料溶液をポリビニルアルコールフィルムに塗布する方法や噴霧する方法など、公知の方法を適用してよい。染色を実施するのは、ポリビニルアルコールフィルムを延伸する前であっても延伸した後でもよいが、ポリビニルアルコールフィルムは染色を施されることにより適度に膨潤して延伸されやすくなることから、延伸工程の前に染色工程を設けることが特に好ましい。
ヨウ素の代わりに二色性色素で染色することも好適である。二色性色素としては、アゾ系色素やスチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素、アントラキノン系色素等の色素系化合物を例示することができる。なお、水溶性の色素系化合物がもっとも好ましい。また、これらの二色性色素の分子中に、スルホン酸基やアミノ基、水酸基等の親水性官能基が導入されていることが好ましい。
染色したポリビニルアルコール系フィルムを延伸して偏光膜を製造工程においてはポリビニルアルコールを架橋させる化合物を用いている。具体的には、延伸前工程もしくは延伸工程において架橋剤溶液にポリビニルアルコール系フィルムを浸積して架橋剤を含有させる。浸積する代わりに塗布してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムは、架橋剤の含有によって十分に硬膜化され、この結果、適切な配向が付与される。なお、ポリビニルアルコールの架橋剤としては、ホウ酸類がもっとも好ましいが、これに限定されるものではない。
得られた偏光膜とセルローストリアセテートフィルムとの接着剤には、偏光膜と保護フィルムの接着に用いることができる公知の各種接着剤を用いることができる。中でも、アセトアセチル基やスルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を有する変性ポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコール系ポリマーやホウ素系化合物の水溶液が好ましい。この接着剤は、乾燥した後の厚みが0.01μm以上10μm以下となるように付与することが好ましく、0.05μm以上5μm以下となるように付与することがさらに好ましい。さらに、保護フィルムとしてポリビニルアルコール層に付与したセルローストリアセテートフィルム層の表面には、反射防止層や防眩層、滑り付与層、易接着層等を付与することができる。
さらに、上記の偏光板に反射防止層を付与した反射防止フィルムを得て、これを表面保護フィルムの片側として用いたツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置を得る。また、液晶表示装置の視野角を改良する視野角拡大フィルムなどの光学補償フィルム、位相差板等を組み合わせて使用することもできる。透過型または半透過型の液晶表示装置に用いる場合には、市販の輝度向上フィルム(偏光選択層を有する偏光分離フィルム、例えば住友3M(株)製のD−BEFなど)と併せて用いることにより、さらに視認性の高い表示装置を得ることができる。
〔実験1〕
図1に示すような溶液製膜設備10にて、セルローストリアセテートフィルムを作製した。バンド27からの剥ぎ取り時におけるバンドの表面温度は25℃であった。渡り部33には、4本のローラR1〜R4を設け、図2に示したように、各ローラR1〜R4はすべてフィルムの反剥離面側と接触するように配置した。第1ローラR1と第2ローラ及び第2ローラR2と第3ローラR3の各ローラ間隔L1は10mmとした。また、第1〜第3ローラR1〜R3は、フィルムを支持するための側端部の外径が90mm、中央部の外径が60mm、ローラの長手方向における側端部の長さが280mm、中央部の長さが1600mmであり、第4ローラR4は全長1880mmの円柱状ローラである。第1〜第3ローラR1〜R3の側端部には多数の凹部を形成し、凹部の深さを2mmとし、その凹凸形状をトタン状とした。凹部間隔は3mmとした。また、第1〜第3ローラR1〜R3に対するラップ角をそれぞれ2°とし、ダクト・ローラ間距離L2を1mm、ダクト・フィルム間距離L3を15mmとした。
また、第1〜第3ローラR1〜R3の各両側端部近傍には、フィルム31の反剥離面側の両側端部を吸引するための吸引ダクト41を備えて、フィルム下面側が−100Paとなるように吸引するとともに、フィルム31の幅方向で対をなす2つの吸引ダクト41の各間には給気ダクト46を備えて30m3 /分の風量で給気した。またローラの回転速度比V2/V1,V3/V2はともに1.00とした。
第1〜第3ローラR1〜R3の側端部の温度と第4ローラR4の外周表面とはともに5℃とした。また、給気ダクト46の風速と送風温度とは、それぞれ、3m/秒、10℃とした。第1ローラR1上のフィルム31は、溶媒含有率が150重量%であった。
渡り部33を経たフィルム31をテンター装置17で幅規制しながら乾燥させ、さらにローラ乾燥装置21で乾燥させた後、側端部を切断除去し巻きとった。得られたフィルム31の厚みは40μmであった。なお、フィルム31の搬送速度は70m/分とした。
本実験1の結果、搬送状態はたいへん安定しており、得られたフィルムは面状が良好であった。
〔比較実験1−1〕
吸引ダクト41を設置せずに、フィルム31の両側端部を第1〜第3ローラR1〜R3に対して吸引接触しなかった他は、実施例1と同様に実施した。
〔比較実験1−2〕
第1〜第4ローラR1〜R4をすべて円柱状ローラとした。これらのローラR1〜R4の長手方向の長さはいずれも1180mmである。この他の条件は実施例1と同様にして実施した。
本比較実験1−1.1−2の結果、第1〜第4ローラR1〜R4上ではフィルムのツレやシワが発生し、ローラには接触跡が観察された。また、得られたフィルムには、ツレ、シワ、スリキズや接着跡が観察された。
実験1及び比較実験1−1,1−2の結果より、渡り部において、溶媒含有率が30重量%以上のフィルムをローラで支持または搬送する際には、吸引手段を設けることによりフィルムの側端部をローラに引き寄せて接触させ、そのローラの回転により下流側へ搬送させるとともに、ローラ間距離を所定の範囲とすることが、フィルムのツレやシワ、カール等の面状故障の抑制とローラの汚染防止に有効であることがわかる。また、それらのローラにおける回転速度比VD/VUを制御することにより、その効果がいっそう向上することがわかる。
ヨウ素濃度を0.3g/リットルとし、ヨウ化カリウム18.0g/リットルとした水溶液を25℃に設定して、この中にフィルム厚が75μmのポリビニルアルコールフィルム(厚み(株)クラレ製)を浸積した。さらに、ホウ酸濃度を80g/リットル、ヨウ化カリウム濃度を30g/リットルとした50℃の水溶液中にて、このフィルムを5.0倍に延伸して偏光膜を得た。実験1,2で得られたセルローストリアセテートフィルム3184を、それぞれ、50℃の1.5Nの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で約180秒処理した後、中和してから水洗処理を施し、偏光膜の表裏に各々貼り合わせた。接着剤としてポリビニルアルコール(商品名;PVA−117H、(株)クラレ製)の4%水溶液を用いた。これを80℃の空気恒温槽にて約30分間乾燥して2種類の偏光板を得た。
分光光度計により、得られた2種類の偏光板について、可視領域における並行透過率Yp及び直交透過率Ycを求め、次式に基づき偏光度PYを決定した。
PY={(Yp−Yc)/(Yp+Yc)}1/2 ×100 (%)
本実施例2の結果、実験1,2にて製造されたフィルムを用いて構成された2種類の偏光板において偏光度PYは99.6%以上であってムラもなく、本発明の溶液製膜方法にて得られるフィルムは、偏光板に好適に用いることができることがわかる。
透過型TN液晶表示装置が搭載されたノートパソコンの液晶表示装置の視認側偏光板を、実施例2で作製した2種類の偏光板にそれぞれ貼り代えて2種類の液晶表示装置を得た。なお、この液晶表示装置は、そのバックライトと液晶セルとの間に、偏光選択層を有する偏光分離フィルム(商品名;DーBEF、住友3M(株)製)を有している。
本実施例3で得られた2種類の液晶表示装置は、輝度ムラがなく、表示品位の非常に高いものであった。このことから、本発明の溶液製膜方法にて得られるフィルムは、液晶表示装置として好適であることがわかる。
本発明により、渡り部においてポリマーフィルムに発生するツレやシワ、接着等や、渡り部のローラとの接触によって発生する表面の微細な変形や、ポリマーフィルムからの添加剤析出によるローラの汚染を防止することができる。その結果、製膜速度を向上させてポリマーフィルムの薄膜化を図ることができる。さらに、本発明により得られるポリマーフィルムは光学特性に優れ、偏光板、液晶表示装置に好適に用いることができる。
本発明を実施した溶液製膜設備の概略図である。 本発明を実施した溶液製膜工程の渡り部の概略図である。 渡り部のローラによるフィルム搬送を示す説明図である。 別の実施様態である渡り部の概略図である。 さらに別の実施様態である渡り部の概略図である。 別のローラによるフィルム搬送を示す説明図である。
符号の説明
10 溶液製膜設備
16 流延装置
17 テンター装置
27 バンド
31,52,56,61 フィルム
33,51,55 渡り部
41,53,57,62 吸引ダクト
41a 吸引口
46 給気ダクト
L1 ローラ間隔
L2 ローラと吸引ダクトとの隙間の間隔
L3 フィルムと吸引ダクトとの隙間の間隔
R1〜Rn 第1〜第nローラ
R2a 第3ローラ側端部
R2b 第3ローラ中央部

Claims (8)

  1. 溶媒含有率が30重量%以上である長尺のポリマーフィルムの搬送方向に沿って複数配されたローラに、
    前記ポリマーフィルムの両側端部を吸引手段によって引き寄せて接触させるとともに、
    前記ポリマーフィルムの前記両側端部を除いた中央部を非接触として、
    前記ローラの回転により前記ポリマーフィルムをテンター装置に搬送することを特徴とする溶液製膜方法。
  2. 搬送方向において隣り合う前記ローラの搬送方向における間隔L1を1mm以上200mm以下とすることを特徴とする請求項1記載の溶液製膜方法。
  3. 前記ローラにおける前記ポリマーフィルムの側端部の巻きかけ中心角が1°以上180°以下であることを特徴とする請求項1または2記載の溶液製膜方法。
  4. 前記吸引手段が吸気チャンバであり、
    前記吸引手段と前記ローラとの間に形成される隙間のうち、最も小さい隙間L2の間隔を0.5mm以上5mm以下とすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の溶液製膜方法。
  5. 前記吸引手段と前記ポリマーフィルムとの間に形成される隙間のうち、最も小さい隙間の間隔を5mm以上30mm以下とすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の溶液製膜方法。
  6. 前記ローラのうち任意のローラの回転速度をVDとし、この任意のローラよりも上流側の前記ローラの回転速度をVUとするとき、
    前記回転速度の比VU/VDが1.00以上1.15以下であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の溶液製膜方法。
  7. 前記ポリマーフィルムの幅方向における中央部に対して、前記ローラが配された面側から給気することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の溶液製膜方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の溶液製膜方法により製造されたことを特徴とするポリマーフィルム。
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