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JP4292086B2 - 除雪機の変速装置 - Google Patents
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JP4292086B2 - 除雪機の変速装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃式エンジンと、作業機と、左右一対の走行装置と、を備える除雪機の変速装置に関する。
従来より、除雪機等の作業車両においては、内燃式エンジンの出力を、走行駆動と作業機駆動とに分配して、走行と作業とが同時に可能に構成されている。走行速度の調整は無段階に調整可能であることが望ましいため、このような作業車両には、HST(静油圧式無段変速装置)やベルト式無段変速装置等の無段変速装置が備えられるものとなっている。また、機体の旋回動作は、小型の作業車両では、サイドクラッチ方式により行うものが一般的である。サイドクラッチ方式においては、旋回内側のサイドクラッチを断とし、旋回外側のサイドクラッチを接に保って、その旋回外側の走行装置の駆動により、機体の旋回が行われる構成である。無段変速装置を備えると共に、サイドクラッチ方式により機体の旋回を可能とする除雪機の一例としては、特許文献1に開示される技術がある。
特開2000−54335号公報
無段変速装置は高価であるため、無段変速装置を作業車両に備えるとなると、コストアップに繋がってしまう。また、サイドクラッチ方式においては、一方を断状態とするので、急旋回には適しているが、バリアブルな旋回を行うのには適していない。例えば、大きなカーブを描きながら旋回するなど、必要に応じた自在な旋回ができない。
つまり、解決しようとする問題点は、作業機を備える作業車両において、直進性および旋回性の双方における走行操作性の確保しようとすると、作業車両の製造コストのアップを招いてしまう点である。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
エンジン(31)と、左右一対の電動モータ(62L・62R)と、除雪機(1)の除雪部(2)と、左右一対のクローラ式走行装置(4L・4R)とを備える除雪機の変速装置において、該エンジン(31)から左右の遊星ギア式差動装置(70L・70R)の手前までの動力伝達経路上には、後進変速機構を設けず、左右の各側で、エンジン(31)の出力と、対応する側の電動モータ(62L・62R)の出力との差動動力が、対応する側の遊星ギア式作動装置(70L・70R)で取り出されて、その差動動力が、対応する側のクローラ式走行装置(4L・4R)に供給される構成とし、前記の各遊星ギア式作動装置(70L・70R)に備える太陽ギア(82L・82R)、遊星キャリア(68L・68R)、リングギア(67L・67R)の三要素において、該遊星キャリア(68L・68R)は、前記クローラ式走行装置(4L・4R)の走行駆動軸(61L・61R)と連動連結される出力側要素とし、該太陽ギア(82L・82R)およびリングギア(67L・67R)は、前記エンジン(31)の出力軸および前記電動モータ(62L・62R)のモータ軸(63L・63R)のうち、互いに異なる軸にそれぞれ連動連結される入力側要素とし、除雪機(1)の前進時には、エンジン(31)の出力と、左右の電動モータ(62L・62R)の出力とを利用し、除雪機(1)の後進時には、左右の電動モータ(62L・62R)の出力のみを利用し、除雪機(1)の旋回時は、エンジン(31)の出力と、左右の電動モータ(62L・62R)の出力とを利用し、主として左右の電動モータ(62L・62R)の出力回転数の差または回転方向の違いを利用し、前記エンジン(31)はアクセルレバーの操作により回転数は変更可能であるが、通常の作業・走行時には定格回転の一定の回転速度に保ち、除雪機(1)の速度を一定とし、前記電動モータ(62L・62R)は供給電力量の調整により、無段階に出力回転数を調節可能とし、該調節により除雪機(1)の走行速度を無段階に調節し、逆回転も可能であり、逆回転時の出力回転数も無段階に調節可能としたものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1に記載の如く、エンジン(31)と、左右一対の電動モータ(62L・62R)と、除雪機(1)の除雪部(2)と、左右一対のクローラ式走行装置(4L・4R)とを備える除雪機の変速装置において、該エンジン(31)から左右の遊星ギア式差動装置(70L・70R)の手前までの動力伝達経路上には、後進変速機構を設けず、左右の各側で、エンジン(31)の出力と、対応する側の電動モータ(62L・62R)の出力との差動動力が、対応する側の遊星ギア式作動装置(70L・70R)で取り出されて、その差動動力が、対応する側のクローラ式走行装置(4L・4R)に供給される構成とし、前記の各遊星ギア式作動装置(70L・70R)に備える太陽ギア(82L・82R)、遊星キャリア(68L・68R)、リングギア(67L・67R)の三要素において、該遊星キャリア(68L・68R)は、前記クローラ式走行装置(4L・4R)の走行駆動軸(61L・61R)と連動連結される出力側要素とし、該太陽ギア(82L・82R)およびリングギア(67L・67R)は、前記エンジン(31)の出力軸および前記電動モータ(62L・62R)のモータ軸(63L・63R)のうち、互いに異なる軸にそれぞれ連動連結される入力側要素とし、除雪機(1)の前進時には、エンジン(31)の出力と、左右の電動モータ(62L・62R)の出力とを利用し、除雪機(1)の後進時には、左右の電動モータ(62L・62R)の出力のみを利用し、除雪機(1)の旋回時は、エンジン(31)の出力と、左右の電動モータ(62L・62R)の出力とを利用し、主として左右の電動モータ(62L・62R)の出力回転数の差または回転方向の違いを利用し、前記エンジン(31)はアクセルレバーの操作により回転数は変更可能であるが、通常の作業・走行時には定格回転の一定の回転速度に保ち、除雪機(1)の速度を一定とし、前記電動モータ(62L・62R)は供給電力量の調整により、無段階に出力回転数を調節可能とし、該調節により除雪機(1)の走行速度を無段階に調節し、逆回転も可能であり、逆回転時の出力回転数も無段階に調節可能としたので、作業車両の走行において、エンジン出力だけを用いて走行することが可能であり、電動モータで走行する場合よりも燃費を向上させることが出来る。また、電動モータの出力を併用することで、エンジン出力の変速機構を設けることなく、走行速度の無段変速が容易に実現され、製造コストのアップを招くことが無い。
また、単一のモータにより左右両方の走行装置を駆動する場合に比して、低出力の安価なモータで作業車両に必要とされる走行性を確保することができる。
また、後進変速機構を設けることなく、エンジン出力やモータ出力の変速が可能であり、作業車両の製造コストの低減に繋がる。
本発明の一実施の形態である歩行型除雪機1について、図面を用いて説明する。
まず、図1を用いて、歩行型除雪機(以下、除雪機)1の全体構成を説明する。
除雪機1は、除雪作業機である除雪部2、除雪機1の各駆動部に動力供給を行う発動部3、走行部4、運転操作部5を備えており、これらの各部は機体フレーム11に支持されている。
除雪機1の各部のレイアウトは、概略的には次の構成である。機体フレーム11の前側に除雪部2が配置されると共に、機体フレーム11上に発動部3が配置され、機体フレーム11の下部に走行部4が配置され、機体フレーム11より後上方に向けて運転操作部5が配置される。また、機体フレーム11内には、走行系の動力伝達機構13(後述)を収納するギアケース12が設けられている。
除雪部2は、除雪作業に関わる装置の集合体である。除雪部2には、雪を掻き込むための掻込オーガ21、掻込オーガ21を包囲するオーガハウジング22、雪を排出するためのブロワ24、ブロワ24を収容するブロワハウジング23、雪の排出管であるシュータ25等が備えられている。そして、除雪部2の駆動により、除雪機1の前方の雪が掻き込まれて、除雪機1の側方へ排出され、除雪機1の通過経路上の雪が除去される。また、掻込オーガ21およびブロワ24は、発動部3に備えるエンジン31の動力を利用して駆動される。
発動部3は、除雪機1の各駆動部への動力供給に関わる装置の集合体である。発動部3には、駆動源としての内燃式エンジン31が備えられると共に、該エンジン32の出力を利用して発電する発電機32と、この発電電力により駆動される左右の電動モータ62L・62Rが備えられている。なお、発電電力は電気機器に供給されるが、余剰分は図示しないバッテリに充電され、該バッテリより必要に応じて電動モータ62L・62Rに供給される。該バッテリは機体フレーム11に固定される。
つまり、発動部3からは、エンジン31からの直接の出力と、発電機32の発電電力で駆動される電動モータ62L・62Rからの出力とが、出力される。そして、エンジン31の直接の出力で駆動される駆動部としては、前記除雪部2がある。また、後述の走行部4は、エンジン31の直接の出力と、電動モータ62L・62Rの出力(エンジン31の間接の出力)とを利用して、駆動される。以下では、エンジン31の出力(もしくはエンジン出力)と称する場合は、エンジン31からの実際の出力の内、発電機32での発電による負荷を除いて残った動力のことを指す。また、電動モータ62L・62Rの出力を、単にモータ出力と称することがある。
走行部4は、左右一対のクローラ式走行装置4L・4Rより構成されている。クローラ式走行装置4L・4Rはそれぞれ、クローラベルト43L・43Rと、該クローラベルト43L・43Rに巻回される駆動スプロケット41L・41Rおよび従動スプロケット42L・42L等から構成される。また、前記ギアケース12より走行駆動軸61L・61Rがそれぞれ左右に突出されており、走行駆動軸61Lに駆動スプロケット41Lが固設され、走行駆動軸61Rに駆動スプロケット41Rが固設されている。そして、走行駆動軸61Lの回転によりクローラ式走行装置4Lが駆動され、走行駆動軸61Rの回転によりクローラ式走行装置4Rが駆動される。詳しくは後述するが、走行駆動軸61L・61Rには、エンジン出力およびモータ出力との作動動力が、ギアケース12を経て伝達される。
運転操作部5は、除雪機1の各駆動部を操作する手段の集合体である。機体フレーム11には、後面視逆U字状のハンドル51が固設され、該ハンドル51上に、各種のレバーが設けられている。まず、ハンドル51の上端部の左右一側には走行クラッチレバー52が設けられ、他側には作業クラッチレバー53が設けられており、これらのレバーは共にいわゆるデッドマンクラッチに構成されている。つまり、オペレータが走行クラッチレバー52をハンドル51と共に握った状態で、走行部4に動力伝達が行われ、走行クラッチレバー52を放すと前記動力伝達が遮断される。同様に、オペレータが作業クラッチレバー53をハンドル51と共に握った状態で、除雪部2に動力伝達が行われ、作業クラッチレバー53を放すと前記動力伝達が遮断される。また、ハンドル51の中途部には操作ボックス54が固設されており、該操作ボックス54には、操向レバー55と速度調節レバー56とが設けられている。操向レバー55は十字方向に傾倒可能なレバーであり、停止、前進、後進、右旋回、左旋回を択一的に切換え可能である。速度調節レバー56は、除雪機1の走行速度を無段階に調節可能とする変速指令手段であり、より詳しくはモータ出力の変更を指令する。
次に、図2、図3を用いて、走行系の動力伝達機構13について説明する。除雪機1は、発動部3から供給される二種類の動力、つまりエンジン出力とモータ出力とを利用して、走行可能に構成されている。そして、この二種類の動力を走行部4に伝達する機構として、動力伝達機構13が設けられている。動力伝達機構13は、より詳しくは、エンジン出力と、モータ出力との差動動力を取り出して、左右の走行駆動軸61L・61Rに伝達する機構である。そして、左右の差動動力が異なる場合、除雪機1は旋回し、左右の差動動力が同一の場合、除雪機1は直進または後進する。なお、本明細書において、差動とは、二種以上の機械部品それぞれの運動の差または和を取り出して、一つの部分を動かすことを意味する。
動力伝達機構13には、左右一対の遊星ギア式差動装置70L・70Rが備えられている。そして、概略的には左右において、次のように動力伝達が行われる。左側では、エンジン出力と左側の電動モータ62Lの出力との差動動力が、左側の遊星ギア式差動装置70Lで取り出されて、左側の走行駆動軸61Lに供給される。また、右側では、エンジン出力と右側の電動モータ62Rの出力との差動動力が、右側の遊星ギア式差動装置70Rで取り出されて、右側の走行駆動軸61Rに供給される。
遊星ギア式差動装置には、太陽ギア、遊星キャリア、リングギアの三要素が備えられている。この三要素のうち一つの要素が、遊星ギア式差動装置における出力側の要素とされ、残りの二つの要素が、遊星ギア式差動装置における入力側の要素とされている。そして、二つの入力側要素の差動動力が、出力側要素に伝達される。本実施の形態に即して説明すると、遊星ギア式差動装置70Lにおいては、出力側要素は遊星キャリア68Lであり、該遊星キャリア68Lに走行駆動軸61Lが動力伝達可能に接続されている。また、遊星ギア式差動装置70Lの二つの入力側要素は、太陽ギア82Lおよびリングギア67Lである。太陽ギア82Lにはエンジン31の出力軸31aが動力伝達可能に接続され、リングギア67Lには、電動モータ62Lのモータ軸63Lが接続される。そして、エンジン出力と電動モータ62Lの出力との差動動力が、走行駆動軸61Lに伝達される。以上の構成は、右側の遊星ギア式差動装置70Rにおいても全く同様である。なお、遊星キャリア68Lには三つの遊星ギア83Lが支持され、遊星キャリア68Rには三つの遊星ギア83Rが支持されている。
まず、エンジン31から左右の遊星ギア式差動装置70L・70Rまでの動力伝達経路について、より詳しく説明する。エンジン31の出力軸31aには、エンジンクラッチ33を介して、第一プーリ34が設けられ、該第一プーリ34と第二プーリ35とが、ベルト36に巻回されて、動力伝達可能に接続されている。第二プーリ35は、第一伝達軸71の一端部に固設されており、第一伝達軸71の他端部には、第一ベベルギア72が固設されている。第一伝達軸71はギアケース12の内外を貫通する部位に回動自在に設けられており、ギアケース12の外側に第二プーリ35が位置し、ギアケース12の内側に第一ベベルギア72が位置する。
なお、図2、図3においては、走行系の動力伝達機構のみを図示して、作業系の動力伝達機構については省略している。実際には、エンジン31の出力軸31a上に、作業機(除雪部2)への動力伝達に関わる駆動プーリ(又はギア)や、発電機32への動力伝達に関わる駆動プーリ(又はギア)が設けられるものである。
ギアケース12内において、第一伝達軸71と直交する位置に第二伝達軸73が左右水平方向に回動自在に設けられており、第二伝達軸73上には、前記第一ベベルギア72と噛合する第二ベベルギア74が固設されている。第二伝達軸73の一端部にはブレーキ装置75が設けられており、ブレーキ装置75の作動により第二伝達軸73の回転が制止されると、遊星ギア式差動装置70L・70Rの太陽ギア82R・82Lの回転がロックされる。太陽ギア82R・82Lのロックに関しては、詳しくは後述する。
第二伝達軸73と平行に第三伝達軸76が回動自在に設けられると共に、第二伝達軸73上に固設される第一ギア77と、第三伝達軸76上に固設される第二ギア78とが噛合して減速するように設けられている。また、第三伝達軸76と平行に第四伝達軸79が回動自在に設けられており、第四伝達軸79は走行駆動軸61L・61Rと同軸上に位置している。加えて、第三伝達軸76上に固設される第三ギア80と、第四伝達軸79に固設される第四ギア81とが、噛合するように設けられている。なお、第四伝達軸79と第四ギア81とは、スプライン嵌合により相対回転不能に固定されている。
第四伝達軸79の両端部にはそれぞれ、太陽ギア82L・82Rが固設されている。
太陽ギア82Lは、遊星ギア式差動装置70Lの一構成要素であり、太陽ギア82Rは、遊星ギア式差動装置70Rの一構成要素である。
ここで、エンジン31から遊星ギア式差動装置70L・70Rに至る動力伝達経路をまとめると、次のようになる。左側では、出力軸31aより、第一プーリ34、ベルト36、第二プーリ35、第一伝達軸71、第一ベベルギア72、第二ベベルギア74、第二伝達軸73、第一ギア77、第二ギア78、第二伝達軸76、第三ギア80、第四ギア81、第四伝達軸79を経て、太陽ギア82Lに至る。また、右側では、出力軸31aより第四伝達軸79までは、右側の動力伝達経路と同様であり、第四伝達軸79から太陽ギア82Rに至る。
次に、電動モータ62Lから左側の遊星ギア式差動装置70Lまでの動力伝達経路について、より詳しく説明する。電動モータ62Lのモータ軸63Lには、モータクラッチ64Lを介して第五ギア85Lが設けられ、第五ギア85Lは、モータ軸63Lと平行に設けられる第二モータ軸84L上の第六ギア86Lと噛合している。第二モータ軸84Lの一端部には、モータ用ブレーキ69Lが設けられており、モータ用ブレーキ69Lの作動により第二モータ軸84Lの回転が制止されると、遊星ギア式差動装置70Lのリングギア67Lの回転がロックされる。リングギア67Lのロックに関しては、詳しくは後述する。ただし、前記モータクラッチ64とモータ用ブレーキ69は一体的に構成することも可能である。
また、第二モータ軸84Lと平行に第三モータ軸65Lが回動自在に設けられると共に、第二モータ軸84L上に固設される第七ギア87Lと、第三モータ軸65L上に固設される第八ギア88Lとが噛合するように設けられている。加えて、第三モータ軸65Lの端部には、ウォームギア66Lが固設されており、該ウォームギア66Lは、遊星ギア式差動装置70Lに備えるリングギア67Lの外歯に形成したフォームホィールと噛合している。
電動モータ62Lから左側の遊星ギア式差動装置70Lに至る動力伝達経路をまとめると、次のようになる。モータ軸63Lより、モータクラッチ64L、第五ギア85L、第六ギア86L、第二モータ軸84L、第七ギア87L、第八ギア88L、第三モータ軸65L、ウォームギア66Lを経て、リングギア67Lに至る。
電動モータ62Rから右側の遊星ギア式差動装置70Rまでの動力伝達経路も、左側の動力伝達経路と同様であり、次のようになっている。モータ軸63Rより、モータクラッチ64R、第五ギア85R、第六ギア86R、第二モータ軸84R、第七ギア87R、第八ギア88R、第三モータ軸65R、ウォームギア66Rを経て、リングギア67Rに至る。なお、右側において、各動力伝達要素の配置構成は、左側の場合と同様であり、右側で符号の末尾がRである部材は、左側で符号の末尾がLである部材に対応している。
遊星ギア式差動装置70L・70Rから走行駆動軸61L・61Rに至る動力伝達経路について、より詳しく説明する。左側では、走行駆動軸61Lは、遊星ギア式差動装置70Lに備える遊星キャリア68Lに、スプライン嵌合により固設される構成である。同じく右側では、走行駆動軸61Rは、遊星ギア式差動装置70Rに備える遊星キャリア68Rに、スプライン嵌合により固設される構成である。
次に、除雪機1の走行時における動力供給について説明する。前述したように、除雪機1は、エンジン出力とモータ出力とを利用して走行可能であるが、走行方向に応じて、これらの動力供給の配分が異なるものとなっている。具体的には、除雪機1の前進時には、エンジン出力と、左右の電動モータ62L・62Rの出力とが利用される。後進時には、左右の電動モータ62L・62Rの出力のみが利用される。また、旋回時は、エンジン出力と、左右の電動モータ62L・62Rの出力とが利用されるが、特に左右の電動モータ62L・62Rの出力回転数の差または回転方向の違いが利用される。ここで、エンジン31はアクセルレバーの操作により回転数は変更可能であるが、通常の作業時および走行時には定格回転の一定の回転速度に保たれると共に、エンジン31から左右の遊星ギア式差動装置70L・70Rまでの動力伝達経路上には、変速機構が設けられていないため、エンジン31による走行速度への寄与は一定である。つまり、エンジン31のみを駆動する場合、走行速度は一定である。詳しくは後述するが、このときの走行速度を作業走行速度としている。一方、電動モータ62L・62Rは、該電動モータ62L・62Rへの供給電力量の調整により、無段階に出力回転数を調節することが可能であり、この調節により除雪機1の走行速度が無段階に調節される。また、逆回転も可能であり、逆回転の出力回転数も無段階に調節可能である。
前記の動力配分を実現する操作手段の構成について説明する。前記走行クラッチレバー52は、いわゆるデッドマンクラッチとして構成されるものであり、発動部3から走行部4への動力伝達を同時に遮断可能である。つまり、走行クラッチレバー52が解除位置(レバーから手を放した状態)にあるときは、エンジンクラッチ33、モータクラッチ64L・64Rが同時に切断される。なお、走行クラッチレバー52が接続位置(レバーを握った状態)にあるときは、他の操作手段により、エンジンクラッチ33およびモータクラッチ64L・64Rの断接切換えが可能な状態にある。ただし、走行クラッチレバー52が解除位置にあるときは、該走行クラッチレバー52による切断指令が優先されて、エンジンクラッチ33、モータクラッチ64L・64Rが一律に切断される。
操向レバー55が停止位置にあるときは、エンジンクラッチ33、モータクラッチ64L・64Rが同時に切断されると共に、ブレーキ装置75が作動して太陽ギア82L・82Rがロックされる。
操向レバー55が前進位置にあるときは、エンジンクラッチ33、モータクラッチ64L・64Rが同時に接続されると共に、ブレーキ装置75が解除状態とされて太陽ギア82L・82Rが回動可能となる。また、電動モータ62L・62Rが、共に、同じ回転方向(前進方向または後進方向)かつ同出力(トルクおよび回転数)で回転駆動される。また、エンジン出力のみで除雪機1を走行させる際は、モータブレーキ69L・69Rが作動して、リングギヤ67L・67Rがロックされて、リングギヤ67L・67Rの空転が防止される。同様に、モータ出力のみで除雪機1を走行させる際(本実施形態では、後進時のみ)は、ブレーキ装置75が作動して太陽ギア82L・82Rがロックされ、太陽ギア82L・82Rの空転が防止される。
ここで、除雪機1の速度は、エンジン出力と電動モータ62L・62Rの出力との差動動力で決定されるものである。前述したように、エンジン出力は一定であるので、電動モータ62L・62Rを増速側に作用させるか、減速側に作用させるかの違いにより、除雪機1の走行速度が変化する。つまり、電動モータ62L・62Rが停止状態とされて、エンジン出力のみで除雪機1が前進する場合は、除雪機1の走行速度は一定である。このときの速度が、基準速度として設定されている。一方、基準速度よりも高速の走行時は、電動モータ62L・62Rの出力が増速側に作用するように、電動モータ62L・62Rの回転方向が共に前進方向に制御される。また、基準速度よりも低速の走行時は、電動モータ62L・62Rの回転方向が共に前記と逆(後進)方向に駆動され、減速側に作用する。
操向レバー55が後進位置にあるときは、エンジンクラッチ33が切断され、ブレーキ装置75が作動して太陽ギア82L・82Rがロックされる。また、モータクラッチ64L・64Rが接続されると共に、電動モータ62L・62Rが共に、同じ回転方向(後進方向)かつ同じ出力で回転駆動される。
前進時において、操向レバー55が右旋回位置または左旋回位置に回動すると、電動モータ62L・62Rの回転方向を同一(共に前進方向)とし、回転数のみを異なるようにすることで除雪機1は緩やかに旋回し、電動モータ62L・62Rの回転方向を異なる方向(前進方向と後進方向の組み合わせ)とすると、除雪機1は急旋回する。
速度調整レバー56は、除雪機1の走行速度を無段階に変更可能とする操作手段である。該速度調整レバー56の操作により、電動モータ62L・62Rの出力が無段階に調節される。エンジン出力は一定であるので、モータ出力の変動に比例して、モータ出力とエンジン出力との差動動力が変化し、走行部4の駆動力が変化する。
なお、速度調節レバー56の可動範囲中の中途部には、除雪作業時の走行速度位置として、作業走行位置が設けられている。速度調節レバー56の作業走行位置は、除雪機1の前進時にのみ有効であり、この位置に速度調節レバー56が操作されるとモータ出力は0となる。つまり除雪機1は、除雪作業時には、エンジン出力のみで走行するように構成されている。また、操向レバー55が前進位置にあるときに、速度調節レバー56が作業走行位置に操作されると、モータブレーキ69L・69Rが作動して、リングギア67L・67Rがロックされる。つまり、この構成によりエンジン出力のみにより走行駆動軸61L・61Rに動力が伝達される。
図4を用いて、直進時における動力配分について説明する。図4には、除雪機1の走行速度の変化や、走行系の動力伝達機構13に関わる各要素の駆動状態の変化を示している。ここで、前記の各要素とは、エンジン31、ブレーキ装置75、エンジンクラッチ33、太陽ギア82L・82R、モータクラッチ64L・64R、電動モータ62L・62Rを意味する。また、図4は、除雪機1が一旦最高速度で前進した後、基準速度で前進し、その後、後進する場合を示している。以下で、各要素および走行速度の経時変化を詳しく説明する。なお、図4に示す直進時においては、左右の電動モータ62L・62Rは、同じ回転方向(前進方向または後進方向)かつ同じ出力回転数で駆動するように制御される。
時刻T1では、エンジン31は停止状態にあり、電動モータ62L・62Rも停止しており、発動部3は停止状態にある。加えて、エンジンクラッチ33、モータクラッチ64L・64Rも切断されており、発動部3から走行部4への動力伝達経路も遮断されている。また、このとき、ブレーキ装置75およびモータブレーキ69L・69Rが作動状態にある。
時刻T2では、エンジン31の駆動が開始される。なお、時刻T4までは、エンジンクラッチ33が切断されているため、エンジン出力が、動力伝達機構13には供給されない。
時刻T3では、モータブレーキ64L・64Rが解除されると共に、電動モータ62L・62Rの駆動が開始される。ただし、時刻T4まで、モータクラッチ64L・64Rが切断されているので、除雪機1は停止したままである。
時刻T4では、エンジンクラッチ33、モータクラッチ64L・64Rの接続や、ブレーキ装置75の解除が行われる。このため、エンジン出力およびモータ出力との差動動力が、動力伝達機構13で取り出されて、左右の走行駆動軸61L・61Rに伝達され、除雪機1の走行が開始される。なお、エンジン出力は常に除雪機1の前進方向に作用する。これに対して、モータ出力は、除雪機1の前進方向にも後進方向にも作用させることが可能である。そして、時刻T4においては、走行開始時に除雪機1の速度が不連続に変化しないようにするため、前進方向に作用するエンジン出力を、モータ出力を後進方向に作用させることで、打ち消している。つまり、前進時には、エンジン出力を定格回転とし、遊星ギア式差動装置70L・70Rで電動モータ62L・62Rの出力回転が合成されたときに、走行駆動軸61L・61Rが0となるように、電動モータ62L・62Rを回転させておいてから、エンジンクラッチ33とモータクラッチ64L・64Rを同時に接続するのである。このとき、電動モータ62L・62Rの回転が共に後進方向で開始される。
時刻T4から時刻T6に向けて、モータ出力が前進方向に向けて徐々に増速される。なお、時刻T4から時刻T5に至るまでは、モータ出力自体は後進方向に作用しているので、電動モータ62L・62Rが共に後進方向に回転しながら徐々に減速される状態にある。そして、時刻T5で一旦モータ出力が0となり、時刻T5から時刻T6に向けては、モータ出力が文字通り前進方向で徐々に増速される。ここで、エンジン出力は一定であるため、モータ出力が前進方向で増加するにつれて、両出力の差動動力も前進方向で増加する。つまり、モータ出力が前進方向に向けて徐々に増速されるにつれて、除雪機1の前進速度が増速される。そして、時刻T6は、除雪機1の走行速度が、最高前進速度に到達した時刻である。時刻T6から時刻T7まで、除雪機1は最高前進速度で前進する。
時刻T7では、作業走行速度に向けて、モータ出力の減速が開始される。前進方向のモータ出力が減速されるにつれ、エンジン出力とモータ出力との差動動力も、前進方向で減速されることになり、除雪機1の前進方向の速度が徐々に低下する。そして、時刻T8は、徐々に減速するモータ出力がついに0となった時刻である。時刻T8においては、エンジン出力のみが走行部4に作用し、前述した作業走行速度での走行が開始される。作業走行速度での走行時には、モータブレーキ69L・69Rが作動されて、リングギア67L・67Rの回転がロックされて、エンジン出力がそのまま走行部4へ供給される。また、時刻T8から時刻T9まで、除雪機1は作業走行速度で前進する。この間、除雪部2の駆動も同時に行われて、除雪作業が行われる。
時刻T9では、除雪機1の停止に向けて、モータ出力が後進方向に向けて増速される。そして、時刻T10では、前進方向のエンジン出力と、後進方向のモータ出力とが釣り合って、除雪機1の速度が0となり、除雪機1が停止する。除雪機1の停止時には、エンジンクラッチ33およびモータクラッチ64L・64Rが切断され、ブレーキ装置75およびモータブレーキ69L・69Rが作動する。そして、発動部3から走行部4への動力伝達が遮断されると共に、走行駆動軸61L・61Rがロックされる。したがって、傾斜地で停止しても除雪機1が自重で滑り出してしまうことが無い。
次に、時刻T11では、除雪機1の後進が開始される。このとき、モータブレーキ69L・69Rが解除され、モータクラッチ64L・64Rが接続されて、モータ出力が走行部4へと供給される。時刻T11から時刻T12までは、モータ出力が後進方向で増速されて、徐々に後進速度が向上する。時刻T12で最高後進速度に到達すると、時刻T13まで最高後進速度で等速走行する。そして、時刻T13から時刻T14に向けては、モータ出力が後進方向で減速されて、徐々に後進速度が低下し、時刻T14でモータ出力が0となって、除雪機1が停止する。除雪機1が停止する時刻T14には、モータクラッチ64L・64Rが切断されると共に、モータブレーキ69L・69Rが作動される。また、時刻T15では、エンジン31の駆動が停止されると共に、ブレーキ装置75が作動される。但し、除雪作業を継続する場合にはエンジン31は停止させない。
以上構成の除雪機1における特徴的部分についてまとめる。除雪機1は、内燃式エンジン31と、電動モータ62L・62Rと、除雪部2と、左右一対のクローラ式走行装置4L・4Rと、を備える作業車両である。また、左右一対の遊星ギア式差動装置70L・70Rを備え、左右の各側で、エンジン31の出力と電動モータ62L・62Rの出力との差動動力が、対応する側の遊星ギア式差動装置70L(または遊星ギア式差動装置70R)で取り出されて、その差動動力が、対応する側のクローラ式走行装置4L(またはクローラ式走行装置4R)に供給される構成である。なお、本実施の形態では、一対の電動モータ62L・62Rを用いているが、単一の電動モータを用いる構成としても良い。
このため、エンジン出力とモータ出力とを利用して、除雪機1が走行する。したがって、除雪機1の走行において、エンジン出力だけを用いて走行することが可能であり、電動モータで走行する場合よりも燃費を向上させることが出来る。また、電動モータの出力を併用することで、エンジン出力の変速機構を設けることなく、走行速度の無段変速が容易に実現され、製造コストのアップを招くことが無い。
特に、本実施の形態では、左右一対の電動モータ62L・62Rを設け、左右の各側で、エンジン31の出力と、対応する側の電動モータ62L(または電動モータ62R)の出力との差動動力が、対応する側の遊星ギア式差動装置70L(または遊星ギア式差動装置70R)で取り出されて、その差動動力が、対応する側のクローラ式走行装置4L(またはクローラ式走行装置4R)に供給される構成としている。
このため、各モータは、左右一側の走行装置のみを駆動する構成となる。したがって、単一のモータにより左右両方の走行装置を駆動する場合に比して、低出力の安価なモータで除雪機1に必要とされる走行性を確保することができる。
遊星ギア式差動装置70L・70Rに備える太陽ギア82L・82R、遊星キャリア68L・68R、リングギア67L・67Rの三要素は、次のように、出力側および入力側要素として設定されている。遊星キャリア68L・68Rは、クローラ式走行装置4L・4Rの走行駆動軸61L・61Rと連動連結される出力側要素としている。太陽ギア82L・82Rおよびリングギア67L・67Rは、エンジン31の出力軸31aおよび前記電動モータ62L・62Rの出力軸63L・63Rのうち、互いに異なる軸にそれぞれ連動連結される入力側要素としている。
特に、本実施の形態では、太陽ギア82L・82Rはエンジン31の出力軸31aに連動連結され、リングギア67L・67Rは電動モータ62L・62Rの出力軸63L・63Rに連動連結される構成である。この構成に代えて、太陽ギア82L・82Rを電動モータ62L・62Rの出力軸63L・63Rに連動連結し、リングギア67L・67Rをエンジン31の出力軸31aに連動連結する構成としても良い。
このため、エンジン出力やモータ出力が、遊星ギア式差動装置70L・70Rの減速側より入力されて、遊星ギア式差動装置70L・70Rより、減速かつトルクの高められた作動動力が出力される。したがって、変速機構を設けることなく、エンジン出力やモータ出力の変速が可能であり、除雪機1の製造コストの低減に繋がる。
除雪機の全体側面図である。 走行系の動力伝達機構を示すスケルトン図である。 走行系の動力伝達機構を示す断面図である。 直進時における走行系の動力伝達機構に関わる各要素のタイムチャートであり、特に(a)図は走行速度変化、(b)図はエンジンの駆動状態、(c)図はブレーキ装置の駆動状態、(d)図はエンジンクラッチの駆動状態、(e)図は太陽ギアの駆動状態、(f)図はモータクラッチの駆動状態、(g)図は電動モータの駆動状態を示す。
符号の説明
1 除雪機
2 除雪部(作業機)
4L・4R クローラ式走行装置
31 エンジン
31a 出力軸
62L・62R 電動モータ
63L・63R モータ軸
67L・67R リングギア
68L・68R 遊星キャリア
70L・70R 遊星ギア式作動装置
82L・82R 太陽ギア

Claims (1)

  1. エンジン(31)と、左右一対の電動モータ(62L・62R)と、除雪機(1)の除雪部(2)と、左右一対のクローラ式走行装置(4L・4R)とを備える除雪機の変速装置において、該エンジン(31)から左右の遊星ギア式差動装置(70L・70R)の手前までの動力伝達経路上には、後進変速機構を設けず、左右の各側で、エンジン(31)の出力と、対応する側の電動モータ(62L・62R)の出力との差動動力が、対応する側の遊星ギア式作動装置(70L・70R)で取り出されて、その差動動力が、対応する側のクローラ式走行装置(4L・4R)に供給される構成とし、前記の各遊星ギア式作動装置(70L・70R)に備える太陽ギア(82L・82R)、遊星キャリア(68L・68R)、リングギア(67L・67R)の三要素において、該遊星キャリア(68L・68R)は、前記クローラ式走行装置(4L・4R)の走行駆動軸(61L・61R)と連動連結される出力側要素とし、該太陽ギア(82L・82R)およびリングギア(67L・67R)は、前記エンジン(31)の出力軸および前記電動モータ(62L・62R)のモータ軸(63L・63R)のうち、互いに異なる軸にそれぞれ連動連結される入力側要素とし、除雪機(1)の前進時には、エンジン(31)の出力と、左右の電動モータ(62L・62R)の出力とを利用し、除雪機(1)の後進時には、左右の電動モータ(62L・62R)の出力のみを利用し、除雪機(1)の旋回時は、エンジン(31)の出力と、左右の電動モータ(62L・62R)の出力とを利用し、主として左右の電動モータ(62L・62R)の出力回転数の差または回転方向の違いを利用し、前記エンジン(31)はアクセルレバーの操作により回転数は変更可能であるが、通常の作業・走行時には定格回転の一定の回転速度に保ち、除雪機(1)の速度を一定とし、前記電動モータ(62L・62R)は供給電力量の調整により、無段階に出力回転数を調節可能とし、該調節により除雪機(1)の走行速度を無段階に調節し、逆回転も可能であり、逆回転時の出力回転数も無段階に調節可能としたことを特徴とする除雪機の変速装置。
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