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JP4293395B2 - Cz法単結晶インゴット製造装置及び方法 - Google Patents
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JP4293395B2 - Cz法単結晶インゴット製造装置及び方法 - Google Patents

Cz法単結晶インゴット製造装置及び方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チョクラルスキー法(以下、CZ法)によりシリコンインゴットを製造する装置及び方法、特に良質の完全結晶シリコンウエーハを製造するのに好適な装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
チョクラルスキー法(以下、CZ法)により得られるCZシリコン単結晶の成長中に発生する結晶欠陥は、MOSデバイスのゲート酸化膜の信頼性やPNジャンクションリーク特性などに悪影響を及ぼす。このため、このような結晶欠陥をできる限り低減することが必要となるが、結晶欠陥発生の制御のためには、炉内で引き上げ中の単結晶インゴット(以下、単結晶引き上げインゴット)の引き上げ速度Vと当該単結晶引き上げインゴットの温度勾配Gの比「V/G」の制御を適切に行うことが有効である旨が指摘されている(特開平8−337490号公報など)。
【0003】
これに関し、先の特開平8−337490号公報に係る発明者らは1300℃からシリコン融点までの間のV/Gを適切に制御することにより完全結晶を得ているが(1993年(平成5年)、第54回応用物理学会学術講演会(1993年9月27日から30日)、第54回応用物理学会学術講演会講演予稿集No.1、p303、29a−HA−7:特開平8−330316号公報)、本出願人は1350℃からシリコン融点までの間のV/Gを適切に制御することによって、より適切な条件でシリコンの完全結晶を得ている(特願平10−330713号)。
【0004】
しかしながら、CZ結晶育成において完全結晶を得るためには、V及びGを高精度に制御しなければならない。例えば、上記特願平10−330713号によれば、完全結晶育成のためには、育成速度V(mm/min)と結晶界面近傍の温度勾配G(℃/min)の比であるV/G(mm2/℃・min)が0.16〜0.18程度になるように制御する必要があるということが示されている。
【0005】
ところが、仮にVを一定に制御した場合でも、結晶育成中にGは刻々と変化していくものであるため、その変化に追従してV/G値も変化してしまい、結果的には、結晶成長方向において完全結晶領域を歩留まりよく形成させることが出来なかった。
【0006】
そこで従来技術(特開平8−268794号公報)では、伝熱計算を用いた炉内全体の温度分布計算により単結晶内部の温度分布を求め、求めた温度分布を用いて融液からの輻射の遮断および/または反射をすることにより、単結晶内部の温度分布を操作し、V/G(mm2/℃・min)が目標値に制御されるようにVを操作すると共に、融液からの輻射の遮断および/または反射によりGを操作するようにしている。
【0007】
この従来技術において、融液からの輻射の遮断の調整は、最近のチョクラルスキー法単結晶インゴット製造装置に標準的に装備されている熱遮蔽体の位置を変更することによって行うようにしており、融液から単結晶への輻射の遮断量をコントロールするためのものとして、輻射遮断物(熱遮蔽体)を上下に移動させる機構を備えている。また、この従来技術では、融液からの輻射光を反射するためのものとして、融液の上方に反射率の高い輻射反射物を設置するようにしており、この反射物の角度を調整することによって反射量のコントロールを行っている。
【0008】
加えて、この従来技術では、1300℃までの温度範囲における結晶軸方向の温度勾配Gを求めるために、G演算機というものを用いており、当該G演算機に対して輻射遮断物の位置情報、輻射反射物の角度情報などの諸情報を入力してGを算出するようにしている。そして、V/G制御器が、G演算器によって求められたGと単結晶育成速度VからV/Gを計算すると共に、その計算値がV/G設定値とー致するようにVを操作し、それに合わせて輻射遮断物の位置や輻射反射物の角度を操作することによってGを制御し、最終的にはV/G全体の制御を行うようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術(特開平8−268794号公報)のように、熱遮蔽体の位置等の変更を行うことによってV/Gの制御を行うようにした場合には、それを行うための部材や機構が余分に必要となるので、部品点数の増大や制御の複雑化などという不利益を招く。より具体的には、特開平8−268794号公報に示される方法では、上記のような各種制御装置を用いて融液からの輻射の遮断や反射を調整することによって界面付近の温度勾配Gの制御を行うようにしているので、熱遮蔽体の位置制御や反射物の角度制御を行うための機構が別途必要となり、それに伴ってV/Gの制御も非常に複雑になってしまっている。
【0010】
また、上記従来技術によれば、V/G算出のための温度勾配の算出は、基本的には温度状態のシミュレーションによる推測によって行われているため、炉内の状態を完全に反映してV/Gの調整を行っているものではない。従って、Vがー定であっても、実際にはGが制御されていないというような事態も生じ得る。そして、そのような場合には、結晶成長方向で完全結晶を歩留まり良く得ることは出来ない。
【0011】
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであり、単結晶育成において再現性よく完全結晶が得られる装置及び方法を提供することを目的とする。また、CZ法単結晶インゴット製造装置において、熱遮蔽体の位置等の変更を行うことなくV/Gの調整を行うことができる機構もしくは制御方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
以上のような課題を解決するために、本発明に係るCZ法単結晶インゴット製造装置及び方法においては、基本的には熱遮蔽体の位置を不動とし、熱遮蔽体の底部から原料融液液面までの距離の測定値からフィードバックして単結晶インゴットの引き上げ条件の制御を行うことを特徴とする。
【0013】
ここで、CZ法単結晶インゴット製造装置においては、シリコン融液を貯留しているルツボは、単結晶インゴットの引き上げによる原料融液の減少に伴う原料融液液面の低下を補償するように上昇していくために、基本的には、熱遮蔽体底部から原料融液液面までの距離は一定である。しかしながら、ルツボの昇降率の不一致やその制御の不適切、或は、炉内の灼熱により生じる熱遮蔽体の変形や、細波などの原料融液液面の変化などによって、当該距離が微小に変化する場合がある。本発明者らは、このような熱遮蔽体底部から原料融液液面までの距離のミリメートル単位の変化であっても、それが実は、完全結晶製造プロセスにおいては決して無視することができない要因となっているということを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0014】
本発明以前には、マクロな観点で熱遮蔽体を上下させることはあっても、それを微調整することすらなく、その必要性についての示唆すらなされていない。特に、熱遮蔽体の下端から原料融液液面までの距離のミリメートル単位の微小変化に対応して単結晶インゴットの引き上げ条件を変更することは行われていなかった。本発明は、そのある一面では、完全結晶製造プロセスにおいて、熱遮蔽体の下端から原料融液液面までの距離のミリメートル単位の微小変化を、単結晶インゴットの引き上げ条件を決定する大きな要因の一つとして取り扱っていることに技術的な意義を有する。
【0015】
より具体的には、本発明においては以下のようなCZ法単結晶インゴット製造装置を提供する。
【0016】
(1) 原料融液から単結晶インゴットの引き上げを行うCZ法単結晶インゴット製造装置であって、引き上げられている単結晶インゴット(以下、引き上げ単結晶インゴット)を囲繞して当該引き上げ単結晶インゴットに注がれる熱の量を調整する熱遮蔽体を備えるCZ法単結晶インゴット製造装置において、前記熱遮蔽体の底部から原料融液液面までの距離を測定する測定手段と、この測定手段により測定された距離に基づいて単結晶インゴットの引き上げ条件の制御を行うコントローラーと、を備えることを特徴とするCZ法単結晶インゴット製造装置。
【0017】
(2) 前記引き上げ単結晶インゴットの一部分を冷却するクーラーを備えていることを特徴とする上記記載のCZ法単結晶インゴット製造装置。
【0018】
(3) 上記記載のCZ法単結晶インゴット製造装置において、当該装置はシリコン単結晶インゴット製造装置であり、その引き上げ条件は、シリコン融液に対する加熱量、シリコン融液液面の液面レベル、及び、引き上げられているシリコン単結晶インゴット(以下、引き上げシリコン単結晶インゴット)の引き上げ速度からなる群より選ばれる一つ以上のものであることを特徴とするCZ法シリコン単結晶インゴット製造装置。
【0019】
(4) 上記記載のシリコン単結晶インゴットから切り出されて製造された完全結晶シリコンウエーハ。
【0020】
また、本発明においては以下のようなCZ法単結晶シリコン製造方法を提供する。
【0021】
(5) シリコン融液からシリコン単結晶インゴットの引き上げを行うことによりシリコン単結晶インゴットを製造するCZ法シリコン単結晶インゴット製造方法であって、引き上げられているシリコン単結晶インゴット(以下、引き上げシリコン単結晶インゴット)を囲繞して当該引き上げシリコン単結晶インゴットに注がれる熱の量を調整する熱遮蔽体の底部からシリコン融液液面までの距離を測定し、この測定手段により測定された距離に基づいて、少なくとも「前記シリコン融液に対する加熱量、シリコン融液液面の液面レベル、及び、引き上げシリコン単結晶インゴットの引き上げ速度」からなる群より選ばれる一つ以上のものの制御を行うことにより前記引き上げシリコン単結晶インゴットのG1領域の部分の温度勾配の調整を行うことを特徴とするCZ法単結晶シリコン製造方法。
【0022】
(6) 前記引き上げシリコン単結晶インゴットの下部を冷却することにより、当該単結晶引き上げシリコン単結晶インゴットのG1領域の部分の温度勾配を大きくすることによって当該単結晶引き上げシリコン単結晶インゴットの引き上げ速度を速める上記(5)記載のCZ法単結晶シリコン製造方法。
【0023】
(7) 前記単結晶引き上げシリコン単結晶インゴットの上部を冷却することにより、当該単結晶引き上げシリコン単結晶インゴット内部の引き上げ方向の伝導熱の放散を促進し、当該単結晶引き上げシリコン単結晶インゴットのG1領域の部分の中心側の温度勾配と表面側の温度勾配との差を小さくすることによって、結晶成長方向における完全結晶の形成を促進させることを特徴とする上記(5)記載のCZ法単結晶シリコン製造方法。
【0024】
[用語の定義等]
「引き上げ単結晶インゴットに注がれる熱」というのは、融液液面からの輻射熱やヒータからの照射熱など、引き上げ単結晶インゴットの周囲から当該引き上げ単結晶インゴットに対して供給される熱のことをいう。
【0025】
「熱遮蔽体」は、CZ法により単結晶インゴットの製造をするCZ法単結晶インゴット製造装置の炉内に備えられているものであり、通常は、融液から引き上げられる単結晶インゴットの周囲を囲繞するように設置されており、融液やヒータからの輻射熱量をコントロールする働きをする。この熱遮蔽体は、輻射熱量のコントロールだけではなく、CZ炉の中に通される不活性ガスの流れを整える働きもするので、ガス整流筒とも呼ばれている。
【0026】
「熱遮蔽体の底部から原料融液液面までの距離を測定する測定手段」というのは、熱遮蔽体の底部から原料融液液面までの距離を適確に測定できるものであれば、いかなるものも採用することができるが、例えば特願平11‐071149号に示されているメルトレベル検出装置を用いると好適である。これに関し、従来のメルトレベルセンサーを用いて計測点からメルト表面までの距離を求め、そこからある程度Gを推定するようにすることも勿論出来るが、熱遮蔽体の下端位置は実際には熱応力によって引上げ中に変化してしまうので、特願平11‐071149号に示されるような、熱遮蔽体下端とメルト表面間の距離を適切に測定することが出来るようなセンサーを用いた方が好ましいのである。
【0027】
「G1」というのは、成長時導入欠陥のパターンが決まる温度領域(固液界面温度〜1350℃付近の温度領域)の軸方向温度勾配(℃/mm)を意味し、ボイド欠陥形成温度領域(1120℃近傍の温度領域)の軸方向温度勾配(℃/mm)を意味する「G2」と共に、商品価値のあるシリコンウェーハを製造する上で重要なポイントとなる概念である。
【0028】
「完全結晶」というのは、一般的に、ボイドや転位クラスタなどの結晶欠陥が存在しない結晶で、無欠陥結晶とも呼ばれることがある。かかる完全結晶中には、ボイド欠陥等の成長時導入欠陥(Grown−in欠陥)も酸素析出物も存在しないが、酸素析出物(oxide precipitate)の基となる酸素析出核(oxide precipitate nuclei)が存在するために、完全結晶インゴットから切り出された完全結晶シリコンウェハを熱処理すると、ウェハ中に酸素析出物が導入される。

【0029】
単結晶引き上げインゴットの冷却を行う「クーラー」は、単結晶引き上げインゴットの所定の部分の冷却を行うものであればいかなるものを採用することもできるが、ある特定の個所を確実に冷却するという観点からすれば、冷却水が流通する配管系からなるものやヒートパイプ等を使用したものを採用するのが好ましい(特願平11−094695号、特願平11−094697号)。
【0030】
「温度勾配」の概念には、温度センサにより実際に測定された単結晶引き上げインゴットの表面のものだけでなく、実際に測定された表面温度から理論的に、または経験的に算出される単結晶引き上げインゴット内部及び凝固部のものも含まれる場合がある。
【0031】
本発明に係る方法は、メルトレベルセンサ等による実測値に基づいて算出された温度勾配を使用してV/Gを求め、それに基づいてヒータの温度や融液の液面の高さ等の調整を行うものであり、結晶製造に好適なV/Gは、対象となる物質に応じて適宜求めることができるものであるため、本発明に係る方法もしくは装置がシリコンのものに限られないことは明らかである。
【0032】
【発明を実施するための形態】
[全体構成]
図1は本発明に係るシリコン単結晶インゴット製造装置の好適な実施形態を示すブロック図である。この図1に示されるように、本発明に係るシリコン単結晶インゴット製造装置は、通常のCZ法シリコン単結晶インゴット製造装置と同様に、密閉容器たるチャンバー11内に、シリコン融液12の製造・貯蔵のためのルツボ13と、このルツボ13を加熱するためのヒータ14と、ルツボ13を昇降させる昇降装置15と、を備えている。そして、この他にも適宜、通常のCZ法シリコン単結晶インゴット製造装置と同様に、ヒータ14に電力を供給する電極、その他断熱材、メルトレシーブ、内筒などが備え付けられる。また、この装置には、シリコンインゴット17を引き上げる引き上げ装置16と、シリコン融液12及びヒータ14からシリコンインゴット17への熱の輻射を遮蔽するための熱遮蔽体18と、が備え付けられている。
【0033】
更に、本発明に係るシリコン単結晶インゴット製造装置は、特に図示してはいないが、この種のCZ法シリコン単結晶インゴット製造装置に通常装備される不活性ガスの導入・排気システムを備えている。そして、このようなシステム下にあって、熱遮蔽体18は不活性ガスの流通路を調整する働きも兼ね備えている。また、この装置においては、チャンバー11内の排気を行う真空ポンプ20が接続されている。
【0034】
ここで、図1に示される本発明に係るシリコン単結晶インゴット製造装置には、CZ法単結晶インゴット製造装置に通常用いられているメルトレベルセンサ23が取り付けられており、プリズム25を介してシリコン融液液面12aにレーザ光が照射され、メルトレベル(シリコン融液液面12aのレベル)が検出される。ヒータ14、昇降装置15、及び引き上げ装置16は、メルトレベルセンサ23からの入力に応じて、コントローラ26が制御する。
【0035】
図2は、本発明の要部を説明するためのブロック図である。この図2から明らかなように、本発明に係る製造装置においては、基本的に、レーザー光源101から発せられたビーム102を角度θでシリコン融液液面12aに投射し、その反射により得られる計測スポットの位置に基づいて、三角測量の原理によりシリコン融液液面12aのレベル(メルトレベル)を算出する。計測スポットの位置は、当該正反射光104をレンズ105で集光し、それを二次元光センサ107上の集光位置によって同定される(特願平11‐071149号参照)。
【0036】
そして、この図2に示されるように、本発明に係る製造装置においては、スキャン範囲113を熱遮蔽体18にまで拡張し、レーザー光102のスキャン範囲113をシリコン融液液面12aと熱遮蔽体18の双方にまたがる範囲にまで行うことによって、シリコン融液液面12aと熱遮蔽体18の間の距離(MSD: Melt Screen Distance)を計測することが可能となる。シリコン融液液面12aと熱遮蔽体18の区別は、反射率の相違によって行う(特願平11‐071149号参照)。
【0037】
[クーラー]
図3は、クーラーが設けられた実施の形態を示すブロック図である。なお、図1と同一の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0038】
この実施の形態に係るシリコン単結晶インゴット製造装置においては、熱遮蔽体18の内側の一部分にクーラー19が設置されているが、このクーラー19は、その中を冷却水が流通する配管で構成されており、冷却水は、供給管21aを介して供給される。この供給管21aを含む給排管21(供給管21aと排出管21bのセットからなる)をチャンバー11内に貫入する個所には、蛇腹部材28が取り付けられ、気密状態が保たれるようにされている。
【0039】
ここで、本発明に係るシリコン単結晶インゴット製造装置においては、コントローラ26により、メルトレベルセンサ23からの入力(より具体的には、メルトレベルセンサ23の検出結果から明らかとなったMSDの値)に応じて、1350℃以上の部分のV/Gが製造の目的に応じて設定された値を示すように、ヒータ14の温度や、引き上げ装置16によるシリコンインゴット17の引き上げ速度の調整等が行われる。同時に、昇降装置15は、メルトレベルセンサ23からの監視を受けながら、メルトレベルセンサ23からの入力(MSD値)に応じて、1350℃以上の部分のV/Gが、製造の目的に応じて設定された値を示すように、適宜調整される。
【0040】
[完全結晶の製造]
本発明によれば、前記単結晶引き上げインゴット17の上部を冷却することにより、当該単結晶引き上げインゴット17内部の引き上げ方向の伝導熱の放散を促進し、当該単結晶引き上げインゴットのG1領域の部分の中心側の温度勾配と表面側の温度勾配との差を小さくすることができ、それによって完全結晶を作製することができる。
【0041】
例えば、シリコンの場合においては、結晶引き上げインゴット17内部の引き上げ方向の伝導熱の放散を促進することにより、1350℃以上の領域においてV/G値を0.16〜0.18mm/℃minの範囲に設定し、その範囲での単結晶引き上げインゴット表面のG値の平均値Gouterと単結晶引き上げインゴット中心のG値の平均値Gcenterの比であるGouter/Gcenterを1.10以下にすれば、完全結晶を得ることができる(特願平10−330713号)。
【0042】
【実施例】
図4は、シリコン融液からのシリコン単結晶インゴットの引上げに伴う温度勾配G等の変化を検証した結果を示すグラフである。
【0043】
まず、図4(A)より、シリコン単結晶インゴットの引上げ速度Vが一定で、かつ、熱遮蔽体下端〜シリコン融液液面間距離(以下、MSD: Melt Screen Distance)も一定であった場合には、シリコン単結晶インゴットの引上げの進行に伴って(即ち、シリコン単結晶インゴットが成長してそれが長くなればなるほど)、界面近傍の温度勾配G(即ちG1)が小さくなっていくということが分かる。また、図4(B)より、V/Gを一定にすると同時にMSDも一定にした場合には、シリコン単結晶インゴットの引上げの進行に伴って、シリコン単結晶インゴットの引上げ速度Vが低下していくということが分かる。さらに、図4(C)からは、V/G一定かつV一定の条件下では、MSDを狭めることによって温度勾配Gを大きくすることができるということが分かる。
【0044】
ここで、MSDを狭めることは、単位時間当たりの引上げ結晶の重量分に対するルツボの送り速度を速めることによって実現することができるので、そのようにすることによって温度勾配Gを大きくできるということになる。逆に、ルツボの送り速度を単位時間当たりの引上げ結晶の重量分に対して遅くすることにより、MSDを広げて温度勾配Gを小さく出来ることになる。より具体的にGの制御方法を述べると、育成中の結晶長が長くなると、界面付近の温度勾配Gが小さくなるので、MSDが長手方向で徐々に狭くなるように予め引上げプログラムを設定しておくことにより、Gの値をー定に制御することができるということになる。
【0045】
このようにして、Vを操作してそれを適宜制御すると共に、MSD制御によってGを制御することにより、V/Gが設定値とー致するように制御することができる。また、同時にヒーターパワーを制御することにより、V/Gの設定が確実なものとなる。
【0046】
以上の実施例より、結晶界面付近の温度勾配G(即ちG1)はMSDに大きく依存するということが分かる。従って、シミュレーションによって結晶長さで変化する軸方向温度勾配の変化量を予め求めておき、引上げ速度V及び界面近傍の温度勾配Gを制御するためのMSD (熱遮蔽体下端〜シリコン融液液面間距離: Melt Screen Distance)の設定値を単結晶引上げプログラムの中に取り込み、それでシリコン単結晶インゴットの引上げをコントロールすることにより、V/Gを安定した状態で制御することが可能となる。
【0047】
このことは、V/Gを極めて狭い範囲で制御しなければ得られない完全結晶の製造に適しているということを意味している。より具体的に説明すれば、本発明によれば、例えば引上げシリコン単結晶インゴットの1350℃以上の領域においてそのV/G値を0.16〜0.18mm/℃minの範囲にうまく入るように安定して制御することができることになるので、従来装置で製造する場合よりも、完全結晶が生成する領域を拡張することができる。即ち本発明に係るCZ法単結晶インゴット製造装置によれば、熱遮蔽体下端〜シリコン融液液面間距離(MSD)の実測値に基づき、シリコン融液に対する加熱量、シリコン融液液面の液面レベル、或は、引き上げシリコン単結晶インゴットの引き上げ速度などのシリコン単結晶インゴットの引き上げ条件を制御することにより、完全結晶が生成する領域を結晶成長方向に容易に拡張することができるのである。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来用いられていたような輻射遮断物(熱遮蔽体)を上下に移動させる機構や、融液の上方に設置される反射率の高い輻射反射物やそれを駆動させるための機構といったような複雑な機構は用いずに、温度勾配Gをより簡易に制御することができ、これによって再現性よく完全結晶の領域を結晶成長の方向に拡張させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るシリコン単結晶インゴット製造装置の好適な実施形態を示すブロック図である。
【図2】 本発明の要部を説明するためのブロック図である。
【図3】 本発明の別の実施形態(クーラーを採用した実施形態)を示すブロック図である。
【図4】 本発明に係るシリコン単結晶インゴット製造方法の原理を説明するための図である。
【符号の説明】
11 チャンバー
12 シリコン融液
12a シリコン融液液面
13 ルツボ
14 ヒータ
15 昇降装置
16 引き上げ装置
17 シリコンインゴット
18 熱遮蔽体
19 クーラー
19a クーラーの下端
20 真空ポンプ
23 メルトレベルセンサ
25 プリズム
26 コントローラ
28 蛇腹部材
101 レーザー光源
102 ビーム
104 正反射光
105 レンズ
107 二次元光センサ
113 スキャン範囲

Claims (6)

  1. 原料融液から単結晶インゴットの引き上げを行うCZ法単結晶インゴット製造装置であって、引き上げられている単結晶インゴット(以下、引き上げ単結晶インゴット)を囲繞して当該引き上げ単結晶インゴットに注がれる熱の量を調整する熱遮蔽体を備えるCZ法単結晶インゴット製造装置において、
    前記熱遮蔽体の底部から原料融液液面までの距離を測定する測定手段と、
    前記測定手段により測定された距離に基づいて単結晶インゴットの引き上げ条件の制御を行うコントローラーと、
    前記引き上げ単結晶インゴットの一部分を冷却するクーラーと、
    を備えることを特徴とするCZ法単結晶インゴット製造装置
  2. 請求項1記載のCZ法単結晶インゴット製造装置において、当該装置はシリコン単結晶インゴット製造装置であり、その引き上げ条件は、シリコン融液に対する加熱量、シリコン融液液面の液面レベルの調整、及び、引き上げられているシリコン単結晶インゴット(以下、引き上げシリコン単結晶インゴット)の引き上げ速度からなる群より選ばれる一つ以上のものであることを特徴とするCZ法シリコン単結晶インゴット製造装置。
  3. 原料融液からシリコン単結晶インゴットの引き上げを行うCZ法シリコン単結晶インゴット製造装置であって、引き上げられているシリコン単結晶インゴットを囲繞して当該引き上げシリコン単結晶インゴットに注がれる熱の量を調整する熱遮蔽体を備えるCZ法シリコン単結晶インゴット製造装置において、
    前記熱遮蔽体の底部から原料融液液面までの距離を測定する測定手段と、
    前記測定手段により測定された距離に基づいて、シリコン融液に対する加熱量、シリコン融液液面の液面レベルの調整、及び、引き上げシリコン単結晶インゴットの引き上げ速度からなる群より選ばれる一つ以上のものであるシリコン単結晶インゴットの引き上げ条件の制御を行うコントローラーと、
    を備えることを特徴とするCZ法シリコン単結晶インゴット製造装置。
  4. 請求項1に記載のCZ法単結晶インゴット製造装置において、前記引き上げ単結晶インゴットのG1領域の部分の温度勾配の調整を行うこと、または請求項2ないし3に記載のCZ法シリコン単結晶インゴット製造装置において、前記引き上げシリコン単結晶インゴットのG1領域の部分の温度勾配の調整を行うこと、を特徴とするCZ法単結晶製造方法
  5. 前記引き上げ単結晶インゴットまたは前記引き上げシリコン単結晶インゴットの下部を冷却することにより、当該引き上げ単結晶インゴットまたは引き上げシリコン単結晶インゴットのG1領域の部分の温度勾配を大きくすることによって当該引き上げ単結晶インゴットまたは引き上げシリコン単結晶インゴットの引き上げ速度を速める請求項4記載のCZ法単結晶製造方法
  6. 前記引き上げ単結晶インゴットまたは前記引き上げシリコン単結晶インゴットの上部を冷却することにより、当該引き上げ単結晶インゴットまたは引き上げシリコン単結晶インゴットの内部の引き上げ方向の伝導熱の放散を促進し、当該引き上げ単結晶インゴットまたは引き上げシリコン単結晶インゴットのG1領域の部分の中心側の温度勾配と表面側の温度勾配との差を小さくすることによって、結晶成長方向における完全結晶の形成を促進させることを特徴とする請求項4記載のCZ法単結晶製造方法
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