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JP4295682B2 - 多層配線基板 - Google Patents
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JP4295682B2 - 多層配線基板 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス成分とセラミックス成分とからなるガラス−セラミックス基板、すなわち低温焼成基板材料と、これを用いた多層配線基板に関する。
半導体チップ用の絶縁性配線基板において、導体材料や抵抗材料と同時焼成を行なうために、1000℃以下の低温で焼成が可能なガラス−セラミックス基板(低温焼成基板、LTCC基板)に関する技術の開示がある(例えば特許文献1及び特許文献2を参照。)。この基板は、まず、グリーンシートを成形した後、その表面に導体材料や抵抗材料で配線を印刷し、これを複数枚積層してプレスし、その積層体を焼成することで得られ、多層配線基板を構成する。この基板は、高周波重畳モジュール、アンテナスイッチモジュール、フィルタモジュール等のLTCCモジュールとして利用される。
特開平1−132194号公報 特開平5−211006号公報
近年、生産効率を上げるために1つの基板から複数の製品が得られるように集合基板形態で焼成を行なうことが多い。このとき集合基板から得られる製品の精度を保つために、集合基板の平面性がますます要求されるようになっている。
同時に、LTCCモジュールの高集積化、小型化を進めるためには、同じ比誘電率のガラス−セラミックス混合層を積層させた多層配線基板のみならず、比誘電率の異なるガラス−セラミックス混合層を積層させて多層配線基板を形成することが望まれる。
しかし、比誘電率に違いを持たせるために異組成のガラス−セラミックス混合層を積層させて多層配線基板とすると、異なる組成のガラス−セラミックス混合層では線熱膨張係数も異なることから、焼成品に反りが発生するという問題が生ずる。
焼成品の反りの問題を解決するため、グリーンシートを積層するに際して、積層方向に対称構造となるようにすることで、線熱膨張係数の違いをキャンセルし、焼成品の反りを防止している。しかし、設計の自由度を向上させ、需要の要求に柔軟に対応できるようにするために、対称構造をとらなくても反りが小さいことが望まれる。
そこで本発明の第1の目的は、線熱膨張係数が5.90×10−6〜6.40×10−6/℃と従来の低温焼成基板材料と同程度の線熱膨張係数を有しつつ、比誘電率が10以上と高い誘電率を有する低温焼成基板材料を提供することである。多層配線基板に高容量のキャパシター層を含ませることで、モジュールの薄型・小型化をはかるものである。さらに本発明の第2の目的は、設計の自由度の向上のために異組成のガラス−セラミックス混合層を積層させた多層配線基板において、積層構造を対称構造としなくても焼成品の反りを小さくすることである。
本発明者らは、コーディエライトをフィラーとして含有させ、その含有量を増減させることで、低温焼成基板材料の線熱膨張係数を容易に制御することができることを見出し、本発明を完成させた。本発明に係る多層配線基板において使用する低温焼成基板材料は、SiO46〜60重量%、B0.5〜5重量%、Al6〜17.5重量%及びアルカリ土類金属酸化物25〜45重量%の組成を有し、該アルカリ土類金属酸化物中の少なくとも60重量%がSrOであるガラスを60〜78vol%、アルミナを0vol%を超えて16vol%以下、チタニアを10〜26vol%、及び、コーディエライトを2〜15vol%含有し、且つ、50〜300℃における線熱膨張係数が5.90×10−6〜6.40×10−6/℃で、室温1.9GHzにおける比誘電率が10以上であることを特徴とする。チタニアを添加しつつ、同時にコーディエライトをフィラーとして含有させることで、高い比誘電率を維持しつつ、線熱膨張係数を5.90×10−6〜6.40×10−6/℃とすることができる。ここで本発明に係る多層配線基板において使用する低温焼成基板材料は、コーディエライトの含有量を増減させることで容易に線熱膨張係数を制御することができる。
本発明に係る多層配線基板は、ガラス−セラミックス混合層が積層されている多層配線基板において、前記ガラス−セラミックス混合層のうち少なくとも1層、SiO46〜60重量%、B0.5〜5重量%、Al6〜17.5重量%及びアルカリ土類金属酸化物25〜45重量%の組成を有し、該アルカリ土類金属酸化物中の少なくとも60重量%がSrOであるガラスを60〜78vol%、アルミナを0vol%を超えて16vol%以下、チタニアを10〜26vol%、及び、コーディエライトを2〜15vol%含有し、且つ、50〜300℃における線熱膨張係数が5.90×10−6〜6.40×10−6/℃で、室温1.9GHzにおける比誘電率が10以上である低温焼成基板材料からなり、かつ、該低温焼成基板材料からなるガラス−セラミックス混合層以外の他のガラス−セラミックス混合層は、室温1.9GHzにおける比誘電率が5〜8であることを特徴とする。本発明に係る多層配線基板において使用する低温焼成基板材料は、高い比誘電率を有しつつ、線熱膨張係数を5.90×10−6〜6.40×10−6/℃と制御することができるので、例えば低比誘電率の低温焼成基板材料と組み合わせるに際して、線熱膨張係数を合致させ、反りを低減できる。そして、他のガラス−セラミックス混合層の室温1.9GHzにおける比誘電率が5〜8とすることで、比誘電率の異なるガラス−セラミックス混合層を積層させて多層配線基板を形成し、LTCCモジュールの高集積化、小型化を進めることができる。
本発明に係る多層配線基板では、本発明に係る前記低温焼成基板材料からなるガラス−セラミックス混合層と、該ガラス−セラミックス混合層以外の他のガラス−セラミックス混合層との50〜300℃における線熱膨張係数の差が0.25×10−6/℃以下であることが好ましい。線熱膨張係数の差を上記の範囲に制御することで、反りを低減できる。
また本発明に係る多層配線基板では、前記他のガラス−セラミックス混合層は、具体的には、SiO46〜60重量%、B0.5〜5重量%、Al6〜17.5重量%及びアルカリ土類金属酸化物25〜45重量%の組成を有し、該アルカリ土類金属酸化物中の少なくとも60重量%がSrOであるガラスが58〜76vol%、及び、アルミナが24〜42vol%含有されている低温焼成基板材料からなるガラス−セラミックス混合層であることが好ましい。
また本発明に係る多層配線基板では、ガラス−セラミックス混合層間の線熱膨張係数の差を小さくすることで反りの発生を抑制するが、その反りは50mm角の大きさ当たりで200μm以下である場合が含まれる。さらに、その反りが100mm角の大きさ当たりで200μm以下である場合も含まれる。
本発明は、コーディエライトを線熱膨張係数の制御用フィラーとして低温焼成基板材料に含有させることで、高膨張性磁器となることを阻止し、且つ、高い比誘電率を有する低温焼成基板材料とすることができる。また本発明は、異組成のガラス−セラミックス混合層を積層させた多層配線基板において、積層構造を対称構造としなくても焼成品の反りを小さくすることができる。これにより、多層配線基板に高容量のキャパシター層を入れることで、モジュールの薄型・小型化をはかりつつ、設計の自由度を向上させることができる。
以下、本発明に実施の形態を示して本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。
本実施形態に係る低温焼成基板材料は、60〜78vol%のガラス成分と、40〜22vol%のセラミックス成分、すなわちアルミナ(Al)、チタニア(TiO)及びコーディエライト(MgAlSi18)を含むセラミックス成分とからなる。
ここでガラスは、SiO46〜60重量%、好ましくは47〜55重量%、B0.5〜5重量%、好ましくは1〜4重量%、Al6〜17.5重量%、好ましくは7〜16.5重量%及びアルカリ土類金属酸化物25〜45重量%、好ましくは30〜40重量%の組成を有することが必要である。このSiOが46重量%未満ではガラス化が困難になるし、60重量%を超えるとガラス軟化点が高くなりすぎて低温焼結ができなくなる。また、Bは5重量%よりも多くすると、焼結後における耐湿性の低下を招くし、また0.5重量%よりも少なすぎるとガラス化温度が若干高くなるとともに焼結温度が高くなりすぎるので好ましくない。さらにAlが6重量%未満では、ガラス成分の強度が低下するし、17.5重量%を超えるとガラス化が困難になる。このガラス成分中のアルカリ土類金属酸化物としては、MgO、CaO、BaO及びSrOがあるが、その合計量の少なくとも60重量%、好ましくは80重量%以上がSrOであることが必要である。この量が60重量%未満では、ガラス軟化点が高くなり,低温焼成化が困難となる。そして、他のCaO、MgO、BaOの若干を複合添加することにより、溶解ガラスの粘性を低下させ、焼結温度幅を拡大することができ、製造が容易になるので、これらを混合使用することが好ましい。添加効果の点では、前記アルカリ土類金属酸化物中のCaOとMgOとBaOは合計で1重量%以上にするのが好ましく、さらにCaOとMgOはそれぞれ0.2重量%以上、特に0.5重量%以上にするのが好ましい。前記アルカリ土類金属酸化物中のCaOは、10重量%未満、MgOは6重量%以下にするのが好ましい。これらの酸化物の量がそれよりも多くなると高強度の磁器が得られず、また、ガラスの結晶化度の制御が困難になる。
本実施形態に係る低温焼成基板材料において、ガラス成分は、60〜78vol%、好ましくは60〜73vol%とすることが必要であり、ガラス成分が60vol%未満、すなわちセラミックス成分が40vol%を超えると1000℃以下でち密な焼結体が得られなくなる。一方、ガラス成分が78vol%超、すなわちセラミックス成分が22vol%未満となると抗折強度が低下する。
セラミックス成分の一つであるアルミナの含有量は、0vol%を超えて16vol%以下、好ましくは1〜8vol%とする。アルミナは比誘電率の調整として添加されるが、16vol%を超えて添加されると、目的とする比誘電率が得られなくなる。
セラミックス成分の一つであるチタニアの含有量は、10〜26vol%、好ましくは14〜25vol%とする。チタニアは比誘電率を高めるために添加し、10vol%未満では比誘電率が低い。一方、26vol%を超えて添加されると、低温焼成基板材料の線熱膨張係数が大きくなりすぎる。
セラミックス成分の一つであるコーディエライトの含有量は、2〜15vol%、好ましくは6〜14vol%とする。コーディエライトは、50〜300℃の線熱膨張係数が1.8×10−6/℃と低く、比誘電率は4.8と低い。したがって、低温焼成基板材料中の含有量を変化させることで、比誘電率に大きな影響を与えることなく、線熱膨張係数を低くする方向への制御を行なうことができる。コーディエライトの含有量が2vol%未満とすると、低温焼成基板材料の線熱膨張係数が大きくなってしまい、一方、15vol%を超えると低温焼成基板材料の線熱膨張係数が小さくなりすぎる。
本実施形態に係る低温焼成基板材料は、各成分を調整することで、50〜300℃における線熱膨張係数が5.90×10−6〜6.40×10−6/℃で、室温1.9GHzにおける比誘電率を10以上とすることが良い。特に線熱膨張係数の制御はコーディエライトで行なう。低温焼成基板材料として、高線熱膨張性化を抑制し、且つ高比誘電率の材料を提供しうる。
本実施形態の低温焼成基板材料は、本発明の目的に反しない限り、他の成分を含有させても良い。
本実施形態に係る低温焼成基板材料からなるガラス−セラミックス混合層のみを積層して多層配線基板としても良いが、図1に示すように本実施形態では、ガラス−セラミックス混合層のうち少なくとも1層が本実施形態に係る低温焼成基板材料からなることとし、異組成のガラス−セラミックス混合層を積層して多層配線基板とすることができる。図1に、多層配線基板の断面概略図を示した。(1)の(a)〜(e)及び(2)の(a)〜(e)で示した積層構造は、異組成のガラス−セラミックス混合層を非対称構造に積層した場合の具体例であり、(3)の(a)〜(e)で示した積層構造は、異組成のガラス−セラミックス混合層を対称構造に積層した場合の具体例である。図1では2組成のガラス−セラミックス混合層を積層して多層配線基板を得た場合を示し、例えば斜線部分で示したガラス−セラミックス混合層が本実施形態に係る低温焼成基板材料からなり、斜線のない白部分で示したガラス−セラミックス混合層が他の低温焼成基板材料からなる。なお、3種類以上の異なる組成のガラス−セラミックス混合層からなる多層配線基板としても良い。
本実施形態に係る低温焼成基板材料は50〜300℃における線熱膨張係数が5.90×10−6〜6.40×10−6/℃で、室温1.9GHzにおける比誘電率が10以上という物性を有するが、別組成のガラス−セラミックス混合層と組み合わせて多層基板とする場合、ガラス−セラミックス混合層間の50〜300℃における線熱膨張係数の差を0.25×10−6/℃以下とすることで、集合基板の反りを抑制することができる。反りは図2のwで示される。積層された各ガラス−セラミックス混合層の線熱膨張係数の差を0.25×10−6/℃以下とすることで、多層配線基板の反りWは、50mm角の大きさ当たりで200μm以下、或いは100mm角の大きさ当たりで200μm以下とすることができる。このとき、基板の一辺の長さ(長辺と短辺があるときは長辺)をtとして、w/tで求められる反り率を、0.4%以下、好ましくは0.2%以下とできる。
線熱膨張係数の差が0.25×10−6/℃を超える場合には、反りを小さくするために、例えば図1(3)の(a)〜(e)で示す積層構造のように、積層方向の中心で対称となるようにガラス−セラミックス混合層を配置せざるを得ない。しかし、本実施形態に係る多層配線基板では、線熱膨張係数の差をコーディエライトの含有量により0.25×10−6/℃以内に制御できるので、図1(1)の(a)〜(e)及び(2)の(a)〜(e)で示す積層構造のように非対称構造に積層しても、反りを小さく保つことができる。
さらに、本実施形態に係る低温焼成基板材料以外からなる他のガラス−セラミックス混合層の室温1.9GHzにおける比誘電率を5〜8とすれば、比誘電率の差を少なくとも2以上とすることができるので、基板設計の自由度がより増すこととなる。
例えば、本実施形態に係る低温焼成基板材料以外からなる他のガラス−セラミックス混合層として特許文献1記載の低温焼成基板材料からなるガラス−セラミックス混合層を選択することができる。特許文献1記載の低温焼成基板材料は、50〜300℃における線熱膨張係数は5.90×10−6〜6.40×10−6/℃で、室温1.9GHzにおける比誘電率は、5〜8である。よって本発明に係る低温焼成基板材料と組み合わせて多層基板とするためには好適である。特許文献1記載の低温焼成基板材料は、SiO46〜60重量%、B0.5〜5重量%、Al6〜17.5重量%及びアルカリ土類金属酸化物25〜45重量%の組成を有し、該アルカリ土類金属酸化物中の少なくとも60重量%がSrOであるガラスが58〜76vol%、及び、フィラーとしてアルミナが24〜42vol%含有されている。ガラス成分を58〜76vol%とするのは、58vol%未満では焼成せず、76vol%を超えると抗折強度が低下するからである。
他のガラス−セラミックス混合層として特許文献1記載の低温焼成基板材料からなるガラス−セラミックス混合層とした場合、50〜300℃における層間での線熱膨張係数の差を0.25×10−6/℃以内とし、且つ、層間での比誘電率の差を2以上確保するためには、本実施形態に係る低温焼成基板材料からなるガラス−セラミックス混合層において、セラミックス成分の一つであるアルミナの含有量を好ましくは1〜8vol%、より好ましくは4〜8vol%とする。また、セラミックス成分の一つであるチタニアの含有量を好ましくは14〜25vol%、より好ましくは14〜16vol%とする。さらにセラミックス成分の一つであるコーディエライトの含有量を、好ましくは6〜14vol%、より好ましくは6〜7vol%とする。また、ガラス成分を好ましくは60〜73vol%、より好ましくは72〜73vol%とする。ここでガラスの組成は、好ましくは、SiO47〜55重量%、B1〜3重量%、Al7〜16.5重量%及びアルカリ土類金属酸化物30〜40重量%である。
本発明に係る低温焼成材料からなるガラス−セラミックス混合層以外の他のガラス−セラミックス混合層は、少なくとも1層以上について、例えば特許文献1記載の配線基板に係る低温焼成基板材料により形成する。好ましくは全ての他のガラス−セラミックス混合層を特許文献1記載の配線基板に係る低温焼成基板材料により形成する。
本実施形態の多層配線基板を製造するには、例えば前記のセラミックス成分及びガラス成分の原料をそれぞれ平均粒径10μm以下、好ましくは1〜4μmの粉末として混合し、これに水若しくは溶剤及び必要に応じ適当なバインダーを加えてペーストを調製する。次にこのペーストをドクターブレード、押出機などを用いて厚さ0.1〜1.0mm程度のシート状に成形し、セラミックスグリーンシートを得る。このセラミックスグリーンシートを複数枚積層し、40〜120℃の加温状態でプレスし、積層体を得る。この積層体を800〜1000℃で同時に焼結する。これにより、多層基板が得られる。また、各成分の粉末状混合物そのまま乾式プレスしてシート状に成形し、これを複数枚積層した後プレスして積層体を得て、これを焼結しても良い。この際、導体、抵抗体、オーバーコート、サーミスターなどを施し、同時焼成することで、多層配線基板としても良い。
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。表1で示す組成となるように、ガラス、アルミナ、チタニア及びコーディエライトの各粉末をボールミルで16時間混合し、得られた混合粉末(平均粒径1.5μm)をトルエン,エタノール等の溶剤及びバインダーを加えてペースト化して塗料を得る。ここでガラスの組成は、酸化物換算で、50重量%SiO+2重量%B+11重量%Al+1重量%MgO+3重量%CaO+33重量%SrOとした。この塗料を用いてドクターブレード法でセラミックスグリーンシートを成形した。セラミックスグリーンシートの厚さは、焼成後80μmとなるように調整した。このセラミックスグリーンシートを6層積層した後、プレスし、850〜950℃で2時間焼成を行なった。これにより、厚さ480μmの単独組成の多層基板を得た。得られた多層基板の室温1.9GHzにおける比誘電率εr、Q(1/tanδ)、50〜300℃における線熱膨張係数α及び抗折強度を表1に示す。比誘電率及びtanδは、HEWLETT PACKARD社製装置名ネットワークアナライザ型番HP8510Cを用いて、摂動法により測定した。線熱膨張係数は、MAC社製装置名DILATOMETER型番5000を用いて測定した。抗折強度は、INSTRON社製装置名万能材料試験機型番5543を用いて三点曲げ法により求めた。
Figure 0004295682
(コーディエライト添加による線熱膨張係数の制御−その1)
まず、比較例1と比較例2及び実施例1〜実施例3によって示されるように、アルミナをコーディエライトで置換した場合、すなわち、組成式0.72ガラス+0.14TiO+(0.14−x)Al+xMgAlSi18において、xを変化させた場合は、線熱膨張係数は図3に示すように変化し、比誘電率は図4に示すように変化する。コーディエライトは、50〜300℃の線熱膨張係数が1.8×10−6/℃、比誘電率が4.8であり、一方、アルミナは50〜300℃の線熱膨張係数が7.2×10−6/℃、比誘電率が9.8である。したがって、アルミナをコーディエライトで置換する置換量を増やすと、図3に示すように線熱膨張係数は添加量にしたがって低下し、図4に示すように比誘電率は添加量にしたがって低下する。ただし、アルミナとコーディエライトの比誘電率の差は5.0であり、比誘電率の変化は線熱膨張係数の変化と比べると緩やかである。したがって、アルミナをコーディエライトで置換することにより、低温焼成基板材料の比誘電率を大きく変えることなく、線熱膨張係数を低下させるように制御ができることが明らかとなった。
(コーディエライト添加による線熱膨張係数の制御−その2)
次に、比較例4と比較例5及び実施例11〜実施例13によって示されるように、チタニアをコーディエライトで置換した場合、すなわち、組成式0.60ガラス+(0.39−x)TiO+0.01Al+xMgAlSi18において、xを変化させた場合は、線熱膨張係数は図5に示すように変化し、比誘電率は図6に示すように変化する。コーディエライトは、50〜300℃の線熱膨張係数が1.8×10−6/℃、比誘電率が4.8であり、一方、チタニアは50〜300℃の線熱膨張係数が11.5×10−6/℃、比誘電率が104である。したがって、チタニアをコーディエライトで置換する置換量を増やすと、図5に示すように線熱膨張係数は添加量にしたがって低下し、図6に示すように比誘電率は添加量にしたがって低下する。ただし、チタニアとコーディエライトの比誘電率の差は99.2であり、図4で示される変化と比較すると比誘電率の変化は大きい。また、図5に示される線熱膨張係数の変化は、図3の場合と同程度の変化量がある。したがって、チタニアをコーディエライトで置換することにより、低温焼成基板材料の比誘電率と線熱膨張係数を同時に低下させるように制御ができることが明らかとなった。
以上により、コーディエライト添加による線熱膨張係数の制御ができることが明らかとなったが、低温焼成基板として焼成されていなければならず、また焼成されたとしても所定以上の抗折強度が必要である。さらに50〜300℃における線熱膨張係数を5.90×10−6〜6.40×10−6/℃とし、且つ、室温1.9GHzにおける比誘電率を10以上とすることが要求される。比較例1は、コーディエライトが2vol%しか含有されておらず、線熱膨張係数が6.54×10−6/℃と高すぎる。比較例2は、熱膨張係数が5.82×10−6/℃と低すぎる。比較例3は、ガラス成分が57vol%しか含有されていないため、焼成しなかった。比較例4は、チタニアが27vol%と多いため、熱膨張係数が6.41×10−6/℃と高い。比較例5は、コーディエライトが16vol%と多いため、熱膨張係数が5.80×10−6/℃と低すぎる。比較例6〜比較例8は、アルミナの添加量が多く、比誘電率が10未満である。比較例9は、ガラス成分が80vol%含有されているため、抗折強度が低い。比較例10は、チタニアが9vol%と少ないため、比誘電率が10未満である。
(異組成多層基板の反りの予備検討)
組成の異なる2種類のセラミックスグリーンシートをそれぞれ10mm角で成形し、6層の積層構造となるように積層体を形成した後、同時焼成を行ない、6層からなる厚さ480μmの異組成の層からなる多層基板を作製した。ここで一方のガラス−セラミックス混合層の組成は70vol%ガラス−30vol%アルミナ(S組成と表記する)とし、他方のガラス−セラミックス混合層の組成は、70vol%ガラス−15vol%アルミナ−15vol%チタニア(T組成と表記する)とした。ここでいずれのガラスの組成も、酸化物換算で、50重量%SiO+2重量%B+11重量%Al+1重量%MgO+3重量%CaO+33重量%SrOとした。多層基板の積層構造は、図7の(a)〜(g)に示す積層構造とした。そのときの反りの大きさ(平均値)を図7に合わせて示した。図7を参照すると、最も非対称構造となっている(d)で示した積層構造において反りが最も大きく、同一組成のみからなる多層基板である(a)と(g)で示した積層構造において反りが最も小さいことがわかる。
図7で示した結果から、図1の(a)〜(e)の積層構造を有する多層基板のうち、(c)の積層構造が最も非対称構造で、反りが大きくなることを確認したため、以降、図1の(c)の積層構造を評価対象とした。図1の(c)の積層構造として、反りを小さくできれば、その他の積層構造では反りがより小さくなるからである。
(異組成多層基板の反りの検討)
組成の異なる2種類のセラミックスグリーンシートをそれぞれ成形し、図1(c)の6層の積層構造となるように積層体を形成した後、同時焼成を行なうことで、6層からなる厚さ480μmの異組成のガラス−セラミックス混合層からなる多層基板を作製した。多層基板の大きさは、10mm角、50mm角及び100mm角の3水準を作製した。ここで一方のガラス−セラミックス混合層の組成は表1に示した各組成とした。他方のガラス−セラミックス混合層の組成は、ガラス70vol%とアルミナ30vol%を含有するガラス−セラミックス混合層とした。ここでいずれのガラス−セラミックス混合層においても、ガラスの組成は、酸化物換算で、50重量%SiO+2重量%B+11重量%Al+1重量%MgO+3重量%CaO+33重量%SrOとした。他方のガラス−セラミックス混合層の50〜300℃における線熱膨張係数αは、6.15×10−6/℃、比誘電率は7.3であった。
ガラス−セラミックス混合層の50〜300℃における線熱膨張係数αと、多層基板10mm角、50mm角及び100mm角のそれぞれの基板の反り量及び多層基板の反り評価を表2にまとめた。多層基板の反り評価は50mm角の基板の反りが200μm以下のサンプルを○とし、200μm超の場合を×とした。さらにガラス−セラミックス混合層の層間の比誘電率差が所定値以上であるか否かを多層基板の評価に加えた。そして、50mm角の基板の反りが200μm以下、且つ、一方のガラス−セラミックス混合層の比誘電率が10以上、且つ、表1の抗折強度が190MPa以上、を満たす場合に、多層基板としての総合評価○を与え、満たさない場合を×とし、結果を表2に示した。
Figure 0004295682
表2の結果から他方のガラス−セラミックス混合層と一方のガラス−セラミックス混合層との線熱膨張係数の差が小さいほど基板の反りが小さいことがわかる。他方のガラス−セラミックス混合層の50〜300℃における線熱膨張係数が、6.15×10−6/℃であることに対して、一方のガラス−セラミックス混合層の50〜300℃における線熱膨張係数が、5.90×10−6〜6.40×10−6/℃にあるときは、基板の反りが小さい。すなわち、線熱膨張係数の差を0.25×10−6/℃以内とすれば、50mm角の基板の反りを200μm以下と小さくすることができる。より好ましくは、線熱膨張係数の差を0.1×10−6/℃以内とすることで、50mm角の基板の反りが100μm以下となる場合が多い。さらに好ましくは、線熱膨張係数の差を0.05×10−6/℃以内とすることで、100mm角の基板の反りが200μm以下となる。比較例1、2、4、5は、線熱膨張係数の差が大きく、反りが大きい。比較例3は焼成体が得られない。比較例6から比較例8並びに比較例10は基板の反りは小さいが、ガラス−セラミックス混合層間の比誘電率の差が小さく、2種以上のガラス−セラミックス混合層を形成する意義が少ない。比較例9は、ガラス−セラミックス混合層間の比誘電率の差が小さいと共に、一方のガラス−セラミックス混合層の抗折強度が小さいため、多層基板自体の抗折強度も小さいと考えられる。実施例で示されるように、誘電率の異なるガラス−セラミックス混合層を設け、且つ、反りの小さい多層基板を作成できた。これにより、精度を保ちながら多層配線基板に高容量のキャパシター層を入れてモジュールの薄型・小型化をはかりつつ、設計の自由度を向上させることができる。
多層配線基板の断面概略図を示し、(1)の(a)〜(e)及び(2)の(a)〜(e)で示した積層構造は、異組成のガラス−セラミックス混合層を非対称構造に積層した場合の具体例であり、(3)の(a)〜(e)で示した積層構造は、異組成のガラス−セラミックス混合層を対称構造に積層した場合の具体例である。 基板の反り量を求めるときの測定箇所を示す概略図である。 組成式0.72ガラス+0.14TiO+(0.14−x)Al+xMgAlSi18において、xによる線熱膨張係数の変化を示す図である。 組成式0.72ガラス+0.14TiO+(0.14−x)Al+xMgAlSi18において、xによる比誘電率の変化を示す図である。 組成式0.60ガラス+(0.39−x)TiO+0.01Al+xMgAlSi18において、xによる線熱膨張係数の変化を示す図である。 組成式0.60ガラス+(0.39−x)TiO+0.01Al+xMgAlSi18において、xによる比誘電率の変化を示す図である。 多層基板の積層構造と、基板の反りとの一関係を示す図である。

Claims (5)

  1. ガラス−セラミックス混合層が積層されている多層配線基板において、前記ガラス−セラミックス混合層のうち少なくとも1層は、SiO46〜60重量%、B0.5〜5重量%、Al6〜17.5重量%及びアルカリ土類金属酸化物25〜45重量%の組成を有し、該アルカリ土類金属酸化物中の少なくとも60重量%がSrOであるガラスを60〜78vol%、アルミナを0vol%を超えて16vol%以下、チタニアを10〜26vol%、及び、コーディエライトを2〜15vol%含有し、且つ、50〜300℃における線熱膨張係数が5.90×10−6〜6.40×10−6/℃で、室温1.9GHzにおける比誘電率が10以上である低温焼成基板材料からなり、かつ、該低温焼成基板材料からなるガラス−セラミックス混合層以外の他のガラス−セラミックス混合層は、室温1.9GHzにおける比誘電率が5〜8であることを特徴とする多層配線基板。
  2. 前記低温焼成基板材料からなるガラス−セラミックス混合層と、該ガラス−セラミックス混合層以外の他のガラス−セラミックス混合層との50〜300℃における線熱膨張係数の差が0.25×10−6/℃以下であることを特徴とする請求項1記載の多層配線基板。
  3. 前記他のガラス−セラミックス混合層は、SiO46〜60重量%、B0.5〜5重量%、Al6〜17.5重量%及びアルカリ土類金属酸化物25〜45重量%の組成を有し、該アルカリ土類金属酸化物中の少なくとも60重量%がSrOであるガラスが58〜76vol%、及び、アルミナが24〜42vol%含有されている低温焼成基板材料からなるガラス−セラミックス混合層であることを特徴とする請求項1又は2記載の多層配線基板。
  4. 前記多層配線基板の反りは、50mm角の大きさ当たりで200μm以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の多層配線基板。
  5. 前記多層配線基板の反りは、100mm角の大きさ当たりで200μm以下であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の多層配線基板。
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