JP4296763B2 - 基材の塗工方法、基材、塗工装置、積層物の製造方法及び積層物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルムや化粧紙等の被覆材を接着剤層を介して積層する等の目的で、木質ボード等の基材に塗工ロールで接着剤を塗工する基材の塗工方法とその方法で得られる基材、その方法に用いられる塗工装置、積層物の製造方法とそれにより得られる積層物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種の家具類や建築内装材等には、木質ボード等の表面に接着剤を塗工し、その上にフィルムや化粧紙、ラミネート素材等の被覆材を接着することで表面に装飾を施したものが多く用いられている。
このようなフィルムや化粧紙等を接着するための木質ボードの表面はベニヤ板等が接着されており表面に微細な凹凸が表れている。塗工ロール(アプリケータロール)を用いて木質ボードの表面に接着剤を直塗りすると木質ボード材料の微粉片や微細なゴミ等が塗工ロールに付着してしまう。そのために接着剤層に塗工ムラやピンホールや微細な凹凸等が生じ、平坦で均一な厚みの接着剤層を形成できない。このような微細な凹凸等は接着したフィルムや化粧紙等の表面に表れるために平滑さや美観を損ねるという欠点があった。
更に塗工ロールが木質ボードの表面に接触して接着剤を塗工した後に木質ボードから離れる際に接着剤の粘性のために接着剤層の表面が毛羽立ち易く、その後にフィルムや化粧紙等を接着すると表面の凹凸が目立ち、美観を損ねるという問題もあった。
また接着剤として一般に水系のエマルジョンを用いることが多く、このエマルジョンにはトルエン、キシレン等の有機溶剤を含んでいるものが多いことから、これを建築内装材用として用いるとシックハウスの問題が生じていた。生産の場面では、塗工した接着剤を乾燥固化させる設備や時間が必要であり、しかも乾燥固化のための装置の価格が高く、装置の設置スペースを確保することが困難な場合もあった。溶剤系の接着剤は、塗工した接着剤に含まれる溶剤を乾燥させる場合、排出ガスに臭気があり、VOC(揮発性有機化合物)には発ガン性がある等の問題もあった。
【0003】
溶剤系の接着剤やエマルジョン系の接着剤以外の接着剤としては、EVA系、ポリアミド系、反応性ウレタン系、反応性エポキシ系等のホットメルト接着剤が挙げられ、これらを用いるとシックハウスやVOC等の問題は生じないが、粘性がより高いために表面の毛羽立ちという問題が一層生じることになる。エマルジョンは塗工量が多く粘度がそれほど大きくないのでセルフレベリング(平らになろうとする特性)があったが、ホットメルトの場合には粘性が高い上に、木質ボード表面への塗工の後、フィルムや化粧紙等を貼るまでの時間(オープンタイム)が短く塗工後の温度低下も急であるためにセルフレベリングは期待できない。そのために平坦で薄く均一な厚みの接着剤層を得ることが困難であり、その後にフィルムや化粧紙等を接着すると毛羽立ちが表面に凹凸として残り内装材としての美観を損ねるという欠点がある。
このような問題を改善するために、木質ボード表面ではなくてフィルムや化粧紙等の裏面に接着剤を塗工することも考えられるが、木質ボード表面に接着剤を塗工した場合と比較して、フィルム側の接着剤の木質ボードへの浸透が不充分となるため、接着強度が小さくなるという問題が発生する。また、接着剤としてホットメルト接着剤を使用する場合は、接着剤を加熱溶融するため、塗工するラミネート素材の耐熱性が重要であり、耐熱性の低い素材の使用が妨げられるという問題もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような実状に鑑みて、木質系ボード等の基材の表面に接着剤層を毛羽立たせることなく平滑に塗工できるようにした基材の塗工方法とその方法で得られる基材、その方法に用いられる塗工装置、積層物の製造方法とその方法により得られる積層物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明による基材の塗工方法は、木質系ボードである基材を搬送しつつ該基材の一の面に、回転する塗工ロールを介して、加熱溶融状態のホットメルト接着剤を、複数層に分けて塗工して積層することで、接着剤層を形成するようにした基材の塗工方法において、複数段の塗工ロールの少なくとも1段の塗工ロールが、スリップしにくい材質からなり、塗工ロールの回転速度を基材の搬送速度より小さく設定し、減速率を20%〜80%の範囲に設定することで基材に接着剤を塗工しつつ塗工ロールをスリップさせるようにしたことを特徴とする。
塗工ロールの回転速度を基材の搬送速度と20%以上異ならせることで、基材に対して接着剤を薄く塗工しつつ塗工ロールをスリップさせて基材表面の接着剤層が塗工ロールの離間時に毛羽立ちを生じるのを抑えて擦り付け力を働かせて、塗工ムラやピンホール等を防止し接着剤層を薄くて均一な厚みで平滑に形成することができ、その後にフィルムや化粧紙やラミネート素材等の被覆材を接着したときに凹凸等が生じることなく見栄えがよくなる。
尚、塗工ロールの材質は、接着剤を塗布した基材表面での摩擦係数が小さいほどスリップし易く、例えば平滑なスチールロールでは平滑なゴム質ロールよりもスリップが大きくなる。また、樹脂ロールについては、樹脂の種類によって異なるが、通常の硬質のものであればゴム質ロールよりも摩擦係数が小さくスリップが大きくなる。
【0006】
また接着剤を複数層に分けて塗工して積層することで接着剤層を形成するようにしてもよい。1回で塗布する接着剤層の厚みを小さくすることで毛羽立ちを抑制でき、複数の薄い接着剤層を積層して接着剤層を形成することで塗工ムラやピンホール等を防止して平坦な接着剤層を形成することができる。この場合において、基材の搬送方向上流側に位置する前段側の塗工ロール及び基材の搬送方向下流側に位置する後段側の塗工ロールのいずれかはスリップしにくい材質であるようにするのが望ましい。特に複数段の塗工ロールの少なくとも1段が、ゴム質ロールであれば、凹凸のある基材へも接着剤を浸透させ易い。
前段側の塗工ロールと後段側の塗工ロールとは、基材の搬送速度に対する減速率(以下、単に「減速率」という)に於いて、同等若しくはいずれかをより大きくてもよい。例えば、前段側の塗工ロールの方が後段側の塗工ロールに比べてより摩擦係数の高い材質のものであれば、後段側の塗工ロールの減速率を前段側の塗工ロールに比べて小さくし、後段側の塗工ロールをより小さくスリップさせるようにするのが好ましい。複数の接着剤層を積層する際、後から接着する接着剤層を塗工する際の塗工ロールのスリップを小さくすることで表面をより平滑に仕上げ加工することができる。勿論、前段側の塗工ロールの方を後段側の塗工ロールに比べてより摩擦係数の低い材質のものとすることもできる。
尚、本発明で使用される塗工ロールは、その減速率が20%以上であり、20〜80%の範囲に設定してもよい。塗工ロールの回転速度の減速率を20%未満とすると接着剤層に対して確実にスリップさせて擦り付けを行うことができず、また、減速率が80%以下であると、基材表面に均一な塗布を行うことが容易となる。
【0007】
また本発明による基材は、上述したいずれか記載の塗工方法によって得るようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、合板、中密度繊維板(MDF)、パーティクルボード等の木質系ボードや、珪酸カルシウム板、スレート板、火山性ガラス層複層板等の不燃板や、FRP、アクリル板等のプラスチック板や、鋼板、ステンレス板等の金属板等、種々の基材に対して基材表面全体に薄い厚みで平坦な接着剤層を形成することができる。特に木質系ボードにおいては基材表面の毛羽立ちを生じることなく平坦な接着剤層を形成することができ、この上にシート、フィルム、化粧紙、ラミネート素材、金属箔等の被覆材を接着した際に表面の平坦度が高く美観に優れており、化粧板などの建築材料、特に内装材等に好適である。
【0008】
本発明による基材の塗工装置は、木質系ボードである基材を搬送する搬送手段と、基材の一の面に回転しつつ接着剤を塗工する塗工ロールとを備えていて、塗工ロールが基材の搬送方向に沿って配列された複数段の塗工ロールで構成され、基材の搬送方向下流側に位置する後段側の塗工ロール及び基材の搬送方向上流側に位置する前段側の塗工ロールのいずれかがスリップしにくい材質であり、基材の搬送速度に対して塗工ロールの回転速度を20%以上異ならせて塗工時に塗工ロールを接着剤層上でスリップさせるようにしたことを特徴とする。
基材の搬送速度と塗工ロールの回転速度とを20%以上異ならせることで、基材に塗工する接着剤層に対して塗工ロールをスリップさせて擦り付け力を付与することができ、ムラが少なく薄い厚みの平担な接着剤層を形成することができる。
尚、基材の搬送速度よりも塗工ロールの回転速度を小さくしてもよいし、大きくしてもよい。
【0009】
また搬送手段が基材を挟んで塗工ロールと反対側に位置するバックアップロールまたはバキューム機構付き無端ベルトであってもよい。
塗工ロールと反対側に位置するバックアップロールまたはバキューム機構付き無端ベルトとによって基材を挟持して搬送させることができる。特にバキューム機構付き無端ベルトを採用すれば基材との速度差をなくすことができる。
また塗工ロールは基材の搬送方向に沿って配列された複数段の塗工ロールで構成され、後段側の塗工ロールは基材の搬送方向上流側に位置する前段側の塗工ロールよりもスリップしやすい材質であるようにしてもよい。
複数段の塗工ロールで順次塗工しつつスリップして複数の接着剤層を積層するようにし、その際、後段側の塗工ロールをスリップし易くすれば、凹凸やピンホール等をなくして前段側で塗工した接着剤層の仕上がりを良好にできる。
【0010】
基材に対して塗工ロールの搬送方向上流側と下流側のそれぞれに基材を保持して搬送するニップ機構を備えていてもよい。
少なくともいずれかのニップ機構で基材を保持して搬送するようにすれば、基材の速度設定が正確になり、塗工ロールとの速度差を高精度に設定できて塗工ロールのスリッピングを安定的に行うことができる。
また塗工ロールの下流側に位置するニップ機構において、基材の接着剤を塗工する面側には被覆材供給ロール及び被覆材積層用ロール(ラミネータロール)が設けられていて、基材に接着剤を介して被覆材を積層するようにしてもよい。
ラミネータロールをニップ機構の一部に兼用することで、ロールの数を減少させることができる。
【0011】
本発明による積層物の製造方法は、木質系ボードである基材を搬送しつつ該基材の一の面に、回転する塗工ロールを介して、加熱溶融状態のホットメルト接着剤を、複数層に分けて塗工して積層することで、接着剤層を形成し、該接着剤層上に被覆材を積層することからなる積層物の製造方法において、複数段の塗工ロールの少なくとも1段の塗工ロールが、スリップしにくい材質からなり、前記接着剤層を形成する際、前記塗工ロールの回転速度を基材の搬送速度より小さく設定し、減速率を20%〜80%の範囲に設定することで前記基材に接着剤を塗工しつつ前記塗工ロールをスリップさせるようにして接着剤層を形成することを特徴とする。特に基材に接着剤層を形成した後、かかる接着剤層の接着性が失われない状態で、その上にラミネータロール等に巻回された被覆材を積層することによって行われるのが好ましい。その際、接着剤層が塗工ロールの離間時に毛羽立ちを生じるのを抑えて、塗工ムラやピンホール等を防止し接着剤層を薄くて均一な厚みで平滑に形成することができるため、被覆材を接着したときに凹凸等がなく美麗な仕上がりの積層物が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施形態を添付図面により説明する。
図1は本発明の第一の実施の形態による塗工装置の概略構成を示す図である。
図1に示す第一の実施の形態による塗工装置1において、基材、例えば木質系ボード2を搬送するための搬送手段として木質系ボード2の裏面2bに駆動源に連結されたバックアップロール3が配設され、木質系ボード2の搬送方向の前後にそれぞれ回転自在の送りロール4a、4bが適宜数(図では各一対)設けられている。
ここで、木質系ボード2は例えば幅400〜1500mm、長さ700〜5000mm、厚さ1〜50mmの略長方形の板状とされ、全体が木質材で構成されていてもよいし、他の材質からなる基板において接着剤が塗工(塗布)される表面2aだけにベニヤ板等の木質材が貼り付けられている構成でもよい。
【0013】
木質系ボード2の表面2a上にはバックアップロール3に対向して塗工ロール6が配設され、塗工ロール6の外周面6aに対して調整可能な若干のギャップcを介してメータリングロール7が配設されている。それぞれ駆動源に接続された塗工ロール6とメータリングロール7の間には液状の接着剤sを収容する液溜め部8が形成されている。液溜め部8内の接着剤sは塗工ロール6の回転によって塗工ロール外周面6aに付着して送られる。ギャップcの大きさと塗工ロール6及びメータリングロール7の周速の差で接着剤sの塗工量が定まる。
液溜め部8には例えば上方のノズルから随時接着剤sが供給される。接着剤sがホットメルトの場合、両ロール6,7は適度な温度に加熱されていることで、液溜め部8に貯留される接着剤sも溶融状態に保持されるように加熱されることになる。
そして図1において、塗工ロール6の回転方向を木質系ボード2の搬送方向(図1において反時計回り方向)に設定することで液溜め部8内の接着剤sを外周面6aに付着させて木質系ボード2の表面2aに供給して表面2a全体に塗工することができる。
【0014】
接着剤として、高粘性の接着剤、例えばホットメルト、特に本実施の形態では反応性ホットメルトが用いられている。
反応性ホットメルトとは、何らかの化学反応によって、架橋構造をとらせる目的でホットメルトに反応性を付与したものであり、具体的には、分子内にイソシアネート基を含有するウレタン系反応性ホットメルトや、分子内にシリル基を含有するシラン系反応性ホットメルト、紫外線や電子線により反応する官能基を含有する紫外線、電子線硬化型反応性ホットメルト等が挙げられる。中でも、ウレタン系反応性ホットメルトは、分子内にイソシアネート基を有し、木質基材に含有される水分と反応して、硬化することによって、優れた接着性能や耐久性を発現することが出来るため、好ましい。
ホットメルトは加熱と冷却を繰り返すことで溶融と固化を繰り返す特性を有するが、反応性ホットメルトは一旦硬化反応が終了すると、再加熱しても溶融しないという完全硬化特性を有している。
しかもEVAやポリアミド等のホットメルトは溶融状態に維持するために180℃程度に加熱する必要があるが、反応性ホットメルトはそれより低温の100〜130℃程度の加熱温度で溶融状態に維持できる。特に塗工対象である木質系ボード2が木質材であるため、塗工時に木質材に熱によるダメージを与えないという利点がある。
【0015】
上記ウレタン系反応性ホットメルトとしては、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応により得られるイソシアネート基を残存させたイソシアネート末端ウレタンプレポリマーや該ウレタンプレポリマーに加水分解性シリル基付与したアルコキシシラン末端ウレタンプレポリマーなどからなるものである。
かかるイソシアネート末端ウレタンプレポリマーは、ポリオール成分とポリイソシアネート成分をイソシアネートのNCO基とポリオールの水酸基の当量比が1より大きい、即ち、NCO基を過剰で反応させることにより得られる。NCO基/水酸基の当量比は、通常、好ましくは1.1〜5.0の範囲であり、より好ましくは1.5〜3.0の範囲である。
また、アルコキシシラン末端ウレタンプレポリマーは、前述のイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーに、イソシアネート基と反応し得る官能基の1個と加水分解性シリル基とを併有する化合物を反応せしめることによって得ることができる。
【0016】
ウレタン系反応性ホットメルトで使用可能なポリオール成分としては、例えば、ポリエステル系ジオール、ポリエーテル系ジオール、又はこれらの混合物若しくは共重合物等が挙げられる。更に、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ひまし油ポリオール、多価アルコール等、又はこれらの混合物若しくは共重合物が挙げられる。
また、ポリイソシアネート成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンイソシアネートなどの脂肪族あるいは脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。これらの中で、加熱時の蒸気圧が低いジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用いることが好ましい。
【0017】
本実施形態で使用されるウレタン系反応性ホットメルトとしては、100〜130℃で溶融し、粘度が1000〜30000mPa・sのものが好ましく、その中でも特に初期接着力に優れることからポリエステルポリオールタイプのウレタン系反応性ホットメルトが好適である。特に、かかるウレタン系反応性ホットメルトは、ポリエステルポリオールにポリエーテルポリオールやその他のポリオール、例えばアクリルポリオールを併用して得られるものが好適である。
【0018】
塗工ロール6の回転速度は、バックアップロール3の回転速度とは異なる大きさに設定されており、本実施の形態の場合、塗工ロール6の回転速度の方が小さく設定されている。木質系ボード2はバックアップロール3の回転速度に応じて水平方向に移動するが、これより低速で回転する塗工ロール6が木質系ボード2に接触してスリップするために摩擦力のために木質系ボード2の搬送速度は両ロール3,6の中間の速度に設定される。塗工ロール6で供給されて木質系ボード表面2aに転写された接着剤sは塗工ロール6のスリッピングで毛羽立ちを抑制されて均一な厚みで平坦な接着剤層Sを形成することになる。
【0019】
塗工ロール6の回転速度は木質系ボード2の搬送速度を基準として、
減速率=(木質系ボード2の搬送速度−塗工ロール6の回転速度)/木質系ボード2の搬送速度
で表すものと規定すると、減速率20%〜80%の範囲で減速されている。この範囲であれば塗工ロール6を確実に基材表面2a上でスリップさせて接着剤層Sを平滑に均すことができ、減速率が20%より小さいと接着剤層を平滑化できる程度にスリップ効果を発生させることができず、80%より大きいとスリップが大きすぎて接着剤層Sの未塗布部分が木質系ボード表面2aに発生することになる。
塗工ロール6の減速率は上記範囲内で木質系ボード2や塗工ロール6の材質によって調整する必要がある。本実施の形態では木質系ボード2は木質材であるから材質による変化は少ないものの、塗工ロール6の外周面6aが金属(例えばスチール)で形成されている場合には減速率は20〜50%、好ましくは22〜30%程度に設定するのがよい。一般に金属は摩擦係数が小さいからスリップし易いという特性を有しており、木質系ボード2との速度差は小さくてよい。
他方、塗工ロール6の少なくとも外周面6aが例えばゴム質材で形成されている場合には減速率は30〜80%、好ましくは40〜60%程度に設定する。ゴム質材は金属よりも摩擦係数が大きいから比較的スリップしにくいという特性を有しており、木質系ボード2との速度差を大きくする。
又、塗工ロール6が木質系ボード2a上でスリップし、且つ接着剤を該ボードに所望の厚さで塗工するためには、バックアップロール3との関係が重要な要因となる。即ち、塗工ロール6がゴム質材(表面だけのものも含める)である場合には、バックアップロール3が塗工ロール6よりも固い材質、例えば金属からなり、また、塗工ロール6が金属である場合には、バックアップロール3が塗工ロール6よりも柔軟な材質、例えばゴム質材(表面に被覆しただけのものも含める)が好ましい。加えて、塗工ロール6は木質系ボード2a上に接着剤を塗工しつつ、その面を押し圧して接着剤の毛羽立ちを抑制し、均一な厚みで平坦な接着剤層Sを形成するが、その際に塗工ロール6の押圧力が大きすぎると、適切な塗工が行われず、かかる押圧力が小さいと、平坦な面とならないため、塗工ロール6とバックアップロール3とのスペース(隙間)を基材の厚さの99〜95%程度に調整するのが望ましい。勿論、基材の材質によって、かかるスペースの幅は増減することができる。
【0020】
接着剤としてホットメルトを使用し、塗工ロールの表面材質としてゴム系を用いる場合、ロール表面を加温する必要があるので、耐熱性に優れたフッ素系ゴムやシリコーン系ゴムが好ましい。熱伝導性を落とさないことと、硬度を考えたとき、ライニングの厚さは3〜10mm程度、特に4〜8mm程度が好ましく、表面硬度としては耐摩耗性と加圧による復元性からショアAで60〜85程度、この中でも70前後が好ましい。塗工ロールの加温については公知の熱媒体循環、ヒートパイプ、埋め込みヒ−ター等により行い、接着剤の溶融・流動性に合わせて温度制御をし、塗工すればよい。
上述に於いて、塗工ロールとしてスチールのものを用いる場合、かかる塗工ロールは、耐摩耗性の点から表面に硬質クロームメッキ処理され、研磨を施されたものが望ましい。
【0021】
本実施の形態による基材の塗工装置1は上述の構成を有しており、次に塗工方法について説明する。
図1において、木質系ボード2は木質材からなる表面2aを塗工ロール6側に向けて前後の送りロール4a、4bで水平に支持されつつバックアップロール3と塗工ロール6によって一定速度で搬送される。
木質系ボード2の表面2aには塗工ロール6が配設されており、塗工ロール6が木質系ボード2を搬送する方向に所定の速度で回転することで塗工ロール6とメータリングロール7との間の液溜め部8から接着剤sが外周面6aに付着して移送され、木質系ボード2との接触部で表面2aに転写されて接着剤層Sが塗工される。
【0022】
そして、塗工ロール6の外周面6aが基材表面2aから離れる時に塗工ロール6と木質系ボード2とが同速であると高粘性体である接着剤s、例えば反応性ホットメルト等は毛羽立ちし易いが、塗工ロール6の回転速度を基板2の搬送速度よりも80%以下に減速させておくことで塗工ロール6がスリップして、擦り付け力が基材表面2aの接着剤層Sに働くことで毛羽立ちを防いで平坦化できる。特に接着剤sの塗工量を少なくすれば一層毛羽立ちを抑えることができ、接着剤層Sは薄い厚みで平滑に形成できる。その際の接着剤層Sの厚さは特に制限されないが、例えばホットメルトであれば通常20〜80μmであり、接着剤が15〜60g/m2程度で塗工ロール6から基材表面に供給されることによってもたらすことができる。
その後の工程で、表面2aに接着剤層Sを介して樹脂フィルムや化粧紙等の被覆材を接着することになる。例えば樹脂フィルムは、厚さが30〜550μmで、一層又は多層(ラミネートフィルム)のものであって、材質として塩ビ、オレフィン、ペット等を使用することができる。
尚、実施の形態では、例えばバックアップロール3の回転速度を50m/分として塗工ロール6の回転速度は25m/分としており、木質系ボード2の搬送速度は塗工ロール6との接触による接着剤sの転写及びスリップによって約38m/分程度に減速させられる。
【0023】
上述のように本実施の形態によれば、接着剤がホットメルトや反応性ホットメルト等のように高粘性材質であっても毛羽立ちを生じることなく薄い厚みで平滑な接着剤層Sを木質系ボード2上に形成でき、フィルムや化粧紙やラミネートフィルム等を接着した表面に凹凸が生じるのを防止して美観に優れた内装材等を製作できる。
特に接着剤sとして反応性ホットメルトを使用すれば、接着剤温度を100℃〜130℃程度の比較的低温に加熱保持できて、木質系ボード2に与えるダメージを低減でき、接着力、耐熱性、耐久性に優れた内装材を得ることが出来る。
【0024】
次に本発明の他の実施の形態について説明するが、上述の実施の形態と同一または同様の部分、部材には同一の符号を用いて説明する。
図2に示す第二の実施の形態による塗工装置10において、第一の実施の形態に示す塗工装置1との相違点は、バックアップロール3に代えてバキュームボックス付き無端ベルト11を設けたことである。この構成によれば、略長円状の無端ベルト12を木質系ボード2の裏面2bに配設してその平面状の上部ベルト部12aを木質系ボード2の裏面2bに当接させる。そして無端ベルト12の内部にバキュームボックス13を設けて上部ベルト部12aを介して木質系ボード2を吸着するように吸引する。
このような構成のもとで、バキュームボックス付き無端ベルト11を駆動すると無端ベルト12の回転作動に連動して木質系ボード2はバキュームボックス13で上部ベルト部12aに密着させられているから、無端ベルト12と同一速度で搬送される。
そのため、木質系ボード2を搬送させる無端ベルト12と木質系ボード2との速度差が発生しないために塗工ロール6と木質系ボード2との速度差の設定が容易になり、塗工ロール6のスリッピングを確実に行うことができる。
【0025】
次に本発明の第三の実施の形態による塗工装置を図3により説明する。
図3に示す塗工装置20においては、木質系ボード2を挟んで対向配置されたバックアップロール及び塗工ロールを含む塗工部が二段に亘って配列され、2回に分けて接着剤sを塗工するようにしている。
図中、木質系ボード2の搬送方向上流側と下流側に第一の塗工部21と第二の塗工部22とが順次設けられている。第一の塗工部21は木質系ボード2の裏面2bには第一バックアップロール3Aが当接して設けられ、木質系ボード2を挟んでバックアップロール3Aと対向する位置に第一塗工ロール6Aが木質系ボード2の表面2aに当接して設けられている。そして第一塗工ロール6Aに若干のギャップcを介してメータリングロール7Aが配設され、両ロール6A、7Aの間に接着剤sを貯留させる第一液溜め部8Aが設けられている。そして第一塗工ロール6Aの少なくとも外周面6Aaはゴム質材で構成されている。
【0026】
第一の塗工部21の下流側に位置する第二の塗工部22は、第一の塗工部21と同様な構成を有しており、木質系ボード2を挟んで裏面2b側に第二バックアップロール3B、表面2a側には第二塗工ロール6Bが対向配置されている。また第二塗工ロール6Bとメータリングロール7Bとの間には第二液溜め部8Bが設けられている。そして第二塗工ロール6Bの少なくとも外周面6Baは金属製(例えばスチール製)であるために、ゴム質材からなる第一塗工ロール6Aよりも摩擦係数が小さくスリップし易いという特性を有している。
更に、第一塗工ロール6Aがゴム質材であるため、木質系ボード2の表面2aの凹凸に対して外周面6Aaが弾性変形して追従するから塗布ムラを低減することができ、第二塗工ロール6Bを金属ロールとすることにより塗布表面を平滑化して薄く均一な塗工面を得ることができる。
そして木質系ボード2に対する第一塗工ロール6Aの減速率より第二塗工ロ−ル6Bの減速率を小さく設定し(或いは減速率を同一に設定してもよい)、例えば第一塗工ロール6Aの減速率は40〜60%とし、第二塗工ロール6Bの減速率は20〜40%に設定するものとする。また各塗工ロール6A、6Bによる接着剤sの塗工厚みはそれぞれ第一及び第二の実施の形態のものの1/2程度に薄層に設定するとよい。その際、塗工ロール6Aとバックアップロール3Aとのスペースは、例えば基材の厚さの99〜95%程度に調整するのが望ましく、かかるスペースに対して塗工ロール6Bバックアップロール3Bとのスペースを同じかやや大きくするのが好ましい。これらのスペースの幅は、基材の材質によって、適宜増減することができる。尚、各塗工ロール&各バックアップロールは、基材に対して例えばエアーシリンダーなどで一定な圧力がかかるように調整されるのが好ましい。
【0027】
本実施の形態による塗工装置20は上述の構成を有しているから、木質系ボード2の表面2aに接着剤sを塗工するに際して、木質系ボード2は木質材からなる表面2aを第一及び第二の塗工ロール6A,6B側に向けて第一及び第二バックアップロール3A、3Bによって一定速度で搬送される。先ず第一塗工部21の回転する第一塗工ロール6Aで液溜め部8Aから接着剤sを外周面6Aaに付着させて、木質系ボード2の表面2aに転写して第一接着剤層S1を薄い厚みで形成する。
そして、第一塗工ロール6Aは木質系ボード2の表面2aに対してスリップし、擦り付け力が表面2aの第一接着剤層S1に働いて第一塗工ロール6Aが木質系ボード2から離れる際の毛羽立ちを防いで平坦化させることができる。
次に第二塗工部22においても、同様に第二塗工ロール6Bで第一接着剤層S1の上に接着剤sを転写して第二接着剤層S2を積層して形成する。しかも第二塗工ロール6Bは少なくとも外周面6Baが金属製であるから、ゴム質材からなる第一塗工ロール6Aよりもスリップし易く擦り付け力が大きいために、第一接着剤層S1に生じたピンホールや厚みムラ等をなくし、より平滑で均一厚みの接着剤層S2を形成できる。しかも各接着剤層は厚みが薄いので毛羽立ちを抑制できる。
このようにしてそれぞれより薄い接着剤層S1,S2の二層によって平坦で厚みムラのない1つの接着剤層Sを形成できる。
尚、二段に限定されることなく三段以上に分けてより薄い厚みの接着剤層S1,S2、…を各塗工ロール6A,6B、…で順次積層するようにしてもよい。また各段階で塗工する接着剤は同一のものを用いるが異なる種類のものを積層するようにしてもよい。
【0028】
上述のように本実施の形態によれば、より薄い厚みの第一及び第二接着剤S1、S2等によって複数段階に分けて積層して接着剤層Sを形成したから、各層の接着剤層をより薄くすることでそれぞれの接着時の毛羽立ちを一層抑制することができ、複数段階で分けて積層して塗工した方がより均一で平滑な接着剤層Sを形成できる。更に後段側の第二塗工ロール6Bは前段側の第一塗工ロール6Aよりもスリップし易い材質のものを採用したから、前の接着剤層に残る厚みムラやピンホール等をなくして仕上げ加工でき、より平坦で厚みの薄い接着剤層Sを仕上げることができる。
【0029】
塗工ロール6Aがゴム質材である場合には、バックアップロール3Aが塗工ロール6よりも固い材質、例えば金属からなり、また、塗工ロール6Bが金属である場合には、バックアップロール3Bが塗工ロール6Bよりも柔軟な材質、例えばゴム質材(表面に被覆しただけのものも含める)であるのが好ましい。
塗工ロール6Aは、ゴム質材以外の金属(スチール)や硬質樹脂でできたものでも使用することができる。第一塗工ロール6Aが金属や硬質樹脂でできたものである場合、バックアップロール3Aは、ゴム質材が好ましい。
また、塗工ロール6Bは、金属以外のゴム質材などのものでもよいが、塗工ロール6Aが金属のものであった場合には、金属以外の摩擦抵抗の大きいゴム質材や樹脂材からなるものが使用される。塗工ロール6Bが金属以外のゴム質材である場合には、バックアップロール3Bは金属などの摩擦抵抗の小さい材質のものからなるものを使用するのが好ましい。
さらに、塗工ロール6Aがゴム質材以外の金属(スチール)や硬質樹脂であり、また塗工ロール6Bがゴム質材である場合、塗工ロール6Aの減速率よりも塗工ロール6Bの減速率をより大きくするのが望ましい。
【0030】
次に本発明の第四の実施の形態を図4により説明する。
図4に示す塗工装置30において、木質系ボード2を挟んで対向配置されたバックアップロール3と塗工ロール6を有する塗工部に対して、木質系ボード2の搬送方向の前後に木質系ボード2を挟持して搬送するニップ手段31、32が配設されている。塗工部の構成は第一の実施の形態と同一である。
木質系ボード2の搬送方向上流側に設けられた第一ニップ手段31として、木質系ボード2を挟んで一対の供給ロール33A、33Bが対向配設されている。木質系ボード2の搬送方向下流側に設けられた第二ニップ手段32としては、木質系ボード2を挟んで裏面2b側に送り出しローラ34が配設され、表面2a側にはラミネータロール35が配設されて互いに対向している。各ロール33A、33B、34,35は駆動機構に連結されている。
ラミネータロール35では図示しないアンコイラに巻回されたラミネートフィルムFが繰り出されて巻回され、塗工ロール6で木質系ボード2に塗工された接着剤層S上にフィルムFを積層し、圧着して被着するようになっている。
そして第一ニップ手段31と第二ニップ手段32は、それぞれ木質系ボード2を挟持して木質系ボード2を所定速度で搬送するようになっている。しかも各ニップ手段31、32による木質系ボード2の搬送速度は一定であるように設定されている。
【0031】
そして木質系ボード2の長さL1は、第一ニップ手段31の各ロール33A,33Bの回転軸と第二ニップ手段32の各ロール34,35の回転軸との距離L0よりも長く設定されているものとする。
このような構成によって木質系ボード2を第一及び第二ニップ手段31、32で搬送しながら塗工ロール6で接着剤sを塗工するようにすれば、木質系ボード2は少なくともいずれか一方のニップ手段31,32で挟持されて確実に所定速度で搬送されつつ接着剤sを安定して塗工できることになる。しかも塗工ロール6で表面2aに接着剤sを塗工された木質系ボード2は、第二ニップ手段32で搬送される際にラミネータロール35を介してフィルムFが接着剤層S上に被覆され、圧着されることになる。
本実施の形態によれば、木質系ボード2の搬送速度をバックアップロール3に頼らず第一及び第二ニップ手段31、32で設定することとしたから、木質系ボード2の搬送速度が安定して塗工ロール6との速度差を確実に設定でき、より安定した塗工とスリッピングを行うことができる。
尚、ニップ機構として必ずしも塗工ロール6の前後にニップ手段31、32を設けなくてもよく、塗工ロール6の上流側または下流側にのみ設けて塗工ロール6及びバックアップロール3と共に木質系ボード2を搬送するようにしてもよい。
【0032】
尚、上述の各実施の形態においては、塗工ロール6,6A、6B等のスリッピングに際して木質系ボード2の搬送速度より塗工ロールの回転速度を小さくすることで減速率を設定したが、本発明はこのような構成に限定されることなく木質系ボード2の搬送速度に対して塗工ロール6,6A、6Bの回転速度を大きくすることで増速率を設定するようにしてもよい。増速率は下記の式で定められる。
増速率=(塗工ロールの回転速度−木質系ボードの搬送速度)/木質系ボードの搬送速度
この場合の木質系ボード2に対する塗工ロール6の増速率は20%〜150%に設定すればよい。20%に満たなければ接着剤層を平滑化できる程度にスリップ効果を発生させることができず、150%を超えるとスリップが大きすぎて接着剤層Sの未塗布部分が木質系ボード表面2aに発生することになる。
また第三の実施の形態による複数の塗工部21、22を第四の実施の形態による塗工装置30に適用してもよい。或いは、第三の実施の形態において、複数の塗工部21、22を設けた構成に代えて、第一の実施の形態による塗工装置1に木質系ボード2を複数回通すことで、薄い接着剤層S1,S2,…を複数層積層して所望厚みの接着剤層Sを形成するようにしてもよい。
尚、第三の実施の形態において、第一及び第二塗工ロール6A、6Bについて同一材質で製作して、後段側の第二塗工ロール6Bの減速率を前段側の第一塗工ロール6Aの減速率より小さくしても同様な効果を得られる。
また基材として木質系ボード2に限定されることなく各種の材質のものを採用でき、その形状も長方形に限定されることなく帯状等でもよい。
更に塗工ロールとバックアップロールの組み合わせでは、それぞれの材質の組み合わせは特に限定されるものではないが、一方を金属製にして他方をゴム質系材質とすることにより、ゴム質系材質のロールにより木質系ボードの反りが吸収されて確実に搬送することができるので好ましい。
また上述したように、特に複数段の塗工ロールによる塗工では、前段にゴム質系材質の塗工ロールを使用し後段に金属製の塗工ロールを使用すれば、塗工ムラがなく薄く均一な塗工面を得ることができるので好ましい。
【0033】
(塗工例)
図4に示す塗工装置に於いて、図3に示すようにバックアップロール及び塗工ロールを含む塗工部が二段に亘って配列された装置を用いて、下記条件により基材に接着剤を塗工し、次いで被覆材を積層して積層物を製造した。
基材: 長さ1800mm×幅400mm×厚さ4mmの合板
基材の搬送速度: 40m/分
第一塗工ロール: ゴムロール速度 20m/分;減速率 50%(対基材の搬送速度)
第二塗工ロール: スチールロール速度 30m/分;減速率 25%(対基材の搬送速度)
第一塗工ロールのバックアップロール: スチールロール
第二塗工ロールのバックアップロール: ゴムロール
第一塗工ロールとそのバックアップロールのスペース:基材の厚さの95%
第二塗工ロールとそのバックアップロールのスペース:基材の厚さの98%
接着剤: ポリエステルポリオールタイプ反応性ウレタンホットメルト(粘度8,000mPa・s/125℃)
接着剤の塗布量: 45g/m2
接着剤の加熱温度: 125℃
被覆材: 厚さ160μmの加飾ポリエチレンフィルム
ラミネーターロールの速度: 40m/分
第一及び第二塗工ロールにより接着剤が均一な厚さで、しかも平滑な接着剤層が基材上に形成され、その上にフィルムが接着された積層物が得られた。かかる積層物は、表面に凹凸がなく、平滑で、美装であり、基材とフィルムとが強固に接着していた。
一方、上記方法に於いて、第一及び第二塗工ロールの速度を基材の搬送速度と同じにして実施したところ、接着剤層の表面が平滑でなく、波打っており、美装な積層物が得られなかった。
【0034】
【発明の効果】
本発明による基材の塗工方法は、塗工ロールの回転速度を基材の搬送速度と20%以上異ならせることで基材に接着剤を塗工しつつ塗工ロールをスリップさせるようにしたから、基材に対して接着剤を薄く塗工しつつ塗工ロールをスリップさせることで接着剤層が塗工ロールの離間時に毛羽立ちを生じるのを抑えて擦り付け力を働かせて、塗工ムラやピンホール等を防止し接着剤層を薄くて均一な厚みで平滑に形成することができ、その後に被覆材を接着したときに凹凸等が生じることなく見栄えがよくなる。
【0035】
また接着剤を複数層に分けて塗工して積層することで接着剤層を形成することによって、1回で塗布する接着剤層の厚みをより小さくして毛羽立ちを抑制でき、複数の薄い接着剤層を積層して接着剤層を形成することで塗工ムラやピンホール等を防止して平坦な接着剤層を形成することができる。
また前段側の塗工ロールよりも後段側の塗工ロールをより大きくスリップさせるようにしたから、複数の接着剤層を積層する際、後から接着する接着剤層をより平滑に仕上げ加工することができる。
また塗工ロールの回転速度を基材の搬送速度より小さく設定し、減速率を20%〜80%の範囲に設定することが好ましく、基材の搬送速度を基準として塗工ロールの回転速度の減速率を20%未満とすると接着剤層に対して確実にスリップさせて擦り付けを行うことができず、80%を超えると基材表面に均一な塗布を行うことが困難となり、さらに未塗布部分が発生するので好ましくない。
【0036】
また本発明による基材は、上述したいずれか記載の塗工方法によって得るようにしたものであるから、基材の表面全体に薄い厚みで平坦な接着剤層を形成することができ、この上にフィルムや化粧紙やラミネート素材等の被覆材を接着した際に表面の平坦度が高く美観に優れており、内装材等に好適である。
【0037】
本発明による機材の塗工装置は、基材を搬送する搬送手段と、基材の一の面に回転しつつ接着剤を塗工する塗工ロールとを備えていて、基材の搬送速度に対して塗工ロールの回転速度を20%以上異ならせて塗工時に塗工ロールを接着剤層上でスリップさせるようにしたから、基材に塗工する接着剤層に対して塗工ロールをスリップさせて擦り付け力を付与することができ、ムラが少なく薄い厚みの平担な接着剤層を形成することができる。
【0038】
また搬送手段が基材を挟んで塗工ロールと反対側に位置するバックアップロールまたはバキューム機構付き無端ベルトであるから、バックアップロールまたはバキューム機構付き無端ベルトによって基材を搬送させることができる。特にバキューム機構付き無端ベルトを採用すれば基材との速度差をなくすことができる。
また塗工ロールは基材の搬送方向に沿って配列された複数段の塗工ロールで構成され、基材の搬送方向下流側に位置する後段側の塗工ロール及び基材の搬送方向上流側に位置する前段側の塗工ロールのいずれかがスリップしにくい材質であるようにしたから、凹凸やピンホール等をなくして接着剤層の仕上がりを良好にできる。
基材に対して塗工ロールの搬送方向上流側と下流側のそれぞれに基材を保持して搬送するニップ機構を備えているため、基材の速度設定が正確になり、塗工ロールとの速度差を高精度に設定できて塗工ロールのスリッピングを安定的に行うことができる。
また塗工ロールの下流側に位置するニップ機構において、基材の接着剤を塗工する面側には被覆材積層用ロールが設けられていて、基材に接着剤を介して被覆材を接着するようにしたため、被覆材積層用ロールをニップ機構の一部に兼用することで、ロールの数を減少させることができる。
【0039】
本発明による積層物の製造方法は、基材を搬送しつつ基材の一の面に、回転する塗工ロールを介して接着剤を塗工し、その際塗工ロールの回転速度を基材の搬送速度と20%以上異ならせることで基材に接着剤を塗工しつつ塗工ロールをスリップさせるようにして接着剤層を形成した後、その上に被覆材を積層するようにしたから、塗工した接着剤層が固化せずに接着性を有している状態でその上にフィルムや化粧紙やラミネート素材等の被覆材を積層し、凹凸等がなく美麗な仕上がりの積層物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施の形態による塗工装置の概略構成図である。
【図2】 本発明の第二の実施の形態による塗工装置の概略構成図である。
【図3】 本発明の第三の実施の形態による塗工装置の概略構成図である。
【図4】 本発明の第四の実施の形態による塗工装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1、10、20、30 塗工装置
2 木質系ボード(基材)
6、6A、6B 塗工ロール
3、3A、3B バックアップロール
11 バキューム機能付き無端ベルト
21 第一塗工部
22 第二塗工部
35 ラミネータロール
s 接着剤
S、S1、S2 接着剤層
Claims (9)
- 木質系ボードである基材を搬送しつつ該基材の一の面に、回転する塗工ロールを介して、加熱溶融状態のホットメルト接着剤を、複数層に分けて塗工して積層することで、接着剤層を形成するようにした基材の塗工方法において、複数段の塗工ロールの少なくとも1段の塗工ロールが、スリップしにくい材質からなり、前記塗工ロールの回転速度を基材の搬送速度より小さく設定し、減速率を20%〜80%の範囲に設定することで前記基材に接着剤を塗工しつつ前記塗工ロールをスリップさせるようにした基材の塗工方法。
- 前記ホットメルト接着剤が反応性ウレタンホットメルトであり、加熱溶融状態で塗工することで前記接着剤層を形成するようにした請求項1記載の基材の塗工方法。
- 木質系ボードである基材を搬送する搬送手段と、前記基材の一の面に回転しつつ接着剤を塗工する塗工ロールとを備えていて、前記塗工ロールが基材の搬送方向に沿って配列された複数段の塗工ロールで構成され、基材の搬送方向下流側に位置する後段側の塗工ロール及び基材の搬送方向上流側に位置する前段側の塗工ロールのいずれかがスリップしにくい材質であり、前記基材の搬送速度に対して塗工ロールの回転速度を20%以上異ならせて塗工時に前記塗工ロールを接着剤層上でスリップさせるようにした基材の塗工装置。
- 前記搬送手段が基材を挟んで塗工ロールと反対側に位置するバックアップロールまたはバキューム機構付き無端ベルトである請求項3記載の基材の塗工装置。
- 基材の搬送速度より小さく設定された前記前段側の塗工ロールの回転速度の減速率を、基材の搬送速度より小さく設定された前記後段側の塗工ロールの回転速度の減速率と同じか、又はより大きく設定してなる請求項3又は4記載の基材の塗工装置。
- 前記基材に対して塗工ロールの搬送方向上流側と下流側のそれぞれに前記基材を保持して搬送するニップ機構を備えた請求項3乃至5のいずれか記載の基材の塗工装置。
- 前記塗工ロールの下流側に位置するニップ機構において、前記基材の接着剤を塗工する面側には被覆材積層用ロールが設けられていて、前記基材に接着剤層を介して被覆材を積層するようにした請求項6記載の基材の塗工装置。
- 木質系ボードである基材を搬送しつつ該基材の一の面に、回転する塗工ロールを介して、加熱溶融状態のホットメルト接着剤を、複数層に分けて塗工して積層することで、接着剤層を形成し、該接着剤層上に被覆材を積層することからなる積層物の製造方法において、複数段の塗工ロールの少なくとも1段の塗工ロールが、スリップしにくい材質からなり、前記接着剤層を形成する際、前記塗工ロールの回転速度を基材の搬送速度より小さく設定し、減速率を20%〜80%の範囲に設定することで前記基材に接着剤を塗工しつつ前記塗工ロールをスリップさせるようにして接着剤層を形成する積層物の製造方法。
- 前記ホットメルト接着剤が反応性ウレタンホットメルトであり、また、被覆材がフィルム又は化粧紙である請求項8記載の積層物の製造方法。
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