JP4306682B2 - スチレン系共重合体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
共重合体の耐熱性が向上することは、即ち、高分子鎖の流動開始する温度が向上することと同義である。従って、成形加工時にポリスチレンと同じ流動特性を得ようとするならば、耐熱性が向上した分、加工温度を高める必要がある。しかし、極性官能基含有のスチレン系共重合体は、その分解開始温度が耐熱性上昇に見合う分の向上がない。そのため、成形加工温度範囲が狭くなり、その結果生産性、品質の低下を招くという問題があった。
しかし、これまでに知られているリビングアニオン重合の製造法に基づいて得られる共重合体は、次の様な問題点があった。そのため樹脂製品として充分な利用価値が見出せず、これまでに工業的に全く利用されていなかった。
1)製造されたポリマーが黄色化する。その黄色度は、Liの含有量と相関がある。従って、目的の分子量と黄色性のバランスをとれない領域があった。特に、黄色化を好まない用途、例えば、食品包装用途、光学製品用途等には利用することが困難であった。
2)ポリマーの溶融時の熱安定性が悪く、溶融滞留時にポリマーが分解しスチレンとα−メチルスチレンが生成する。その生成量は、一般的に広く利用されているラジカル重合法によって製造されたポリスチレンと対比して、同一条件下でより多く分解生成する。この事実は、スチレンとα−メチルスチレンの共重合体がポリスチレンに比べて耐熱性が高くなる分成形加工温度を上げた場合に、ラジカル重合法で得られたポリスチレンよりも更に多くのスチレン、α−メチルスチレンを成形時に発生することを意味する。従って、分解生成したスチレンやα−メチルスチレン等の揮発成分により、成形条件によってはシルバーが発生しやすいこと、また、共重合体の分子量低下が起こり機械物性の低下を招きやすいこと、特に、成形品を再度リサイクル材料として使用しにくいこと等の問題が起こることが容易に予想される。成形加工が極めて限られた範囲でしか利用できないことは、当然、利用される用途に制限があることであり、そのため広く工業的に受け入れられなかったと予想できる。
1.リビング重合法によって得られる下記式(1);
スチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量(A)が5〜60重量%であり、スチレン系共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.6〜4.0の範囲にあり、且つスチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量(重量%)(A)とスチレン系共重合体のガラス転移温度(℃)(Tg)の関係が式(a);
0.12A+102≦Tg≦0.62A+102(5≦A≦20の場合)、
−5.25×10−5 A3 +1.09×10−2A2+1.72×10−1A +97≦Tg≦−5.25×10−5 A3 +1.09×10−2A2+1.72×10−1A +107(20<A≦60の場合)
を満足するスチレン系共重合体。
2.式(1);
上記1に記載のスチレン系共重合体と、下記式(2)
(式中、置換基R 2 は、水素又は−C n H 2n+1 (nは1又は2)である炭化水素基であり、置換基R 3 は、水素を示す。)で表されるビニル芳香族単位を含有するスチレン系重合体とのスチレン系ブロック共重合体であり、
スチレン系ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.6〜4.0の範囲にある、スチレン系ブロック共重合体。
3.共重合組成比及び/又は重量平均分子量が異なる少なくとも2種類以上の上記1に記載のスチレン系共重合体を含むスチレン系共重合体の組成物。
4.連続するリビング重合法によって得られる上記1に記載のスチレン系共重合体であって、下記式(3);
5.連続のリビング重合法によって得られ、下記式(3);
6.スチレン系共重合体のガラス転移温度(Tg)が105℃〜140℃の範囲にあり、重量平均分子量(Mw)が5万〜30万の範囲にあり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.6〜2.5の範囲にある、上記5に記載のスチレン系共重合体。
7.上記1に記載のスチレン系共重合体を連続のリビング重合法により製造する方法であって、単量体と溶媒を含有する原料液を攪拌機付きの槽型反応器の下部または上部より反応器内に連続的に導入する工程、及び原料液の導入口と反対方向の反応器の上部または下部より重合液を連続的に排出しながらスチレン系共重合体を製造する工程を含む、スチレン系共重合体の製造方法。
8.前記溶媒の主成分が少なくとも一種の脂肪族系炭化水素化合物である、上記7に記載のスチレン系共重合体の製造方法。
9.重合反応中、生成するスチレン系共重合体中に存在する下記式(4);
10.上記1、5、6のいずれかに記載のスチレン系共重合体、上記2に記載のスチレン系ブロック共重合体又は上記3、4のいずれかに記載のスチレン系共重合体の組成物を含有する射出成形品。
11.上記1、5、6のいずれかに記載のスチレン系共重合体、上記2に記載のスチレン系ブロック共重合体又は上記3、4のいずれかに記載のスチレン系共重合体の組成物を含有する押出成形品。
12.上記1、5、6のいずれかに記載のスチレン系共重合体、上記2に記載のスチレン系ブロック共重合体又は上記3、4のいずれかに記載のスチレン系共重合体の組成物を含有するシート。
13.上記1、5、6のいずれかに記載のスチレン系共重合体、上記2に記載のスチレン系ブロック共重合体又は上記3、4のいずれかに記載のスチレン系共重合体の組成物を含有する発泡体。
14.上記1、5、6のいずれかに記載のスチレン系共重合体、上記2に記載のスチレン系ブロック共重合体又は上記3、4のいずれかに記載のスチレン系共重合体の組成物を含有する加温用食品容器。
15.上記1、5、6のいずれかに記載のスチレン系共重合体、上記2に記載のスチレン系ブロック共重合体又は上記3、4のいずれかに記載のスチレン系共重合体の組成物を含有する住宅用部品。
16.上記1、5、6のいずれかに記載のスチレン系共重合体、上記2に記載のスチレン系ブロック共重合体又は上記3、4のいずれかに記載のスチレン系共重合体の組成物を含有する自動車室内用部品。
17.上記1、5、6のいずれかに記載のスチレン系共重合体、上記2に記載のスチレン系ブロック共重合体又は上記3、4のいずれかに記載のスチレン系共重合体の組成物を含有する光学用部品。
本発明でいうイソプロペニル芳香族単位(上記式(1))とビニル芳香族単位(上記式(2))を含有する共重合体とは、イソプロペニル芳香族単量体(上記式(3))とビニル芳香族単量体(上記式(4))を原料に連続のリビング重合によって得られる共重合体である。芳香環に置換基として結合している炭化水素基は、−CnH2n+1(nは1以上の整数)で示される飽和型炭化水素基である。−CnH2n+1基は、飽和型のアルキル基であり、その構造はリニアー型、分岐型等でもよく特に明確な構造規定はない。nの上限も特に限定はないが、通常、n≦30である。飽和型のアルキル基の代わりに飽和型の脂環式炭化水素基を有する単量体を用いても原理的には本発明の目的を達成することは可能と予想できる。しかし、現在工業的に開発されていないため、本発明の目的の達成度は確認できていない。
本発明で言う重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算によって求めた値のことである。
式(a’);
5≦A<20の場合、C×A+102≦Tg≦D×A+102、
20<A≦60の場合、−5.25×10−5 A3 +1.09×10−2 A2+1.72×10−1A +E≦Tg≦−5.25×10−5 A3+1.09×10−2 A2+1.72×10−1A +F
A:スチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量(重量%)
B:スチレン系共重合体のガラス転移温度(℃)
本発明の製造方法で得られるスチレン系共重合体のイソプロペニル芳香族単位の含有量とガラス転移温度の関係は、例えば、古くから知られているFoxの関係式を満足しない。
公知の製造方法では、例えば、スチレンとα−メチルスチレンの共重合体は、Foxの関係式を満たすことが開示されている(例えば、非特許文献1参照)。本発明の製造方法によって得られるスチレン系共重合体が、Foxの関係式を満足しない理由は正確には分かっていない。理論に拘束される訳ではないが、製造方法の違いによって生じる共重合体中の各単量体単位の組成分布に起因している可能性があると予想される。
本発明のスチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量は、共重合体の1H−NMRを測定し、各ピークの面積値から計算によって求めることができる。
本発明のスチレン系共重合体を利用する用途において、特に黄色化を抑えることが必要な場合、又は樹脂を溶融成形する際に分解発生する単量体の量を極力抑えたい場合などは、更に、下記式(b’)を満足するスチレン系共重合体であることが必要である。ここで、D=0.52の場合、式(b’)は上記式(b)と一致する。
式(b’);
B≦0.0002A2−0.0017A+D
A:スチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量(重量%)
B:305nmにおけるスチレン系共重合体の吸光度
式(c’);
F×10−2 A2+G×10−1 A+H≦Mw×10−3≦exp(J−2.77×10−2A)
A:スチレン共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量(重量%)
Mw:スチレン共重合体の重量平均分子量
式(1);
(式中、置換基R1は、水素又は−CnH2n+1(nは1以上の整数)である炭化水素基を示す。)
式(2);
(式中、置換基R2は、水素又は−CnH2n+1(nは1以上の整数)である炭化水素基であり、置換基R3は、水素又はフェニル基を示す。)
式(3);
(式中、置換基R1は、水素又は−CnH2n+1(nは1以上の整数)である炭化水素基を示す。)
式(4);
(式中、置換基R2は、水素又は−CnH2n+1(nは1以上の整数)である炭化水素基を示し、置換基R3は、水素又はフェニル基を示す。)
これらの式が有する炭化水素基の例は上で挙げた通りである。
減圧加熱脱揮法として具体的には、例えば減圧下のタンクにフラッシュさせる方法、及び/又は押出機やニーダーを用いて減圧下のベント口から加熱蒸発脱揮させる方法等が好ましく利用できる。また、効果的に脱揮する目的でベント口の手前に水、アルコール等の低沸点化合物を添加することも可能である。溶媒の揮発性にもよるが、一般には温度を180〜300℃、減圧度を10MPa以下に制御して、残存する単量体や溶媒等の揮発性成分を脱揮除去させる。
減圧加熱脱揮法によってスチレン系共重合体中に含有するイソプロペニル芳香族単量体とビニル芳香族単量体及び重合溶媒の総量は、2500重量ppm以下に制御される必要がある。好ましくは2400ppm以下、更に好ましくは2300ppm以下がよい。2500ppmより多く含有すると、耐熱性の変動や成形加工時の溶融樹脂の流動性の変動が顕著となり、ユーザーに品質の安定した樹脂を提供することが困難となる。特に、成形加工機の装置サイズ、構造、温度条件等によって樹脂中に残存する単量体や溶媒の揮発量は変わる。そのため、耐熱温度をユーザーの要求する性能値の限界付近に設定する場合や極めて精密な部品を成形する場合などは、品質の安定性が極めて重要となる。
本発明の特定のスチレン系共重合体を用いることによって、特に、精密部品、光学部品、シート状の押出成形品、シート状の射出成形品、大型射出成形品などを得る場合において、機械物性や品質の低下を起こさずに安定生産が可能となった。
重量平均分子量(Mw)は、Mw=5万〜30万の範囲である。好ましくは、Mw=6万〜29万、更に好ましくは、Mw=7万〜28万の範囲である。Mwが5万より小さいと機械強度が急激に低下し、構造材料として利用する場合その用途が大幅に限定される。Mwが30万より大きいと樹脂の溶融粘性が上昇し成形時の樹脂の流動性が低下する。その結果、精密部品の成形が困難となるだけでなく、高分子鎖が分子配向しやすくなり、光学特性の異方性の発現やシート状押出成形品やシート状射出成形品の面衝撃強度の低下、更に大型成形品の成形が困難という様々な問題を招く。
更に、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.6〜2.5の範囲にあることが必要である。好ましくは、Mw/Mn=1.65〜2.45、更に好ましくは、Mw/Mn=1.70〜2.40の範囲がよい。Mw/Mnが1.6の値より小さいと樹脂の流動性と機械物性のバランスが悪くなり、樹脂成形体として充分な性能を出すことが難しくなる。2.5より大きくなると流動性が悪くなり、必要以上に高分子量化した場合と同様の効果、即ち、精密部品の成形が困難、光学特性の異方性が発現、シート状押出成形品やシート状射出成形品の面衝撃強度の低下、更に大型成形品の成形が困難という様々な問題を招く。
本発明のスチレン系共重合体のイソプロペニル芳香族単位とビニル芳香族単位の結合様式は、特に制限はされないが、最も好ましい結合様式はランダム結合からなる共重合体である。一般にイソプロペニル芳香族単位の連鎖が多く存在すると熱分解しやすくなる傾向にある。従って、用途によってはイソプロペニル芳香族単位の連鎖は2乃至4連鎖以下に制御することが好ましい。
ビニル芳香族単位は、連鎖になっていても特に熱安定性を損なう恐れがないので、長鎖の連鎖構造をとっても構わない。
この知見により、数種のスチレン系共重合体を準備しておくだけで、その組み合わせから極めて多数の組成の共重合体を得ることができる。その結果、目的の性能を持つ成形体を効率よくしかも容易に得ることが可能で、製造エネルギーやコストの削減に大きく寄与できる。また、共重合組成の異なるスチレン系共重合体へリサイクルすることも可能なため、無駄なく樹脂を利用することができる。
本発明で言うブレンドの方法とは、共重合組成比及び/又は重量平均分子量が異なる少なくとも2種類以上のスチレン系共重合体を溶液中でブレンドする方法、押出機、ニーダー等を使って溶融状態でブレンドする方法等、公知のブレンド法で構わない。
単量体と重合溶媒からなる原料溶液に含まれる単量体の濃度は、特に制限はなく、重合反応器の構造、重合速度、重合温度を考慮して決めればよい。例えば、リビングアニオン重合の場合は重合速度が極めて速いので、好ましい濃度範囲は5〜50重量%がよい。
重合反応器が完全混合型か非完全混合型かを判断する客観的指標の一つとしては、例えば、スチレン系単量体を使って重合反応を行い、得られた高分子量体の分子量分布(Mw/Mn)を測定し、Mw/Mnの値が約2を示せば完全混合型であると判断できる。プラグフロー状態、即ち非完全混合型の重合反応器を使った場合は、Mw/Mnの値は約1を示すか、または、2より大きな値を示す。
完全混合型を達成するためには、重合反応器の形状や内部構造、攪拌羽の形状、攪拌羽の回転数、重合溶液の粘度、原料を重合反応器へ導入する供給口と排出口の位置等の因子が重要となる。
式(1);
(式中、置換基R1は、水素又は−CnH2n+1(nは1以上の整数)である炭化水素基を示す。)
式(2);
(式中、置換基R2は、水素又は−CnH2n+1(nは1以上の整数)である炭化水素基であり、置換基R3は、水素又はフェニル基を示す。)
単量体と溶媒を含有する原料液は、槽型反応器の下部または上部より反応器内に連続的に導入し、原料液の導入口と反対方向の反応器の上部または下部より重合液を連続的に排出することが重要である。原料液の導入口と反対方向とは、図10の(例1)に示す様に導入口と排出口が液面からほぼ同じ位置に存在する時は、中心から90°〜270°の範囲を言う。また、図10の(例2)または(例3)に示す様に導入口と排出口の一方が液面近辺の位置に存在するとき(反応器内の溶液量が反応器容積の100体積%である時は、反応器の上部面又は底部面近辺とする。)は、底部面近辺の範囲を言う。
重合反応器は、1基で行う必要はなく、目的に応じて2基以上つなげても構わない。また、本発明のスチレン系共重合体を得るための重合反応器の前段及び/又は後段につなげる反応器は、完全混合型の重合反応器である必要はなく、非完全混合型の重合反応器でも構わない。
更に、1基目の重合反応器でビニル芳香族単量体のみを重合し、続いて2基目の重合反応器内でイソプロペニル芳香族単量体とビニル芳香族単量体の共重合を行って、ビニル芳香族単位の単独重合体と共重合体とのブロック共重合体を得ることも可能である。
重合反応の停止は、停止剤として水、アルコール、フェノール、カルボン酸等の酸素−水素の結合を有するプロトン性化合物、アミン等の窒素−水素の結合を有するプロトン性化合物が挙げられる。また、エポキシ化合物、エステル化合物、ケトン化合物、カルボン酸無水物、アミド化合物、炭素−ハロゲン結合を有する化合物等も同様な効果を期待できる。これらの化合物を2段に分けて添加してもよい。例えば、エポキシ化合物を添加して重合反応を停止し、その後に水を添加しても構わない。
重合停止化合物の使用量は成長種の当量から10倍当量程度が好ましい。余りに多いとコスト的に不利なだけでなく、残存する添加物の混入が障害になる場合も多い。
その例として、一次酸化防止剤として、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリストールテトラキス[−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドキシフェニル)プロピオネート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−{3−(t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキザ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6(1H,2H,3H)−トリオン、1,1,4−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
シリコーン系、フッ素系の離型剤、帯電防止剤などもスチレン系樹脂のために利用されている公知の技術をそのまま応用することができる
これらの安定剤は、重合が完結した後のポリマー溶液の中に添加して混合するか又はポリマー回収後押出機を使って溶融混合することができる。
本発明のスチレン系共重合体は、加工方法としては安価に大量生産が可能な溶融加工法がよく、射出成形、押出成形、発泡押出成形、ブロー成形などが好適に使用できる。得られる成形品は、射出成形品、シート及びシート成形品、フィルム、発泡シート及び発泡シート成形品、発泡ボード、ブロー成形器などがある。特に、透明性、耐熱性、耐候性、高剛性が要求される構造材、容器、装置部品などに利用される。
食品包装容器としての具体的利用例として、電子レンジで暖めて食べる弁当の容器及び弁当の蓋が挙げられる。
従来の電子レンジ加温用の弁当容器は、プロピレンとタルク等の無機フィラーから成る樹脂組成物のシートが利用されていた。しかし、シートは熱が伝わり易いため、弁当容器を電子レンジから取り出す際に火傷を起こす危険があった。また、無機フィラーが入っているため、容器は重く、また、焼却時に大量の灰が発生するという問題も抱えていた。
弁当の内容物にもよるが必要によっては、発泡シートの表面に結晶性のポリマー、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミドなどのフィルムをラミネートすることも可能である。ラミネートフィルムと発泡シートとの接着性を高めるために、スチレン系ポリマーとポリオレフィンとのブロックポリマーやスチレン系ポリマー成分を含有するポリマーとポリエステルまたはポリアミドとのブロックポリマーまたはグラフトポリマーをラミネートフィルムの一成分として含有することも可能である。
従来の住宅室内、自動車室内などの密閉空間においては、樹脂成形品から揮発される微量の有機化合物が空気中に蓄積されやすいという問題があった。特に、住宅の屋根、自動車の天井は、太陽熱により温度が局部的に上昇するため、更に耐熱性の高い材料であることも要求される。
本発明のスチレン系共重合体は、透明性、耐熱性、耐候性、寸法安定性、剛性が優れた材料であるので、光学用部品として好適に利用される。光学用部品としては、例えば、導光板、拡散板、反射板、反射フィルム、反射防止フィルム、偏光板、偏光フィルム、位相差フィルム、レンズ、フレネルレンズなどが挙げられる。これらの光学部品は、液晶ディスプレイやプロジェクターの大型化に伴い、従来以上に寸法安定性と高い加工性が要求され、更に光源に近いところで使用されるため耐光性と耐熱性も益々重要視される。本発明のスチレン系共重合体は、従来の問題点を一挙に解決し今後の性能ニーズを満足し得る優れた材料であり、加温用食品容器、住宅用部品、自動車室内用部品、光学用部品の各用途以外にも利用できる用途は数多くあると期待できる。
実施例、比較例で用いた諸物性の分析、評価方法、条件は以下のとおりである。
(1)反応率(Conv.)
ガスクロマトグラフィー(GC:島津製作所製、GC−14B、検出器はFID)を使って求めた。カラムは、ULBON HR−1、内径0.32mm、膜厚0.25μm、長さ30m(島津ジーエルシー社製)を使用した。測定条件は、50℃から10℃/分で80℃まで昇温し、80℃で保持した。スチレン、α−メチルスチレンのピーク面積値と内部標準物質として用いたシクロヘキサンとのピーク面積値から反応率(%)を算出した。
東ソー社製のHLC−8020にカラム(TSKgel GMHXL、40℃)を2本接続し、RI検出器が取り付けてあるGPC装置で測定した。2重量%のエタノールを含有したクロロホルムを移動相に用いた。分子量の計算は、ポリスチレンスタンダード(東ソー社製)を使って検量線を作成し、ポリスチレン換算にて行った。
0.1gのポリマーを5gのトルエンに溶解し、その溶液を20mlのメタノール中に0.2ml/秒の速度で滴下した。沈殿物をろ過して回収した。この操作を2回繰り返し、得られたポリマーを風乾後、160℃、真空下で1時間乾燥した。得られたポリマーのTg(℃)をパーキンエルマー社製のDSC−7を使って、JIS−K−7121に準拠して求めた。具体的には、窒素下、10℃/分で室温から250℃まで昇温し、その後10℃/分で室温まで戻し、再び10℃/分で250℃まで昇温した。2度目の昇温過程で測定されるガラス転移温度をTg(℃)とした。
BRUKER社製のNMR(DPX−400)を使って求めた。スチレン系共重合体中のα−メチルスチレンの組成(重量%)を、スチレン系共重合体の1H−NMRを測定し、メチル、メチレン、メチンのピーク面積比から計算で求めた。詳細な計算法を図1に示す。
分光光度計(U−3210、日立製作所社製)を使って、成形品の305nmにおける吸光度(空気に対する吸光度の差)を求めた。
イエローインデックス(YI)は、カラーテスター(スガ試験機社製)を用いてASTM D1925に準拠して求めた。
島津製作所社製のGC−MSを使って以下の条件で測定した。
機器:GC−2010、MS−QP2010、ヘッドスペースサンプラー付き
カラム:Rtx−1、0.25mm、1.00μm、60m(島津ジーエルシー社製)
温度条件:60℃で2分保持後10℃/分で145℃まで昇温、その後3℃/分で160℃まで昇温した。
測定サンプルの作製:ポリマー0.4gを専用バイアル瓶に入れ、DMF10mlと内部標準(n−ノナン)の入ったクロロホルムを1ml加えて密栓して試料を溶解後、樹脂中の微量単量体とシクロヘキサン(重量ppm)を測定した。
検量線は、スチレン、α−メチルスチレン、シクロヘキサンを使って作成した。
FUNAC社製の射出成形機(AUTO SHOT 15A)を使って次なる条件で成形した。シリンダー温度は、ホッパー側から215℃、225℃、230℃、230℃に設定した。金型温度は、60℃、射出時間を10秒、冷却時間を20秒に設定した。溶融樹脂は、樹脂が金型に丁度充填する射出圧力に更に5MPa高い圧力を加えて充填した。
ASTM4号の3mmtのダンベル片と短冊片をそれぞれ成形し、引張試験、曲げ試験、吸光度測定、黄色度測定、ビカット温度測定、耐候性試験用サンプルとして用いた。
15mm径の2軸押出機(テクノベル社製)を使って、樹脂組成物を作製した。シリンダー温度は220℃(ホッパー下110℃)、スクリュー回転数200rpm、吐出量1.9kg/時で行った。
15mm径の2軸押出機(テクノベル社製)の出口部に厚み1mm、幅3cmのTダイを取り付けて樹脂をシート状に押出し、シートを作製した。シリンダー温度は220℃(ホッパー下110℃)とした。
核剤としてタルクを樹脂ペレットとブレンドし、一段目押出機のホッパーに導入し、約220℃〜250℃で熱可塑化した後、ブタンを約4重量%圧入、含浸させた。次いで二段目押出機に送り込み、発泡に適した粘度まで温調したものを約130℃のダイスより押し出して、スチレン系共重合体の発泡シートを作成した。発泡シートの平均厚みは約2.5mm、平均発泡倍率は約10倍に設定した。
得られたスチレン系共重合体の発泡シートは十分に養生させた後、発泡シートとして耐熱性を評価した。
(1)溶融熱安定性の評価−1
1gのポリマーを試験管内に入れ窒素封入下密閉した。試験管を内温が280℃になるように加温したオイルバスに入れ、所定時間(280℃に到達した時間を0分とする)保持した。その後、室温に戻し試験管に内部標準入りのクロロホルムを25ml入れてポリマーを溶解後、スチレンの含有量(重量ppm)を求めた。
射出成形機のシリンダー内に樹脂ペレットを所定温度下、所定時間溶融滞留させた後、ASTM4号の短冊片を射出成形した。短冊片の表面上にシルバーが発生する温度と時間を求めた。シルバーの発生は、目視確認とした。
島津製作所社製のAUTO GRAPH(AG−5000D)を使って、次の条件で引張強度(MPa)、引張伸び(%)、曲げ強度(MPa)及び曲げ弾性率(MPa)を測定した。
引張試験:チャック間距離64mm、引張速度5mm/分
曲げ試験:スパン間距離50mm、曲げ速度1.3mm/分
(4)ビカット温度の測定
射出成形によって成形した3mmのダンベルを使って、ISO−306に準拠して求めた。
63℃下カーボンアークの紫外線照射を行い、所定時間経過後YI値を求めた(後述する図8におけるYI値の測定方法である)。
また、加速試験法としてアイスーパーUVテスター(アイグラフィックス社製:形式SUV−F11)を使って、63℃、連続照射(波長:295〜450nm)条件下で評価し、所定時間経過後YI値を求めた(後述する図9におけるYI値の測定方法である)。
〈原料〉
スチレン(St:住友化学社製)とα−メチルスチレン(αMeSt:三井化学社製)とシクロヘキサン(CH:出光石油化学社製)をSt/αMeSt/CH=27/18/55(重量%)の比率で混合した溶液を貯蔵タンクに溜め窒素バブリングした後に、溶液を活性アルミナ(住友化学社製KHD−24)を充填した5L容積の精製塔内を通過させて重合禁止剤であるt−ブチルカテコールを除去した。
〈開始剤〉
n−ブチルリチウム(15重量%のn−ヘキサン溶液、和光純薬社製)を1/51倍にシクロヘキサンで希釈した。
〈停止剤〉
メタノール(特級、和光純薬社製)を3重量%の濃度になる様にシクロヘキサンで希釈した溶液を作製し、更に、二酸化炭素と少量の水を飽和状態になるまで溶液中に吹き込んだ。
重合反応器は、攪拌翼(住友重機製マックスブレンド翼)とコンデンサーが取り付けられ、更に原料導入ノズル、開始剤導入ノズルと重合溶液排出ノズルが付いたジャケット付3.4Lの反応器(R1)を用いた。コンデンサーの出口は、窒素ガスでシールし、外部から空気が混入しないようにした。重合反応器内の重合溶液の容量は、常に2.1Lとなる様に制御した。重合溶液からは常に溶液の一部が沸騰している状態にし、内温を82℃〜84℃の間に制御した。攪拌翼の回転数は175rpmとした。重合反応器の原料入口と出口にはそれぞれギアポンプが取り付けられており原料及び重合溶液が2.1L/時の一定流量の液を流せる様に制御した。また、開始剤溶液は、0.25L/時で重合反応器内へ導入した。重合反応器の原料導入口とポリマー溶液の排出口の位置関係は、図2に示す様に180°反対方向にあり、下部に原料液の導入口を、液面より5cm下方に排出口を取り付けた。
スチレンとα−メチルスチレンとシクロヘキサン(CH)の原料の組成、原料溶液の重合反応器内への流量、開始剤溶液の重合反応器内への流量を表1に示した条件以外は、実施例1と同じ条件・方法で重合した。重合反応器から抜き取った各単量体の反応率を含めた各種製造条件を表1に示す。また、得られたペレットの共重合体の組成、分子量等の結果を表2に示す。
実施例8において重合温度を105℃にした以外は同じ条件でペレッタイズ化したポリマーを製造した。得られたポリマーの分子量は、Mw=117,000、Mn=59,000、Tgは127℃であった。表1に各種製造条件を示す。表2に得られたスチレン系共重合体の組成、分子量等の結果を示す。
スチレンとα−メチルスチレンの共重合体の場合についてα−メチルスチレン含有量とTgの関係は、従来の製法ではFoxの関係か又は正比例の関係を示していた(例えば、非特許文献1参照)。しかし、本発明の製法によって得られたスチレン系共重合体は、そのいずれの関係も満たさず全く独自の相関関係を示すことが分かった(図2参照)。図2中の一番上の直線(点線)はポリスチレン(α−メチルスチレンの含有量が0重量%)のTg(102℃)とポリα−メチルスチレン(α−メチルスチレンの含有量が100重量%)のTg(177℃)の2点を結んだ直線である。又、図2中の真中の線はFoxの式を使って求めた曲線、一番下の曲線は、実施例のプロットを近似計算で求めた曲線である。
密閉型で攪拌翼の付いた重合反応器(R2)にSt/CH=23/77(重量%)の組成の溶液を0.25L/時の流速で供給し、更に、別の供給口から開始剤溶液(n−BuLiをシクロヘキサンで1/76倍に希釈した溶液)を0.19L/時で供給した。重合温度は50℃、攪拌翼の回転数は175rpmとした。R1の反応器から0.33L/時の流速でリビング重合体の溶液を抜き取り、配管を経て実施例1で使用した反応器と同じ重合反応器(R1)へ導入した。また、R2からR1へと導かれる配管の途中でリビング重合体を抜き取り分子量を測定したところ、Mw=49,700、Mn=28,400であった。スチレンの反応率は、99%以上であった。
実施例1で用いた重合反応器(R1)に、St/αMeSt/CH=16/24/60(重量%)の組成比率の原料溶液を2.1L/時の流量で導入し、同時にR1へ開始剤溶液を0.18L/時の流量で別の配管を使って導入した。重合温度は、82〜85℃、攪拌翼の回転数は175rpm、R1内の重合溶液の平均滞留時間は、1.3時間とした。この条件でR1内の重合液が定常状態になった時点で得られたポリマーの分子量は、Mw=143,000、Mn=70,000、Tg=126℃であった。
実施例14で原料溶液の組成をSt/αMeSt/CH=16/24/60(重量%)からSt/αMeSt/CH=25/11/64(重量%)に変更した以外は、実施例14と同様にして混合ペレットを得た。また、同様に射出成形品を得た。射出成形品のTgは、121℃であった。また分子量は、Mw=179,000、Mn=85,000であった。
原料溶液の組成がSt/CH=35/65(重量%)、原料溶液の流量を2.2L/時、n−ブチルリチウムを1/76倍にシクロヘキサンで希釈した開始剤溶液の流量を0.17L/時とした以外は、実施例1と同じ条件でポリスチレンを製造した。未反応のスチレンは、GCでは観測されず反応率は100%であった。得られたポリスチレンの分子量は、Mw=307,000、Mn=157,000であった。
ラジカル重合によって得られたポリスチレン(GPPS、#685、PSジャパン社製)を用いた。Tgは101℃であった。
ラジカル重合によって得られたスチレンとメタクリル酸共重合体(SMAA、G9001、PSジャパン社製)を用いた。Tgは117℃であった。
比較例1から比較例4までのスチレン系樹脂を射出成形し、機械物性を評価した結果を表3に示す。但し、比較例2は欠番である。
スチレンとα−メチルスチレンの共重合においては、α−メチルスチレンの含有量が多くなるとともに耐熱性が上昇し、同時に溶融滞留時のポリマー分解開始温度が低くなることが知れれている(例えば、非特許文献1参照)。その結果、樹脂の耐熱性の上昇とともに溶融加工時の好適な温度、時間範囲が狭くなり、非常に成形が困難となり使用用途が限定されるという問題点があった。
本発明者は、この点を更に詳細に調べ、本発明のスチレン系共重合体がかかる問題点を解決できることを示した。
図4には、ポリマーを275℃、260℃、240℃に溶融滞留した時のスチレンの発生速度(k:ppm/分)と温度の関係(アレニウス−プロット)を示す。この結果より、いずれの温度においても工業的に利用されているラジカル重合法のポリスチレンよりも溶融熱安定性に優れることが確認できた。
図5には、成形時のシルバーの発生の温度領域を示す(溶融熱安定性の評価)。図5の曲線(温度領域)は、各温度下でのシルバーが発生するまでの滞留時間を求め、その結果から温度と時間の相関式を計算で導いた。曲線より上部(滞留時間が長い領域)は、シルバー発生が認められる領域、下部はシルバー発生が見られない領域である。
これより、スチレンとα−メチルスチレンの共重合体は、ラジカル重合のポリスチレンよりも成形条件範囲が広いことがより明確となった。
本発明者が鋭意努力を重ねた結果、黄色化はLi含有量に起因しているという従来から言われてきた点は間違いであり、正しくはポリマー構造に起因していることを新たに突き止めた。具体的な構造因子は未だに明確ではないが、これまでの検討結果から黄色化を抑制する傾向としては、1)リビング成長種をより安定化しうる条件下で製造すること、2)共重合体の熱分解が起こりにくい構造であること、が重要であることが分かった。
表5に、実施例1、6〜10、比較例1、3の重合温度とシクロヘキサン、エチルベンゼン溶媒下で重合して得られたポリマーの成形品の黄色度の値を、用いた重合溶媒とα−メチルスチレンの含有量と共に示す。
樹脂成形直後の成形品の黄色化を低減させることも重要であるが、更に、光に暴露された際の黄色化速度の低減も用途によっては重要な要求性能の一つである。特に、光学部品用途において光源に近い雰囲気下に置かれる部品は、耐熱性と耐光性が必要となる。
図8には、実施例7と比較例3の耐候性を調べた結果を示す(縦軸にYI、横軸に時間をとった)。本発明のスチレン系共重合体は従来のポリスチレンに比べ黄色化速度が遅いことが確認できた。
この結果より、本発明のスチレン系共重合体は、耐熱性と耐光性に優れた材料であることが分かり、特に、光学部品用途に極めて好適な材料であると言える。
実施例1の製造方法で、フラッシング容器内の減圧度と滞留時間を制御してペレット中に残存するスチレン(St)、α−メチルスチレン(αMeSt)、シクロヘキサン(CH)の総和量(重量ppm)の異なるペレットを得た。スチレン、α−メチルスチレン、シクロヘキサンの総和量は、GC−MSを使って求めた。実施例1のペレットのTg(℃)をDSCを使って求めた。スチレン、α−メチルスチレン、シクロヘキサンの総和量とTgの関係図を、図6に示す。
この結果から、樹脂ペレット中のスチレン、α−メチルスチレン、シクロヘキサンの総和量を2500重量ppm以下にすることによって、本来共重合体が有するガラス転移温度を持つ樹脂成形品が得られる。
スチレン、α−メチルスチレン、シクロヘキサンは、ペレット成形加工時に部分的に揮発するので2500重量ppmより多くペレット中に残存すると耐熱性の変動や成形加工時の溶融樹脂の流動性の変動が顕著となる。従って、ユーザーに品質の安定した樹脂を提供することが困難となる。特に、成形加工機の装置サイズ、構造、温度条件等によって樹脂中に残存する単量体や溶媒の揮発量は変わる。そのため、耐熱温度をユーザーが要求する性能値の限界付近に設定する場合や極めて精密な部品を成形する場合などは、特に上記物質の総量を1000ppm以下に制御することによって品質の安定性が更に向上する。
実施例1と実施例10で得られたペレットを50/50重量%の比率で、2軸押出機を使って溶融ブレンドした。得られたペレットを射出成形しダンベル片と短冊片を得た。目視では完全に透明の成形品が得られた。機械物性を測定したところ、引張強度:55MPa、引張伸び:1.9%、曲げ強度:97MPa、曲げ弾性率:3360MPaであり、大きな物性低下は無かった。また、Tgは122℃であった。
図7に実施例18のペレットのDSCチャートを実施例1及び10のものと対比する形で示す。実施例18のペレットのDSCチャートにおいては、実施例1と実施例10由来のTgピークは見られず、実施例1と実施例10におけるピークの中間値に実施例18のTgピークが観測された。この結果より、Tg=116℃(実施例1)とTg=129℃(実施例10)の各共重合体は完全相溶系であることが確認できた。
比較例3のポリスチレンのペレットと実施例13の共重合体のペレットを70/30(重量%)の重量比率でブレンドし、押出機を使って樹脂組成物を得た。
比較例3のポリスチレンのペレットと実施例14の共重合体組成物のペレットを70/30(重量%)の重量比率でブレンドし、押出機を使って樹脂組成物を得た。
比較例3のポリスチレンのペレットと実施例15の共重合体組成物のペレットを70/30(重量%)の重量比率でブレンドし、押出機を使って樹脂組成物を得た。
比較例3のポリスチレンのペレットと実施例1の共重合体のペレットを70/30(重量%)の重量比率でブレンドし、押出機を使って樹脂組成物を得た。
実施例19から実施例22の樹脂組成物を射出成形してダンベル片、短冊片とし、目視判定によって成形品の白濁度を調べた。また、成形品の引張物性、曲げ物性を評価した。それらの物性の結果を成分組成と共に表6に示す。
比較例3のポリスチレンを他の樹脂と混ぜずに単独で押出機で一度溶融させてペレットを得た。
比較例3のポリスチレンと比較例4のSMAAを70/30(重量%)の重量比率でペレット状態でブレンドし、押出機を使って樹脂組成物を得た。
特に、ポリスチレン成分をブロックした共重合体(実施例13)、組成分布を付けた共重合体組成物(実施例14、15)からは、ポリスチレンに対してほぼ同等の機械物性を持つ樹脂組成物を与えた。また、ポリスチレンと本発明のスチレン系共重合体の樹脂組成物から得られる成形品は、透明性を損なうことなくポリスチレンと同等の無色透明性を維持した。以上より、本発明によって耐熱性、リサイクル性、特に汎用のポリスチレンへのリサイクル性の両方の性能が優れたスチレン系共重合体を初めて得ることができた。
実施例1、実施例10、比較例3の樹脂ペレットを使って、押出機シートを得た。更に、シートをテンターを使って加熱後、1軸延伸した。延伸倍率は5倍とした。また、実施例1、比較例3の樹脂ペレットを圧縮成形により厚み2mm、7cm四方の平板を作製し、その後同様にテンターを使って加熱後、2軸延伸した。延伸倍率は3倍とした。
得られた各シートを少量切り出し、そのシートをPP製のカップに少量の水と混合し、ポリ塩化ビニリデン製のラップで密閉した。そのカップを電子レンジ内に入れ1500Wで1分間加熱した。加熱後のシートの変形度(耐熱性の指標として)を目視観察した。それらの変形度の結果をTg、使用樹脂と共に表7に示す(実施例23〜24、比較例7)。
また、実施例1、実施例10、比較例3の樹脂ペレットを使って、押出発泡シートを得た。発泡シートを少量切り出し、上記と同じ方法でシートの耐熱性を調べた。結果を表7に示す。
これらの結果より、本発明によって電子レンジ加熱に耐える延伸シート、発泡シートを得ることができることが判った。
実施例23〜24、比較例7で得られた発泡シートから表面積が80cm2となる様にテストピースを切り出し、35日間、23℃、50%RHの恒温室に放置した後、窒素置換した10Lのテトラーバックに入れた。その後、65℃で2時間加熱し、テトラーバックのガスを全量回収し、ガス中のスチレン(すなわちスチレン揮発量(μg))をGC-MSを使って求めた。その結果をTg及び使用樹脂と共に表8に示す。
これらの結果より、本発明のスチレン系共重合体は溶融時の熱安定性が優れているので、成形体に残存する単量体の量が極めて少ない。従って、従来のスチレン系樹脂材料に比べて成形体から揮発する成分量が少ない。そのため、住宅の室内に利用される材料、また、自動車の室内に利用される材料として非常に好適である。
Claims (17)
- リビング重合法によって得られる下記式(1);
(式中、置換基R1は、水素を示す。)で表されるイソプロペニル芳香族単位と、下記式(2);
(式中、置換基R2は、水素又は−CnH2n+1(nは1又は2)である炭化水素基であり、置換基R3は、水素を示す。)で表されるビニル芳香族単位とを含有するスチレン系共重合体であって、
スチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量(A)が5〜60重量%であり、スチレン系共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.6〜4.0の範囲にあり、且つスチレン系共重合体中のイソプロペニル芳香族単位の含有量(重量%)(A)とスチレン系共重合体のガラス転移温度(℃)(Tg)の関係が式(a);
0.12A+102≦Tg≦0.62A+102(5≦A≦20の場合)、
−5.25×10−5 A3 +1.09×10−2A2+1.72×10−1A +97≦Tg≦−5.25×10−5 A3 +1.09×10−2A2+1.72×10−1A +107(20<A≦60の場合)
を満足するスチレン系共重合体。 - 共重合組成比及び/又は重量平均分子量が異なる少なくとも2種類以上の請求項1に記載のスチレン系共重合体を含むスチレン系共重合体の組成物。
- スチレン系共重合体のガラス転移温度(Tg)が105℃〜140℃の範囲にあり、重量平均分子量(Mw)が5万〜30万の範囲にあり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.6〜2.5の範囲にある、請求項5記載のスチレン系共重合体。
- 請求項1に記載のスチレン系共重合体を連続のリビング重合法により製造する方法であって、単量体と溶媒を含有する原料液を攪拌機付きの槽型反応器の下部または上部より反応器内に連続的に導入する工程、及び原料液の導入口と反対方向の反応器の上部または下部より重合液を連続的に排出しながらスチレン系共重合体を製造する工程を含む、スチレン系共重合体の製造方法。
- 前記溶媒の主成分が少なくとも一種の脂肪族系炭化水素化合物である、請求項7に記載のスチレン系共重合体の製造方法。
- 請求項1、5、6のいずれかに記載のスチレン系共重合体、請求項2に記載のスチレン系ブロック共重合体又は請求項3、4のいずれかに記載のスチレン系共重合体の組成物を含有する射出成形品。
- 請求項1、5、6のいずれかに記載のスチレン系共重合体、請求項2に記載のスチレン系ブロック共重合体又は請求項3、4のいずれかに記載のスチレン系共重合体の組成物を含有する押出成形品。
- 請求項1、5、6のいずれかに記載のスチレン系共重合体、請求項2に記載のスチレン系ブロック共重合体又は請求項3、4のいずれかに記載のスチレン系共重合体の組成物を含有するシート。
- 請求項1、5、6のいずれかに記載のスチレン系共重合体、請求項2に記載のスチレン系ブロック共重合体又は請求項3、4のいずれかに記載のスチレン系共重合体の組成物を含有する発泡体。
- 請求項1、5、6のいずれかに記載のスチレン系共重合体、請求項2に記載のスチレン系ブロック共重合体又は請求項3、4のいずれかに記載のスチレン系共重合体の組成物を含有する加温用食品容器。
- 請求項1、5、6のいずれかに記載のスチレン系共重合体、請求項2に記載のスチレン系ブロック共重合体又は請求項3、4のいずれかに記載のスチレン系共重合体の組成物を含有する住宅用部品。
- 請求項1、5、6のいずれかに記載のスチレン系共重合体、請求項2に記載のスチレン系ブロック共重合体又は請求項3、4のいずれかに記載のスチレン系共重合体の組成物を含有する自動車室内用部品。
- 請求項1、5、6のいずれかに記載のスチレン系共重合体、請求項2に記載のスチレン系ブロック共重合体又は請求項3、4のいずれかに記載のスチレン系共重合体の組成物を含有する光学用部品。
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