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JP4312166B2 - Hddサスペンション用積層体 - Google Patents
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JP4312166B2 - Hddサスペンション用積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、HDDサスペンションに用いられる積層体に関する。
従来、HDD(ハードディスクドライブ)サスペンションはステンレス箔をエッチング加工して製造されており、そのサスペンションの先端部に薄膜ヘッド等の磁気ヘッドを搭載させた後に金線でワイアボンディングして実装されていた。しかしながら、近年では、HDDサスペンションの小型化、高密度化、高容量化等が活発に検討され、それにつれて磁気ヘッドが直接搭載されるスライダの低浮上化が必須の課題になってきていた。このような課題に対して、従来の金線ワイアボンディング方式のHDDサスペンションにおいては、金線の空気抵抗や剛性等による影響がスライダの低浮上化の障害となっていた。また、このような金線によるワイアボンディング方式のHDDサスペンションの製造方法においては、磁気ヘッドへの金線接続工程の自動化が困難であるという問題もあった。
このような金線ワイアボンディング方式による問題の解決方法として、特開昭60−246015号公報(特許文献1)においては、ステンレス箔上に直接絶縁体であるポリイミド樹脂をパターン形成し、更にその上に銅による回路形成を行ってサスペンション上に直接上記金線に替わる信号線を形成する方法が提案されている。このように信号線が直接形成されたいわゆる配線一体型サスペンションでは、信号線の空気抵抗や剛性によるスライダ低浮上化への障害という問題は発生せず、また、磁気ヘッド接続工程の自動化も可能となる。一方、特開平5−131604号公報(特許文献2)においては、薄いシート状金属にポリイミドを積層する方法が開示されている。しかしながら、特許文献2に記載の方法においては、用いるポリイミドの熱膨張に関してなんら関心が払われておらず、具体的に開示されたポリイミドの熱膨張係数も高いことから、得られた積層体の一方の金属をエッチング除去した際に反りが発生し易いという問題があった。また、特許文献2に記載の方法で薄いシート状金属にポリイミドの積層を行うとシート状金属とポリイミド層間の接着力にばらつきが生じ易い上、耐熱性等にも問題が生じるため、得られる積層体をHDDサスペンションに適用することには難点があった。
また、このような問題点を解決するために、国際公開第98/08216号パンフレット(特許文献3)においては、ステンレス基体上にポリイミド系樹脂層及び導体層が逐次に形成されてなる積層体において、ポリイミド系樹脂層の線膨張係数が所定の範囲にあるHDDサスペンション用積層体が開示されている。このような特許文献3に記載のHDDサスペンション用積層体は、エッチング処理の際に反りが少ない配線一体型HDDサスペンションであった。しかしながら、このような特許文献3に記載のHDDサスペンション用積層体においては、湿度環境変化に関する寸法安定性に関しては関心が払われておらず、得られたフレキシブルプリント基板のポリイミド系樹脂層の吸湿率が大きい場合には線湿度膨張係数が大きくなるため、熱的変化に対する寸法安定性が優れるとしても湿度環境の変化により寸法安定性が損なわれるという問題があった。
また、国際公開第01/028767号パンフレット(特許文献4)においては、ポリイミド系樹脂層の少なくとも1層が、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルを20モル%以上含有するジアミノ化合物をテトラカルボン酸化合物と反応させて得られ、線湿度膨張係数が20×10−6/%RH以下である低湿度膨張性ポリイミド系樹脂層を有する積層体が開示されている。しかしながら、このようなポリイミド系樹脂からなる積層体の加工では、紫外線レーザ加工法やプラズマ加工法によるドライエッチング法が用いられ、これら加工装置は高価な上、使用するガス代等ランニングコストが高く、且つ量産性が悪いといった問題があった。
このような問題を解決する手法として、特開2002−245609号公報(特許文献5)においては、ステンレス基体上に絶縁樹脂層及び金属箔層が順次積層された積層体であって、絶縁樹脂層が複数層のポリイミド系樹脂層からなり、絶縁樹脂層を構成するすべての層が、80℃、50wt%水酸化カリウム水溶液によるエッチング速度の平均値が0.5μm/min以上であり、且つ、絶縁樹脂層のステンレス基体及び金属箔層と接する層がガラス転移温度300℃以下のポリイミド系樹脂層(B)である積層体を加工して得られるHDD用サスペンションが開示されている。しかしながら、このような特許文献5に記載の積層体においても、湿度環境の変化に対する寸法変化という点では未だ十分なものではなく、吸湿率がより低いHDDサスペンション用積層体が望まれている。
特開昭60−246015号公報 特開平5−131604号公報 国際公開第98/08216号パンフレット 国際公開第01/028767号パンフレット 特開2002−245609号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、従来から要求されてきた耐熱性及び熱処理による寸法安定性を保持したHDDサスペンション用積層体であって、吸湿率が十分に低く、湿度環境変化による寸法変化を十分に防止できるとともに、アルカリ水溶液によって効率よく且つ確実にエッチング加工をすることが可能なHDDサスペンション用積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ステンレス箔と少なくとも1層のポリイミド系樹脂層と導体層とを備えるHDDサスペンション用積層体において、前記ポリイミド系樹脂層のうちの少なくとも1層に4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエートを20モル%〜80モル%含有するジアミノ化合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリイミド樹脂を主成分として含有させることにより、吸湿率を十分に低くすることが可能となり、湿度環境変化による寸法変化を十分に防止できるとともに、アルカリ水溶液によって効率よく且つ確実にエッチング加工をすることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のHDDサスペンション用積層体は、ステンレス箔と少なくとも1層のポリイミド系樹脂層と導体層とを備えるHDDサスペンション用積層体であって、前記ポリイミド系樹脂層のうちの少なくとも1層が、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエートを20モル%〜80モル%含有するジアミノ化合物とテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られるポリイミド樹脂を主成分として含有することを特徴とするものである。
上記本発明のHDDサスペンション用積層体においては、前記ポリイミド樹脂が、下記一般式(1):
Figure 0004312166
(式中、Arは4価の炭化水素基を示す。)
で表される反復単位と、下記一般式(2):
Figure 0004312166
(式中、Arは4価の炭化水素基を示し、Rは2価の炭化水素基を示す。)
で表される反復単位とを含有することが好ましい。
また、上記本発明のHDDサスペンション用積層体においては、前記ジアミノ化合物が4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエートを20モル%〜60モル%含有することが好ましい。
さらに、上記本発明のHDDサスペンション用積層体においては、前記ポリイミド系樹脂層が、(i)23℃、相対湿度50%の条件下に24時間静置した後の吸湿率が1.2%以下であること、及び/又は(ii)水酸化カリウム33.5wt%、エチレンジアミン11wt%、エチレングリコール22wt%からなる水溶液をエッチング液として用いるエッチング加工において、80℃の前記エッチング液を用いた際に、エッチング速度の平均値が5μm/分以上のものであることが好ましい。
本発明によれば、従来から要求されてきた耐熱性及び熱処理による寸法安定性を保持したHDDサスペンション用積層体であって、吸湿率が十分に低く、湿度環境変化による寸法変化を十分に防止できるとともに、アルカリ水溶液によって効率よく且つ確実にエッチング加工をすることが可能なHDDサスペンション用積層体を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明のHDDサスペンション用積層体は、ステンレス箔と少なくとも1層のポリイミド系樹脂層と導体層とを備えるHDDサスペンション用積層体であって、前記ポリイミド系樹脂層のうちの少なくとも1層が、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエートを20モル%〜80モル%含有するジアミノ化合物とテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られるポリイミド樹脂を主成分として含有するものである。
また、前記ジアミノ化合物に含有される4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエートのモル比は20モル%〜80モル%である。このような4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエートの含有モル比が前記下限未満では、得られるポリイミド樹脂のエッチング速度が低下し、吸湿率が高くなってしまい、他方、前記上限を超えると得られるポリイミド樹脂が脆くなってHDDサスペンション用積層体に用いることが困難となる。また、このような4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエートの含有モル比としては20モル%〜60モル%であることがより好ましい。
本発明では、前記4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエートとそれ以外のジアミノ化合物とを併用して使用する。このようなジアミノ化合物としては特に制限されず、例えば、1,4-ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−2’−メトキシベンズアニリド、4,4‘−ジアミノベンズアニリド、3、4’−ジアミノベンズアニリド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノベンゼン、1、3−ジアミノベンゼン、2、4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4−ジアミノベンゾフェノン、4,4−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフォン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフォン、ビス〔4−(2−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフォン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)メタン、ビス(3−クロロ−4−アミノフェニル)メタン、2,2’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミノ化合物が挙げられる。このようなジアミノ化合物は1種類を単独で、又は2種類以上を混合して用いることができる。
また、このような4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート以外のジアミノ化合物の中でも、得られるポリイミド系樹脂層のエッチング速度をより向上させることができ、更には吸湿率をより低くすることができるという観点から、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ジアミノベンゼンを用いることが好ましい。
また、前記テトラカルボン酸二無水物としては特に制限されず、適宜公知のテトラカルボン酸化合物を用いることができるが、得られるポリイミド系樹脂層の耐熱性の向上という観点からは、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましい。テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)−プロパン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3.4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物等が挙げられる。このようなテトラカルボン酸化合物は1種類を単独で、又は2種類以上を混合して用いることができる。
また、このようなジアミノ化合物と前記テトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られる前記ポリイミド樹脂としては、下記一般式(1):
Figure 0004312166
(式中、Arは4価の炭化水素基を示す。)
で表される反復単位と、下記一般式(2):
Figure 0004312166
(式中、Arは4価の炭化水素基を示し、Rは2価の炭化水素基を示す。)
で表される反復単位とを含有するポリイミド樹脂が好ましい。
上記式(1)及び式(2)中のArは4価の炭化水素基であり、前述のようなテトラカルボン酸二無水物の主骨格に由来するものである。また、一般式(2)は共重合組成として含まれる反復単位である。式(2)中のRは2価の炭化水素基であり、前述のような4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート以外のジアミノ化合物の主骨格に由来するものである。
ここで、前記ポリイミド樹脂中における前記式(1)の反復単位と前記式(2)の反復単位との割合は、ポリイミド樹脂を製造する際のジアミノ化合物中の4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエートと4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート以外のジアミノ化合物との配合モル比に相当するものである。このようなポリイミド樹脂中における前記式(1)の反復単位と前記式(2)の反復単位との割合としては、前記式(1)の反復単位と前記式(2)の反復単位との比が20/80〜80/20であることが好ましい。このような式(1)の反復単位の割合が前記80%を超えると、ポリイミド系樹脂層(ポリイミドフィルム)が脆弱になりフィルムとして利用することが困難となる傾向にあり、他方、前記20%未満ではエッチング速度が低下し、吸湿率が高くなってしまう傾向にある。
また、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエートを20モル%〜80モル%含有するジアミノ化合物と前記テトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られるポリイミド樹脂の重量平均分子量としては特に制限されないが、3万〜30万程度であることが好ましい。
本発明にかかるポリイミド系樹脂層としては、23℃、相対湿度50%の条件下に24時間静置した後の吸湿率が1.2%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。このような吸湿率が前記上限を超えると、湿度環境変化によって寸法変化が起こり、カールや反りが発生する傾向にある。
さらに、本発明にかかるポリイミド系樹脂層としては、水酸化カリウム33.5wt%、エチレンジアミン11wt%、エチレングリコール22wt%からなる水溶液をエッチング液として用いるエッチング加工において、80℃の前記エッチング液を用いた際に、エッチング速度の平均値が5μm/分以上のものであることが好ましい。このようなエッチング速度の平均値が前記5μm/分未満では、アルカリ水溶液によって効率よく且つ確実にエッチング加工をすることが困難となる傾向にある。
また、本発明にかかるポリイミド系樹脂層の厚みの範囲としては特に制限されないが、3μm〜75μmであることが好ましく、8μm〜50μmであることがより好ましい。ポリイミド系樹脂層の厚みの範囲が、前記下限未満ではHDDサスペンションとして利用する際に電気的な絶縁の信頼性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えるとポリイミド系樹脂層を形成させる際に乾燥効率が低下し、さらには熱処理による寸法安定性が低下する傾向にある。
本発明にかかるステンレス箔としては特に制限されるものではないが、HDDサスペンションとして利用する際に必要なばね特性や寸法安定性という観点から、SUS304であることが好ましく、300℃以上の温度でテンションアニール処理が施されたSUS304であることがより好ましい。また、本発明にかかるステンレス箔の好ましい厚みの範囲としては10μm〜70μmであることが好ましく、15μm〜30μmであることがより好ましい。なお、このようなステンレス箔については積層体中における他の層との接着力等の改良を目的として、化学的あるいは機械的な表面処理を施してもよい。
また、本発明にかかる導体層に用いられる導体としては特に制限されないが、厚さ3μm〜20μmの銅箔や銅合金箔等を用いることが好ましい。前記銅合金箔とは、銅とニッケル、シリコン、亜鉛、ベリリウム等の異種の元素からなる合金箔で、銅含有率80%以上のものをいう。なお、このような導体層についても積層体中における他の層との接着力等の改良を目的として、化学的あるいは機械的な表面処理を施してもよい。
本発明のHDDサスペンション用積層体は、前記ステンレス箔と少なくとも1層の前記ポリイミド系樹脂層と前記導体層とを備えるものである。このようなHDDサスペンション用積層体によって、吸湿率を十分に低くすることを可能として湿度環境変化による寸法変化を十分に防止できるとともに、アルカリ水溶液によって効率よく且つ確実にエッチング加工をすることが可能となる。
また、前記ポリイミド系樹脂層が複数ある場合には、少なくとも1層が4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエートを20モル%〜80モル%含有するジアミノ化合物とテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られるポリイミド樹脂を主成分として含有するポリイミド系樹脂層であればよい。
このように、本発明のHDDサスペンション用積層体においては、少なくとも1層の前記ポリイミド系樹脂層以外の他のポリイミド系樹脂層を備えていてもよい。このような他のポリイミド系樹脂層としては特に制限されないが、HDDサスペンション用積層体のアルカリ水溶液によるエッチング加工の加工適性の観点から、水酸化カリウム33.5wt%、エチレンジアミン11wt%、エチレングリコール22wt%からなる水溶液をエッチング液として用いるエッチング加工において、80℃の前記エッチング液を用いた際に、エッチング速度の平均値が5μm/分以上のポリイミド系樹脂層であることが好ましい。
以下に、本発明のHDDサスペンション用積層体を製造する方法について説明する。
本発明のHDDサスペンション用積層体を製造する方法は特に限定されないが、例えば以下の方法が好適に採用される。すなわち、先ず、前記4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエートを含有するジアミノ化合物と前記テトラカルボン酸二無水物とを反応させてポリアミック酸の樹脂溶液を合成する。次に、前記ポリアミック酸の樹脂溶液をステンレス箔上に塗布した後に熱処理(乾燥、硬化)を施してステンレス箔上にポリイミド系樹脂層を形成せしめた後、前記ポリイミド系樹脂層の表面に導体層を張り合わせる。このようにして本発明のHDDサスペンション用積層体を製造することができる。
先ず、前記4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエートを含有するジアミノ化合物と前記テトラカルボン酸二無水物とを反応させてポリアミック酸の樹脂溶液を合成する方法について説明する。
このような4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエートを含有するジアミノ化合物と前記テトラカルボン酸二無水物化合物との反応は、有機溶媒中で行わせることが好ましい。このような有機溶媒としては特に制限されないが、具体的には、ジメチルスルフォキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホルムアミド、フェノール、クレゾール、γ−ブチロラクトン等が挙げられ、これらは単独で、又は混合して用いることができる。また、このような有機溶剤の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応よって得られるポリアミック酸溶液の濃度が重量部において5〜30重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。
また、このような溶媒を用いた反応においては、用いるジアミノ化合物とテトラカルボン酸二無水物との配合割合は、全ジアミノ化合物のモル比100に対してテトラカルボン酸二無水物のモル比が95から105の割合で混合することが好ましい。前記テトラカルボン酸二無水物の割合が95未満であるか、又は105を超える場合、エッチング速度や吸湿率への影響は少ないが、重合物の分子量が十分に上がらず、得られるポリイミド系樹脂層が脆くなるためHDDサスペンション用積層体として用いることが難しくなる傾向にある。
また、前記4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエートを含有するジアミノ化合物と前記テトラカルボン酸二無水物との反応は、0℃から60℃の範囲の温度条件で1〜24時間反応させることが好ましい。このような温度条件が前記下限未満では、反応速度が遅くなって分子量の増加が進まない傾向にあり、他方、前記上限を超えるとイミド化が進行して反応溶液がゲル化し易くなる傾向にある。このような温度条件で反応させることで効率的にポリアミック酸の樹脂溶液を得ることができる。
次に、前記ポリアミック酸の樹脂溶液をステンレス箔上に塗布した後に熱処理(乾燥、硬化)を施してステンレス箔上にポリイミド系樹脂層を形成せしめるが、前記ポリアミック酸の樹脂溶液をステンレス箔上に塗布する方法としては特に制限されず、コンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。
また、前記熱処理(乾燥、硬化)の方法も特に制限されず、例えば、80℃〜400℃の温度条件で1〜60分間加熱するといった熱処理が好適に採用される。このような熱処理を行うことで、前記ポリアミック酸の脱水閉環が進行するため、前記ステンレス箔上にポリイミド系樹脂層を形成させることができる。
その後に、前記ポリイミド系樹脂層の表面に導体層を張り合わせるが、その方法は特に制限されず、適宜公知の方法を採用することができる。このような導体層を張り合わせる方法としては、通常のハイドロプレス、真空タイプのハイドロプレス、オートクレーブ加圧式真空プレス、連続式熱ラミネータ等を挙げることができる。このような導体層を張り合わせる方法の中でも、十分なプレス圧力が得られ、残存揮発分の除去も容易に行え、更に導体の酸化を防止することができるという観点から真空ハイドロプレスを用いることが好ましい。また、このようにして導体層を張り合わせる際には、200〜400℃程度に加熱しながら前記導体層をプレスすることが好ましい。また、プレス圧力については、使用するプレス機器の種類にもよるが1〜50MPa程度が適当である。
このようにして前記ポリイミド系樹脂層の表面に導体層を張り合わせることで、本発明のHDDサスペンション用積層体を製造することができる。
なお、前記製造方法においては、ステンレス箔上に前記ポリアミック酸の樹脂溶液を塗布、熱処理した後に導体層を張り合わせているが、他の製造方法として導体層上に前記ポリアミック酸の樹脂溶液を塗布し、熱処理(乾燥、硬化)を行ってポリイミド系樹脂層を形成せしめた後に、前記ポリイミド系樹脂層の表面にステンレス箔を張り合わせることによっても本発明のHDDサスペンション用積層体を得ることができる。また、予め前記ポリアミック酸の樹脂溶液によりポリイミドフィルムを作成し、フィルム化したポリイミドフィルムと前記ステンレス又は導体層の一方又は両方と加熱圧着等の手段により本発明のHDDサスペンション用積層体としてもよい。
また、前記製造方法においては、前記ステンレス箔、前記ポリイミド系樹脂層及び前記導体層からなるHDDサスペンション用積層体を製造しているが、本発明のHDDサスペンション用積層体には必要に応じて他のポリイミド系樹脂層を積層させることも可能である。このような他のポリイミド系樹脂層を積層させる方法としては特に制限されず、例えば以下の方法が好適に採用される。すなわち、このような他のポリイミド系樹脂層を積層させる方法としては、例えば、他のポリイミド系樹脂層を形成させるための樹脂溶液及び前述の4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエートを20モル%〜80モル%含有するジアミノ化合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られる樹脂溶液を順次塗布、乾燥後、一括して熱処理することでポリイミド系樹脂を繰り返して積層させる方法や、複数の樹脂溶液の塗布を同時に行った後に熱処理して複数の層を形成させることで積層させる方法等を挙げることができる。
このようにして得られる本発明のHDDサスペンション用積層体に回路を形成する方法も特に制限されず、適宜公知の方法で回路形成を行うことでHDDサスペンションを得ることができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、エッチング速度及び吸湿率は、それぞれ以下のようにして測定した。
<エッチング速度の測定>
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた積層体のエッチング速度の測定を以下の条件で行った。すなわち、水酸化カリウム33.5wt%、エチレンジアミン11wt%、エチレングリコール22wt%からなる水溶液をエッチング液として用い、80℃に加熱した前記エッチング液に、実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた積層体を10〜60秒間浸漬した。そして、浸漬前のポリイミド層の厚みと浸漬後のポリイミド層の厚みの差を浸漬時間で除することでエッチング速度を計算した。得られた結果を表1に示す。
<吸湿率の測定>
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた積層体の吸湿率の測定を以下のようにして行った。すなわち、先ず、実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた積層体からエッチングにて銅箔を除去してポリイミド系樹脂フィルムを得た。その後、前記ポリイミド系樹脂フィルムを80℃の温度条件で2時間乾燥させ、乾燥後のポリイミド系樹脂フィルムの質量を測定した。次に、前記乾燥後のポリイミド系樹脂フィルムを23℃、相対湿度50%の恒温恒湿下に24時間放置し、24時間放置後のポリイミド系樹脂フィルムの質量を測定した。そして、このようにして測定された質量の値を利用して下記式:
〔吸湿率(%)〕={(24時間放置後のポリイミド系樹脂フィルムの質量−乾燥後のポリイミド系樹脂フィルムの質量)/乾燥後の重量}×100
にしたがって吸湿率を求めた。得られた結果を表1に示す。
(実施例1)
先ず、300mlの三つ口フラスコ中において、窒素を流しながら4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート2.4g、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル6.4gをN,N−ジメチルアセトアミド82gに溶解させた溶液を得た。そして、前記溶液を攪拌しながら室温にてピロメリット酸二無水物9.2gを加えた後、3時間反応させて樹脂溶液を得た。その後、前記樹脂溶液を銅箔((株)日鉱マテリアルズ社製、商品名;NK−120、厚み12μm)上にアプリケーターを用いて塗布した後、オーブン中で130℃の温度条件下で3分間乾燥を行った。次いで、前記乾燥後の塗布物を130〜220℃の温度条件で7分間加熱し、更に280〜360℃の温度条件で3分間加熱して熱イミド化による硬化処理を行うことで約20μmのポリイミド系樹脂層が銅箔上に積層した積層体を得た。このようにして得られた積層体の一部を用いて、エッチング速度及び吸湿率を測定した。
次に、前記積層体のポリイミド系樹脂層の表面にステンレス箔(新日本製鐵株式会社製、SUS304、テンションアニール処理品、厚み20μm)を重ね合わせ、真空プレス機を用いてプレス圧13MPa、温度320℃の条件で15分間プレスを行って前記積層体にステンレス箔を積層せしめ、本発明のHDDサスペンション用積層体を得た。
(実施例2〜3)
4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及びピロメリット酸二無水物の配合量をそれぞれ表1に示した配合量とした以外は実施例1と同様にして積層体及び本発明のHDDサスペンション用積層体を得た。
(実施例4)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルに代えて4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルを用い、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル及びピロメリット酸二無水物の配合量を表1に示した配合量とした以外は実施例1と同様にして積層体及び本発明のHDDサスペンション用積層体を得た。
(比較例1)
4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエートに代えて4,4‘−ジアミノ−2’−メトキシベンズアニリドを用い、4,4‘−ジアミノ−2’−メトキシベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及びピロメリット酸二無水物の配合量を表1に示した配合量とした以外は実施例1と同様にして積層体及び比較対象としてのHDDサスペンション用積層体を得た。
(比較例2)
4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエートに代えて4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルを用い、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及びピロメリット酸二無水物の配合量を表1に示した配合量とした以外は実施例1と同様にして積層体及び比較対象としてのHDDサスペンション用積層体を得た。
(比較例3)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを配合せず、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート及びピロメリット酸二無水物の配合量を表1に示した配合量とした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。なお、得られた積層体は非常に脆いものであったため、吸湿率及びエッチング速度の測定ができず、更にはHDDサスペンション用積層体の製造もできなかった。
(比較例4)
ピロメリット酸二無水物にかえて4,4‘−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用い、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを配合せず、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート及び4,4‘−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の配合量を表1に示した配合量とした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。なお、得られた積層体は非常に脆いものであったため、吸湿率及びエッチング速度の測定ができず、更にはHDDサスペンション用積層体の製造もできなかった。
Figure 0004312166
表1に示した結果からも明らかなように各実施例で得られた積層体は吸湿率が十分に低く、更にエッチング速度は速いことが確認された。一方、比較例1で得られた積層体は吸湿率が1.5と高く、また、比較例2で得られた積層体はエッチング速度が4μmと遅いことが確認された。
したがって、本発明のHDDサスペンション用積層体は、湿度環境変化による安定性に優れており、カールや反りを十分に防止できるものであり、更にエッチング加工時においてアルカリ溶液によって効率よく且つ確実にエッチングすることができるものであることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、従来から要求されてきた耐熱性及び熱処理による寸法安定性を保持したHDDサスペンション用積層体であって、吸湿率が十分に低く、湿度環境変化による寸法変化を十分に防止できるとともに、アルカリ水溶液によって効率よく且つ確実にエッチング加工をすることが可能なHDDサスペンション用積層体を提供することが可能となる。
したがって、本発明のHDDサスペンション用積層体は、湿度環境変化による安定性に優れカールや反りを十分に防止できるため、配線一体型のHDDサスペンションの素材として有用である。

Claims (5)

  1. ステンレス箔と少なくとも1層のポリイミド系樹脂層と導体層とを備えるHDDサスペンション用積層体であって、前記ポリイミド系樹脂層のうちの少なくとも1層が、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエートを20モル%〜80モル%含有するジアミノ化合物とテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られるポリイミド樹脂を主成分として含有することを特徴とするHDDサスペンション用積層体。
  2. 前記ポリイミド樹脂が、下記一般式(1):
    Figure 0004312166
    (式中、Arは4価の炭化水素基を示す。)
    で表される反復単位と、下記一般式(2):
    Figure 0004312166
    (式中、Arは4価の炭化水素基を示し、Rは2価の炭化水素基を示す。)
    で表される反復単位とを含有することを特徴とする請求項1に記載のHDDサスペンション用積層体。
  3. 前記ジアミノ化合物が4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエートを20モル%〜60モル%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のHDDサスペンション用積層体。
  4. 前記ポリイミド系樹脂層が、23℃、相対湿度50%の条件下に24時間静置した後の吸湿率が1.2%以下であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のHDDサスペンション用積層体。
  5. 前記ポリイミド系樹脂層が、水酸化カリウム33.5wt%、エチレンジアミン11wt%、エチレングリコール22wt%からなる水溶液をエッチング液として用いるエッチング加工において、80℃の前記エッチング液を用いた際に、エッチング速度の平均値が5μm/分以上のものであることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のHDDサスペンション用積層体。
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