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JP4313373B2 - 接着剤の可使時間決定方法 - Google Patents
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JP4313373B2 - 接着剤の可使時間決定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、接着剤の可使時間決定方法に関し、特に、模擬鋼床版に塗布された接着剤の可使時間を決定するための方法に関する。
重交通下におけるグースアスファルト舗装を施された鋼床版では、グースアスファルトの剛性が小さいことによる鋼床版とUリブ溶接部近傍での局部変形が生じ、この挙動が原因となって部材接合部において疲労亀裂が生じやすく、特にこの現象は、グースアスファルトが軟化し剛性が低下する夏期において顕著となる。
したがって、疲労によるひび割れ部においては、補強プレートの設置工事などの応急補修を頻繁に行わないと、グースアスファルト舗装を施された鋼床版は供用に支障を来たすことが明らかになってきた。しかも、補強プレートの設置工事などの応急補修は、その工事の都度に夜間通行止めか片側車線規制などの交通規制を行う必要があり、幹線道路では交通渋滞を招くため、恒久対策工法の確立が必要となっている。
恒久対策工法として、鋼床版上面厚さの増加、疲労設計を配慮した溶接仕上げの精度向上、及び鋼繊維補強コンクリートによる鋼床版との一体化などが挙げられる。しかしながら、鋼床版上面厚さの増加、及び疲労設計を配慮した溶接仕上げの精度向上などの対策は、鋼床版上面の下にUリブ材が溶接されている鋼床版において、供用下にあっては採用が不可能である。
一方、鋼繊維補強コンクリートによる鋼床版との一体化は、グースアスファルトに替えて剛性の大きく、変形抑制効果が大きいコンクリートを、鋼床版上面に接着剤及びジベルにより一体化させるものであり、供用下にある鋼床版において適用できる効果的な補修工法といえる。ただし、供用下にある鋼床版は交通渋滞を避けるために補修工事に要する時間の制約を受ける。そのため、通常のコンクリートに比べて格段に硬化速度の早い超速硬コンクリートを、同様に硬化速度が早い樹脂系の接着剤と組み合わせて用いる必要がある。
鋼繊維補強超速硬コンクリートによる鋼床版の補強効果は、鋼床版とグースアスファルトに替えて打込まれる鋼繊維補強超速硬コンクリートが、接着剤及びジベルによって一体化されることによって、初めて補強効果を発揮される。
ジベルは鋼床版上面に溶接されたボルト状の突起物であり、その突起物形状によるせん断抵抗力及び鋼繊維補強超速硬コンクリートとジベルとの付着強度により、一体化が図られるものである。したがって、その補強効果はジベルの溶接強度及び鋼繊維補強超速硬コンクリートとジベルとの付着強度に依存する。
ジベルの溶接強度は、自動溶接システムにより担保される。また、鋼繊維補強超速硬コンクリートとジベルとの付着強度は、その圧縮強度と密接な関係があるため、所定の鋼繊維補強超速硬コンクリートの圧縮強度を確保することにより担保される。すなわち、ジベルによる一体化の補強効果は上記の自動溶接システム及び鋼繊維補強超速硬コンクリートの圧縮強度の確保により、ほぼ安定したものが得られる。
しかしながら、接着剤による鋼床版と鋼繊維補強超速硬コンクリートの付着強度は、鋼床版の上面の状況、接着剤と鋼繊維補強超速硬コンクリートの材料特性の相互作用、あるいは温度や湿度などの環境条件の影響も極めて敏感に受けるため、事前に現場条件を再現した試験体等を使用して測定し、確認する必要がある。
これに対し、本出願人は、以下の特許文献1において、接着剤による鋼床版とコンクリートとの付着強度を測定する付着試験方法及びそれに用いる付着試験用用具を提案した。
この付着試験方法においては、模擬鋼床版を用い、該模擬鋼床版上に試験体となる複数のコンクリートブロックを個別に打ち込み、所定材齢経過後に該コンクリートブロックの付着強度を測定するものである。
特願2005−128992号(出願日:平成17年4月27日,優先日:平成17年3月31日)
このような付着試験方法は、試験室における事前検討として適用することは可能であるが、施工現場ごとに適用するには、工数が多くなり、しかも試験への習熟度の観点から実用性が難しい。
また、接着剤の塗布後に鋼繊維補強超速硬コンクリートを打ち重ねる時間を、数水準以上に変化させて、この付着試験を実施した場合には、接着剤の可使時間(接着剤を混合してからコンクリートの打込みが可能な最大時間)の判定は可能であるが、作業工数の観点から著しく実用性が乏しい。すなわち、特許文献1に開示した方法では、鋼床版と鋼繊維補強超速硬コンクリートとが、所定の付着強度、例えば、1N/mm以上を確保するのに必要な接着剤の可使時間を簡易に判定することが不可能であった。
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、施工現場でも適用可能であり、簡便かつ十分な精度を有する接着剤の可使時間決定方法を提供することを目的とする。しかも、鋼床版に対する鋼繊維補強超速硬コンクリート(SFRC)などのコンクリート舗装に使用される接着剤に関し、特に効果的に使用可能な接着剤の可使時間決定方法を提供する。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、模擬鋼床版に樹脂系接着剤を塗布し、その接着剤にタック(引っ付き)がある状態であれば、接着剤とコンクリートが接着することの着目し、その性状を数値化し評価することができれば、接着剤の可使時間を容易に判断することが可能となることを見出したものである。これにより、従来のような、樹脂系接着剤を塗布し、塗布後一定間隔でコンクリートを打ち込み、付着強度を測定することで、コンクリートの打込み可能時間を判定するという、煩雑な作業が不要となる。
請求項1に係る発明は、研掃済みの模擬鋼床版上に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、該塗布工程直後に、試験体Aを、接着剤を塗布した該模擬鋼床版上に配置する第1の試験体配置工程と、該塗布工程から所定時間t経過後、試験体Aと同一の形状及び材質で構成された他の試験体Bを、接着剤を塗布した該模擬鋼床版上に配置する第2の試験体配置工程と、その後、試験体A及びBを該模擬鋼床版から剥脱し、該剥脱時の剥脱力を測定する剥脱力測定工程と、該所定時間tの変化に対する、試験体Aの剥脱力と試験体Bの剥脱力との差分の変化を算出し、該差分が所定の大きさを越えた時点の該所定時間tmaxを求め、該所定時間tmaxを接着剤の可使時間とする可使時間算出工程とを有することを特徴とする接着剤の可使時間決定方法である。
なお、本発明における「直後」とは、絶対的な時間が短いことのみを意味するものでは無く、所定時間tなどのように接着剤の可使時間などを決定するために要する全体の時間と比較して、ある程度短い時間の意味も含むものである。
請求項2に係る発明では、請求項1に記載の接着剤の可使時間決定方法において、該測定工程を行う時期は、該試験体Bを配置した直後であることを特徴とする。
請求項3に係る発明では、請求項1又は2に記載の接着剤の可使時間決定方法において、該第1の試験体配置工程では、該所定時間tの変化に対する剥脱力の測定回数分に対応した数の試験体Aを配置し、該第2の試験体配置工程では、測定すべき所定時間tが経過する度に試験体Bを順次配置することを特徴とする。
請求項4に係る発明では、請求項1乃至3のいずれかに記載の接着剤の可使時間決定方法において、一つの所定時間tに対して各試験体A及びBを各々複数配置し、各試験体A及びBについて測定される複数の試験体に係る剥脱力の値の平均値を算出し、該平均値を用いて該差分を算出することを特徴とする。
請求項5に係る発明では、請求項1乃至4のいずれかに記載の接着剤の可使時間決定方法において、試験体は、ナットであることを特徴とする。
請求項6に係る発明では、請求項1乃至5のいずれかに記載の接着剤の可使時間決定方法において、該接着剤は、鋼床版のコンクリート舗装に使用される接着剤であることを特徴とする。
請求項1に係る発明により、研掃済みの模擬鋼床版上に接着剤を塗布すると共に、所定時間差を設けて試験体A及びBを設置すると共に、両者の剥脱力の差が所定の大きさを超えた時点の当該所定時間より、接着剤の可使時間を決定するため、施工現場でも容易に適用可能であり、簡易的かつ十分な精度を有する接着剤の可使時間決定方法を提供することができる。
請求項2に係る発明により、上記測定工程を行う時期を、試験体Bを配置した直後とすることにより、接着剤の塗布から所定時間経過した状態における、試験体の剥脱力、つまり接着剤の付着強度を測定することが可能となる。特に、試験体Bを配置した直後に剥脱を行うため、接着剤の付着力の発現状況、所謂、タック(引っ付き)の測定が可能となり、接着剤の付着強度をより精確に測定することが可能となる。
請求項3に係る発明により、第1の試験体配置工程では、所定時間tの変化に対する剥脱力の測定回数分に対応した数の試験体Aを配置し、第2の試験体配置工程では、測定すべき所定時間tが経過する度に試験体Bを順次配置するため、複数の所定時間の変化に対する剥脱力を一度の試験で同時に測定することが可能となり、接着剤の可使時間を簡便かつ効率良く決定することが可能となる。
請求項4に係る発明により、一つの所定時間tに対して各試験体A及びBを各々複数配置し、各試験体A及びBについて測定される複数の試験体に係る剥脱力の値の平均値を算出し、該平均値を用いて該差分を算出するため、より精度の高い剥脱力が測定でき、接着剤の可使時間の精度を高めることが可能となる。
請求項5に係る発明により、試験体が、ナットであるため、接着剤の可使時間決定のための試験を、より簡便かつ安価に行うことが可能となる。
請求項6に係る発明により、接着剤は、鋼床版のコンクリート舗装に使用される接着剤であるため、実際の鋼床版に対する鋼繊維補強超速硬コンクリート(SFRC)などのコンクリート舗装に使用される接着剤に関し、接着剤の可使時間を簡便かつ精度良く決定することが可能となる。
以下、本発明に係る接着剤の可使時間決定方法について、詳細に説明する。
本発明の「接着剤の可使時間」とは、接着剤を使用して各種部材を接合する際に適切な接合状態を確保するため、接着剤を塗布してから、接合する部材を接着剤の塗布面に配置するまでの最大許容時間を意味し、特に、鋼床版にコンクリートを打ち込む場合には、接着剤を鋼床版に混合・塗布してからコンクリートの打込みが可能な最大時間を意味する。
本発明の接着剤の可使時間決定方法に使用される用具について説明する。
図1は、本発明の接着剤の可使時間決定方法に使用される模擬鋼床版容器1である。2は、容器の底板であり、実際に使用される鋼床版と同様の材質で構成された模擬鋼床版である。3は側板であり、模擬鋼床版2上に塗布された接着剤が流出することを防ぐ役割を担っている。また、4は模擬鋼床版容器1の持ち運びを容易にするための取っ手である。模擬鋼床版容器の構成としては、特許文献1に示すように、底板と側板とを着脱自在としたり、側板に替えて底板の上面に枠を設けたり、あるいは、底板の周囲が上方に傾斜した傾斜面を設けることにより、接着剤が底板から流出するのを防止することも可能である。
図2は、試験体となるナット10であり、剥脱力を測定する際には、ナット10のねじ穴11に、同径のボルト部分13を有するアイボルトがねじ込まれる。試験体としてはナットに限定されるものではないが、ナットを用いることで、汎用品が安価に使用でき極めて効率的に試験を行うことが可能である。また、ナットを用いた試験では、樹脂舗装技術協会から提案されている「ナット引張り試験」においても、樹脂系滑り止め舗装の施工後の交通開放の可否が判断されており、多くの実績を有しており、信頼性の高い試験方法でもある。
次に、本発明の接着剤の可使時間決定方法の手順について説明する。
図3は、当該決定方法の手順を示す図である。
(1)接着剤塗布工程
図3(a)の模擬鋼床版容器1の底面(研掃済みの模擬鋼床版)に、図3(b)のように可使時間を測定するための接着剤20を塗布する。
(2)第1の試験体配置工程
上記(1)の塗布工程直後に、図3(c)に示すように、試験体A(符号10(A))を、接着剤を塗布した模擬鋼床版上に配置する。当該試験体には、図2で示したナットを使用する。
(3)第2の試験体配置工程
上記(1)の塗布工程から所定時間t経過後、試験体Aと同一の形状及び材質で構成された他の試験体B(符号10(B))を、図3(d)に示すように、接着剤を塗布した模擬鋼床版上に配置する。
(4)剥脱力測定工程
上記(3)の第2の試験体配置工程の直後に、試験体A及びBを模擬鋼床版から剥脱し、該剥脱時の剥脱力を測定する。剥脱に際しては、試験体であるナットに、図2で示したアイボルト12をねじ込み、該アイボルトのフック部分に吊秤30などのナットに加える力を計量できる手段によりアイボルトを引き上げ、ナットが剥脱する際の最大剥脱力を測定する。
上述した所定時間tの変化に対する試験体の剥脱力の変化を測定するため、上記(1)から(4)の工程を、所定時間tを変化させて複数回繰り返す。
ただし、測定の効率を上げるため、上記(2)第1の試験体配置工程では、所定時間tの変化に対する剥脱力の測定回数分に対応した数の試験体Aを配置し、測定すべき所定時間tが経過する度に、上記(3)第2の試験体配置工程及び上記(4)剥脱力測定工程を繰り返すことが好ましい。試験体Bを配置するタイミングは、10分又は15分などの所定時間経過毎に順次配置しても良いし、より細かな時間で測定したい時間帯のみ、試験体配置の時間間隔を短くし、その他は時間間隔を粗くすることも可能である。
また、剥脱力の測定値の信頼性を高めるため、一つの所定時間tに対して各試験体A及びBを各々複数配置し、各試験体A及びBについて測定される複数の試験体に係る剥脱力の値の平均値を算出し、該平均値を当該所定時間tの剥脱力とすることも可能である。
(5)可使時間算出工程
上記(4)で測定した試験体Aの剥脱力と試験体Bの剥脱力との差分を算出し、所定時間tの変化に対する試験体Aの剥脱力と試験体Bの剥脱力との差分の変化を求める。
図4(a)は、所定時間tの変化に対する試験体Aの剥脱力P及び試験体Bの剥脱力Pの変化を表すグラフである。剥脱力の差分(ΔP=P−P)を、図4(b)に示す。
剥脱力の差分ΔPが所定の大きさPを越えた時点の所定時間tmaxを求め、該所定時間tmaxを接着剤の可使時間とする。
は接着剤の種類や接着剤の用途により適切な値が設定されるが、例えば、鋼床版コンクリート舗装に用いられる接着剤においては、試験体として内径6mm、外径10.5mmの亜鉛メッキ製ナットを使用する場合には、ΔPは2〜3N程度に設定する。
上述した接着剤の可使時間決定方法によれば、簡便に接着剤の可使時間が決定できるが、実際の施工においては、施工後の交通開放のタイミングを測定することも重要である。このため、別の装置を用いるのは煩雑であるため、接着剤の可使時間決定方法で使用した用具をそのまま用いて、交通開放の適否を判断することも可能である。
(交通開放適否の判断方法)
(1)接着剤塗布工程
図1の模擬鋼床版容器1の底面(研掃済みの模擬鋼床版)に、鋼床版コンクリート舗装で用いる接着剤を塗布する。
(2)試験体配置工程
上記(1)の塗布工程直後に、試験体であるナットを、接着剤を塗布した模擬鋼床版上に配置する。配置する試験体の数は、交通開放が可能な時間を判断するのに十分な数を用いる。
(3)剥脱力測定工程
上記(1)の塗布工程から所定時間tが経過した後、試験体を模擬鋼床版から剥脱し、該剥脱時の剥脱力を測定する。剥脱に際しては、図2で示したアイボルトや、図3(e)で示した、吊秤30などを用い、試験体であるナットが剥脱する際の最大剥脱力を測定する。
上述した所定時間tの変化に対する試験体の剥脱力の変化を測定するため、測定する所定時間が経過する毎に、試験体を剥脱する。
なお、剥脱力の測定値の信頼性を高めるため、一つの所定時間tに対して各試験体を複数配置し、所定時間tに対して、複数の試験体に係る剥脱力の値の平均値を算出し、該平均値を当該所定時間tの剥脱力とすることも可能である。
(4)交通開放適否の評価工程
上記(3)で測定した所定時間tの変化に対する試験体の剥脱力の変化のグラフから、所定の剥脱力P(例えば、図7参照。図7においてP1=8160gfの場合を点線で示す。)より大きな剥脱力を示す時間tminを求め、該時間tmin以降を交通開放可能と評価する。
ただし、試験体に用いたナットの剥脱力と、実際に使用するコンクリートとでは、剥脱力が異なるため、試験体の剥脱力とコンクリートの剥脱力との相関を求め、上記所定の剥脱力を設定する必要がある。例えば、試験体として内径6mm、外径10.5mmの亜鉛メッキ製ナットを使用する場合には、ナットの剥脱力が80N以上の場合には、建研式引張り試験でのコンクリートの付着力1.0N/mm以上が確保されていることが確認されている。
また、上述した交通開放適否の判断方法の試験結果と、実際の鋼床版コンクリート舗装の付着強度試験結果との相関から、例えば、交通開放適否評価で判断された時間tminに、所定の係数を掛けて、交通開放可能な時間を決定することも可能である。
次に、実施例を用いて、本発明の接着剤の可使時間決定方法が、接着剤の可使時間を効果的に測定していること、並びに上述した交通開放適否の判断方法が鋼床版コンクリート舗装においても、有効に利用可能であることを説明する。
(接着剤の可使時間決定方法)
温度条件を30℃とし、エポキシ系接着剤(製品名:E200,コニシ(株)製)を模擬鋼床版の全面に、膜厚1.0mmで塗布し、試験体Aとして内径6mm、外径10.5mmの亜鉛メッキ製ナットを複数個、約3cm間隔(隣接したナットを引き上げた時に影響を受けない程度の間隔)で接着剤に埋め込むように設置する。
次に、接着剤の塗布から所定時間が経過する毎に、試験体Bとして同様のナットを接着剤に埋め込む。試験体Bを埋め込むタイミングは10分間隔とする。
試験体Bを埋め込んだ直後に、試験体Aと試験体Bに、アイボルトを接着剤の乱れが生じないようにねじ込み、吊秤(手秤またはプッシュプルゲージ)を用いて鋼床版からナットを引き剥がし、その時の剥脱力を読み取る。
各試験時間における試験体の数は、試験体A及びBの各々に3個づつ使用し、3個の試験体に係る剥脱力の平均値を算出し、その値を、当該時間の試験体A及びBの剥脱力とする。
以上の試験により測定した試験体A及びBの剥脱力の時間変化を、図5に示す。
さらに、試験体Aと試験体Bとの剥脱力の差分を、図6に示す。
本発明では、図6の剥脱力の差分が、所定値以下である範囲を、可使時間と判断しており、例えば、2〜3N以内(約200〜300gf)以内の範囲を、接着剤の可使時間と判断する場合には、図6のグラフから可使時間は110分となる。
次に、接着剤の可使時間決定方法の妥当性を評価するため、特許文献1に記載した方法で、建研式引張り試験を行った。
(1)同様の接着剤を研掃済みの模擬鋼床版に所定量(塗膜厚1.0mm)塗布し、塗布後塩化ビニル管(φ100mm)を千鳥状に設置した。
(2)接着剤塗布後、20,40,60および120分後に、塩化ビニル管内にコンクリートを打ち込んだ。
(3)コンクリート硬化後に引張り試験用治具接着し、コンクリート打込み3時間後に建研式引張り試験機を用いて付着強度を測定した。
建研式引張り試験において、接着剤塗布120分後にコンクリートを打ち込んだ場合が0.01N/mmであったのを除いて、他のコンクリートは付着強度が1.1N/mm程度を示し、付着力1.0N/mm以上であることが確認された。これにより、少なくとも本発明による可使時間決定方法で判断した時間内においては、十分な付着力を発揮していることが分かった。
(交通開放適否の判断方法)
温度条件を30℃とし、エポキシ系接着剤(製品名:E200W,コニシ(株)製)を模擬鋼床版の全面に、膜厚1.0mmで塗布し、試験体として内径6mm、外径10.5mmの亜鉛メッキ製ナットを複数個、約3cm間隔(隣接したナットを引き上げた時に影響を受けない程度の間隔)で接着剤に埋め込むように設置する。
次に、接着剤の塗布から所定時間が経過する毎(15分〜20分間隔)に、試験体にアイボルトを接着剤の乱れが生じないようにねじ込み、吊秤(手秤またはプッシュプルゲージ)を用いて鋼床版からナットを引き剥がし、その時の剥脱力を読み取る。
各試験時間における試験体の数は3個とし、3個の試験体に係る剥脱力の平均値を算出し、その値を、当該時間の試験体の剥脱力とする。
また、接着剤の塗膜厚を0.5mmとした以外は、上述した方法と同様に試験した。2つの試験結果により測定した試験体の剥脱力の時間変化を、図7に示す。
本発明では、剥脱力が所定値以上の時間であれば、交通開放可能と判断でき、図7のグラフにおいては、80N(8160gf)以上のであれば、交通開放が可能と判断できる。したがって、塗膜厚が1.0mmの場合には接着剤の塗布後の約85分以降、同じく0.5mmの場合には約110分以降が、各々交通開放可能と判断される。
以上の説明により、本発明によれば、施工現場でも適用可能であり、簡便かつ十分な精度を有する接着剤の可使時間決定方法を提供することが可能となる。しかも、鋼床版に対する鋼繊維補強超速硬コンクリート(SFRC)などのコンクリート舗装に使用される接着剤に関し、特に効果的に使用可能な接着剤の可使時間決定方法を提供することができる。
本発明の接着剤の可使時間決定方法に使用される模擬鋼床版容器の斜視図である。 本発明の接着剤の可使時間決定方法に使用される試験体等を説明する図である。 本発明の接着剤の可使時間決定方法の手順を示す図である。 接着剤塗布後の所定時間の経過に対する、試験体A及びBの剥脱力並びにそれらの剥脱力の差分の変化を示すグラフである。 接着剤の可使時間決定方法に係る実施例であり、試験体A及びBの剥脱力の変化を示すグラフである。 接着剤の可使時間決定方法に係る実施例であり、試験体A及びBの剥脱力の差分の変化を示すグラフである。 接着剤塗布後の所定時間の経過に対する、試験体の剥脱力の変化を示すグラフである。
符号の説明
1 模擬鋼床版容器
2 模擬鋼床版(底板)
3 側板
4 把持手段
10 ナット
11 ネジ孔
12 アイボルト
13 ボルト部分
20 接着剤
30 吊秤

Claims (6)

  1. 研掃済みの模擬鋼床版上に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
    該塗布工程直後に、試験体Aを、接着剤を塗布した該模擬鋼床版上に配置する第1の試験体配置工程と、
    該塗布工程から所定時間t経過後、試験体Aと同一の形状及び材質で構成された他の試験体Bを、接着剤を塗布した該模擬鋼床版上に配置する第2の試験体配置工程と、
    その後、試験体A及びBを該模擬鋼床版から剥脱し、該剥脱時の剥脱力を測定する剥脱力測定工程と、
    該所定時間tの変化に対する、試験体Aの剥脱力と試験体Bの剥脱力との差分の変化を算出し、該差分が所定の大きさを越えた時点の該所定時間tmaxを求め、該所定時間tmaxを接着剤の可使時間とする可使時間算出工程とを有することを特徴とする接着剤の可使時間決定方法。
  2. 請求項1に記載の接着剤の可使時間決定方法において、該測定工程を行う時期は、該試験体Bを配置した直後であることを特徴とする接着剤の可使時間決定方法。
  3. 請求項1又は2に記載の接着剤の可使時間決定方法において、該第1の試験体配置工程では、該所定時間tの変化に対する剥脱力の測定回数分に対応した数の試験体Aを配置し、該第2の試験体配置工程では、測定すべき所定時間tが経過する度に試験体Bを順次配置することを特徴とする接着剤の可使時間決定方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の接着剤の可使時間決定方法において、一つの所定時間tに対して各試験体A及びBを各々複数配置し、各試験体A及びBについて測定される複数の試験体に係る剥脱力の値の平均値を算出し、該平均値を用いて該差分を算出することを特徴とする接着剤の可使時間決定方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の接着剤の可使時間決定方法において、試験体は、ナットであることを特徴とする接着剤の可使時間決定方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の接着剤の可使時間決定方法において、該接着剤は、鋼床版のコンクリート舗装に使用される接着剤であることを特徴とする接着剤の可使時間決定方法。
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