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JP4332683B2 - アセチル化硝化綿の製造方法 - Google Patents
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JP4332683B2 - アセチル化硝化綿の製造方法 - Google Patents

アセチル化硝化綿の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は火薬、塗料等の原料として使用されるアセチル化硝化綿(別名セルロースアセテートナイトレート)の製造方法に関するものである。特に本発明は製品粒度の安定した、耐熱性、安定性に優れたアセチル化硝化綿を提供すると共に、原料の使用率が良好であり、しかも排水処理への負荷も小さいアセチル化硝化綿の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アセチル化硝化綿は、硝化綿(別名ニトロセルロース)を耐熱化したものであり、特開昭56−82849号公報、及び特開平8−277301号公報で開示されているように、硝化綿を適当な有機溶媒中に溶解し、無水酢酸等と適当な触媒を用いてアセチル化反応させ、これを水又はアルコール中に析出し、これを濾過後、水等で洗浄することで得られる(以下、溶液反応法と呼ぶ)。
これとは別に、本発明者らは、特願平10−195292号において、硝化綿を適当な分散媒中に分散させ、繊維状(固相)を保ったまま、無水酢酸と適当な触媒を用いてアセチル化反応させ、これを濾過後、水等で洗浄することでアセチル化硝化綿を得る方法(以下、固液反応法と呼ぶ)を提案し、この方法によって、反応に寄与しなかった無水酢酸を回収することを可能にさせるとともに、製品粒度の安定した、耐熱性、安定性に優れたアセチル化硝化綿を提供できるようにした。
【0003】
上記の固液反応法においては、反応に寄与しなかった無水酢酸の大部分を回収することが可能になり、この点で溶液反応法よりも有利になってはいたが、反応液と粗アセチル化硝化綿とを濾別した後の、濾別された粗アセチル化硝化綿には、反応液が付着しているため、まだ一部の無水酢酸が含まれており、当該粗アセチル化硝化綿を直接、水又はアルコール等で洗浄すると、無水酢酸が水又はアルコール等と反応してしまって、無水酢酸の回収率が悪いという欠点があった。
【0004】
そこで、上記濾別された粗アセチル化硝化綿をトルエン等の芳香族炭化水素で洗浄し、粗アセチル化硝化綿の付着反応液中の無水酢酸を回収できるようにして無水酢酸の回収率を上げることも考えられる。しかし、この場合は、トルエン等で湿潤した粗アセチル化硝化綿が生じ、これが水とのなじみが悪いため、さらにアルコール類で洗浄をしてからでないと水での洗浄ができない。その結果、アルコール類とトルエン等との混合液の回収が必要になるが、当該混合物は蒸留では非常に分離しにくく、回収工程が複雑になるという問題が生じていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、上記欠点に鑑み、濾別された粗アセチル化硝化綿に付着している反応液中の無水酢酸をも回収でき、しかも洗浄工程でアルコール類とトルエン等との混合液を生成することなく、したがって、溶剤回収にも有利なアセチル化硝化綿の製造方法を提供することを課題とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ね、反応液と粗アセチル化硝化綿とを濾別した後の、濾別された粗アセチル化硝化綿の処理方法を工夫することで上記課題が克服できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、硝化綿を分散媒中に分散させ、該硝化綿を固相を保ったままアセチル化剤と触媒とを作用させて粗アセチル化硝化綿とした後、反応液と粗アセチル化硝化綿とを濾別し、濾別された粗アセチル化硝化綿を洗浄するアセチル化硝化綿の製造方法において、前記濾別された粗アセチル化硝化綿(反応液湿潤濾滓)に洗浄剤として炭素数6〜8の芳香族炭化水素を添加して洗浄濾過し、生じた濾滓(芳香族炭化水素湿潤濾滓)にさらに水を添加し、水の存在下で前記濾滓に残存する前記芳香族炭化水素を気化させてこれを除去する工程を有することを特徴とするアセチル化硝化綿の製造方法を提供するものである。
【0007】
本発明は、
〔1〕 硝化綿を分散媒中に分散させ、該硝化綿を固相を保ったままアセチル化剤と触媒とを作用させて粗アセチル化硝化綿とした後、反応液と粗アセチル化硝化綿とを濾別し、濾別された粗アセチル化硝化綿を洗浄するアセチル化硝化綿の製造方法において、前記濾別された粗アセチル化硝化綿に洗浄剤として炭素数6〜8の芳香族炭化水素を添加して洗浄濾過し、生じた濾滓にさらに水を添加し、水の存在下で前記濾滓に残存する前記芳香族炭化水素を気化させてこれを除去する工程を有することを特徴とするアセチル化硝化綿の製造方法;
〔2〕 前記アセチル化剤が無水酢酸であり、前記分散媒が炭素数6〜8の芳香族炭化水素であることを特徴とする上記〔1〕記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔3〕 前記触媒がp−トルエンスルフォン酸及び過塩素酸からなる群から選ばれたものであることを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔4〕 前記水の中に界面活性剤を添加することを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;及び
〔5〕 前記芳香族炭化水素がトルエンであることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法、を提供する。
【0008】
別の態様では、本発明は、
〔6〕 アセチル化反応処理における反応液を洗浄するために用いた洗浄剤の付着した粗アセチル化硝化綿含有物に、水を添加し、水の存在下で前記洗浄剤付着粗アセチル化硝化綿含有物に存在している前記洗浄剤を気化させてこれを除去する工程を有することを特徴とするアセチル化硝化綿の製造方法;
〔7〕 洗浄剤が、炭化水素であることを特徴とする上記〔6〕記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔8〕 炭化水素が、芳香族炭化水素であることを特徴とする上記〔7〕記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔9〕 炭化水素が、炭素数6〜8の芳香族炭化水素であることを特徴とする上記〔8〕記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔10〕 炭化水素が、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン及びそれらの混合物からなる群から選ばれたものであることを特徴とする上記〔9〕記載のアセチル化硝化綿の製造方法;及び
〔11〕 洗浄剤の付着した粗アセチル化硝化綿含有物が、硝化綿を分散媒中に分散させ、該硝化綿を固相を保ったままアセチル化剤と触媒とを作用させて粗アセチル化硝化綿とした後、反応液と粗アセチル化硝化綿とを濾別し、濾別された粗アセチル化硝化綿を洗浄するアセチル化硝化綿の製造方法において、前記濾別された粗アセチル化硝化綿に洗浄剤を添加して洗浄濾過し、生じた濾滓であることを特徴とする上記〔6〕〜〔10〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法、を提供する。
【0009】
また別の態様では、本発明は、
〔12〕 原料である硝化綿が、繊維径0.01mm〜0.05mmの微細繊維であって、分散媒中で分散する形態をしているものであることを特徴とする上記〔1〕〜〔11〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔13〕 原料である硝化綿の硝化度が、0.5〜2.6であることを特徴とする上記〔1〕〜〔12〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔14〕 分散媒が、硝化綿及びアセチル化硝化綿を溶解しないものであることを特徴とする上記〔1〕〜〔13〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔15〕 分散媒が、常圧での沸点が40℃から200℃のの範囲に入る有機溶剤であることを特徴とする上記〔1〕〜〔14〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
【0010】
〔16〕 分散媒が、炭化水素であることを特徴とする上記〔1〕〜〔15〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔17〕 分散媒が、芳香族炭化水素であることを特徴とする上記〔1〕〜〔16〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔18〕 分散媒が、炭素数6〜8の芳香族炭化水素であることを特徴とする上記〔1〕〜〔17〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔19〕 分散媒が、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選ばれたものであることを特徴とする上記〔1〕〜〔18〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔20〕 分散媒の使用量が、重量基準で硝化綿の10〜80倍であることを特徴とする上記〔1〕〜〔19〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
【0011】
〔21〕 アセチル化剤として、無水酢酸が用いられ、その使用量が、アセチル化しようとする硝化綿中の水酸基1モルに対し2〜20モルであることを特徴とする上記〔1〕〜〔20〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔22〕 アセチル化剤として、無水酢酸が用いられ、その使用量が、分散媒100重量部に対し20重量部以下であることを特徴とする上記〔1〕〜〔21〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔23〕 アセチル化反応触媒が、有機スルフォン酸、過ハロゲン酸、硫酸、ピリジン、及びアミンからなる群から選ばれたものであることを特徴とする上記〔1〕〜〔22〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔24〕 アセチル化反応触媒が、p−トルエンスルフォン酸及び過塩素酸からなる群から選ばれたものであることを特徴とする上記〔1〕〜〔23〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
【0012】
〔25〕 アセチル化反応触媒である過塩素酸の使用量は、原料の硝化綿100重量部に対し純分として0.1〜5.0重量部であるか、アセチル化反応触媒であるp−トルエンスルフォン酸の使用量は、原料の硝化綿100重量部に対し純分として5〜60重量部であることを特徴とする上記〔24〕記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔26〕 アセチル化度が、0.3〜2.0であることを特徴とする上記〔1〕〜〔25〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔27〕 アセチル化反応を、25℃〜50℃で行うことを特徴とする上記〔1〕〜〔26〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔28〕 アセチル化反応を、0.5時間〜5時間行うことを特徴とする上記〔1〕〜〔27〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
【0013】
〔29〕 反応液湿潤濾滓に添加する洗浄剤の量が、反応前の硝化綿の正味重量(乾燥重量)に対し、重量基準でその5〜80倍であることを特徴とする上記〔1〕〜〔28〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔30〕 反応液湿潤濾滓に添加する洗浄剤の量が、反応前の硝化綿の正味重量(乾燥重量)に対し、重量基準でその8〜40倍であることを特徴とする上記〔1〕〜〔28〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔31〕 洗浄剤付着濾滓(あるいは洗浄剤湿潤濾滓)に添加される水の量が、反応前の硝化綿の正味重量(乾燥重量)に対し、重量基準でその10〜80倍であることを特徴とする上記〔1〕〜〔30〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
【0014】
〔32〕 洗浄剤付着濾滓(あるいは洗浄剤湿潤濾滓)に添加される水に界面活性剤が添加されていることを特徴とする上記〔1〕〜〔31〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔33〕 界面活性剤はイオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤からなる群から選ばれたものであることを特徴とする上記〔32〕記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔34〕 イオン性界面活性剤が、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤からなる群から選ばれたものであることを特徴とする上記〔33〕記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔35〕 界面活性剤の添加量が、洗浄剤付着濾滓(あるいは洗浄剤湿潤濾滓)に添加される水に対し重量基準で10〜10000ppmであることを特徴とする上記〔32〕〜〔34〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
【0015】
〔36〕 洗浄剤付着濾滓(あるいは洗浄剤湿潤濾滓)に添加される水に安定剤が添加されていることを特徴とする上記〔1〕〜〔35〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔37〕 安定剤が、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の化合物からなる群から選ばれたものであることを特徴とする上記〔36〕記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔38〕 安定剤が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム等の金属の水酸化物、又はこれらの金属と炭酸、酢酸等で代表される弱酸との塩からなる群から選ばれたものであることを特徴とする上記〔37〕記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔39〕 安定剤が、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化カルシウム、及び酢酸カルシウムからなる群から選ばれたものであることを特徴とする上記〔38〕記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
【0016】
〔40〕 粗アセチル化硝化綿と水と洗浄剤とを主成分とする混合物からの洗浄剤の気化が、反応器等のジャケット等から熱を加え(通常の蒸留)、及び/又は、別途発生させた水蒸気を当該容器中の当該混合物中に導きこの熱を気化に利用し(水蒸気蒸留)て行うことを特徴とする上記〔1〕〜〔39〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔41〕 蒸留を減圧下に行うことを特徴とする上記〔40〕記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔42〕 110℃以下で粗アセチル化硝化綿と水と洗浄剤とを主成分とする混合物からの洗浄剤の気化を行うことを特徴とする上記〔40〕記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔43〕 アセチル化反応処理における反応液を洗浄するために用いた洗浄剤の付着した粗アセチル化硝化綿含有物に、水を添加し、水の存在下で前記洗浄剤付着粗アセチル化硝化綿含有物に存在している前記洗浄剤を気化させてこれを除去する工程を経た粗アセチル化硝化綿を、水及び/又は洗浄溶剤で洗浄する工程に付すことを特徴とする上記〔1〕〜〔42〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
【0017】
〔44〕 洗浄溶剤が、炭素数1〜4のアルコールであることを特徴とする上記〔43〕記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔45〕 洗浄溶剤が、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、及びイソブタノールからなる群から選ばれたものであることを特徴とする上記〔44〕記載のアセチル化硝化綿の製造方法;
〔46〕 アセチル化反応処理における反応液を洗浄するために用いた洗浄剤の付着した粗アセチル化硝化綿含有物に、水を添加し、水の存在下で前記洗浄剤付着粗アセチル化硝化綿含有物に存在している前記洗浄剤を気化させてこれを除去する工程を経た粗アセチル化硝化綿に、60℃〜105℃の温度範囲で保持する熱処理操作を加えることを特徴とする上記〔1〕〜〔45〕のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法;及び
〔47〕 上記〔1〕〜〔46〕のいずれか一記載の方法で製造されたアセチル化硝化綿、を提供する。
なお、本明細書において、粗アセチル化硝化綿という用語は、アセチル化硝化綿が未精製であることを強調する場合に使用する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に使用する原料の硝化綿については、繊維径が0.01mm〜0.05mm、好ましくは0.015mm〜0.04mmの微細繊維であって、前記分散媒中で分散する形態をしていなければならない。
本発明におけるアセチル化硝化綿の硝化度は原料の硝化綿の硝化度を選択することで変更することができる。ただし、製造工程中に脱硝酸し、アセチル化硝化綿の硝化度が硝化綿の硝化度よりも減少する場合があるので、これを考慮して原料硝化綿を選択すると良い。原料硝化綿の硝化度としては公知のものすべてを用いることができるが、0.5〜2.6、好ましくは1.0〜2.5の硝化度の硝化綿が好ましい。この値が0.5未満では、生じたアセチル化硝化綿と酢酸セルロースとの性能差が小さく、特徴がでにくい。この値が2.6を越えるものについても、生じたアセチル化硝化綿の特徴が硝化綿に比して出にくい。硝化綿の硝化度については、元素分析を行って、窒素量を調べること等により、求めることができる。
【0019】
以上に示した硝化綿を用いて、以下、これをアセチル化する方法を説明する。
硝化綿をアセチル化反応させる際の前記分散媒としては、硝化綿及びアセチル化硝化綿を溶解しないものである必要があり、その中でも、常圧での沸点が40℃から200℃、好ましくは50℃から150℃の範囲に入る有機溶剤であることが望ましい。この様な有機溶剤としては、炭化水素、例えば、芳香族炭化水素が挙げられ、それら有機溶剤の内、炭素数6〜8の芳香族炭化水素、具体的にはベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンが特に好ましい。代表例としてはトルエンである。分散媒として用いられるこれらの有機溶剤は単独で使用しても、2種以上を混合して使用しても良い。分散媒の量としては、重量基準で硝化綿の10〜80倍、好ましくは15〜40倍が適当である。この値が10未満ではスラリの攪拌が充分できず均一な反応ができなくなる恐れがあり、80を越える場合は実施可能ではあるが生産効率が悪くなる。
なお、炭素数6〜8の芳香族炭化水素は、本発明においては、前記のように反応時の分散媒として使用されるが、後述されるように、炭素数6〜8の芳香族炭化水素は、反応後の洗浄剤としても使用され得る。
【0020】
前記アセチル化剤としては通常、無水酢酸が用いられる。その量の第1の制限として、アセチル化しようとする硝化綿中の水酸基1モルに対し無水酢酸が2〜20モル、好ましくは3〜15モルとすることが望ましい。この値が2モル未満でも、反応が実施できないわけではないが、アセチル化の反応に長時間を要する場合があり、一方20モルを越えて添加する意味はない。無水酢酸の量の第2の制限としては、前記分散媒100重量部に対し無水酢酸が20重量部以下、好ましくは15重量部以下であることが必要である。この値が20重量部を越えると、無水酢酸が硝化綿の良溶媒であるので、硝化綿が反応液すなわち分散媒と無水酢酸との混合液を主成分とする媒体に溶解する可能性が生じ、固相のまま硝化綿を反応させるという本発明の実施ができなくなる可能性がある。本発明においては、無水酢酸の量の第1及び第2の制限を同時に満足させることが必要である。
【0021】
前記触媒としては、有機スルフォン酸、過ハロゲン酸、硫酸、ピリジン、各種アミン等の一般的なアセチル化触媒が使用できるが、p−トルエンスルフォン酸、過塩素酸からなる群から選ばれたものを使用することが好ましい。これらの中で過塩素酸は少量で効果があり、安定性の良いアセチル化硝化綿を生成する点で特に好ましい。これらの触媒を重複して使用することもできる。これらの使用量としては、原料の硝化綿100重量部に対し、過塩素酸の場合は純分として0.1〜5.0重量部、好ましくは0.3〜2.0重量部であり、p−トルエンスルフォン酸の場合は純分として5〜60重量部、好ましくは10〜50重量部添加することが望ましい。これらの量より少ない場合は、アセチル化反応が進行しにくく、多すぎる場合は硝化綿の脱硝酸が起きやすい、触媒が無駄になる等の問題が生じる可能性がある。
【0022】
本発明におけるアセチル化硝化綿のアセチル化度は、基本的には原料の硝化綿の残存水酸基量以下になるが、前記脱硝酸の程度により原料の硝化綿の残存水酸基量よりも増加することもある。アセチル化度は反応時温度、反応時間、触媒の使用量、無水酢酸の使用量で制御できる。アセチル化度としては0.3〜2.0が好ましい。この値が0.3未満ではアセチル化硝化綿の耐熱性が硝化綿と比しあまり変わらず、アセチル化した効果が不足する。2.0を越える場合はアセチル化硝化綿と酢酸セルロースとの性能差が小さく、特徴がでにくい。
【0023】
反応温度については、25℃〜50℃、好ましくは30℃〜45℃とするのが良い。反応時間については0.5時間〜5時間、好ましくは1〜4時間の中で選択する。これらの温度、時間の範囲内でアセチル化度を制御できるが、これらの温度、時間の範囲外、すなわち反応温度が低いか、反応時間が短すぎる場合には、実質的にアセチル化反応が起きず、反応温度が高すぎるか、反応時間が長すぎる場合には脱硝酸がしやすい等の欠点が生じる可能性がある。
【0024】
以上、硝化綿をアセチル化反応させる方法を説明したが、以下はその後の工程を説明する。
すなわち、硝化綿をアセチル化反応させた後、まず、濾過して反応液(第1濾液)と粗アセチル化硝化綿(反応液湿潤濾滓)とを分離する。第1濾液からは、一般的に用いられる蒸留工程等により、反応原料としての無水酢酸、反応副生成物の酢酸、分散媒としての有機溶剤等を回収することができる。
濾過後の粗アセチル化硝化綿(反応液湿潤濾滓)は、そのままでは綿の表面に反応液が付着しており、さらに綿の中にも反応液が一部浸透した状態になっていたり、綿の中に触媒が結合している場合もあるため、アセチル化硝化綿としての安定性が悪い。したがって、前記粗アセチル化硝化綿(反応液湿潤濾滓)を洗浄する必要があり、以降洗浄工程に移行する。
本発明においては洗浄工程の内、第1の洗浄操作として、前記反応液湿潤濾滓にまず洗浄剤を添加して洗浄濾過し、濾液(第2濾液)と粗アセチル化硝化綿(洗浄剤湿潤濾滓)とに分離する。代表的には、本発明においては洗浄工程の内、第1の洗浄操作として、前記反応液湿潤濾滓にまず洗浄剤として炭素数6〜8の芳香族炭化水素を添加して洗浄濾過し、濾液(第2濾液)と粗アセチル化硝化綿(芳香族炭化水素湿潤濾滓)とに分離する。
【0025】
前記反応液湿潤濾滓に添加する洗浄剤としては、炭化水素、例えば、芳香族炭化水素が挙げられ、それら洗浄剤の内、炭素数6〜8の芳香族炭化水素が好ましい。該炭素数6〜8の芳香族炭化水素としては、具体的にはベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンのいずれか1種又はこれらの混合物を用いる。代表例としてはトルエンである。
前記反応液湿潤濾滓に添加する洗浄剤としての炭素数6〜8の芳香族炭化水素の量は、反応前の硝化綿の正味重量(乾燥重量)に対し、重量基準でその5〜80倍、好ましくは8〜40倍が適当である。この値が5未満でも、実施できるが、無水酢酸の回収率が悪い場合がある。この値が80を越えても、実施できるが、当該芳香族炭化水素を回収する負担が大きくなる。
前記第2濾液は、前記第1濾液と同様に、一般的に用いられる蒸留工程等により、その中に含まれる、反応原料としての無水酢酸、反応副生成物の酢酸、分散媒又は洗浄剤としての有機溶剤等を回収することができる。このことによって、本発明においては、無水酢酸等の回収率が向上するので、有利となる。
【0026】
本発明においては洗浄工程の内、第2の洗浄操作として、前記洗浄剤湿潤濾滓を水(熱水)で洗浄しながら、これと同時に脱揮操作を行う。代表的には、本発明においては洗浄工程の内、第2の洗浄操作として、前記芳香族炭化水素湿潤濾滓を水(熱水)で洗浄しながら、これと同時に脱揮操作を行う。すなわち、容器中で前記芳香族炭化水素湿潤濾滓と水とを混合し、水の存在下で粗アセチル化硝化綿を昇温し、系内に含まれる芳香族炭化水素を気化させてこれを除去する。当該操作によって芳香族炭化水素の除去と同時に粗アセチル化硝化綿の比較的高温での洗浄(熱処理)が行われ、アセチル化硝化綿の安定性が向上する。また、洗浄後の水に芳香族炭化水素が実質的に含まれなくなるため、排水処理の負荷も軽減する長所がある。
【0027】
前記芳香族炭化水素湿潤濾滓と混合されるべき前記水の量は反応前の硝化綿の正味重量(乾燥重量)に対し、重量基準でその10〜80倍、好ましくは15〜40倍が適当である。この値が10未満でも、実施できないわけではないが、スラリの攪拌が不足したり、容器壁に一部の粗アセチル化硝化綿が付着したままになったりして、生じたアセチル化硝化綿の品質が不安定になる場合がある。この値が80を越える場合は実施可能ではあるが、比較的大きな容器が必要となり生産効率が悪くなる。
前記芳香族炭化水素湿潤濾滓は水とのなじみが悪く、容器中で当該濾滓と水とを混合分散させようとする時に、水面上に当該濾滓が浮く場合がある。この様な状態のままで昇温し、芳香族炭化水素を気化させようとすると、予期せぬ高温にさらされて粗アセチル化硝化綿が分解する恐れがある。芳香族炭化水素湿潤濾滓の主成分である粗アセチル化硝化綿が水中に分散した状態にするには、前記水中に界面活性剤を添加する方法を用いることができる。
【0028】
前記界面活性剤の種類としては特に制限はなく、イオン性界面活性剤(例えば、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤)、非イオン性界面活性剤がいずれも使用できる。界面活性剤の添加量は当該水に対し重量基準で10〜10000ppmが好ましい。この値が10ppm未満でも使用できないわけではないが、粗アセチル化硝化綿の水中での分散性が不充分になる場合がある。この値が10000ppmを越えても使用できないわけではないが、界面活性剤の使用量が増えるので経済的ではない。
また、脱揮操作の際の前記水の中にアセチル化硝化綿の安定剤を添加することができる。典型的には、脱揮操作の際の前記水の中にアセチル化硝化綿の安定剤として後に述べるアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の化合物を添加することが好ましい。その種類、量等の詳細は後述する。
【0029】
前記の様な粗アセチル化硝化綿と水と芳香族炭化水素等とを主成分とする混合物から反応器等の容器の中で、芳香族炭化水素を気化させ排出するには、当該混合物を攪拌しながら、ジャケット等から熱を加え(通常の蒸留)、及び/又は、別途発生させた水蒸気を当該容器中の当該混合物中に導きこの熱を気化に利用し(水蒸気蒸留)、これらの結果、発生してきた水及び芳香族炭化水素の混合蒸気を当該容器外に導く。発生してきた混合蒸気はコンデンサにより、冷却し、液化させると良い。
【0030】
前記蒸留の際の圧力は大気圧でも良いが、減圧にして比較的低温で脱揮操作を行うこともできる。水及び芳香族炭化水素の組合せにより、多くの場合、共沸現象が生じ、その組合せと組成、圧力によって沸点は決まるので、それに応じて、ジャケット等への加熱操作を行う。系内には、多量の水と、それに比して少量の芳香族炭化水素とが存在するので、水と当該芳香族炭化水素とが気化すると先に当該芳香族炭化水素が系内から実質的になくなり水が残る。なお、脱揮時の温度は110℃以下、好ましくは105℃以下になるように、圧力を制御する。この温度が110℃を越えると、硝化綿が分解する場合がある。
脱揮の完了を知るには、系外に排出された芳香族炭化水素の量が平衡に達したことを確認する、系内の温度がその時点の圧力の水の沸点に達したことを確認する、系内の分散液のサンプリングを行いガスクロ等で芳香族炭化水素がほとんど検出されないことを確認する等の方法を単独であるいは組み合わせて用いることができる。
【0031】
脱揮操作を終了するには、ジャケット等の温度を下げ、減圧操作をしていた場合は圧力を大気圧にもどす。その後、濾過し、濾滓として得られた粗アセチル化硝化綿の洗浄の操作をさらに継続する。
脱揮操作後の洗浄工程(第3の洗浄操作以降)では、粗アセチル化硝化綿に対し水及び/又は洗浄溶剤で洗浄し濾過することを複数回繰り返す。水は安価であるため主に水での洗浄が中心となるが、水での洗浄に加えて、洗浄溶剤で洗浄する操作を行っても差し支えない。この場合の洗浄溶剤としては、アセチル化硝化綿を溶解させない有機溶剤が用いられ、炭素数1〜4のアルコール、たとえばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等が洗浄溶剤として好ましく使用できる。当該アルコール類を使用した洗浄では、前記脱揮操作で既に芳香族炭化水素が除かれているため、アルコール類と芳香族炭化水素との混合物を生成することはなく、洗浄後のアルコール類の回収は一般的な蒸留操作等によって容易に行うことができる。
【0032】
また、前記脱揮操作でアセチル化硝化綿の熱処理は既になされているが、第3の洗浄操作以降の洗浄工程においても、水及び/又は前記洗浄溶剤中で60℃〜105℃の温度範囲で保持する熱処理操作を加えることもでき、この操作によってアセチル化硝化綿の安定性がさらに向上する場合がある。この場合の熱処理温度としては60℃〜105℃が好ましく、熱処理時間としては1〜6時間が好ましい。60℃未満では安定性向上効果が不足する場合があり、105℃を越えるとアセチル化硝化綿が徐々に分解する可能性がある。前記の熱処理は保持媒体を変えて複数回行うこともできる。すなわち、沸騰水中で熱処理することが通常良好であるが、これに加えて、その前又は後で、炭素数1〜4のアルコール、たとえばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の中で60℃〜105℃の中の適当な温度で熱処理することも可能である。これらの中ではイソプロパノールが特に好ましい。
【0033】
前記、洗浄剤としての水(脱揮操作の際の水を含む)の中にアセチル化硝化綿の安定剤としてアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の化合物を添加することが好ましい。前記アルカリ金属、アルカリ土類金属の化合物としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム等の金属の水酸化物、又はこれらの金属と炭酸、酢酸等で代表される弱酸との塩が用いられる。この様な化合物の例としては、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウムが例示できるが、これらに限定されない。
これらの化合物の使用法としては、水の中にこれらのいずれか1種又は複数種を10〜5000ppm、好ましくは50〜1000ppm程度溶解し、これを用いて、前記、脱揮操作、洗浄操作、熱処理操作を行うと良い。この濃度が10ppm未満では安定化が不足する場合があり、5000ppmを越える場合は、基本的な問題はないがその量に見合う効果は乏しい。
【0034】
なお、前記安定剤を含む水については、必ずしも脱揮操作、洗浄操作、熱処理操作の全工程で使用しなければならないと言うことはなく、脱揮操作、洗浄操作、熱処理操作のどれか一部だけで使用することもできる。なお、前記安定剤を前記洗浄溶剤、例えば炭素数1〜4のアルコール中に添加して使用することもできるし、反応終了後の粗アセチル化硝化綿と反応液との混合物中に添加して使用することもできる。
以上のようにして製造されたアセチル化硝化綿は耐熱性、安定性にすぐれ、火薬、塗料等の原料として使用することができる。
なお、詳細は実施例中に記載するが、本発明において、耐熱性は示差熱分析にて、安定性はJIS−K4810に規定される耐熱時間にて評価した。
【0035】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
[実施例1]
ダイセル化学工業(株)製の硝酸エステル置換度2.5の硝化綿100重量部(純分)をトルエン2600重量部に加え攪拌分散させた。攪拌しながら、これに無水酢酸109重量部を加えた。30℃に昇温してから、触媒の過塩素酸0.3重量部と酢酸20重量部の混合液を添加し、2時間攪拌して反応させた。反応後、酢酸ナトリウム0.5重量部を添加して冷却した。以上の間、硝化綿及びその反応生成物である粗アセチル化硝化綿は固相(微細な繊維状)を保っており、液中に分散状態になっていた。この固液混合物を濾過し、繊維状粉末固形物であるところの粗アセチル化硝化綿を主成分とする濾滓(反応液湿潤濾滓)と第1濾液とに分離した。
前記反応液湿潤濾滓に対しトルエン2600重量部を加え攪拌してから濾過し、粗アセチル化硝化綿を主成分とするトルエン湿潤濾滓と第2濾液とに分離した。第1濾液及び第2濾液をそれぞれガスクロで分析したところ、いずれも、無水酢酸、酢酸、トルエンの存在が確認され、これらを蒸留等により回収できることが判明した。
【0036】
一方、前記粗アセチル化硝化綿を主成分とするトルエン湿潤濾滓と、80℃の熱水3000重量部と、炭酸ナトリウム0.5重量部とをヒータで加熱されたフラスコ中で混合攪拌しながら、別の容器で水を熱して発生させた水蒸気をガラスチューブを通して、上記フラスコ内の水中に導入した。当該濾滓は大部分が塊となって水面上に浮かびながら、漂っていた。フラスコ内温が84℃に達した時、フラスコに連結したコンデンサから留出が始まった。一方、前記濾滓の塊は、徐々に沈み、水中で良好に攪拌分散されるようになった。そのまま、水蒸気蒸留を続けたところ、フラスコ内温が84℃から100℃まで1時間かかって徐々に上昇した。留出開始から1時間後のフラスコ内の液をサンプリングし、ガスクロでトルエンの有無を確認したところ、まだトルエンの痕跡のピークが見られた。さらに1時間水蒸気蒸留を続けたが、この間のフラスコ内温は100℃であった。留出開始から2時間後のフラスコ内の液をサンプリングし、ガスクロで同様に調べたところ、トルエンは検出されなかった。続いてフラスコを冷却し、内容物を濾過し、水湿濾滓を得た。
【0037】
前記水湿濾滓を合計10000重量部の水で3回に分けて洗浄濾過した後、水4000重量部と水酸化カルシウム0.2重量部との混合液で洗浄濾過した。この濾滓を2400重量部のエタノールで洗浄濾過し、濾滓として精製済みアセチル化硝化綿を得た。
このアセチル化硝化綿を原料の硝化綿とともに光学顕微鏡で観察したところ、原料の硝化綿が0.02〜0.03mm径で0.5〜2.0mm長のものが主要成分であったのに対し、当該硝化綿も全く同様の形態を示しており、前記製造工程を経ても、繊維の形態に変化は生じていないことが判明した。
このアセチル化硝化綿の赤外線吸収スペクトルをとったところ、硝酸エステルに基づく 1280 cm-1付近及び 1650 cm-1付近のどちらも強い吸収の他に、アセチル化の結果生じた酢酸エステルの吸収が 1220 cm-1付近及び 1750 cm-1付近にどちらも中程度の強度で見られた。原料の硝化綿に見られた 3500 cm-1付近の水酸基に基づく弱く幅広い吸収は非常に微弱になっており、この結果、硝化綿中の水酸基がほとんどすべてアセチル化されたアセチル化硝化綿が得られたことが確認された。
【0038】
このアセチル化硝化綿の耐熱性を調べるため、示差熱分析(DTA)を行った。示差熱分析用アルミ皿に1mgの前記アセチル化硝化綿を計量し、これにアセトンを数滴たらして溶解し、これを乾燥させてアルミ皿の底にアセチル化硝化綿の膜を形成させた。このサンプルについて、(株)島津製作所製の示差熱分析装置DT40を用いて、アルゴン気流中、昇温速度10℃/minの条件で示差熱分析を行ったところ、209℃をピークとする熱分解の発熱曲線が得られた。
さらにこのアセチル化硝化綿の安定性を調べるため、試験紙としてヨードカリでん粉紙を用いた65℃耐熱試験(JIS−K4810)で耐熱時間を測定したところ、40分以上(40分経過しても試験紙が未変色のため評価を打ち切り)であった。
以上の試験結果は表1にまとめて示した。
【0039】
[比較例1]
実施例1に用いた原料の硝化綿を用いて、同様の示差熱分析及び耐熱時間を行ったところ、表1に示すとおり、発熱ピーク温度が199℃、65℃耐熱試験での耐熱時間が38分の結果を得た。これらの結果を赤外線吸収スペクトルの結果とともに表1に示した。
【0040】
[実施例2] 実施例1で用いた80℃の熱水3000重量部の中に三洋化成工業(株)製の非イオン性界面活性剤(商品名オクタポール80)2重量部を添加することを除いて、実施例1と同様の実験を繰り返した。実施例1では水蒸気蒸留操作の初期にトルエン湿潤濾滓が水面上に浮かぶ現象が観察されたのに対し、本実施例では、トルエン湿潤濾滓は水面に浮かぶことなく、最初から良好にフラスコ中で攪拌分散されるのが観察された。その他に関しては実施例1と同様の結果を得た。以上の試験結果は表1にまとめて示した。
【0041】
【表1】
Figure 0004332683
【0042】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によって、濾別された粗アセチル化硝化綿に付着している反応液中の無水酢酸や酢酸等をも回収できて、原料の使用率が良好であり、しかも洗浄工程でアルコール類とトルエン等との混合液を生成することなく、したがって、溶剤回収にも有利なアセチル化硝化綿の製造方法を提供できた。さらに、粗アセチル化硝化綿に付着する洗浄剤、例えば、トルエン等を蒸留で除くので、排水処理への負荷も小さいアセチル化硝化綿の製造方法を提供できた。

Claims (5)

  1. 硝化綿を分散媒中に分散させ、該硝化綿を固相を保ったままアセチル化剤と触媒とを作用させて粗アセチル化硝化綿とした後、反応液と粗アセチル化硝化綿とを濾別し、濾別された粗アセチル化硝化綿を洗浄するアセチル化硝化綿の製造方法において、前記濾別された粗アセチル化硝化綿に洗浄剤として炭素数6〜8の芳香族炭化水素を添加して洗浄濾過し、生じた濾滓にさらに水を添加し、水の存在下で前記濾滓に残存する前記芳香族炭化水素を気化させてこれを除去する工程を有することを特徴とするアセチル化硝化綿の製造方法。
  2. 前記アセチル化剤が無水酢酸であり、前記分散媒が炭素数6〜8の芳香族炭化水素であることを特徴とする請求項1記載のアセチル化硝化綿の製造方法。
  3. 前記触媒がp−トルエンスルフォン酸及び過塩素酸からなる群から選ばれたものであることを特徴とする請求項1又は2記載のアセチル化硝化綿の製造方法。
  4. 前記水の中に界面活性剤を添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法。
  5. 前記芳香族炭化水素がトルエンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一記載のアセチル化硝化綿の製造方法。
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