JP4334848B2 - 吸気ダクト管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸気ダクト管に関するものであって、特に自動車などにおける内燃機関において、外気を吸入してエアクリーナーに導くための吸気ダクト管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車などの内燃機関の吸気ダクト管は、当該内燃機関の吸気系を構成する管であるが、その管内を空気が通ることにより摩擦音を生じ、その音のうち管と共鳴する部分が気柱共鳴により増幅されて騒音を発する。そのため当該吸気ダクト管は、吸気に伴う騒音を低減することが求められている。
【0003】
従来、自動車などの内燃機関の吸気ダクト管としては、特開昭60−53658号公報に示されるような筒状の繊維層の外面に硬質材を設けた構造のものや、特開平5−126002号公報に示されるような多孔質材の円筒からなるもの、特開平4−321896号公報や特開2000−64918号公報に示されるような筒状織布よりなるものなどが知られている。
【0004】
しかしながら、硬質材料よりなるものはその内部で生じた騒音が壁面で反射されて気柱共鳴を生じやすく、それが開口部で集中的に放出されるので、騒音の低減効果が十分とは言えなかった。
【0005】
また吸気ダクト管は、自動車などの狭いエンジンルーム内で主としてエアークリーナーと吸気口部材との間を複雑な経路を辿って繋ぐので、硬質材料よりなるものでは屈曲した経路に沿って敷設することが困難である。
【0006】
前記筒状織布よりなるダクト管はそれ自体柔軟ではあり、且つ繊維が音のエネルギーを吸収するために騒音を低減させる効果があるが、保形性のない筒状織布のみよりなるものでは筒状の形態を維持することが困難であり、またこれを補強材で筒状の形態を維持した場合には、柔軟性が乏しくなって小さい曲率半径で曲げることが困難となると共に、繊維による吸音効果が損なわれる。
【0007】
このような事情に鑑み出願人は、環状に配置されて長さ方向に延びる複数のたて糸と、当該たて糸と交差して周方向に延びるよこ糸とを筒状に織成した筒状織布よりなるものであって、前記よこ糸が、剛直な線状体よりなる第一のよこ糸と、柔軟な天然又は合成繊維の糸条よりなる第二のよこ糸とを、交互に配してなる吸気ダクト管を発明し、特願2001−383937号として出願した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
一般に吸気ダクト管から放出される吸気騒音には、ダクト管の吸気口から外部に放出される吸気音と、ダクト管の壁面を通して外部に漏出する放射音との二種類があるとされている。
【0009】
而して吸気騒音を総合的に減少させるためには、ダクト管内における気柱共鳴を防止すると共に、残った音のエネルギーを外部に放出する形態として、吸気音と放射音とのバランスをとることが必要となる。
【0010】
吸気音も放射音も生じないことが理想的であるが、ダクト管を通じて空気を吸入し、その空気がダクト管内を通過するのである以上、そこで通気による摩擦音が生じるのを避けることはできない。
【0011】
そしてその摩擦音が気柱共鳴により増幅されることは防止できても、増幅の根源となる摩擦音自体を消失させることはできないのであって、その摩擦音は何らかの形で外部に放出せざるを得ないのである。
【0012】
またこれらの吸気に伴う音は好ましくない騒音であるが、それと同時に一方では、気柱共鳴を抑えて十分に抑制された音は、自動車のエンジンの心地好い駆動音の一部としての側面も有しており、消失させられない以上、自動車の種類に応じた適切な音質であることが好ましい。
【0013】
而して前記出願の発明に係る吸気ダクト管は、内面の織り目の凹凸により音が乱反射すると共に、織り目の間から拡散するために気柱共鳴が生じにくい。そしてダクト管内の音は吸気口から吸気音が発生すると共に、音の一部が織り目の間から拡散して放射音を生じる。
【0014】
そしてダクト管の織り目を細かく詰めることにより放射音が抑制されて吸気音の比率が高くなり、逆に織り目を粗くすることにより放射音を解放すると、その分吸気音が抑制される。
【0015】
一般に放射音と吸気音との比率は、一方のみに過度に偏重することは好ましくなく、ほゞ同程度であることが好ましい。しかしながら、自動車のエンジンルーム内の形状や構造、各種の部品、装置などの配置などは車種ごとに異り、これらの要因によって同じダクト管であっても音質が変化する。そのため、放射音と吸気音との好ましい比率は車種ごとに異る。
【0016】
而して放射音と吸気音との比率を調整するには、車種ごとに異る性能に合うように、吸気ダクト管を織成する際のたて糸の太さや本数、よこ糸の太さや打ち込み数などを変化させ、所望の音質を得ていた。
【0017】
前記従来例の吸気ダクト管として、5番手のポリエステルスパン糸を6本撚合わせた糸条をたて糸とし、20番手のポリエステルスパン糸を16本撚合わせた糸条を3本と1670デニールのポリエステルフィラメント糸3本とを撚合わせた糸条と、直径1.6mmのポリエチレンテレフタレートのモノフィラメントとを、よこ糸として交互に使用して、前記たて糸の使用数及びよこ糸の打ち込み数を変化させて、平織組織で内径60mm、長さ500mmの筒状織物を織成し、当該筒状織物を吸気ダクト管として、その吸気音及び放射音を測定した。測定の結果を表1並びに図2及び図3に示す。なお表中の数字はデシベルである。
【0018】
【表1】
【0019】
このようにたて糸本数が増えるほど、またよこ糸の打込み数が増すほど、吸気音が増大すると共に放射音が減少しており、筒状織物のたて糸及び/又はよこ糸の密度を変化させることにより、吸気音と放射音とのバランスを変化させることができる。
【0020】
また綾織り組織でも同様の筒状織物を製作したが、平織りの場合と同様にたて糸又はよこ糸の密度が高くなるに従って吸気音が増大すると共に放射音が減少するものの、その範囲は放射音が79.0〜82.0デシベル、吸気音が72.0〜74.0デシベルであって、平織り組織のものに比べると極端に放射音が大きく、吸気音が小さくなる傾向にあった。
【0021】
しかしながら前述のようなダクト管は環状織機で織成されるので、特殊な設備を数多く必要とし、車種ごとに織り組織を変化させたダクト管を製造するためには、品種ごとに織機の仕立て替えなどに多大の時間と労力を要する。
【0022】
従って一時に相当数をまとめて製造する必要があるが、そうすると多数の品種について嵩張るダクト管を大量に保管しなければならず、保管のために大きなスペースを必要とする。
【0023】
また、織物はたて糸の太さや本数、よこ糸の打ち込み数などを変えると、織物の堅さや剛性が変化し、ダクト管としての音響特性と可撓性、保形性などの物理的性能とのバランスをとることが困難である。
【0024】
例えば放射音を低減させるために織物の密度を高くすると、ダクト管の柔軟性や可撓性が低下し、また吸気音を低減させるために織物の密度を過度に下げると、ダクト管としての保形性に劣ったものとなる。さらに織物のダクト管は空気が織り目を通過するため、使用により目詰まりを生じて音響特性が変化するという問題もある。
【0025】
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであって、前記出願の吸気ダクト管を改良し、保管のために過度に大きなスペースを必要とすることなく、車種ごとに適切な放射音と吸気音とのバランスに設定することの可能な吸気ダクト管を提供することを目的とするものである。
【0026】
【課題を解決するための手段】
而して本発明は、環状に配置されて長さ方向に延びる複数のたて糸と、当該たて糸と交差して周方向に延びるよこ糸とを筒状に織成してなり、前記よこ糸が少なくともその一部が剛直な線状体である保形性を有する可撓性筒状体と、当該可撓性筒状体の外側に嵌合された、扁平に折り畳み可能な筒状織布とよりなることを特徴とするものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に従って説明する。図1は本発明の吸気ダクト管1を示すものであって、この吸気ダクト管1は、可撓性筒状体2の外側に筒状織布3を嵌合した構造を有している。
【0029】
そして可撓性筒状体2は、環状に配置されて長さ方向に延びる複数のたて糸4と、当該たて糸4と交差して周方向に延びるよこ糸5とを、筒状に織成してなっている。そして前記よこ糸5は剛直な線状体よりなっており、その線状体の剛性により可撓性筒状体2は断面円形を保持する保形性を有している。
【0030】
前記よこ糸5を構成する剛直な線状体としては、ナイロン又はポリエステルなどのプラスチックのブリッスルや、ピアノ線などの金属線などを使用することができる。
【0031】
またよこ糸5は、その全てが前記線状体であってもよいが、前記線状体と通常の柔軟な繊維製の糸条とを交互に配置し、又は前記線状体と前記通常の繊維糸条とを引き揃えて配置するなど、よこ糸5の一部のみが線状体よりなるものであってもよく、前記線状体の剛性により可撓性筒状体2に保形性と屈曲可能な可撓性とを付与するものであればよい。
【0032】
そして可撓性筒状体2の外側には、筒状織布3が嵌合されている。筒状織布3はたて糸6とよこ糸7とを筒状に織成したものであって、前記たて糸6及びよこ糸7は通常の柔軟な繊維性の糸条よりなっており、筒状織布3は扁平に折り畳み可能である。
【0033】
而して前記筒状織布3により吸気ダクト管1における吸気音と放射音との比率を調節するので、可撓性筒状体2の織り目は十分に粗いものとし、筒状織布3の織り目の密度を図1に示されるように、前記可撓性筒状体2の織り目よりも密とすることが好ましい。
【0034】
【作用】
本発明においては、可撓性筒状体2のよこ糸5として剛直な線状体が使用されているので、当該よこ糸5によって断面形状が円形に保持され、筒状の形態が維持されると共に、円形断面を保持したままで高度の屈曲性を有し、小さい曲率半径で容易に曲げることができ、屈曲により座屈することがない。
【0035】
さらに本発明吸気ダクト管1の内面は可撓性筒状体2であって、その織り組織の凹凸とたて糸4の柔軟性により、内部の音を乱反射してエネルギーを吸収し、気柱共鳴が防止される。
【0036】
そして吸気ダクト管1が可撓性筒状体2のみよりなるものであれば、その可撓性筒状体2の織り目の粗さに基づいた吸気音と放射音とが生じるが、その可撓性筒状体2の織り目を粗くして放射音を主体とし、その可撓性筒状体2の外側に織り目が密な筒状織布3を嵌合することにより、吸気ダクト管1の繊維の密度が高くなり、放射音が抑制されると共に吸気音の比率が高くなる。
【0037】
そして可撓性筒状体2に織り目の粗さの異る筒状織布3を嵌合することにより、吸気ダクト管1の繊維の密度を変化させることができ、吸気音と放射音とのバランスを変化させることができる。
【0038】
また吸気音と放射音とのバランスを変化させる他の手段として、可撓性筒状体2に筒状織布3を複数枚嵌合し、その筒状織布3の数によって吸気ダクト管1全体の粗さを調節することもできる。
【0039】
また、筒状織布3の織り目の密度を可撓性筒状体2の織り目よりも密にすることで、使用による可撓性筒状体2の目詰まりを防止することができると共に、筒状織布3に目詰まりを生じて音響特性が変化した場合には、筒状織布3のみを交換することにより、もとの音響特性を回復することができる。
【0040】
【発明の効果】
従って本発明によれば、可撓性筒状体2はたて糸4と剛直な線材よりなるよこ糸5とよりなるので、断面形状が円形に保持されると共に、極めて柔軟であって屈曲性に富み、円形断面を保持したままで小さい曲率半径で自由に屈曲することが可能であり、屈曲により座屈することがない。
【0041】
また可撓性筒状体2の外側に嵌合された筒状織布3は、扁平に折り畳み可能の極めて柔軟な筒状布であるので、それを嵌合することにより可撓性筒状体2の可撓性を阻害することがない。
【0042】
また本発明の吸気ダクト管1の内面は可撓性筒状体2の凹凸により音を乱反射してエネルギーを吸収するので、気柱共鳴により騒音が増幅されることがなく、極めて静かである。
【0043】
そして可撓性筒状体2の外側に嵌合する筒状織布3の織り目の粗さを調節することにより、吸気ダクト管1の繊維密度を変化させ、自動車の車種に応じて吸気音と放射音とのバランスをとることができる。
【0044】
また保形性を有する可撓性筒状体2については、自動車の車種にかかわらず織り目の粗さを一定のものとし、扁平に折り畳み可能の筒状織布3により吸気音と放射音とのバランスをとることができるので、自動車の車種ごとに準備するのはコンパクトな筒状織布3のみですみ、可撓性筒状体2については不必要に多量に準備して保管する必要がない。
【0045】
また、筒状織布3の織り目の密度を可撓性筒状体2の織り目よりも密にすることにより、使用による可撓性筒状体2の目詰まりを防止して音響特性の変化を防止することができると共に、筒状織布3に目詰まりを生じて音響特性が変化した場合においても、筒状織布3のみを交換することにより、音響特性を回復することができる。
【0046】
【実施例】
次に本発明の実施例を示す。本発明における可撓性筒状体2として、5番手のポリエステルスパン糸を6本撚合わせた糸条をたて糸4として150本使用し、20番手のポリエステルスパン糸を16本撚合わせた糸条を3本と1670デニールのポリエステルフィラメント糸を3本とを混合して撚合わせた糸条と、直径1.6mmのポリエチレンテレフタレートのモノフィラメントとを、よこ糸5として交互に使用して10cm間に27本打込み、平織組織及び2/1綾織組織で、内径60mm、長さ500mmの筒状に織成した。なお綾織組織の場合には、たて糸の本数は151本とした。
【0047】
また筒状織布3として、180デニールのポリエステルフィラメント糸をたて糸6とし、600デニールのポリエステルフィラメント糸をよこ糸7として、前記たて糸6の使用数及びよこ糸7の打ち込み数を変化させて、平織組織で内径80mm、長さ500mmの筒状に織成した。
【0048】
而して前記可撓性筒状体2の外側に前記筒状織布3を遊嵌し、これを吸気ダクト管1として、その吸気音及び放射音を測定した。また比較例として、筒状織布3を嵌合しない可撓性筒状体2のみの場合及び、硬質ポリ塩化ビニル製のパイプについても同様に試験した。測定の結果を表2及び表3並びに図4乃至図7に示す。なお表中の数字はデシベルである。
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
ポリ塩化ビニル製のパイプは気柱共鳴が生じているために、放射音は低いものの吸気音が極端に大きく、全体として極めて大きな排気騒音を生じているのに対し、本願発明における排気騒音は小さい。
【0052】
そして可撓性筒状体2に嵌合した筒状織布3の組織を変更することにより、放射音と吸気音とのバランスが調整され、所望の放射音及び吸気音を有する吸気ダクト管1を得ることができる。また可撓性筒状体2が綾織りの場合には、平織りの場合に比べて放射音が大きく吸気音が小さい傾向にある。
【0053】
次に第二の実施例について説明する。当該実施例における可撓性筒状体2として、先の実施例における可撓性筒状体2と同様の構造で、平織り組織で織成したものを使用した。
【0054】
また筒状織布3として、250デニールのポリエステルフィラメント糸をたて糸6として753本使用し、500デニールのポリエステルフィラメント糸をよこ糸7として10cm間に330本打込んで、2/2綾織組織で織成したものと、180デニールのポリエステルフィラメント糸をたて糸として1288本使用し、これと上記よこ糸とで平織組織で織成したものとで、それぞれ内径80mm、長さ500mmの筒状に織成した。
【0055】
而して前記可撓性筒状体2の外側に所定の前記筒状織布3を所定の順序で遊嵌し、これを吸気ダクト管1として、その吸気音及び放射音を測定した。測定の結果を表4及び図8に示す。
【0056】
【表4】
【0057】
この第二の実施例によれば、少数の筒状織布3を用意するだけで、可撓性筒状体2に複数の筒状織布3を遊嵌し、その組み合わせや数を変更することにより、吸気音と放射音とのバランスを変更することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の吸気ダクト管の中央縦断面図
【図2】 従来例におけるたて糸本数を変化させることによる吸気音と放射音との変化を示すグラフ
【図3】 従来例におけるよこ糸打込み数を変化させることによる吸気音と放射音との変化を示すグラフ
【図4】 本発明の実施例において、可撓性筒状体が平織で筒状織布のたて糸本数を変化させることによる吸気音と放射音との変化を示すグラフ
【図5】 本発明の実施例において、可撓性筒状体が平織で筒状織布のよこ糸打込み数を変化させることによる吸気音と放射音との変化を示すグラフ
【図6】 本発明の実施例において、可撓性筒状体が綾織で筒状織布のたて糸本数を変化させることによる吸気音と放射音との変化を示すグラフ
【図7】 本発明の実施例において、可撓性筒状体が綾織で筒状織布のよこ糸打込み数を変化させることによる吸気音と放射音との変化を示すグラフ
【図8】 本発明の第二の実施例において、筒状織布の組み合わせ及び数を変化させることによる吸気音と放射音との変化を示すグラフ
【符号の説明】
1 吸気ダクト管
2 可撓性筒状体
3 筒状織布
4 たて糸
5 よこ糸
Claims (1)
- 環状に配置されて長さ方向に延びる複数のたて糸(4)と、当該たて糸(4)と交差して周方向に延びるよこ糸(5)とを筒状に織成してなり、前記よこ糸(5)が少なくともその一部が剛直な線状体である保形性を有する可撓性筒状体(2)と、当該可撓性筒状体(2)の外側に嵌合された、扁平に折り畳み可能な筒状織布(3)とよりなることを特徴とする、吸気ダクト管
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