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JP4347308B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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JP4347308B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数気筒を有する内燃機関及びその制御装置に関し、特に燃焼室内の圧力(筒内圧)を検出する筒内圧センサが取り付けられた内燃機関及びその制御装置に関する。
特許文献1には、筒内圧センサが取り付けられた内燃機関の着火時期検出装置が示されている。この特許文献1に示された内燃機関では、複数の気筒のうちの代表気筒に筒内圧センサが取り付けられ、その代表気筒について検出される筒内圧に基づいて、燃料の着火時期の検出が行われる。
特開2000−234558号公報
複数の気筒を有する内燃機関の筒内圧を検出し、例えば燃料噴射制御を検出した筒内圧に応じて行う場合、複数の気筒のそれぞれに筒内圧センサを取り付け、気筒毎に制御を行うことが望ましい。
しかしながら、全気筒の筒内圧センサを取り付けると、コストが上昇するだけでなく、制御装置で実行される制御処理が複雑化するという課題が発生する。したがって、上記従来の装置のように、1つの代表気筒にのみ筒内圧センサを設け、その筒内センサ出力に基づいて制御を行うことにより、このような課題を解決できる。ただし、特許文献1には代表気筒をどのようにして選択するかは記載されていなため、任意に選択した場合には、気筒間の特性ばらつきによって、例えばセンサが取り付けられていないすべての気筒における着火時期が目標着火時期に対して遅角側、あるいは進角側にずれてしまうというようなことが発生する。
本発明はこの点に着目してなされたものであり、単一の筒内圧センサを用いて動作特性の気筒間のばらつきを最小限に抑制することができる複数気筒の内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、複数の気筒を有し、燃焼室内の圧力を検出する筒内圧センサと、燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射手段とを備える内燃機関の制御装置において、前記筒内圧センサは、前記複数の気筒のうち、その圧縮比が予め設定した基準圧縮比に最も近い気筒に取り付けられており、前記燃料噴射手段により噴射された燃料の目標着火時期を算出する目標着火時期算出手段と、前記筒内圧センサの出力に基づいて前記燃料噴射手段により噴射された燃料の着火時期を検出する着火時期検出手段と、前記目標着火時期及び検出された着火時期に基づいて、使用中の燃料の燃料性状を推定する燃料性状推定手段と、推定された燃料性状に応じて前記燃料噴射手段を制御する燃料噴射制御手段とを備え、前記目標着火時期算出手段及び燃料噴射制御手段は、前記圧縮比が前記基準圧縮比である場合を基準として設定された制御マップを用いることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の内燃機関の制御装置において、前記機関のクランク軸の回転角度位置を検出する回転角度位置検出手段と、該回転角度位置検出手段の出力に基づいて前記筒内圧センサが取り付けられた気筒を判別する気筒判別手段とを備えることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、複数の気筒のうち、その圧縮比が予め設定した基準圧縮比に最も近い気筒に筒内圧センサが取り付けられている内燃機関の制御装置が提供される。この制御装置によれば、筒内圧センサの出力に基づいて、燃料の着火時期が検出され、目標着火時期及び検出された着火時期に基づいて、使用中の燃料の燃料性状が推定され、推定された燃料性状に応じて燃料噴射制御が行われ。そして目標着火時期の算出及び燃料噴射制御は、圧縮比が基準圧縮比である場合を基準として設定された制御マップを用いて行われる。筒内圧センサ出力に基づいて燃料性状の検出を行う場合、制御対象となる内燃機関の圧縮比によって検出結果が影響を受けるため、予め基準となる圧縮比(通常は設計値と一致する)を設定し、その基準圧縮比を基準として目標着火時期や燃料噴射時期のマップ設定が行われる。ところが、複数気筒の全ての気筒の圧縮比が基準圧縮比と等しくなることはほとんどなく、基準圧縮比近傍でばらつくため、基準圧縮比に最も近い気筒に筒内圧センサを設けることにより、圧縮比が基準圧縮比である場合を基準として予め設定した制御マップを用いて最も正確な燃料性状の検出、あるいは気筒間ばらつきを最小限に抑制した燃料噴射制御を行うことが可能となる。
請求項に記載の発明によれば、回転角度位置検出手段の出力に基づいて筒内圧センサが取り付けられた気筒が判別される。請求項1に記載の内燃機関では、筒内圧センサが取り付けられる気筒は、予め決まっておらず、製造工程中で圧縮比を実測して決められる。したがって、本発明により、筒内圧センサが取り付けられた気筒が自動的に判別され、当該気筒の情報を入力する手間を省くことができる。
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1及び図2は本発明の一実施形態にかかる内燃機関及びその制御装置の構成を示す図である。以下両図を合わせて参照して説明する。4気筒を有する内燃機関(以下単に「エンジン」という)1は、シリンダ内に燃料を直接噴射するディーゼルエンジンであり、各気筒に燃料噴射弁6が設けられている。燃料噴射弁6は、電子制御ユニット(以下「ECU」という)4に電気的に接続されており、燃料噴射弁6の開弁時間及び開弁時期は、ECU4により制御される。
エンジン1は、吸気管22、排気管24、及び過給機28を備えている。過給機28は、排気の運動エネルギにより駆動されるタービン30と、タービン30により回転駆動され、吸気の圧縮を行うコンプレッサ29とを備えている。
タービン30は、複数の可変ベーン(図示せず)を備えており、可変ベーンの開度を変化させることにより、タービン回転数(回転速度)を変更できるように構成されている。タービン30のベーン開度は、ECU4により電磁的に制御される。
吸気管22の、コンプレッサ29の下流には加圧された空気を冷却するためのインタークーラ25が設けられている。
排気管24のタービン30の上流側と、吸気管22との間には、排気を吸気管22に還流する排気還流通路26が設けられている。排気還流通路26には、排気還流量を制御するための排気還流制御弁(以下「EGR弁」という)27が設けられている。EGR弁27は、ソレノイドを有する電磁弁であり、その弁開度はECU4により制御される。
吸気管22には吸入空気流量GAを検出する吸入空気流量センサ31、及び過給機28の下流側における吸気管内圧力(過給圧)PBを検出する過給圧センサ32が設けられている。これらのセンサの検出信号は、ECU4に供給される。
エンジン1の1つの気筒には、筒内圧(燃焼圧力)を検出する筒内圧センサ2が設けられている。筒内圧センサ2を取り付ける気筒は、以下のような手順でエンジン1の組み立て中に決定される。
1)各気筒にピストン及びコンロッドを組み付ける。
2)各気筒の圧縮比を計測し、予め設定された基準圧縮比に最も近い圧縮比の気筒(以下「センサ取付気筒」という)を選択する。
3)センサ取付気筒の圧縮比が、さらに基準圧縮比に近くなるように、ガスケットを選定して組み付ける。
4)センサ取付気筒に、筒内圧センサ2を取り付ける。
なお本実施形態では、筒内圧センサ2は、当該気筒に設けられるグロープラグと一体に構成されており、センサ取付気筒についてのみ筒内圧センサ2と一体化されたグロープラグが取り付けられ、他の気筒には通常のグロープラグが取り付けられる。筒内圧センサ2の検出信号は、ECU4に供給される。なお、筒内圧センサ2の検出信号は、実際には、筒内圧PCYLのクランク角度(時間)に対する微分信号に相当するものであり、筒内圧PCYLは、筒内圧センサ出力を積分することにより得られる。
またエンジン1には、クランク軸(図示せず)の回転角度を検出するクランク角度位置センサ3が設けられている。クランク角度位置センサ3は、クランク角1度毎にパルスを発生し、そのパルス信号はECU4に供給される。クランク角度位置センサ3から出力されるパルス信号は、特定気筒(例えば#1気筒)の所定クランク角度位置に対応した360度周期のパルスの抜け部分を含んでおり、この抜け部分を用いて気筒判別が行われる。
さらにエンジン1のカム軸(図示せず)の回転角度を検出するカム軸角度位置センサ7が設けられている。カム軸角度位置センサ7は、前記クランク角度位置センサ3の出力パルスの抜け部分とほぼ同一のクランク角度位置で720度周期のパルスを出力し、ECU4に供給する。
ECU4には、エンジン1により駆動される車両のアクセルペダルの操作量APを検出するアクセルセンサ33、エンジン1の冷却水温TWを検出する冷却水温センサ34、当該車両の車速VPを検出する車速センサ35、排気中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサ(図示せず)、及びエンジン1の吸気温TAを検出する吸気温センサ(図示せず)が接続されており、これらのセンサの検出信号がECU4に供給される。
ECU4は、エンジン1の各気筒の燃焼室に設けられた燃料噴射弁6の制御信号を駆動回路5に供給する。駆動回路5は、燃料噴射弁6に接続されており、ECU4から供給される制御信号に応じた駆動信号を、燃料噴射弁6に供給する。これにより、ECU4から出力される制御信号に応じた燃料噴射時期において、前記制御信号に応じた燃料噴射量だけ燃料が、各気筒の燃焼室内に噴射される。
ECU4は、増幅器10と、A/D変換部11と、パルス生成部13と、CPU(Central Processing Unit)14と、CPU14で実行されるプログラムを格納するROM(Read Only Memory)15と、CPU14が演算結果などを格納するRAM(Random Access Memory)16と、入力回路17と、出力回路18とを備えている。筒内圧センサ2の検出信号は、増幅器10に入力される。増幅器10は、入力される信号を増幅する。増幅器10により増幅された信号は、A/D変換部11に入力される。また、クランク角度位置センサ3から出力されるパルス信号は、パルス生成部13に入力され、カム軸角度位置センサ7の出力パルスは、CPU14に入力される。
A/D変換部11は、バッファ12を備えており、増幅器10から入力される筒内圧センサ出力をディジタル値(以下「圧力変化率」という)dp/dθに変換し、バッファ12に格納する。より具体的には、A/D変換部11には、パルス生成部13から、クランク角1度周期のパルス信号(以下「1度パルス」という)PLS1が供給されており、この1度パルスPLS1の周期で筒内圧センサ出力をサンプリングし、ディジタル値に変換してバッファ12に格納する。
一方、CPU14には、パルス生成部13から、クランク角6度周期のパルス信号PLS6が供給されており、CPU14はこの6度パルスPLS6の周期でバッファ12に格納されたディジタル値を読み出す処理を行う。すなわち、本実施形態では、A/D変換部11からCPU14に対して割り込み要求を行うのではなく、CPU14が6度パルスPLS6の周期で読出処理を行う。
入力回路17は、各種センサの検出信号をディジタル値に変換し、CPU14に供給する。なお、エンジン回転数NEは、6度パルスPLS6の周期から算出される。またエンジン1の要求トルクTRQは、アクセルペダル操作量APに応じて算出される。
CPU14は、エンジン運転状態に応じて目標排気還流量GEGRを算出し、目標排気還流量GEGRに応じてEGR弁27の開度を制御するデューティ制御信号を、出力回路18を介してEGR弁27に供給する。
図3は、目標排気還流量(以下「目標EGR量」という)GEGR及び燃料噴射弁6による主噴射時期CAIMを算出するモジュールの構成を示すブロック図である。このモジュールの機能は、CPU14で実行される処理により実現される。
図3に示すモジュールは、目標EGR量GEGRを算出する目標EGR量算出部36と、主噴射時期CAIMを算出する主噴射時期算出部37と、使用中の燃料のセタン価CETを推定し、推定したセタン価CETに応じて補正係数KCETを算出する補正係数算出部38とからなる。
目標EGR量算出部36は、目標EGR量マップ値算出部41と、EGR補正量マップ値算出部42と、乗算部43と、スイッチ部44、46と、加算部45とを備えている。目標EGR量マップ値算出部41は、エンジン回転数NE及び要求トルクTRQに応じて予め設定されたGEGRMマップを検索して、目標EGR量マップ値GEGRMを算出する。GEGRMマップは、第1のセタン価、例えばセタン価「57」程度の高セタン価の燃料を基準として設定されている。
EGR補正量マップ値算出部42は、エンジン回転数NE及び要求トルクTRQに応じて予め設定されたGCMマップを検索して、EGR補正量マップ値GCMを算出する。GCMマップは、第2のセタン価、例えばセタン価「40」程度の低セタン価の燃料を基準として、例えば1セタン価当たり15%程度補正するように設定されている。乗算部43は、補正係数算出部38で算出される、使用中の燃料のセタン価CETに応じた補正係数KCETを、EGR補正量マップ値GCMに乗算することにより、EGR補正量GCを算出する。
加算部45は、目標EGR量マップ値GEGRMにEGR補正量GCを加算することにより、目標EGR量GEGRを算出する。スイッチ部44及び46には、切換制御信号SCTLが供給されている。切換制御信号SCTLが低レベル(「0」)であるときは、スイッチ部44は図示したようにオン状態を維持し、スイッチ部46は加算部45の出力を選択する。切換制御信号SCTLは、図4に示す処理により、使用している燃料のセタン価推定処理を実行するとき「1」に設定され、それ以外のとき「0」に設定される。したがって、セタン価推定処理を実行するときは、スイッチ部44はオフ状態となり、スイッチ部46は入力”0”(EGR弁全閉を意味する)を選択する。これにより、セタン価推定処理を実行するときは、排気還流が停止される。
図4のステップS11では、セタン価推定処理に必要なセンサ(クランク角度位置センサ3、アクセルセンサ21、筒内圧センサ2)の故障が検知されているか否かを判別する。この答が肯定(YES)のときは、切換制御信号SCTLを「0」に設定する(ステップS17)。センサの故障が検知されていないときは、エンジン1により駆動される車両が定常走行中であるか否かを判別する(ステップS12)。定常走行中であるときは、エンジン1の運転状態が予混合燃焼領域にあるか否かを判別する(ステップS13)。予混合燃焼は、燃料を噴射した時点から遅れ時間経過後にその燃料が燃焼するような燃焼を意味し、例えば図5にハッチングを付して示す領域、すなわちに要求トルクTRQが所定トルクTRQ1(例えば60Nm)以下で、かつエンジン回転数NEが第1所定回転数NE1(例えば1200rpm)から第2所定回転数NE2(例えば2300rpm)までの範囲にある領域が、予混合燃焼領域となる。予混合燃焼領域においては、燃料のセタン価の違いによる着火時期の差が大きくなるので、着火遅れに基づくセタン価の推定を正確に行うことができる。
ステップS13の答が肯定(YES)であるときは、過給圧PBが所定範囲内(例えば目標圧力値の±5%の範囲内)にあるか否かを判別する。この答が肯定(YES)であるときは、他のエンジン運転パラメータがパラメータ毎に決めれた所定範囲内にあるか否かを判別する。例えば、検出される新気流量GAが目標値の±5%以内か否か、酸素濃度センサにより検出される空燃比AFが目標値の±5%以内か否か、スワール弁(図示せず)の開度が目標値の±5%以内か否か、燃料圧PFが目標値の±5%以内か否かを判別する。そして、すべての運転パラメータが所定範囲内にあるときは、セタン価推定の実行条件成立と判定し、切換制御信号SCTLを「1」に設定する(ステップS16)。切換制御信号SCTLが「1」に設定されると、上述したようにスイッチ部64がオンし、セタン価の推定処理が実行される。また、スイッチ部44及び54はオフされるとともに、スイッチ部46は、入力”0”を選択する。
ステップS12〜S15の何れかの答が否定(NO)であるときは、ステップS17に進み、切換制御信号SCTLを「0」に設定する。
図4の処理によれば、エンジン1の運転状態が予混合燃焼領域にあり、かつ過給圧PBが所定範囲内にあるとき、他の条件(ステップS11,S12,及びS15)も満たされると、セタン価の推定処理の実行が許可される。エンジン運転状態が予混合燃焼領域にあることを条件とすることにより、燃料のセタン価の違いによる着火時期の差が大きくなり、着火遅れに基づくセタン価の推定を正確に行うことができる。また、燃料の着火時期は過給圧の変化の影響を受け易いので、過給圧PBが所定範囲外にあるときは、セタン価の推定を行わないようにすることにより、過給機28の特性変化や不具合に起因して燃料のセタン価を誤判定することを防止することができる。
図3に戻り、主噴射時期算出部37は、主噴射時期マップ値算出部51と、着火遅れ補正マップ値算出部52と、乗算部53と、スイッチ部54と、加算部55とを備えている。主噴射時期マップ値算出部51は、エンジン回転数NE及び要求トルクTRQに応じて予め設定されたCAIMMマップを検索して、主噴射時期マップ値CAIMMを算出する。CAIMMマップは、前記第1のセタン価の燃料を基準として設定されている。
着火遅れ補正マップ値算出部52は、エンジン回転数NE及び要求トルクTRQに応じて予め設定されたCADMマップを検索して、着火遅れ補正マップ値CADMを算出する。CADMマップは、前記第2のセタン価の燃料を基準として、例えば1セタン価当たり0.15度程度補正するように設定されている。乗算部53は、補正係数算出部38で算出される補正係数KCETを、着火遅れ補正マップ値CADMに乗算することにより、着火遅れ補正量CADを算出する。スイッチ部54は、スイッチ部44と同様に切換制御信号SCTLによりオンオフ制御される。
加算部55は、主噴射時期マップ値CAIMMに着火遅れ補正量CADを加算する(着火遅れ補正量CADだけ進角させる)ことにより、主噴射時期CAIMを算出する。
補正係数算出部38は、目標主噴射着火時期マップ値算出部61と、着火時期検出部62と、減算部63と、スイッチ部64と、フィルタ処理部65と、セタン価推定部66と、KCET算出部67とを備えている。目標主噴射着火時期マップ値算出部61は、エンジン回転数NE及び要求トルクTRQに応じて予め設定されたCAFMMマップを検索して、目標主噴射着火時期マップ値CAFMMを算出する。CAFMMマップは、前記第1のセタン価の燃料を基準として設定されている。着火時期検出部62は、筒内圧センサ2の出力信号をディジタル値に変換した圧力変化率dp/dθに応じて主噴射着火時期CAFMを検出する。この検出手法は、図6〜図8を参照して後述する。
減算部63は、目標主噴射着火時期マップ値CAFMMから検出された主噴射着火時期CAFMを減算することにより、着火遅れ角DCAMを算出する。スイッチ部64は、切換制御信号SCTLにより切換制御されるが、オンオフがスイッチ部44または54と逆であり、切換制御信号SCTLが「0」のときオフ状態であり、「1」のときオン状態となる。フィルタ処理部65は、比較的長い時間(10〜60秒)かけて得た着火遅れ角DCAMのデータを、最小2乗法演算または移動平均化演算によりフィルタ処理を施す。フィルタ処理後の着火遅れ角DCAMFとする。
セタン価推定部66は、着火遅れ角DCAMFをエンジン回転数NEを用いて、着火遅れ時間TDFMに変換し、着火遅れ時間TDFMに応じて図に示すCETテーブルを検索し、セタン価CETを算出する。セタン価推定部66は、さらにセタン価CETを下記式(1)に適用し、セタン価学習値CETLRNを算出する。
CETLRN=α×CET+(1−α)×CETLRN (1)
ここで、αは0から1の間の値に設定されるなまし係数、右辺のCETLRNは、前回算出値である。
なお、給油が行われたときは、セタン価学習値CETLRNは、市場で取引さている燃料のセタン価の中の最小値CET0(例えば40)に初期化され、その後の学習により、使用中の燃料のセタン価を示す値に収束する。最小値CET0に初期化することにより、以下に説明する燃料噴射時期の制御に使用した場合に、エンジンの冷間始動時において、最も着火し難い燃料でも確実に着火させることができる。
記式(1)により、検出タイミングが異なるセタン価CETの平均化が行われ、セタン価学習値CETLRNが算出される。なお、セタン価推定処理が実行されないときは、記憶されている最新のセタン価学習値CETLRNが、セタン価推定部66から出力される。
KCET算出部67は、セタン価学習値CETLRNを下記式(2)に適用し、補正係数KCETを算出する。
KCET=(CETH−CETLRN)/(CETH−CET0) (2)
ここで、CETHは、上述したCAIMMマップ及びCADMマップの設定の基準とした高セタン価燃料のセタン価(例えば57)である。したがって、セタン価学習値CETLRNが基準高セタン価CETHに等しいときは、補正係数KCETは「0」となり、基準低セタン価CET0に等しいときは、補正係数KCETは「1.0」となる。
図6は、着火時期検出部62の構成を示すブロック図である。着火時期検出部62は、バンドパスフィルタ部71と、位相遅れ補正部72と、着火時期判定部73とからなる。バンドパスフィルタ部71には、筒内圧センサ2から出力される圧力変化率dp/dθが入力される。図7に示す波形W1が入力波形を示し、波形W2が出力波形を示す。バンドパスフィルタ部71では、位相遅れが発生するため、位相遅れ補正部72では、この遅れを補正する。
着火時期判定部73は、パイロット噴射に対応して、圧力変化率dp/dθがピーク値を示すクランク角度位置(以下「パイロット噴射着火時期」という)CAFPと、主噴射に対応して、圧力変化率dp/dθがピーク値を示すクランク角度位置(以下「主噴射着火時期」という)CAFMとを判定する。具体的には、図8(c)に示すように、位相遅れ補正部72から出力される圧力変化率dp/dθがパイロット検出閾値DPPを超えたクランク角を、パイロット噴射着火時期CAFPと判定し、圧力変化率dp/dθがメイン検出閾値DPMを超えたクランク角を、主噴射着火時期CAFMと判定する。本実施形態では、主噴射着火時期CAFMのみが、セタン価CETの推定に使用される。
図8(a)及び(b)には、クランク角CAIPから開始されるパイロット噴射パルスINJP、及びクランク角CAIMから開始される主噴射パルスINJMが示されており、同図(c)には着火時期CAFP,CAFMを検出する角度範囲RDET(例えば10度)が示されている。このように、検出角度範囲RDETを比較的狭い範囲に限定することにより、CPU14の演算負荷を増大させることなく、着火時期を正確に判定することができる。
上述した制御に使用される制御マップ(CAIMMマップ、CADMマップ、CAFMMマップ、GEGRMマップ、GCMマップ)は、いずれも圧縮比が基準圧縮比である場合を基準として設定されている。
図10は、筒内圧センサ2を取り付けた気筒をCPU14が判別する手法を説明するためのタイムチャートであり、#1気筒に筒内圧センサ2が取り付けられている例に対応する。同図(a)〜(c)は、それぞれカム軸角度位置センサ7の出力パルスSCAM(720度周期)、クランク角度位置センサ3の出力パルスに基づいて生成される6度パルスPLS6、及び筒内圧センサ出力を積分して算出される筒内圧PCYL1の推移を示す。本実施形態では、#1気筒の筒内圧PCYL1が最大となるクランク角度CAPMAX1と、パルス抜け部分の直後の基準クランク角度CAREFとの角度間隔DCAPMAXが、所定角度CA#1(例えば108度)となるように設定されている。
したがって、角度間隔DCAPMAXを計測し、計測した角度間隔DCAPMAXに基づいて、以下のように筒内圧センサ2が取り付けられた気筒を判別することができる。これにより、筒内圧センサの取付後に、取付気筒の情報をECU4に入力する手間を省くことができる。
1)DCAPMAXがCA#1±30degの範囲内にあるとき、#1気筒
2)DCAPMAXが(CA#1+180)±30degの範囲内にあるとき、#3気筒
3)DCAPMAXが(CA#1+360)±30degの範囲内にあるとき、#4気筒
4)DCAPMAXが(CA#1+540)±30degの範囲内にあるとき、#2気筒
以上詳述したように、本実施形態では、4つの気筒の圧縮比を計測し、計測した圧縮比が基準圧縮比に最も近い気筒に筒内圧センサ2を取り付けるようにしたので、基準圧縮比を基準として予め設定した制御マップ(CAIMMマップ、CADMマップ、GEGRMマップ、GCMマップ、CAFMMマップ)を用いて最も正確なセタン価の検出(推定)、あるいは気筒間ばらつきを最小限に抑制した燃料噴射制御及び排気還流量制御を行うことが可能となる。
また、セタン価推定処理は、エンジン運転状態が予混合燃焼領域にあること、及び過給圧PBが所定範囲内にあることを含む実行条件が成立するとき実行されるので、燃料のセタン価の違いによる着火時期の差が大きくなり、着火遅れに基づくセタン価の推定を正確に行うことができ、また過給機28の特性変化や不具合に起因して燃料のセタン価を誤判定することを防止することができる。
本実施形態では、燃料噴射弁6が燃料噴射手段を構成し、ECU4が燃料噴射制御手段、目標着火時期算出手段、燃料性状推定手段、及び着火時期検出手段の一部を構成する。目標主噴射着火時期マップ値算出部61が目標着火時期算出手段に相当し、筒内圧センサ2及び着火時期検出部62が着火時期検出手段に相当し、主噴射時期算出部37が燃料噴射制御手段に相当する。また減算部63、フィルタ処理部65、センタ価推定部66が燃料性状推定手段に相当する。
なお本発明は上述した実施形態に限るものではなく、種々の変形が可能である。例えば、主噴射に対応する主噴射着火時期CAFMに基づいて、セタン価推定を行っているが、パイロット噴射に対応するパイロット噴射着火時期CAFPに基づいて、セタン価推定を行うようにしてもよい。また、パイロット噴射時期を、推定したセタン価に応じて補正するようにしてもよい。
また上述した実施形態では、GEGRMマップ及びCAIMMマップを高セタン価の燃料を基準として設定し、GCMマップ及びCADMマップを低セタン価の燃料を基準として設定したが、逆にGEGRMマップ及びCAIMMマップを低セタン価の燃料を基準として設定し、GCMマップ及びCADMマップを高セタン価の燃料を基準として設定するようにしてもよい。
また着火遅れ時間TDFMは、燃料のセタン価だけでなく、燃料噴射弁6の劣化によっても変化する。したがって、着火遅れ時間TDFMは、当該車両の走行距離またはエンジン1の運転時間の積算値などに応じて補正することが望ましい。
また上述した実施形態では、4気筒のディーゼル内燃機関の例を示したが、これに限るものではなく、気筒数の異なるディーゼル内燃機関、あるいは、クランク軸を鉛直方向とした船外機などのような船舶推進機用エンジンなどの制御にも適用が可能である。
本発明の一実施形態にかかる内燃機関及びその制御装置の構成を示す図である。 図1に示す制御装置の一部の構成をより具体的に示す図である。 目標排気還流量(GEGR)及び主噴射時期(CAIM)を算出するモジュールの構成を示すブロック図である。 図3の示すスイッチ部に供給する切換制御信号(SCTL)の設定を行う処理のフローチャートである。 予混合燃焼領域を説明するための図である。 図3に示す着火時期検出部の構成を示すブロック図である。 筒内圧センサ出力のバンドパスフィルタ処理を説明するためのタイムチャートである。 着火時期の検出手法を説明するためのタイムチャートである。 着火遅れ時間(TDFM)からセタン価(CET)を算出するためのテーブルを示す図である。 筒内圧センサを取り付けた気筒を判別する手法を説明するためのタイムチャートである。
符号の説明
1 内燃機関
2 筒内圧センサ(着火時期検出手段)
3 クランク角度位置センサ(回転角度位置検出手段)
4 電子制御ユニット(燃料噴射制御手段、目標着火時期算出手段、着火時期検出手段、気筒判別手段)
6 燃料噴射弁(燃料噴射手段)
7 カム軸角度位置センサ(回転角度位置検出手段)
37 主噴射時期値算出部(燃料噴射制御手段)
61 目標主噴射着火時期マップ値算出部(目標着火時期算出手段)
62 着火時期検出部(着火時期検出手段)

Claims (2)

  1. 複数の気筒を有し、燃焼室内の圧力を検出する筒内圧センサと、燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射手段とを備える内燃機関の制御装置において
    前記筒内圧センサは、前記複数の気筒のうち、その圧縮比が予め設定した基準圧縮比に最も近い気筒に取り付けられており、
    前記燃料噴射手段により噴射された燃料の目標着火時期を算出する目標着火時期算出手段と、
    前記筒内圧センサの出力に基づいて前記燃料噴射手段により噴射された燃料の着火時期を検出する着火時期検出手段と、
    前記目標着火時期及び検出された着火時期に基づいて、使用中の燃料の燃料性状を推定する燃料性状推定手段と、
    推定された燃料性状に応じて前記燃料噴射手段を制御する燃料噴射制御手段とを備え、
    前記目標着火時期算出手段及び燃料噴射制御手段は、前記圧縮比が前記基準圧縮比である場合を基準として設定された制御マップを用いることを特徴とする内燃機関の制御装置
  2. 前記機関のクランク軸の回転角度位置を検出する回転角度位置検出手段と、該回転角度位置検出手段の出力に基づいて前記筒内圧センサが取り付けられた気筒を判別する気筒判別手段とを備えることを特徴とする請求項に記載の内燃機関の制御装置。
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