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JP4430626B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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JP4430626B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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本発明は内燃機関の制御装置に関し、特に使用中の燃料の燃料性状(セタン価)を推定する機能を有するものに関する。
特許文献1には、予混合燃焼を行う圧縮着火内燃機関の制御装置が示されている。この装置によれば、予混合燃焼中に燃料の実着火時期を検出し、予め設定された標準燃料着火時期との差である着火時期誤差及び該着火時期誤差のばらつきに応じて、使用中の燃料の性状が判定される。
特開2005−171818号公報
予混合燃焼を行う機関運転領域は、機関運転領域の全体からみると比較的狭い。そのため上記従来の装置では、燃料性状の判定の実行時期が遅れて、燃料噴射時期が燃料性状に適していない設定となり、失火が発生する可能性がある。また、燃料性状の判定は、実着火時期の検出を多数回実行し、その検出結果の平均値(学習値)を用いて行うことが望ましいが、機関運転状態が変化すると、正確な着火時期検出を規定回数連続して実行することは容易ではない。
本発明は、この点に着目してなされたものであり、燃料性状、具体的には使用中の燃料のセタン価の学習を適切に実行し、使用中の燃料に適した制御を早期に開始することができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、内燃機関(1)の燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射手段(6)を備えた内燃機関の制御装置において、前記燃料噴射手段により噴射された燃料の着火時期(CAFM)を検出する着火時期検出手段と、検出される着火時期(CAFM)に応じて使用中の燃料のセタン価(CET)推定し、該推定したセタン価(CET)のなまし演算を行うことにより学習値(CETLRN)を算出するセタン価学習手段と、前記セタン価学習手段により算出される学習値(CETLRN)を用いて、少なくとも前記燃料噴射手段による燃料噴射時期の制御を含む前記機関の制御を行う制御手段とを備え、前記セタン価学習手段は、前記セタン価の学習が完了するまでは、算出された学習値を仮学習値(CETLRNT)として記憶し、検出着火時期(DAFM)に応じた前記セタン価の連続推定回数(CLRN)が第1所定値(CL1)に達した時点から前記仮学習値(CETLRNT)の記憶を開始し、前記セタン価の連続推定回数(CLRN)が前記第1所定値(CL1)より大きい第2所定値(CL2)に達したとき、前記学習が完了したと判定してその時点の学習値(CETLRN)を完全学習値(CETLRNC)として記憶し、前記学習が完了するまでは前記仮学習値(CETLRNT)の更新を継続し、前記制御手段は前記学習が完了するまでの間、前記仮学習値(CETLRNT)を用いて前記制御を行い、前記学習が完了した時点から前記完全学習値(CETLRNC)を用いて前記制御を行うことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、前記セタン価の学習は、給油直後において前記機関がアイドル運転状態にあるときに前記燃料噴射手段による燃料噴射の態様を変更して実行され、前記学習完了後は、次に給油が行われるまで前記セタン価の学習を行わないことを特徴とする
請求項1に記載の発明によれば、検出される着火時期に応じて使用中の燃料のセタン価が推定され、推定されたセタン価のなまし演算を行うことにより学習値が算出され、該算出される学習値を用いて、少なくとも燃料噴射手段による燃料噴射時期の制御を含む機関の制御が行われる。セタン価の学習が完了するまでは、算出された学習値が仮学習値として保持され、学習が完了するまでの間、仮学習値を用いて制御が行われる。したがって、例えば給油直後においては、学習が完了するまで前回の学習値あるいは予め設定された学習値を用いて制御を行うような場合に比べて、学習値と実際のセタン価との極端なずれが発生し難く、比較的安定した制御を行うことができる。また、検出着火時期に応じたセタン価の連続推定回数が第1所定値に達した時点から仮学習値の記憶が開始され、セタン価の連続推定回数が第1所定値より大きい第2所定値に達したときに得られた学習値が完全学習値として記憶され、制御に使用される。すなわち、機関運転状態の安定した状態が比較的長い時間継続してセタン価の連続推定回数が第2所定値に達したときに、学習が完了したと判定されるので、最終的に信頼性の高い完全学習値が得られる一方、それまでの間は完全学習値ほどではないが比較的信頼性の高い仮学習値により、比較的安定した制御を行うことができる。さらに、学習が完了するまでは仮学習値の更新を継続することにより、セタン価学習の実行条件の成立/不成立が繰り返されるような場合でも徐々に仮学習値の精度を高めることができる。
請求項2に記載の発明によれば、セタン価の学習は、給油直後において機関がアイドル運転状態にあるときに燃料噴射手段による燃料噴射の態様を変更して実行され、学習完了後は、次に給油が行われるまでセタン価の学習が行われない
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1及び図2は本発明の一実施形態にかかる内燃機関と、その制御装置の構成を示す図である。以下両図を合わせて参照して説明する。内燃機関(以下「エンジン」という)1は、シリンダ内に燃料を直接噴射するディーゼルエンジンであり、各気筒に燃料噴射弁6が設けられている。燃料噴射弁6は、電子制御ユニット(以下「ECU」という)4に電気的に接続されており、燃料噴射弁6の開弁時期及び開弁時間は、ECU4により制御される。
エンジン1は、吸気管7,排気管8、及びターボチャージャ9を備えている。ターボチャージャ9は、排気の運動エネルギにより回転駆動されるタービンと、タービンとシャフトを介して連結されたコンプレッサとを備えている。ターボチャージャ9は、エンジン1に吸入される空気の加圧(圧縮)を行う。
吸気管7のコンプレッサ下流側にはインタークーラ21が設けられ、さらにインタークーラ21の下流側には、スロットル弁22が設けられている。スロットル弁22は、アクチュエータ23により開閉駆動可能に構成されており、アクチュエータ23はECU4に接続されている。ECU4は、アクチュエータ23を介して、スロットル弁22の開度制御を行う。
排気管8と吸気管7との間には、排気ガスを吸気管7に還流する排気還流通路25が設けられている。排気還流通路25には、排気還流量を制御するための排気還流弁(以下[EGR弁」という)26が設けられている。EGR弁26は、ソレノイドを有する電磁弁であり、その弁開度はECU4により制御される。EGR弁26には、その弁開度(弁リフト量)LACTを検出するリフトセンサ27が設けられており、その検出信号はECU4に供給される。排気還流通路25及びEGR弁26より、排気還流機構が構成される。
吸気管7には、吸入空気量GAを検出する吸入空気量センサ31、コンプレッサの下流側の吸気圧(過給圧)PBを検出する過給圧センサ32、及び吸気圧PIを検出する吸気圧センサ33が設けられ、排気管8には排気温TEを検出する排気温センサ34が設けられている。これらのセンサ31〜34は、ECU4と接続されており、センサ31〜34の検出信号は、ECU4に供給される。
排気管8の、タービンの下流側には、排気ガス中に含まれる炭化水素などの酸化を促進する触媒コンバータ28と、粒子状物質(主としてすすからなる)を捕集する粒子状物質フィルタ29とが設けられている。
エンジン1の各気筒には、筒内圧(燃焼圧力)を検出する筒内圧センサ2が設けられている。本実施形態では、筒内圧センサ2は、各気筒に設けられるグロープラグと一体に構成されている。筒内圧センサ2の検出信号は、ECU4に供給される。なお、筒内圧センサ2の検出信号は、実際には、筒内圧PCYLのクランク角度(時間)に対する微分信号に相当するものであり、筒内圧PCYLは、筒内圧センサ出力を積分することにより得られる。
またエンジン1には、クランク軸(図示せず)の回転角度を検出するクランク角度位置センサ3が設けられている。クランク角度位置センサ3は、クランク角1度毎にパルスを発生し、そのパルス信号はECU4に供給される。クランク角度位置センサ3は、さらに特定気筒の所定クランク角度位置で気筒識別パルスを生成して、ECU4に供給する。
ECU4には、エンジン1により駆動される車両のアクセルペダルの操作量APを検出するアクセルセンサ35、エンジン1の冷却水温TWを検出する冷却水温センサ36、エンジン1の潤滑油の温度TOILを検出する油温センサ37、排気中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサ(図示せず)、及びエンジン1の吸気温TAを検出する吸気温センサ(図示せず)がなど接続されており、これらのセンサの検出信号がECU4に供給される。
ECU4は、エンジン1の各気筒の燃焼室に設けられた燃料噴射弁6の制御信号を駆動回路5に供給する。駆動回路5は、燃料噴射弁6に接続されており、ECU4から供給される制御信号に応じた駆動信号を、燃料噴射弁6に供給する。これにより、ECU4から出力される制御信号に応じた燃料噴射時期において、前記制御信号に応じた燃料噴射量だけ燃料が、各気筒の燃焼室内に噴射される。ECU4は、通常は1つの気筒についてパイロット噴射及び主噴射を実行する。
ECU4は、増幅器10と、A/D変換部11と、パルス生成部13と、CPU(Central Processing Unit)14と、CPU14で実行されるプログラムを格納するROM(Read Only Memory)15と、CPU14が演算結果などを格納するRAM(Random Access Memory)16と、入力回路17と、出力回路18とを備えている。筒内圧センサ2の検出信号は、増幅器10に入力される。増幅器10は、入力される信号を増幅する。増幅器10により増幅された信号は、A/D変換部11に入力される。また、クランク角度位置センサ3から出力されるパルス信号は、パルス生成部13に入力される。
A/D変換部11は、バッファ12を備えており、増幅器10から入力される筒内圧センサ出力をディジタル値(以下「圧力変化率」という)dp/dθに変換し、バッファ12に格納する。より具体的には、A/D変換部11には、パルス生成部13から、クランク角1度周期のパルス信号(以下「1度パルス」という)PLS1が供給されており、この1度パルスPLS1の周期で筒内圧センサ出力をサンプリングし、ディジタル値に変換してバッファ12に格納する。
一方、CPU14には、パルス生成部13から、クランク角6度周期のパルス信号PLS6が供給されており、CPU14はこの6度パルスPLS6の周期でバッファ12に格納されたディジタル値を読み出す処理を行う。すなわち、本実施形態では、A/D変換部11からCPU14に対して割り込み要求を行うのではなく、CPU14が6度パルスPLS6の周期で読出処理を行う。
入力回路17は、各種センサの検出信号をディジタル値に変換し、CPU14に供給する。なお、エンジン回転数NEは、6度パルスPLSの周期から算出される。またエンジン1の要求トルクTRQは、アクセルペダル操作量APに応じて算出される。
CPU14は、エンジン運転状態に応じてスロットル弁22、EGR弁26などを制御する制御信号を、出力回路18を介して出力する。さらにCPU14は、以下に説明するように使用中の燃料のセタン価を学習する処理を実行し、学習したセタン価に応じた燃料噴射制御及び排気還流量制御を行う。
図3及び図4は、セタン価推定処理の手順を示すフローチャートである。ステップS11では、給油直後であるか否かを判別する。給油直後であることは、燃料メータの増加、またはフィラーキャップの開閉、及びエンジンスイッチのオフからオンへの変化に基づいて判定される。ステップS11の答が肯定(YES)であるときは、学習フラグFLRNを「0」に設定する(ステップS12)。学習フラグFLRNは、セタン価の学習が完了したとき、「1」に設定される(ステップS34参照)。給油直後でないときは、ステップS11から直ちにステップS13に進む。
ステップS13では、学習フラグFLRNが「1」であるか否かを判別し、その答が肯定(YES)であるときは、燃焼室の壁面温度推定値(以下単に「壁面温度」という)TWALLを算出する(ステップS16)。具体的には、燃料噴射量TOUT及びエンジン回転数NEに応じて基本値を算出し、エンジン冷却水温TW、エンジンオイル温度TOIL、排気温TE、及び吸気温TAに応じて基本値を補正することにより、壁面温度TWALLを算出する。壁面温度TWALLは、ステップS17で参照される。
続くステップS22では、カウンタCLRNの値を「0」に設定する。その後本処理を終了する。カウンタCLRNは、推定セタン価CETの連続算出回数を計数するカウンタであり、後述するステップS29でインクリメントされ、ステップS30及びS31で参照される。
ステップS13でFLRN=0であって、セタン価の学習が完了していないときは、エンジン1の始動時点から所定時間TSF(例えば2分)が経過したか否かを判別する。所定時間TSFは、給油後に燃料供給系の残留燃料が完全に入れ替わるのに要する時間に応じて設定される。ステップS14の答が否定(NO)であるときは前記ステップS16に進む。
エンジン1の始動後所定時間TSFが経過しているときは、ステップS15に進み、エンジン1がアイドル状態にあるか否かを判別する。この答が否定(NO)であるときは、前記ステップS16に進む。
エンジン1の運転状態がアイドル状態であるときは、ステップS15からステップS17に進み、壁面温度TWALLが所定温度TWLTH(例えば100℃)より低いか否かを判別する。この答が肯定(YES)であるときは、ステップS20に進む。
ステップS17で、TWALL≧TWLTHであるときは、所定時間ΔTWAIT(例えば30秒)待機し(ステップS18)、壁面温度TWALLを設定低下量ΔTだけ低下させる(ステップS19)。その後ステップS15に戻る。設定低下量ΔTは、壁面温度TWALLが高いほど大きな設定される。
ステップS17〜19を繰り返し実行し、ステップS17の答が肯定(YES)となると、ステップS20に進む。
ステップS20では、グロープラグの通電中であるか否かを判別し、その答が肯定(YES)であるときは、前記ステップS22に進む。グロープラグの通電中でないときは、ステップS21に進み、セタン価推定を安定して実行するための所定実行条件が成立するか否かを判別する。この所定実行条件は、例えば排気温TEが所定温度TE0(例えば約90℃)以上であり、かつエンジン1の暖機状態を示す冷却水温TWまたは油温TOILが所定温度TWUP(例えば80℃)以上であるとき成立する。ステップS21の答が否定(NO)であるときは、前記ステップS22に進む。
所定実行条件が成立しているときは、ステップS21からステップS23に進み、パイロット噴射を停止し、シングル噴射とする。すなわち、1気筒1サイクル当たりの燃料噴射回数NINJを1回とし、さらに主噴射時期を通常より進角方向に変更する(ステップS24)。このように燃料噴射をシングル噴射として、燃料噴射時期を通常より進角させることにより、セタン価の違いによる着火時期の差を検出し易くすることができる。
ステップS25では、エンジン回転数NE及び要求トルクTRQに応じてCAFMMマップ(図示せず)を検索し、基準着火時期CAFMMを算出する。CAFMMマップは、例えば平均的なセタン価(例えば47)の燃料を基準として設定されている。ステップS26では、基準着火時期CAFMMから実着火時期CAFMを減算することにより、着火遅れ角DCAを算出する。
図5は、実着火時期CAFMを算出(検出)する着火時期算出モジュールの構成を示すブロック図である。着火時期算出モジュールの機能は、CPU14による演算処理により実現される。着火時期算出モジュールは、バンドパスフィルタ部71と、位相遅れ補正部72と、着火時期判定部73とからなる。バンドパスフィルタ部71には、筒内圧センサ2から出力される圧力変化率dp/dθが入力される。図6に示す波形W1が入力波形を示し、波形W2が出力波形を示す。バンドパスフィルタ部71では、位相遅れが発生するため、位相遅れ補正部72では、この遅れを補正する。
着火時期判定部73は、燃料噴射に対応して、圧力変化率dp/dθがピーク値を示すクランク角度位置を実着火時期CAFMとを判定する。具体的には、図7(b)に示すように、位相遅れ補正部72から出力される圧力変化率dp/dθが検出閾値DPPを超えたクランク角を、実着火時期CAFMと判定する。
図7(a)には、クランク角CAIMから開始される噴射パルスINJMが示されており、同図(b)には実着火時期CAFMを検出する角度範囲RDET(例えば10度)が示されている。このように、検出角度範囲RDETを比較的狭い範囲に限定することにより、CPU14の演算負荷を増大させることなく、着火時期を正確に判定することができる。
図3に戻り、ステップS27では、着火遅れ角DCAをエンジン回転数NEを用いて、着火遅れ時間TDFMに変換し、着火遅れ時間TDFMに応じて図8に示すCETテーブルを検索し、セタン価CETを算出する。続くステップS28では、推定したセタン価CETを下記式(1)に適用し、セタン価学習値CETLRNを算出する。
CETLRN=α×CET+(1−α)×CETLRN (1)
ここで、αは0から1の間の値に設定されるなまし係数、右辺のCETLRNは、前回算出値である。
セタン価学習値CETLRNは、4つの気筒の筒内圧センサ出力をすべて用いて算出される。したがって、上記式(1)により、気筒毎に検出されるセタン価CET、及び検出タイミングが異なるセタン価CETの平均化が行われる。
ステップS29では、カウンタCLRNを「1」だけインクリメントし、カウンタCLRNの値が第1所定値CL1(例えば10)より小さいか否かを判別する。この答が肯定(YES)であるときは、推定されたセタン価CETのデータ数が少なすぎるので、直ちに本処理を終了する。
ステップS30でCLRN≧CL1であるときは、さらにカウンタCLRNの値が第1所定値CL1以上でかつ第2所定値CL2(例えば70)より小さいか否かを判別する(ステップS31)。この答が肯定(YES)であるときは、学習値CETLRNを仮学習値CETLRNTとして記憶する(ステップS32)。
ステップS31の答が否定(NO)、すなわちカウンタCLRNの値が第2所定値CL2以上であるときは、セタン価学習値CETLRNを完全学習値CETLRNCとして記憶し(ステップS33)、学習フラグFLRNを「1」に設定する(ステップS34)。
図3及び図4の処理によれば、アイドル運転状態において、所定実行条件が成立するときは、燃料噴射がシングル噴射に変更されるとともに、燃料噴射時期が進角方向に変更されるので、アイドル運転状態においてもセタン価の推定が可能となり、使用中の燃料のセタン価を迅速かつ正確に判定することができる。
またエンジン1がアイドル状態以外の運転状態にあるときに、壁面温度TWALLが算出され、アイドル状態へ移行後は所定時間ΔTWAIT経過する毎に所定低下量ΔTだけ低減される。そして、壁面温度TWALLが所定温度TWLTHより低くなり、かつ所定実行条件が成立したとき、セタン価推定が行われる。したがって、高負荷運転状態から直ちにアイドル状態へ移行したような場合には、壁面温度TWALLが所定温度TWLTHより低くなるまで、セタン価推定は行われないので、使用中の燃料のセタン価を実際より高く推定することを防止し、正確な推定セタン価CETを算出することができる。
さらにセタン価推定の連続実行回数が第2所定値CL2より小さく、学習値の算出が完了していないときは、仮学習値CETLRNTの更新が行われ、セタン価推定の連続実行回数が第2所定値CL2に達すると、その時点の学習値CETLRNが完全学習値CETLRNCとして記憶され、セタン価の学習が完了する。後述するように、学習が完了するまでは、仮学習値CETLRNTが燃料噴射時期などの制御に適用され、学習完了後に完全学習値CETLRNCが適用される。
図3及び図4の処理によれば、学習が完了するまでは仮学習値CETLRNTの更新が行われるので、セタン価学習の実行条件の成立/不成立が繰り返されるような場合でも徐々に仮学習値CETLRNTの精度を高めることができる。
図9は、セタン価学習値に応じた制御の切替を説明するためのフローチャートである。
ステップS41では、学習フラグFLRNが「1」であるか否かを判別し、その答が否定(NO)であって学習が完了していないときは、制御用セタン価CETCTLを、仮学習値CETLRNTに設定し(ステップS43)、ステップS44に進む。FLRN=1であって学習が完了しているときは、制御用セタン価CETCTLを、完全学習値CETLRNCに設定し(ステップS42)、ステップS44に進む。
ステップS44では、制御用セタン価CETCTLが第1閾値CETH1(例えば44)より大きいか否かを判別する。その答が否定(NO)であるときは、低セタン価用の燃焼制御を実行する(ステップS45)。より具体的には、低セタン価用に設定された燃料噴射時期マップ及び目標排気還流量マップを用いて、燃料噴射時期制御及び排気還流量制御を実行する。
ステップS44で、CETCTL>CETH1であるときは、さらに制御用セタン価CETCTLが第2閾値CETH2(例えば52)より大きいか否かを判別する(ステップS46)。その答が否定(NO)であるとき、すなわち制御用セタン価CETCTLが第1閾値CETH1より大きく第2閾値CETH2以下であるときは、中セタン価(平均的なセタン価)用の燃焼制御を実行する(ステップS47)。より具体的には、中セタン価用に設定された燃料噴射時期マップ及び目標排気還流量マップを用いて、燃料噴射時期制御及び排気還流量制御を実行する。
ステップS46の答が肯定(YES)であるときは、高セタン価用の燃焼制御を実行する(ステップS48)。より具体的には、高セタン価用に設定された燃料噴射時期マップ及び目標排気還流量マップを用いて、燃料噴射時期制御及び排気還流量制御を実行する。
図9の処理によれば、セタン価の学習が完了する前は仮学習値CETLRNTを用いて燃焼制御が実行され、セタン価の学習完了後は完全学習値CETLRNCを用いて燃焼制御が実行される。これにより、例えば給油直後においては、学習が完了するまで前回の完全学習値あるいは予め設定された学習値を用いて制御を行うような場合に比べて、学習値と実際のセタン価との極端なずれが発生し難く、完全学習値CETLRNCが得られるまでの間においても比較的安定した制御を行うことができる。
図10は、燃焼が不安定化していること(Pmi変動率の悪化、失火の発生)を検出し、図9の処理で選択される燃焼制御を強制的に切り替える処理のフローチャートである。
ステップS51では、エンジン1の運転状態が燃焼安定性の判定領域にあるか否かを判別する。燃焼安定性判定領域は、例えばエンジン1によって駆動される車両が80〜100km/h程度の速度で定速走行しているような状態に対応する運転領域である。ステップS51の答が否定(NO)であるときは、直ちに処理を終了する。
エンジン運転状態が燃焼安定性判定領域にあるときは、燃焼安定性を示す燃焼安定性パラメータを算出する(ステップS52)。燃焼安定性パラメータとしては、一般にPmi変動率(図示平均有効圧力Pmiの標準偏差)が知られているが、本実施形態では、Pmi変動率ではなく以下に説明する面積比RSを用いる。
図11(a)は、正常燃焼時の筒内圧PCYLの推移を示し、同図(b)はPmi変動率が増加し、失火が発生する直前の燃焼状態に対応する筒内圧PCYLの推移を示す。ここで、図11に右下がりのハッチングを付した圧縮行程に対応する面積を示す圧縮行程面積パラメータSCMPと、右上がりのハッチングを付した膨張行程に対応する面積を示す膨張行程面積パラメータSXPLとの比を面積比RS(=SCMP/SXPL)と定義する。この面積比RSは、燃焼状態が不安定化する(Pmi変動率が増加する)ほど、増加する傾向を示す。そこで、図10のステップS52では、面積比RSを算出する。
ステップS53では、面積比RSが判定面積比RSTHを超えているか否かを判別し、この答が否定(NO)、すなわち燃焼状態が安定しているときは、直ちに本処理を終了する。
一方、面積比RSが判定面積比RSTHを越えたときは、燃焼状態が不安定(失火を含む)と判定し、現在の燃焼制御が低セタン価用の燃焼制御であるか否かを判別する(ステップS54)。この答が肯定(YES)であるときは、エンジンに何らかの異常があると判定し、警告灯を点灯する(ステップS55)。
ステップS54の答が否定(NO)であるときは、さらに現在の燃焼制御が中セタン価用の燃焼制御であるか否かを判別する(ステップS56)。この答が肯定(YES)であるときは、燃焼制御を低セタン価用の燃焼制御に強制的に切り替える(ステップS58)。
またステップS56の答が否定(NO)、すなわち高セタン価用の燃焼制御を実行しているときは、中セタン価用の燃焼制御に強制的に切り替える(ステップS57)。
図10の処理によれば、燃焼の不安定化が検出されたときは、制御用セタン価CETCTLが低下したときと同様に燃焼制御が、より低セタン価の燃料に適した制御に強制的に切り替えられる。そして、低セタン価用の燃焼制御を実行しても燃焼の不安定化が解消しないときは、警告灯が点灯される。これにより、制御用セタン価CETCTLが実際の燃料のセタン価に適していないことによる燃焼状態の不安定化を迅速に解消することができる。
また、面積比RSを用いてPmi変動率の増加を判定する手法によれば、筒内圧センサ2の検出精度の影響を受けない判定を行うことができる。
図12は、エンジン1の冷間始動直後のエンジン冷却水温TWの推移を示すタイムチャートである。時刻t1に冷却水温TWが所定開弁水温TWTHOPNに達すると、冷却水通路に設けらたサーモスタットが開弁し、冷却水がエンジン1とラジエータ(図示せず)の間を循環し始める。その後時刻t2までの数分間はエンジン冷却水温TWがほぼ一定となるので、その間セタン価の学習が実行され、仮学習値CETLRNTが算出される。ただし、学習可能な時間が短いため完全学習値CETLRNCは得られない。
その後エンジン冷却水温TWが上昇して、時刻t3には、目標水温TWOBJに達する。以後はエンジン冷却水温TWが目標水温TWOBJに維持されるように、ラジエータ近傍に設けられたラジエータファン(図示せず)が駆動制御される。時刻t3以後の学習により、完全学習値CETLRNCが算出される。したがって、本実施形態によれば、時刻t2からt3までの間も仮学習値CETLRNTによる燃焼制御が行われ、給油直後において燃焼の不安定化あるいは粒子状物質の発生量の増加を抑制することができる。
図13は、時刻t10において、エンジン1がアイドル以外の運転状態(以下「オフアイドル運転状態」という)からアイドル運転状態に移行した場合の推定セタン価CETの推移を示すタイムチャートである。この図の実線は高負荷運転状態からアイドル状態に移行した例に対応し、破線は低負荷運転状態からアイドル状態に移行した例に対応する。この図から明らかなように、低負荷運転状態からアイドル状態に移行した場合の方が、推定セタン価CETがより早く安定化するので、例えば給油直後にアイドル運転状態がほとんど維持されないままオフアイドル運転状態に移行したような場合に、完全学習値CETLRNCを早期に得ることができる。図3のステップS16で算出される壁面温度TWALLは、エンジン負荷が高いほど高くなるため、ステップS17〜S19によって、オフアイドル状態での運転状態に応じた適切な時期(推定セタン価CETが安定する時期)に学習を開始することができる。
本実施形態では、燃料噴射弁6が燃料噴射手段に相当し、筒内圧センサ2及びECU4が着火時期検出手段を構成する。またECU4がセタン価学習手段及び制御手段を構成する。具体的には、図5に示すバンドパスフィルタ部71、位相遅れ補正部72及び着火時期判定部73が着火時期検出手段の一部に相当し、図3の処理がセタン価学習手段に相当し、図9及び図10の処理が制御手段に相当する。
なお本発明は上述した実施形態に限るものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、燃焼状態の安定性を示すパラメータとして面積比RSを用いたが、Pmi変動率を用いてもよい。
また上述した実施形態では、実着火時期CAFMは、筒内圧センサ2により検出される圧力変化率dp/dθが検出閾値DPPを超えた時点として検出するようにしたが、これに限るものではなく、熱発生率の50%位置を着火時期として判定するようにしてもよい。
また本発明は、クランク軸を鉛直方向とした船外機などのような船舶推進機用エンジンなどの制御にも適用が可能である。
本発明の一実施形態にかかる内燃機関及びその制御装置の構成を示す図である。 図1に示す制御装置の一部の構成をより具体的に示す図である。 セタン価の学習を行う処理のフローチャートである。 セタン価の学習を行う処理のフローチャートである。 実着火時期CAFMを算出(検出)する着火時期算出モジュールの構成を示すブロック図である。 筒内圧センサ出力のバンドパスフィルタ処理を説明するためのタイムチャートである。 着火時期の検出手法を説明するためのタイムチャートである。 着火遅れ時間(TDFM)からセタン価(CET)を算出するためのテーブルを示す図である。 セタン価学習値に応じた燃焼制御のフローチャートである。 エンジンの燃焼状態が不安定化したことを検出して燃焼制御を切り替える処理のフローチャートである。 燃焼状態を示すパラメータである面積比(RS)を説明するための図である。 冷間始動直後におけるエンジン冷却水温(TW)の推移を示すタイムチャートである。 アイドル以外の運転状態からアイドル運転状態へ移行するときの推定セタン価(CET)の推移を示すタイムチャートである。
符号の説明
1 内燃機関
2 筒内圧センサ(着火時期検出手段)
4 電子制御ユニット(着火時期検出手段、セタン価学習手段、制御手段)
6 燃料噴射弁(燃料噴射手段)

Claims (2)

  1. 内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射手段を備えた内燃機関の制御装置において、
    前記燃料噴射手段により噴射された燃料の着火時期を検出する着火時期検出手段と、
    検出される着火時期に応じて使用中の燃料のセタン価を推定し、該推定したセタン価のなまし演算を行うことにより学習値を算出するセタン価学習手段と、
    前記セタン価学習手段により算出される学習値を用いて、少なくとも前記燃料噴射手段による燃料噴射時期の制御を含む前記機関の制御を行う制御手段とを備え、
    前記セタン価学習手段は、前記セタン価の学習が完了するまでは、算出された学習値を仮学習値として記憶し、検出着火時期に応じた前記セタン価の連続推定回数が第1所定値に達した時点から前記仮学習値の記憶を開始し、前記セタン価の連続推定回数が前記第1所定値より大きい第2所定値に達したとき、前記学習が完了したと判定してその時点の学習値を完全学習値として記憶し、前記学習が完了するまでは前記仮学習値の更新を継続し、
    前記制御手段は前記学習が完了するまでの間、前記仮学習値を用いて前記制御を行い、前記学習が完了した時点から前記完全学習値を用いて前記制御を行うことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記セタン価の学習は、給油直後において前記機関がアイドル運転状態にあるときに前記燃料噴射手段による燃料噴射の態様を変更して実行され、前記学習完了後は、次に給油が行われるまで前記セタン価の学習を行わないことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
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