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JP4347381B2 - 金属系被着体接着用ペースト状銀組成物、その製造方法および金属系被着体の接着方法 - Google Patents
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JP4347381B2 - 金属系被着体接着用ペースト状銀組成物、その製造方法および金属系被着体の接着方法 - Google Patents

金属系被着体接着用ペースト状銀組成物、その製造方法および金属系被着体の接着方法 Download PDF

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的に球状の銀粒子と揮発性分散媒からなり、加熱により焼結して優れた強度と電気伝導性と熱伝導性を有する固形状銀となる金属系被着体接着用ペースト状銀組成物、その製造方法、および、当該ペースト状銀組成物を使用しての金属系被着体の接着方法に関する。
【0002】
銀粉末を熱硬化性樹脂組成物中に分散させてなる導電性ペーストは、加熱により硬化して導電性被膜が形成されるので、プリント回路基板上の導電性回路の形成、抵抗器やコンデンサ等の各種電子部品及び各種表示素子の電極の形成、電磁波シールド用導電性被膜の形成、コンデンサ、抵抗、ダイオード、メモリ、演算素子(CPU)等のチップ部品の基板への接着、太陽電池の電極、特にアモルファスシリコン半導体を用いた高温処理のできない太陽電池の電極の形成、積層セラミックコンデンサ、積層セラミックインダクタ、積層セラミックアクチュエータ等のチップ型セラミック電子部品の外部電極の形成等に使用されている。
近年チップ部品の高性能化によりチップ部品からの発熱量が増え、電気伝導性はもとより、熱伝導性の向上が要求されるので、銀粒子の含有率を可能な限り増加して電気伝導性、熱伝導性を向上しようとすると、ペーストの粘度が上昇し、作業性が著しく低下するという問題がある。
【0003】
一方、チップ部品、プラズマディスプレイパネル等の電極や回路を、大幅のファイン化、高密度、高精度、高信頼性で形成することのできる導電ペーストの製造に最適な高分散性球状銀粉末およびそれを使用した銀ペーストが特許文献1に教示されている。また、回路板への導電性ペーストの塗布方法としてスクリーン印刷法に加えてインクジェット法が使用されだしており、そのために走査型電子顕微鏡像の画像解析により得られる一次粒子の平均粒径DIAが0.6μm以下である銀粉とポリオール類、必要に応じてさらに粘度調整剤等からなる銀インクが提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
特許文献1では、銀粉は、硝酸銀水溶液とアンモニア水とを混合して反応させ銀アンミン錯体水溶液を得て、これとヒドロキノンと無水亜硫酸カリウムもしくはアンモニウムとゼラチンの水溶液を接触反応させて銀粉を還元析出させ、濾過し、残渣を水で洗浄し、加熱下乾燥させて調製している。特許文献1にはこのようにして調製した銀粉を使用して銀ペーストを調製したと記載されているが、その処方は不明である。そこで本発明者らは当該銀粉に少量の水を混ぜてペースト状とし加熱したところ、当該銀粉が十分に焼結しないという問題があること、あるいは、焼結して固形状の銀が生成しても、強度と電気伝導性と熱伝導性が予想外に小さいという問題があることに気が付いた。特許文献2では、銀粉は、硝酸銀水溶液とアンモニア水とを混合して反応させ銀アンミン錯体水溶液を得て、これと有機還元剤(ヒドロキノン、アスコルビン酸、グルコース等)、特にはヒドロキノンの水溶液を接触反応させて銀粉を還元析出させ、濾過し、残渣を水とメタノールで洗浄し、加熱下乾燥させて調製している。ところが、本発明者らは、このようにして調製された銀粉とポリオール類(例えば、1,4−ブタンジオール、ジプロピレングリコール)からなる銀インクを加熱したところ、当該銀粉が十分に焼結しないという問題があること、あるいは、焼結して固形状の銀が生成しても、強度と電気伝導性と熱伝導性が予想外に小さいという問題があることに気が付いた。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−107101号公報
【特許文献2】
特開2005−93380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、上記問題のない球状銀粒子ペースト、すなわち、ペースト状銀組成物を開発すべく鋭意研究した結果、球状銀粒子の炭素含有量が焼結性と焼結して生成した固形状銀の強度と電気伝導性と熱伝導性に影響していることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の目的は、加熱すると球状銀粒子が容易に焼結して強度と電気伝導性と熱伝導性が優れた固形状銀となる金属系被着体接着用ペースト状銀組成物、その製造方法、および、当該ペースト状銀組成物を使用して金属系被着体を電気伝導性と熱伝導性よく強固に接着する方法を提供することにある。
【0007】
この目的は、
[1] (A)平均粒径が0.1〜6μmであり,炭素含有量が0.50重量%以下である還元法で作られた球状銀粒子と、(B) 沸点が70〜250℃であり、水,揮発性一価アルコール,揮発性脂肪族炭化水素,揮発性ケトン,揮発性低級脂肪族カルボン酸エステルおよび揮発性シリコーンオイルから選択される揮発性分散媒とからなるペースト状物であり、100℃以上250℃以下での加熱により,該揮発性分散媒が揮散し該球状銀粒子同士が焼結して体積抵抗率が1×10-4Ω・cm以下であり,かつ,熱伝導度が5W/m・K以上である固形状銀になることを特徴とする、金属系被着体同士の接合用ペースト状銀組成物。
[2] 体積抵抗率が1×10-5Ω・cm以下であり,かつ,熱伝導度が10W/m・K以上である固形状銀になることを特徴とする、[1]記載の金属系被着体同士の接合用ペースト状銀組成物。
[3] 炭素含有量が0.25重量%以下であることを特徴とする、[1]記載の金属系の被着体同士の接合用ペースト状銀組成物。
[4] 揮発性一価アルコールがエチルアルコール,プロピルアルコール,ブチルアルコール,ペンチルアルコール,ヘキシルアルコール,ヘプチルアルコール,オクチルアルコール,ノニルアルコール,デシルアルコールまたはベンジルアルコールであり、揮発性脂肪族炭化水素が低級n-パラフィンまたは低級イソパラフィンであることを特徴とする、[1]または[2]記載の金属系被着体同士の接合用ペースト状銀組成物。
[5] 揮発性分散媒が、水と、ブチルアルコール,ペンチルアルコール,ヘキシルアルコール,ヘプチルアルコール,オクチルアルコール,ノニルアルコール,デシルアルコールまたはベンジルアルコールとの混合物であることを特徴とする、[1]または[2]記載の金属系被着体同士の接合用ペースト状銀組成物。
[6] 平均粒径が0.1〜6μmである還元法で作られた球状銀粒子を洗浄して,その炭素含有量を0.50重量%以下とし、(B)沸点が70〜250℃であり、水,揮発性一価アルコール,揮発性脂肪族炭化水素,揮発性ケトン,揮発性低級脂肪族カルボン酸エステルおよび揮発性シリコーンオイルから選択される揮発性分散媒と混合することを特徴とする、100℃以上250℃以下での加熱により,該揮発性分散媒が揮散し該球状銀粒子同士が焼結して体積抵抗率が1×10-4Ω・cm以下であり,かつ,熱伝導度が5W/m・K以上である固形状銀になる金属系被着体同士の接合用ペースト状銀組成物の製造方法。
[7] 体積抵抗率が1×10-5Ω・cm以下であり,かつ,熱伝導度が10W/m・K以上である固形状銀になる、[6]記載の金属系被着体同士の接合用ペースト状銀組成物の製造方法。
[8] 球状銀粒子の炭素含有量を0.25重量%以下とすることを特徴とする、[6]記載の金属系被着体同士の接合用ペースト状銀組成物の製造方法。
[9] 洗浄剤が水,揮発性の親水性溶剤または脂肪族炭化水素系溶剤であることを特徴とする、[6]記載の金属系被着体同士の接合用ペースト状銀組成物の製造方法。
[10] (A)平均粒径が0.1〜6μmであり,炭素含有量が0.50重量%以下である還元法で作られた球状銀粒子と、(B) 沸点が70〜250℃であり、水,揮発性一価アルコール,揮発性脂肪族炭化水素,揮発性ケトン,揮発性低級脂肪族カルボン酸エステルおよび揮発性シリコーンオイルから選択される揮発性分散媒とからなるペースト状物であり、100℃以上250℃以下での加熱により,該揮発性分散媒が揮散し該球状銀粒子同士が焼結して体積抵抗率が1×10-4Ω・cm以下であり,かつ,熱伝導度が5W/m・K以上である固形状銀になるペースト状銀組成物を、複数の金属系被着体間に介在させ、100℃以上250℃以下での加熱により、該揮発性分散媒が揮散し,該球状銀粒子同士が焼結して,複数の金属系被着体同士を接着させることを特徴とする、金属系被着体同士接合方法。
[11] ペースト状銀組成物が、体積抵抗率が1×10-5Ω・cm以下であり,かつ,熱伝導度が10W/m・K以上である固形状銀になるペースト状銀組成物であることを特徴とする、[10]記載の金属系被着体同士接合方法。
[12] 球状銀粒子の炭素含有量が0.25重量%以下であることを特徴とする、[10]記載の金属系被着体同士接合方法。
[13] 揮発性一価アルコールがエチルアルコール,プロピルアルコール,ブチルアルコール,ペンチルアルコール,ヘキシルアルコール,ヘプチルアルコール,オクチルアルコール,ノニルアルコール,デシルアルコールまたはベンジルアルコールであり、揮発性脂肪族炭化水素が低級n-パラフィンまたは低級イソパラフィンであることを特徴とする、[10]または[11]記載の金属系被着体同士接合方法。
[14] 揮発性分散媒が水と、ブチルアルコール,ペンチルアルコール,ヘキシルアルコール,ヘプチルアルコール,オクチルアルコール,ノニルアルコール,デシルアルコールまたはベンジルアルコールとの混合物であることを特徴とする、[10]または[11]記載の金属系被着体同士接合方法。
[15] 金属系の被着体が金属部材を有する電子部品であることを特徴とする、[10]または[11]記載の金属系被着体同士接合方法。;により達成される。
【0008】
本発明の金属系被着体接着用ペースト状銀組成物は、加熱により該揮発性分散媒が揮散し、特には100℃以上での加熱により該球状銀粒子同士が焼結して強度と電気伝導性と熱伝導性が優れた固形状銀となる。本発明の金属系被着体接着用ペースト状銀組成物の製造方法は、加熱により該揮発性分散媒が揮散し、特には100℃以上での加熱により該球状銀粒子同士が焼結して強度と電気伝導性と熱伝導性が優れた固形状銀となる金属系被着体接着用ペースト状銀組成物を容易に製造することができる。本発明の金属系被着体の接着方法は、ペースト状銀組成物を複数の金属系被着体間に介在させ、100℃以上250℃以下での加熱により該揮発性分散媒が揮散し該球状銀粒子同士が焼結して複数の金属系被着体同士を電気伝導性と熱伝導性よく強固に接着させることができる。
【図面の簡単な説明】
[0009]
[図1]実施例における固着強度測定用試験体Aの平面図である。チップコンデンサ端子電極3と電極ランド(パッド)部4がハンダ付けされることにより、チップコンデンサ2がガラス繊維強化エポキシ樹脂基板1に搭載されている固着強度測定用試験体Aを固定し、チップコンデンサ2の側面を矢印の方向に押圧して、チップコンデンサ2とガラス繊維強化エポキシ樹脂基板1との接合部分の固着強度を測定するものである。
[図2]図1におけるY−Y´断面図である。
符号の説明
[0010]
A 固着強度測定用試験体
1 ガラス繊維強化エポキシ樹脂基板
2 チップコンデンサ
3 チップコンデンサの端子電極
4 電極ランド(パッド)部
5 ペースト状銀組成物
発明を実施するための最良の形態
【0011】
本発明のペースト状銀組成物は、(A)平均粒径が0.1〜6μmであり,炭素含有量が0.50重量%以下である球状銀粒子と、(B)水,沸点が70〜250℃である揮発性一価アルコールおよび沸点が70〜250℃である非アルコール系の揮発性分散媒から選択される揮発性分散媒とからなる。当該球状銀粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡像の画像解析により得られる一次粒子の平均粒径である。平均粒径が6μmを越えると球状銀同士の焼結性が小さくなり、優れた強度と電気伝導性、熱伝導性、接着性を得にくい。そのため平均粒子径は小さい方がより好ましく、特には3μm以下であることが好ましい。いわゆるナノサイズとなる0.1μm未満の場合、球状銀粒子の表面活性が強すぎてペースト状銀組成物の保存安定性が低下する恐れがあるため、0.1μm以上である。
当該球状銀粒子の炭素含有量は、0.50重量%以下であり、下限値は0重量%である。加熱時の球状銀粒子の焼結性と、焼結してできた固形状銀の強度と電気伝導性と熱伝導性の点で好ましくは0.25重量%以下、より好ましくは0.13重量%以下である。ここで炭素含有量は、球状銀粒子を酸素気流中で加熱して球状銀粒子に付着していた有機化合物中の炭素を炭酸ガスに変えて赤外線吸収スペクトル法により定量したものである。なお熱重量測定法(TGA)による減少量から炭素含有量を算出しても良い。
[0012]
当該球状銀粒子は、特には還元法で作られた球状銀粒子である。前記特許文献に記載されているように、還元法では、通常、硝酸銀水溶液とアンモニア水とを混合して反応させ銀アンミン錯体水溶液を得て、これとヒドロキノンと無水亜硫酸カリウムもしくはアンモニウムとゼラチンの水溶液を接触反応させて銀粉を還元析出させ、濾過し、残渣を水で洗浄し、加熱下乾燥させて調製している。あるいは、硝酸銀水溶液とアンモニア水とを混合して反応させ銀アンミン錯体水溶液を得て、これと有機還元剤(ヒドロキノン、アスコルビン酸、グルコース等)の水溶液を接触反応させて銀粉を還元析出させ、濾過し、洗浄し、乾燥させて調製している。濾過残渣はアンモニアとヒドロキノンと無水亜硫酸カリウムもしくはアンモニウムとゼラチンを含有しており、銀粉表面にアンモニアとヒドロキノンと無水亜硫酸カリウムもしくはアンモニウムとゼラチンが付着しているため、清浄な水で繰り返し洗浄している。あるいは、濾過残渣はアンモニアと有機還元剤(ヒドロキノン、アスコルビン酸またはグルコース)を含有しており、銀粒子表面にアンモニアと有機還元剤(ヒドロキノン、アスコルビン酸またはグルコース)が付着しているため、清浄な水とメタノールで繰り返し洗浄している。
【0013】
しかし、ヒドロキノンのような水溶性が小さく、メタノールへの溶解性が小さい有機還元剤が付着した球状銀粒子を水、あるいは、水とメタノールで繰り返し洗浄しても有機還元剤を十分には除去できるものではない。特に凝集した球状銀粒子間に存在するヒドロキノンは、水とメタノールへの溶解性が小さいので、水とメタノールで繰り返し洗浄しても容易に除去できるものではない。また、アスコルビン酸やグルコースは水溶性であるが、凝集した球状銀粒子間に存在するアスコルビン酸またはグルコースは、水、あるいは、水とメタノールで繰り返し洗浄しても容易に除去できるものではない。
【0014】
市販の還元法による球状銀粒子は、水でよく洗浄された球状銀粒子、あるいは、水とメタノールで洗浄された球状銀粒子であってもその炭素含有量は通常0.50重量%を大幅に上回るので、本発明では、これをエタノールのような炭素原子数2以上の低級アルコールにより洗浄することにより、あるいは水とメタノールにより洗浄することによりその炭素含有量が0.50重量%以下、好ましくは0.25重量%以下となった球状銀粒子を使用するものである。それも、単に洗浄するだけでなく、凝集物が1次粒子またはそれに近い状態に分散するよう物理的、機械的な力を加えつつ洗浄し、濾過して洗浄液を捨て、残渣を再度エタノールのような炭素原子数2以上の低級アルコール、あるいは水とメタノールにより洗浄することによりその炭素含有量が0.50重量%以下、好ましくは0.25重量%以下、より好ましくは0.13重量%以下となった球状銀粒子を使用するものである。特には乳鉢等により球状銀粒子の凝集物を壊すように攪拌することにより球状銀粒子の1次粒子またはそれに近い状態で洗浄したものを使用するものである。洗浄後の球状銀粒子は乾燥させることが好ましい。乾燥条件は限定されないが、乾燥中に球状銀粒子同士の融着を防止するため100℃未満で乾燥することが好ましく、特には常温であることが好ましい。乾燥を促進するため減圧下や、通風下に置いても良い。
【0015】
しかるに、市販の還元法によるよく洗浄された球状銀粒子製品の一部の製品には、多数のロットのうちの一部のロットには炭素含有量が0.50重量%以下のものがあることが見出されたので、本発明では、入手した球状銀粒子製品の炭素含有量を検査して0.50重量%以下である球状銀粒子を選定して、ペースト状銀組成物の調製に使用してもよい。
【0016】
かくして得られた球状銀粒子の炭素含有量は0.50重量%以下、好ましくは0.25重量%以下、より好ましくは0.13重量%以下であるので、100℃以上の温度で加熱時の銀粒子の焼結性と、焼結してできた固形状銀の強度と電気伝導性と熱伝導性が優れている。球状銀粒子の表面は、少々酸化されていてもよい。酸化銀の割合が高いと加熱時に多量の酸素が発生し、焼結してできた固形状銀中にボイドが発生する原因となる恐れがあるため、表面が酸化銀である割合は球状銀粒子の全表面の50%以下が好ましく、特には20%以下、更には2%以下が好ましい。特にメモリやCPUのような大型チップ接続のため比較的大きな接合面積で半密閉系となるダイボンド剤のような使用例では、酸化銀の存在はボイド発生により接着強度の低下の原因となり好ましくない。
【0017】
本発明のペースト状銀組成物は、炭素含有量が0.50重量%以下、好ましくは0.25重量%以下、より好ましくは0.13重量%以下の実質的に球状の銀粒子と揮発性分散媒との混合物であり、粉末状の球状銀粒子が揮発性分散媒の作用によりペースト化している。ペースト化することによりシリンダーやノズルから細い線状に吐出しやすくなり、電極の形に適用しやすくなる。非揮発性分散媒ではなく、揮発性分散媒を使用するのは、加熱により球状銀粒子が焼結する際に分散媒が揮散すると、球状銀粒子が焼結しやすく、その結果固形状銀の強度と電気伝導性や熱伝導性が大きくなりやすいからである。揮発性分散媒は、球状銀粒子表面を変質させず、その沸点は70℃以上であり、250℃以下であることが好ましい。沸点が70℃未満であるとペースト状銀組成物を調製する作業中に溶媒が揮散しやすく、沸点が250℃より大であると、球状銀粒子が焼結後も揮発性分散媒が残留しかねないからである。そのような揮発性分散媒として、水;エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ベンジルアルコール等の揮発性一価アルコール;低級n−パラフィン、低級イソパラフィン等の揮発性脂肪族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン等の揮発性ケトン;酢酸エチルエステルのような揮発性低級脂肪族カルボン酸エステル、低分子量の揮発性シリコーンオイルが例示される。球状銀粒子との混合時および加熱時の安全性ならびにVOCの発生が実質的にゼロという点で水がもっとも好ましく、ついで、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ベンジルアルコール等の揮発性一価アルコールが好ましい。これら炭素原子数が2〜10である揮発性一価直鎖状アルコールはペースト状銀組成物にしたときにメタルマスクやシリンジからの押出性、吐出性に優れているからである。;ついで低級n−パラフィン、低級イソパラフィン等の揮発性脂肪族炭化水素が好ましい。水は純水が好ましく、その電気伝導度は100μs/cm以下が好ましく、10μs/cm以下、さらには3μs/cm以下がより好ましい。純水の製造方法は通常の方法で良く、イオン交換法、逆浸透法、蒸留法などが例示される。
揮発性分散媒が水である場合、炭素原子数が4〜10である一価アルコールを水に添加すると、高温域で表面張力が上昇する(マランゴニ効果)ので、塗布形状保持性を制御しやすくなる。ペースト状銀組成物中の水に対し重量比で0.01〜5倍量のブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコールまたはベンジルアルコールを添加することが例示される。
【0018】
揮発性分散媒の配合量は、該球状銀粒子をペースト状にするのに十分な量でよく、目安として該球状銀粒子100重量部あたり、5〜20重量部であり、好ましくは6〜16重量部である。本発明のペースト状銀組成物には、本発明の目的に反しない限り銀以外の金属系や非金属系の粉体、チクソ剤、安定剤、着色剤等の添加物を少量ないし微量添加しても良い。
【0019】
本発明のペースト状銀組成物は、加熱することにより揮発性分散媒が揮散し、該球状銀粒子同士が焼結することにより強度と電気伝導性と熱伝導性が優れた固形状の銀となる。この際、揮発性分散媒が揮散し、ついで球状銀粒子同士が焼結してもよく、揮発性分散媒の揮散と共に球状銀粒子同士が焼結してもよいが、後者の方が焼結性が優れている。銀は本来大きな強度と極めて高い電気伝導性と熱伝導性を有するため、本発明の該球状銀粒子同士の焼結物も大きな強度ときわめて高い電気伝導性と熱伝導性を有する。この際の加熱温度は、揮発性分散媒が揮散し、球状銀粒子が焼結できる温度であればよく、通常100℃以上であり、150℃以上がより好ましく、180℃以上がさらに好ましい。しかし、300℃以上では揮発性分散媒が突沸的に蒸発して固形状銀の形状に悪影響が出る可能性があるため250℃以下であることが好ましい。
該球状銀粒子が焼結してできた固形状銀は、その電気伝導性が体積抵抗率で1×10 - Ω・cm以下であるが、好ましくは1×10-5Ω・cm以下である。その熱伝導性は、5W/m・K以上であるが、好ましくは10W/m・K以上である。該球状銀粒子が焼結してできた固形状銀の形状は特に限定されず、シート状、フィルム状、テープ状、回路状、円盤状、ブロック状が例示される。
[0020]
本発明のペースト状銀組成物は、100℃以上で加熱すると揮発性分散媒が揮散し球状銀粒子同士が焼結することにより大きな強度と極めて高い電気伝導性と熱伝導性を有する固形状の銀となるので、回路板用基板に塗布して加熱することにより耐摩耗性と基板への接着性に優れた銀回路を形成することができる。本発明の回路板の製造方法は、回路板用基板に本発明のペースト状銀組成物を塗布し、100℃以上で加熱することよりなる。加熱温度は、150℃以上がより好ましく、180℃以上がさらに好ましい。しかし、300℃以上では揮発性分散媒が突沸的に蒸発して銀回路の形状に悪影響が出る可能性があるため250℃以下であることが好ましい。塗布する方法は特に制限されず、ディスペンス塗布、印刷塗布、スプレー塗布、はけ塗り等がある。回路板用基板として、ガラス繊維強化エポキシ樹脂板が代表的であるが、その他にポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、BTレジン板、アルミナセラミック板、ガラス板等が例示される。
【0021】
本発明のペースト状銀組成物は100℃以上で加熱すると揮発性分散媒が揮散し該球状銀粒子が焼結することにより、強度と電気伝導性、熱伝導性が優れ、接触していた基材、例えば銀板、銀メッキ金属板への接着性を有する固形状銀となるので、複数の被着体間に介在させ、100℃以上で加熱することにより複数の被着体、特には銀、金、銅、銀メッキ、金メッキのような金属系の着体同士を強固に接着・接合させるのに有用である。したがって、本発明の接着方法は、銀、金、銅、銀メッキ、金メッキのような金属部材を有する電子部品や電子装置の接着・接合に有用である。図1、図2はそのような接着・接合の一実施形態でもある。そのような接合として、コンデンサ、抵抗等のチップ部品と回路基板との接合;ダイオード、メモリ、CPU等の半導体チップとリードフレームもしくは回路基板との接合;高発熱のCPUチップと冷却板との接合が例示される。なお、回路基板として単層プリント配線基板、多層プリント配線基板が例示される。
【0022】
なお、本発明のペースト状銀組成物は、加熱して銀粒子を焼結した後の洗浄は不要であるが、少量ないし微量の有機系添加剤を含む場合は、有機系添加剤を溶解可能な溶媒で洗浄することが好ましい。特に揮発性分散媒が水である場合は水で洗浄することができ、アルコール等の有機溶媒による洗浄の場合のようなVOC発生の問題がない。基本的に本発明のペースト状銀組成物の各成分は不純物が少ないため容易に洗浄ができる。
【0023】
本発明のペースト状銀組成物は、揮発性分散媒を含有するので、密閉容器に保存することが好ましい。長期間保存後に使用するときは、容器を振とうしてから、あるいは容器内を攪拌してから使用することが好ましい。保存安定性を向上する目的で冷蔵保管をしても良く、保管温度として5℃以下が例示される。
【実施例】
【0024】
本発明の実施例と比較例を掲げる。実施例と比較例中、部とあるのは重量部を意味する。球状銀粒子中の炭素含有量、ならびに、ペースト状銀組成物を加熱して焼結することにより生成した固形状銀の固着強度、体積抵抗率および熱伝導率は、下記の方法により25℃で測定した。
【0025】
[炭素含有量]
球状銀粒子を酸素気流中で高周波により加熱して球状銀粒子に付着していた有機化合物中の炭素を炭酸ガスに変えて赤外線吸収スペクトル法により定量した。
【0026】
[固着強度]
100mm×40mmのガラス繊維強化エポキシ樹脂基板上に1mmの間隔をおいて設けられた2つの0.8mm×1.2mmの電極ランド(パッド)部(銀メッキ仕上げ)に150μm厚のメタルマスクを用いてペースト状銀組成物を塗布し、チップマウンタにより2012チップコンデンサ(両端部は銀メッキ仕上げ)を搭載後、強制循環式オーブン内で200℃で30分間加熱したところ、水、低級イソパラフィンまたはアルコールの揮散とともに球状銀粒子が焼結してランド(パッド)部と2012チップコンデンサ(両端部銀メッキ仕上げ)が接合した。かくして得られた接合試験体を固着強度試験機により押厚速度23mm/分で加圧し、せん断破壊したときの荷重をもって固着強度(単位;kgf)とした。
【0027】
[体積抵抗率]
幅10mm、長さ50mmの開口部を有する厚さ100μmの金属製のマスクを用い、電気絶縁性のFR−4ガラス繊維強化エポキシ樹脂基板上にペースト状銀組成物を印刷塗布し、強制循環式オーブン内で200℃で30分間加熱したところ、水、低級イソパラフィンまたはアルコールの揮散とともに球状銀粒子が焼結してフィルム状となった。フィルム状の銀について、50mm長の測定端間で10ボルトの電圧を印加して抵抗を測定し、体積抵抗率(単位;Ω・cm)を算出した。
【0028】
[熱伝導率]
10mmX10mm角のシリコンウエハー間に40μmまたは80μm厚となるようペースト状銀組成物を塗布し、強制循環式オーブン内で200℃で30分間加熱したところ、水、低級イソパラフィンまたはアルコールの揮散とともに球状銀粒子が焼結してフィルム状となった。フィルム状の銀について、各々の厚さにおける熱抵抗(単位;℃/W)を測定した。各厚さ(単位;m)と熱抵抗の関係をグラフにプロットして直線を引き、その傾きを熱伝導率(単位;W/mK)として算出した。
【0029】
[実施例1]
市販の還元法で製造された球状銀粒子多数の炭素含有量を検査することにより見出したA社品、すなわち、還元法で製造されよく洗浄された、走査型電子顕微鏡像の画像解析により得られる1次粒子の平均粒径が0.4μmであり実質的に球状の銀粒子(炭素含有量が0.21重量%であり、銀表面に酸化銀は検出されない)20部に、純度99.5%のエタノール(和光純薬工業株式会社発売の試薬1級エタノール)20部を添加し、乳鉢を用いて1分間攪拌混合した。1分間静置後、上澄み液を可能な限りスポイトで系外へ抜き出した。その後更に純度99.5%のエタノールを用いて同様に2回洗浄し、その後常温で放置しエタノール臭がしなくなるまで風乾したところ球状銀粒子の炭素含有量は0.11重量%であった。
この球状銀粒子粉末に電気伝導度が5μs/cmであるイオン交換水1.5部を添加し、ヘラを用いて均一に混合しペースト状銀組成物を調製した。
このペースト状銀組成物をメタルマスクによりガラス繊維強化エポキシ樹脂基板上に塗布したところ、ダレ、流れ等はなく良好な形状に塗布できた。この塗布したガラス繊維強化エポキシ樹脂基板を強制循環式オーブン内で200℃で30分間加熱したところ、加熱焼結物である固形状銀は、精錬法による銀と遜色ない強度を有していた。上記ペースト状銀組成物について、加熱焼結物である固形状銀の固着強度、体積抵抗率、熱伝導率を測定し、結果を表1にまとめて示した。以上の結果より、このペースト状銀組成物が被着体を電気伝導性と熱伝導性よく強固に接着させるのに有用であり、耐摩耗性と基板への接着性と電気伝導性と熱伝導性が優れた銀回路を形成するのに有用であることがわかる。
【0030】
[実施例2]
実施例1において実質的に球状の銀粒子(炭素含有量が0.21重量%であり、銀表面に酸化銀は検出されない)をエタノールで洗浄しない以外は実施例1と同様にしてペースト状銀組成物を調製した。
このペースト状銀組成物をメタルマスクによりガラス繊維強化エポキシ樹脂基板上に塗布したところ、ダレ、流れ等はなく良好な形状に塗布できた。この塗布したガラス繊維強化エポキシ樹脂基板を強制循環式オーブン内で200℃で30分間加熱したところ、加熱焼結物である固形状銀は、精錬法による銀と遜色ない強度を有していた。上記ペースト状銀組成物について、加熱焼結物である固形状銀の固着強度、体積抵抗率、熱伝導率を測定し、結果を表1にまとめて示した。以上の結果より、このペースト状銀組成物が被着体を電気伝導性と熱伝導性よく強固に接着させるのに有用であり、耐摩耗性と基板への接着性と電気伝導性と熱伝導性が優れた銀回路を形成するのに有用であることがわかる。
【0031】
[実施例3]
実施例1において、イオン交換水の代りに蒸留範囲が106℃から202℃である低級イソパラフィン(新日本石油化学株式会社製、商品名アイソゾール300)を使用した以外は実施例1と同様にしてペースト状銀組成物を調製した。
このペースト状銀組成物をメタルマスクによりガラス繊維強化エポキシ樹脂基板上に塗布したところ、ダレ、流れ等はなく良好な形状に塗布できた。この塗布したガラス繊維強化エポキシ樹脂基板を強制循環式オーブン内で200℃で30分間加熱したところ、加熱焼結物である固形状銀は、精錬法による銀と遜色ない強度を有していた。上記ペースト状銀組成物について、加熱焼結物である固形状銀の固着強度、体積抵抗率、熱伝導率を測定し、結果を表1にまとめて示した。以上の結果より、このペースト状銀組成物が被着体を電気伝導性と熱伝導性よく強固に接着させるのに有用であり、耐摩耗性と基板への接着性と電気伝導性と熱伝導性が優れた銀回路を形成するのに有用であることがわかる。
【0032】
[実施例4]
実施例1においてイオン交換水1.5部の代りに、0.5部のn−デシルアルコール(1−デカノール)および1.0部のイオン交換水を使用した以外は実施例1と同様にしてペースト状組成物を調製した。
このペースト状銀組成物をメタルマスクによりガラス繊維強化エポキシ樹脂基板上に塗布したところ、ダレ、流れ等はなく良好な形状に塗布できた。この塗布したガラス繊維強化エポキシ樹脂基板を強制循環式オーブン内で200℃で30分間加熱したところ、加熱焼結物である固形状銀は、精錬法による銀と遜色ない強度を有していた。上記ペースト状銀組成物について、加熱焼結物である固形状銀の固着強度、体積抵抗率、熱伝導率を測定し、結果を表1にまとめて示した。以上の結果より、このペースト状銀組成物が被着体を電気伝導性と熱伝導性よく強固に接着させるのに有用であたり、耐摩耗性と基板への接着性と電気伝導性と熱伝導性が優れた銀回路を形成するのに有用であることがわかる。
【0033】
[実施例5]
市販の還元法で製造され、走査型電子顕微鏡像の画像解析により得られる1次粒子の平均粒径が1.8μmであり実質的に球状の銀粒子(B社品、炭素含有量が0.88重量%であり、銀表面に酸化銀は検出されない)20部に、電気伝導度が5μs/cmである純水を20部添加し、乳鉢を用いて1分間攪拌混合した。1分間静置後、上澄み液を可能な限りスポイトで系外へ抜き出した。その後同様に純水により5回球状銀粒子を洗浄した。その後、純度99.8%のメタノール20部を添加して同様に攪拌混合し、1分間静置後、上澄み液を可能な限りスポイトで系外へ抜き出した。常温で放置しメタノール臭がしなくなるまで風乾したところ、球状銀粒子の炭素含有量は0.46重量%であった。
この実質的に球状の銀粒子20部に純度99%の1−オクタノール2部を添加し、ヘラを用いて均一に混合してペースト状銀組成物を調製した。
このペースト状銀組成物をメタルマスクによりガラス繊維強化エポキシ樹脂基板上に塗布したところ、ダレ、流れ等はなく良好な形状に塗布できた。この塗布したガラス繊維強化エポキシ樹脂基板を強制循環式オーブン内で200℃で30分間加熱したところ、加熱焼結物である固形状銀は、精錬法による銀と遜色ない強度を有していた。上記ペースト状銀組成物について、加熱焼結物である固形状銀の固着強度、体積抵抗率、熱伝導率を測定し、結果を表1にまとめて示した。以上の結果より、このペースト状銀組成物が被着体を電気伝導性と熱伝導性よく強固に接着させるのに有用であり、耐摩耗性と基板への接着性と電気伝導性と熱伝導性が優れた銀回路を形成するのに有用であることがわかる。
【0034】
[実施例6]
実施例5において、炭素含有量が0.46重量%の実質的に球状の銀粒子の代りに、実施例1で調製した炭素含有量が0.11重量%の実質的に球状の銀粒子10部と炭素含有量が0.46重量%の実質的に球状の銀粒子10部とを混合して得た、平均炭素含有量が0.285重量%の球状銀粒子20部を使用した他は、実施例5と同一条件でペースト状銀組成物を調製して、塗布性、焼結性および加熱硬化後の固着強度、体積抵抗率、熱伝導率を測定し、結果を表1にまとめて示した。以上の結果より、このペースト状銀組成物が、被着体を電気伝導性と熱伝導性よく強固に接着したり、耐摩耗性と基板への接着性と電気伝導性と熱伝導性が優れた銀回路を形成するのに有用であることがわかる。
【0035】
[比較例1]
実施例1で得られたエタノール洗浄した実質的に球状の銀粒子(炭素含有量が0.21重量%であり、銀表面に酸化銀は検出されない)85部、粘度が2500mmPa・sである液状エポキシ樹脂(ビスフェノールA:ビスフェノールF=1:1)14部、2−メチルイミダゾール1部を混合してエポキシ樹脂がバインダーであるペースト状銀組成物の調製を試みたが、このペースト状銀組成物は粘度が高く均一に混合するのが困難であった。結果を表2にまとめて示した。
【0036】
[比較例2]
実施例1で得られたエタノール洗浄した実質的に球状の銀粒子(炭素含有量が0.21重量%であり、銀表面に酸化銀は検出されない)80部、粘度が2500mmPa・sである液状エポキシ樹脂(ビスフェノールA:ビスフェノールF=1:1)19部、2−メチルイミダゾール1部を均一に混合してエポキシ樹脂がバインダーであるペースト状銀組成物を調製した。
このペースト状銀組成物は粘度が非常に高い(300Pa・S以上)が、メタルマスクによりガラス繊維強化エポキシ樹脂基板上に塗布したところ、ダレ、流れ等はなく良好な形状に塗布できた。200℃で30分間加熱したところ、エポキシ樹脂状の硬い硬化物であった。
加熱硬化後の固着強度、体積抵抗率、熱伝導率を測定し、結果を表2にまとめて示した。
【0037】
[比較例3]
B社品である還元法で製造され、走査型電子顕微鏡像の画像解析により得られる1次粒子の平均粒径が1.8μmで実質的に球状の銀粒子(炭素含有量が0.88重量%であり、銀表面に酸化銀は検出されない)20部に、純度99.8%のメタノールと電気伝導度が5μs/cmである純水が重量比で1:1である混合洗浄液を20部添加し、乳鉢を用いて1分間攪拌混合した。1分間静置後、上澄み液を可能な限りスポイトで系外へ抜き出した。その後更に前記混合洗浄液を用いて同様に2回洗浄し、その後常温で放置しメタノール臭がしなくなるまで風乾したところ、実質的に球状の銀粒子の炭素含有量は0.61重量%であった。
この実質的に球状の銀粒子に電気伝導度が5μs/cmであるイオン交換水1.5部を添加し、ヘラを用いて均一に混合してペースト状銀組成物を調製した。
このペースト状銀組成物をメタルマスクにてよりガラス繊維強化エポキシ樹脂基板上に塗布したところ、ダレ、流れ等はなく良好な形状に塗布できた。ところが、200℃で30分間加熱しても球状銀粒子が充分に焼結せず、フィルム状ではあるが、もろく指で触ると容易に壊れた。結果を表2にまとめて示した。
【0038】
[比較例4]
実施例1において、炭素含有量が0.11重量%の実質的に球状の銀粒子にイオン交換水を添加しないでガラス繊維強化エポキシ樹脂基板上に塗布し、200℃で30分間加熱したところ、この実質的に球状の銀粒子は焼結せず、粒子状のままであった。結果を表2にまとめて示した。
【0039】
[比較例5]
実施例5において、炭素含有量が0.46重量%の実質的に球状の銀粒子の代りに、未洗浄の炭素含有量が0.88重量%の実質的に球状の銀粒子を使用した以外は実施例5と同様にしてペースト状銀組成物を調製した。
このペースト状銀組成物をメタルマスクによりガラス繊維強化エポキシ樹脂基板上に塗布したところ、ダレ、流れ等はなく良好な形状に塗布できた。ところが、200℃で30分間加熱しても実質的に球状の銀粒子は充分に焼結せず、フィルム状となったが、もろく指で触ると容易に壊れた。結果を表2にまとめて示した。
【0040】
【表1】
Figure 0004347381
【0041】
【表2】
Figure 0004347381
【0042】
以上の結果により、本発明のペースト状銀組成物が、加熱焼結性に優れ、被着体を電気伝導性と熱伝導性よく強固に接着させるのに有用であり、耐磨耗性を基板への接着性と電気伝導性と熱伝導性が優れた銀回路を形成するのに有用であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の金属系被着体接着用ペースト状銀組成物および金属系被着体の接着方法は、プリント回路基板上の導電性回路の形成、抵抗器やコンデンサ等の各種電子部品及び各種表示素子の電極の形成、電磁波シールド用導電性被膜の形成、コンデンサ、抵抗、ダイオード、メモリ、演算素子(CPU)等のチップ部品の基板への接着、太陽電池の電極の形成、積層セラミックコンデンサ、積層セラミックインダクタ、積層セラミックアクチュエータ等のチップ型セラミック電子部品の外部電極の形成等に有用である。本発明の金属系被着体接着用ペースト状銀組成物の製造方法は、ペースト状銀組成物を効率よく製造するのに有用である。

Claims (15)

  1. (A)平均粒径が0.1〜6μmであり,炭素含有量が0.50重量%以下である還元法で作られた球状銀粒子と、(B)沸点が70〜250℃であり、水,揮発性一価アルコール,揮発性脂肪族炭化水素,揮発性ケトン,揮発性低級脂肪族カルボン酸エステルおよび揮発性シリコーンオイルから選択される揮発性分散媒とからなるペースト状物であり、100℃以上250℃以下での加熱により,該揮発性分散媒が揮散し該球状銀粒子同士が焼結して体積抵抗率が1×10-4Ω・cm以下であり,かつ,熱伝導度が5W/m・K以上である固形状銀になることを特徴とする、金属系被着体同士の接合用ペースト状銀組成物。
  2. 体積抵抗率が1×10-5Ω・cm以下であり,かつ,熱伝導度が10W/m・K以上である固形状銀になることを特徴とする、請求項1記載の金属系被着体同士の接合用ペースト状銀組成物。
  3. 炭素含有量が0.25重量%以下であることを特徴とする、請求項1記載の金属系の被着体同士の接合用ペースト状銀組成物。
  4. 揮発性一価アルコールがエチルアルコール,プロピルアルコール,ブチルアルコール,ペンチルアルコール,ヘキシルアルコール,ヘプチルアルコール,オクチルアルコール,ノニルアルコール,デシルアルコールまたはベンジルアルコールであり、揮発性脂肪族炭化水素が低級n-パラフィンまたは低級イソパラフィンであることを特徴とする、請求項1または請求項2記載の金属系被着体同士の接合用ペースト状銀組成物。
  5. 揮発性分散媒が、水と、ブチルアルコール,ペンチルアルコール,ヘキシルアルコール,ヘプチルアルコール,オクチルアルコール,ノニルアルコール,デシルアルコールまたはベンジルアルコールとの混合物であることを特徴とする、請求項1または請求項2記載の金属系被着体同士の接合用ペースト状銀組成物。
  6. 平均粒径が0.1〜6μmである還元法で作られた球状銀粒子を洗浄して,その炭素含有量を0.50重量%以下とし、(B)沸点が70〜250℃であり、水,揮発性一価アルコール,揮発性脂肪族炭化水素,揮発性ケトン,揮発性低級脂肪族カルボン酸エステルおよび揮発性シリコーンオイルから選択される揮発性分散媒と混合することを特徴とする、100℃以上250℃以下での加熱により,該揮発性分散媒が揮散し該球状銀粒子同士が焼結して体積抵抗率が1×10-4Ω・cm以下であり,かつ,熱伝導度が5W/m・K以上である固形状銀になる金属系被着体同士の接合用ペースト状銀組成物の製造方法。
  7. 体積抵抗率が1×10-5Ω・cm以下であり,かつ,熱伝導度が10W/m・K以上である固形状銀になる、請求項6記載の金属系被着体同士の接合用ペースト状銀組成物の製造方法。
  8. 球状銀粒子の炭素含有量を0.25重量%以下とすることを特徴とする、請求項6に記載の金属系被着体同士の接合用ペースト状銀組成物の製造方法。
  9. 洗浄剤が水,揮発性の親水性溶剤または脂肪族炭化水素系溶剤であることを特徴とする、請求項6記載の金属系被着体同士の接合用ペースト状銀組成物の製造方法。
  10. (A)平均粒径が0.1〜6μmであり,炭素含有量が0.50重量%以下である還元法で作られた球状銀粒子と、(B)沸点が70〜250℃であり、水,揮発性一価アルコール,揮発性脂肪族炭化水素,揮発性ケトン,揮発性低級脂肪族カルボン酸エステルおよび揮発性シリコーンオイルから選択される揮発性分散媒とからなるペースト状物であり、100℃以上250℃以下での加熱により,該揮発性分散媒が揮散し該球状銀粒子同士が焼結して体積抵抗率が1×10-4Ω・cm以下であり,かつ,熱伝導度が5W/m・K以上である固形状銀になるペースト状銀組成物を、複数の金属系被着体間に介在させ、100℃以上250℃以下での加熱により、該揮発性分散媒が揮散し,該球状銀粒子同士が焼結して,複数の金属系被着体同士を接着させることを特徴とする、金属系被着体同士接合方法。
  11. ペースト状銀組成物が、体積抵抗率が1×10-5Ω・cm以下であり,かつ,熱伝導度が10W/m・K以上である固形状銀になるペースト状銀組成物であることを特徴とする、請求項10記載の金属系被着体同士接合方法。
  12. 球状銀粒子の炭素含有量が0.25重量%以下であることを特徴とする、請求項10記載の金属系被着体同士接合方法。
  13. 揮発性一価アルコールがエチルアルコール,プロピルアルコール,ブチルアルコール,ペンチルアルコール,ヘキシルアルコール,ヘプチルアルコール,オクチルアルコール,ノニルアルコール,デシルアルコールまたはベンジルアルコールであり、揮発性脂肪族炭化水素が低級n-パラフィンまたは低級イソパラフィンであることを特徴とする、請求項10または請求項11記載の金属系被着体同士接合方法。
  14. 揮発性分散媒が水と、ブチルアルコール,ペンチルアルコール,ヘキシルアルコール,ヘプチルアルコール,オクチルアルコール,ノニルアルコール,デシルアルコールまたはベンジルアルコールとの混合物であることを特徴とする、請求項10または請求項11記載の金属系被着体同士接合方法。
  15. 金属系の被着体が金属部材を有する電子部品であることを特徴とする、請求項10または請求項11記載の金属系被着体同士接合方法。
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